【実施例】
【0038】
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
実施例、比較例を作製するために、下記する材料を用意した。
【0039】
基油1:GTL(動粘度40℃が44.0mm
2/s、粘度指数が143)と、API分類によるグループ1基油(動粘度40℃が49.5mm
2/s、粘度指数が103)を50質量%ずつ混合した炭化水素系基油ブレンド品
基油2:GTL(動粘度40℃が44.0mm
2/s、粘度指数が143)を40質量%と、API分類によるグループ1基油(動粘度40℃が49.5mm
2/s、粘度指数が103)を60質量%で混合した炭化水素系基油ブレンド品
基油3:GTL(動粘度40℃が44.0mm
2/s、粘度指数が143)を30質量%と、API分類によるグループ1基油(動粘度40℃が49.5mm
2/s、粘度指数が103)を70質量%で混合した炭化水素系基油ブレンド品
【0040】
過塩基性Mgサリシレート:C9012(インフィニアム社製)(性状;塩基価が336mgKOH/g,Mg量が7.2%)
中性Baスルフォネート:NaSuBSN(キングインダストリー社製)(性状;塩基価が1mgKOH/g以下,Ba量が6.6%)
過塩基性Baスルフォネート:NaSuBSB(キングインダストリー社製)(性状;塩基価が45mgKOH/g,Ba量が12.0%)
中性Naスルフォネート:NaSuSS(キングインダストリー社製)(性状;塩基価が1mgKOH/g以下,Na量が2.4%)
中性Znスルフォネート:NaSuZs(キングインダストリー社製)(性状;塩基価が1mgKOH/g以下,Zn量が2.8%)
【0041】
PMA1:非分散型ポリメタクリレート;Viscoplex8−200(エボニック社製)(性状;ポリマー濃度が72.5%,重量平均分子量が3.3万)
PMA2:非分散型ポリメタクリレート;Aclube V815(三洋化成工業社製)(性状;ポリマー濃度が60〜70%,重量平均分子量が2万)
PMA3:非分散型ポリメタクリレート;Aclube 504(三洋化成工業社製)(性状;ポリマー濃度が35〜45%,重量平均分子量が18万)
【0042】
PMA1〜PMA3の重量平均分子量は下記の測定条件により測定したものである。
・測定法:GPC(ゲルパーミッションクロマト)
JIS K7252−1 「プラスチック−サイズ排除クロマトグ
ラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方−第1
部:通則」を用いて重量平均分子量を計算した。
・測定装置:島津製作所製 SIL20AHT
・使用カラム:Shodex LF604×2本
・測定温度:40℃
【0043】
下記する実施例及び比較例を作製した。
(実施例1)
上記基油1の99.75質量%に、過塩基性Mgサリシレート0.05質量%と、PMA1の0.20質量%とを加えて良く混合し、実施例1の潤滑油組成物を得た。
(実施例2〜13)
表1〜表3に記載の組成により、他は実施例1に準じて実施例2〜13の潤滑油組成物を得た。
【0044】
(比較例1〜27)
表4〜表8に記載の組成により、他は実施例1に準じて比較例1〜27の潤滑油組成物を得た。
【0045】
〔試験等〕
上記実施例及び比較例の性状及び性能について知るために適宜に以下の試験等を行った。
(油中の金属元素量)
石油学会規格 JPI−5S−38-03 潤滑油-添加元素試験方法-誘導結合プラズマ発光分光分析法により潤滑油組成物中に含まれるMg,Ba,Na,Zn量を測定し、質量ppmで表示した。
(動粘度:40℃動粘度)
JIS K2283に基づいて40℃動粘度(mm
2/s)を測定した。
実施例及び比較例のものでは、いずれも(46±10%)mm
2/sの範囲内に入るものとした。
(ポリマー量)
潤滑油組成物中に含まれるPMAによるポリマー量について計算し、質量%で表示した。
【0046】
(電気伝導度試験)
電気伝導度はJIS K2276 石油製品−航空燃料油試験方法 の18に記載される導電率試験方法により測定した。
試料温度が安定していないと測定値に影響を及ぼすため、25℃に保った恒温室に12h以上静置したのち、米国Emcee Electronics Inc.社製の電気伝導度計 Model 1152を用いて計測した。
測定値はSジーメンス表記で表した。
評価基準:200pS/m以上のもの・・・合 格(○)
200pS/m未満のもの・・・不合格(×)
【0047】
(マイクロクラッチ試験)
マイクロクラッチ試験はJCMAS(一般社団法人日本建設機械施工協会規格)P047 建設機械用油圧作動油−摩擦特性試験法に記載のマイクロクラッチ試験機による摩擦試験法を用いて140℃の摩擦係数の値を計測した。
評価基準:摩擦係数が0.08以上のもの・・・合 格(○)
摩擦係数が0.08未満のもの・・・不合格(×)
【0048】
(引火点の測定)
引火点は、JIS K2265−4によるCOC法・クリーブランド開放式自動引火点測定装置によって実施例と比較例の各1試料について3回の繰り返し測定を行い、平均値を小数点以下1桁の四捨五入により求めた。
評価基準:引火点が240℃以上のもの・・・合 格(○)
引火点が240℃未満のもの・・・不合格(×)
(流動点の測定)
JIS K2269に基づいて流動点を測定した。
評価基準:流動点が−40℃以下のもの・・・・合 格(○)
流動点が−40℃より高いもの・・・不合格(×)
【0049】
(結果)
上記各試験の結果を表1〜表8に示す。
【0050】
(考察)
実施例1〜5のものは、基油1に過塩基性Mgサリシレート及びPMA1を含有させてなるもので、電気伝導度、マイクロクラッチの摩擦係数、引火点、流動点においていずれも合格していて良好な結果が得られている。
実施例2のものは実施例1に対してPMA1の添加量を10倍にしたもので、電気伝導度が実施例1より更に良化している。実施例3は、実施例1に対して過塩基性Mgサリシレートの添加量を2倍にしたもので、実施例1に比べて電気伝導度が向上しており、実施例4,5のものは、実施例3に対してPMA1の添加量を5倍,10倍にしたもので、電気伝導度が更に良化している。
【0051】
実施例6,7のものは、基油1に過塩基性Mgサリシレート及びPMA2を含有させてなるもので、電気伝導度、マイクロクラッチの摩擦係数、引火点、流動点においていずれも合格していて良好な結果が得られている。実施例6,7は、使用PMAが実施例3,4と相違しているが、実施例6は実施例3とほぼ同程度の、実施例7は実施例4とほぼ同程度の好ましい結果が得られている。
実施例8,9はPMA3を使用したもので、実施例8は使用PMAの異なる実施例3,6とほぼ同程度の、実施例9は実施例4,7とほぼ同程度の良好な結果である。
【0052】
実施例10のものは実施例1に対して,過塩基性Mgサリシレートの量を2.4倍に増やしたもので、2倍に増やした実施例3よりも更に電気伝導度が向上している。
実施例11は、実施例1に対して過塩基性Mgサリシレートの量を3倍に増やしたもので、実施例3,10よりも電気伝導度が更に良化している。実施例12は、実施例2に対して過塩基性Mgサリシレートの量を3倍に増やしたもので、実施例2,5よりも更に電気伝導度が向上している。実施例13は、基油2を使用したもので、実施例4の基油1をしたものよりも引火点が低いが、電気伝導度において好ましい結果が得られていることが判る。
【0053】
これに対して、比較例1は基油1に中性Baスルフォネートを0.10質量%加えたもので、電気伝導度が殆どなく、流動点も高くなっており好ましくない。比較例2は、比較例1にPMA1を1.00質量%加えたものであり、流動点は合格に変わったが電気伝導度が未だ極端に低い値となっている。
なお、比較例1〜20においては、マイクロクラッチの測定価が記載されていないが、これは他の測定項目の結果が不合格であるために、測定を省略したものである。
比較例3は比較例1に対して、比較例4は比較例2に対して、各々中性Baスルフォネートの使用量を10%増やしたものであるが、結果は殆ど変っていない。
比較例5は、比較例2のPMA1の代りにPMA3を使用したものであるが、結果は殆ど変っていない。
【0054】
比較例6は、基油1に過塩基性Baスルフォネートを加えたもので、電気伝導度は低いし、流動点は高くて好ましくない。比較例7は、比較例6にPMA1を加えたもので、流動点は合格に変わったが、電気伝導度が合格点に達していない。比較例8は比較例6に対して、過塩基性Baスルフォネートの使用量を増やしたものであるが、電気伝導度がやや良化しているものの合格点には遥かに及ばず、流動点でも合格していない。比較例9は比較例7に対して、過塩基性Baスルフォネートの使用量を増やしたものであるが、電気伝導度がやや良化しているものの合格点には遥かに及ばず合格していない。
比較例10は、比較例8にPMA3を加えたものであり、流動点は合格に変わったが、電気伝導度は殆ど変っていない。
【0055】
比較例11は、基油1に中性Naスルフォネートを0.10質量%加えたもので、電気伝導度が悪く、流動点も高くなっており好ましくない。比較例12は、比較例11にPMA1を1.00質量%加えたものであり、流動点は合格になったが電気伝導度は殆ど変らず未だ低い値となっている。
比較例13は比較例11に対して、比較例14は比較例12に対して中性Naスルフォネートの使用量を3倍に増やしたものであるが、電気伝導度の数値が良くなっているものの、未だ合格には遠く及ばない状態である。
比較例15は比較例11にPMA3を加えたものであり、流動点は合格になったが、電気伝導度は殆ど変化がなく、好ましい結果が得られていない。
【0056】
比較例16は基油1に中性Znスルフォネートを0.10質量%加えたもので、電気伝導度が悪く、流動点も高くなっており好ましくない。比較例17は、比較例16にPMA1を1.00質量%加えたものであり、流動点は合格に変わったが電気伝導度はほぼ同じ低い値となっている。
比較例18は比較例16に対して、比較例19は比較例17に対して中性Znスルフォネートの使用量を2.6倍に増やしたものであり、流動点に変わりがないし、電気伝導度の数値がやや向上しているが合格点には達していない。
比較例20は比較例16にPMA3を加えたものであり、流動点は合格になったが、電気伝導度には殆ど変化がなく好ましい結果ではない。
【0057】
比較例21は、基油1に過塩基性Baスルフォネートを0.05質量%加えたもので、電気伝導度において合格しているが、流動点が高くなっており好ましくない。比較例22は、比較例21に対して過塩基性Baスルフォネートの使用量を2倍にしたものであり、電気伝導度が向上しているが、流動点は変わっておらず未だ合格となっていない。
比較例23は比較例21に対して、過塩基性Baスルフォネートの使用量を2.4倍にしたものであり、電気伝導度が更に向上しているが、流動点に変化はなく未だ好ましいものではない。
比較例24は比較例21に対して、過塩基性Baスルフォネートの使用量を3倍にしたものであり、電気伝導度が一層向上しているが、流動点は変わらず未だ合格していない。
【0058】
比較例25は比較例22に対し基油1を基油2に替えたもので、電気伝導度においてほぼ同様の数値で合格しているが、流動点が更に高くなっており好ましくない。比較例26は比較例22に対し基油1を基油3に替えたもので、流動点が更に高くなっているし、引火点も低くなっており合格していない。比較例27は、比較例26にPMA1を加えたものであり、流動点は改善されて合格点に達したが、引火点が低いままであり未だ好ましいものではないことが判る。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】