特許第6714718号(P6714718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6714718インセル型液晶パネルおよび液晶表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6714718
(24)【登録日】2020年6月9日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】インセル型液晶パネルおよび液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20200615BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20200615BHJP
【FI】
   G02F1/1333
   G02F1/1335 510
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-549279(P2018-549279)
(86)(22)【出願日】2018年3月28日
(86)【国際出願番号】JP2018012770
(87)【国際公開番号】WO2018181477
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年3月18日
(31)【優先権主張番号】特願2017-62232(P2017-62232)
(32)【優先日】2017年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 昌邦
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟士
(72)【発明者】
【氏名】外山 雄祐
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−528447(JP,A)
【文献】 特開2013−253202(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/119664(WO,A1)
【文献】 特開2014−081935(JP,A)
【文献】 特開2009−229521(JP,A)
【文献】 特許第6636596(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0059756(US,A1)
【文献】 特開2014−141647(JP,A)
【文献】 特開2009−242786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335,1/13363,1/1333
G02B 5/30
G06F 3/033−3/039
G06F 3/03,3/041−3/047
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界が存在しない状態でホモジニアス配向した液晶分子を含む液晶層、前記液晶層を両面で挟持する第1透明基板および第2透明基板、並びに、前記第1透明基板と第2透明基板との間にタッチセンサーおよびタッチ駆動の機能に係るタッチセンシング電極部を有するインセル型液晶セルと、
前記インセル型液晶セルの視認側の第1透明基板の側に、導電層を介することなく第1粘着剤層を介して配置された粘着剤層付偏光フィルムを有するインセル型液晶パネルであって、
前記粘着剤層付偏光フィルムが、第1偏光フィルム、アンカー層、第1粘着剤層をこの順で有し、
前記アンカー層は導電ポリマーを含有し、前記第1粘着剤層は帯電防止剤を含有し、
前記粘着剤層付偏光フィルムの前記アンカー層および第1粘着剤層の側面に導通構造を有することを特徴とするインセル型液晶パネル。
【請求項2】
前記帯電防止剤が、アルカリ金属塩及び/または有機カチオン−アニオン塩であることを特徴とする請求項記載のインセル型液晶パネル。
【請求項3】
前記タッチセンシング電極部が、前記液晶層と前記第1透明基板または第2透明基板の間に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のインセル型液晶パネル。
【請求項4】
前記タッチセンシング電極部が、前記液晶層と前記第1透明基板の間に配置されていることを特徴とする請求項記載のインセル型液晶パネル。
【請求項5】
前記タッチセンシング電極部が、前記液晶層と前記第2透明基板の間に配置されていることを特徴とする請求項記載のインセル型液晶パネル。
【請求項6】
前記タッチセンシング電極部が、タッチセンサー電極およびタッチ駆動電極により形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のインセル型液晶パネル。
【請求項7】
前記インセル型液晶セルのタッチセンシング電極部が、タッチセンサー電極およびタッチ駆動電極を一体化形成した電極であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のインセル型液晶パネル。
【請求項8】
前記インセル型液晶セルの第2透明基板の側に、第2粘着剤層を介して配置された第2偏光フィルムを有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のインセル型液晶パネル。
【請求項9】
請求項記載のインセル型液晶パネルを有する液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶セル内部にタッチセンシング機能が取り込まれているインセル型液晶セルおよび当該インセル型液晶セルの視認側に粘着剤層付偏光フィルムを有するインセル型液晶パネルに関する。さらには当該液晶パネルを用いた液晶表示装置に関する。本発明のインセル型液晶パネルを用いたタッチセンシング機能付の液晶表示装置は、モバイル機器等の各種の入力表示装置として用いることができる。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一般的にはその画像形成方式から液晶セルの両側に偏光フィルムが粘着剤層を介して貼り合されている。また、液晶表示装置の表示画面にタッチパネルを搭載するものが実用化されている。タッチパネルとしては、静電容量式、抵抗膜式、光学方式、超音波方式あるいは電磁誘導式等の種々の方式があるが静電容量式が多く採用されるようになってきている。近年では、タッチセンサー部として静電容量センサーを内蔵した、タッチセンシング機能付液晶表示装置が用いられている。
【0003】
一方、液晶表示装置の製造時、前記粘着剤層付偏光フィルムを液晶セルに貼り付ける際には、粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層から離型フィルムを剥離するが、当該離型フィルムの剥離により静電気が発生する。また、液晶セルに貼り付けた偏光フィルムの表面保護フィルムを剥離する際や、カバーウィンドウの表面保護フィルムを剥離する際にも静電気が発生する。このようにして発生した静電気は、液晶表示装置内部の液晶層の配向に影響を与え、不良を招くようになる。静電気の発生は、例えば、偏光フィルムの外面に帯電防止層を形成することにより抑えることができる。
【0004】
一方、タッチセンシング機能付液晶表示装置における静電容量センサーは、その表面に使用者の指が接近したときに、透明電極パターンと指とが形成する微弱な静電容量を検出するものである。上記透明電極パターンと使用者の指との間に、帯電防止層のような導電層を有する場合には、駆動電極とセンサー電極の間の電界が乱れ、センサー電極容量が不安定化してタッチパネル感度が低下して、誤作動の原因となる。タッチセンシング機能付液晶表示装置では、静電気発生を抑制するとともに、静電容量センサーの誤作動を抑えることが求められる。例えば、前記課題に対して、タッチセンシング機能付液晶表示装置において、表示不良や誤作動の発生を低減するため、表面抵抗値が1.0×10〜1.0×1011Ω/□の帯電防止層を有する偏光フィルムを液晶層の視認側に配置することが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−105154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の帯電防止層を有する偏光フィルムによれば、ある程度の静電気発生を抑制することができる。しかし、特許文献1では、帯電防止層の配置箇所が、静電気が発生する根本的な位置よりも離れているため、粘着剤層に帯電防止機能を付与する場合に比べて効果的でない。また、インセル型液晶セルを用いたタッチセンシング機能付液晶表示装置では、偏光フィルムの側面に導通構造を設けることにより、側面からの導通性を付与することができるが、帯電防止層が薄い場合には、側面の導通構造との接触面積が小さいため、十分な導電性が得られず導通不良が起こることが分かった。一方、帯電防止層が厚くなると、タッチセンサー感度が低下することが分かった。
【0007】
一方、帯電防止機能が付与された粘着剤層は、前記偏光フィルムに設けた帯電防止層よりも静電気発生を抑制して、静電気ムラを防止するうえでは有効である。しかし、粘着剤層の帯電防止機能を重要視して、粘着剤層の導電機能を高めるとタッチセンサー感度が低下することが分かった。特に、インセル型液晶セルを用いたタッチセンシング機能付液晶表示装置では、タッチセンサー感度が低下することが分かった。また、導電機能を高めるために粘着剤層に配合された帯電防止剤は、加湿環境下(加湿信頼性試験後)において、偏光フィルムとの界面に偏析したり、または液晶セルの視認側界面に移行したりして、耐久性が十分ではないことが分かった。
【0008】
本発明は、インセル型液晶セルおよびその視認側に適用される粘着剤層付偏光フィルムを有するインセル型液晶パネルであって、帯電防止機能が良好であり、かつ、タッチセンサー感度、加湿環境下での耐久性を満足することができる、インセル型液晶パネルを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は前記インセル型液晶パネルを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記インセル型液晶パネルにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、電界が存在しない状態でホモジニアス配向した液晶分子を含む液晶層、前記液晶層を両面で挟持する第1透明基板および第2透明基板、並びに、前記第1透明基板と第2透明基板との間にタッチセンサーおよびタッチ駆動の機能に係るタッチセンシング電極部を有するインセル型液晶セルと、
前記インセル型液晶セルの視認側の第1透明基板の側に、導電層を介することなく第1粘着剤層を介して配置された粘着剤層付偏光フィルムを有するインセル型液晶パネルであって、
前記粘着剤層付偏光フィルムが、第1偏光フィルム、アンカー層、第1粘着剤層をこの順で有し、
前記アンカー層は導電ポリマーを含有し、前記第1粘着剤層は帯電防止剤を含有することを特徴とするインセル型液晶パネル、に関する。
【0012】
前記インセル型液晶パネルにおいて、前記粘着剤層付偏光フィルムの前記アンカー層および第1粘着剤層の側面に導通構造を有することができる。
【0013】
前記インセル型液晶パネルにおいて、前記アンカー層は、厚さが0.01〜0.5μm、表面抵抗値が1×10〜1×1012Ω/□であり、
前記第1粘着剤層は、厚さが5〜100μm、表面抵抗値が1×10〜1×1012Ω/□であり、かつ、
前記粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層側の表面抵抗値が1×10〜1×1011Ω/□であることが好ましい。
【0014】
前記インセル型液晶パネルにおいて、前記帯電防止剤として、アルカリ金属塩及び/または有機カチオン−アニオン塩を含有することができる。
【0015】
前記インセル型液晶パネルにおいて、前記タッチセンシング電極部は、前記液晶層と前記第1透明基板または第2透明基板の間に配置されているものを用いることができる。前記タッチセンシング電極部は、前記液晶層と前記第1透明基板の間に配置されているものを用いることができ、また、前記液晶層と前記第2透明基板の間に配置されているものを用いることができる。
【0016】
前記インセル型液晶パネルにおいて、前記タッチセンシング電極部は、タッチセンサー電極およびタッチ駆動電極により形成されているものを用いることができる。
【0017】
前記インセル型液晶パネルにおいて、前記タッチセンシング電極部が、前記液晶層と前記第1透明基板または第2透明基板の間に配置されている場合、前記タッチセンシング電極部は、タッチセンサー電極およびタッチ駆動電極を一体化形成した電極を用いることができる。
【0018】
前記インセル型液晶パネルにおいて、前記インセル型液晶セルの第2透明基板の側に、第2粘着剤層を介して配置された第2偏光フィルムを有することができる。
【0019】
また本発明は、前記インセル型液晶パネルを有する液晶表示装置、に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のインセル型液晶パネルにおける視認側の粘着剤層付偏光フィルムは、アンカー層には導電性ポリマー、粘着剤層には帯電防止剤を含有しており帯電防止機能が付与されているため、インセル型液晶パネルにおいてアンカー層と粘着剤層のそれぞれの側面で導通構造を設けた場合には導通構造と接触することができ、かつ接触面積を十分に確保することができる。そのため、アンカー層と粘着剤層のそれぞれの層の側面での導通が確保されて、導通不良による静電気ムラの発生を抑制することができる。
【0021】
また、本発明の粘着剤層付偏光フィルムは、アンカー層と粘着剤層のそれぞれの層の表面抵抗値が所定範囲に制御することで、かつ、前記粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層側の表面抵抗値についても所定範囲になるように制御することができる。このように本発明の粘着剤層付偏光フィルムは、タッチセンサー感度が低下したり、加湿環境下での耐久性が悪くなったりしないように制御しながら、アンカー層と粘着剤層の表面抵抗値を低下させて所定の帯電防止機能を付与することができる。そのため、本発明の粘着剤層付偏光フィルムは、良好な帯電防止機能を有しながら、タッチセンサー感度および加湿環境下での耐久性を満足することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のインセル型液晶パネルの視認側に用いる粘着剤層付偏光フィルムの一例を示す断面図である。
図2】本発明のインセル型液晶パネルの一例を示す断面図である。
図3】本発明のインセル型液晶パネルの一例を示す断面図である。
図4】本発明のインセル型液晶パネルの一例を示す断面図である。
図5】本発明のインセル型液晶パネルの一例を示す断面図である。
図6】本発明のインセル型液晶パネルの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明を、図面を参酌しながら説明する。本発明のインセル型液晶パネルの視認側に用いる粘着剤層付偏光フィルムAは、図1に示すように、第1偏光フィルム1、アンカー層3、第1粘着剤層2をこの順で有する。また、前記第1偏光フィルム1のアンカー層3を設けていない側には表面処理層4を有することができる。図1では、粘着剤層付偏光フィルムAが、表面処理層4を有する場合を例示している。本発明の粘着剤層付偏光フィルムAは、前記粘着剤層2により、例えば、図2乃至図6に示す、インセル型液晶セルBの視認側の透明基板41の側に配置される。なお、図1には記載していないが、本発明の粘着剤層付偏光フィルムAの第1粘着剤層2にはセパレータを設けることができ、表面処理層4(表面処理層4を有しない場合には第1偏光フィルム1)には表面保護フィルムを設けることができる。
【0024】
前記アンカー層3の厚さは、表面抵抗値の安定性及び粘着剤層との密着性の観点から0.01〜0.5μmであるのが好ましく、0.01〜0.2μmであるのが好ましく、さらに0.01〜0.1μmであるのが好ましい。また、前記アンカー層3の表面抵抗値は帯電防止機能とタッチセンサー感度の観点から、1×10〜1×1012Ω/□であるのが好ましく、1×10〜1×1011Ω/□であるのが好ましく、さらに1×10〜1×1010Ω/□であるのが好ましい。
【0025】
前記第1粘着剤層2の厚さは、耐久性確保と側面の導通構造との接触面積確保の観点から5〜100μmであるのが好ましく、5〜50μmであるのが好ましく、さらに10〜35μmであるのが好ましい。また、前記第1粘着剤層2の表面抵抗値は帯電防止機能とタッチセンサー感度の観点から、1×10〜1×1012Ω/□であるのが好ましく、1×10〜1×1011Ω/□であるのが好ましく、さらに1×10〜1×1010Ω/□であるのが好ましい。
【0026】
また、前記粘着剤層付偏光フィルムAにおける粘着剤層2側の表面抵抗値は、帯電防止機能を満足し、かつ、タッチセンサー感度を低下させて、加湿環境下での耐久性を低下させないように、1×10〜1×1011Ω/□に制御されるのが好ましい。前記表面抵抗値は、前記アンカー層3および第1粘着剤層2の表面抵抗値をそれぞれ制御することにより調整することができる。前記表面抵抗値は1×10〜6×1010Ω/□であるのが好ましく、さらには1×10〜4×1010Ω/□であるのが好ましい。
【0027】
以下に、粘着剤層付偏光フィルムAを説明する。上記のように、本発明の粘着剤層付偏光フィルムAは、第1偏光フィルム1、アンカー層3、第1粘着剤層2をこの順で有する。また、表面処理層4を有することができる。
【0028】
<第1偏光フィルム>
第1偏光フィルムは、偏光子の片面または両面に透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に80μm程度以下である。
【0029】
また偏光子としては厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることができる。薄型化の観点から言えば当該厚みは1〜7μmであるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため耐久性に優れ、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点が好ましい。
【0030】
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。
【0031】
前記偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせに用いる接着剤は光学的に透明であれば、特に制限されず水系、溶剤系、ホットメルト系、ラジカル硬化型、カチオン硬化型の各種形態のものが用いられるが、水系接着剤またはラジカル硬化型接着剤が好適である。
【0032】
<帯電防止剤>
帯電防止剤としては、例えば、イオン性界面活性剤系、導電性ポリマー、導電性微粒子等の帯電防止性を付与できる材料が挙げられる。また帯電防止剤としては、イオン性化合物を用いることができる。
【0033】
イオン性界面活性剤としては、カチオン系(例えば、4級アンモニウム塩型、ホスホニウム塩型、スルホニウム塩型等)、アニオン系(カルボン酸型、スルホネート型、サルフェート型、ホスフェート型、ホスファイト型等)、両性イオン系(スルホベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリウムベタイン型等)またはノニオン系(多価アルコール誘導体、β−シクロデキストリン包接化合物、ソルビタン脂肪酸モノエステル・ジエステル、ポリアルキレンオキシド誘導体、アミンオキシド等)の各種界面活性剤が挙げられる。
【0034】
導電性ポリマーとしては、ポリアニリン系、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリキノキサリン系等のポリマーがあげられるが、これらのなかでも、水溶性導電性ポリマーまたは水分散性導電性ポリマーになり易い、ポリアニリン、ポリチオフェン等が好ましく使用される。特にポリチオフェンが好ましい。
【0035】
また導電性微粒子としては、酸化スズ系、酸化アンチモン系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系等の金属酸化物があげられる。これらのなかでも酸化スズ系が好ましい。酸化スズ系のものとしては、たとえば、酸化スズの他、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化スズ、タングステンドープ酸化スズ、酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズの複合体、酸化チタン−酸化スズの複合体等があげられる。微粒子の平均粒径は1〜100nm程度、好ましくは2〜50nmである。
【0036】
さらに前記以外の帯電防止剤として、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、チタンブラックや、カチオン型(4級アンモニウム塩等)、両性イオン型(ベタイン化合物等)、アニオン型(スルホン酸塩等)またはノニオン型(グリセリン等)のイオン導電性基を有する単量体の単独重合体若しくは当該単量体と他の単量体との共重合体、4級アンモニウム塩基を有するアクリレートまたはメタクリレート由来の部位を有する重合体等のイオン導電性を有する重合体;ポリエチレンメタクリレート共重合体等の親水性ポリマーをアクリル系樹脂等にアロイ化させたタイプの永久帯電防止剤を例示できる。
【0037】
≪イオン性化合物≫
また、イオン性化合物としては、アルカリ金属塩及び/または有機カチオン−アニオン塩を好ましく用いることができる。アルカリ金属塩は、アルカリ金属の有機塩および無機塩を用いることができる。なお、本発明でいう、「有機カチオン−アニオン塩」とは、有機塩であって、そのカチオン部が有機物で構成されているものを示し、アニオン部は有機物であっても良いし、無機物であっても良い。「有機カチオン−アニオン塩」は、イオン性液体、イオン性固体とも言われる。
【0038】
<アルカリ金属塩>
アルカリ金属塩のカチオン部を構成するアルカリ金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムの各イオンが挙げられる。これらアルカリ金属イオンのなかでもリチウムイオンが好ましい。
【0039】
アルカリ金属塩のアニオン部は有機物で構成されていてもよく、無機物で構成されていてもよい。有機塩を構成するアニオン部としては、例えば、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、(CFSO、CSO、CCOO、(CFSO)(CFCO)N、(FSON−、S(CFSO、PF、CO2−、や下記一般式(1)乃至(4)、
(1):(C2n+1SO (但し、nは1〜10の整数)、
(2):CF(C2mSO (但し、mは1〜10の整数)、
(3):S(CFSO (但し、lは1〜10の整数)、
(4):(C2p+1SO)N(C2q+1SO)、(但し、p、qは1〜10の整数)、で表わされるもの等が用いられる。特に、フッ素原子を含むアニオン部は、イオン解離性の良いイオン化合物が得られることから好ましく用いられる。無機塩を構成するアニオン部としては、Cl、Br、I、AlCl、AlCl、BF、PF、ClO、NO、AsF、SbF、NbF、TaF、(CN)、等が用いられる。アニオン部としては、(CFSO、(CSO、等の前記一般式(1)で表わされる、(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミドが好ましく、特に(CFSO、で表わされる(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが好ましい。
【0040】
アルカリ金属の有機塩としては、具体的には、酢酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CSON、Li(CFSOC、KOS(CFSOK、LiOS(CFSOK等が挙げられ、これらのうちLiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CSON、Li(CFSOC等が好ましく、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CSON等のフッ素含有リチウムイミド塩がより好ましく、特に(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミドリチウム塩が好ましい。
【0041】
また、アルカリ金属の無機塩としては、過塩素酸リチウム、ヨウ化リチウムが挙げられる。
【0042】
<有機カチオン-アニオン塩>
本発明で用いられる有機カチオン−アニオン塩は、カチオン成分とアニオン成分とから構成されており、前記カチオン成分は有機物からなるものである。カチオン成分として、具体的には、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
【0043】
アニオン成分としては、例えば、Cl、Br、I、AlCl、AlCl、BF、PF、ClO、NO、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、(CFSO、AsF、SbF、NbF、TaF、(CN)、CSO、CCOO、((CFSO)(CFCO)N、(FSON−、S(CFSO、や下記一般式(1)乃至(4)、
(1):(C2n+1SO (但し、nは1〜10の整数)、
(2):CF(C2mSO (但し、mは1〜10の整数)、
(3):S(CFSO (但し、lは1〜10の整数)、
(4):(C2p+1SO)N(C2q+1SO)、(但し、p、qは1〜10の整数)、で表わされるもの等が用いられる。なかでも特に、フッ素原子を含むアニオン成分は、イオン解離性の良いイオン化合物が得られることから好ましく用いられる。
【0044】
また、イオン性化合物としては、前記のアルカリ金属塩、有機カチオン−アニオン塩の他に、塩化アンモニウム、塩化アルミニウム、塩化銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸アンモニウム等の無機塩が挙げられる。これらイオン性化合物は単独でまたは複数を併用することができる。
【0045】
<アンカー層>
アンカー層は、前記のように、厚さが0.01〜0.5μmであり、表面抵抗値が1×10〜1×1012Ω/□になるように形成されているのが好ましい。アンカー層は、各種の帯電防止剤組成物から形成することができる。アンカー層を形成する帯電防止剤としては導電性ポリマーが用いられる。
【0046】
これら帯電防止剤のなかでも導電性ポリマーは光学特性、外観、帯電防止効果および帯電防止効果の熱時、加湿時での安定性という観点から好ましく使用される。特に、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性ポリマーが好ましく使用される。導電性ポリマーは有機溶剤可溶性、水溶性、水分散性のものを適宜使用可能だが、水溶性導電性ポリマーまたは水分散性導電性ポリマーが好ましく使用される。水溶性導電性ポリマーや水分散性導電性ポリマーは帯電防止層を形成する際の塗布液を水溶液または水分散液として調製でき、当該塗布液は非水系の有機溶剤を用いる必要がなく、当該有機溶剤による光学フィルム基材の変質を抑えることができるためである。なお、水溶液または水分散液は、水のほかに水系の溶媒を含有できる。たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類があげられる。
【0047】
また、前記ポリアニリン、ポリチオフェン等の水溶性導電性ポリマーまたは水分散性導電性ポリマーは、分子中に親水性官能基を有することが好ましい。親水性官能基としては、たとえばスルホン基、アミノ基、アミド基、イミノ基、四級アンモニウム塩基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドラジノ基、カルボキシル基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、またはそれらの塩等があげられる。分子内に親水性官能基を有することにより水に溶けやすくなったり、水に微粒子状で分散しやすくなり、前記水溶性導電性ポリマーまたは水分散性導電性ポリマーを容易に調製することができる。
【0048】
水溶性導電ポリマーの市販品の例としては、ポリアニリンスルホン酸(三菱レーヨン社製,ポリスチレン換算による重量平均分子量150000)等があげられる。水分散性導電ポリマーの市販品の例としては、ポリチオフェン系導電性ポリマー(ナガセケムテック社製、商品名,デナトロンシリーズ)等があげられる。
【0049】
またアンカー層の形成材料としては、前記導電性ポリマーとともに、導電性ポリマーの皮膜形成性、光学フィルムへの密着性の向上等を目的に、バインダー成分を添加することもできる。導電性ポリマーが水溶性導電性ポリマーまたは水分散性導電性ポリマーの水系材料の場合には、水溶性もしくは水分散性のバインダー成分を用いる。バインダーの例としては、オキサゾリン基含有ポリマー、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール等があげられる。特にポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。これらバインダーは1種または2種以上を適宜その用途に合わせて用いることができる。
【0050】
導電性ポリマー、バインダーの使用量は、それらの種類にもよるが、得られるアンカー層の表面抵抗値が1×10〜1×1012Ω/□になるように制御するのが好ましい。
【0051】
<第1粘着剤層>
第1粘着剤層は、前記のように、厚さが5〜100μm、表面抵抗値が1×10〜1×1012Ω/□になるように形成するのが好ましい。第1粘着剤層は、各種の粘着剤に帯電防止剤を配合した組成物から形成することができる。
【0052】
第1粘着剤層を形成する粘着剤としては、各種の粘着剤を用いることができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤等が挙げられる。前記粘着剤の種類に応じて粘着性のベースポリマーが選択される。前記粘着剤のなかでも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性等に優れる点から、アクリル系粘着剤が好ましく使用される。
【0053】
前記アクリル系粘着剤は、ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマーを含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有する。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
【0054】
(メタ)アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1〜18のものを例示できる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらアルキル基の平均炭素数は3〜9であるのが好ましい。
【0055】
また、粘着特性、耐久性、位相差の調整、屈折率の調整等の点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートのような芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。
【0056】
前記(メタ)アクリル系ポリマー中には、接着性や耐熱性の改善を目的に、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有する、1種類以上の共重合モノマーを共重合により導入することができる。そのような共重合モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の燐酸基含有モノマー等が挙げられる。
【0057】
また、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリン等のスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミドやN−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミドやN−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー、等も改質目的のモノマー例として挙げられる。
【0058】
さらに改質モノマーとして、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル系モノマー等も使用することができる。さらには、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテル等が挙げられる。
【0059】
さらに、上記以外の共重合可能なモノマーとして、ケイ素原子を含有するシラン系モノマー等が挙げられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0060】
また、共重合モノマーとしては、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物等の(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上有する多官能性モノマーや、ポリエステル、エポキシ、ウレタン等の骨格にモノマー成分と同様の官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上付加したポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等を用いることもできる。
【0061】
(メタ)アクリル系ポリマーは、全構成モノマーの重量比率において、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とし、(メタ)アクリル系ポリマー中の前記共重合モノマーの割合は、特に制限されないが、前記共重合モノマーの割合は、全構成モノマーの重量比率において、0〜20%程度、0.1〜15%程度、さらには0.1〜10%程度であるのが好ましい。
【0062】
これら共重合モノマーの中でも、接着性、耐久性の点から、ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。ヒドロキシル基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーは併用することができる。これら共重合モノマーは、粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合に、架橋剤との反応点になる。ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー等は分子間架橋剤との反応性に富むため、得られる粘着剤層の凝集性や耐熱性の向上のために好ましく用いられる。ヒドロキシル基含有モノマーはリワーク性の点で好ましく、またカルボキシル基含有モノマーは耐久性とリワーク性を両立させる点で好ましい。
【0063】
共重合モノマーとして、ヒドロキシル基含有モノマーを含有する場合、その割合は、0.01〜15重量%が好ましく、0.03〜10重量%がより好ましく、さらには0.05〜7重量%が好ましい。共重合モノマーとして、カルボキシル基含有モノマーを含有する場合、その割合は、0.05〜10重量%が好ましく、0.1〜8重量%がより好ましく、さらには0.2〜6重量%が好ましい。
【0064】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、重量平均分子量が50万〜300万の範囲のものが用いられる。耐久性、特に耐熱性を考慮すれば、重量平均分子量は70万〜270万であるものを用いることが好ましい。さらには80万〜250万であることが好ましい。重量平均分子量が50万よりも小さいと、耐熱性の点で好ましくない。また、重量平均分子量が300万よりも大きくなると、塗工するための粘度に調整するために多量の希釈溶剤が必要となり、コストアップとなることから好ましくない。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
【0065】
このような(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合等の公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等いずれでもよい。
【0066】
第1粘着剤層の形成に用いられる帯電防止剤としては、前記例示のなかでもベースポリマーとの相溶性、粘着剤層の透明性の点から、イオン性化合物が好ましい。特に、(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤を用いる場合には、イオン性化合物を用いることが好ましい。イオン性化合物としては、帯電防止機能の点からイオン性液体が好ましい。
【0067】
前記粘着剤、帯電防止剤の使用量は、それらの種類にもよるが、得られる第1粘着剤層の表面抵抗値が1×10〜1×1012Ω/□になるように制御される。例えば、粘着剤のベースポリマー(例えば、(メタ)アクリル系ポリマー)100重量部に対して、帯電防止剤(例えば、イオン性化合物の場合)0.05〜20重量部の範囲で用いるが好ましい。帯電防止剤を0.05重量部以上で用いることは、帯電防止性能の向上させるうえで好ましい。さらには、帯電防止剤(B)は、0.1重量部以上が好ましく、さらには0.5重量部以上であるのが好ましい。耐久性を満足させる上では、20重量部以下で用いるのが好ましく、さらには10重量部以下で用いるのが好ましい。
【0068】
また第1粘着剤層を形成する粘着剤組成物には、ベースポリマーに応じた架橋剤を含有することができる。ベースポリマーとして、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーを用いる場合には、架橋剤としては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを用いることができる。有機系架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤等が挙げられる。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等が挙げられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等が挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
【0069】
架橋剤の使用量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、3重量部以下が好ましく、さらには0.01〜3重量部が好ましく、さらには0.02〜2重量部が好ましく、さらには0.03〜1重量部が好ましい。
【0070】
また第1粘着剤層を形成する粘着剤組成物には、シランカップリング剤、その他の添加剤を含有することができる。例えば、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのポリエーテル化合物、着色剤、顔料等の粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物等を使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。これら添加剤は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して5重量部以下、さらには3重量部以下、さらには1重量部以下の範囲で用いるのが好ましい。
【0071】
<表面処理層>
表面処理層は、第1偏光フィルムのアンカー層を設けない側に設けることができる。表面処理層は、第1偏光フィルムに用いられる透明保護フィルムに設けることができるほか、別途、透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。前記表面処理層としては、ハードコート層、防眩処理層、反射防止層、スティッキング防止層などを設けることができる。
【0072】
前記表面処理層としては、ハードコート層であることが好ましい。ハードコート層の形成材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱または放射線により硬化する材料を用いることができる。前記材料としては、熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等の放射線硬化性樹脂があげられる。これらのなかでも、紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく硬化樹脂層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。これら硬化型樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系、メラミン系等の各種のものがあげられ、これらのモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。加工速度の早さ、基材への熱のダメージの少なさから、特に放射線硬化型樹脂、特に紫外線硬化型樹脂が好ましい。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えば紫外線重合性の官能基を有するもの、なかでも当該官能基を2個以上、特に3〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマー成分を含むものがあげられる。また、紫外線硬化型樹脂には、光重合開始剤が配合されている。
【0073】
また、前記表面処理層としては、視認性の向上を目的とした防眩処理層や反射防止層を設けることができる。また前記ハードコート層上に、防眩処理層や反射防止層を設けることができる。防眩処理層の構成材料としては特に限定されず、例えば放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。反射防止層としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム等が用いられる。反射防止層は複数層を設けることができる。その他、表面処理層としては、スティッキング防止層等が挙げられる。
【0074】
前記表面処理層には、帯電防止剤を含有させることにより導電性を付与することができる。帯電防止剤としては前記例示のものを用いることができる。
【0075】
<表面保護フィルム>
前記表面処理層(前記第1偏光フィルムが表面処理層を有しない場合に第1偏光フィルムを対象とする,以下同様)に設けることができる表面保護フィルムは、支持フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を有するものを用いることができる。前記表面保護フィルムの粘着剤層には、軽剥離剤、帯電防止剤等を含有することができる。前記表面保護フィルムの粘着剤層が帯電防止剤を含有する場合には、当該表面保護フィルムを、前記表面処理層に貼り合わせて、その後に、剥離することで、帯電防止剤を含有していない表面処理層表面に導電機能を付与することができ、表面処理層に帯電防止剤を含有させることができる。帯電防止剤は前記同様のものを用いることができる。また、前記表面保護フィルムの剥離により、表面処理層表面に導電機能を付与するためには、前記表面保護フィルムの粘着剤層に、帯電防止剤とともに、軽剥離剤を用いることが好ましい。軽剥離剤としては、例えば、ポリオルガノシロキサン等を例示できる。前記表面処理層表面にどの程度の導電機能を付与させるかは、帯電導電剤と軽剥離剤の使用量を適宜に調整して決定される。なお、表面保護フィルムは、後述の第2偏光フィルム表面に設けることもできる。
【0076】
<その他の層>
本発明の粘着剤層付偏光フィルムには、前記の各層の他に、第1偏光フィルムのアンカー層を設ける側の表面に、易接着層を設けたり、コロナ処理、プラズマ処理等の各種易接着処理を施したりすることができる。
【0077】
以下に、インセル型液晶セルB、インセル型液晶パネルCを説明する。
【0078】
(インセル型液晶セルB)
図2乃至図6に示すように、インセル型液晶セルBは、電界が存在しない状態でホモジニアス配向した液晶分子を含む液晶層20、前記液晶層20を両面で挟持する第1透明基板41および第2透明基板42を有する。また前記第1透明基板41と第2透明基板42との間にタッチセンサーおよびタッチ駆動の機能に係るタッチセンシング電極部を有する。
【0079】
前記タッチセンシング電極部は、図2図3図6に示すように、タッチセンサー電極31およびタッチ駆動電極32により形成することができる。ここで言うタッチセンサー電極とは、タッチ検出(受信)電極のことを指す。前記タッチセンサー電極31およびタッチ駆動電極32は、それぞれに独立して各種パターンにより形成することができる。例えば、インセル型液晶セルBを平面とする場合に、それぞれX軸方向、Y軸方向に独立して設けられた形式により、直角に交差するようなパターンで配置することができる。また、図2図3図6では、前記タッチセンサー電極31は、前記タッチ駆動電極32よりも前記第1透明基板41の側(視認側)に配置されているが、前記とは逆に、前記タッチ駆動電極32を、前記タッチセンサー電極31よりも前記第1透明基板41の側(視認側)に配置することもできる。
【0080】
一方、前記タッチセンシング電極部は、図4図5に示すように、タッチセンサー電極およびタッチ駆動電極を一体化形成した電極33を用いることができる。
【0081】
また、前記タッチセンシング電極部は、前記液晶層20と前記第1透明基板41または第2透明基板42の間に配置することができる。図2図4は、前記タッチセンシング電極部が、前記液晶層20と前記第1透明基板41の間(前記液晶層20よりも視認側)に配置されている場合である。図3図5は、前記タッチセンシング電極部が、前記液晶層20と前記第2透明基板42の間(前記液晶層20よりもバックライト側)に配置されている場合である。
【0082】
また、前記タッチセンシング電極部は、図6に示すように、前記液晶層20と第1透明基板41との間にはタッチセンサー電極31を有し、前記液晶層20と第2透明基板42との間にはタッチ駆動電極32を有することができる。
【0083】
なお、前記タッチセンシング電極部における駆動電極(前記タッチ駆動電極32、タッチセンサー電極およびタッチ駆動電極を一体化形成した電極33)は、液晶層20を制御する共通電極を兼ねて用いることができる。
【0084】
インセル型液晶セルBに用いられる液晶層20としては、電界が存在しない状態でホモジニアス配向した液晶分子を含む液晶層が用いられる。液晶層20としては、例えばIPS方式の液晶層が好適に用いられる。その他、液晶層20としては、例えばTN型やSTN型、π型、VA型等の液晶層を任意なタイプのものを用いることができる。前記液晶層20の厚さは、例えば1.5μm〜4μm程度である。
【0085】
上記のように、インセル型液晶セルBは、液晶セル内にタッチセンサーおよびタッチ駆動の機能に係るタッチセンシング電極部を有し、液晶セルの外部にはタッチセンサー電極を有していない。即ち、インセル型液晶セルBの第1透明基板41よりも視認側(インセル型液晶パネルCの第1粘着剤層2より液晶セル側)には導電層(表面抵抗値は1×1013Ω/□以下)は設けられていていない。なお、図2乃至図6に記載のインセル型液晶パネルCでは、各構成の順序を示しているが、インセル型液晶パネルCには適宜に他の構成を有することができる。液晶セル上(第1透明基板41)にはカラーフィルター基板を設けることができる。
【0086】
前記透明基板を形成する材料は、例えば、ガラス又はポリマーフィルムが挙げられる。前記ポリマーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリカーボネート等が挙げられる。前記透明基板がガラスにより形成される場合、その厚みは、例えば0.1mm〜1mm程度である。前記透明基板がポリマーフィルムにより形成される場合、その厚みは、例えば10μm〜200μm程度である。上記透明基板は、その表面に易接着層やハードコート層を有することができる。
【0087】
タッチセンシング電極部を形成する、タッチセンサー電極31(静電容量センサー)、タッチ駆動電極32、またはタッチセンサー電極およびタッチ駆動電極を一体化形成した電極33は、透明導電層として形成される。前記透明導電層の構成材料としては特に限定されず、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、錫、マグネシウム、タングステン等の金属およびこれら金属の合金等が挙げられる。また、前記透明導電層の構成材料としては、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、ジルコニウム、カドミウムの金属酸化物が挙げられ、具体的には酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化カドミウムおよびこれらの混合物等からなる金属酸化物が挙げられる。その他、ヨウ化銅等からなる他の金属化合物等が用いられる。前記金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子の酸化物を含んでいてもよい。例えば、酸化スズを含有する酸化インジウム(ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ等が好ましく用いられ、ITOが特に好ましく用いられる。ITOとしては、酸化インジウム80〜99重量%及び酸化スズ1〜20重量%を含有することが好ましい。
【0088】
前記タッチセンシング電極部に係る電極(タッチセンサー電極31、タッチ駆動電極32、タッチセンサー電極およびタッチ駆動電極を一体化形成した電極33)は、通常は、第1透明基板41および/または第2透明基板42の内側(インセル型液晶セルB内の液晶層20側)に常法により透明電極パターンとして形成することができる。上記透明電極パターンは、通常、透明基板の端部に形成された引き回し線(不図示)に電気的に接続され、上記引き回し線は、コントローラIC(不図示)と接続される。透明電極パターンの形状は、櫛形状の他に、ストライプ形状やひし形形状等、用途に応じて任意の形状を採用することができる。透明電極パターンの高さは、例えば10nm〜100nmであり、幅は0.1mm〜5mmである。
【0089】
(インセル型液晶パネルC)
本発明のインセル型液晶パネルCは、図2乃至6に示すように、インセル型液晶セルBの視認側に粘着剤層付偏光フィルムAを有し、その反対側に第2偏光フィルム11を有することができる。前記粘着剤層付偏光フィルムAは前記インセル型液晶セルBの第1透明基板41の側に、導電層を介することなく前記第1粘着剤層2を介して配置されている。一方、前記インセル型液晶セルBの第2透明基板42の側には、第2偏光フィルム11が第2粘着剤層12を介して配置されている。前記粘着剤層付偏光フィルムAにおける第1偏光フィルム1、第2偏光フィルム11は、液晶層20の両側で、それぞれの偏光子の透過軸(または吸収軸)が直交するように配置される。
【0090】
第2偏光フィルム11としては、第1偏光フィルム1で説明してものを用いることができる。第2偏光フィルム11は第1偏光フィルム1と同じものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
【0091】
第2粘着剤層12の形成には、第1粘着剤層2で説明した粘着剤を用いることができる。第2粘着剤層12の形成に用いる粘着剤としては、第1粘着剤層2と同じものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。第2粘着剤層12の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜100μm程度である。好ましくは、2〜50μm、より好ましくは2〜40μmであり、さらに好ましくは、5〜35μmである。
【0092】
また、インセル型液晶パネルCにおいて、前記粘着剤層付偏光フィルムAの前記アンカー層3および第1粘着剤層2の側面には、導通構造50を設けることができる。導通構造50は前記アンカー層3および第1粘着剤層2の側面の全部に設けられていてもよく、一部に設けられていてもよい。前記導通構造を一部に設ける場合には、側面での導通を確保するため、前記導通構造は前記側面の面積の1面積%以上、好ましくは3面積%以上の割合で設けられているのが好ましい。なお、上記の他に、図2に示すように、第1偏光フィルム1、表面処理層4の側面に導通材料51を設けることができる。
【0093】
前記導通構造50により、前記アンカー層3および第1粘着剤層2の側面から、他の好適な箇所に電位を接続することによって、静電気発生を抑制することができる。導通構造50、51を形成する材料としては、例えば銀、金または他の金属ペースト等の導電性ペーストが挙げられ、その他、導電性接着剤、任意の他の好適な導電材料を用いることができる。導通構造50は、前記アンカー層3および第1粘着剤層2の側面から伸びる線形状で形成することもできる。導通構造51についても同様の線形状で形成することができる。
【0094】
その他、液晶層20の視認側に配置される第1偏光フィルム1、液晶層20の視認側の反対側に配置される第2偏光フィルム11は、それぞれの配置箇所の適性に応じて、他の光学フィルムを積層して用いることができる。前記他の光学フィルムとしては、例えば反射板や反透過板、位相差フィルム(1/2や1/4等の波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルム等の液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものが挙げられる。これらは1層または2層以上用いることができる。
【0095】
(液晶表示装置)
本発明のインセル型液晶パネルCを用いたタッチセンシング機能内蔵液晶表示装置は、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたもの等の液晶表示装置を形成する部材を適宜に用いることができる。
【実施例】
【0096】
以下に、製造例、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃65%RHである。
【0097】
<(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量の測定>
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。Mw/Mnについても、同様に測定した。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL
・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm 計90cm
・カラム温度:40℃
・流量:0.8mL/min
・注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン
【0098】
<偏光フィルムの作成>
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、速度比の異なるロール間において、30℃、0.3%濃度のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3倍まで延伸した。その後、60℃、4%濃度のホウ酸、10%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率が6倍まで延伸した。次いで、30℃、1.5%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に10秒間浸漬することで洗浄した後、50℃で4分間乾燥を行い、厚さ30μmの偏光子を得た。当該偏光子の両面に、けん化処理した厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムをポリビニルアルコール系接着剤により貼り合せて偏光フィルムを作成した。
【0099】
<表面処理層の形成>
紫外線硬化型アクリル系樹脂(大日本インキ化学工業社製,ユニディック17−806)100部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製,イルガキュア184)3部およびトルエン100部を混合したハードコート樹脂組成物(塗工液)を調製した。上記で得られた偏光フィルムの片面に、前記塗工液を、ワイヤーバーにて塗布した後、80℃で1分間加熱乾燥して塗膜を形成した。次いで、塗膜にメタルハライドランプで300mJ/cm2の紫外線を照射して、塗膜を硬化し、膜厚5μmのハードコート層を形成した。
【0100】
(アンカー層の形成材の調製)
固形分で、チオフェン系ポリマーを10〜50重量%含む溶液(商品名:デナトロンP−580W、ナガセケムテックス(株)製)8.6部、オキサゾリン基含有アクリルポリマーを含む溶液(商品名:エポクロスWS−700、(株)日本触媒製)1部、及び、水90.4部を混合し、固形分濃度が0.5重量%のアンカー層形成用塗布液を調製した。得られたアンカー層形成用塗布液は、ポリチオフェン系ポリマーを0.04重量%、オキサゾリン基含有アクリルポリマーを0.25重量%含有していた。
【0101】
(アンカー層の形成)
当該アンカー層形成用塗布液を上記偏光フィルムの片面(ハードコート層を設けていない側)に、乾燥後の厚みが表1に示す厚さになるように塗布し、80℃で2分間乾燥してアンカー層を形成した。得られたアンカー層には、チオフェン系ポリマー、オキサゾリン基含有アクリルポリマーが、それぞれ、8重量%、50重量%含まれていた。
【0102】
(アクリル系ポリマーの調製)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート74.8部、フェノキシエチルアクリレート23部、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)0.5部、アクリル酸0.3部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.4部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、前記モノマー混合物(固形分)100部に対して、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)160万、Mw/Mn=3.7のアクリル系ポリマーの溶液を調製した。
【0103】
(粘着剤組成物の調製)
上記で得られたアクリル系ポリマーの溶液の固形分100部に対して、表1に示す使用量で、イオン性化合物として、三菱マテリアル社製のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムを配合し、さらにイソシアネート架橋剤(三井化学社製のタケネートD160N,トリメチロールプロパンヘキサメチレンジイソシアネート)0.1部、ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製のナイパーBMT)0.3部およびγ−グリシドキシプロピルメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM−403)0.2部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
【0104】
(粘着剤層の形成)
次いで、上記アクリル系粘着剤組成物の溶液を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが表1に示す厚さになるように塗布し、155℃で1分間乾燥を行い、セパレータフィルムの表面に粘着剤層を形成した。当該粘着剤層は、アンカー層を形成された偏光フィルムまたはアンカー層の形成されていない偏光フィルムに転写した。
【0105】
実施例1〜11および比較例1〜4
上記で得られた偏光フィルムの片面(ハードコート層を設けていない側)に、表1に示す組み合わせにより、アンカー層と粘着剤層を順次に形成して、粘着剤層付偏光フィルムを作製した。
【0106】
なお、実施例11では、得られた粘着剤層付偏光フィルムのハードコート層の側に、下記表面保護フィルムを貼り合せた後に、剥離することで、帯電防止層を設けた。
【0107】
<表面保護フィルムの作製>
下記に示す(メタ)アクリル系ポリマー(A)、粘着剤溶液を調製して、当該粘着剤溶液を用いて、下記方法で表面保護フィルムを作製した。
【0108】
〔(メタ)アクリル系ポリマー(A)の調製〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)10部、アクリル酸(AA)0.02部、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.2部、酢酸エチル157部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、(メタ)アクリル系ポリマー(A)溶液(40重量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は54万、ガラス転移温度(Tg)は、−67℃であった。
【0109】
〔粘着剤溶液の調製〕
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)溶液(40%)を酢酸エチルで20%に希釈し、この溶液500部(固形分100部)に、シリコーン成分であるオキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサン(KF-353,信越化学工業社製)を酢酸エチルで10%に希釈した溶液2部(固形分0.2部)、帯電防止剤であるアルカリ金属塩(イオン性化合物)として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(CF3SO22:LiTFSI,東京化成工業社製)を酢酸エチルで1%に希釈した溶液15部(固形分0.15部)、架橋剤として、3官能イソシアネート化合物であるヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製,コロネートHX)1.75重量部(固形分1.75重量部)、2官能イソシアネート化合物である1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(三井化学社製,タケネート600)0.3部(固形分0.3部)、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1%酢酸エチル溶液)2部(固形分0.02部)を加えて、混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液を調製した。
【0110】
〔帯電防止処理フィルムの作製〕
帯電防止剤(ソルベックス社製,マイクロソルバーRMd−142,酸化スズとポリエステル樹脂を主成分とする)10部を、水30部とメタノール70部からなる混合溶媒で希釈することにより帯電防止剤溶液を調製した。
【0111】
得られた帯電防止剤溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:38μm)上にマイヤーバーを用いて塗布し、130℃で1分間乾燥することにより溶剤を除去して帯電防止層(厚さ:0.2μm)を形成し、帯電防止処理フィルムを作製した。
【0112】
〔表面保護フィルム(粘着シート)の作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液を、上記の帯電防止処理フィルムの帯電防止処理面とは反対の面に塗布し、130℃で2分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。次いで、上記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、表面保護フィルムを作製した。
【0113】
なお、比較例1では、アンカー層形成用塗布液に導電性ポリマーを配合しなかった。
比較例2、3では、粘着剤組成物の調製に、イオン性化合物を配合しなかった。
【0114】
比較例4のアンカー層の形成は下記に従って行った。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート100g、光開始剤(イルガキュア184、Ciba Specialty Chemicals社製)10g、メチルアルコール100g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)100gを充分に配合し、均一に混合されるように撹拌器で約1時間撹拌した。次に、製造された撹拌液にAZO分散液40gを徐々に滴下しながら、充分に混合されるように約1時間撹拌し、コーティング液を製造した。その後、製造されたコーティング液をトリアセチルセルロースフィルム上に硬化後の厚さが4μmとなるようにバーコーターを用いてコーティングし、コーティングされたフィルムは、60℃オーブンで2分間乾燥した。次に、乾燥したフィルムに中圧水銀ランプ(UV源、光量:1J/cm)を照射して硬化させることによってアンカー層を形成した。
【0115】
上記実施例および比較例で得られた、粘着剤層付偏光フィルムについて以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0116】
<表面抵抗値(Ω/□):導電性>
アンカー層、粘着剤層、表面処理層について、表面抵抗値を測定した。
アンカー層の表面抵抗値は、粘着剤層を形成する前のアンカー層付の偏光フィルムのアンカー層側表面について測定した。
粘着剤層の表面抵抗値は、セパレータフィルム上に形成した粘着剤層表面について測定した。
表面処理層の表面抵抗値は、粘着剤層付偏光フィルムの表面処理層について測定した。表面処理層の表面抵抗値は、実施例11については、粘着剤層付偏光フィルムに表面保護フィルムを貼り合せた後に、剥離した後に測定した。
また、得られた粘着剤層付偏光フィルムからセパレータフィルムを剥がした後、粘着剤層表面の表面抵抗値を測定した。測定は、三菱化学アナリテック社製MCP−HT450を用いて行った。測定結果は、表1中において他の評価項目が記載されている升目内の最上部に記載した。
【0117】
<ESD試験>
粘着剤層付偏光フィルムからセパレータフィルムを剥がした後、図2または図3に示すように、インセル型液晶セルの視認側に貼り合わせた。次に、貼り合せた偏光フィルムの側面部に5mm幅の銀ペーストをハードコート層、偏光フィルム、アンカー層、粘着剤層の各側面部を覆うように塗布し、外部からのアース電極と接続した。当該液晶表示パネルをバックライト装置上にセットし、視認側の偏光フィルム面に静電気放電銃(Electrostatic discharge Gun)を印加電圧10kVにて発射して、電気により白抜けした部分が消失するまでの時間を測定し、下記の基準で判断した。但し、実施例1では、銀ペーストによる導通構造の形成は行わなかった。
(評価基準)
◎◎:1秒以内。
◎:3秒以内。
〇:3秒を超え〜5秒以内。
△:5秒を超え、20秒以内。
×:20秒を超える。
【0118】
<TSP感度>
インセル型液晶セル内部の透明電極パターン周辺部の引き回し配線(不図示)をコントローラIC(不図示)と接続し、タッチセンシング機能内蔵液晶表示装置を作製した。当該タッチセンシング機能内蔵液晶表示装置の入力表示装置を使用している状態で目視観察を行い、誤作動の有無を確認した。
〇:誤作動なし。
×:誤作動あり。
【0119】
<加湿下のTSP感度>
前記タッチセンシング機能内蔵液晶表示装置を、60℃/90%RHの加湿雰囲気下に120時間投入した後、加湿雰囲気下で前記TSP感度の確認を行った。
【0120】
<加湿耐久性試験>
粘着剤層付偏光フィルムを15インチサイズに切断したものをサンプルとした。当該サンプルを、厚さ0.7mmの無アルカリガラス(コーニング社製,EG−XG)にラミネーターを用いて貼着した。
次いで、50℃、0.5MPaで15分間オートクレーブ処理して、上記サンプルを完全に無アルカリルガラスに密着させた。かかる処理の施されたサンプルに、60℃/90%RHの雰囲気下で500時間処理を施した後、偏光フィルムと無アルカリガラスの間の外観を下記基準で目視にて評価した。
(評価基準)
◎:発泡、剥がれ等の外観上の変化が全くなし。
○:わずかながら端部に剥がれ、または発泡があるが、実用上問題なし。
△:端部に剥がれ、または発泡があるが、特別な用途でなければ、実用上問題なし。
×:端部に著しい剥がれあり、実用上問題あり。
【0121】
【表1】
表1中、Li‐TFSIはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムを示す。
【符号の説明】
【0122】
A 粘着剤層付偏光フィルム
B インセル型液晶セル
C インセル型液晶パネル
1、11 第1、第2偏光フィルム
2、12 第1、第2粘着剤層
3 アンカー層
4 表面処理層
20 液晶層
31 タッチセンサー電極
32 タッチ駆動電極
33 タッチ駆動電極兼センサー電極
41、42 第1、第2透明基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6