特許第6714727号(P6714727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6714727
(24)【登録日】2020年6月9日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】家具駆動システム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/63 20150101AFI20200615BHJP
   E05F 11/22 20060101ALI20200615BHJP
   E05F 1/12 20060101ALI20200615BHJP
【FI】
   E05F15/63
   E05F11/22
   E05F1/12
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-553988(P2018-553988)
(86)(22)【出願日】2017年2月14日
(65)【公表番号】特表2019-513922(P2019-513922A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】AT2017060027
(87)【国際公開番号】WO2017177247
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2018年12月12日
(31)【優先権主張番号】A50337/2016
(32)【優先日】2016年4月15日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ボーレ
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−526225(JP,A)
【文献】 特表2012−526926(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0131884(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−13/04
E05F 15/00−15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具本体(2)に可動に支持された家具部分(3)のための家具駆動システム(4)であって、
機械式の作動ユニット(5)と電気式の駆動ユニット(7)とを含み、
前記機械式の作動ユニット(5)は、
前記可動の家具部分(3)を移動させるための、少なくとも1つの旋回可能に支持された作動アーム(6)と、
前記作動アーム(6)に力を加えるためのばね装置(18)と、
前記ばね装置(18)から前記作動アーム(6)に力を伝達するための、伝達開口(10a)を備えた可動に支持された作動部分(10)と、を備え、
前記電気式の駆動ユニット(7)は、
前記可動の家具部分(3)の移動を電動機式に促進するための電動機(12)と、
前記機械式の作動ユニット(5)に前記電動機(12)のトルクを伝達するための、前記電動機(12)によって駆動可能な連行体(22)と、を備え、前記電気式の駆動ユニット(7)の前記連行体(22)は、前記作動部分(10)の前記伝達開口(10a)内に進入可能であり、
前記電気式の駆動ユニット(7)と前記機械式の作動ユニット(5)とは、互いに別体の構成ユニットとして形成されており、かつ互いに固定可能である、家具駆動システム(4)において、
前記伝達開口(10a)の側部においてそばに、前記連行体(22)のための当接面(25)が配置されており、前記連行体(22)には、前記当接面(25)の方向に蓄力器(23)によって予荷重が加えられており、前記連行体(22)は、該連行体(22)が前記伝達開口(10a)と整合する位置において、前記蓄力器(23)の力によって自動的に前記伝達開口(10a)内に進入することを特徴とする、家具駆動システム(4)。
【請求項2】
前記連行体(22)が前記伝達開口(10a)と整合する位置が、前記作動アーム(6)の移動によって、かつ/または前記電動機(12)の作動によって調節可能である、請求項1記載の家具駆動システム。
【請求項3】
前記当接面(25)は、前記作動部分(10)によって形成されている、請求項1または2記載の家具駆動システム。
【請求項4】
前記作動部分(10)は、少なくとも1つの傾斜部(24,24a)を有しており、該傾斜部(24,24a)によって前記連行体(22)は、前記当接面(25)に対して低い位置を起点として、前記蓄力器(23)の力に抗して前記当接面(25)の方向に上昇可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載の家具駆動システム。
【請求項5】
前記連行体(22)は、前記電気式の駆動ユニット(7)の、可動に支持されていて前記電動機(12)によって駆動可能な伝達エレメント(14)に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の家具駆動システム。
【請求項6】
前記可動に支持された伝達エレメント(14)は、回転軸(15)を中心にして回転可能に支持されている、請求項5記載の家具駆動システム。
【請求項7】
前記可動に支持された伝達エレメント(14)は、少なくとも部分的に、歯列(16)有している、請求項5または6記載の家具駆動システム。
【請求項8】
前記可動に支持された伝達エレメント(14)は、少なくとも部分的に、非円形歯列を有している、請求項7記載の家具駆動システム。
【請求項9】
前記連行体(22)は、少なくとも1つのガイド(26)を介して、前記伝達エレメント(14)に対して相対的に直線的に移動可能に案内されている、請求項5からまでのいずれか1項記載の家具駆動システム。
【請求項10】
前記伝達エレメント(14)は、支持エレメント(17)を有しており、前記蓄力器(23)は、一方で前記支持エレメント(17)と共働し、他方で前記連行体(22)と共働する、請求項5から9までのいずれか1項記載の家具駆動システム。
【請求項11】
前記蓄力器(23)は、少なくとも1つの圧縮ばねを有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の家具駆動システム。
【請求項12】
前記機械式の作動ユニット(5)は、少なくとも1つの支持箇所(28a,28b)を有しており、該支持箇所(28a,28b)に前記電気式の駆動ユニット(7)が懸吊可能であり、前記少なくとも1つの支持箇所(28a,28b)に懸吊された前記電気式の駆動ユニット(7)は、を中心にして、前記機械式の作動ユニット(5)に向かって旋回可能であり、かつロック装置(30)が設けられており、該ロック装置(30)によって、前記機械式の作動ユニット(5)は前記電気式の駆動ユニット(7)と解除可能にロック可能である、請求項1から11までのいずれか1項記載の家具駆動システム。
【請求項13】
前記電気式の駆動ユニット(7)は、取付け状態において水平に延びる軸を中心にして、前記機械式の作動ユニット(5)に向かって旋回可能である、請求項12記載の家具駆動システム。
【請求項14】
前記ロック装置(30)は、少なくとも1つの可動に支持されたロックレバー(30a)と、該ロックレバー(30a)によって可動の少なくとも1つのロックエレメント(31a)とを有しており、該ロックエレメント(31a)は、前記ロックレバー(30a)の操作によって、前記機械式の作動ユニット(5)または前記電気式の駆動ユニット(7)に配置された切欠き(32a)に対して相対的にロック可能である、請求項12または13記載の家具駆動システム。
【請求項15】
前記ロック装置(30)は、少なくとも2つまたはそれ以上のロックエレメント(31a,31b)を有しており、該ロックエレメント(31a,31b)は、前記ロックレバー(30a)に運動連結されて結合されており、これによって、前記ロックエレメント(31a,31b)は、前記ロックレバー(30a)の操作によって互いに一緒に可動であり、かつ対応する切欠き(32a,32b)に対して相対的に同期的にロック可能および/または同期的にロック解除可能である、請求項14記載の家具駆動システム。
【請求項16】
家具本体(2)と、該家具本体(2)に可動に支持された家具部分(3)と、該可動の家具部分(3)を駆動するための、請求項1から15までのいずれか1項記載の家具駆動システム(4)と、を備えた家具(1)。
【請求項17】
可動に支持された家具部分(3)を移動させるための機械式の作動ユニット(5)に、電気式の駆動ユニット(7)を取り付けるための方法であって、前記機械式の作動ユニット(5)は、旋回可能に支持された作動アーム(6)を有しており、該作動アーム(6)の移動が、前記電気式の駆動ユニット(7)の、電動機(12)によって駆動可能な連行体(22)によって電動機式に促進され、前記電気式の駆動ユニット(7)の前記連行体(22)は、前記機械式の作動ユニット(5)の伝達開口(10a)内に進入可能である、方法において、
具本体(2)に前記機械式の作動ユニット(5)を取り付けるステップと、
前記機械式の作動ユニット(5)に前記電気式の駆動ユニット(7)を固定するステップと、
前記機械式の作動ユニット(5)の前記旋回可能に支持された作動アーム(6)を移動させる、かつ/または前記電気式の駆動ユニット(7)の前記電動機(12)を作動させるステップであって、前記連行体(22)には、蓄力器(23)によって、前記機械式の作動ユニット(5)の当接面(25)の方向に予荷重が加えられており、前記連行体(22)は、前記作動アーム(6)の移動によって、かつ/または前記電動機(12)の作動によって、前記当接面(25)に沿って案内可能である、ステップと、
前記作動アーム(6)および/または前記電動機(12)を、前記電気式の駆動ユニット(7)の前記連行体(22)が前記機械式の作動ユニット(5)の前記伝達開口(10a)内に前記蓄力器(23)の力によって自動的に進入するまで、移動させるステップと、
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具本体に可動に支持された家具部分のための家具駆動システムであって、
機械式の作動ユニットと電気式の駆動ユニットとを含み、
機械式の作動ユニットは、
可動の家具部分を移動させるための、少なくとも1つの旋回可能に支持された作動アームと、
作動アームに力を加えるためのばね装置と、
ばね装置から作動アームに力を伝達するための、伝達開口を備えた可動に支持された作動部分と、を備え、
電気式の駆動ユニットは、
可動の家具部分の移動を電動機式に促進するための電動機と、
機械式の作動ユニットに電動機のトルクを伝達するための、電動機によって駆動可能な連行体と、を備え、電気式の駆動ユニットの連行体は、作動部分の伝達開口内に進入可能であり、
電気式の駆動ユニットと機械式の作動ユニットとは、互いに別体の構成ユニットとして形成されており、かつ互いに固定可能である、家具駆動システムに関する。
【0002】
さらに本発明は、機械式の作動ユニットに電気式の駆動ユニットを取り付けるための方法に関する。
【0003】
さらにまた本発明は、家具本体に可動に支持された家具部分と、上記した形式の家具駆動システムと、を備えた家具に関する。
【背景技術】
【0004】
このような家具駆動システムは、国際公開第2008/134786号および国際公開第2010/129979号に基づいて既に公知である。機械式の作動ユニットは、家具フラップを移動させるための、ばね装置によって力が加えられる作動アームを有しており、作動アームの追加的な移動促進のために、選択的に、電気式の駆動ユニットが機械式の作動ユニットのハウジングに結合可能である。機械式の作動ユニットと電気式の駆動ユニットとは、互いに別体の構成ユニットとして形成されているので、電気式の駆動ユニットは、必要な場合に、簡単に交換可能な追加的な駆動モジュールとして設けることができる。電気式の駆動ユニットは、連行ピンを備えた力伝達装置を有しており、この連行ピンは、電動機からもたらされた力を機械式の作動ユニットに伝達し、ひいては開放運動時および/または閉鎖運動時に作動アームの移動を促進する。電気式の駆動ユニットの連行ピンは、取付け位置において、機械式の作動ユニットの対応する伝達開口に係合する。つまり、機械式の作動ユニットと電気式の駆動ユニットとの適正な共働のために、連行ピンと伝達開口とは互いに正確に予備位置決めされねばならず、予備位置決めが行われた後で、電気式の駆動ユニットの取付けが可能である。しかしながら、この正確な予備位置決めには困難が伴うことがある。なぜならば、電気式の駆動ユニットのハウジングは、取付け時に、連行ピンと伝達開口とを共に覆っており、その結果、取付け工の視界が制限されているからである。さらに、誤った取付けが発生することもある。なぜならば、連行ピンがうっかり伝達開口のそばを通過してしまうことがあり、最終的に伝達開口と係合しないからである。もちろん、このような誤った取付けによっては、家具駆動システムの機能は保証されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゆえに、本発明の課題は、冒頭に述べた形式の家具駆動システムを改良して、電気式の駆動ユニットと機械式の作動ユニットとの間での確実な力伝達を可能にする家具駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば請求項1の特徴によって解決される。本発明のさらなる実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0007】
つまり、本発明によれば、伝達開口の側部においてそばに、連行体のための当接面が配置されており、連行体には、当接面の方向に蓄力器によって予荷重が加えられており、連行体は、連行体が伝達開口と整合する位置で、蓄力器の力によって自動的に伝達開口内に進入することが提案される。
【0008】
つまり、第1の取付けステップにおいて、機械式の作動ユニットは家具本体に取り付けられ、さらなる取付けステップにおいて、電気式の駆動ユニットは機械式の作動ユニットに固定される。さらなるステップにおいて、作動アームおよび/または電動機が移動または作動され、これによって、蓄力器によって予荷重が加えられた連行体を、連行体の長手方向軸線が伝達開口の長手方向軸線と整合するまで、当接面に沿って移動可能に案内可能である。最終的に連行体と伝達開口とが互いに整合するように方向付けられると、連行体は、弛緩する蓄力器の力によって伝達開口内に押し込まれ、電気式の駆動ユニットと機械式の作動ユニットとの間に運動連結部が形成される。
【0009】
可動に支持された家具部分を移動させるための機械式の作動ユニットに、電気式の駆動ユニットを取り付けるための本発明に係る方法は、以下のステップ、すなわち、
家具本体に機械式の作動ユニットを取り付けるステップと、
機械式の作動ユニットに電気式の駆動ユニットを固定するステップと、
機械式の作動ユニットの旋回可能に支持された作動アームを移動させる、かつ/または電気式の駆動ユニットの電動機を作動させるステップであって、連行体には、蓄力器によって、機械式の作動ユニットの当接面の方向に予荷重が加えられており、連行体は、作動アームの移動によって、かつ/または電動機の作動によって、当接面に沿って案内可能である、ステップと、
電気式の駆動ユニットの連行体が機械式の作動ユニットの伝達開口内に蓄力器の力によって自動的に進入するまで、作動アームおよび/または電動機を移動させるステップと、
によって特徴付けられる。
【0010】
本発明のさらなる詳細および利点について、図面に示された実施形態を参照しながら述べる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1a】家具駆動システムによって家具本体に対して相対的に可動に支持された可動の家具部分を備えた家具を示す斜視図である。
図1b】家具本体に取り付けられた家具駆動システムを示す図である。
図2】家具駆動システムを示す斜視図である。
図3a】電気式の駆動ユニットのうち、単に伝達エレメントと蓄力器によって力が加えられる連行体とだけが示されている、家具駆動システムを示す斜視図である。
図3b図3aに示された家具駆動システムの一部を拡大して示す詳細図である。
図4a】家具駆動システムを示す斜視図である。
図4b】家具駆動システムにおける連行体を、係止されていない位置で示す詳細図である。
図4c】家具駆動システムにおける連行体を、係止された位置で示す詳細図である。
図5a】閉鎖位置における作動アームを備えた家具駆動システムを示す斜視図である。
図5b】伝達開口内に係止された連行体を拡大して示す詳細図である。
図5c】伝達開口内に係止された連行体を拡大して示す詳細図である。
図5d】伝達開口内に係止された連行体を拡大して示す詳細図である。
図6a】機械式の作動ユニットに電気式の駆動ユニットを取り外し可能に固定するための第1実施形態を示す図である。
図6b】機械式の作動ユニットに電気式の駆動ユニットを取り外し可能に固定するための第1実施形態を示す図である。
図6c】機械式の作動ユニットに電気式の駆動ユニットを取り外し可能に固定するための第1実施形態を示す図である。
図7a】機械式の作動ユニットに電気式の駆動ユニットを取り外し可能に固定するための第2実施形態を示す図である。
図7b】機械式の作動ユニットに電気式の駆動ユニットを取り外し可能に固定するための第2実施形態を示す図である。
図7c】機械式の作動ユニットに電気式の駆動ユニットを取り外し可能に固定するための第2実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1aには、家具本体2を備えた家具1が示されており、家具フラップとして形成された可動の家具部分3は、家具駆動システム4によって、家具本体2に対して相対的に可動に支持されている。家具駆動システム4は、機械式の作動ユニット5を備えており、この作動ユニット5は、ハウジング5aと、家具部分3を移動させるための、ハウジング5aに対して相対的に旋回可能な作動アーム6とを備えている。さらに、家具駆動システム4は、ハウジング7aを備えた電気式の駆動ユニット7を備えており、電気式の駆動ユニット7は、可動の家具部分3の移動を電動機式に促進するように構成されている。機械式の作動ユニット5と電気式の駆動ユニット7とは、互いに別体の構成ユニットとして形成されており、機械式の作動ユニット5のハウジング5aと電気式の駆動ユニット7のハウジング7aとは、好ましくは、ロック装置および/またはねじ結合装置によって互いに固定可能である。両ハウジング5a,7aは、相互の当接のために、それぞれフラットに形成された壁を有しており、これによって、家具駆動システム4の相対的にコンパクトな構造形態が可能になる。
【0013】
図1bには、家具部分3を消去した家具1が示されている。第1の取付けステップにおいて、機械式の作動ユニット5は家具本体2に取り付けられる。機械式の作動ユニット5は、旋回可能に支持された作動アーム6を含んでおり、この作動アーム6には、ばね装置18(図3)によって力を加えることができる。機械式の作動ユニット5は、さらに可動に支持された作動部分10を含んでおり、この作動部分10によって、ばね装置18の力を作動アーム6に伝達可能である。これに加えて、作動アーム6を移動させるための2つのレバー11a,11bが設けられている。電気式の駆動ユニット7のハウジング7aは、機械式の作動ユニット5のハウジング5aに固定可能であり、作動アーム6の移動は、電気式の駆動ユニット7の電動機12(図2)によって促進される。
【0014】
図2には、家具駆動システム4が斜視図で示されており、機械式の作動ユニット5のハウジング5aと電気式の駆動ユニット7のハウジング7aとは、互いに固定されている。機械式の作動ユニット5は、旋回可能に支持された作動部分10と2つのレバー11a,11bとを、作動アーム6を移動させるために有している。これに対して、電気式の駆動ユニット7は、概略的に示された電動機12と、電気式の駆動ユニット7を開ループ制御または閉ループ制御するための開ループ制御装置または閉ループ制御装置13とを有している。電動機12によって、電気式の駆動ユニット7の可動に支持された伝達エレメント14を駆動可能である。この伝達エレメント14は、図示の実施形態では、回転軸15を中心にして回転可能に支持された歯車として形成されており、この歯車は、歯列16、好ましくは非円形歯列を有している。非円形歯列として形成された歯列16によって、可動の家具部分3の両終端位置において(すなわち電動機12がゆっくりと始動する場合に)、特に大きなトルクを得ることができる。蓄力器23(図3)を支持するための、伝達エレメント14に配置された支持エレメント17が認識可能であり、蓄力器23は、機械式の作動ユニット5に力を伝達するための連行体22に予荷重を加えるために設けられている。
【0015】
図3aには、家具駆動システム4が斜視図で示されており、電気式の駆動ユニット7のうち、単に、回転可能に支持された伝達エレメント14と、蓄力器23によって力が加えられる連行体22とだけが示されている。機械式の作動ユニット5は、少なくとも1つの、可動の家具部分3に固定すべき作動アーム6を含んでおり、この作動アーム6には、ばね装置18によって、好ましくは少なくとも1つの圧縮ばねによって、力を加えることができる。ばね装置18の力は、伝達機構を介して作動アーム6に伝達可能である。伝達機構は、図示の図面では、回転軸20を中心にして旋回可能な2腕状のレバー19、押しエレメント21、作動部分10および両レバー11a,11bを含んでいる。電気式の駆動ユニット7の伝達エレメント14は、回転軸15を中心にして旋回可能に支持されていて、かつ歯列16を有している。この伝達エレメント14は、電気式の駆動ユニット7の多段式の減速伝動装置(図示せず)と共働し、これによって電動機12の高回転数が低減されて、大きなトルクを伝達エレメント14に伝達可能である。伝達エレメント14は、多段式の減速伝動装置の最後の段に配置されていて、かつフリーホイールクラッチ(図示せず)によって、両回転方向において、予め設定された制限範囲内で自由回転可能に支持されている。機械式の作動ユニット5の作動部分10へのトルク伝達のために設けられている、電気式の駆動ユニット7の連行体22は、伝達エレメント14に配置されていて、かつ回転軸15に対して平行に延びる方向で伝達エレメント14に、制限された範囲で移動可能に支持されている。好ましくは圧縮ばねとして形成されており、一方では伝達エレメント14の支持エレメント17と共働し他方では連行体22と共働する蓄力器23によって、連行体22には、当接面25に対して垂直に延びる方向に、予荷重が加えられている。当接面25は、図示の実施形態では、作動部分10によって形成されていて、かつ作動部分10の伝達開口10aの側部においてそばに位置しており、連行体22は、トルク伝達部を形成するために作動部分10の伝達開口10a内に進入可能である。機械式の作動ユニット5における電気式の駆動ユニット7の取付けが行われた後で、作動アーム6は手動で移動され、かつ/または電動機12が始動され、これによって連行体22は、連行体22と作動部分10の伝達開口10aとが互いに整合し、かつ連行体22が弛緩する蓄力器23の力によって作動部分10の伝達開口10a内に自動的にスナップ結合するまで、記載された矢印の方向に時計回り方向で移動する。連行体22が、矢印の方向におけるこの旋回運動時に、作動部分10の材料厚に当接しないようにするために、作動部分10には傾斜部24が設けられており、この傾斜部24によって連行体22は、当接面25に対して低い位置を起点として、蓄力器23の力に抗して、当接面25の方向に上昇可能である。図3bには、図3aにおいて円で囲まれた領域が拡大されて示されている。
【0016】
図4aには、家具駆動システム4が斜視図で示されている。連行体22は、作動アーム6の移動によって、かつ/または電動機12の作動によって、機械式の作動ユニット5の伝達開口10aの方向に接近移動している。図4bには、伝達エレメント14に可動に支持された連行体22が、拡大されて詳細に示されており、この連行体22は、蓄力器23の力によって当接面25に接触している。連行体22は、傾斜部24によって当接面25の高さに上昇可能であり、このとき蓄力器23は緊張状態にある。作動アーム6および/または電動機12は、連行体22および伝達開口10aが相対的に互いに整合する位置にあるまで、最終的に連行体22が、図4cに示されているように、弛緩する蓄力器23の力によって遊びなしに伝達開口10a内にスナップ結合するまで、移動され、これによって電気式の駆動ユニット7と機械式の作動ユニット5との間にトルク伝達部を形成することができる。連行体22は、図4cに示されているように、伝達エレメント14の2つの突出部の間で、ガイドピン27が係合するガイド26を介して直線的に移動可能に支持されており、これによって連行体22は、当接面25に対して垂直に延びる方向において制限された範囲で移動可能に支持されている。作動部分10の別の傾斜部24aを介して、連行体22は、伝達エレメント14の逆向きの回転方向においても当接面25の方向に上昇可能である。しかしながら、傾斜部24,24aの配置は、連行体22が、全運動路にわたって当接面25と同一平面の平面に支持可能である場合には、省くことが可能である。
【0017】
図5aには、家具駆動システム4が斜視図で示されており、作動アーム6は閉鎖位置にある(工場からの引渡し状態)。機械式の作動ユニット5における電気式の駆動ユニット7の取付けが行われた後で、作動アーム6は、手動操作によって、かつ/または電動機12の始動によって、開放位置の方向に僅かに移動され、これによって、蓄力器23によって当接面25の方向に予荷重が加えられた連行体22は、図5bに示した位置を起点として、別の傾斜部24aへと乗り上げ、かつこれによって蓄力器23はチャージされる(5c)。連行体22と作動部分10の伝達開口10aとが互いに整合すると、連行体22は、弛緩する蓄力器23の力によって自動的に、作動部分10の伝達開口10a内に形状結合式に係止可能である(図5d)。
【0018】
図示の図面においては、連行体22が進入可能な伝達開口10aを備えた作動部分10が、作動アーム6とは別体の部材として形成されている。しかしながら、作動部分10を作動アーム6と一体に形成することも可能であり、このような構成では伝達開口10aは、作動アーム6自体内にまたは作動アーム6自体に接して形成されている。さらに、伝達開口10aを、機械式の作動ユニット5の別の可動の作動部分において、ばね装置18と作動アーム6との間の力伝達経路に沿って配置することも可能である。連行体22は、非円形横断面を有する軸ピンとして形成されていてよく、この軸ピンは、作動部分10の、軸ピンに対応する伝達開口10aとの、形状結合による回動不能な結合を生じさせる。つまり、連行体22の横断面は、少なくとも部分的に楕円形として、四角形または多角形として、多歯形異形材として、または星形異形材として(例えばトルクス異形材として)形成されていてもよい。
【0019】
図6a〜図6cには、機械式の作動ユニット5に電気式の駆動ユニット7を取り外し可能に固定するための可能な実施形態が示されている。図面を見易くする理由から、機械式の作動ユニット5のハウジング5aから突出する部材(つまり作動部分10、レバー11a,11bおよび作動アーム6)は、図示されていない。第1の取付けステップにおいて、機械式の作動ユニット5が家具本体2に予備取付けされる。機械式の作動ユニット5は、少なくとも1つの支持箇所28a,28bを有している。この支持箇所28a,28bには、電気式の駆動ユニット7が少なくとも1つの固定エレメント29a,29bを介して懸吊可能であり(図6b)、次いで、懸吊された電気式の駆動ユニット7は、例えば取付け状態において水平に延びる軸を中心にして、機械式の作動ユニット5の方向に旋回可能であり、かつ旋回が行われた後で、ロック装置30によって機械式の作動ユニット5とロック可能である(図6c)。ロック装置30は、例えば可動に支持されていてかつばねによって予荷重が加えられる少なくとも1つのロックレバー30a(図7a〜図7c)を有していてよく、このロックレバー30aは、電気式の駆動ユニット7の固定された状態において、機械式の作動ユニット5の対応する切欠きまたは係止縁部と共働する。図示の実施形態では、ロック装置30のロックレバー30aは、電気式の駆動ユニット7に、取付け状態において水平に延びる軸を中心にして旋回可能に支持されており、かつロックされた位置で、機械式の作動ユニット5のハウジング5aの水平に延びる縁部と共働する。次に、図6cに示した取付け状態を起点として、連行体22(図6a)は、作動アーム6の移動によって、かつ/または電動機12の作動によって、蓄力器23の力により自動的に、機械式の作動ユニット5の(ここには示されていない)伝達開口10a内に進入することができ、これによって、電気式の駆動ユニット7と機械式の作動ユニット5の少なくとも1つの作動アーム6との間にトルク伝達部が形成される。
【0020】
図7a〜図7cには、機械式の作動ユニット5に電気式の駆動ユニット7を取り外し可能に固定するための別の実施形態が示されている。図面には、機械式の作動ユニット5のうち単に、ハウジング5aの、家具本体2に固定すべき取付けプレートだけが見える。電気式の駆動ユニット7は、ハウジング5aに懸吊可能な固定エレメント29a,29bを有している(図7a)。このように懸吊された電気式の駆動ユニット7は、次いで、好ましくは水平または鉛直に延びる軸を中心にして、機械式の作動ユニット5の方向に旋回することができる(図7b)。ロック装置30は、少なくとも1つの可動に支持されたロックレバー30aと、少なくとも1つのロックエレメント31a,31bとを有しており、このロックエレメント31a,31bは、ロックレバー30aの操作によって可動、例えば直線的に移動可能である。機械式の作動ユニット5のハウジング5aには、ロックエレメント31a,31bを収容するための切欠き32a,32bが配置されている。ロックレバー30aの操作によって、両ロックエレメント31a,31bは、図示の図面において上方に向かって移動され、ひいては機械式の作動ユニット5の切欠き32a,32bに対して相対的にロックされることができる(図7c)。一実施形態によれば、少なくとも2つまたはそれ以上のロックエレメント31a,31bが、ロックレバー30aに運動連結されて結合されていてよく、このように構成されていると、ロックエレメント31a,31bは、ロックレバー30aの移動によって互いに一緒に移動し、ひいては機械式の作動ユニット5の、ロックエレメント31a,31bに対応する切欠き32a,32bに対して相対的なロックエレメント31a,31bの同期的なロックおよび/または同期的なロック解除が行われる。図示の実施形態では、ロックレバー30aは電気式の駆動ユニット7に配置されており、切欠き32a,32bは機械式の作動ユニット5に配置されている。もちろん逆に、ロックレバー30aが機械式の作動ユニット5に配置されており、切欠き32a,32bが電気式の駆動ユニット7に配置されている配置形態も可能である。ロックレバー30aは、ロック位置において、電気式の駆動ユニット7または機械式の作動ユニット5の外面と面一を成しているか、または場合によっては外面において凹んで配置されていてよい。このように構成されていると、一方ではコンパクトな構造形式を実現することができ、他方では、ロックレバー30aの誤操作、ひいては機械式の作動ユニット5と電気式の駆動ユニット7との間の望まれない離脱を阻止することができる。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c