特許第6714575号(P6714575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6714575粉末ベース食品の製造方法及びこれにより製造された食品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6714575
(24)【登録日】2020年6月9日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】粉末ベース食品の製造方法及びこれにより製造された食品
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/18 20060101AFI20200615BHJP
   A21D 6/00 20060101ALI20200615BHJP
   A21D 8/02 20060101ALI20200615BHJP
   A21D 13/00 20170101ALI20200615BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20200615BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20200615BHJP
【FI】
   A21D2/18
   A21D6/00
   A21D8/02
   A21D13/00
   A23G3/34 102
   A23G3/34 108
   A23L5/00 B
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-504624(P2017-504624)
(86)(22)【出願日】2015年4月10日
(65)【公表番号】特表2017-510306(P2017-510306A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】US2015025425
(87)【国際公開番号】WO2015157702
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2018年4月10日
(31)【優先権主張番号】61/978,740
(32)【優先日】2014年4月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1410909.4
(32)【優先日】2014年6月19日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513003611
【氏名又は名称】テイト アンド ライル イングリーディエンツ アメリカス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Tate & Lyle Ingredients Americas LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】サンジヴ エイチ. アヴァシア
(72)【発明者】
【氏名】メリッサ カービー リデル
【審査官】 飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−544334(JP,A)
【文献】 特開平09−107887(JP,A)
【文献】 特開2010−183850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D
A23G 3/00
A23L 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/WPIDS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
20%〜60%の粉末、その際、該粉末がトウモロコシマサ粉、トウモロコシ粉、穀粉、全粒粉、ふすま粉、米粉、小麦粉及びこれらの組み合わせからなる群から選択される
2%〜15%のでんぷん;及び
20%〜60%の水;
を含む、0.5mm〜3mm範囲の厚さを有する生の生地シートを提供し、
前記生の生地シートを250°F(121℃)〜500°F(260℃)範囲の温度で加熱−プレスして、0.5mm〜3mm範囲の厚さを有する加熱−プレス生地シートを形成し、次いで
前記加熱−プレス生地シートを調理して、3%未満の水分含量を有するチップス、クリスプ又はクラッカーの形態の食品を形成することを含む、チップス、クリスプ又はクラッカーの形態の食品の製造方法。
【請求項2】
記粉末がトウモロコシマサ粉である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粉末が、25%〜45%範囲の量で生の生地中に存在する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記生の生地中の粉末の少なくとも一部は、糊化されない請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記生の生地中のでんぷんが、天然でんぷん、加工でんぷん、アルファー化でんぷん、冷水膨潤性でんぷん、クックアップでんぷん及びインスタントでんぷんの一つ以上を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記でんぷんが、トウモロコシでんぷん、タピオカでんぷん、ポテトでんぷん、小麦でんぷん又はコメでんぷんである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記生の生地が、0.01%〜2%の膨張剤を更に含み、場合によって、前記膨張剤が、重炭酸ナトリウム(ベーキングソーダ)、炭酸ナトリウム、ベーキングパウダー、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酵母、パン酵母、活性乾燥酵母、酒石酸水素カリウム(酒石英)、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、又は炭酸二カリウムを含む請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記生の生地が、1%〜5%の粒子状材料を含み、前記粒子状材料のサイズが、300マイクロメートル〜1800マイクロメートルである請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱プレスが、生地の水分含量を5%〜20%の範囲内の量で減少させる請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記加熱プレスが、一つ以上の加熱ローラーを介して生の生地を供給することによって、又は、二つの加熱されたプレート間に生の生地をプレスすることによって、行われる請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱プレスにおいて、前記生地を、0.1〜10秒の範囲の時間で加熱プレスする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱プレスが、生地シートの厚さを、20%を超えて減少しない請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記加熱プレス生地シートが、調理される前に冷却される請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法により製造されたチップス、クリスプ又はクラッカーの形態の食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2014年4月11日に出願された米国仮特許出願第61/978740号及び2014年6月9日に出願された英国特許出願第1410909.4号の優先権を主張し、これらの出願の全文は、それぞれ本明細書で参照により援用される。
【0002】
本開示は、一般に食品を製造する方法に関するものである。さらに詳しくは、本開示は粉末ベース(例えば、トウモロコシマサ、小麦粉)プレス食品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
様々な粉末ベース食品、例えば、特にトウモロコシチップス、トルティーヤ(tortillas)、膨化生地食料品、ポテトチップス、クッキー及びクラッカーが現在消費者に食品消費のために市販されている。これらの粉末ベース食品は、多くの場合にトウモロコシ、小麦、ポテト又は他のでんぷん含有成分で作られる。伝統的に、このような食品は、まず、様々な形態に成形した後、油揚げ及び/又は焼成する。
【0004】
粉末ベース食品の満足度を評価するとき、消費者が考慮する様々な要素がある。この要素一部は、特に味、食感(texture)、サイズ、視覚的アピール、栄養価、及び価格を含むが、これに制限されない。このように、粉ベース食品は、様々な消費者にアピールするために、様々な形状、食感、味において生産され、様々な成分及び調理法を使用して作る。
【0005】
例えば、小麦粉トルティーヤ(例えば、ブリート(burritos)及びケサディージャ(quesadillas)で使用される)は、一般に焼成する前に加熱プレスされる。トルティーヤは、相当な量の水分を保持するように焼成し、従って、これらは包んで折り曲げるために柔軟なままである
【0006】
他方、スナックチップスとクリスプ(crisps)は、一般に生の生地形で片へ切断した後、低い水分含量(即ち、約3%未満)焼成するか、油揚げ、好ましくは、カリカリ又はバリバリしたチップス又はクリスプを提供する。例えば、トルティーヤチップスは、伝統的にマサ(masa)として知られた生の生地をシートに形成した後、これらのシートを焼成して、水分含量を約20%〜約35%に低減させることによって製造される。次いで、焼成されたスナック片油で揚げ、約3%未満の水分含量を有するトルティーヤチップスを形成する。
【0007】
このような方法は、粉末ベース食品を製造する際に役立ち得るが、消費者市場はその食品において改良された味と食感を絶えず求めている。口中で速く溶け、軽くて、空気を多く含み、カリカリした食感を保持しながら、3%未満の最終水分含量を有し、天然でんぷんを用いる粉末ベース食品の生産は依然として挑戦を与えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、粉末ベース食品を製造するための改良された方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの広い側面で、本開示は、
約20%〜約60%の粉末;
約0.5%〜約50%のでんぷん;及び
約20%〜約60%の水を含む生の生地を提供し、
前記生の生地を加熱−プレスして加熱−プレス生地シートを形成し、
前記加熱−プレス生地シートを調理して、約3%未満の水分含量を有する食品を形成することを含む
食品の製造方法を提供する。
【0010】
他の側面で、本開示は、本明細書に記載された方法で製造された食品を提供する。
【0011】
本明細書に記載された方法及び食品は、多数の利点を有し得る。例えば、カリカリした粉末ベース食品を製造する多くの従来の方法は、生地製造工程中にアルファー化粉末(pregelatinized flour)の使用を必要とする。本明細書に記載された方法及び食品の特定の実施形態で、生粉は生地製造前に糊化を必要とせずに、生地に使用することができる。理論に拘束されることを意図しないが、本発明者らは、本明細書に記載された方法の特定の側面で、前記加熱プレスが(例えば、粉末の一成分及び/又は添加されたでんぷんの一部として)生地に存在する糊化されないか、又は部分糊化されたでんぷんの実質的な糊化を提供することを推測する。従って、本明細書に記載された方法は、好ましい食感及び味を提供しながら、粉末ベース食品の製造に使用するのに利用可能な粉末及びでんぷんの種類を有利に増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】加熱プレス前実施例配合物の生地成分中の粉末及びでんぷんの顕微鏡写真である。
図2】加熱プレス後実施例配合物の生地成分中の粉末及びでんぷんの顕微鏡写真である。
図3本明細書に記載された通りにトウモロコシマサ及びポテト生地を加熱プレスした後、油揚げ作ったトルティーヤチップスの写真である。
図4本明細書に記載された通りにトウモロコシマサ生地を加熱プレスし、半焼した後、油揚げ作ったトルティーヤチップスの写真である。
図5本明細書に記載された通りにトウモロコシマサ生地を加熱プレスした後、焼成し作ったトルティーヤチップスの写真である。
図6】トウモロコシマサ生地をシート化し、半焼し、油揚げて作った従来のトルティーヤチップスの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
開示され方法及び材料を記載する前に、本明細書に記載された側面は、特定の実施形態、装置又は構成に制限され、従って、もちろん変更することができるものと理解すべきである。また、本明細書で使われ用語は、単に個々の側面を記載する目的のためであり、本明細書に具体的に定義されない限り、制限することを意図するものではない。
【0014】
本明細書を通して、文脈上、特に断らない限り、用語「含む」(comprise及びinclude)及び変形語(例えば、“comprises”、“comprising“includes”including)は、明示された成分、特徴、要素又は工程又は成分、特徴、要素又は工程の群を含むが、任意の他の整数又は工程又は整数又は工程の群を排除しないことを暗示するものと理解すべきである。
【0015】
本明細書及び添付された特許請求の範囲で用いられる単数形(“aan)及び「前記」(the)は、文脈上、特に明確に指図しない限り、複数の指示対象を含む。
【0016】
範囲は、本明細書で「約」一の特定の値から及び/又は「約」他方の特定の値までとして表現されることができる。このような範囲を表現するとき、別の側面は、一方の特定の値から及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値を先行語「約」を使用して近似値として表現する場合、前記特定の値は、他の側面を形成するものとして理解されるだろう。さらに、前記範囲それぞれの終点は他の終点に対して、及び他の終点と独立に両方で有意であることが理解されるであろう。
【0017】
本開示を考慮して、本明細書に記載された方法は、前記所望の必要性を満たすために、当業者により構成することができる。一般に、開示された方法及び材料は、少なくとも水、粉末及びでんぷんからなる生の生地を提供し、前記生の生地を加熱プレスして、加熱プレス生地を形成した後、前記加熱プレス生地を調理して、約3%未満の水分含量を有する食品を形成させることによって、新規な粉末ベース食品を製造するための改良を提供する。
【0018】
前述するように、本明細書に記載された方法の一工程は、生の生地を提供することである。当業者が理解するように、生の生地の提供は、様々な方法により行われてもよい。予め作られた生の生地を使用することができ、又は必要に応じて生の生地を混合することができる。当業者は、生の生地を製造するのに様々な技術が使用され得ることを理解するだろう。例えば、生の生地を製造する方法の一では、乾燥成分を、まず、共に混合した後、湿潤成分を前記混合物に添加して、混合を所望の時間、続ける。当業者が理解し、以下に更に論議されるように、多数の変数を調節して、本明細書に記載された方法で使用するための生の生地自体の特性を変更することができる。
【0019】
当業者として、生地に対する用語「生」(uncooked)は生地自体が、まだ、即ち、形成された後に、調理されていないことを意味する。当業者は、生の生地はそれ自体で、例えば、加工処理するとき、予め調理された成分を含み得ることを理解するであろう。
【0020】
生の生地中の、でんぷん、水及び粉末の量は、粉末ベース食品の所望の種類に基づいて変更することができる。本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、前記生地中の粉末の量は、生の生地重量の約20%〜約60%の範囲であってもよいが、これに制限されるものではない。例えば、本明細書に記載される本発明の一実施形態で、生の生地中の粉末の量は、生地重量の約25%〜約45%の範囲であ。他の実施形態で、生の生地中の粉末の量は、生地重量の約20%〜約50%、約25%〜約60%、約30%〜約60%、又は約30%〜約50%の範囲であ
【0021】
本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、生の生地中のでんぷんの量は、生の生地の重量の約0.5%〜約50%の範囲であってもよいが、これに制限されない。例えば、本明細書に記載される本発明の一実施形態で、でんぷんの量は、約1%〜約35%の範囲であ。さらに別の実施形態で、生の生地中のでんぷんの量は、生の生地の重量の約2%〜約15%の範囲であってもよい。他の実施形態で、生の生地中のでんぷんの量は、生の生地の重量の約0.5%〜約35%、約0.5%〜約20%、約0.5%〜約15%、約0.5%〜約10%、約1%〜約20%、約1%〜約15%、約1%〜約10%、約2%〜約35%、約2%〜約20%、約2%〜約15%、約2%〜約10%、約4%〜約35%、約4%〜約20%、約4%〜約15%、又は約4%〜約10%の範囲である。本明細書に使用されるように、及び当業者が理解するように、生の生地のでんぷん成分は、粉末自体の成分として存在するでんぷんとは別個である。
【0022】
本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、生の生地中の水の量は、生の生地の重量の約20%〜約60%の範囲であってもよいが、これに制限されるものではない。例えば、本明細書に記載される本発明の一実施形態で、生の生地中の水の量は、生の生地の重量の約25%〜約50%の範囲である。他の実施形態で、生の生地中の水の量は、生の生地の重量の約30%〜約60%、約30%〜約50%、約30%〜約45%、約25%〜約60%、約25%〜約45%、約25%〜約40%、約20%〜約55%、約20%〜約45%、又は約20%〜約40%の範囲である。
【0023】
また、当業者が理解するように、粉末と水との比は、粉末ベース食品の所望の種類に基づいて変更することができる。特定の実施形態で、生の生地中の水の量と粉末の量との比は、約3:1〜約1:3の範囲であってもよい。例えば、特定の実施形態で、生の生地中の水の量と粉末の量との比は、約2:1〜約1:2、又は約3:2〜約2:3の範囲である。同様に、水の量と粉末及びでんぷんの総量との比は、粉末ベース食品の所望の種類に基づいて変更することができる。特定の実施形態で、生地中の水の量と粉末及びでんぷんの総量との比は、約3:1〜約1:3の範囲であってもよい。例えば、特定の実施形態で、生の生地中の水の量と粉末とでんぷんの総量と間の比は、約2:1〜約1:2、又は約3:2〜約2:3の範囲であ
【0024】
生の生地の組成の特定の個々の実施形態は、生の生地を製造するために用いられる粉末の種類と関連して、本明細書に記載されている。特に、生の生地を製造するために用いられる粉末の種類は、所望の粉末ベース食品の種類に基づいて変化してもよい。粉末の種類は、特にトウモロコシ粉(例えば、マサ形態)、穀粉(例えば、全粒粉、ふすま粉、米粉、小麦粉、スペルト小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、オート麦粉)、豆粉(例えば、豆粉、レンズ豆粉)を含んでいてもよいが、これに制限されない。従って、本明細書に記載される方法の特定の実施形態で、粉末は、トウモロコシ粉(例えば、マサ形態)を含むか、又はこれらで実質的になる。本明細書に記載される方法の特定の実施形態で、粉末は、小麦粉(例えば、白い小麦粉、全粒小麦粉)を含むか、これらで実質的になる。本明細書に記載される方法の特定の実施形態で、粉末は、米粉を含むか、これらで実質的になる。当業者は、他の種類の粉末もまた許容可能であることを理解するであろう。また、以下で説明するように、特定の穀物、豆、ポテト及び他の植物材料は、様々な粒径及び形状を有する例えば、フレーク、ミール、及びグリッツのような他の形態で含めることができる。
【0025】
一実施形態で、粉末は、トウモロコシ粉、例えば、トウモロコシマサ粉形態含んでいてもよい。典型的に、トウモロコシマサ粉は、トウモロコシ粒全体を乾燥させさもなければ水酸化カルシウム又は木灰として、石灰溶液中で熟成された粒子を浸漬し、調理することで製造される。この方法は、通常ニシュタマリゼーションとして知られている。この方法は、トウモロコシマサが水を吸収して、生地形成を可能にする能力を補助する。トウモロコシマサ粉を製造する他の方法も同様に可能である。当業者が理解するように、トウモロコシマサ粉は、乾燥粉として提供されてもよく、又はトウモロコシマサ形態で配合物の水の一部と共に提供されてもよい。
【0026】
特定の実施形態で、生の生地を製造するために用いられる粉末は、異なる種類の粉末の組み合わせを含でいてもよい。例えば、特定の実施形態で、トウモロコシマサ粉は、一つ以上の穀粉、例えば、米粉又は小麦粉と組み合わされる。他の組み合わせも同様に存在してもよい。
【0027】
本明細書に記載された方法の特定実施形態で、生の生地を製造するために用いられる粉末の一つ以上は糊化されてもよい(即ち、生の生地形態で配合される前に)。本発明を記載する目的ために、しかしこのような記載を通して何ら制限を意図しないが、糊化はでんぷんが水分、熱、及び/又はせん断の存在下で、これらの結晶性を喪失し、これらが膨る方法である。粉末は、実質的に糊化し、又は部分的にだけ糊化することができる。しかし、他の実施形態で、粉末の一つ以上は原料粉末であり、即ち、生の生地に混入するときに、まだ糊化されていなかった。後述するように、加熱プレス処理は、糊化されていない又は部分糊化された粉をより完全に糊化するようにすることができる。更に、以下に記載されるように、加熱プレスは糊化でんぷんを断片に分解でき、これはしばしば「ペースティング」(pasting)と呼ぶ。
【0028】
生の生地の組成物の特定の個々の実施形態は、生の生地で用いられるでんぷんの種類と関連して本明細書に記載されている。特に、生の生地に用いられるでんぷんの種類は、所望の粉末ベース食品の種類に基づいて変更することができる。でんぷんの種類は、特に天然でんぷん、加工でんぷん、アルファー化でんぷん、アルファー化ワキシーでんぷん、及び冷水膨潤でんぷんを含んでいてもよいが、これに制限されるものではない。また、でんぷんは特にトウモロコシ(例えば、ワキシーコーン)、タピオカ、ポテト、小麦又はコメから製造することができる。
【0029】
特定の実施形態で、生の生地は、天然でんぷん、即ち、植物中で発生されるようなその最も天然形態で存在するでんぷんを含む。本明細書に記載された本発明の特定の実施形態で、MERIZET(登録商標)ブランドでんぷん、即ち、テート&ライル(Tate & Lyle)社製の天然でんぷんは、生の生地の製造で用いられて、例えば、様々な粉末ベース食品においてカリカリした食感を提供するのを助ける。以下にさらに論議されるように、天然でんぷんの使用は本明細書に記載された加熱プレス工程により(例えば、食感及び/又は風味に寄与するために)更に有利である。
【0030】
特定の実施形態で、生の生地を製造するために用いられるでんぷんは、加工でんぷんであってよく、これは天然でんぷんを物理的に、酵素的に又は化学的に処理して、前記でんぷんの加工態が生じることにより製造することができる。加工でんぷんは、食品品質及び性能を向上させるために様々な方で加工される。例えば、加工でんぷんは、未加工でんぷんに比べて、より少ないゲル化性、より高い安定性、及びより高い保水性を許容することができる。
【0031】
加工でんぷんの例は、特に酸処理でんぷん、塩酸焙焼でんぷん(デキストリン)、アルカリ加工でんぷん、漂白でんぷん、酸化でんぷん、酵素処理でんぷん、リン酸でんぷんリン酸架橋でんぷん、アセチル化でんぷん、ヒドロキシプロピル化でんぷん、ヒドロキシエチルでんぷん、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、カチオンでんぷん、カルボキシメチル化でんぷんを含むが、これに制限されるものではない。本明細書で用いられる加工でんぷんは、化学的加工と対照的に物理的加工を通して、例えば、でんぷんを部分的に調理して(例えば、インスタントでんぷんにおけるように)、加工することでき、或いは選択的に加工することができる
【0032】
本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、でんぷんは、クックアップでんぷん(cook-up starch)、インスタントでんぷん、冷水膨潤でんぷん又はアルファー化でんぷんである。このようなでんぷんは、食品の製造で有の機能性を提供するためにトウモロコシ、ワキシーコーン、ポテト又はタピオカから製造することができる。例えば、これらのでんぷんの添加は、生の生地に存在してもよい他の成分と共に粉末を結合させるのを助けることができる。また、このようなでんぷんは、食品を増粘して安定化させ、焼成した食品の食感を増進し、冷凍食品の寿命を延ばし、粘性を増加して、滑らかな光沢のある外観を提供するのに作用することができる。また、他の様々なでんぷんが用いられてもよい。
【0033】
特定の側面で、テート&ライル社のブランド名として確認される以下のでんぷんが好ましい:RESISTAMYL(商標)、STA−SLIM(登録商標)、MIRA−GEL(登録商標)、MERIGEL(商標)、X−PAND’R(登録商標)、MIRA−THIK(登録商標)、MIRA−SPERSE(登録商標)、TENDER−JEL(登録商標)、TENDERFIL(登録商標)、MAXIMAIZE(登録商標)、REZISTA(登録商標)、DURA−JEL(登録商標)、LO−TEMP(登録商標)、REDI−TEX(登録商標)、SOFT−SET(登録商標)、REDISOL(登録商標)、及びTAPIOCAデキストリン。例えば、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、でんぷんは、X−PAND’R(登録商標)612、X−PAND’R(登録商標)SC、X−PAND’R(登録商標)、X−PAND’R(登録商標)683,MERIGEL(商標)301、MERIGEL(商標)100、MERIGEL(商標)300、及びMIRA−GEL (登録商標)463という名で市販している一つ以上のでんぷんから選択される。具体的に、特定の実施形態で、X−PAND’R(登録商標)というブランド名で市販している一つ以上のでんぷんは生の生地に存在することで、例えば、クリーンラベル恩恵に加えて、カリカリとし及び/又はバリバリした食感を提供するのを助ける
【0034】
本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、生地中のでんぷんは、加工でんぷん及び天然でんぷんの組み合わせを含む。特定の実施形態で、生の生地はアルファー化でんぷん及びクックアップでんぷんを含んでいてもよい。また、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、生地中のでんぷんは様々なでんぷんの組み合わせを含む。
【0035】
本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、生の生地は、乳化剤を例えば、生地の重量の約0.05%〜約2%範囲の量で含有していてもよい。乳化剤は、取り扱いがより容易であり、改良された仕上がった食感を有するように生地をコンディショニングするのを助けるのに使用することができる。様々な乳化剤、レシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、ポリソルベート、ステアロイル−2−乳酸カルシウム、ラクチリックステアレート、フマル酸ステアロイルナトリウム、スクシニル化モノグリセリド、又はステアロイル−2−乳酸ナトリウムを含め、単独又は組み合わせて使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0036】
本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、生の生地は膨張剤を例えば、生地重量の約0.01%〜約2%範囲の量で含有していてもよい。様々な膨張剤、重炭酸ナトリウム(ベーキングソーダ)、炭酸ナトリウム、ベーキングパウダー、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酵母、パン酵母、活性乾燥酵母、ベーキングソーダ、酒石酸水素カリウム(酒石英)、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、又は炭酸二カリウムを含め、単独又は組み合わせて用いることができるが、これに制限されるものではない
【0037】
本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、生の生地は、粒子状材料を例えば、生地重量の約10%(例えば、約1%〜約5%)の量で含有していてもよい。この粒子状材料は、例えば、ミール又はグリッツ形態であってもよく、また生地に用いられる粉末と同じ供給源(例えば、トウモロコシ粉含有コーングリッツ)、又は生地に用いられる粉末と異なる供給源(例えば、トウモロコシ粉含有粉砕小麦粒)由来していてもよい。コーンミール、ライスミール又はセミノーラ(seminola)を含む様々な種類、又は組合物又は粒子状材料が用いられてもよいが、これらに制限されるものではない。特定の実施形態で、粒子状材料のサイズ(即ち、平均径)は、約300マイクロメートル〜約1800マイクロメートル囲であってもよい(特定の場合に約100マイクロメートル未満の平均粒径を有する粉末に比して)。粒子状材料の使用は、加熱プレス生地シートを調理して食品を提供する場合、過剰な泡及び/又は膨れを抑制するのを助けることができる。より大きな粒子状材料は、例えば、生地中に投入前に水中で予め水和して、加熱プレス工程を容易にするのを助けることができる
【0038】
当業者が理解するように、追加成分は、例えば、風味、食感又は加工性を増強させるために生の生地混合物中に存在してもよい。このような追加成分例は、乾燥ポテト製品(例えば、ポテトフレーク)、分離されたポテト製品、豆材料(例えば、豆フレーク)、レンズ豆材料(例えば、レンズ豆フレーク)、全粒類材料、ふすま材料、堅果類、種子類及びその他の植物性材料(例えば、ホウレンソウ粉末、唐辛子フレーク);タンパク質性材料(例えば、乳タンパク質及び植物性タンパク質成分、粉パウダー、フレーク)を含んでもよいが、これらに制限されるものではない。当業者が理解するように、追加的な材料は、様々な他の形態を有していてもよい。このような追加成分は、生地中に例えば、生地重量の約10%以下、約20%以下、又はさらに約30%以下の量で存在してもよい。
【0039】
もちろん、当業者が理解するように、また、生地は他の成分、例えば、砂糖、塩、風味料、ハブ、香辛料及び脂肪、例えば、油、ラード、バター又はショートニングを含んでもよい。特に、これらの追加成分は、生地に例えば、生地重量の約5%以下、約10%以下、約20%以下、又はさらに約30%以下の量で添加してもよい。
【0040】
当業者が理解するように、いわゆる「クリーンラベル」(clean label)及び/又は非−GMO材料は、生地に使用することができる。例えば、用いられたでんぷんは酵素−及び/又は熱及び水分−処理でんぷんであってもよい。
【0041】
特定の実施形態で、生地温度は、生地の堅さ及び生地が水を吸収する能力に影響を与える。より低温で作られた生地は、増加された水分吸収性を有する。水分吸収性の差は、生成された生地をどのくらい伸ばせるかに役割を果たすことができる。特定の側面で、生地は約75°F〜85°Fの温度で製造してもよい。また、生の生地を生成するために混合物に添加された水の温度は、所望の食品に基づいて変更してもよい。例えば、水の温度はでんぷん及び粉末による吸度に影響を与える。特定の側面で、水の温度(即ち、生地を形成するために乾燥成分に添加される場合)は、約60°F〜約90°F範囲であってもよい。好ましい実施形態で、水の温度は約75°F〜約85°Fの範囲であってもよい。
【0042】
生の生地は多数の形態で提供することができる。例えば、特定の実施形態で、生の生地は加熱プレスする前に、シートに予め形成することができる。シートは、最終製品に対して所望の厚さを有してもいてもよく、又はそれは幾分厚くてもよい。例えば、一実施形態で、生の生地は約0.5mm〜約4mm範囲の厚さを有する生の生地シートに形成される。他の実施形態で、生の生地は約0.7mm〜約3.5mm、約0.9mm〜約1.8mm、約0.9mm〜約2.5mm、約0.5mm〜約1.8mm、又は約1mm〜約3.7mm範囲の厚さを有する生の生地シートに形成される。当業者は生の生地シートを提供するために標準シート化方法を使用することができる。或いは、生の生地は、ボール形態、又は異なる形状を有する片に提供されてもよい。特定のこのような実施形態で、加熱プレス工程は、生地をシート状にさらに薄くするために使用することができる。
【0043】
加熱プレス生地シートを形成するために生の生地を加熱プレスする多数の方法が開示されている。加熱プレス過程の中で、生の生地は閉じ込められた環境(例えば、加熱プレス装置内に)にある。理論に拘束されることを意図しないが、加熱プレス装置の加熱された部品(例えば、一つ以上のプレート及び/又はローラー)は、生の生地に接触し、でんぷんの速い水和及び膨潤が発生して、糊化の顕著した増加及びでんぷんの破裂をもたらす(生地組成物中のでんぷんの特性に応じる)。また、タンパク質変性はでんぷん糊化に加えて加熱プレス工程中に発生する可能性がある。
【0044】
加熱プレスは、圧力の不在及び閉じ込められた環境の不在下で、約250°F〜約450°Fの焼成温度で延長された滞留時間を求める従来の焼成工程と異なる。従来の焼成工程中で、糊化されないか、又は部分糊化されたでんぷんは、圧力及びせん断の不在によって実質的に完全な糊化の機会を有しない。従って、加熱プレス技術は、でんぷん(即ち、粉末中に及び生地に用いられる任意の実質的に糊化されないでんぷん中に存在する)が、更に完全な糊化を行うために生地内部の水分に対して速くアクセスすることが可能となる。また、加熱プレス工程は、糊化でんぷんを片に分解させることができ、これは、しばしば「ペースティング」と呼ばれる。加熱プレス工程で、これらの効果だけでなく他の現象は多数の利点を誘導することができる。例えば、加熱プレスは、生地がさらなる加工で、さらに凝集性であり、粘着性が少なく、取り扱いが容易になる可能性がある。また、加熱プレスは食品中の有益な風味、外観及び食感を開発するのを助けることができる。
【0045】
当業者は、様々な加熱プレス装置が生の生地を加熱プレスするために使用され得ることを理解するであろう。例えば、加熱プレス工程は、生の生地を二つのプレート間(例えば、二つの加熱されたプレート間)の熱でプレスして行うことができる。それぞれのプレートは、所望の温度に加熱することができ、又は他の実施形態でプレートの一方のみを加熱することが可能である。トルティーヤプレスは、ホットプレス工程で使用するのに適切であり得る。適切なトルティーヤプレスの一例は、BE&SCO Manufacturingで市販しているMini Wedge Flour Tortilla Pressである。他の例は、HIXの部門であるdoughXpress社から市販されているモデル番号D−TXM−2−18である。或いは、加熱プレス工程は、生の生地を一つ以上の加熱ローラーを介して供給して行うことができる。各ローラーは、所望の温度に加熱でき、又は他の実施形態ではローラーの一方のみを加熱することができる。
【0046】
加熱プレートの所望の温度は、制限されないが、でんぷんの供給源、でんぷん内アミロースとアミロクチン比、添加されたでんぷんに対して行われた加工の種類、生の生地に用いられる粉末の種類、生の生地の水分レベル、及び生地シートの厚さを含め、生地の組成に基づいて変更することができる。例えば、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、加熱プレスは、約250°F〜約500°F、例えば、約250°F〜約450°F、約300°F〜約500°F、約350°F〜約500°F、又は約350°F〜約450°F範囲のプレート又はローラー温度で行うことができる。当業者が理解するように、また、他の温度も加熱プレス工程における生地の組成及び温度及び生地の圧力及び滞留時間に応じて使用することができる。
【0047】
また、加熱プレス装置により印加される圧力の量は、加熱プレス生地シートの結果に大きな影響を与える可能性がある。特定の実施形態で、圧力範囲は約15psi〜約50psi、例えば、約15psi〜約40psi、又は約20psi〜約50psiである。当業者は、圧力範囲が生の生地の特性に対する加熱プレス工程における生地の組成及び温度及び生地の温度及び滞留時間に応じて変化し得ることを理解することができる。
【0048】
さらに、生の生地が加熱プレスされる時間の量は、生地の組成に基づいて変化させることができる。例えば、より高い水分含量を含む生地シートは、より長時間加熱プレスを必要とし得る。当業者が理解するように、また、実質的な糊化に必要な時間は加熱プレス工程の圧力及び温度に依存するであろう。一実施形態で、生地シートは、約0.1秒〜約10秒の範囲の時間で加熱プレスすることができる。他の実施形態で、生地シートは、約0.1秒〜約2秒範囲の時間で加熱プレスすることができる。当業者は、特定の実施形態で、時間(並びに、加熱プレス工程の温度、圧力及び他の側面)を調節して、生地中のでんぷんの実質的な糊化を提供することができる。
【0049】
生の生地の所望の糊化及び伸びを達成するために、加熱プレス温度と圧力に逆の関係があることに留意が必要である。例えば、より高い温度で用いられるホットプレートは、より高い圧力を要求するより低温で行われ加熱プレスに比べて、生地の類似の糊化度及び伸びを達成するために、より低い圧力を必要とする。一例として、約0.7mm〜約3mm範囲の厚さを有する生の生地を加熱プレスする工程は、約250°F〜約450°F範囲の加熱プレス温度及び約15psi〜約50psiの圧力範囲で達成することができる。
【0050】
加熱プレス生地シートの厚さは、食品に所望の最終形態因子によって異なる。例えば、(スナックチップス又はクリスプを作るためなど)特定の実施形態で、加熱プレス生地シートの厚さは約0.5mm〜約3mm範囲である。他の実施形態で、加熱プレス生地シートの所望の厚さは、約0.7mm〜約3mm、0.9mm〜約1.5mm、約0.9mm〜約2mm、約0.5mm〜約1.5mm、又は約1mm〜約3mm範囲である。当業者が理解するように、加熱プレス工程は、生地の厚さを減少させることができる。例えば、生の生地がシート状に提供される場合、特定の実施形態で、加熱プレス生地シートの厚さは、生の生地シートの厚さ(例えば、約5%〜約20%未満の範囲)より約20%まで小さい。このような厚さ変化は、例えば、生地の表面積を約5%〜約20%範囲の量だけ増加させることができる。厚さの減少及び表面積の増加は、生地の水分含量の関数であり、より湿っぽい生地は、より薄くなり、表面積がより大きくなる。
【0051】
もちろん、生の生地がより厚い形態(例えば、ボール又は他の形状の厚い片)で提供されている場合、加熱プレス工程自体が所望の厚さの生地に薄くすることができる。
追加の実施形態で、生の生地又は加熱プレス生地シートは複数の片に切断することができる(即ち、加熱プレス前に、加熱プレス後に、又はその両方)。これらの片は、様々な形及びサイズへこれに制限されないが、特に円形、正方形、長方形及びダイヤモンド形に形成される。生地は、生地に対して機械的に駆動又は切断されるナイフ又はローラーなどの一連の薄い鋭利な面で切断するのが可能である。或いは、生地は陥没されたキャビティを一体で形成する一対のローラー間に供給することができる。当業者が理解するように、様々な他の方法及び機構が加熱プレス前、後、又はこれと同時に生地を所望の形に切断するために使用することができる。
【0052】
本開示の特定の側面で、生地は加熱プレス装置に入る前、又は加熱プレス工程後に、ドッカーリングすることができる。ドッカーリング(即ち、生地表面多数小孔を開けること)は、加熱プレス及び調理工程中に過度な泡を制御するのを助けることができる。
【0053】
加熱プレスの過程中に、生地の水分レベルは減少することができる。例えば、特定の実施形態で、生地の水分含量は(即ち、生の生地の水分レベルに対して計算して)約5%〜約20%の範囲内の量だけ減少する。特定の実施形態で、生地の水分含量は、約5%〜約15%、又は約10%〜約20%、又は約10%〜約15%範囲内の量だけ減少する。水分の損失は、例えば、でんぷんの糊化及び食感化生地片の変化を伴うことができる。水分のこのような損失は、加熱プレス技術の結果として、生の生地の特性に影響を与える可能性ある。発生しうる一部変化は、生地の食感、生地の色、及び生地の感触を含む。例えば、一部実施形態で、加熱プレスが発生された後、生地の半透明の色がより不透明になることがある。また、生地はさらなる加工のために、顕著に少ない粘着性になり、より容易に取扱うことができる。
【0054】
でんぷん糊化が所望の水準になるように、生の生地を加熱プレスして、加熱プレス生地シートを形成する、加熱プレス生地シートは、生成された食品が約3%未満の水分含量を有するように調理される。例えば、生地シートは、約2.5%未満の水分含量に調理されることができる。このような食品は、例えば、カリカリするように作ることができ、従って、スナックチップス又はクラッカーとして楽しむのに適し得る。
【0055】
加熱プレス生地シートを調理することは、これに制限されないが、焼成及び揚げることを含む様々な技術の任意のものを使用して行うことができる。加熱プレス生地シートを調理する前に、例えば、周囲温度に冷却することができる。
【0056】
本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、生地シートは(例えば、油揚げることなく)焼成する。焼成は、これに制限されないが、対流式オーブンを含む任意の形態のオーブンで行うことができる。一部の実施形態で、焼成は強制空気対流式オーブンで行われる。加熱プレス生地シートを適切に焼成するために、温度及び時間の長さを調節することができる。特定の実施形態で、オーブンは調節できるファン速度を含んでいてもよい。オーブンの温度は、例えば、約250°F〜約500°F、例えば、約300°F〜約450°F、約300°F〜約500°F、約350°F〜約450°F、約350°F〜約500°F、約300°F〜約400°F、又は約350°F〜約450°Fの範囲であってもよい。焼成時間は、例えば、食品に対する焼成時間及び所望の特性に応じて変化し得る。例えば、焼成時間は、約3%未満の最終水分含量を達成するために、約30秒〜約20、約1分〜約20分、約2分〜約20分、約30秒〜約10分、約30秒〜約5分、約30秒〜約2分、約1分〜約10分、約1分〜約5分、約1分〜約3分又は約60秒〜約180秒の範囲であってもよい。油は焼成した食品に油揚げた特性を提供するために、焼成する前に生地シートの表面上に配置することができる(又は生地自体内に提供することができる)。同様に、焼成した食品は、焼成した後、油スプレーするか、又は油でコーティングすることができ塩及び/又は調味料は、同様に、焼成した食品の表面上に配置してもよい。
【0057】
本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、生地シートは油揚げる。可能なフライ油は、特に、落花生油、植物油、又はキャノーラ油を含むが、これに制限されるものではない。当業者が理解するように、加熱プレス生地を油揚げる温度、油の種類及び時間の長さは所望の結果に応じて調節することができる。油の温度は、例えば、約275°F〜約450°F、例えば、約275°F〜約400°F、約275°F〜約350°F、約300°F〜約450°F、又は約350°F〜約450°Fの範囲であってもよい。加熱プレス生地を油揚げる時間の長さは、例えば、約30秒〜約3分、約30秒〜約2分、又は約30秒〜約60秒の範囲であってもよい。一つの特定実施形態で、トウモロコシマサをベースとする加熱プレス生地シートは、約3%未満の最終水分含量を達成するためにバッチフライヤに、345°Fの温度で30〜60秒間油揚げる。
【0058】
有利には、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、加熱プレスの工程及び得られた糊化は、加熱プレスを使用しない伝統的に油揚げるシート状スナックと比較して、脂肪吸収が約5%〜約25%増加する可能性がある。これは、生地シート厚さの減少及び泡の形成により引き起こされ得る。このように、加熱プレスし、油揚げる粉末ベース食品の典型的な脂肪含量は約20%〜約35%範囲であってもよい。
【0059】
本明細書に記載される本発明の特定の実施形態で、加熱プレス生地シートは焼成し、かつ揚げ、約3%未満、又はさらに約2.5%未満の水分含量を有する食品を提供する。例えば、加熱プレス生地シートは、部分的に焼成(例えば、その水分含量が約3%以上を保持するように)し、次いで、油揚げて、約3%未満又はさらに約2.5%未満の水分含量を有する食品を提供することができる。このような実施形態で、部分的に調理された生地シートは、フライヤに入れる前に冷却してもよく、冷却しなくてもよい。
【0060】
当業者が理解するように、加熱プレス生地シートを調理して食品を提供すれば、さらに味付けするか、当該分野における通常的に処理することができる。例えば、スナックチップス形態の食品は、口あたり及び風味を増加させるために、塩、香辛料及び/又は風味料で、甘く又はセイボリーに、局部的に味づけてもよい。
【0061】
本明細書に記載される粉ベース食品を製造する方法の一つの特定の例は次の工程を含む:
(a)乾燥成分を容器に移して混合する工程;
(b)完全に配合し、生の生地を形成するまで混合しながら湿潤成分を添加する工程;
(c)生地シーター(dough sheeter)を介して前記生の生地を通過させ、所望の厚さを有する生の生地シートを提供する工程;
(d)前記生の生地シートを成形された生地片に切断する工程;
(e)350°F〜400°F間に保持される二つのホットプレート間に前記成形された生地片を配置する工程;
(f)前記ホットプレートを1〜3秒間一体でプレスする工程;
(g)前記加熱プレス生地シートを取り出す工程;
(h)前記加熱プレス生地シートを調理して、約3%未満の水分含量を有する食品を形成する工程。
【0062】
本発明は次の実施例を参照してさらに説明する。
【0063】
以下の組成の生の生地を製造した:
【0064】
【表1】
【0065】
生地を製造するために、全ての乾燥成分はホバート容器に移し、速度1で、パドルで30秒間混合した。トウモロコシ油及び水を混合しながら添加し、次いで、混合を3分間続けた。得られた生地をボール形態に回収し、Rondo可逆生地シーターを複数回通過させ、厚さ1.3〜1.4mmの生地シートを提供する。ピザカッターを使用して生地シートを三角片に切断した。個々の生地シート片を350〜400°Fで保持される手動操作加熱プレス装置のホットプレート間に配置、数秒間プレスした。
【0066】
生地シートの形態の比較は、図1及び図2の顕微鏡写真に示す。図1は、生の生地シートの50倍拡大顕微鏡写真である。図2は、加熱プレスシートの50倍拡大顕微鏡写真である。特に、顕微鏡写真は、トウモロコシマサ、乾燥ポテト及びでんぷんからでんぷんを膨させる増加を示す。理論に拘束されることを意図しないが、本発明者らはまた、タンパク質変性がまた、でんぷん糊化に加えて行われていることに注意する。加熱プレス中にでんぷん及びタンパク質の変形はさらなる加工(例えば、焼成及び/又は油揚げること)中に食感発展に貢献することができる。
【0067】
加熱プレス中に、生地シート片の水分率は、35.97%から31.35%減少した。加熱プレスは、生地片を半透明から若干より不透明な外観へと変わった。加熱プレス生地片は、さらに加工するために有意に低い粘着性となり、取り扱いがより容易になった。
【0068】
得られた加熱プレス生地シート片は325°Fで、対流式オーブンで高いファン速度で2分間焼成し、次いで、周囲温度に完全に冷却した後、バッチフライヤで345°Fで30〜60秒間油揚げ、2.5%未満の水分率を達成した。比較例として、生の生地シート片を前述のように、焼成し、油揚げた。
【0069】
加熱プレスフライスナックは、口中で速く溶けながら、軽くて、空気を多く含み、カリカリした食感を有していた。反面、加熱プレスすることなく作ったフライスナックは、空気を多く含む外観を有しておらず、緻密で硬く、バリバリした食感を有していた。図3〜6は、様々なトウモロコシベーススナックに対する加熱プレス効果を証明する。図3は、本明細書に記載された通りにトウモロコシマサ及びポテト生地を加熱プレスした後、油揚げ作ったトルティーヤチップスの写真である。図4は、本明細書に記載された通りにトウモロコシマサ生地を加熱プレスした後、油揚げ作ったトルティーヤチップスの写真である。これらの油揚げ試料は両方が軽く、空気を多く含み、カリカリした食感を有していた。図5本明細書に記載された通りにトウモロコシマサ生地を加熱プレスした後、焼成して作ったトルティーヤチップスの写真である。このようなチップスは、図3及び図4のフライチップスより空気をより少なく含むが、それにもかかわらず、軽い食感を有していた。図3〜5のチップスは、調味混合物粉付けした。図6は、図4のチップスで用いられたのと同じトウモロコシマサ生地をシート化し、半焼し、油揚げて作った従来のトルティーヤチップスの写真である。加熱プレスすることなく作ったこれらのチップスは空気を多く含む外観を有しておらず、緻密で硬く、バリバリした食感を有し、従って、加熱プレスの利点を証明する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6