特許第6714739号(P6714739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6714739ビームスキャニングコリメータを備えたポータブル医療用撮像システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6714739
(24)【登録日】2020年6月9日
(45)【発行日】2020年6月24日
(54)【発明の名称】ビームスキャニングコリメータを備えたポータブル医療用撮像システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20200615BHJP
【FI】
   A61B6/00 310
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2019-12869(P2019-12869)
(22)【出願日】2019年1月29日
(65)【公開番号】特開2019-146959(P2019-146959A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2019年1月29日
(31)【優先権主張番号】15/883,211
(32)【優先日】2018年1月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート スティーヴンス
(72)【発明者】
【氏名】ヒシャム,サレム
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,チェング
【審査官】 右田 純生
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−533151(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0228074(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0146847(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0215827(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0215826(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0028293(US,A1)
【文献】 特表2017−502274(JP,A)
【文献】 特開2008−173233(JP,A)
【文献】 特開2002−263094(JP,A)
【文献】 特開昭63−068139(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/061810(WO,A1)
【文献】 特開2005−080919(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0215821(US,A1)
【文献】 特開2015−104527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00
G21K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動ステーションであって、弧に沿って、前記可動ステーションに対して可動である第一端と第二端とを有するCアームを含む可動ステーションと、
前記可動Cアームの前記第一端に取り付けられた検出器パネルと、
前記検出器パネルに対向し、前記Cアームの前記第二端に取り付けられるX線ビーム送信機であって、前記X線ビーム送信機はX線ビームが前記検出器パネルに向かって送信される窓を形成するコリメータを含み、前記コリメータが、前記弧の方向を横切って横方向に前記窓を移動させるよう構成されるX線ビーム送信機と、
前記コリメータによって前記窓の移動を制御して、前記検出器パネルを横方向に横切る前記X線ビームを導くよう構成されるコントローラと、を備え
支持構造と可動細長ストリップとを備えるフィルタラダーであって、前記支持構造が前記コリメータに接続され、前記可動細長ストリップが前記支持構造に摺動可能に接続され、前記フィルタラダーが、異なるレベルのX線フィルタリングをそれぞれ提供し、前記可動細長ストリップに取り付けられる複数のX線フィルタと、前記X線フィルタから離間した配置において前記可動細長ストリップに取り付けられる光源とをさらに備えるフィルタラダーをさらに備え、前記可動細長ストリップが、前記X線フィルタおよび前記光源のうちの異なる一つを前記窓に順次整列させるよう、前記窓を横切って摺動可能であるよう構成され、前記光源が、前記窓に整列するとき、前記検出器パネルに向かって可視光を投射するよう構成されるポータブル医療用撮像システム。
【請求項2】
前記X線ビーム送信機および前記検出器パネルが前記弧に沿って配置間を繰り返し移動する、複数の撮像スキャンのそれぞれの間で、前記コントローラが、前記撮像スキャンのそれぞれの完了を表示する信号に応答して、前記窓を徐々に移動させるよう、前記コリメータを制御する、請求項1に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項3】
前記コリメータがX線源と前記検出器パネルとの間に位置付けられ、前記コリメータが、
前記窓の対向する側面上にあり、それぞれが、前記横方向に前記窓の対向するエッジを形成するエッジ面を有する第一対のシャッターであって、前記第一対のシャッターがそれぞれ、前記窓の対向するエッジの配置を変更するよう、前記横方向に沿って延在するそれぞれのトラックに沿って摺動可能である第一対のシャッターと、
前記第一対の対向するシャッターのそれぞれ一つを、それらそれぞれのトラックに沿って移動させるよう接続された第一対のモータアセンブリと、を備え、
前記コントローラは、前記第一対のモータアセンブリを制御して、それらそれぞれのトラックに沿って前記第一対のシャッターを位置決めする、請求項1に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項4】
前記X線ビーム送信機および前記検出器パネルが前記弧に沿って離間した位置間を繰り返し移動する、複数の撮像スキャンのそれぞれの間で、前記コントローラが、前記撮像スキャンのそれぞれの完了を表示する信号に応答して、前記第一対のモータアセンブリを制御して、前記第一対のシャッターを、それらそれぞれのトラックに沿って前記横方向に徐々に移動させる、請求項3に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項5】
前記コントローラが、前記撮像スキャンのそれぞれの完了を表示する信号に応答して、前記第一対のモータアセンブリを制御して、前記第一対のシャッターを、それらそれぞれのトラックに沿って前記横方向に同じ距離だけ徐々に移動させ、前記窓の前記対向するエッジ間で一定の距離を維持する、請求項4に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記窓の前記対向するエッジ間の距離に基づいて、前記第一対のモータアセンブリが前記第一対のシャッターを徐々に移動させる増分距離を制御して、前記検出器パネルを横方向に横切る前記X線ビームを徐々にスキャンするよう順次実施される撮像スキャンの数を変更させる、請求項5に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項7】
前記コントローラが、実施されることになる次の撮像スキャンにおいて撮像されることになるターゲット領域における前記X線ビームの散乱レベルを決定し、前記第一対のモータアセンブリを制御して、前記窓の前記対向するエッジ間の前記距離を設定し、決定された前記散乱レベルに基づいて前記第一対のシャッターが移動する前記増分距離を制御する、請求項6に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項8】
前記コントローラが、上限閾値を超えた前記散乱レベルに応答して、前記窓の前記対向するエッジ間の前記距離を減少させ、前記次の撮像スキャンに備えて前記第一対のシャッターが移動する前記増分距離を減少させ、
前記コントローラが、下限閾値を下回る前記散乱レベルに応答して、前記窓の前記対向するエッジ間の前記距離を増加させ、前記次の撮像スキャンに備えて前記第一対のシャッターが移動する前記増分距離を増加させる、請求項7に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項9】
前記X線ビーム送信機および前記検出器パネルが撮像スキャン中、前記弧に沿って離間した位置間を移動し、前記検出器パネルを横方向に横切る前記X線ビームをスキャンする間は、前記コントローラが撮像スキャン中、前記第一対のモータアセンブリを制御して、前記第一対のシャッターを、それらそれぞれのトラックに沿って同一方向に継続して移動させる、請求項3に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項10】
前記コントローラが、前記継続した撮像スキャン中、次に撮像されることになるターゲット領域における前記X線ビームの散乱レベルを決定し、前記第一対のモータアセンブリを制御して、前記窓の前記対向するエッジ間の距離を設定し、決定される前記散乱レベルに基づいて、前記第一対のシャッターの移動速度を制御する、請求項9に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項11】
前記コントローラが、上限閾値を超えた前記散乱レベルに応答して、前記窓の前記対向するエッジ間の前記距離を減少させ、前記第一対のシャッターの移動速度を低下させる、請求項10に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項12】
前記コリメータが、
前記第一対のシャッターに対して90度オフセットされて配向される、前記窓の対向する側面上にある第二対のシャッターであって、前記第二対のシャッターがそれぞれ、弧の前記方向において、前記窓の対向するエッジを形成するエッジ面を有し、前記第二対のシャッターがそれぞれ、前記弧の前記方向に沿って延在するそれぞれのトラックに沿って摺動可能である第二対のシャッターと、
第二対の対向するシャッターのそれぞれ一つを、それらそれぞれのトラックに沿って移動させるよう接続された第二対のモータアセンブリと、をさらに備え、
前記コントローラが前記第二対のモータアセンブリを制御し、前記第二対のシャッターをそれらそれぞれのトラックに沿って位置決めする、請求項3に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項13】
前記Cアームが、前記弧に沿って伸縮することによって長さを変化させて、前記接続された検出器パネルと前記接続されたX線ビーム送信機との間の前記弧に沿った距離を変化させるよう構成される、請求項1に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項14】
離間した位置間における、前記弧に沿った前記X線ビーム送信機および前記検出器パネルの移動による、円筒形容積の撮像スキャンを実施する前に、前記コントローラが、前記Cアームの伸縮移動を制御して、前記弧に沿って前記検出器パネルおよび前記X線ビーム送信機のうちの少なくとも一つを動かし、その間の距離を変化させ、前記撮像スキャン中に撮像される前記円筒形容積を径方向にシフトさせるよう構成される、請求項13に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項15】
前記X線ビーム送信機を前記Cアームの前記第一端に取り付け、レールに沿って前記X線ビーム送信機を移動させるよう構成される並進装置を備え、
離間した位置間における、前記弧に沿った前記X線ビーム送信機および前記検出器パネルの移動による、円筒形容積の撮像スキャンを実施する前に、前記コントローラが、前記並進装置を制御して、前記撮像スキャン中に撮像される前記円筒形容積を径方向にシフトさせる方向に前記X線ビーム送信機を位置決めするよう構成される、請求項14に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項16】
前記光源が、ターゲットとされた対象物上で視覚的に表示する、前記窓を通る光ビームを放出するよう配置され、前記X線ビーム送信機と前記検出器パネルとの間に配置される複数の発光ダイオードを備え、前記X線ビームの照射寸法は前記窓を通って送信可能となる、請求項1に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項17】
前記光源が、ターゲットとされた対象物上で視覚的に表示する、前記窓を通る光ビームを集合的に放出するよう離間され、角度付けられ、前記X線ビーム送信機と前記検出器パネルとの間に配置される、複数のレーザー装置を備え、前記X線ビームの照射寸法は前記窓を通って送信可能となる、請求項1に記載のポータブル医療用撮像システム。
【請求項18】
ポータブル医療用撮像システムのためのコントローラであって、弧に沿って可動である第一端と第二端とを有するCアームを有する可動ステーションと、前記可動Cアームの前記第一端に取り付けられた検出器パネルと、前記検出器パネルに対向し、前記Cアームの前記第二端に取り付けられるX線ビーム送信機であって、前記X線ビーム送信機はX線ビームが前記検出器パネルに向かって送信される窓を形成するコリメータを含み、前記コリメータが、前記弧の方向を横切って横方向に前記窓を移動させるよう構成されるX線ビーム送信機と、を備え、支持構造と可動細長ストリップとを備えるフィルタラダーであって、前記支持構造が前記コリメータに接続され、前記可動細長ストリップが前記支持構造に摺動可能に接続され、前記フィルタラダーが、異なるレベルのX線フィルタリングをそれぞれ提供し、前記可動細長ストリップに取り付けられる複数のX線フィルタと、前記X線フィルタから離間した配置において前記可動細長ストリップに取り付けられる光源とをさらに備えるフィルタラダーをさらに備え、前記可動細長ストリップが、前記X線フィルタおよび前記光源のうちの異なる一つを前記窓に順次整列させるよう、前記窓を横切って摺動可能であるよう構成され、前記光源が、前記窓に整列するとき、前記検出器パネルに向かって可視光を投射するよう構成され、前記コントローラが、
プロセッサと、
メモリであって、前記プロセッサにより実行されて、
前記X線ビーム送信機および前記検出器パネルが前記弧に沿って配置間を繰り返し移動する、複数の撮像スキャンのそれぞれの間で、前記コリメータを制御して、前記撮像スキャンのそれぞれの完了を表示する信号に応答して、前記窓を徐々に移動させることを含む動作を実施するプログラムコードを備えるメモリと、を備えるコントローラ。
【請求項19】
前記コリメータは、X線源と前記検出器パネルとの間に位置付けされ、前記窓の対向する側面上にあり、それぞれが前記横方向に前記窓の対向するエッジを形成するエッジ面を有する第一対のシャッターを含み、前記第一対のシャッターが、前記窓の対向するエッジの配置を変更するよう、前記横方向に沿って延在するそれぞれのトラックに沿ってそれぞれ摺動可能であり、第一対のモータアセンブリがそれらそれぞれのトラックに沿って対向するシャッターの前記第一対のそれぞれ一つを移動させるよう接続され、前記動作が、
前記撮像スキャンのそれぞれの完了を表示する信号に応答して、前記第一対のモータアセンブリを制御して、それらそれぞれのトラックに沿って前記第一対のシャッターを前記横方向に同距離だけ徐々に移動させ、前記窓の前記対向するエッジ間で一定の距離を維持することと、前記窓の前記対向するエッジ間の距離に基づいて、前記第一対のモータアセンブリが前記第一対のシャッターを徐々に移動させる増分距離を制御して、前記検出器パネルを横方向に横切る前記X線ビームを徐々にスキャンするよう順次実施される撮像スキャンの数を変更させることを含む、請求項1に記載のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年2月3日出願の、米国特許第15/014,083号の一部継続出願である、2016年6月13日出願の、米国特許第15/180,126号の一部継続出願であり、そのそれぞれがすべての目的のため、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、医療用撮像システムに関し、さらに特には、撮像システムまたはその構成要素の、制御された動作に関する。
【背景技術】
【0003】
ヘルスケアの慣行により、放射線科の診断ツールとして、コンピュータ断層撮影(CT)撮像といった三次元撮像の多大なる価値が示されてきた。これらの撮像システムは概して、患者が頭または足から入る、固定ボアを含む。手術室、集中治療室、および緊急診療部を含むその他の治療領域は、診断および療法ガイダンスの主要手段として、二次元の撮像(透視撮影装置、超音波、2DモバイルX線)に依存している。
【0004】
「非放射線科」のためのモバイルソリューションおよび患者中心の3D撮像は存在するが、患者を動かすことなくシステムを効果的に位置決めするための、それらの動作の自由が制限されていることが多い。それらの動作の自由が制限されることによって、モバイル三次元撮像システムの許容および使用が妨げられてきた。
【0005】
そのため、手術室、処置室、集中治療ユニット、緊急診察部、および病院のその他の部分、通院外科診療所(ambulatory surgery centers)、診療所、軍事戦場において使用する、如何なる方向または高さでも患者にアクセスし、高品質の三次元画像を生成することができる、小規模および/またはモバイル三次元撮像システムのニーズがある。これらの撮像システムは、術中CT、核磁気共鳴画像法(MRI)スキャナ、およびそれらの使用および動作を支援するロボットシステムを含み得る。これらは、180度の移動能力(「Cアーム」)を有するシステムを含み、また、360度の移動能力(「Oアーム」)を有する撮像システムを含み得る。
【0006】
これらのシステムは、リアルタイム画像が手術室の人員を誘導するよう所望される場合、手術中またはそのたの手技中に非常に有用であり得る。撮像中の一つの問題は、撮像システムの正確な位置決めである。これは、手術室または公開手術室では特に重要であり、撮像機器のサイズおよび重量、必要とされる数多くの人員の存在により、撮像機器を正確に位置決めするのが困難になる。
【発明の概要】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態は、ポータブル医療用撮像システムを対象とする。ポータブル医療用撮像システムは、可動ステーションと、検出器パネルと、X線ビーム送信機と、コントローラとを含む。可動ステーションは、可動ステーションに対して弧に沿って可動である第一端と第二端とを有するCアームを含む。検出器パネルは、可動Cアームの第一端に取り付けられる。X線ビーム送信機は検出器パネルに対向し、Cアームの第二端に取り付けられる。X線ビーム送信機は、X線ビームが検出器パネルに向かって送信される窓を形成するコリメータを含む。コリメータは、弧の方向を横切って横方向に窓を移動させるよう構成される。コントローラは、コリメータによって窓の移動を制御し、検出器パネルを横切って横方向にX線ビームを導くよう構成される。
【0008】
さらにいくつかの実施形態では、コリメータは、X線源と検出器パネルとの間に位置決めされる。コリメータは、窓の対向する側面上にある第一対のシャッターを含み、そのそれぞれが横方向に窓の対向するエッジを形成するエッジ面を有する。第一対のシャッターは、窓の対向するエッジの位置を変えるよう、横方向に沿って延在するそれぞれのトラックに沿ってそれぞれ摺動可能である。第一対のモータアセンブリは、それらそれぞれのトラックに沿って第一対の対向するシャッターのそれぞれ一つを移動させるよう接続される。コントローラは、第一対のモータアセンブリを制御して、それらそれぞれのトラックに沿って第一対のシャッターを位置決めする。
【0009】
一実施形態では、X線ビーム送信機および検出器パネルが弧に沿って離間した位置間を繰り返し移動する、複数の撮像スキャンのそれぞれの間で、コントローラは、撮像スキャンのうちの一つの完了を表示する信号に応答して、第一対のモータアセンブリを制御して、第一対のシャッターをそれらそれぞれのトラックに沿って横方向に徐々に移動させるよう動作し得る。
【0010】
別の実施形態では、X線ビーム送信機および検出器パネルが撮像スキャン中に、弧に沿って離間した位置間を移動し、検出器パネルを横方向に横切るX線ビームをスキャンする間は、コントローラが撮像スキャン中、第一対のモータアセンブリを制御して、第一対のシャッターを、それらそれぞれのトラックに沿って同一方向に継続して移動させる。
【0011】
さらにいくつかの実施形態は、弧に沿った、接続された検出器パネルと接続されたX線ビーム送信機との間の距離を変えるよう、弧に沿って伸縮することによって、長さを変えるよう構成されたCアームを対象とする。弧に沿った離間した位置間のX線ビーム送信機および検出器パネルの移動によって円筒形容積の撮像スキャンを実施する前に、コントローラは、Cアームの伸縮移動を制御して、弧に沿って検出器パネルおよびX線ビーム送信機のうちの少なくとも一つを移動させ、その間の距離を変化させ、撮像スキャン中に撮像される円筒形容積を径方向にシフトさせるよう動作し得る。
【0012】
ポータブル医療用撮像システムは、X線ビーム送信機をCアームの第一端に取付け、レールに沿ってX線ビーム送信機を移動させるよう構成される並進装置を含み得る。弧に沿った離間した位置間のX線ビーム送信機および検出器パネルの移動によって円筒形容積の撮像スキャンを実施する前に、コントローラは、撮像スキャン中に、並進装置を制御して、撮像される円筒形容積を径方向にシフトさせる方向にX線ビーム送信機を位置決めするよう動作し得る。
【0013】
さらにいくつかの実施形態は、支持構造と可動細長ストリップとを有するフィルタラダーを含むポータブル医療用撮像システムを対象とする。支持構造は、コリメータに接続される。可動細長ストリップは、支持構造に摺動可能に接続される。フィルタラダーは、様々なレベルのX線フィルタリングを提供し、可動細長ストリップに取り付けられる、X線フィルタを含む。光源は、X線フィルタから離間した配置において可動細長ストリップに取り付けられる。可動細長ストリップは、X線フィルタと光源のうちの異なる一つを窓と順次整列させるよう、窓を横切って摺動可能であるよう構成される。光源は、窓と整列すると、検出器パネルに向かって目に見える光を投射するよう構成される。
【0014】
本開示のその他いくつかの実施形態は、ポータブル医療用撮像システムを操作するための関連するコントローラを対象とする。
【0015】
本明細書に開示された一実施形態に関して記載された態様が、それに関して具体的に記載されないが、様々な実施形態に取り込まれ得ることを留意する。つまり、すべての実施形態および/または任意の実施形態の特徴は、任意の方法および/または組み合わせにおいて組み合わせられ得る。さらに、実施形態による方法、システム、および/または、コンピュータプログラム製品は、以下の図面および詳細な説明の検討の際に、当業者に対して明らかであるかまたは明らかになるだろう。全てのそのような付加的な方法、システム、および/または、コンピュータプログラム製品は、この説明の中に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の態様は、例として図示されており、添付図面によって限定されない。図面において:
図1図1は、本開示の一実施形態における撮像システムの背面斜視図である。
図2図2は、本開示の一実施形態における撮像コントローラシステム40の略式図である。
図3図3は、図1の撮像システムの正面斜視図である。
図4図4は、ガントリーがX軸を中心に90度回転された、図1の撮像システムの斜視図である。
図5図5は、ケーブル配線配置を部分的に示すガントリーの斜視図である。
図6図6は、ケーブル配線配置を示すガントリーの斜視図である。
図7図7は、ケーブル配線配置を示すガントリーの側面図である。
図8図8は、ガントリーのCアームを伸縮自在に制御するためのモータアセンブリを図示する。
図9図9A〜9Gは、60度単位でのガントリーの360度回転を図示する。
図10図10は、本開示のコントロールシステムおよび全方向車輪(「全方向車輪(omni−wheels)」を備えたポータブル医療用撮像装置の平面図であり、センサの配列の第一例を示す。
図11図11Aおよび11Bは、ポータブルステーションの全方向車輪に電力を印加するための構成を示す。
図12図12A〜12Dは、ポータブル医療用撮像機器において有用なセンサの配列を示す。
図13図13は、本開示における撮像システムにおいて有用な第一全方向車輪(「全方向車輪(omni−wheel)」)の例の斜視図である。
図14図14は、本開示において有用な第二全方向車輪の例の斜視図である。
図15図15は、本開示において有用な第三全方向車輪の例の斜視図である。
図16図16は、本開示において有用な第四全方向車輪の例の立面図である。
図17図17Aおよび17Bは、撮像信号送信機および撮像信号センサが別の並進自由度を有する、別の実施形態を示す。
図18図18Aおよび18Bは、さらに別の自由度を可能にする、さらに別の詳細を示す。
図19図19Aおよび19Bは、本開示のいくつかの実施形態において、広角度X線ビームを生成し得、さらに、X線散乱効果を低減させた画像スライスを提供するよう、検出器パネルを横切ってスキャンされる狭いX線ビームを生成し得るコリメータを有する医療用画像システムの構成要素を示す。
図20図20A図20Dは、本開示のいくつかの実施形態において構成される、X線ビーム送信機のX軸ビームコリメータを示す。
図21図21は、本開示のいくつかの実施形態において構成される、X線ビーム送信機のY軸ビームコリメータを示す。
図22図22は、本開示のいくつかの実施形態における、検出器パネルを横切る狭いX線ビームをスキャンするよう制御されるビームコリメータを使用して生成され得る脳物質の例示的画像を図示する。
図23図23は、本開示のいくつかの実施形態における脳の二つの半画像を図示し、左半分の画像は広角度X線ビームを使用して生成され得、右半分の画像は、検出器パネルを横切る狭いX線ビームをスキャンするビームコリメータを制御することによって生成され得る。
図24図24は、本開示のいくつかの実施形態において、図20A〜Dに示すX軸ビームコリメータおよび/または図21に示すY軸ビームコリメータの少なくとも一つを制御して、検出器パネルを横切る狭いX線ビームをスキャンし、散乱を低減させた画像スライスを提供する、コントロールシステムのブロック図である。
図25図25は、本開示のいくつかの実施形態において、X線ビーム送信機を静的位置に維持しつつ、焦点を中心に検出器パネルを回転させるための動作を示す。
図26図26は、本開示のいくつかの実施形態において、X線ビーム送信機を並進させ、撮像スキャン中に撮像される円筒形容積を径方向にシフトさせるための動作を示す。
図27図27Aおよび27Bは、様々なX線フィルタおよび光源を、図19〜21のコリメータを通して提供される窓に順次整列させ得るフィルタラダーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願の目的のために、「コード」、「ソフトウェア」、「プログラム」、「アプリケーション」、「ソフトウェアコード」、「ソフトウェアモジュール」、「モジュール」、および「ソフトウェアプログラム」という用語は、プロセッサによって実行可能なソフトウェア命令を意味するために互換的に使用される。「使用者」とは、医師、看護師、またはその他の医療専門家とすることができる。
【0018】
ここで図面を参照すると、図1は、本開示の一実施形態における、コンピュータ断層撮影(CT)X線スキャナといった、撮像システム10を示す概略図である。撮像システム10は、可動ステーション60とガントリー56とを含む。可動ステーションは、垂直シャフト59と、垂直シャフトに回転可能に取り付けられるガントリー取付部58とを含む。可動ステーション60は、二つの全方向前輪62と二つの全方向後輪64とを含み、それらは共に、可動ステーション60の、X−Y面における任意の方向への移動を提供する。X−Y水平面は、図1に示す直交座標系のX、Y軸において、垂直軸Zと共に示される。全方向車輪62、64は、例えば、U.KのActive Robots Limited of Somersetより取得され得る。可動ステーション60の筺体に取り付けられる一対のハンドル13は、ユーザが手動でステーションを操作することを可能にする。
【0019】
垂直シャフト59に取り付けられるモータ66は、X軸を中心に全360度、ガントリー取付部58を回転させるよう設計され、モータ67は、モーション制御モジュール51の制御下において、z軸に沿って垂直にガントリー取付部58を動かす。
【0020】
ガントリー56は、ガントリー取付部58に摺動可能に結合される第一Cアーム70と、第一Cアームに摺動可能に結合される第二Cアーム72とを含む。示される実施形態では、第一Cアーム70および第二Cアーム72はそれぞれ、外側Cアームおよび内側Cアームである。示される実施形態では、外側Cアーム70および内側Cアーム72は部分的に円形形状であり、ベッド26に横たわっている患者を移動させる必要なく、その患者の撮像を可能にするよう、中心軸を中心に円周方向に回転する。
【0021】
X線ビーム送信機といった撮像信号送信機74が第二Cアーム72の一方の側面に取り付けられ、X線検出器アレイといった撮像センサ76が第二Cアームの他方の側面に取り付けられ、送信機に対向する。この例では、X線送信機74は、患者(図示なし)の該当部分を通過した後にX線検出器または受信機76によって受信されるX線ビームを送信する。
【0022】
一実施形態では、システム10は、外科手術を考慮に入れて設計された、マルチモダリティX線撮像システムである。撮像モダリティには、透視撮影装置、二次元ラジオグラフィ、および円錐ビームCTを含むがこれらに限らない。透視撮影装置は、X線動画によく似た、モニタ上のX線連続画像を示す医療用撮像技術である。二次元ラジオグラフィは、X線を使用して、人体のような、非一様に構成され、不透明な物体の内部構造を見るための撮像技術である。CアームCTとも称される、CBCT(円錐ビーム3D撮像または円錐ビームコンピュータ断層撮影)はX線コンピュータ断層撮影から成る医療用撮像技術であり、X線が分岐し、円錐を形成する。強力な磁石を使用するため、およびそれらが生み出す磁場を制御するための好適な予防措置があれば、磁気共鳴画像法(MRI)も用いることができる。
【0023】
可動ステーション60は、(1)患者に対して撮像信号送信機74を位置決めするよう、全方向車輪62、64、ガントリー取付部58、およびガントリー56の動作、および、必要に応じてその他の構成要素の動作を制御すること、および、(2)適切な位置決めが一旦達成されたら、患者を撮像するための撮像機能を制御することとの二つの機能を果たす、撮像コントローラシステム40を含む。
【0024】
次に図2を参照すると、本開示の撮像コントローラシステム40は、通信リンク52から情報を受信し、且つ、通信リンク52へ情報を送信するUSB(ユニバーサルシリアルバス)インターフェースといったI/Oインターフェース42を介して通信リンク52に接続される。撮像コントローラシステム40は、RAM(ランダムアクセスメモリ)といったメモリストレージ44と、プロセッサ(CPU)46と、ROMまたはEEPROMといったプログラムストレージ48と、ハードディスクといったデータストレージ50とを含み、それらはすべてバス53を介して互いに共通接続される。プログラムストレージ48は、とりわけ、撮像コントロールモジュール54およびモーションコントロールモジュール51を保存し、それぞれプロセッサ46によって実行されることになるソフトウェアを含む。プロセッサ46によって実行されるモーションコントロールモジュール51は、可動ステーション60の車輪62、64、および、ガントリー取付部58およびガントリー56の様々なモータを制御して、患者の近くにステーション60を位置決めし、患者の該当部分を撮像するためガントリーを適切な位置に位置決めする。モーションコントロールモジュールはまた、以下に説明するように、位置決めのために使用されるさらに別の構成要素を制御してもよい。
【0025】
プロセッサ46によって実行される撮像コントロールモジュール54は、撮像信号送信機74および検出器アレイ76を制御して、患者の身体の画像を処理する。一実施形態では、撮像コントロールモジュールは、身体の様々な平面層を撮像し、メモリ44にそれらを保存する。さらに、撮像コントロールモジュール54は、メモリ44に保存された画像のスタックを処理し、三次元画像を生成することができる。あるいは、保存された画像は、撮像のためのホストシステム(図示なし)に送信され得る。
【0026】
モーションコントロールモジュール51および撮像コントロールモジュール54は、ディスプレイ装置11aおよび11b、キーボード、ボタン12、およびジョイスティック14といった入力装置を介してユーザと相互作用するユーザインタフェースモジュールを含む。ハンドル15に取り付けられるストレインゲージ13は、以下にさらに詳細が記述されるように、I/O装置42に結合され、好都合には、ユーザが手でハンドル15を保持している間は、可動ステーション12の任意の方向(X、Y、首振り)への移動をもたらす。ユーザインタフェースモジュールは、ユーザがガントリー56を位置決めするのを支援する。プログラムストレージ48のソフトウェアプログラムモジュールおよびデータストレージ50からのデータのいずれかが、必要に応じてメモリ44に転送され得、CPU46によって実行される。ディスプレイ装置11aは、ガントリー取付部58近くで可動ステーション60の筺体に取り付けられ、ディスプレイ装置11bは、三つの回転可能ディスプレイアーム16、18、20を通って可動ステーションに結合される。第一ディスプレイアーム16は、可動ステーション60に回転可能に取り付けられ、第二ディスプレイアーム18は、第一アーム16に回転可能に取り付けられ、第三ディスプレイアーム20は、第二ディスプレイアームに回転可能に取り付けられる。ディスプレイ装置11a、11bは、モジュール51および54におけるユーザインタフェースモジュールの使用を介して、入力装置としても機能するタッチスクリーンを有し、ユーザに最大限の柔軟性を提供し得る。
【0027】
ガントリー取付部58上に配置された誘導マーカ68は、リンク52を通って撮像コントローラシステム40に接続される。モーションコントロールモジュール51の制御下において、マーカ68は、誘導システム(図示なし)を介して患者のベッドまたは(手術室の)台に対してガントリー56を自動または半自動で位置決めすることを可能にする。マーカ68は、光学式、電磁式、等であってもよい。それらはまた、例えば患者のベッド上、またはそうでなければ、一つ以上の画像が患者から、または撮像されることになるその他の対象物から撮影されるとき、マーカ(複数含)を撮影された画像において見ることができ、連続している画像を配向するのに使用され得るように、便利且つ有用な場所に配置され得る。マーカはまた、一つ以上の画像が撮影される場合、複数の画像を融合するかまたは調整するのに貢献し得る。
【0028】
ガントリー56またはシステム10を正確な配置へ命令するための情報が誘導システムによって提供され得る。一例では、外科医は、撮像システム10の所望の配向で誘導されたプローブを保持し、特定の軌道に沿って透視画像または放射線画像を取得する。有利なことに、これによってスカウトショットの必要性が取り除かれることになり、よって、患者および手術室(OR)スタッフへのX線照射を低減させる。ガントリー56上の誘導マーカ68はまた、システム10によって取得される2Dまたは3D画像の自動登録を可能にすることになる。マーカ68はまた、患者が動いた場合、システム10の正確な再位置決めを可能にすることになる。マーカは、放射線不透過性であるか、または、撮像専門家またはその他の医療専門家にとって調整および誘導を容易にする、その他の材料から成ってもよい。誘導プローブまたはマーカは、例えば、画像取得されることになる対象のちかく、またはその上といった所望の通り配置されてもよく、マーカは撮像またはその判読を妨げない。
【0029】
示される実施形態では、システム10は、下述の6自由度(「DOF」)において、広範囲のモーションを提供する。モーションコントロールモジュール51の制御下では、可動ステーション60の位置決めと、ガントリー56の位置決めといった、モーションの二つの主要なモードがある。その他の位置決めモードが説明され、また、含まれ得る。
【0030】
可動ステーション60の位置決めは、四つの全方向車輪62、64を介して達成される。これらの車輪62、64は、可動ステーション60が水平面(X、Y、首振り)について全ての三つのDOFにおいて位置決めされるのを可能にする。「首振り」は、垂直軸(Z軸)を中心としたシステム10の回転であり、「X」は、X軸に沿って前後に位置決めするシステムであり、「Y」は、システム10の、Y軸に沿った横方向モーションである。コントロールモジュール51の制御下では、システム10は、モーションの制限のない範囲で、X、Y、および首振り(全方向車輪62、64の使用によって任意のZ軸を中心とした首振り)の任意の組み合わせで位置決めされ得る。特に、全方向車輪62、64は、狭い空間や狭い廊下での位置決め、または、OR台または患者のベッドの長さ方向に正確に、上下に横断することを可能にする。
【0031】
ガントリー56の位置決めは、(Z、傾斜(Tilt)、ロータ(Rotor))を中心に達成される。「Z」はガントリー56の垂直な位置決めであり、「傾斜」は、上述の通り、X軸に平行な水平軸を中心とした回転であり、「ロータ」は、上述の通り、Y軸に平行な水平軸を中心とした回転である。
【0032】
可動ステーション60の位置決めとガントリー56の位置決めと共に、システム10は、6DOF(X、Y、首振り、Z、傾斜、およびロータ)におけるモーションの範囲を提供して、可動ステーション60と、撮像送信機74およびセンサ76を必要な場所に正確に配置する。有利なことに、3D撮像は、患者が立っているか、座っているか、またはベッドに横たわっているかどうかに関わらず、および患者を動かす必要なく、実施され得る。
【0033】
システム10の正確な位置は、ストレージメモリ50に保存され、モーションコントロールモジュール51によっていつでも呼び出され得る。これは、ガントリー56の位置決めに限らず、下述のように、全方向車輪62、64とモーションのその他の軸によってシステム10の位置決めすることも含む。
【0034】
図3に示すように、各ガントリー取付部58、外側Cアーム70、内側Cアーム72はそれぞれ、互いに向かい合う一対の側面フレーム86、88、90を有する。一様に離間した複数のローラ84は、ガントリー取付部58の側面フレーム86の内側面に取り付けられる。外側Cアーム70は、側面フレーム88の外側面に一対のガイドレール78を有する。ローラ84は、ガイドレール78に結合される。示すように、ローラ84およびガイドレール78は、ガントリー取付部に対してCアームの中心軸を中心にCアームが少なくとも180度回転可能となるように、外側Cアーム70がガントリー取付部58に沿って伸縮自在に摺動するのを可能にするよう設計される。
【0035】
一様に離間した複数のローラ80は、外側Cアーム70の側面フレーム88の内側面に取り付けられる。内側Cアーム70は、側面フレーム90の外側面上に一対のガイドレール82を有する。ローラ80は、ガイドレール82に結合される。示すように、ローラ80およびガイドレール82は、外側Cアームに対してCアームの中心軸を中心にCアームが少なくとも180度回転可能となるように、内側Cアーム72が外側Cアーム70に沿って伸縮自在に摺動するのを可能にするよう設計される。
【0036】
よって、本明細書に開示される本開示は、有利なことに、ガントリー56がその中心軸を中心に全360度回転するのを可能にし、撮像システム10を位置決めする際、患者への妨害を最小限にして、最大限の柔軟性を提供する。
【0037】
本開示の別の態様では、撮像システム10をより小型化し、視覚により訴えるよう、固有のケーブル配線配置が提供される。図5および6に示すように、ケーブルキャリア/ハーネス92は、撮像コントローラシステム40と、様々なモータ、X線送信機74、撮像センサまたは検出器76およびガントリー56における様々な電気回路との間で信号を運搬する電気ケーブルを含む。第一ケーブルルータ94は外側Cアーム70の外側表面に取り付けられ、第二ケーブルルータ96は、内側Cアーム72の外側表面に取り付けられる。各ケーブルルータ94、96は、ケーブルキャリア92が通過する貫通穴95、97を有する。
【0038】
ケーブルキャリア92は、第一Cアーム70の外側表面の上のガントリー取付部56から、第一ケーブルルータ94の貫通穴95を通り、第二Cアーム72の外側表面を超えて延在する。第一Cアーム70に重なるケーブルキャリア92は、第一円周方向(示すように、時計周り)98に延在し、第一円周方向とは反対の、第二円周方向(示すように、反時計周り)99に第一ケーブルルータ94に入り、第一Cアームの外側表面の上に180度サービスループを作出する。
【0039】
そこから、ケーブルキャリア92は、第一円周方向98に延在し、第二円周方向99に第二ケーブルルータに入り、第二Cアーム72の外側表面の上に別のサービスループを作出する。
【0040】
第一ケーブルルータ94および第二ケーブルルータ96がサービスループと組み合わせられた特定の配置によって、ケーブルキャリアが絡まったり、またはケーブルキャリアで応力を引き起こすことなく、ケーブルキャリア92のスラックがガントリー56の全360度回転をもたらすのを可能にする。示される実施形態では、ルータはCアームの中間点近くに取り付けられる。
【0041】
図8は、ガントリー取付部58に対して外側Cアーム70を伸縮自在に回転させること、および、内側Cアーム72を外側Cアームに対して回転させることに有用なモータアセンブリ100の一実施形態を図示する。各モータアセンブリ100は、エンコーダフィードバック付きのサーボモータ102と、回転比を変えるギアボックス104と、ドライブ滑車106と、遊び滑車108と、ドライブ滑車と遊び滑車との間に螺合されるベルト110とを含む。一つのモータアセンブリ100は、ガントリー取付部に対して外側Cアーム70を移動させるようガントリー取付部に取り付けられ、別のモータアセンブリは、外側Cアームに対して内側Cアーム70を移動させるよう、アームの中心部近くで外側Cアーム70に取り付けられる。
【0042】
図9A〜9Gは、60度単位での反時計周り方向のガントリー56の360度回転を図示し、図9Aは、撮像センサ76および送信機74のゼロ度位置を表す。図9Bは、ガントリー56の60度回転/位置を表す。ガントリー56の各60度回転については、モータアセンブリ100は、モーションコントロールモジュール51の制御下において、反時計周りに30度内側Cアーム72を回転させ、また、あわせて60度回転となるように、反時計周りに30度外側Cアーム70を回転させる。図9Gは、ガントリー56の全360度回転を表わす。見られるように、外側Cアーム70および内側Cアーム72は、図9Aの元のゼロ度位置から180度それぞれ移動する。図9Dおよび9Gの送信機74およびセンサ76は、図1および9Aのそれらの位置と逆であることを留意する。これは、例えば、一つの特定の側面に送信機を有するか、または、一つの特定の側面にセンサを有することに利点がある場合に有利となり得る。これらの配向は、本開示で可能且つ安易となる。
【0043】
詳細に上述したように、様々な実施形態の本開示は、以下の利益を提供する。(1)全方向車輪62、64を使用して任意のZ軸を中心とした首振り回転と共に、任意のX−Y方向へのシステムの移動、(2)全360度撮像ビーム回転のためのCガントリーの二重伸縮、(3)スタンディングCBCTといった、ベッドで横たわっている、座っている、または立っている間の撮像、(4)システム10およびガントリー56位置の保存および呼び出し、(5)準同時複数平面X線撮像、(6)ロボットまたは誘導座標を介した位置の呼び出し。
【0044】
ポータブル医療用撮像システムのためのコントロールシステムは、図2おいて上述された。ポータブル医療用撮像システムのセンサ制御動作のためのコントロールシステムは、図2および図10を参照してここでさらに説明される。撮像コントローラシステム40は、モーションコントロール部分51および撮像コントロール部分54の両方を含む。入力装置は、ファンクションキー12を有するキーボードと、ハンドル13と、ジョイスティック14とを含み得る。これらの入力装置のいずれかが、モーションコントロール部分51と撮像コントロール部分54のいずれか、または両方を制御し得る。モーションコントロールモードと撮像コントロールモードとの間の切り換えは、ファンクションキー、ディスプレイ装置のうちの一つからのタッチスクリーン命令、またはその他の所望の方法によって達成され得る。ポータブル医療用撮像システムはまた、モーションコントロール部分51または入力/出力42の一部として、通信リンク52を介して患者または撮像システムの位置に関する情報を通信するのに有用であり得る、スマートフォンまたは携帯電話リンクまたはグローバルポジショニングシステム(GPS)を含み得る。
【0045】
図10のコントロールシステム120は、ポータブル撮像コントロールシステム10の平面図として示され、撮像システム10および第一Cアーム70の頂面図を示す。全方向車輪62、64は、左右の全方向前輪部分62と、同じく左右の全方向後輪部分64とに分けられる。図10はまた、システムのモーションの全方向車輪の3自由度のための三軸を示す。図に示されるように、これらは、Y軸に沿って左右に移動する自由と、X軸に沿って前後に動く自由と、xおよびy軸によって形成される平面に垂直である首振り回転軸、すなわち垂直軸に沿った回転の自由とを含む。よって、図10の首振り垂直軸は、図面の平面に垂直である。垂直回転軸は、回転の物理的軸が必要とされないため、撮像システムに対して所望の通り配置され得る。例えば、首振り回転軸がシャフト59の垂直軸またはジョイスティック14の垂直軸に一致するように、プログラムストレージ48をプログラムすることができる。好都合な代替配置は、可動ステーション60の幾何学中心(図1参照)または可動ステーションの頂部の角部であり得る。軸の任意の好都合且つ有用な配置が成され得る。
【0046】
図10はまた、本開示において使用されるセンサの説明のため、有用な参照を提供し得る。左センサ101、105は左ハンドル17上に取り付けられ、右センサ103および107は、右ハンドル19上に取り付けられる。第一実施形態は、示すように、これら四つのセンサ101、103、105、107を含み得る。ポータブル撮像装置10を操作するヘルスケア専門家といった人が、ハンドル17、19およびモーションコントロール部分51を使用することによって装置を位置決めしてもよい。一実施形態では、モーションコントロールは、搬送モード(transport mode)と微調整モード(fine−tune mode)の二つのモードを有し得る。例えば、ポータブル医療用撮像装置10が病院またはその他のヘルスケア施設の一ウィングから搬送される場合は、微調整された位置決めよりも、スピードがより高く評価される場合がある。よって、撮像システム10の後部分ハンドル17、19を押すことによって搬送モードを作動させ得る。二つのハンドル17、19のいずれかを押すことによって微調整モードを作動させ得、その微調整モードでは、全方向車輪62、64のすべての動作はより遅く、より意図的である。これらのモード間の切り換えはまた、ユーザがファンクションキー、命令、タッチスクリーン入力、等を介して切り換えるのを可能にする適切なプログラミングによって達成され得る。
【0047】
微調整モードでは、モーションコントロール51は、例えば、所定の位置にスナップ(snap)するといった、撮像装置10を設定位置に戻すのに使用され得る。例えば、図1を参照すると、撮像セッションが完了したら、ユーザは、撮像システム10を患者のベッド26に対して最左位置に移動させたい場合がある。位置は、モーションコントロール51にプログラムされ得、図1および10に示される軸ごとに、xおよびy両方向での移動を必要とし得る。これは、オペレータに利用可能なキーボードまたはファンクションボタン12、ディスプレイ装置11a、11bのタッチスクリーン、ジョイスティック14、または印加される所定の力およびハンドル17、19への方向を使用して達成され得る。キーボード、ファンクションボタン、およびタッチスクリーンディスプレイ装置はまた、全方向車輪62、64を含め、撮像およびモーションコントロール部分を制御するよう使用され得る。
【0048】
全方向車輪62、64の能力はまた、システムが指定された垂直軸を中心にポータブル撮像装置10を回転させるよう、使用され得る。これは、撮像システム10の幾何学中心、撮像システム10またはそのカートの特定の特徴または一部、撮像システム上に取り付けられたロボットの特徴、等といった、便利な任意の軸であってよい。全方向車輪62、64によって印加されるモーションはまた、センサ101、103、105、107に印加される力に比例し得、つまり、軽い力はより遅い、より意図的な速度と成り得、より高い力またはより重いタッチは、全方向車輪62、64によって印加されるより速い速度と成り得る。さらに、力が印加される方向は、ポータブル撮像装置10の移動の所望方向を表示し得る。センサ101、103、105、107に印加される力は、モーションコントロール51によって、必要に応じて、所望のモーションを提供するために前輪62および後輪64をそれぞれ駆動させるのに使用される合成ベクトルおよびモーメントに分解される。
【0049】
ここで、図10を使用して移動の例を説明する。一例では、左ハンドル17を前に押すと、装置が前に進み、装置を右に回すよう動作することになる。別の例では、左ハンドル17を押すと、前方への移動を要求するセンサ101、105を作動させる。センサ101、103、105、107は、センサ101、105に対しては特定の方向に、前方に力が印加されるが、センサ103、107には力が印加されないと解釈するストレインゲージであり得る。右ハンドル19およびそのセンサ103、107へ力が印加されないため、モーションコントロール51は、センサ103、107からの信号を、わずかな前方へのモーションのみで右に回転させるための呼び出しとして解釈する。よって、ポータブル撮像装置10は、全方向車輪62、64を介して最小限の前方移動で右に急回転する。実施形態では、四つの車輪62、64はすべて、この例では、わずかな右方向回転の動作を達成するよう動き得る。車輪62、64は、それらが共に動くことにより、可動ステーション60の所望の移動を達成するよう、個別に制御され得る。上述のように、これは、微調整モードでの動作例である。その他の実施形態では、所望する動作に応じて、左車輪62、64のみが作動されてもよいし、右車輪62、64のみが作動されてもよい。
【0050】
別の例では、左ハンドル17を右に押すと、力がセンサ101、105に印可され、右方向の横方向または側面移動を要求する。前後の力がセンサ101、105に印加されず、右センサ103、107に力が印可されない場合、モーションコントロール51は、微調整モードのまま、前後モーションのない、右横方向移動のための呼び出しとして信号を解釈する。したがって、四つの全方向車輪62、64はすべて、表示される方向へのわずかな移動、すなわち、右へ数mmまたは数インチのわずかな移動を成し得る。別の例では、前輪62は前方左向き方向に回転し、後輪64は後ろ向き且つ右に回転して、適切な位置での左回転および回転を達成する。別の例では、ハンドル17、19の両方を左に押すと、微動作モードではなく、搬送モードを立ち上げることになる。これは、撮像装置10を、例えば図1に示すように左に、患者のベッドまたは台26に対して左向き位置に移動させ得、それは、ポータブル撮像装置10の一部ではない。同じことが、ハンドル17、19の両方を前方に、x軸方向に押して、カートを前方に移動させることについてもあてはまり得、ここでは、微調整モードではなく搬送モードである。特定のハンドル17、19およびセンサ101、103、105、107に力を印加することに関して説明されているが、より多い、または少ないハンドルおよび/またはセンサがシステムと共に用いられ得ることが理解されるだろう。さらに、微調整および/または搬送モードを用いるため、および/または、手術室を中心にポータブル撮像装置10を動かすために、様々な力および/または動作が、数多くの様々な構成で生じ得る。
【0051】
本開示の実施形態で使用されるセンサ101、103、105、107は、数多くの力センサを含み得る。これらには、ストレインゲージ、力検知レジスタ、圧電センサ、ピエゾ容量(piezocapacitive)圧力センサ、ピエゾレジスタ、微小電気機械システム(MEMS)、マイクロスケールストレインゲージを含む。通常、力センサは、ユーザが力をセンサに印加すると充電される電気特性を所有する。その特性は、力が印加されると予測可能な方法で増減する電気抵抗、抵抗、またはキャパシタンスであり得る。ピエゾ型センサは、圧力が印加されると、微小電圧を生成し得る。センサは、例えばホイートストンブリッジといった、そのような変化を検出するための電気回路の一部であってもよい。配列または複数のストレインゲージまたはセンサを使用することによって、ユーザは、全方向車輪に印加されることになる所望の力の方向を微調整することができる。
【0052】
図10および下記例にて使用されるセンサ101、103、105、107は、ポータブル医療用撮像装置の車輪62、64を制御するのに使用され得る。そのような技術の例は、図11Aおよび11Bにおいて示される。図11Aでは、可動ステーション60は、前輪62および後輪64と共に示されており、それは、同一でも異なってもよい。この実施形態では、モーションコントロールモジュール51の方向におけるモータ1100は、所望の通り各車輪に電力を送信する。車輪62、64に供給される電力は、手動操作、自動操作、またはその両方の組み合わせを含み得る。モータ1100は、全方向車輪62、64に個別に電力供給するよう、電力を軸1102、1104、1106、1108に供給する一つ以上のシャフトを有し得る。これは、ポータブル撮像ステーションおよびその上に取り付けられた撮像機器を正確に配置するため、各車輪62、64の微制御を可能にする。一実施形態では、モータ1100およびシャフトまたは軸1102、1104、1106、1108は、位置的フィードバックをモーションコントロールモジュールに提供するための回転エンコーダまたはその他のフィードバック機構をさらに備え得る。
【0053】
あるいは、図11Bに示すように、可動ステーション60は、全方向車輪62、64のそれぞれへの独立軸1124、1126、1128、1130に電力供給する、別のモータ1122を介して電力を割り当てるためのローカルコントローラ1120を含み得る。モーションコントロールモジュール51が、各全方向車輪62、64のそれ自体のモータを介した別々の制御を維持することは、より単純であり得る。この実施形態では、各モータ1122は、位置的フィードバックのための、それ自体のエンコーダを含み得、また、軸1124、1126、1128、1130上にエンコーダまたはその他のフィードバック機構を含み得る。電力を車輪62、64に供給するための一方法が使用され得る。ローカルコントローラまたはモーションコントロールモジュールは、センサ読取値をモータ1122および軸1124、1126、1128、1130のそれぞれへの命令に分解するコンピュータプログラムを含み得る。この技術があれば、全方向車輪62、64は、提供されるセンサによって非常に正確な動作のために個別に制御される。軸1124、1126、1128、1130上の回転エンコーダとモーションからの、またはその他の装置によるフィードバックは、可動ステーションを所望の配置に戻す際に、後ほど使用するために与えられた位置を保存するのに使用され得る。
【0054】
ポータブル医療用撮像システム10の所望の方向を検出するのに使用されるセンサ101、103、105、107は、上記で開示したように、ハンドル17、19内に取り付けられ得る。あるいは、センサ101、103、105、107は、図12A〜12Dに開示されるように、ジョイスティックまたはその他のタイプのハンドルに取り付けられ得る。第一代替実施形態は、図12Aに開示される。このコントロールシステム1210では、複数の力センサ1212、六つのセンサが、円形配置で取り付けられる。ユーザはコントロールシステムの表面を押下し、センサ1212を作動させ、ポータブル医療用撮像システム10を適切な方向に誘導する。方向は、作動されるセンサ1212によって、または、ユーザによって印加される力または圧力量によって、決定される。これは、ポータブル撮像装置10のハンドル17、19の上記例において使用される同一原則である。円形制御配置は、ポータブル撮像装置を平面における、x−y方向に誘導するのに有用である。所定軸を中心とした回転はまた、ジョイスティックを上下に押すことによって、または、キーボードまたはファンクションボタン入力への命令によって、達成され得る。例えば、ジョイスティックを数秒間押すことによって、ポータブル医療用撮像装置を、軸を中心に時計周りに回転させるよう命令し得、数秒間上向きに引くことによって、反時計回りの回転を命令し得る。
【0055】
類似の動作モードを有するその他の例が、図12B〜12Dに示される。図12Bでは、八つのセンサ1222が、図1および10に関して説明される側面ハンドルであるように、前後移動、X方向をより示唆するコントロールシステム1220のために、楕円に配置される。より多くのセンサ1222が、オペレータが所望する方向へのさらなる感度のために使用され得る。図12Cでは、コントロールシステム1230は、示すように正方形状に取り付けられた六つの力センサ1232を含み、前後移動のための二つのセンサ1232と、また、残り四つのセンサ1232の四つ角の配分を有する、左右または横方向のためのさらなる感度を有する。図12Dは、長方形配置の複数のセンサ1242で構成されるコントロールシステム1240の例を示す。この配置は、側面毎に三つのセンサ1242を含み、カートまたは撮像ステーションの横方向移動のより微調整を可能にする。ポータブル医療用撮像システムおよびその全方向車輪62、64を誘導するための、その他の構成が使用され得る。
【0056】
図13図16に示されるような、本開示の実施形態で有用な、多くのタイプの全方向車輪62、64がある。従来の、装置を一方向(例えば、前後)に移動するのを可能にするのみの車輪とは違い、全方向車輪は、ポータブル撮像装置があらゆる方向(例えば、前方、後方、左、右、対角線状、弧状、等)に動かされるのを可能にする。よって、全方向車輪62、64は、ポータブル撮像装置が任意の方向に動かされるのを可能にする。全方向車輪62、64またはメカナムタイプ車輪は概して、複数のより小さい車輪またはローラをその円周に有する中心ハブを有する。より小さい車輪は、45度または90度といった、ハブの中心軸に対して斜めに取り付けられる。図13は、全方向車輪130を示す。この車輪130は、中心軸Aを中心に中心ハブ132を含み、複数のローラまたは車輪134が、中心軸に対して約45度の角度で、二つの非同軸列136、138で取り付けられている。車輪またはローラ134は、順に地面に接し、回転をより容易にする。これらのタイプの車輪130は、米国特許出願第2010/0187779号に記載され、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0057】
本開示で有用な、別のタイプの全方向車輪62、64が図14に示される。メカナム車輪140は、中心軸Aを有する中心ハブ142を有する。複数のローラ144は、中心ハブの周辺部上のフランジ146上に取付けられる。この例では、フランジ146は、約45度の角度で曲げられ、さらに、ローラ144はまた、中心軸に対して約45度の角度で取り付けられる。その他の角度が使用されてもよい。各車輪62、64は個別に電力供給され、所望の方向にポータブル医療用撮像カートを誘導し得る。これらのタイプの車輪140は、米国特許出願第2013/0292918号に記載され、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0058】
図15は、本開示において有用な、全方向車輪62、64の別のタイプである、メカナム車輪150を図示する。車輪150は、中心ハブ軸Aおよび複数の平らな円周表面を有する中心ハブ152(図示なし)を含む。各表面は、突出した輪止め154を取付け、さらに、円周ローラ156を取り付けるのに使用される。この車輪150では、ローラ156の一つまたは二つのみが、一度に床または表面にあり、回転をより容易にする。これらのタイプの車輪150は、米国特許出願第8,011,735号に記載され、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0059】
さらに別のタイプの全方向車輪62、64、および車輪160が図16に開示される。車輪160は、二つの一連の輪止めまたは取付部164、166を取り付ける中心ハブ162を含む。第一連の輪止め164のそれぞれは、回転軸が車輪160および中心ハブ162の回転の方向に対向した90度である、車輪165を取り付ける。第二連の輪止め166のそれぞれは、回転軸がまた、車輪160の回転の方向に対向した90度である、車輪167を取り付ける。車輪の第二連166は、車輪の第一連164よりもわずかに大きな直径を有する。車輪160は、その中心ハブ162に垂直な軸(図示なし)を中心に回転し得る。ローラ165、167は、車輪が容易に方向を変え、さらに、これを好適な全方向車輪62、64にすることが可能である。これらのタイプの車輪160は、米国特許出願第2015/0130260号に記載され、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。メカナムまたは全方向車輪62、64のその他のタイプが、本開示の実施形態において使用されてもよい。
【0060】
一旦ポータブル撮像装置10の配置が手術室内にセットされると、ポータブル撮像装置10は、所定位置にロックされ得る。例えば、全方向車輪62、64は、それらが移動することができないよう、ロックされ得る。代替では、ポータブル撮像装置10の移動を防止するのに、キックスタンドまたはその他のロック機構が用いられ得る。一旦ロック機構が解除されると、ポータブル撮像装置10は再度、本明細書に記載のように、任意の方向に自在に移動する。
【0061】
本開示の利点は、上述の三軸、3自由度能力を使用して、所望の任意の位置または方向に大型機器を正確に位置決めする能力を含む。搭載型GPSシステムもまた、機器の位置を追跡し、機器が使用される位置を保存および呼び出すのに使用され得る。全方向車輪62、64の固有の三軸モーション能力は、垂直回転軸を含み、所望の場合は選択され得る。モーションコントロールおよび撮像コントロールの両方を使用することによって、オペレータまたは診断者は、システムの位置を撮像機器の所望位置に調整することができる。ガントリー位置は、上述のように、ロボットアーム制御または手動制御を介して成され得る。モーションコントロールシステム、エンコーダ、および全方向車輪62、64によって可能となる正確な位置決めは、ポータブル撮像システム10が、固定の、非可動システムの制御および精度を有することを可能にする。
【0062】
モーションコントロールシステム、センサ、エンコーダ、およびシステムメモリは、ポータブル医療用撮像システムがスマートシステムとして作用するのを可能にする。センサは、センサおよびメモリを使用して所望のようにシステムを位置決めするのを可能にする。システムは、例えば、別の患者に、または別の部屋に移動するための搬送モードと同様に、患者の特定の画像のための正確な、細かい動作のための能力を含む。これにより、ユーザがより便利な配置にシステムを置き、次いで、所望のときに撮像システムを正確な配置に呼び出すのを可能にする。システムのメモリは、ユーザに、後に必要となる時に撮像カートを特定の位置に素早く、正確に呼び出す能力を与える。システムはまた、例えば、より大きな視野のために画像をまとめて繋ぎ合わせるよう、後に組み合わせるための一連の画像を撮影するための、一連の微動作を使用し得る。ロボットまたはロボットアームが可動ステーション上に撮像装置を位置決めするのに使用されるとき、その位置を素早く正確に復元するステーションの能力が、ロボットまたはロボットアームの能力に追加し、そのような医療用ロボットへのモーション範囲を追加すると見なされ得る。
【0063】
前述は、システムを位置決めし、画像を取り込む際に、ポータブル医療用撮像システム10の自由度がどのように有用であるのかを明確にする。信号送信機とセンサの両方を、例えばそれらを弧状に回転させることによって同時に動かす能力は、急速なスキャン、つまり、コンピュータ断層撮影を可能にする。信号送信機とセンサの両方を同時に並進させる、つまり、上述のようにx−y面で並進される能力はまた、システムがより大きな対象の画像または広がった視野を取り込むのを可能にする。図17Aに示すように、例えば、撮像システム170は、信号送信機174および検出器またはセンサ176を、例えば、互いに直接対向するよう取付ける内側アーム171を含み得る。上述のように、送信機174およびセンサ176は、それらが180度弧の対向する端にあるように取り付けられる。よって、例えば、図9A〜9Gを参照して記載されるように、ガントリーの360度回転において、172の領域は撮像装置によって完全に撮像される。
【0064】
内側アーム171の半径は、対象物172のスキャニングを可能にし、その一部分、または焦点は対象物172によって画定される境界内にある。対象物172の中間点は、送信機174とセンサ176との間に中央に配置される。図17Aに示すように、信号またはX線ビーム175のその源174からの相違または幅は、ターゲットまたは対象物172の全ての側面、または、172によって画定される半径内に含まれる対象物の一部分を取り込むには十分である。よって、図17Aでは、送信機174から送信される信号またはX線の視野(FOV)は、ターゲットまたは対象物172の全部分または172によって画定される半径内に含まれる対象物の一部分を取り込むことができる。対象物は、いくつかの例では、実際は、対象物172として特定される領域よりも大きくてもよいことが理解されるだろう。ここに示されるように、センサ176はまた、送信機174から受信され、対象物172または画像が所望されるその一部分を通って送信されるX線またはその他の信号を取り込むには十分大きい。
【0065】
時には、図17Aに示される視野よりも大きいターゲットまたは対象物を撮像する必要がある場合がある。よって、図17Bに示すように、対象物178は、信号の幅175よりも大きい。しかしながら、送信機174およびセンサ176の配置を中心から外して動かすことによって、ガントリーの360度回転(例えば、60度単位の動作を図示する図9A〜9G参照)において、対象物178全体を含める、より広い視野が取得される。図17Bに示すように、信号送信機174および検出器またはセンサ176は両方とも、特定の距離177だけ中心から外れて動かされる。この例では、動かされた距離、またはオフセットは、送信機174の視野が、ガントリーの内側アーム72が回転されるにつれて、ターゲットまたは対象物178の全体をここで取り込むには十分である。再度、実際は対象物が178として特定される部分よりも大きいことが理解されるだろう。この例では、ポータブル医療用撮像カートは例えば並進するようには移動しておらず、むしろ、信号送信機174および検出器またはセンサ176は、中心線からの距離177にある固定位置にあるか、または、要求距離177だけ中心からずれるよう並進される。送信機174およびセンサ176の距離177をオフセットすることによって、より広い視野が。撮像されることになる対象物の中心で焦点を中心に回転する必要なく、および、従来のO形状のガントリーの必要なく、取得され得ることが発見された。送信機174およびセンサ176の配置がこの位置に固定され得るか、または、例えば以下にさらに詳細に記載されるように、並進装置に沿って可動であり得ることが理解されるだろう。
【0066】
さらに、図17Aおよび17Bは、さらなる自由度、例えば信号送信機174および検出器またはセンサ176が直線方法で並進する能力を示す。図18Aおよび18Bは、これが達成され得る、少なくとも一つの方法例を示す。図18Aでは、信号送信機174は、トラック、リニアアクチュエータ、またはその他の並進装置184上に取り付けられる。例えば、並進装置184は、リニアトラック182に取り付けられ得る。同様に、180度反対に配置されたアーム171の反対側では、センサまたは検出器176はまた、トラック、リニアアクチュエータ、または、例えばトラック186内といった、その他の並進装置188上に取り付けられ得る。矢印および仮想線(phantom−line)の表示で示されるように、信号送信機174および検出器またはセンサ176は、単一の軸において、左右に動くことができる。さらに、送信機174およびセンサ176は、撮像空間の視野を拡大または縮小するために中心から外れて位置決めされることができる。
【0067】
並進装置184、188によって提供されるリニア軸は、ユーザによって所望の通り配向され得、さらに、実質的に所望の任意の配向でより正確な制御を提供する。回転軸は二つのリニア軸を使用するよりもより正確になり得るため、この新しい軸は、ガントリー56、外側アーム70、内側アーム72、ガントリー垂直シャフト59のz軸、さらには可動ステーション60を所望の配向に配向することによって、所望の通り配置され得る。さらに、図17B図18Aおよび18Bに示すように、および、図1を参照すると、軸は、前後に並進するようx軸に沿って、または、左右に並進するようy軸に沿って配置される。図3に関して、送信機74およびセンサ76は、z軸に沿って上下に動くだろう。図4に関して、ガントリー56はここで水平に配向され、新しい軸はまた、示すように、x軸に平行して並進するだろう。さらに、ガントリーおよび外側アーム72は、図9B、9C、9E、および9Fにおける非水平および非垂直配向で位置決めされる。並進装置184、188はさらに、中間配向あるいは所望の配向と呼称され得るものに沿って、独立自由度を形成する。送信機174およびセンサ176はさらに、有利なことに、従来の撮像装置よりも広い視野で、特定の損傷、腫瘍、またはその他の医学的事象を撮像するよう配向され得る。
【0068】
送信機174およびセンサ176は、ここで可能なより広い視野を使用するよう、所望の通り動かされ得るか、または調整され得る。例えば、送信機174およびセンサ176は、順にいくつかの位置に回転され、ターゲットの所望領域または容量を完全に含めるのを確実にし得る。「ターゲット化すること(targeting)」は、撮像する前に行われ得る。所望位置は、メモリ44または撮像コントロールモジュール54において利用可能なその他のメモリにメモされ、記録される。画像が撮影されるとき、撮像オペレータまたはヘルスケア専門家は、所望の一連の画像を通るシーケンスのみを必要とする。これは、完全且つ正確に含めること、および、各画像が撮影された後に達成される回転または動作を確実にし得るため、画像がぶれない。
【0069】
並進装置またはリニアアクチュエータは、直線に沿った動作を提供するよう、モータ付き電気リニアアクチュエータ、リニアトラック、リニアスライド、ボールスライド、ラックスライド、ボールスクリュー、等を含み得る。並進装置184、188は、モーションコントロールモジュール51によって制御され得、さらに、ポータブル医療用撮像装置のすべての構成要素の、調整された動作を確実にする。特に、並進装置184、188の動作は、それらが同一であるよう制御され得る。さらに、どちらかの装置が左に、または右に移動する場合、他方の装置もまた、調整された方法で移動し得、さらに、撮像されることになる対象物178が含まれることを確実にし、また、送信機174から送られる信号が、患者または撮像されることになるその他の対象物を通って横切った後、センサ176によって取り込まれることを確実にする。これはまた、有害な放射線の如何なる漏れも防止し、患者および診断およびヘルスケア従事者の被爆を制限する。信号送信機174および検出器またはセンサ176の動作は、モーションコントロールモジュールの制御下における装置のその他の動作のように、調整され、制御される。この実施形態では、各リニアアクチュエータ、ボールスクリュー、またはモータは、ポータブル医療用撮像システム10のその他のモータまたはアクチュエータについての上述のように、位置フィードバック用のそれ自体のエンコーダを含み得る。
【0070】
代替実施形態では、送信機174および/またはセンサ176は適切な位置に固定され得る。例えば、送信機174およびセンサ176は、機器が常に拡大された視野で撮像するよう、中心からの距離177の適切な位置に固定され得る。別の実施形態では、センサ176の領域が送信機174に対して大きい場合は、センサ176が未だ送信機174の送信を検出可能である限りは、送信機174が移動または並進しても、センサ176は静止していてもよい。
【0071】
図17Aおよび17B、18Aおよび18Bに示されるが、並進移動は、撮像されることになる対象物を含むことを確実にし得る。そのような調整および視野の能力の向上がなければ、さらにより大きな撮像装置が必要とされるだろう。つまり、Cアーム70および72は、対象物178を完全に含めることを達成するには、さらにより大きな直径を有する必要があるだろう。外側Cアーム70および内側Cアーム72を別々に移動させることなく、ポータブル撮像装置は、実際は、完全な360度含めることを達成するように、完全な円形、O形状ガントリーまたはガントリー取付部を必要とする場合もある。例えば、米国特許第7,108,421号の装置のようないくつかの従来装置は、より大きな並進装置を、対象物を中心とした様々な位置に回転させることによって、より大きな対象物を含めることを達成する。より大きなモーションは、例えば、より高額な費用で、動作の自由度の制限がより大きく、手術室の環境における制限のある、O形状ガントリーまたはガントリー取付部を要求し得る。
【0072】
その一方、本開示の実施形態は、ポータブル医療用撮像システムおよびその構成要素の細かい動作を使用することによって、より大きな対象物を含むことができ、撮像されることになるさらにより広い視野を有することができる。動作例は、図1、3、および4を参照して成されることになる。図1では、例えば、ガントリー56は、略垂直配向にあり、Cアーム70、72が患者のベッド26を中心に位置決めされ、患者に対して準備が整っている。撮像送信機74は、患者の下にあり、患者の上にある検出器76と連動して作用することになる。図18Aおよび18Bを参照して説明される例は、左右または水平方向に、すなわち、アーム171の平面においての動作を必要とする。図1を参照すると、これはy軸方向の動作であることがわかる。
【0073】
図3では、ガントリー56は同一垂直配向にあるが、内側アーム72は90度回転しているため、送信機74およびセンサ76はここで、水平に配向される。これは、前述の、y軸に平行の、「ロータ(rotor)」の回転自由度である。ここで、送信機74およびセンサ76をアーム72の平面において並進させることは、図3に示すように、垂直移動、すなわち、z軸に沿った移動であるだろう。図4を参照すると、ここで、ガントリー56は、水平位置に90度回転している。内側アーム72が図18Aおよび18Bのリニア並進装置を備えていれば、送信機74およびセンサ76は、図4に示されるx軸方向に、内側アーム72の平面内で並進するだろう。X軸を中心とした、または、x軸に平行な回転は、上述の「傾斜(tilt)」自由度である。さらに、送信機74およびセンサ76自体は、リニア軸に沿って、単一の自由度のみを有するが、その軸は、ポータブル医療用撮像システムのコンテキストにおいて使用され得る。さらに、リニアの動作は、図1および4のように患者の幅を横切るか、または、図3のように患者に対して上下の垂直方向であってもよい。
【0074】
これらの同じ図を参照すると、前述したようなその他の自由度も考慮され得る。さらに、図1では、外側70および内側72アームは、患者のベッド26を中心とした回転自由度を可能にする。垂直シャフト59は、垂直並進、すなわち、z軸に沿ったリニア移動を可能にする。全方向車輪62、64は、x−y平面内での動作の完全自由を可能にする。これらの自由度はまた、医療チームが患者のベッド26上に取り付けられることになる患者の画像を取り込むのを望む場合に使用されてもよい。ポータブル医療用撮像システム10はさらに、図17Aおよび17Bに示すように、前述の6自由度を可能にし、また、新たなリニア軸自由度も有する。
【0075】
これらの自由度は、ポータブル医療用撮像システムのさらに別の使用を可能にする。例えば、より大きな動作よりもむしろ、軸に沿った、より細かな、より正確に制御された動作がここで使用され得る。例えば、図17Aおよび17Bに示すように、撮像されることになる対象物が好都合に取扱われ得るものよりも大きい場合、リニア自由度は並進移動から生じ、それによって、視野の拡大を可能にする。
【0076】
CBCT(円錐ビーム3D撮像または円錐ビームコンピュータ断層撮影)のための以前に知られている手法は、CアームCTとも称され、望ましくない脳物質およびその他の軟組織の低コントラスト解像度画像を生み出す。脳の低コントラスト解像度画像は、脳室における脳物質と脳脊髄液(CSF)とを視覚的に区別するのを困難にするか、または不可能にする。これらの既知の手法が低コントラスト解像度画像となる一つの理由は、それらが大きなX線円錐ビーム角度を使用することである。大きなビーム角度は、検出器パネルを横切る高レベルなX線散乱を生じさせ、それは検出器の信号雑音比を低減させ、次に、結果として生じる画像データとそれらの有用性の品質を低下させる。
【0077】
図19Aは、X線ビーム送信機174から広角度X線ビーム1918を生成して、検出器パネル176を使用してターゲット領域1910全体を撮像することができるコリメータ1900を有する医療用画像システムの一部を示す。ターゲット領域1910は、90度回転された平面図として示される。ターゲット領域1910内の対象物1912は、通路1911に沿ったX線によって衝突され、X線のいくらかは、通路1914に沿って対象物1912を通過し、検出器パネル176に衝突するのが望ましい。しかしながら、対象物1912はまた、通路1914から離間した位置で検出器パネル176に衝突する、通路1913に沿ったX線のいくらかを散乱させるのは望ましくなく、それは、通路1913の衝突位置において検出器の信号雑音比を低減させる。
【0078】
本明細書の様々な実施形態は、ターゲット領域1910および検出器パネル176を横切ってスキャンされる、より狭角度X線ビームを生成するようX線ビーム送信機174を構成することを対象とし、検出器の信号雑音比の散乱効果を低減させ、それによって、高品質の画像を生成する。X線ビーム送信機174および検出器パネル176は、一連の画像スライスを生成するよう、少なくとも部分的にターゲット領域1910周りを繰り返しスピンし、狭角度X線ビームは、各スピン間のターゲット領域1910を横切って横方向に、画定された距離だけ徐々にずらされる。ターゲット領域1910の画像は、ターゲット領域1910の一部分のみを含める、より狭いX線ビームからそれぞれ形成される一連の画像スライスから生成される。現在の画像スライスの外側にある検出器パネル176の一部分に衝突する、散乱したX線は無視される。一連の画像スライスは次に、ターゲット領域1910の画像を形成するよう組み合わされる。それにより、画像スキャンをより小さいスライスに分離することによって、X線散乱のマイナス効果を低減させ、それによってより高品質で低コントラストの撮像が可能となる。そのような低コントラスト撮像は特に、脳物質の構造の視覚的画像を生成するのに有益である。
【0079】
さらに図19Aを参照すると、ポータブル医療用撮像システムは、図1のシステム10および/または図3の56に相当し得る。撮像システムは、例えば図5の方向98−99といった、弧に沿って可動である第一端および第二端を有するCアーム72(図1)を有する可動ステーション60(図1および3)を有する。検出器パネル176は、可動Cアーム72の第一端に取り付けられる。X線ビーム送信機174は概して、検出器パネル176に対向し、Cアーム72または70(図3)の第二端に取り付けられる。
【0080】
本明細書に記載の様々な実施形態では、X線ビーム送信機174は、例えば図20の2050のような窓を形成するコリメータ1900を含み、それは、検出器パネル176に向かいそれを通って送信されるX線ビームを方向付ける。コリメータ1900は、窓の位置を、例えば図5の方向98−99といった弧方向を横切って横方向に移動させるよう構成される。コントローラ2200(図24)は、検出器パネル176を横切って横方向にX線ビームを導くよう、コリメータ1900によって窓の移動を制御するよう構成される。
【0081】
図19Bは、本開示のいくつかの実施形態において、ターゲット領域1910および検出器パネル176を横切って徐々にスキャンされる狭いX線ビームを生成して、X線散乱効果を低減させた画像スライス1920a、1920b、1920c、1920cを提供するよう、コリメータ1900がコントローラ2200によって制御されている、図19Aの医療用画像システムを示す。
【0082】
図20A〜Dは、例えば弧の方向に対して横方向といった、X方向にX線ビームのサイズを調整し、且つ、X方向に沿ってX線ビームをスキャンするよう、コリメータ1900において使用され得るX軸ビームコリメータ2000の実施形態を示す。図21は、例えば弧の方向に沿った、Y方向にX線ビームのサイズを調整し、Y方向に沿ってX線ビームをスキャンするよう、コリメータ1900において使用され得るY軸ビームコリメータ2100を示す。X軸ビームコリメータ2000は、Y軸ビームコリメータ2100上に重ねされ得、またはその逆も可能であり、それらの窓はX線源2030(図20C)によって放出されるX線ビームを方向付けるよう整列および配向されている。
【0083】
X軸ビームコリメータ2000は、窓2050aの対向する側面上にある一対のシャッター1902および1904を含み、そのそれぞれが、横方向(例えば、X方向)に窓2050aの対向するエッジを形成するエッジ面を有する。シャッター1902および1904は、X線を実質的にブロックする、鉛といった材料から形成される。モータ機構2020aおよび2020bは、横方向に延在するトラックに沿ってシャッター1902および1904のそれぞれ一つを摺動させて、窓2050aの対向するエッジの配置を変えるよう接続される。コントローラ2200(図24)は、モータ機構2020aおよび2020bを制御して、X方向のX線ビームの幅を制御するようシャッター1902と1904との間の横方向距離を設定し、さらには、モータ機構2020aおよび2020bを制御して、検出器パネル176を横切るX線ビームを導くようX方向に窓2050aを移動させる。
【0084】
同様に、Y軸ビームコリメータ2100は、窓2050bの対向する側面上にある一対のシャッター2110および2112を含み、そのそれぞれが、弧方向(例えば、Y方向)に窓2050bの対向するエッジを形成するエッジ面を有する。シャッター2110および2112は、X線を実質的にブロックする、鉛といった材料から形成される。モータ機構2120aおよび2120bは、Y方向に延在するトラックに沿ってシャッター2110および2112のそれぞれ一つを摺動させて、窓2050bの対向するエッジの配置を変えるよう接続される。コントローラ2200(図24)は、モータ機構2120aおよび2120bを制御して、Y方向のX線ビームの幅を制御するようシャッター2110と2112との間の距離を設定する。コントローラ2200はさらに、モータ機構2120aおよび2120bを制御して、検出器パネル176を横切るX線ビームを導くようY方向に窓2050bを移動させ得る。
【0085】
低コントラスト画像を生成するのに使用される一式の画像スライスを順次スキャンする、コントローラ2200によって実施され得る動作が以下にさらに説明される。撮像スピンの数といった、所望される画像スライスの数(n)を画定するか、または、画像スライスの数(n)が決定される情報(例えば、低コントラスト撮像感度のレベル表示)をさらに概して画定する入力が、スキャンを実施しているオペレータから受信され得る。コントローラ2200は、ターゲット領域1910を横切る狭いX線ビームをスキャンする、コリメータ1900によって必要とされることになる動作範囲を決定し、画像スライスを形成するための、検出器パネル176上に投射される狭いX線ビームを形成するのに使用されることになる窓2500のサイズを決定する。
【0086】
コントローラ2200は、X軸ビームコリメータ2000および/またはY軸ビームコリメータ2100を制御して、狭いX線ビームを方向付け、X線ビームを開始位置に配置し、第一撮像スキャンが画像スライスの最初の一つを生成する。コントローラ2200はシャッター1902、1904、2110、および2112を別々に制御し、それぞれの窓2050aおよび2050bのX方向およびY方向の照射寸法を画定し、それによって、ターゲット領域を通って投射されるX線ビームの関連付けられた形状を画定し得る。コントローラ2200はまた、シャッター1902、1904、2110、および2112を、それらのそれぞれのモータ機構を介して制御して、それらの間で一定距離を維持する、すなわち、各画像スキャンのために、静的な窓サイズを維持するか、または、窓サイズの変更を制御するよう、それらを調整した方法で移動させ得る。例えば、コントローラ2200は、シャッター1902および1904を制御して、窓2050bをX方向に徐々に移動させ、ターゲット領域1910を横切る、画定された断面領域で狭いX線ビームを段階的にスキャンし、X方向に沿った一連の画像スライスを生成し得る。狭いX線ビームの増分移動は、個々の画像スライスのそれぞれが生成される間、一時停止され得る。
【0087】
各画像スライスは、図19Aの軸「A」として図示される、設定された参考軸を中心にフルスキャンを実施することによって生成され得る。フルスキャンは、弧に沿って離間した位置間でX線ビーム送信機174および検出器パネル176を移動させることを含み得、その配置は、少なくとも180度であってもよく、弧に沿って360度までであってよい。例えば、図19Bを参照すると、狭いX線ビームを窓2050aとターゲット領域1910を通ってスライス1920dに沿って検出器パネル176上に投射している間は、コリメータ1900はその可動範囲の一端に配置される。X線ビーム送信機174および検出器パネル176は、検出器パネル176が第一の三次元画像スライスを生成するデータを収集するよう、例えば図5の98−99といったように、弧に沿って回転され、円筒形容積の少なくとも一部を通ってスライス1920dに沿って狭いX線ビームをスキャンする。
【0088】
第一撮像スキャンの完了を示す信号に応答して、コントローラ2200は、窓2050aを増分距離だけ横方向に移動させて、狭いX線ビームをスライス1920cに沿って導くよう、コリメータ1900を制御する。X線ビーム送信機174および検出器パネル176は次いで、検出器パネル176が第二の三次元画像スライスを生成するデータを収集するよう、例えば図5の98−99といったように、弧に沿って回転され、円筒形容積の少なくとも一部を通ってスライス1920cに沿って狭いX線ビームをスキャンする。
【0089】
第二撮像スキャンの完了を示す信号に応答して、コントローラ2200は、窓2050aを増分距離だけ横方向に移動させて、狭いX線ビームをスライス1920bに沿って導くよう、コリメータ1900を制御する。X線ビーム送信機174および検出器パネル176は次いで、検出器パネル176が第三の三次元画像スライスを生成するデータを収集するよう、例えば図5の98−99といったような、弧に沿って回転され、円筒形容積の少なくとも一部を通ってスライス1920bに沿って狭いX線ビームをスキャンする。
【0090】
第三撮像スキャンの完了を示す信号に応答して、コントローラ2200は、窓2050aを増分距離だけ横方向に移動させて、狭いX線ビームをスライス1920aに沿って導くよう、コリメータ1900を制御する。X線ビーム送信機174および検出器パネル176は次いで、検出器パネル176が、第四の三次元画像スライスを生成するデータを収集するよう、例えば図5の98−99といったような、弧に沿って回転され、円筒形容積の少なくとも一部を通ってスライス1920aに沿って狭いX線ビームをスキャンする。
【0091】
図19Bは、関連付けられた撮像動作の図示を簡単にするため、四つの画像スライス1920a〜1920dで図示されてきたが、任意の数の複数の画像スライス(n)が、コリメータの増分移動と、ターゲット領域1910を通って関連付けられた増分撮像スライスによって生成され得る。
【0092】
このようにして、コントローラ2200は、画定されたターゲット領域1910が完全に撮像されるまで、セクションを横切って徐々にスキャンする。nセクションが撮像された後、画像データがコントローラ2200および/または別のプロセッサによって収集され、逆投射撮像プロセスが実施されて、例えば、四番目の三次元画像スライスを通って、第一といった画像スライスを組み合わせ、脳のような低コントラスト構造の高解像度画像を生成する。図19Aおよび19Bを参照すると、スライス1920bに沿って撮像している間は、対象物1912によって例示的通路1914に沿って散乱されたX線は、スライス1920bの隣接すつ領域において検出器パネルを撮像するだろうが、スライス1920bを撮像している間は無視される。一連の狭い画像スライスを使用することにより、現在撮像されるスライスの外側に散乱されるX線が無視されるのを可能にするが、それにより、連続した撮像中、X線散乱の有害効果のほとんどを回避することを介して、画像の解像度を増加させることになる。
【0093】
コントローラ2200が各撮像スキャンの間で窓2050aを横方向に移動させる距離は、コリメータシャッター1902と1904との間の距離、すなわち、窓2050aの幅に基づいて、コントローラ2200によって自動決定され得る。一実施形態では、コントローラ2200は、窓2050の対向するエッジ間距離に基づいて、第一対のモータアセンブリ2020aおよび202bがシャッター1902および1904を徐々に移動させる増分距離を制御し、検出器パネル176を横方向に横切るX線ビームを徐々にスキャンするよう連続して実施される撮像スキャンの数を変更させる。
【0094】
あるいは、またはさらには、コントローラ2200が各撮像スキャンの間で窓2050aを横方向に移動させる距離は、ターゲット領域1910の画像スキャンからのX線散乱の検出レベルに基づいて、自動決定され得る。一実施形態では、コントローラ2200は、実施されることになる次の撮像スキャンにおいて撮像されることになるターゲット領域1910におけるX線ビームの散乱レベルを決定し、第一対のモータアセンブリ2020aおよび202bを制御して、窓2050の対向するエッジ間の距離を設定し、決定される散乱レベルに基づいて第一対のシャッター1902および1904が移動される増分距離を制御する。ターゲット領域1910に対するX線散乱レベルは、例えば、図19Aに示すように、ターゲット領域1910の高角度Xビームスキャンから収集された画像データにおける信号雑音比の分析によって決定され得る。決定されたX線散乱レベルは次いで、組み合わされた三次元画像を生成するのに撮影されることになる画像スライススキャンの数と、狭いX線ビームが各画像スライススキャンの間で移動される必要がある、関連付けられた横方向の増分段階移動とを決定するのに使用され得る。より小さい画像スライスは、より高いレベルのX線散乱を有するよう決定されるターゲット領域の一部分を横切って生成され得る。その一方、より大きい画像スライスは、より低いレベルのX線散乱を有するよう決定されるターゲット領域の一部分を横切って生成され得る。
【0095】
さらなる一実施形態では、コントローラ2200は、窓2050の対向するエッジ間の距離を減少させ、上限閾値を超える散乱レベルに応答して、次の撮像スキャンの準備において第一対のシャッター1902および1904が移動される増分距離を減少させる。その一方、コントローラ2200は、窓2050の対向するエッジ間の距離を増加させ、下限閾値を下回る散乱レベルに応答して、次の撮像スキャンの準備において第一対のシャッター1902および1904が移動される増分距離を増加させる。
【0096】
図22は、脳室(中央に向かって暗いセクションにおいて見える)の例示的撮像スキャンを図示し、その例示的撮像スキャンは、撮像された脳を横切る狭いX線ビームをスキャンする、図19Bに関して記載された動作によって提供され得る。撮像スキャンが良好なコントラスト解像度を示すことを留意する。画像のピクセル値は、X線ビームの強さに比例する。減衰はハンスフィールド単位またはHUで測定される。HUの観点で見る場合、脳物質の軟組織は、+100から+300HUのHU値を有する。撮像される材料のタイプに関わらず、ボクセルのグレースケール値はX線源からの距離に応じて異なるため、HUはCBCTスキャニングには適用されない。しかしながら、例示的撮像スキャンは、脳物質のような低コントラスト組織構造を撮像する場合、グレースケールの陰の間の区別を可能にする、低コントラスト撮像解像度の重要性を強調する。
【0097】
図23は、脳の二つの半画像を図示する。左半分の画像は、図19Aの動作におけるような、広角度X線ビームを使用して生成され得る。左半分の画像において低コントラスト解像度がないと、、脳物質を周辺の液体から区別するのを困難にする。右半分の画像は、図19Bの動作におけるような、検出器パネルを横切る狭いX線ビームをスキャンするビームコリメータを制御することによって生成され得る。右半分の画像における、より高品質な低コントラスト解像度は、解像度の高い詳細で、脳物質を周辺の液体に対して区別するのを容易にする。
【0098】
コントローラ2200がコリメータ1900を制御して、複数の撮像スキャンのそれぞれの間で窓2050を徐々に移動させる、様々な実施形態が開示されてきたが、いくつかのその他の実施形態では、窓2050は撮像スキャン中に移動される。一実施形態では、コントローラ2200は、撮像スキャン中、モータアセンブリ2020aおよび202bを制御して、シャッター1902および1904をそれらのそれぞれのトラックに沿って同一方向に継続的に移動させ、X線ビーム送信機174および検出器パネル176は、撮像スキャン中、弧に沿って離間した位置間で移動され、検出器パネル176を横方向に横切るX線ビームをスキャンする。それによって、結果として生じる撮像スキャンは、ターゲット領域1910を通して螺旋状経路に沿って撮像データを生成し得る。これらの動作の潜在的な利点は、単一撮像スキャンが、収集した画像データの信号雑音比において散乱効果を低減させ得る狭いX線ビームを使用しつつ、ターゲット領域1910のより多く、または全体を含むことができることである。
【0099】
いくつかのさらに関連した実施形態では、シャッター1904における1902の、それらのそれぞれのエッジ間の距離における移動速度は、ターゲット領域1910内で検出されるX線散乱レベルに基づいて制御され得る。一実施形態では、コントローラ2200は、継続した撮像スキャン中に、次に撮像されることになるターゲット領域1910におけるX線ビームの散乱レベルを決定し、モータアセンブリ2020aおよび202bを制御して、窓2050の対向するエッジ間の距離を設定し、決定される散乱レベルに基づいて、第一式のシャッター1902および1904の移動速度を制御する。一つの動作では、コントローラ2200は、窓2050の対向するエッジ間距離を減少させ、上限閾値を超える散乱レベルに応答して、シャッター1902および1904の移動速度を低減させる。その一方、コントローラ2200は、窓2050の対向するエッジ間距離を増加させ、上限閾値を超える散乱レベルに応答して、シャッター1902および1904の移動速度を増加させる。
【0100】
図24は、本開示のいくつかの実施形態において、図20A〜Dに示すX軸ビームコリメータおよび/または図21に示すY軸ビームコリメータの少なくとも一つを制御して、検出器パネルを横切る狭いX線ビームをスキャンし、散乱を低減させた画像スライスを提供する、コントロールシステムのブロック図である。
【0101】
図24を参照すると、コントロールシステムはポータブル医療用撮像システムの一部であってよく、可動ステーション60(図1)内に存在してもよい。コントロールシステムは、源と、撮像センサと、シャッター位置コントローラ2202およびモータコントローラ2204とを含み得るコントローラ2200を含む。X線源位置フィードバック回路2210は、弧に沿ったX線ビーム送信機174の配置を測定し、コントローラ2202に配置測定値を提供し得る。撮像センサ位置フィードバック回路2220は、同様に、弧に沿った検出器パネル176の配置を測定し、コントローラ2202に配置測定値を提供し得る。シャッター位置フィードバック回路2230a、2230b、2230c、および2230dは、シャッター1902、1904、2110、2112のそれぞれ一つの、それらそれぞれのトラックに沿った配置を別々に測定し、配置測定値をコントローラ2202に提供し得る。コントローラ2202は、モータアセンブリ2020a、2020b、2120a、および2120bを別々に制御し、シャッター1902、1904、2110、2112のうちの選択したものをそれらそれぞれのトラックに沿って画定された配置に移動し得る。モータコントローラ2204は、コントローラ2202からのデジタル制御信号送信を、モータアセンブリ2020a、2020b、2120a、および2120bのうちの一つの動作をそれぞれ別々に制御する、アナログ信号の一式2240に変換し得る。
【0102】
ターゲット領域を通る画像スキャンによって提供される視野は、X線ビーム送信機174に対して検出器パネル176の配置を中心から外して移動させることによって変更され得る。図25は、X線ビーム送信機174を静的位置に維持しつつ、焦点を中心に、二つの位置176aと176bとの間で検出器パネル176を回転させる動作を示す。検出器パネル176をこのように移動させることによって、ターゲット領域のより広い視野をもたらし得、および/または、X線散乱効果を低減させ得る。画像スキャンは、第一配置176aにある検出器パネルで実施され得、第二画像スキャンは、第二配置176bにある検出器パネルで実施され得、二つのスキャンから生じる撮像データは、撮像領域からのX線散乱効果を低減させる、および/または、画像スキャンの視野を増加させるよう組み合され得る。
【0103】
Cアームは、X線ビーム送信機174と検出器パネル176との接続配置の間でその弧の長さを伸縮させ、それらの間の弧の距離を変えるよう構成され得る。一実施形態では、Cアームは、弧に沿って伸縮することによって長さを変化させ、接続された検出器パネル176と接続されたX線ビーム送信機174との間の弧に沿った距離を変化させるよう構成される。例えば、図3を参照すると、外側Cアーム70に対する内側Cアーム72の移動によって、検出器が送信機から離れて、および、送信機に向かって、弧に沿って制御可能に伸縮され得るよう、図3に74として図示されるX線ビーム送信機は外側Cアーム70に向けられて取り付けられ、図3に76として図示される検出器パネルは、内側Cアーム72に向けられて取り付けられ得る。
【0104】
離間した位置間での、弧に沿ったX線ビーム送信機174および検出器パネル176の移動によって円筒形容積の撮像スキャンを実施する前に、コントローラ2200は、Cアームの伸縮移動を制御して、弧に沿って検出器パネル176およびX線ビーム送信機174のうちの少なくとも一つを移動させて、その間の距離を変化させ、撮像スキャン中に撮像される円筒形容積を径方向にずらすよう構成され得る。
【0105】
あるいは、またはさらには、検出器パネル176は、図18Bの並進装置184を使用してCアームに取り付けられ得、その並進装置184は、レールに沿って検出器パネル176を移動させ、X線ビーム送信機174に対する、記載された回転をもたらすよう構成され得る。
【0106】
あるいは、またはさらには、ターゲット領域を通る画像スキャンによって提供される視野は、X線ビーム送信機174の配置を中心から外して移動させることによって変化され得る。図26は、X線ビーム送信機174を並進させて、撮像スキャン中に撮像される円筒形容積を径方向にずらす動作を示す。図18Bの並進装置184は、X線ビーム送信機174をCアームの第一端に取り付け得、レールに沿ってX線ビーム送信機174を移動させるよう構成され得る。弧に沿った離間した位置間のX線ビーム送信機174および検出器パネル176の移動によって円筒形容積の撮像スキャンを実施する前に、コントローラ2200は、並進装置184を制御して、撮像スキャン中に撮像される円筒形容積を径方向にずらす方向にX線ビーム送信機174を位置決めするよう構成され得る。
【0107】
本開示のいくつかのその他の態様は、本明細書に開示されたコリメータによって生成される可変次元のX線ビームがターゲット領域を適切にスキャンすることを、人間のオペレータが視覚的に確認するのを可能にすることを対象とする。フィルタラダーは、有害な低エネルギーX線をフィルタアウトすることによって、X線ビームを硬化する際に使用するコリメータに接続される。いくつかの実施形態では、光源は、ターゲット領域に向かって光ビームを投射する窓2050に整列するよう摺動可能であるよう構成されるフィルタラダーに接続される。光源は、X線ビームに類似した次元形状を有する窓2050を通して光ビームを投射して、ターゲット領域の計画した撮像スキャンの目視検査を可能にするよう構成される。
【0108】
図27Aおよび図27Bは、様々なX線フィルタおよび光源を、図19図21のコリメータにわたって提供される窓に順次整列させ得る、フィルタラダー2700を示す。フィルタラダー2700は、支持構造2704と可動細長ストリップ2702とを含む。支持構造2704は、コリメータ1900に接続される。可動細長ストリップ2702は、支持構造2704に摺動可能に接続される。フィルタラダー2700はさらに、可動細長ストリップ2702に取り付けられる複数のX線フィルタ2710を含む。X線フィルタは、X線源からのX線の異なるレベルのX線フィルタリングを提供する。X線フィルタは、様々なタイプの金属および/または様々な厚さの金属から形成され得る。いくつかの実施形態において、光源2720は、X線フィルタ2710から離間した配置に、可動細長ストリップ2702に取り付けられる。可動細長ストリップ2702は、X線フィルタ2710および光源2720のうちの異なる一つが窓2050に順次整列するよう、窓2050を横切って摺動されるよう構成される。光源2720は、窓2050と整列すると、検出器パネル176に向かって可視光を投射するよう構成される。
【0109】
光源2720は、ターゲットとされた対象物上で視覚的に表示する、窓2050を通る光ビームを放出する、離間した複数の発光ダイオード(LED)を含み得、X線ビーム送信機174と検出器パネル176との間に配置され、X線ビームの照射寸法は窓2050を通って送信可能となる。光ビームは窓2050を通ってターゲット領域上に投射されるが、LEDはその光ビームを、全ての画像スキャンを横切って、すなわち、広い視野を横切って、および/または、単に一つの画像スキャンによって、ターゲット領域に放出されることになるX線ビームの寸法形状に近似するように構成するよう、離間して角度付けられ得る。
【0110】
あるいは、またはさらには、光源2720は、ターゲットとされた対象物上で視覚的に表示する、窓2050を通る光ビームを集合的に放出するように、離間して、角度付けられた複数のレーザー装置を含み得、X線ビーム送信機174と検出器パネル176との間に配置され、X線ビームの照射寸法は窓2050を通って送信可能となる。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態が前述の明細書に開示されているが、本発明の多くの変更および他の実施形態が、発明に関係することが想定され、前述の説明および関連する図面に提示された教示の利益を享受する。したがって、本発明は、上に開示された特定の実施形態に限定されず、多くの修正および他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることが理解される。一実施形態の特徴は、本明細書に記載された異なる実施形態の特徴と組み合わせることができ、または使用することがさらに想定される。さらに、特定の用語が、本明細書および以下の特許請求の範囲で用いられているが、それらは包括的で説明的な意味でのみ使用され、記載された発明および以下の特許請求の範囲を限定する目的で使用されるものではない。本明細書に引用された各特許および公報の開示全体は、あたかもそのような各特許または特許公報が参照により個々に本明細書に組み込まれているかのように、その全体が参照により組み込まれる。本発明の様々な特徴および利点が、下記の特許請求の範囲に記載されている。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19-1】
図19-2】
図20-1】
図20-2】
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B