特許第6714980号(P6714980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6714980
(24)【登録日】2020年6月10日
(45)【発行日】2020年7月1日
(54)【発明の名称】羽根付き鋼管杭等の長尺構造物の吊り具
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/14 20060101AFI20200622BHJP
   B66C 1/62 20060101ALI20200622BHJP
【FI】
   B66C1/14 A
   B66C1/62 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-134660(P2015-134660)
(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公開番号】特開2017-13992(P2017-13992A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511250976
【氏名又は名称】ウィング工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 善之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 久良男
(72)【発明者】
【氏名】勢司 謙一
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−191382(JP,U)
【文献】 特開2014−201444(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202004012333(DE,U1)
【文献】 実開昭63−123578(JP,U)
【文献】 米国特許第08544912(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/14
B66C 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺構造物を2本1組または2束1組として横置きして荷揚げ装置で吊る際に用いる吊り具であって、
横置きされた前記長尺構造物の上部に載置され、前記長尺構造物に上方から接触する押さえ面を有する押さえ部材と、
一端が該押さえ部材に接続された固定端であり、他端が前記荷揚げ装置によって吊られる被吊り部が形成された自由端となっている、前記固定端から前記自由端までの長さが等しい一対の吊り用索状部材と、
を備え、
前記押さえ部材と前記吊り用索状部材は、前記荷揚げ装置が前記長尺構造物を吊る際に生じる前記吊り用索状部材の張力によって、前記長尺構造物を結束するものであり、
使用状態において、前記吊り用索状部材は、2本1組または2束1組の前記長尺構造物の隙間に前記自由端を通し、該長尺構造物の下で外側へ掛け回され、前記押さえ部材の上方にて前記荷揚げ装置によって吊られた状態となることを特徴とする、長尺構造物の吊り具。
【請求項2】
長尺構造物を2本1組または2束1組として横置きして荷揚げ装置で吊る際に用いる吊り具であって、
横置きされた前記長尺構造物の上部に載置され、前記長尺構造物に上方から接触する押さえ面を有する押さえ部材と、
一端が該押さえ部材に接続された固定端であり、他端が前記荷揚げ装置によって吊られる被吊り部が形成された自由端となっている、前記固定端から前記自由端までの長さが等しい一対の吊り用索状部材と、
を備え、
前記押さえ部材と前記吊り用索状部材は、前記荷揚げ装置が前記長尺構造物を吊る際に生じる前記吊り用索状部材の張力によって、前記長尺構造物を結束するものであり、
前記押さえ面に、前記2本1組または2束1組の長尺構造物の間に向けて突出する楔形の突起が形成されていることを特徴とする、長尺構造物の吊り具。
【請求項3】
前記吊り用索状部材の固定端は、前記横置きされた2本1組または2束1組の長尺構造物どうしの間隔と同等であることを特徴とする、請求項1または2に記載の長尺構造物の吊り具。
【請求項4】
前記押さえ面が平坦面であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の長尺構造物の吊り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽根付き鋼管杭等の長尺構造物を2本1組または2束1組として横置きしてクレーン、ウィンチなどの荷揚げ装置で吊る際に用いる吊り具に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の基礎として羽根付き鋼管杭が利用されている。羽根付き鋼管杭を施工現場で荷下ろしする際は、2本1組として鋼帯で結束した鋼管杭にワイヤーを絞り掛けし、荷揚げ装置で吊り上げ移動してから下ろすといった作業が行われる。
【0003】
また、羽根付き鋼管杭を組み合わせると安定した状態になり難い。そこで、このような問題を解決するべく、羽根付き鋼管杭と他の羽根付き鋼管杭とを、互いの鋼管と羽根切欠部とを係合させた状態で重ね合わせるという技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5576954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、2本1組で組み合わせられた羽根付き鋼管杭は、上述のように鋼帯で結束されていても、鋼管と鋼管、または鋼管と羽根とが点で接触した状態であることから、ずれやすいという欠点がある。また、ワイヤーの掛け方には個人差があるため、掛け方によっては不安定な吊り方となり、荷下ろし中に鋼管杭がずれてしまうことがある。実際、荷下ろし中にずれた羽根付き鋼管杭の羽根の間で指を挟まれるといった災害事例がしばしば発生している。
【0006】
また、特許文献1のごとく鋼管と羽根切欠部とを係合させても、羽根を同じ向きにして両鋼管杭を組み合わせていれば、やはりずれる場合がある。一方、羽根を異なる向きにして両鋼管杭を組み合わせると、互いの羽根の位置が離れることから荷積みや仮置きした際に嵩張りやすくなり、また、このように組み合わせても荷下ろし等の最中にずれる場合はある。
【0007】
そこで、本発明は、羽根付き鋼管杭等の長尺構造物を2本1組あるいは2束1組として横置きして荷揚げ装置で吊る際、長尺構造物のずれを抑え、安定して荷下ろし等することができる羽根付き鋼管杭等の長尺物の吊り具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するべく、荷下ろし中の鋼管杭等のずれを抑えるという点に着眼しつつ検討を重ねた本発明者は、かかる課題の解決に結び付く新たな知見を得るに至った。本発明はかかる知見に基づくものであり、羽根付き鋼管杭等の長尺構造物を2本1組または2束1組として横置きして荷揚げ装置で吊る際に用いる吊り具であって、
横置きされた前記長尺構造物の上部に載置され、前記長尺構造物に上方から接触する押さえ面を有する押さえ部材と、
一端が該押さえ部材に接続された固定端であり、他端が前記荷揚げ装置によって吊られる被吊り部が形成された自由端となっている、前記固定端から前記自由端までの長さが等しい一対の吊り用索状部材と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
この長尺構造物の吊り具によると、長さが等しい一対の吊り用索状部材を使って、横置きにした状態の長尺構造物を両側からバランスよく吊るすことができる。しかも、2本1組の長尺構造物は、押さえ部材によってその上部が均等に押さえ付けられているため、左右に並んだ状態に維持されやすい。したがって、荷下ろし等の最中に長尺構造物がずれてしまうのを抑制することができる。
【0010】
羽根付き鋼管杭等の長尺構造物の吊り具の使用状態において、前記吊り用索状部材は、2本1組の前記長尺構造物の隙間に前記自由端を通し、該長尺構造物の下で外側へ掛け回され、前記押さえ部材の上方にて前記荷揚げ装置によって吊られた状態となる。
【0011】
前記吊り用索状部材の固定端は、前記横置きされた2本1組または2束1組の長尺構造物どうしの間隔と同等であってもよい。
【0012】
前記押さえ面が平坦面であってもよい。
【0013】
前記押さえ面に、前記2本1組または2束1組の長尺構造物の間に向けて突出する楔形の突起が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、羽根付き鋼管杭等の長尺構造物を2本1組あるいは2束1組として横置きして荷揚げ装置で吊る際、長尺構造物のずれを抑え、安定して荷下ろし等することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態を示す、羽根付き鋼管杭を吊った状態の吊り具の図である。
図2】吊り具の押さえ部材の構成例を示す平面図である。
図3】吊り具の押さえ部材の構成例を示す側面図である。
図4】羽根付き鋼管杭の隙間に、吊り用ワイヤー部材の自由端を上方から下方へと通す作業について説明する図である。
図5】2本1組の羽根付き鋼管杭を2基の吊り具によって吊ったときの状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1図5に、本発明にかかる吊り具1を、羽根付き鋼管杭100を吊り上げ移動する際に適用した例を示す。この吊り具1は、羽根付き鋼管杭100を2本1組として横置きしてクレーン(荷揚げ装置の一例)で吊る際に用いる吊り具1として構成されているもので、押さえ部材2と、吊り用ワイヤー部材3とを備える。
【0018】
押さえ部材2は、横置きされた状態の羽根付き鋼管杭100の上部に載置される部材である。押さえ部材2には、吊り用ワイヤー部材3の固定端31が接続されている。また、押さえ部材2には、羽根付き鋼管杭100に上方から接触する押さえ面2aが形成されている。
【0019】
本実施形態の押さえ部材2は、一対のアングル材21と、プレート材22と、締結材23と、で構成されている(図1等参照)。
【0020】
アングル材21は、押さえ部材2の大部分を構成する鋼製の部材である。本実施形態では、一対のアングル材21が間隔Dを空けて対称配置され、その間にプレート材22を挟んだ状態で、ボルトおよびナットからなる2組の締結材23により締結される(図2等参照)。
【0021】
一対のアングル材21は、各々の底面が面一になる状態で締結されており、両底面によって平坦な押さえ面2aが形成されている(図3参照)。このようなアングル材21を使って押さえ部材2を構成することによって、羽根付き鋼管杭100を吊り上げる吊り具1の押さえ部材2として必要な強度を実現しやすい。
【0022】
吊り用ワイヤー部材3は、羽根付き鋼管杭100の重量を支持する鋼線で構成されている。吊り用ワイヤー部材3の一端は押さえ部材2に接続された固定端31であり、他端は、クレーンによって吊られる被吊り部33が形成された自由端32となっている。固定端31は、一対のアングル材21の間隔Dにおいて、例えば当該固定端31に形成された輪に締結材23が通される等して、締結材23に取り付けられている。本実施形態では、1組の締結材23のそれぞれに、固定端31から自由端32までの長さが等しい吊り用ワイヤー部材3が取り付けられている。なお、固定端31から自由端32までの長さが厳密に等しいことまでは必要でなく、羽根付き鋼管杭100を問題なく吊り上げることができれば多少の長さの違いは許容範囲内である。また、自由端32には、折り返して形成された輪などのような、クレーンのフックFに引っ掛けることができる被吊り部33が形成されている。
【0023】
なお、本実施形態の吊り具1では、吊り用ワイヤー部材3の固定端31の間隔(別言すれば、固定端31が取り付けられる締結材23どうしの間隔)が、横置きされた2本1組の羽根付き鋼管杭100どうしの間隔と同等となっている(図1参照)。こうした場合、吊り用ワイヤー部材3は、締結材23に取り付けられた固定端31からほぼ真下に延びた状態となり、使用時、締結材23や押さえ部材2に作用する力の大部分が鉛直方向の引っ張り力になる(図1参照)。
【0024】
次に、トラックの荷台に積載された羽根付き鋼管杭100を、上述した吊り具1を利用して荷下ろしする際の手順などについて説明する(図4等参照)。
【0025】
羽根付き鋼管杭100は、その先端に掘削用の螺旋状羽根101が設けられた杭である。螺旋状羽根101は、地中で羽根付き鋼管杭100を回転させることにより、螺旋状羽根101の推進力を利用して当該鋼管杭を未掘削の地盤に食い込ませながら掘進させることができる。
【0026】
羽根付き鋼管杭100を2本1組として施工現場へと搬送し、荷台から荷下ろしする際には、互いの螺旋状羽根101が干渉しないように羽根付き鋼管杭100を軸方向(すなわち羽根付き鋼管杭100の長手方向)へ少しずらし、両端を鋼帯200で結束した状態とすることがある。このように結束された2本1組の羽根付き鋼管杭100の間には、螺旋状羽根101の径方向突出量を最大離間距離とするテーパー状の略三角形状の隙間Cが形成される。このように結束された2本1組の羽根付き鋼管杭100に対し、本実施形態の吊り具1を以下のように装着し、吊り上げ、荷下ろしすることができる(図4等参照)。
【0027】
まず、羽根付き鋼管杭100の隙間Cに、吊り用ワイヤー部材3の自由端32を上方から下方へと通す(図4参照)。羽根付き鋼管杭100の隙間Cに上方から下方へと吊り用ワイヤー部材3を通す作業は、隙間Cに下方から上方へと吊り用ワイヤー部材3を通すより作業よりも行いやすい。また、吊り用ワイヤー部材3を羽根付き鋼管杭100の内側(隙間C)から外側に通し、各羽根付き鋼管杭100との接触距離を長くすることで、張力が作用したときに絞り効果を発揮させ、拘束力を高めている。
【0028】
なお、図4では説明の便宜のため押さえ部材2が羽根付き鋼管杭100から離れた状態を示しているが、一般的には、羽根付き鋼管杭100の上に押さえ部材2を仮置きした状態で吊り用ワイヤー部材3を隙間Cに通すほうが行いやすい場合がある。
【0029】
羽根付き鋼管杭100の隙間Cに自由端32を通したら、吊り用ワイヤー部材3を、羽根付き鋼管杭100の下から外側へと掛け回す。図1に示すように、向かって右側の吊り用ワイヤー部材3は右側へ、左側の吊り用ワイヤー部材3は左側へと掛け回される。
【0030】
羽根付き鋼管杭100の下から外側へと掛け回した吊り用ワイヤー部材3の自由端32の被吊り部33をクレーンのフックFに引っ掛ける。同様にして、もう一方の吊り用ワイヤー部材3の自由端32の被吊り部33も、クレーンのフックFに引っ掛ける。
【0031】
以上にて1基の吊り具1の装着が完了するが、この他、さらにもう1基の吊り具1を、羽根付き鋼管杭100の軸方向にずらして装着することが好ましい。軸方向にずらして配置した2基の吊り具1によれば、吊り上げ中ないしは荷下ろし中における羽根付き鋼管杭100の軸方向(長手方向)への傾きを抑制でき、より安定した状態で荷下ろし等の作業をすることができる(図5参照)。しかも、4本の吊り用ワイヤー部材3による吊り(4本吊り)となるため強度的な余裕が増す。
【0032】
吊り具1の装着作業が完了したら、クレーンを操作し、羽根付き鋼管杭100を吊り上げ、所望の位置に荷下ろしする。なお、羽根付き鋼管杭100を吊り上げた際、左右一対の吊り用ワイヤー部材3にはほぼ同等の張力が作用し、また、押さえ部材2の押さえ面2aが面一かつ平坦であることから、押さえ部材2は自動的に幅方向へセンタリングされる(図1参照)。このため、荷下ろし等の作業中における安定度が高い。このようにセンタリング機能を発揮しやすくするには、押さえ部材2の押さえ面2aはゴム部材などが設けられていない滑りやすい面であってもよい。
【0033】
しかも、羽根付き鋼管杭100を吊り上げた際、押さえ部材2は、左右の羽根付き鋼管杭100の表面と線接触する押さえ面2aを介して同じ力で押さえ付け、これら羽根付き鋼管杭100を同じ高さに維持するように作用する(図1参照)。つまり、これら一対の羽根付き鋼管杭100が右ないし左へとずれるのを抑制することができるので、従来のように荷下ろし中に鋼管杭がずれてしまうことを防ぐ。したがって、荷下ろし中に羽根付き鋼管杭100の間に指を挟まれるといった災害の発生を減少させ、あるいはなくすことができる。また、荷下ろしだけではなく、トラックへの積み込み時や、現場での横移動時などにおいても安全性の高い作業が可能となることはいうまでもない。
【0034】
また、上述のごとき構成の吊り具1は、市販されているような一般的かつ入手容易な鋼材とワイヤーロープ等を組み合わせて構成することができるため、比較的安価なコストで製作することができるという利点もある。
【0035】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、2本1組の羽根付き鋼管杭100を吊り上げる場合を例示しつつ説明したが、この他、土管、電柱といった長尺の建築構造物、さらには杭以外の用途で用いられる鋼管(例えば、水道管)などをクレーンで吊り上げる際にも本発明を適用することができる。
【0036】
また、上述した実施形態では、底面に平坦な押さえ面2aが形成された押さえ部材2を例示したが、これも好適な一例に過ぎず、この他、例えば、押さえ面2aに、2本1組の長尺構造物の間に向けて突出する楔形の突起2bが形成された押さえ部材2を採用してもよい(図1参照)。この押さえ部材2を2本1組の長尺構造物の上部に載置して押し込むと、突起2bでこれら長尺構造物を開いて隙間Cを形成することができる。羽根付き鋼管杭100を2本1組とした場合、螺旋状羽根101が干渉するためこれらの間に略三角形状の隙間Cが形成されるが、上述した土管、電柱といった長尺構造物を2本1組とした場合、螺旋状羽根101のような突起がないことから、これらの間に隙間が形成されない。このような長尺構造物に対し、突起2b付きの押さえ部材2を用いれば所定の隙間Cが形成されるので、該隙間Cに上方から吊り用ワイヤー部材3を通すことが可能となる。
【0037】
また、上述した実施形態では、2本1組とした羽根付き鋼管杭100を荷下ろし等の対象とした場合を例示したがこれも好適な一例に過ぎない。この他、例えば細い鋼管などを複数本まとめて円柱状の束とし、この束を2つまとめて1組としたものを吊り上げる場合にも本発明に係る吊り具1を利用することができる。いうまでもなく、この場合は、細い鋼管などの束を、上述した実施形態における1本の羽根付き鋼管杭100と同様に取り扱うことにより、荷下ろし、トラックへの積み込み、現場での横移動といった各作業をさらに安全かつ確実に行うことが可能となる。
【0038】
また、上述した実施形態では、羽根付き鋼管杭100を吊るのに吊り用ワイヤー部材3を用いたがこれも好適な一例にすぎない。この他にも、チェーン、ケーブル、ナイロンスリングといった種々の吊り用索状部材を用いて羽根付き鋼管杭100を吊り上げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、羽根付き鋼管杭等の長尺構造物を2本1組または2束1組として横置きして荷揚げ装置で吊る際に用いる吊り具に適用して好適である。
【符号の説明】
【0040】
1…羽根付き鋼管杭等の吊り具
2…押さえ部材
2a…押さえ面
2b…突起
3…吊り用ワイヤー部材(吊り用索状部材)
31…固定端
32…自由端
33…被吊り部
100…羽根付き鋼管杭(長尺構造物)
C…(2本1組で結束された羽根付き鋼管杭どうしの)隙間
F…クレーン(荷揚げ装置)のフック
図1
図2
図3
図4
図5