特許第6714895号(P6714895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6714895
(24)【登録日】2020年6月10日
(45)【発行日】2020年7月1日
(54)【発明の名称】手袋
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/015 20060101AFI20200622BHJP
   A41D 19/00 20060101ALN20200622BHJP
【FI】
   A41D19/015 610Z
   !A41D19/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-38907(P2016-38907)
(22)【出願日】2016年3月1日
(65)【公開番号】特開2017-155356(P2017-155356A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2019年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖男
【審査官】 西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−002012(JP,A)
【文献】 特開平11−286809(JP,A)
【文献】 特開2000−245809(JP,A)
【文献】 特開2007−252860(JP,A)
【文献】 実開平06−065416(JP,U)
【文献】 特開平10−310918(JP,A)
【文献】 米国特許第03119118(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/00 − 19/04
A41D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の平側に配置される手平側被覆材と、手平側被覆材とは別体であり且つ手の甲側に配置される手甲側被覆材と、前記手平側被覆材と該手甲側被覆材とを連結する紐体とを備え、前記手平側被覆材は、手の平側を覆う手平側シートと、該手平側シートの外縁部のうち、手の側部に対応する部分全周に亘って形成され且つ前記紐体が挿通される複数の手平側挿通部とを有し、前記手甲側被覆材は、手の甲側を覆う手甲側シートと、該手甲側シートの外縁部のうち、手の側部に対応する部分全周に亘って形成され且つ前記紐体が挿通される複数の手甲側挿通部とを有し、前記紐体は、前記手平側シートと前記手甲側シートとを締め付けて間隔を狭めることでそれぞれの外縁部を重ね合わせた状態にし、手平側シートと手甲側シートとの間隔が広げられることで前記締め付けが弛められるように各手平側挿通部と各手甲側挿通部とに挿通される手袋。
【請求項2】
前記紐体は、前記手平側シートの外縁部又は前記手甲側シートの外縁部のうちの途中位置に固定される請求項1に記載の手袋。
【請求項3】
前記手平側挿通部は、手平側シートの外縁部に沿う方向で紐体を挿通可能に構成され、前記手甲側挿通部は、手甲側シートの外縁部に沿う方向で紐体を挿通可能に構成される請求項1又は請求項2に記載の手袋。
【請求項4】
前記手平側シートは、手の平に沿わせて配置する手平側ベース部と、該手平側ベース部から延出し且つ各指に沿わせて配置する5つの手平側延出部とを有し、前記手甲側シートは、手の甲に沿わせて配置する手甲側ベース部と、該手甲側ベース部から延出し且つ各指に沿わせて配置する5つの手甲側延出部とを有し、前記複数の手平側挿通部には、前記各手平側延出部の頂部及び前記各手平側延出部の間の谷部のそれぞれに設けられるものが含まれ、前記複数の手甲側挿通部には、前記各手甲側延出部の頂部及び前記各手甲側延出部の間の谷部のそれぞれに設けられるものを含む請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手を保護するための手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、手が傷付いてしまう虞のある作業では、手を保護するために手袋が用いられている。かかる手袋として、平滑生地で袋状に一体形成され、手の出入口となる裾部を開口させた手袋が知られている。
【0003】
前記手袋は、親指側面に切り開き部が設けられ、該切り開き部を開閉する接合手段を備えている。
【0004】
そのため、前記手袋は、裾部の切り込みの両側を大きく開くことで裾部に手を挿入し易い状態にでき、手の平部と甲部との間に手を挿入した後に裾部の切り込みの両側を接近させて面ファスナーを互いに接続することで、裾部を手首にフィットさせた状態で装着できるとされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−284005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記手袋は、手全体を包み込むように袋状に一体形成されているため、手の形状に沿って変形する範囲に限度があることから使用者の手に馴染まなかったり、内部に溜まった汚れを落とし難かったりすることがある。そのため、前記手袋には、装着性をさらに向上させ、より衛生的に使用できるようにすることが求められている。
【0007】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、装着性が高く、衛生的な状態を保ち易い手袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の手袋は、手の平側に配置される手平側被覆材と、手平側被覆材とは別体であり且つ手の甲側に配置される手甲側被覆材と、前記手平側被覆材と該手甲側被覆材とを連結する紐体とを備え、前記手平側被覆材は、手の平側を覆う手平側シートと、該手平側シートの外縁部のうち、手の側部に対応する部分全周に亘って形成され且つ前記紐体が挿通される複数の手平側挿通部とを有し、前記手甲側被覆材は、手の甲側を覆う手甲側シートと、該手甲側シートの外縁部のうち、手の側部に対応する部分全周に亘って形成され且つ前記紐体が挿通される複数の手甲側挿通部とを有し、前記紐体は、前記手平側シートと前記手甲側シートとを締め付けて間隔を狭めることでそれぞれの外縁部を重ね合わせた状態にし、手平側シートと手甲側シートとの間隔が広げられることで前記締め付けが弛められるように各手平側挿通部と各手甲側挿通部とに挿通される。
【0009】
上記構成の手袋によれば、紐体は、手平側シートの外縁部に形成される手平側挿通部のそれぞれと、手甲側シートの外縁部に形成される手甲側挿通部のそれぞれとに挿通され、さらに、手平側シートと手甲側シートとを締め付けて間隔を狭めることでそれぞれの外縁部を重ね合わせた状態にし、手平側シートと手甲側シートとの間隔が広げられることでそれぞれに対する締め付けが弛められるように構成される。
【0010】
そのため、手平側シートと手甲側シートとの間に手を挿し入れた状態で、手平側シートと手甲側シートとを紐体によって締め付けると、該手平側シートと手甲側シートとが手の形状に沿って変形する。従って、前記手袋は、手平側シートと手甲側シートとを使用者の手に応じた形状になじませて装着することができる。
【0011】
また、手平側シートと手甲側シートとの間隔を広げて紐体を弛めることで手平側シートと手甲側シートとの間から手を抜き取ることができる状態になり、手平側シートと手甲側シートとの間隔を広げた状態では内部を洗い易い。
【0012】
本発明の手袋において、前記紐体は、前記手平側シートの外縁部又は前記手甲側シートの外縁部のうちの途中位置に固定されてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、紐体が手平側シートの外縁部又は手甲側シートの外縁部に固定される位置で区切られる。そのため、紐体に対して締めたり弛めたりする操作に伴って生じる力が、該紐体の前記手平側シートの外縁部又は前記手甲側シートに対する固定位置を基点として一方側と他方側とに分散される。従って、前記手袋は、紐体を締めたり、弛めたりする操作を行い易い。
【0014】
本発明の手袋において、前記手平側挿通部は、手平側シートの外縁部に沿う方向で紐体を挿通可能に構成され、前記手甲側挿通部は、手甲側シートの外縁部に沿う方向で紐体を挿通可能に構成されてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、手平側挿通部と手甲側挿通部とに紐体を挿通する方向を揃えることで、手平側シートと手甲側シートとを締め付けたり、手平側シートと手甲側シートに対する締め付けを弛めたりする際における紐体の動く方向を手平側シート及び手甲側シートの外縁部に沿う方向に揃えることで、紐体による締め付け、又は弛め操作を円滑に行えるようになる。
【0016】
本発明の手袋において、前記手平側シートは、手の平に沿わせて配置する手平側ベース部と、該手平側ベース部から延出し且つ各指に沿わせて配置する5つの手平側延出部とを有し、前記手甲側シートは、手の甲に沿わせて配置する手甲側ベース部と、該手甲側ベース部から延出し且つ各指に沿わせて配置する5つの手甲側延出部とを有し、前記複数の手平側延出部には、前記各手平側延出部の頂部及び前記各手平側延出部の間の谷部のそれぞれに設けられるものが含まれ、前記複数の手甲側延出部には、前記各手甲側延出部の頂部及び前記各手甲側延出部の間の谷部のそれぞれに設けられるものを含んでいてもよい。
【0017】
上記構成の手袋における各手平側延出部の頂部、各手平側延出部の間の谷部、各手甲側延出部の頂部、各手甲側延出部の間の谷部は、それぞれ湾曲した形状であるが、各手平側延出部の頂部及び各手平側延出部の間の谷部には手平側挿通部が形成され、各手甲側延出部の頂部及び各手甲側延出部の間の谷部には手甲側挿通部が形成されるため、各手平側延出部の頂部と各手項側延出部の頂部とを紐体で締めることができ、また、各手平側延出部の谷部と各手項側延出部の谷部とについても紐体で締めることができる。従って、紐体で手平側シートと手甲側シートとを締め付けたときに、手平側延出部の頂部と各手甲側延出部の頂部との間や、手平側延出部の谷部と各手甲側延出部の谷部との間に隙間が形成されることが防止される。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、装着性が高く、衛生的な状態を保ち易いという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る手袋の外観図であって、手平側シート側から見た外観図である。
図2図2は、同実施形態に係る手袋の手平側被覆材を内面側から見た外観図である。
図3図3は、同実施形態に係る手袋の手甲側被覆材を内面側から見た外観図である。
図4図4は、同実施形態に係る手袋の説明図であって、紐体で手平側被覆材と手甲側被覆材とを締め付けている状態の説明図である。
図5図5は、本発明の他の実施形態に係る手袋の説明図であって、紐体で手平側被覆材と手甲側被覆材とを締め付けている最中の説明図である。
図6図6は、同実施形態に係る手袋の説明図であって、手平側挿通部と手甲側挿通部の説明図である。
図7図7は、本発明の別の実施形態に係る手袋の説明図であって、紐体で手平側被覆材と手甲側被覆材とを締め付けている最中の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態にかかる手袋について、添付図面を参照して説明する。手袋は、図1に示すように、手の平側に配置される手平側被覆材2と、手平側被覆材2とは別体であり且つ手の甲側に配置される手甲側被覆材3と、手平側被覆材2と該手甲側被覆材3とを連結する紐体4と、紐体4の両端に取り付けられた一対の紐止具5とを備えている。
【0021】
手平側被覆材2は、図2に示すように、手の平側を覆う手平側シート20と、該手平側シート20の外縁部のうちの手の側部に対応する部分全周に亘って形成され且つ紐体4が挿通される複数の手平側挿通部21と、手平側シート20の外縁部のうちの手の側部に対応する部分全周に亘って形成される手平側引掛部22とを有する。
【0022】
手平側シート20は、手型に即して形成されており、手の平に対向する手平側内面20aと(図1参照)、手平側内面とは反対側の手平側外面20bとを有する。
【0023】
また、手平側シート20は、手の平に沿わせて配置する手平側ベース部200と、該手平側ベース部200から延出し且つ指に沿わせて配置する複数の手平側延出部201と、手平側ベース部200に連設され且つ手首に沿わせて配置する手平側裾部202とを有する。
【0024】
手平側ベース部200は、手の平に対向させる対向部200aと、該対向部200aの外縁部全周のうちの手の側部と対応する位置に形成されるベース縫代部200bとを有する。
【0025】
手平側延出部201は、五指に対応させて五つ形成されている。本実施形態に係る手平側延出部201は、手平側ベース部200から延出し且つ先端部が丸みを帯びるように形成された延出被覆部201aと、延出被覆部201aの外縁部全周に亘って連続し且つ指の側部に対応して配置される延出縫代部201bとを有する。
【0026】
延出縫代部201bは、幅(すなわち、延出被覆部201aから外方に向けての延出量が全体に亘って一定となっている)そのため、延出縫代部201bのうち、延出被覆部201aの先端部に対応する部分も丸みを帯びている。また、各手平側延出部201の延出縫代部201bは、互いに連続しており、さらに、両端の手平側延出部201の延出縫代部201bは、ベース縫代部200bに連続している。
【0027】
より具体的に説明すると、延出縫代部201bには、延出被覆部201aの基端側(手平側ベース部200)から延出被覆部201aの先端側に向けて延びる一対の直線部201cと、延出縫代部201bの先端部に連続し且つ該一対の直線部201cのそれぞれに連続する湾曲部201dとを有する。
【0028】
湾曲部201dは、手平側ベース部200側とは反対側(すなわち、手平側延出部201が延出する方向)に向けて凸となるように湾曲している。
【0029】
なお、本実施形態では、以下の説明において、手平側延出部201の先端部を頂部201eとする場合がある。なお、手平側延出部201の先端部は、延出縫代部201bの湾曲部201dによって構成されている。
【0030】
また、手平側延出部201の基端部側においては、延出縫代部201b(直線部201c)と隣り合う別の延出縫代部201bとが連続することで谷部201fが形成されている。谷部201fは、手平側ベース部200側に向けて凹状に湾曲している。
【0031】
手平側裾部202は、手平側ベース部200の対向部200aに連続する裾本体部202aと、該裾本体部202aに連設され且つ延出縫代部201bに連続する裾縫代部202bとを有する。
【0032】
裾本体部202aは、手平側ベース部200の対向部200aに連続している。そして、手平側裾部202の裾縫代部202bは、それぞれ、手平側ベース部200のベース縫代部200bに連続している。
【0033】
複数の手平側挿通部21は、手平側シート20の外縁部に沿って間隔をあけて配置されている。本実施形態では、上述のように、手平側ベース部200のベース縫代部200b、手平側延出部201の延出縫代部201b、手平側裾部202の裾縫代部202bがそれぞれ連続しているため、複数の手平側挿通部21は、手平側ベース部200のベース縫代部200b、手平側延出部201の延出縫代部201b、手平側裾部202の裾縫代部202bのそれぞれに形成されている。
【0034】
手平側引掛部22は、手平側シート20の外縁部を圧肉に形成することによって構成されている。また、手平側引掛部22は、手平側外面20b上に形成されている。
【0035】
手甲側被覆材3は、図3に示すように、手の甲側を覆う手甲側シート30と、該手甲側シート30の外縁部に形成され且つ紐体4が挿通される複数の手甲側挿通部31と、手甲側シート30の外縁部のうちの手の側部に対応する部分全周に亘って形成される手甲引掛部32とを有する。
【0036】
手甲側シート30は、手型に即して形成されており、手に対向する面である手甲側内面30aと、手甲側内面30aとは反対側の手甲側外面30bとを有する(図1参照)。手甲側内面30aは、手平側内面20aと向かい合う面である。
【0037】
また、手甲側シート30は、手の甲に沿わせて配置する手甲側ベース部300と、該手甲側ベース部300から延出し且つ指に沿わせて配置する複数の手甲側延出部301と、手甲側ベース部300に連設され且つ手首に沿わせて配置する手甲側裾部302とを有する。
【0038】
手甲側ベース部300は、手の甲に対向させる対向部300aと、該対向部300aの外縁部全周のうちの手の側部と対応する位置に形成されるベース縫代部300bとを有する。
【0039】
手甲側ベース部300の対向部300aは、手平側シート20と、手甲側シート30とを重ね合わせる方向である重合方向において互いに対応する位置に配置されている。手甲側ベース部300の裾縫代部202bは、手平側ベース部200の裾縫代部202bの外面側と重なり合うように配置されている。
【0040】
手甲側延出部301は、五指に対応させて五つ形成されている。本実施形態に係る手甲側延出部301は、手甲側ベース部300から延出し且つ先端部が丸みを帯びるように形成された延出被覆部301aと、延出被覆部301aの外縁部全周に亘って連続し且つ指の側部に対応して配置される延出縫代部301bとを有する。
【0041】
手甲側延出部301の延出被覆部301aは、前記重合方向において、手平側延出部201の延出被覆部201aと対応する位置に配置されている。
【0042】
延出縫代部301bは、幅(すなわち、延出被覆部301aから外方に向けての延出量が全体に亘って一定となっている)そのため、延出縫代部301bのうち、延出被覆部301aの先端部に対応する部分も丸みを帯びている。また、手甲側延出部301の延出縫代部301bは、手平側延出部201の裾縫代部202bの外面側と重なり合うように配置されている。
【0043】
また、各手甲側延出部301の延出縫代部301bは、互いに連続しており、さらに、両端の手甲側延出部301の延出縫代部301bは、ベース縫代部300bに連続している。
【0044】
より具体的に説明すると、延出縫代部301bには、延出被覆部301aの基端側(手甲側ベース部300)から延出被覆部301aの先端側に向けて延びる一対の直線部301cと、延出縫代部301bの先端部に連続し且つ該一対の直線部301cのそれぞれに連続する湾曲部301dとを有する。
【0045】
手甲側延出部301における直線部301cは、前記重合方向において手平側延出部201の直線部201cに対応する位置に配置されている。
【0046】
湾曲部301dは、手甲側ベース部300側とは反対側(すなわち、手甲側延出部201が延出する方向)に向けて凸となるように湾曲している。また、手甲側延出部301における湾曲部301dは、前記重合方向において手平側延出部201の湾曲部201dに対応する位置に配置されている。
【0047】
本実施形態では、以下の説明において、手甲側延出部301の先端部を頂部301eとする場合がある。なお、手甲側延出部301の先端部は、延出縫代部301bの湾曲部301dによって構成されている。
【0048】
また、手甲側延出部301の基端部側においては、延出縫代部301b(直線部301c)と隣り合う別の延出縫代部301bとが連続することで谷部301fが形成されている。谷部301fは、手甲側ベース部300側に向けて凹状に湾曲している。
【0049】
手甲側裾部302は、手甲側ベース部300の対向部300aに連続する裾本体部302aと、該裾本体部302aに連設され且つ延出縫代部301bに連続する裾縫代部302bとを有する。
【0050】
裾本体部302aは、手甲側ベース部300の対向部300aに連続している。また、手甲側裾部302の裾本体部302aは、前記重合方向において手平側裾部202の裾本体部202aと対応する位置に配置されている。
【0051】
手甲側裾部302の裾縫代部302bは、それぞれ、手甲側ベース部300のベース縫代部300bに連続している。さらに、手甲側裾部302の裾縫代部302bは、手平側裾部202の裾縫代部202bの外側に重なり合うようにして配置されている。
【0052】
複数の手甲側挿通部31は、手甲側シート30の外縁部に沿って間隔をあけて配置されている。本実施形態では、上述のように、手甲側ベース部300のベース縫代部300b、手甲側延出部301の延出縫代部301b、手甲側裾部302の裾縫代部302bがそれぞれ連続しているため、複数の手甲側挿通部31は、手甲側ベース部300のベース縫代部300b、手甲側延出部301の延出縫代部301b、手甲側裾部302の裾縫代部302bのそれぞれに形成されている。
【0053】
なお、手甲側挿通部31と手平側挿通部21とは、互いに対応する位置に配置されていてもよいし、互いに位置ずれするようにして配置されていてもよい。
【0054】
手甲側引掛部は、手甲側シート30の外縁部を圧肉に形成することによって構成されている。また、手甲側引掛部32は、手甲側内面30a上に形成されている。手甲側引掛部32と手平側引掛部22とは、互いに引っ掛かり合うように構成されている。
【0055】
紐体4は、図1に示すように、各手平側挿通部21と各手甲側挿通部31とに挿通されている。
【0056】
また、紐体4は、手甲側シート30の外縁部のうちの途中位置に固定されている。より具体的に説明すると、紐体4は、長尺であり、長手方向における一端が手甲側シート30の外縁部のうちの途中位置に固定されている一対の引張線部40を有する。なお、本実施形態に係る紐体4では、引張線部40の一端に手平側挿通部21よりも大きい外形の抜止部材41を取り付けることによって、該一端を手甲側シート30の外縁部の外縁部全周のうちの途中位置に固定している。
【0057】
また、本実施形態において、固定とは、引張線部40の他端を引っ張ったときに手甲側シート30に対する引張線部40の一端の動きを規制可能な構成であればよく、本実施形態のような、引張線部40の一端を手平側挿通部21に対して抜け止めを行う構成としたり、引張線部40の一端を手甲側シート30に直接的に固定する構成としてもよい。
【0058】
一方の引張線部40は、抜止部材41を基点として、手甲側シート30の谷部301fから手甲側延出部301の一方の直線部301c、手甲側延出部301の湾曲部301dと順番に沿うように配置され、一方の裾縫代部302bに到達するように構成されている。
【0059】
他方の引張線部40は、抜止部材41を基点として、一方の引張線部40とは反対側に向けて、手甲側シート30の谷部301fから手甲側延出部301の一方の直線部301c、手甲側延出部301の湾曲部301dと順番に沿うように配置され、他方の裾縫代部302bに到達するように構成されている。
【0060】
各紐止具5は、紐体4の長手方向における各位置で位置決可能に構成されている。上述のように、紐体4は、一対の引張線部40を有するため、一方の紐止具5は、一方の引張線部40の他端に取り付けられ、他方の紐止具5は、他方の引張線部40の他端に取り付けられている。
【0061】
本実施形態に係る手袋1の構成は、以上の通りの構成である。続いて、本実施形態に係る手袋1の使い方について説明を行う。
【0062】
手袋1を手に装着する場合、手平側シート20と、手甲側シート30とを離間させて、各シート20,30間に手を挿し入れることができる状態にする。そして、手平側シート20と、手甲側シート30との間に手を挿し入れる。より具体的には、手の平及び手の甲を手平側ベース部200と手甲側ベース部300との間に配置し、各指を手平側延出部201と手甲側延出部301との間に配置する。
【0063】
次に、一方の引張線部40と、他方の引張線部40とを順番に引っ張る。これにより、一方の引張線部40は、他端側から徐々に引き付けられることで、一方の手平側裾部202の裾縫代部202bと一方の手甲側裾部302の裾縫代部302bとが締め付けられ、次に、手平側延出部201における延出縫代部201bの直線部201cと手甲側延出部301における延出縫代部301bの直線部301cとが締め付けられ、さらに、手平側延出部201における延出縫代部201bの湾曲部201d(頂部201e)と手甲側延出部301における延出縫代部301bの湾曲部301d(頂部301e)とが締め付けられ、続いて、手平側シート20部の谷部301fと手甲側シート30部の谷部301fとが締め付けられる。
【0064】
他方の引張線部40も、他端側から徐々に引き付けられることで、他方の手平側裾部202の裾縫代部202bと他方の手甲側裾部302の裾縫代部302bとが締め付けられ、次に、手平側延出部201における延出縫代部201bの直線部201cと手甲側延出部301における延出縫代部301bの直線部301cとが締め付けられ、さらに、手平側延出部201における延出縫代部201bの湾曲部201d(頂部201e)と手甲側延出部301における延出縫代部301bの湾曲部301d(頂部301e)とが締め付けられ、続いて、手平側シート20部の谷部301fと、手甲側シート30部の谷部301fとが締め付けられる。これにより、手平側シート20と手甲側シート30とが互いに接近しつつ手の外形に沿って変形する。
【0065】
また、図4に示すように、紐体4で手平側シート20と手甲側シート30とが締め付けられる際に、手平側外面20b側に位置する手平側引掛部22と、手甲側内面30a側に位置する手甲側引掛部とが互いに引っ掛かり合うため、手平側シート20の外縁部と手甲側シート30の外縁部とが重なり合った状態が維持される。
【0066】
そして、各引張線部40を充分に引っ張った後に、紐止具5によって各引張線部40の弛みを規制する。これにより、手袋1の装着が完了する。
【0067】
手袋1を取り外す場合は、紐止具5による各引張線部40の弛みへの規制を解除した後に、手平側シート20と手甲側シート30とを離間させる。
【0068】
より具体的には、一方の手平側裾部202の裾縫代部202bと一方の手甲側裾部302の裾縫代部302bとの間隔が広げられると、互いに離間する一方の手平側裾部202の裾縫代部202bと一方の手甲側裾部302の裾縫代部302bとによって、一方の引張紐部40が引き込まれる。これにより、一方の手平側裾部202の裾縫代部202bと一方の手甲側裾部302の裾縫代部302bとを弛めた状態にすることができる。
【0069】
そして、手平側シート20と手甲側シート30とをさらに離間させると、手平側延出部201における延出縫代部201bの直線部201cと手甲側延出部301における延出縫代部301bの直線部301cとが弛められ、さらに、手平側延出部201における延出縫代部201bの湾曲部201d(頂部201e)と手甲側延出部301における延出縫代部301bの湾曲部301d(頂部301e)とが弛められ、続いて、手平側シート20部の谷部301fと手甲側シート30部の谷部301fとが弛められる。
【0070】
また、他方の手平側裾部202の裾縫代部202bと他方の手甲側裾部302の裾縫代部202bとの間隔が広げられると、互いに離間する他方の手平側裾部202の裾縫代部202bと他方の手甲側裾部302の裾縫代部302bとによって、他方の引張紐部40が引き込まれる。これにより、他方の手平側裾部202の裾縫代部302bと他方の手甲側裾部302の裾縫代部302bとを弛めた状態にすることができる。
【0071】
そして、手平側シート20と手甲側シート30とをさらに離間させると、手平側延出部201における延出縫代部201bの直線部201cと手甲側延出部301における延出縫代部301bの直線部301cとが弛められ、さらに、手平側延出部201における延出縫代部201bの湾曲部201d(頂部201e)と手甲側延出部301における延出縫代部301bの湾曲部301d(頂部301e)とが弛められ、続いて、手平側シート20部の谷部301fと手甲側シート30部の谷部301fとが弛められる。
【0072】
そして、手平側シート20と手甲側シート30の間から手を抜き取ることによって、手袋1の取り外しが完了する。
【0073】
手から取り外した手袋1は、手平側シート20と手甲側シート30とをさらに離間させると、該手平側シート20と手甲側シート30との間隔をさらに広げることができるため、内部(手平側シート20の手平側内面、及び手甲側シート30の手甲側内面30a)を洗い易い状態にすることができる。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る手袋1では、紐体4が、手平側シート20の外縁部に形成される手平側挿通部21のそれぞれと、手甲側シート30の外縁部に形成される手甲側挿通部31のそれぞれとに挿通され、さらに、紐体4を締め付けて手平側シート20と手甲側シート30との間隔を狭めることでそれぞれの外縁部を重ね合わせた状態にし、手平側シート20と手甲側シート30との間隔が広げられることでそれぞれに対する締め付けが弛められるように構成される。
【0075】
そのため、手平側シート20と手甲側シート30との間に手を挿し入れた状態で、手平側シート20と手甲側シート30とを紐体4によって締め付けると、該手平側シート20と手甲側シート30とが手の形状に沿って変形する。従って、手袋1は、手平側シート20と手甲側シート30とを使用者の手に応じた形状にして装着することができる。
【0076】
また、手平側シート20と手甲側シート30との間隔を広げて紐体4を弛めることで手平側シート20と手甲側シート30との間から手を抜き取ることができる状態になり、手平側シート20と手甲側シート30との間隔をさらに広げることで内部を洗い易い状態にすることもできる。
【0077】
従って、手袋1は、装着性が高く、衛生的な状態を保ち易いという優れた効果を奏し得る。
【0078】
また、本実施形態に係る手袋1の紐体4は、一端と他端との間の途中位置で手平側シート20の外縁部又は手甲側シート30の外縁部に固定されているため、紐体4が手平側シート20の外縁部又は手甲側シート30の外縁部に固定される基点位置Pで区切られており、これにより、手平側シート20と手甲側シート30とを締め付けたり、手平側シート20と手甲側シート30に対する締め付けを弛めたりするに伴って紐体4に生じる力が分散される。
【0079】
さらに、紐体4は、各手平側延出部201の頂部201eと各手甲側延出部301の頂部301eとに対応する位置、及び手平側延出部201の間の各谷部201fと各手甲側延出部301の間の各谷部301fとに対応する位置で、手平側挿通部21又は手甲側挿通部31に挿通されているため、外縁が湾曲した形状である手平側延出部201の頂部201eや、各手甲側延出部301の頂部301eに対応する位置において、紐体4が手平側挿通部21又は手甲側挿通部31に挿通されている。
【0080】
これにより、紐体4で手平側シート20と手甲側シート30とを締め付けたときに、手平側延出部201の頂部201eと各手甲側延出部301の頂部301eとの間に隙間が形成されることを抑えることができる。
【0081】
また、外縁が湾曲した形状である手平側延出部201の間の各谷部201fと各手甲側延出部301の間の各谷部301fとに対応する位置においても、紐体4が手平側挿通部21又は手甲側挿通部31に挿通されるため、紐体4で手平側シート20と手甲側シート30とを締め付けたときに、手平側延出部201の谷部201fと各手甲側延出部301の谷部301fとの間に隙間が形成されることを抑えることができる。
【0082】
なお、本発明の手袋1は、上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
【0083】
上記実施形態において、複数の手平側挿通部21には、各手平側延出部201の頂部201eと、隣り合う手平側延出部201の基端部の間の各谷部201fとに形成されたものが含まれていたが、この構成に限定されない。例えば、各手平側挿通部21は、各手平側延出部201の頂部201eと、隣り合う手平側延出部201の基端部の間の各谷部201fとから外れた位置に形成されていてもよい。この場合、複数の手甲側挿通部31に、各手甲側延出部301の頂部301eと、隣り合う手甲側延出部301の基端部の間の各谷部301fとに形成されたものが含まれていればよい。
【0084】
上記実施形態において、紐体4は、各手平側延出部201の頂部201eと各手甲側延出部301の頂部301eとに対応する位置、及び手平側延出部201の間の各谷部201fと各手甲側延出部301の間の各谷部301fとに対応する位置で、手平側挿通部21に挿通されていたが、この構成に限定されない。
【0085】
例えば、紐体4は、各手平側延出部201の頂部201eと各手甲側延出部301の頂部301eとに対応する位置、及び手平側延出部201の間の各谷部201fと各手甲側延出部301の間の各谷部301fとに対応する位置で、手甲側挿通部31に挿通されていてもよい。
【0086】
上記実施形態において、手平側挿通部21は、手平側シート20に形成された貫通孔で構成され、手甲側挿通部31は、手甲側シート30に形成された貫通孔で構成されていたが、この構成に限定されない。
【0087】
例えば、手平側挿通部21は、図5及び図6に示すように、手平側シート20部の手平側外面20bに形成された筒状の手平側挿通部21と、手甲側シート30部の手甲側内面30aに形成された筒状の手甲側挿通部31とに紐体4を挿通するようにしてもよい。
【0088】
かかる構成によれば、手平側挿通部21の軸方向が手平側シート20の外縁部が延びる方向に沿い、手甲側挿通部31の軸方向が手甲側シート30の外縁部が延びる方向に沿う。
【0089】
そのため、手平側挿通部21への紐体4の挿通方向が、手平側シート20の外縁部が延びる方向に沿い、手甲側挿通部31への紐体4の挿通方向が、手甲側シート30の外縁部が延びる方向に沿う。従って、手平側挿通部21への紐体4の挿通方向と、手甲側挿通部31への紐体4の挿通方向とを揃えることができる。従って、手平側シート20と手甲側シート30に対する締め付けを弛めたりする際に紐体4の動く方向を揃えることができる。
【0090】
従って、紐体4による締め付け、又は弛め操作を円滑に行えるようになる。なお、図5及び図6に示す手平側挿通部21は、例えば、手平側シート20の外縁部に切り込みを形成し、該切り込みの片側の部分を筒状に丸めて形成してもよい。また、手甲側挿通部31も、手甲側シート30の外縁部に切り込みを形成し、該切り込みの片側の部分を筒状に丸めて形成してもよい。
【0091】
また、手平側挿通部21の軸方向は、手平側シート20の外縁部が延びる方向に対して僅かに傾斜していてもよいし、手甲側挿通部31の軸方向は、手甲側シート30の外縁部が延びる方向に対して僅かに傾斜していてもよい。このようにすれば、手平側挿通部21では、一方の開口端が外縁側に位置し且つ他方の開口端が手の中央側に位置し、手平側挿通部21では、一方の開口端が外縁側に位置し且つ他方の開口端が手の中央側に位置する。これにより、紐体4を締め付けたときに、手平側挿通部21と手甲側挿通部31とが干渉してしまうことを防止することができるため、紐体4による締め付け、又は弛め操作を円滑に行えるようになる。
【0092】
そして、手平側挿通部21は、図7に示すように、手平側シート20の外縁端よりも外側に配置されていてもよいし、手甲側挿通部31は、手甲側シート30の外縁端よりも外側に配置されていてもよい。この場合においても、紐体4の動く方向を揃えることができるため、手平側シート20と手甲側シート30との締め付けや、手平側シート20と手甲側シート30に対する締め付けを弛める際に、紐体4に生じる力が分散される。
【符号の説明】
【0093】
1…手袋、2…手平側被覆材、3…手甲側被覆材、4…紐体、5…紐止具、20…手平側シート、20a…手平側内面、20b…手平側外面、21…手平側挿通部、22…手平側引掛部、30…手甲側シート、30a…手甲側内面、30b…手甲側外面、31…手甲側挿通部、32…手甲引掛部、40…引張線部、41…抜止部材、200…手平側ベース部、200a…対向部、200b…ベース縫代部、201…手平側延出部、201…手甲側延出部、201…手平側延出部、201a…延出被覆部、201b…延出縫代部、201c…直線部、201d…湾曲部、201e…頂部、201f…谷部、202…手平側裾部、202a…裾本体部、202b…裾縫代部、300…手甲側ベース部、300a…対向部、300b…ベース縫代部、301…手甲側延出部、301a…延出被覆部、301b…延出縫代部、301c…直線部、301d…湾曲部、301e…頂部、301f…谷部、302…手甲側裾部、302a…裾本体部、302b…裾縫代部、P…基点位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7