特許第6714905号(P6714905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6714905
(24)【登録日】2020年6月10日
(45)【発行日】2020年7月1日
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/04 20060101AFI20200622BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20200622BHJP
【FI】
   B66B11/04 C
   B66B7/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-4337(P2018-4337)
(22)【出願日】2018年1月15日
(65)【公開番号】特開2019-123579(P2019-123579A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2019年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】井▲崎▼ 陽
【審査官】 加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第02/079068(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/030943(WO,A1)
【文献】 国際公開第01/081227(WO,A1)
【文献】 国際公開第01/089975(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/04
B66B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降するカゴとカウンターウェイトとを連結するロープが巻き掛けられるシーブ、及び該シーブを回転駆動する本体が水平面に沿った第一方向に並ぶ巻上機と、
前記昇降路の上部前記第一方向と直交し且つ前記水平面に沿った第二方向に対向する壁間にそれぞれ架け渡されるように延びて該昇降路を横断し、且つ前記第一方向に間隔をあけて配置される一対の梁部と、
前記一対の梁部に支持された状態で該一対の梁部の間を通って下方に向けてそれぞれ延び且つ前記第二方向における前記巻上機の両側に配置される一対の垂下部材を有し、前記一対の梁部の下方に配置された前記巻上機を支持する支持部と、
前記支持部と前記昇降路を規定する壁又は前記昇降路内に配置される他の部材とを前記第一方向に接続する接続部と、を備え
前記巻上機の前記本体の上端部は、前記一対の梁部のうちの一方の梁部と前記第一方向において防振部材を介して接続されている、エレベータ。
【請求項2】
前記昇降路内において垂直方向に延び且つ前記カウンターウェイトを案内するカウンターウェイトレールを備え、
前記接続部は、前記カウンターウェイトレールに直接又は間接に接続される、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記巻上機は、底面が前記支持部に支持されていない状態で前記一対の垂下部材に固定され、
前記接続部は、前記垂下部材に直接又は間接に接続される、請求項1又は2に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カゴとカウンターウェイトとを連結するロープが巻き掛けられる巻上機が昇降路の上部に配置されているエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カゴとカウンターウェイトとを連結するロープが巻き掛けられる巻上機が昇降路の上部に配置されるエレベータが知られている(特許文献1参照)。このエレベータは、図7及び図8に示すように、水平方向に間隔をあけた状態で昇降路の上部を横断する一対の梁部510と、梁部510に吊り下げられる巻上機設置枠520と、巻上機設置枠520に設置される巻上機530と、を備える。
【0003】
巻上機設置枠520は、梁部510の長手方向に間隔をあけて配置され且つその長手方向の両端部がそれぞれ梁部510に支持される一対の上枠521と、各上枠521の長手方向の両端部にそれぞれ配置され且つ上端が上枠521に連結された状態で垂下する四本の垂下部材522と、垂下部材522の下端に配置され且つ両端が上枠521の長手方向に対向した垂下部材522に連結される一対の下枠523と、梁部510の長手方向に間隔をあけて配置された垂下部材522の下端同士を連結する一対の連結枠524と、を有する。
【0004】
巻上機530は、以上のように構成される巻上機設置枠520の一対の下枠523及び一対の連結枠524のうちの少なくとも一方の部材に下部が締結されることで、巻上機設置枠520に固定されている。この巻上機530には、カゴとカウンターウェイトとを連結するロープrが巻掛けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−178990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の昇降路内での設置機器等の配置スペースの省スペース化や構成の簡素化等の要請から、巻上機設置枠520の垂下部材522を一対にすることが考えられる。
【0007】
しかし、この場合、四本の垂下部材522を有する巻上機設置枠520に比べ、巻上機設置枠520の下端部が一対の垂下部材の対向する方向と直交する方向(図9の矢印α参照)へ移動し易くなり、これにより、巻上機設置枠520の揺れや巻上機530の傾き(巻上機設置枠520の下端部の前記直交する方向への移動に起因する巻上機530の傾き。)等が生じ易くなる。
【0008】
そこで、本発明は、昇降路内を横断する梁部から垂下する一対の垂下部材によって巻上機が支持されていても該巻上機の揺れや傾きが生じ難いエレベータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエレベータは、昇降路内を昇降するカゴとカウンターウェイトとを連結するロープが巻き掛けられるシーブ、及び該シーブを回転駆動する本体が水平面に沿った第一方向に並ぶ巻上機と、前記昇降路の上部を前記第一方向と直交し且つ前記水平面に沿った第二方向に延びて横断する梁部と、前記梁部から下方に向けてそれぞれ延び且つ前記第二方向における前記巻上機の両側に配置される一対の垂下部材を有し、前記梁部の下方に配置された前記巻上機を支持する支持部と、前記支持部と前記昇降路を規定する壁又は前記昇降路内に配置される他の部材とを前記第一方向に接続する接続部と、を備える。
【0010】
かかる構成によれば、梁部に対して一対の垂下部材によってぶら下がった状態の支持部により巻上機が支持されているが、該支持部が接続部によって昇降路を規定する壁又は昇降路内に配置される他の部材と第一方向に接続されているため、支持部の下端部の第一方向(一対の垂下部材の対向する方向と直交する方向)への移動が抑えられ、これにより、巻上機(支持部)の揺れや傾き等が生じ難くなる。
【0011】
また、前記エレベータは、前記昇降路内において垂直方向に延び且つ前記カウンターウェイトを案内するカウンターウェイトレールを備え、前記接続部は、前記カウンターウェイトレールに直接又は間接に接続されてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、支持部がカウンターウェイトレールと第一方向に接続されることで該カウンターウェイトレールには、支持部からの垂直方向への力が加わらない若しくは加わり難いため、座屈方向の強度を確保するためにカウンターウェイトレールを太くしなくてもよい、即ち、カウンターウェイトレールを太くすることによるカウンターウェイトレールの設置スペースの増大を防ぐことができる。
【0013】
また、前記エレベータでは、前記巻上機は、底面が前記支持部に支持されていない状態で前記一対の垂下部材に固定され、前記接続部は、前記垂下部材に直接又は間接に接続されてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、支持部において巻上機を下方側から支持する部材(部位)がないため、前記下方側から支持する部材(部位)の寸法分、昇降路における所謂オーバーヘッド寸法(エレベータのカゴが着床する最上階の床から昇降路の頂部までの寸法)を抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上より、本発明によれば、昇降路内を横断する梁部から垂下する一対の垂下部材によって巻上機が支持されていても該巻上機の揺れや傾きが生じ難いエレベータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係るエレベータの構成を示す模式図である。
図2図2は、前記エレベータの昇降路上部を巻上機の正面側から見たときの構成を示す模式図である。
図3図3は、前記エレベータの昇降路上部を巻上機の側面側から見たときの構成を示す模式図である。
図4図4は、カゴ及びカウンターウェイトの荷重による巻上機の傾きを示す図である。
図5図5は、他実施形態に係るエレベータの昇降路上部を巻上機の正面側から見たときの構成を示す模式図である。
図6図6は、他実施形態に係るエレベータの昇降路上部を巻上機の側面側から見たときの構成を示す模式図である。
図7図7は、従来のエレベータの昇降路上部を巻上機の正面側から見たときの模式図である。
図8図8は、従来のエレベータの昇降路上部を巻上機の側面側から見たときの模式図である。
図9図9は、従来のエレベータにおいて巻上機設置枠の垂下部材が一対の場合に、巻上機が傾きやすい方向を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図1図4を参照しつつ説明する。
【0018】
本実施形態に係るエレベータは、図1に示すように、建物内において垂直方向に延びる昇降路2と、昇降路2内を昇降するカゴ3と、カゴ3と連動して昇降路2内を昇降するカウンターウェイトWと、カゴ3とカウンターウェイトWとを連結するロープRと、ロープRを駆動する巻上機4と、を備える。また、エレベータ1は、巻上機4の上方において昇降路2を横断(本実施形態の例では、昇降路2の上部を横断)する梁部5と、梁部5の下方に配置された巻上機4を支持する支持部6と、支持部6と昇降路2を規定する壁又は昇降路2内に配置される他の部材とを接続する接続部7と、を備える。さらに、エレベータ1は、カゴ3を昇降路2内で案内するカゴレールR1と、カウンターウェイトWを昇降路2内で案内するウェイトガイド部8と、を備える。以下では、利用客がカゴ3に乗降する方向(図1における左右方向)を直交座標系におけるX軸方向(第二方向)とし、X軸方向と直交し且つ水平面に沿った方向(図1における紙面と垂直方向)を直交座標系におけるY軸方向(第一方向)とし、垂直方向(カゴ3の昇降方向)を直交座標系におけるZ軸方向とする。
【0019】
カゴレールR1は、Z軸方向に延び、カゴ3のY軸方向の両側のそれぞれに配置される。これら一対のカゴレールR1は、Y軸方向に間隔(カゴ3のY軸方向の寸法と対応する間隔)をあけて平行に配置され、昇降路2内においてカゴ3をZ軸方向に案内(ガイド)する。
【0020】
ウェイトガイド部8は、Z軸方向に延び、カウンターウェイトWのX軸方向の両側のそれぞれに配置されるカウンターウェイトレールR2を有する。これら一対のカウンターウェイトレールR2は、X軸方向に間隔(カウンターウェイトWのX軸方向の寸法と対応する間隔)をあけて平行に配置され、昇降路2内においてカウンターウェイトWをZ軸方向に案内(ガイド)する。本実施形態のエレベータ1では、一対のカウンターウェイトレールR2は、昇降路2内におけるY軸方向の一方側の端部に配置される。
【0021】
また、ウェイトガイド部8は、図2及び図3にも示されるように、X軸方向に延びてカウンターウェイトレールR2の上端同士を連結する水平部材81と、水平部材81の上端から上方に延びる第一延出部82と、を有する。本実施形態のウェイトガイド部8は、二つの第一延出部82を有する。これら二つの第一延出部82は、X軸方向に間隔(後述する一対の垂下部材62の間隔と対応する間隔)をあけて配置されている。
【0022】
巻上機4は、ロープRが巻き掛けられるシーブ41と、該シーブ41を回転駆動する巻上機本体(本体)42と、を有する。シーブ41は、Y軸方向に延びる回転軸Cを回点中心にして回動(回転)する。これらシーブ41と巻上機本体42とは、Y軸方向(シーブ41の回転軸C方向)に並んでいる。本実施形態の巻上機4は、いわゆる薄型の巻上機であり、例えば、この巻上機4のY軸方向の寸法は、巻上機4のX軸方向の寸法より小さい。この巻上機4のシーブ41が回動することによって、カゴ3が昇降路2を昇降する。
【0023】
梁部5は、昇降路2の上部をX軸方向に延びて横断する。本実施形態の梁部5は、Y軸方向に間隔をあけて一対配置される。この梁部5は、例えばI形鋼又はH形鋼である。これら一対の梁部5は、Z軸方向から見て昇降路2におけるカゴ3と重ならない位置、具体的には、Z軸方向から見てカゴ3とY軸方向に隣り合う位置に配置されている。本実施形態の一対の梁部5は、Z軸方向から見て、昇降路2内におけるY軸方向の一方側(図3における左側)の端部、即ち、Z軸方向から見て、カウンターウェイトWやカウンターウェイトレールR2が配置されている領域と重なる位置に配置されている。
【0024】
支持部6は、梁部5から下方に向けてそれぞれ延び且つX軸方向における巻上機4の両側に配置される一対の垂下部材62を有する。具体的に、支持部6は、一対の梁部5間に架け渡される一対の架け渡し部材61と、一対の架け渡し部材61から垂下する一対の垂下部材62と、を有する。本実施形態の支持部6は、巻上機4が水平部材81の上方に位置するように該巻上機4を支持(保持)している。
【0025】
一対の架け渡し部材61のそれぞれは、Y軸方向に延び、両端部が一対の梁部5に上側から接続されている。本実施形態の架け渡し部材61は、防振部材63を介して一対の梁部5に上側から接続されている。これら一対の架け渡し部材61は、X軸方向に間隔をあけて配置されている。この間隔は、巻上機4のX軸方向の寸法に対応する。本実施形態の架け渡し部材61は、例えば山形鋼(いわゆるアングル)である。
【0026】
一対の垂下部材62のそれぞれは、Z軸方向に延び、上端が架け渡し部材61に接続されている。これら一対の垂下部材62は、巻上機4をX軸方向において挟み込むように配置され、各垂下部材62は、巻上機4のX軸方向の端部に連結(接続)されている。即ち、一対の垂下部材62に巻上機4が固定されている。各垂下部材62は、架け渡し部材61から巻上機4の下端位置までZ軸方向に(下方に向けて)延びている。本実施形態の垂下部材62は、例えば溝形鋼である。
【0027】
また、支持部6は、垂下部材62の下端から下方に延びる第二延出部64も有する。具体的に、この第二延出部64は、垂下部材62の下端に固定されて該垂下部材62から下方に延び且つY軸方向から見て第一延出部82と重なる。本実施形態の第二延出部64は、一対の垂下部材62のそれぞれに取り付けられている。即ち、支持部6は、二つの第二延出部64を有する。
【0028】
接続部7は、支持部6と昇降路2内に配置される他の部材(本実施形態の例では、ウェイトガイド部8)とをY軸方向に接続する。この接続部7は、支持部6とウェイトガイド部8との間に配置される防振部材71と、支持部6とウェイトガイド部8とを連結する連結部材72と、を有する。本実施形態の接続部7では、防振部材71が第一延出部82と第二延出部64との間に配置され、連結部材72が各部材82、71、64を貫通した状態で第一延出部82と第二延出部64とを連結している。例えば、連結部材72は、長尺なボルトと、該ボルトと螺合するナットと、を有する。
【0029】
以上のエレベータ1によれば、梁部5に対して一対の垂下部材62によってぶら下がった状態の支持部6により巻上機4が支持されているが、該支持部6が接続部7によって昇降路2内に配置されている他の部材(ウェイトガイド部8)とY軸方向に接続されているため、支持部6の下端部のY軸方向(一対の垂下部材62が互いに対向する方向と直交する方向)への移動が抑えられる。これにより、巻上機4(支持部6)のY軸方向に沿った揺れや、図4に示すような傾き(シーブ41にカゴ3、カウンターウェイトW等の荷重が加わることによる巻上機4や支持部6の傾き)等が生じることを防ぐことができる。
【0030】
また、本実施形態のエレベータ1では、接続部7が、ウェイトガイド部8に接続されている、即ち、接続部7は、第一延出部82と水平部材81とを介して支持部6とカウンターウェイトレールR2とを接続している。このように、本実施形態のエレベータ1では、支持部6がカウンターウェイトレールR2とY軸方向に接続されているため、該カウンターウェイトレールR2には、支持部6からの垂直方向への力が加わらない若しくは加わり難い。このため、座屈方向の強度を確保するためにカウンターウェイトレールR2を太くしなくてもよい。即ち、昇降路2内において、カウンターウェイトレールR2を太くすることによるカウンターウェイトレールR2の設置スペースの増大を防ぐことができる。
【0031】
また、本実施形態のエレベータ1では、巻上機4が、底面を支持部6に支持されていない状態(即ち、下側から支持されていない状態)で一対の垂下部材62に固定されている。このように、本実施形態の支持部6では、巻上機4を下方側から支持する部材(部位)がないため、前記下方側から支持する部材(部位)の寸法分、昇降路2におけるオーバーヘッド寸法(エレベータ1のカゴ3が着床する最上階の床から昇降路2の頂部までの寸法)を抑えることができる。
【0032】
尚、本発明のエレベータは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0033】
上記実施形態の支持部6は、下側から巻上機4を支持する部材を有していないが、この構成に限定されない。例えば、図5及び図6に示すように、支持部6は、下側から巻上機4を支持する下側支持部材65を有してもよい。
【0034】
このように、支持部6が下側支持部材65を有している場合、第二延出部64は、下側支持部材65に取り付けられる(固定される)。また、巻上機4は、下側支持部材65に連結(固定)されてもよい。
【0035】
Y軸方向の寸法の小さな薄型の巻上機4において、シーブ41と巻上機本体42とがY軸方向に並び、カゴ3とカウンターウェイトWとの荷重がシーブ41に加わることで、該巻上機4は、上端部側から倒れ込むように(お辞儀するように)傾こうとする(図4参照)。このため、エレベータ1において、巻上機4の上部と梁部5とをY軸方向に接続する倒れ抑制部9が設けられることで、前記倒れ込みが効果的に防がれる。図5及び図6に示す例では、倒れ抑制部9は、巻上機本体42の上部から上方に延びる第三延出部43と、梁部5と、を接続する。例えば具体的に、倒れ抑制部9は、巻上機4と梁部5との間に配置される防振部材91と、巻上機4と梁部5とを連結する連結部材92と、を有する。この倒れ抑制部9では、防振部材91が第三延出部43と梁部5との間に配置され、連結部材92が各部材43、91、5を貫通した状態で第三延出部43と梁部5とを連結している。例えば、連結部材92は、長尺なボルトと、該ボルトと螺合するナットと、を有する。
【0036】
また、かかる構成によれば、倒れ抑制部9が梁部5に直接接続されているため、倒れ抑制部9によって巻上機4の上部(図5及び図6に示す例では、第三延出部43)とY軸方向に接続される部材(又は部位)を梁部5以外に別途設ける必要がなく、これにより、前記部材(又は前記部位)が設けられる場合に比べ、該部材(又は該部位)の配置スペース分のオーバーヘッド寸法を抑えることができる。
【0037】
上記実施形態の接続部7は、第一延出部82及び水平部材81を介して(即ち、間接に)カウンターウェイトレールR2に接続されているが、この構成に限定されない。接続部7は、カウンターウェイトレールR2に直接接続されてもよい。このように、接続部7が支持部6とカウンターウェイトレールR2とをY軸方向に直接接続していても、カウンターウェイトレールR2には支持部6からのZ軸方向(垂直方向)への力が加わらない若しくは加わり難い。このため、座屈方向の強度を確保するためにカウンターウェイトレールR2を太くしなくてもよい。
【0038】
また、上記実施形態の接続部7は、支持部6とウェイトガイド部8とを接続しているが、この構成に限定されない。接続部7は、支持部6と昇降路2に配置される他の部材(例えば、カゴレールR1、制御盤等)とを直接または間接に接続してもよい。また、接続部7は、支持部6と、昇降路2を規定する壁面と、を接続してもよい。
【0039】
上記実施形態の巻上機4は、Y軸方向の寸法の小さな(いわゆる薄型の)巻上機であるが、この構成に限定されない。巻上機4のY軸方向の寸法がX軸方向の寸法より大きくてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…エレベータ、2…昇降路、3…カゴ、4…巻上機、41…シーブ、42…巻上機本体(本体)、43…第三延出部、5…梁部、6…支持部、61…架け渡し部材、62…垂下部材、63…防振部材、64…第二延出部、65…下側支持部材、7…接続部、71…防振部材、72…連結部材、8…ウェイトガイド部、81…水平部材、82…第一延出部、9…抑制部、91…防振部材、92…連結部材、510…梁部、520…巻上機設置枠、521…上枠、522…垂下部材、523…下枠、524…連結枠、530…巻上機、R…ロープ、R1…カゴレール、R2…カウンターウェイトレール、W…カウンターウェイト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9