【実施例】
【0029】
本発明の外設材の支持部材1は、
図1(a)〜(c)に示す第1実施例のように、下側差込部22を備える差込部材2、上側差込部35を備える基材部(本体3)、
上側押さえ部43を備える押さえ部材4からなり、
図1(c)に示すように、支持基材3の水下側(図面では左手前側)に差込部材2を、水上側(図面では右奥側)に押さえ部材4をそれぞれ締着手段5にて一体化して軒棟方向の基準面として縦桟状の保持材8を配設することができる。
【0030】
前記下側差込部22を備える差込部材2は、
図2(a)〜(c)に示すように既存屋根6を構成する横葺き外装材(以下、単に外装材という)6の水下側接続部60aに差し込まれる下側差込部22と、(下側)被重合部21と、を有する部材である。
前記第1実施例の差込部材2は、略Z字状のピース材であって、
下側差込部22に対して(下側)被重合部21を高く位置させるための段部23が設けられている。
【0031】
前記(下側)被重合部21には、締着手段5として締付ボルト5aとナット5b(5cは座金、5dはワッシャー)を用いたので、締付ボルト5aを挿通させる円孔である孔211が設けられている。
【0032】
前記下
側差込部22の端部(差込先端)には、上方へ延在し、水下側接続部60aの内部空間に位置すると共に該接続部60aを形成する外装材6の成形部62に係止する延設部221が抜け止め部として設けられている。
【0033】
前記基材部が形成される本体3は、屋根面に面で当接する基板部31と、該基板部31の一部を上方への隆起状とした支持面部32と、を有する部材であり、この第1実施例の本体3には、加えて外装材6の水上側接続部60bに差し込まれる上
側差込部35と、(上側)被重合部34とが設けられている。
なお、基板部31の水下端が下側押さえ部である。
【0034】
前記基板部31は、面板状の一部が前記(下側)重合部を兼ねるが、外設材が間接的に取り付けられる部位であり、長さ方向に起立部312,312を対向状に形成し、該起立部312,312間に上方へ隆起する支持面部32が形成され、該支持面部32に形成した角孔321から上方へ起立する取付ボルト8bを固定した。この取付ボルト8bの頭部は隆起状の支持面部32の裏面側に収納され、支持面部32に形成した角孔321から突出(起立)させ、縦桟状の保持材8を受支するための受け金具8Dを締め付け固定する(8cは締付ナット)ものである。
【0035】
前記(上側)被重合部34は、前述のように前記基板部31とは段差37を介して隣接する部位であって、後述する押さえ部材4の(上側)押さえ部の(上側)重合部41と重合状に沿わせて締着手段5によって一体化するものであるから、重合させる(上側)重合部41と同様に平坦状に形成され、配設状態において(上側)重合部41とは面接触状に重合する。
なお、この(上側)被重合部34と(上側)重合部41とを接合するための締着手段5としては、前述の(下側)被重合部21と(下側)重合部31との接合に用いたものと同じ締着手段5を用いたので、この(上側)被重合部34にも締付ボルト5aを挿通させる孔341を設けた。なお、図示した孔341は円孔状であるが、長孔を設けてもよい。
【0036】
前記上
側差込部35は、前記(上側)被重合部34とは段差38を介して隣接する部位であり、その端部(差込先端)には、上方へ延在し、水上側接続部60bの内部空間に位置すると共に該接続部60bを形成する外装材6の成形部62,63に係止する延設部351が抜け止め部として設けられている。
【0037】
前記(上側)押さえ部43を備える押さえ部材4は、前記本体3の(上側)被重合部34に重合する(上側)重合部41と、(上側)押さえ部43を有する部材であって、この(上側)押さえ部43は、水上側に隣接する外装材6を押さえ保持する構成である。
【0038】
前記第1実施例の押さえ部材4には、平坦状の(上側)重合部41の水上側に略鉛直状の段差42を介して水上側へ略水平状に延在する(上側)押さえ部43を設けたので、全体としては略L字状のピース材に形成されている。
前述のように締着手段5としては、前述の(下側)被重合部21と(下側)重合部31との接合に用いたものと同じ締着手段5を用いたので、この(上側)重合部41にも締付ボルト5aを挿通させる孔411を設けた。なお、図示した孔411は円孔状であるが、長孔を設けてもよい。
【0039】
前記構成を有する支持部材1を配設する既存屋根(横葺き屋根60)は、面板部61の水下・水上側に相互に係合可能な水下側成形部62、水上側成形部63を有する横葺き外装材6が段状に敷設された構造であり、図中の符号64は、面板部61と水上側成形部63との間に設けられる段部である。
なお、前記段差37,38にて形成される段状空間は、締着手段5の締付ボルト5aの頭部が配置される空間を形成するものである。
【0040】
また、前記受け金具8Dは、底面の左右の側面が起立する形状であり、この左右の側面間は縦桟状の保持材8の横幅より僅かに広く形成されている。また、その底面の略中央には、取付ボルト8bが貫通する孔が形成され、その左右の側面には楕円状の長孔81,81がそれぞれ形成されている。
そのため、前記支持面部32の裏面側から取付ボルト8bを貫通させて突出させ、該取付ボルト8bに前記受け金具8Dの底面の孔を挿通させ、上方から締付ナット8cにて締め付け、この支持面部32に受け金具8Dを一体的に固定することができる。この状態を
図2(a)に示している。
なお、隆起状の支持面部32を設けることで、
図2(d)に示すようにこの支持面部32の裏面側に取付ボルト8bの頭部を収納することもでき、締着作業を上下方向(鉛直方向)で行うことができ、作業も容易に行うことができる。
【0041】
前記受け金具8Dには、
図1(c)に示す縦桟状の保持材8を取り付ける。この保持材8は、左右の側方及び頂部に長さ方向に亘って溝部83,83,84を有する構成であって、左右の溝部83,83には、それぞれの固定具(ボルト)8g,8gの平行四辺形状の頭部が嵌入可能であって、長さ方向に移動可能に取り付けられている。
【0042】
この受け金具8Dと保持材8との組み付けに際しては、受け金具8Dの所定位置に保持材8を配した状態、詳しくは受け金具8Dの長孔81と保持材8の溝部83の位置を合わせた状態で、表面側の長孔81から溝部83へ固定具8gの平行四辺形状の頭部を挿入し、必要に応じてこの保持材8を長さ方向に位置を調整し、所望の位置にて固定具8gを回転させることで溝部83から抜けない状態となる。そして、この固定具8gの先端に締着具(六角ナット)8hで締め付ければ、
図2(b),(c),(d)に示すように適宜位置に保持材8を固定することができる。
また、この保持材8の頂部に設けた溝部84には、通常のボルトである固定具や締着具を取り付けることにより、図示しない外設材を任意の位置に取り付けることができる。
【0043】
なお、外設材については、保持部材の頂部に取り付け配設するものであって、具体的には示していないが、太陽電池パネルに限らず、緑化パネル(構造)、或いは新設の屋根材(構造)等を適宜に取り付けることができる。
【0044】
この構成の支持部材1を既存屋根(横葺き屋根60)へ取り付けるには、差込部材2と本体3の各孔211,311を連通させて締付ボルト5aを挿通させ、ナット5bを緩く締め付けた状態とすると共に、本体3と押さえ部材4の各孔341,411を連通させて締付ボルト5aを挿通させ、ナット5bを緩く締め付けた状態(3部材が緩く連結した状態)として横葺き屋根60に組み付けた後、適正箇所にて締着するようにしたが、各部材を個々に取り付けるようにしてもよい。
【0045】
図3(a)〜(d)は、前記第1実施例の支持部材1を、異なる別の既存屋根(横葺き屋根)を構成する外装材6a〜6dの形状に応じて適宜に変更(一部変形)したものである。
例えば前記第1実施例では、
図2(c)に示すように横葺き屋根を構成する外装材6の面板部61が、中程で谷状に折曲した形状であり、それに沿うように本体3も、中程で谷状に折曲した形状としたが、これらの
図3(a)〜(d)でも同様とした。即ち
図3(b),(c)では全く同様に外装材6b,cの面板部61b,61cも支持基材3b,3cも谷状に成形し、
図3(a),(d)では外装材6a,dの面板部61a,61dも支持基材3a,3dも平坦状に成形した。
【0046】
図3(a)では、基板部3aと屋根面との間に両面粘着テープ3eを介在させ、この基板部3aを外装材6aの面板部61aに密接状に固定している。
また、
図3(c)では、前記第1実施例の支持部材1と基本構造が等しい支持部材1cを用い、
図3(b),(d)では、その一部を変更した支持部材1b,1dを用いているが、それぞれ外装材6b〜6dの有効幅が短い横葺き屋根に取り付けている。
なお、各例において前記第1実施例と全く同一の部材、部位については、図面に同一符号を付した。また、各屋根面のハゼの高さに応じて、差込部材2b〜2dの段部23b〜23dの高さを調整するようにしたので、各例において、差込部材2b〜2dの(下側)被重合部21b〜21dは本体3の(下側)重合部31と面接触状に重合し、本体(基材部)3b〜3dも屋根材6の面板部61に沿うように接触している。
【0047】
そして、本発明の外設材の支持構造は、各種の外設材を、屋根面に面で当接する基板部31の一部を上方への隆起状とした支持面部32に取り付けるので、屋根面を形成する外装材6の面板部61が荷重を広く受支するため、ハゼ(62,63)の変形を生ずることがなく、それによる雨仕舞い性能の低下も生じることがない。
また、隆起状の支持面部32を設けたので、外設材を配設した状態においても確実に水上側から水下側へ傾斜させて軒棟方向の基準面を構築することができ、しかも該基準面に縦桟状の保持材8を安定に取り付けることができる。
さらに、下側
差込部
を備える差込部材2及び上側
押さえ部
を備える押さえ部材4を、屋根における水下側及び水上側の二箇所の接続部60a,60bにそれぞれ安定に取り付けることができる。
【0048】
また、この第1実施例の支持部材1は、既存屋根6における水下側及び水上側の少なくとも二箇所の接続部60a,60bを取付部位(差込部位)として安定に且つ強固に取り付けるものであって、既存屋根6に「孔」を開けることなく、外装材6の下地の構成に影響を受けることなく、接続部60a,60bに掛かる強度を最小限(分散させて)に取り付けることができる。即ち少なくとも二箇所の締着手段5,5により、既設屋根6の外装材6の面板部61にこの支持部材1の基材部31を面状に当接させて取り付けることができる。
【0049】
さらに、この第1実施例では、差込部材2の
下側差込部22の端部に上方へ延在する延設部221を設け、本体3の
上側差込部35の端部にも上方へ延在する延設部351を設け、これらの延設部221,351をそれぞれ水下側接続部60a、水上側接続部60bに係止させたので、二重の抜け止め作用が果たされ、水下側へズレ落ちることがなく安定に取り付けられる。
【0050】
図4に示す第2実施例の支持部材を構成する本体(基材部)3'は、押さえ部材4'の(上側)重合部41'と重合状に沿わせる(上側)被重合部34'が、基板部31'から上方へ隆出する台状に形成されたものである以外は、前記第1実施例における本体3とほぼ同様であり、符号に「'」を付記し、説明を省略する。
前記(上側)被重合部34'は、前述のように基板部31'から上方へ隆出する台状に形成したので、その水下側に形成される段差37'及び水上側に形成される段差38'は、略垂直状でなく、それぞれ略傾斜面状に形成されている。また、この被重合部34'に形成される孔341'は円孔ではなく各孔に形成されている。
【0051】
図5に示す支持部材1'は、前記構成の本体(基材部)3'に、(下側)被重合部21'の先端に高さ調整用の起立部212を有する差込部材(下側
差込部)2'及び押さえ部材(上側
押さえ部部)4'を取り付けた。その際、差込部材2'の取付けは、前記第1実施例と同様の締着手段(締付ボルト5a及びナット5b)にて行ったが、前記起立部212を設けたので、締着手段5による締着時には、本体3'の(下側)重合部31'に起立部212の上端、(下側)被重合部21'の一部(被重合部21'における起立部212の反対側)が、基材部(本体)3'の裏面と接触して重合可能となっており、使用する屋根材のハゼ高さに応じて起立部212の上端のみが接触する態様と、それに加えて被重合部21'における起立部212の反対側が接触する態様の二つの態様に対応可能なものとなる。また、前記隆出台状の被重合部34'に押さえ部材4'を重合状に取り付けるには、頭部が平坦なボルト5eと締付ナット5bにて行った。
なお、このボルト5eは、前記取付ボルト8bと同様に頭部の厚みが薄いので、該頭部を段状の被固定部34'の裏面側に収納でき、被固定部34'に形成した孔341'から突出(起立)させた部分に、押さえ部材4'の孔411'に挿通させてナット5bにて締め付け固定する。
【0052】
また、前記第1実施例と同様に支持面部32'に受け金具8Eを取付ボルト8b、締付ナット8cにて一体的に取り付けた構成である。
なお、この受け金具8Eは、前記第1実施例における受け金具5Dと僅かに寸法が異なり、両側面部の上端形状が異なるが、基本形状は同一であるから同一符号(但し、符号にを「'」を付記した)を付した。この受け金具8Eの側方の側面部間に縦桟状の保持材8を配設する点でも同様であるが、
図6には、縦桟状の保持材8の側方に位置する溝部83に、固定具(ボルト)8gの平行四辺形状の頭部を嵌入した状態を示しており、締着具(六角ナット)8hを締め付けていない状態を示している。
【0053】
図6(a)〜(d)は、前記第2実施例の支持部材1'を、異なる別の既存屋根(横葺き屋根)を構成する外装材6a'〜6d'の形状に応じて適宜に変更(一部変形)したものである。
なお、この
図6(a)〜(d)における既存屋根(横葺き屋根)は、前記第1実施例を適用した
図3(a)〜(d)における既存屋根(横葺き屋根)と略同一であり、即ち
図6(a)の外装材6a'にて形成される既存屋根は、
図3(a)の外装材6aにて形成される既存屋根と略同一であり、
図6(b)と
図3(b)、
図6(c)と
図3(c)、
図6(d)と
図3(d)のそれぞれの既存屋根は略同一である。また、差込部材2a'〜2d'に起立部212a〜212dを設けたので、締着手段5による締着時に、(下側)被重合部21a'〜21d'の接触状態を変えることで同一部材で異なるハゼ高さへの対応が可能となっている。
【0054】
また、この第2実施例における受け金具8Eと保持材8との組み付けに際しては、前記第1実施例と同様に、受け金具8Eの所定位置に保持材8を配した状態、詳しくは受け金具8Eの長孔82と保持材8の溝部83の位置を合わせた状態で、表面側の長孔82から溝部83へ固定具8gの平行四辺形状の頭部を挿入し、必要に応じてこの保持材8の位置を調整し、所望の位置にて固定具8gを回転させることで固定具8gが溝部83から抜けない状態となる。そして、この固定具8gの先端に締着具(六角ナット)8hで締め付ければ、適宜位置に保持材8を固定することができる。
また、この保持材8の頂部に設けた溝部84には、通常のボルトである固定具や締着具を取り付けることにより、図示しない外設材を任意の位置に取り付けることができる。