(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材であって、
前記光束制御部材の中心軸と交わるように、裏側に形成された凹部の内面である入射面と、
前記入射面の反対側に配置された出射面と、
を有し、
前記出射面は、前記中心軸と交わるように配置された、裏側に向けて凸の第1出射面と、前記第1出射面を取り囲むように配置された、表側に向けて凸の第2出射面と、を含み、
その発光中心が前記中心軸上に位置するように前記発光素子を前記凹部と対向するように配置し、かつ前記中心軸に直交するように前記出射面の上方に被照射面を配置した場合に、以下の式(1)を満たす、
光束制御部材。
【数1】
[上記式(1)において、D1は、以下の式(2)により求められる、前記中心軸と、前記出射面の外縁のうち前記中心軸に最も近い点とを含む第1断面において、前記発光中心から第1発光角度で出射された第1光線の前記被照射面上の到達点の前記中心軸からの距離である第1到達距離である。D2は、以下の式(3)により求められる、前記中心軸と前記出射面の外縁のうち前記中心軸から最も遠い点とを含む第2断面において、前記発光素子の発光中心から第2発光角度で出射された第2光線の前記被照射面上の到達点の前記中心軸からの距離である第2到達距離である。前記第1発光角度は、以下の「第1発光角度の求め方」により求められる。前記第2発光角度は、以下の「第2発光角度の求め方」により求められる。]
【数2】
[上記式(2)において、h1aは、前記第1断面において、前記発光中心と、前記第1光線の前記入射面における入射点である第1入射位置との間の、前記中心軸に沿う方向における距離である。h2aは、前記第1断面において、前記第1入射位置と、前記第1光線の前記出射面における出射点である第1出射位置との間の、前記中心軸に沿う方向における距離である。h3aは、前記第1断面において、前記第1出射位置と、前記第1光線の前記被照射面における到達点である第1被照射位置との間の、前記中心軸に沿う方向における距離である。θ1aは、前記第1断面において、前記発光中心と前記入射面との間における前記第1光線の進行方向の前記中心軸に対する角度であり、前記第1発光角度である。θ2aは、前記第1断面において、前記入射面と前記出射面との間における前記第1光線の進行方向の前記中心軸に対する角度である。θ3aは、前記第1断面において、前記出射面と前記被照射面との間における前記第1光線の進行方向の前記中心軸に対する角度である。]
【数3】
[上記式(3)において、h1bは、前記第2断面において、前記発光中心と、前記第2光線の前記入射面における入射点である第2入射位置との間の、前記中心軸に沿う方向における距離である。h2bは、前記第2断面において、前記第2入射位置と、前記第2光線の前記出射面における出射点である第2出射位置との間の、前記中心軸に沿う方向における距離である。h3bは、前記第2断面において、前記第2出射位置と、前記第2光線の前記被照射面における到達点である第2被照射位置との間の、前記中心軸に沿う方向における距離である。θ1bは、前記第2断面において、前記発光中心と前記入射面との間における前記第2光線の進行方向の前記中心軸に対する角度であり、前記第2発光角度である。θ2bは、前記第2断面において、前記入射面と前記出射面との間における前記第2光線の進行方向の前記中心軸に対する角度である。θ3bは、前記第2断面において、前記出射面と前記被照射面との間における前記第2光線の進行方向の前記中心軸に対する角度である。]
[第1発光角度の求め方]
(1)前記第1断面において、前記発光中心から出射された任意の光線の前記発光中心と前記入射面との間における進行方向の前記中心軸に対する角度である発光角度θ1Aと、当該任意の光線の前記出射面と前記被照射面との間における進行方向の前記中心軸に対する角度である出射角度θ3Aとの関係を表す第1多項式近似関数を求める。
(2)前記第1多項式近似関数の1階微分に対応する第1曲線を求める。
(3)前記第1曲線の傾きがマイナスからプラスに変化する1または2以上の底点と、前記第1曲線の傾きがプラスからマイナスに変化する1または2以上の頂点とを求める。
(4)前記1または2以上の底点のそれぞれについて、前記1または2以上の頂点の中から、当該底点の発光角度θ1Aよりも大きく、かつその発光角度θ1Aが当該底点の発光角度θ1Aに最も近い1つの頂点を特定する。
(5)前記1または2以上の底点の中から、対応する前記頂点との間の出射角度θ3Aの微分値Δθ3Aの差が最大の底点を特定し、特定された底点の発光角度θ1Aを前記第1発光角度θ1aとする。
[第2発光角度の求め方]
(1)前記第2断面において、前記発光中心から出射された任意の光線の前記発光中心と前記入射面との間における進行方向の前記中心軸に対する角度である発光角度θ1Bと、当該任意の光線の前記出射面と前記被照射面との間における進行方向の前記中心軸に対する角度である出射角度θ3Bとの関係を表す第2多項式近似関数を求める。
(2)前記第2多項式近似関数の1階微分に対応する第2曲線を求める。
(3)前記第2曲線の傾きがマイナスからプラスに変化する1または2以上の底点と、前記第2曲線の傾きがプラスからマイナスに変化する1または2以上の頂点とを求める。
(4)前記1または2以上の底点のそれぞれについて、前記1または2以上の頂点の中から、当該底点の発光角度θ1Bよりも大きく、かつその発光角度θ1Bが当該底点の発光角度θ1Bに最も近い1つの頂点を特定する。
(5)前記1または2以上の底点の中から、対応する前記頂点との間の出射角度θ3Bの微分値Δθ3Bの差が最大の底点を特定し、特定された底点の発光角度θ1Bを前記第
2発光角度θ1bとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の面光源装置10では、平面46から出射される光は、集光されるように制御される。一方、曲面47から出射される光は、拡がるように制御される。これにより、平面46から出射した光と、曲面47から出射される光とは、被照射面までの光路上で交差しやすくなる。そのため、被照射面上において明部が生じてしまうおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、発光装置が格子状に配置された場合であっても、被照射面上における明部の発生を抑制できる光束制御部材を提供することである。また、本発明の別の目的は、当該光束制御部材を有する、発光装置、面光源装置および表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光束制御部材は、発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材であって、前記光束制御部材の中心軸と交わるように、裏側に形成された凹部の内面である入射面と、前記入射面の反対側に配置された出射面と、を有し、前記出射面は、前記中心軸と交わるように配置された、裏側に向けて凸の第1出射面と、前記第1出射面を取り囲むように配置された、表側に向けて凸の第2出射面と、を含み、その発光中心が前記中心軸上に位置するように前記発光素子を前記凹部と対向するように配置し、かつ前記中心軸に直交するように前記出射面の上方に被照射面を配置した場合に、以下の式(1)を満たす。
【数1】
[上記式(1)において、D1は、以下の式(2)により求められる、前記中心軸と、前記出射面の外縁のうち前記中心軸に最も近い点とを含む第1断面において、前記発光中心から第1発光角度で出射された第1光線の前記被照射面上の到達点の前記中心軸からの距離である第1到達距離である。D2は、以下の式(3)により求められる、前記中心軸と前記出射面の外縁のうち前記中心軸から最も遠い点とを含む第2断面において、前記発光素子の発光中心から第2発光角度で出射された第2光線の前記被照射面上の到達点の前記中心軸からの距離である第2到達距離である。前記第1発光角度は、以下の「第1発光角度の求め方」により求められる。前記第2発光角度は、以下の「第2発光角度の求め方」により求められる。]
【数2】
[上記式(2)において、h1aは、前記第1断面において、前記発光中心と、前記第1光線の前記入射面における入射点である第1入射位置との間の、前記中心軸に沿う方向における距離である。h2aは、前記第1断面において、前記第1入射位置と、前記第1光線の前記出射面における出射点である第1出射位置との間の、前記中心軸に沿う方向における距離である。h3aは、前記第1断面において、前記第1出射位置と、前記第1光線の前記被照射面における到達点である第1被照射位置との間の、前記中心軸に沿う方向における距離である。θ1aは、前記第1断面において、前記発光中心と前記入射面との間における前記第1光線の進行方向の前記中心軸に対する角度であり、前記第1発光角度である。θ2aは、前記第1断面において、前記入射面と前記出射面との間における前記第1光線の進行方向の前記中心軸に対する角度である。θ3aは、前記第1断面において、前記出射面と前記被照射面との間における前記第1光線の進行方向の前記中心軸に対する角度である。]
【数3】
[上記式(3)において、h1bは、前記第2断面において、前記発光中心と、前記第2光線の前記入射面における入射点である第2入射位置との間の、前記中心軸に沿う方向における距離である。h2bは、前記第2断面において、前記第2入射位置と、前記第2光線の前記出射面における出射点である第2出射位置との間の、前記中心軸に沿う方向における距離である。h3bは、前記第2断面において、前記第2出射位置と、前記第2光線の前記被照射面における到達点である第2被照射位置との間の、前記中心軸に沿う方向における距離である。θ1bは、前記第2断面において、前記発光中心と前記入射面との間における前記第2光線の進行方向の前記中心軸に対する角度であり、前記第2発光角度である。θ2bは、前記第2断面において、前記入射面と前記出射面との間における前記第2光線の進行方向の前記中心軸に対する角度である。θ3bは、前記第2断面において、前記出射面と前記被照射面との間における前記第2光線の進行方向の前記中心軸に対する角度である。]
[第1発光角度の求め方]
(1)前記第1断面において、前記発光中心から出射された任意の光線の前記発光中心と前記入射面との間における進行方向の前記中心軸に対する角度である発光角度θ1Aと、当該任意の光線の前記出射面と前記被照射面との間における進行方向の前記中心軸に対する角度である出射角度θ3Aとの関係を表す第1多項式近似関数を求める。
(2)前記第1多項式近似関数の1階微分に対応する第1曲線を求める。
(3)前記第1曲線の傾きがマイナスからプラスに変化する1または2以上の底点と、前記第1曲線の傾きがプラスからマイナスに変化する1または2以上の頂点とを求める。
(4)前記1または2以上の底点のそれぞれについて、前記1または2以上の頂点の中から、当該底点の発光角度θ1Aよりも大きく、かつその発光角度θ1Aが当該底点の発光角度θ1Aに最も近い1つの頂点を特定する。
(5)前記1または2以上の底点の中から、対応する前記頂点との間の出射角度θ3Aの微分値Δθ3Aの差が最大の底点を特定し、特定された底点の発光角度θ1Aを前記第1発光角度θ1aとする。
[第2発光角度の求め方]
(1)前記第2断面において、前記発光中心から出射された任意の光線の前記発光中心と前記入射面との間における進行方向の前記中心軸に対する角度である発光角度θ1Bと、当該任意の光線の前記出射面と前記被照射面との間における進行方向の前記中心軸に対する角度である出射角度θ3Bとの関係を表す第2多項式近似関数を求める。
(2)前記第2多項式近似関数の1階微分に対応する第2曲線を求める。
(3)前記第2曲線の傾きがマイナスからプラスに変化する1または2以上の底点と、前記第2曲線の傾きがプラスからマイナスに変化する1または2以上の頂点とを求める。
(4)前記1または2以上の底点のそれぞれについて、前記1または2以上の頂点の中から、当該底点の発光角度θ1Bよりも大きく、かつその発光角度θ1Bが当該底点の発光角度θ1Bに最も近い1つの頂点を特定する。
(5)前記1または2以上の底点の中から、対応する前記頂点との間の出射角度θ3Bの微分値Δθ3Bの差が最大の底点を特定し、特定された底点の発光角度θ1Bを前記第
2発光角度θ1bとする。
【0010】
また、本発明に係る発光装置は、発光素子と、本発明に係る光束制御部材と、を有する。
【0011】
また、本発明に係る面光源装置は、本発明に係る発光装置と、前記発光装置からの光を拡散させつつ透過させる光拡散板と、を有する。
【0012】
また、本発明に係る表示装置は、本発明に係る面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を照射される被照射部材と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光束制御部材は、格子状に配置されても被照射面上における明部の発生を抑制することができる。また、本発明に係る発光装置、面光源装置および表示装置は、被照射面上における明部の発生を抑制できる光束制御部材を有するため、被照射面上に明部を生じさせにくい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る光束制御部材、発光装置、面光源装置および表示装置について、添付した図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明の面光源装置の代表例として、液晶表示装置のバックライトなどに適する、発光装置が格子状に配置されている面光源装置について説明する。これらの面光源装置は、面光源装置からの光を照射される被照射部材(例えば液晶パネル)と組み合わせることで、表示装置として使用されうる。
【0016】
(面光源装置および発光装置の構成)
図2〜
図4は、本発明の一実施の形態に係る面光源装置100の構成を示す図である。
図2Aは、本発明の一実施の形態に係る面光源装置100の平面図であり、
図2Bは、正面図である。
図3Aは、
図2Bに示されるA−A線の断面図であり、
図3Bは、
図2Aに示されるB−B線の断面図である。
図4は、面光源装置100の部分拡大断面図である。
【0017】
図2A、B、
図3A、Bおよび
図4に示されるように、面光源装置100は、筐体110と、複数の発光装置200と、光拡散板(被照射面)120とを有する。複数の発光装置200は、筐体110の底板112上の基板210に格子状(本実施の形態では、正方格子状)に配置されている。底板112の内面は、拡散反射面として機能する。また、筐体110の天板114には、開口部が設けられている。光拡散板120は、この開口部を塞ぐように配置されており、発光面として機能する。発光面の大きさは、例えば約400mm×約700mmとすることができる。
【0018】
複数の発光装置200は、それぞれ基板210上に一定の間隔で配置されている。複数の基板210は、それぞれ筐体110の底板112上の所定の位置に固定されている。複数の発光装置200は、それぞれ発光素子220および光束制御部材300を有する。
【0019】
発光素子220は、面光源装置100の光源であり、基板210上に実装されている。発光素子220は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。
【0020】
光束制御部材300は、レンズであり、基板210上に固定されている。光束制御部材300は、発光素子220から出射された光の配光を制御し、当該光の進行方向を基板210の面方向に拡げる。光束制御部材300は、その中心軸CAが発光素子220の光軸OAに一致するように、発光素子220の上に配置されている(
図4参照)。また、光束制御部材300は、発光素子220の光軸OAに沿う方向において、発光素子220の発光中心(発光面)が後述する入射面320の頂部近傍に対する曲率中心に位置するように配置されている(
図4参照)。なお、後述する光束制御部材300の入射面320および出射面330は回転対称(入射面320は円対称、出射面330は4回対称)であり、かつこの回転軸は発光素子220の光軸OAと一致する。この入射面320および出射面330の回転軸を「光束制御部材の中心軸CA」という。また、「発光素子の光軸OA」とは、発光素子220からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。
【0021】
光束制御部材300は、一体成形により形成することができる。光束制御部材300の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であればよい。たとえば、光束制御部材300の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)、シリコーン樹脂などの光透過性樹脂、またはガラスである。本実施の形態に係る面光源装置100は、光束制御部材300の構成に主たる特徴を有する。そこで、光束制御部材300の備えるべき特徴については、別途詳細に説明する。
【0022】
光拡散板120は、光拡散性を有する板状の部材であり、発光装置200からの出射光を拡散させつつ透過させる。光拡散板120は、複数の発光装置200の上に基板210と略平行に配置されている。通常、光拡散板120は、液晶パネルなどの被照射部材とほぼ同じ大きさである。たとえば、光拡散板120は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散性を付与するため、光拡散板120の表面に微細な凹凸が形成されているか、または光拡散板120の内部にビーズなどの光拡散子が分散している。
【0023】
本発明に係る面光源装置100では、各発光素子220から出射された光は、光束制御部材300により光拡散板120の広範囲を照らすように拡げられる。後述するように、光束制御部材300の配光特性は、発光装置200の配列格子に沿った方向(X方向およびY方向)と、配列格子の対角線方向とで異なっているため、光拡散板120の内面は略均一に照らされる。各光束制御部材300から光拡散板120に到達した光は、拡散されつつ光拡散板120を透過する。その結果、本発明に係る面光源装置100は、面状の被照射部材(例えば液晶パネル)を均一に照らすことができる。
【0024】
(光束制御部材の構成)
図5A〜Cは、本発明の一実施の形態に係る光束制御部材300の構成を示す図である。
図5Aは、光束制御部材300の平面図であり、
図5Bは、底面図であり、
図5Cは、
図5Aに示されるA−A線の断面図である。
【0025】
図5A〜Cに示されるように、光束制御部材300は、凹部310の内面である入射面320と、出射面330とを有する。また、光束制御部材300は、光束制御部材300の取り扱いを容易にするための鍔部と、発光素子220から発せられる熱を外部に逃がすための間隙を形成するとともに、光束制御部材300を基板210に位置決めして固定するための脚部(いずれも図示省略)とを有していてもよい。本実施の形態における光束制御部材300の平面視形状は、R面取りした略方形である。
【0026】
凹部310は、光束制御部材300の中心軸CA(発光素子220の光軸OA)と交わるように裏面305の中央部に配置されている(
図4参照)。凹部310の内面は、入射面320として機能する。すなわち、入射面320は、中心軸CA(光軸OA)と交わるように配置されている。入射面320は、発光素子220から出射された光のうち、大部分の光を、その光の進行方向を制御するとともに、光束制御部材300の内部に入射させる。入射面320は、光束制御部材300の中心軸CAと交わり、中心軸CAを回転軸とした回転対称(本実施の形態では円対称)である。
【0027】
裏面305は、光束制御部材300の裏側に位置し、凹部310の開口縁部から径方向に延在する平面である。
【0028】
出射面330は、光束制御部材300の表側(光拡散板120側)に配置されている。出射面330は、光束制御部材300内に入射した光を、進行方向を制御しつつ外部に出射させる。出射面330は、中心軸CAと交わり、中心軸CAを回転軸とした回転対称(本実施の形態では4回対称)である。
【0029】
出射面330は、中心軸CAを中心とする所定範囲に位置する第1出射面330aと、第1出射面330aの周囲に連続して形成される第2出射面330bを有する。第1出射面330aは、裏側に凸の曲面である。第1断面における第1出射面330aの曲率と、第2断面における第1出射面330aの曲率との大きさは特に限定されない。本実施の形態では、第1断面における第1出射面330aの曲率と、第2断面における第1出射面330aの曲率とは同一である。ここで、「第1断面」とは、中心軸CAと、出射面330の外縁のうち中心軸CAに最も近い点とを含む断面であり、
図5AにおけるA−A線の断面をいう。また、「第2断面」とは、中心軸CAと出射面330の外縁のうち中心軸CAから最も遠い点とを含む断面である。なお、本実施の形態において「第2断面」とは、中心軸CAを軸として、第1断面を45°回転させた断面であり、
図5AにおけるB−B線の断面をいう。
【0030】
第2出射面330bは、第1出射面330aの周囲に位置する、表側に凸の滑らかな曲面である。また、本実施の形態では、第1断面における第2出射面330bの曲率と、第2断面における第2出射面330bの曲率とは異なる。第2出射面330bは、中心軸CAを含む断面において、第2曲面330bは、中心軸から最も離れた位置にオーバーハング部330cを有する。ここで、「オーバーハング部」とは、中心軸CAに垂直な方向において、第2出射面330bの外側端部が、中心軸CAに沿う方向における第2出射面330bの下側端部よりさらに外側に張り出している部分をいう。本実施の形態では、第2出射面330bが当該オーバーハング部330cを有することにより、発光素子220から出射される光のうち、光軸OAに対する角度が大きい光も有効に光拡散板120(被照射面)を照明する光として利用できるように制御している。
【0031】
(発光装置の配光特性)
図6A、Bは、発光装置200における光路図である。
図6Aは、第1断面における発光装置200の光路図を示しており、
図6Bは、第2断面における発光装置200の光路図を示している。なお、
図6A、Bでは、光路を示すため発光素子220および光束制御部材300へのハッチングを省略している。また、
図6A、Bに示される光路を示す光線は、出射角度が0°から80°まで5°刻みの各光線を示している。さらに、
図6A、Bでは、発光装置200の被照射領域を示すために光拡散板120を配置している。
【0032】
図6A、Bに示されるように、第1断面および第2断面において、発光素子220から出射された、出射角度が比較的小さな光は、拡げられつつ、光拡散板120に形成される被照射領域の中央部分(光束制御部材300の中心軸CAの近傍の領域)に向かうように制御される。これにより、発光装置200から出射された光は、被照射面の中央部分に過度に明るい部分を作ることなく被照射面の中央部分を均一に照射する。一方、発光素子220から出射された、出射角度の大きな光は、集光されつつ、被照射領域の端部に向かうように制御される。これにより、発光装置220から出射された光は、1灯当りの出射光によって照明されるべき被照射領域の端部に照射され、隣接する発光装置220空の出射光による被照射領域と端部が重なり合ったときに、被照射領域の中央部と同程度の明るさとなるように制御される。
【0033】
光束制御部材300のより具体的な形状については、光束制御部材300は、前述の入射面320と、前述の第1出射面330aおよび前述の第2出射面330bを含む前述の出射面330と有し、以下に説明する式(1)〜式(3)を満たすことが必要である。
【0034】
図7A、Bは、式(1)〜式(3)を説明するための図である。
図7Aは、式(1)および式(2)を説明するための図であり、前述の第1断面に相当する。
図7Bは、式(1)および式(3)を説明するための図であり、前述の第2断面に相当する。なお、
図7A、Bでは、図面を簡略化するため、発光素子220から出射される光の光路を直線で示している。
【0035】
本実施の形態に係る光束制御部材300は、その発光中心が中心軸CA上に位置するように発光素子220を凹部310と対向するように配置し、かつ中心軸CAに直交するように、出射面330の上方に被照射面を配置した場合に、以下の式(1)を満たす。
【数4】
上記式(1)において、D1は、以下の式(2)により求められる、中心軸CAと、出射面330の外縁のうち中心軸CAに最も近い点とを含む第1断面において、発光素子220の発光中心P0から第1発光角度θ1aで出射された第1光線L1の被照射面上の到達点P3aの中心軸CAからの距離である第1到達距離である。D2は、以下の式(3)により求められる、中心軸CAと出射面330の外縁のうち中心軸CAから最も遠い点とを含む第2断面において、発光素子220の発光中心P0から第2発光角度θ1bで出射された第2光線L2の被照射面上の到達点P3bの中心軸からの距離である第2到達距離である。第1発光角度θ1aは、以下の「第1発光角度の求め方」により求められる。第2発光角度θ1bは、以下の「第2発光角度の求め方」により求められる。本実施の形態では、上記式(1)は、被照射面(光拡散板120)上に形成される正方形の被照射領域の四隅には、発光素子220から出射された光が到達しないことを示している。
【0036】
ここで、第1到達距離D1の求め方について説明する。第1到達距離D1は、以下の式(2)により求められる。
【数5】
図7Aに示されるように、上記式(2)におけるh1aは、第1断面において、発光中心P0と、第1光線L1の入射面320における入射点である第1入射位置P1aとの間の、中心軸CAに沿う方向における距離である。h2aは、第1断面において、第1入射位置P1aと、第1光線L1の出射面330における出射点である第1出射位置P2aとの間の、中心軸CAに沿う方向における距離である。h3aは、第1断面において、第1出射位置P2aと、第1光線L1の被照射面における到達点である第1被照射位置P3aとの間の、中心軸CAに沿う方向における距離である。θ1aは、発光中心P0と入射面320との間における第1光線L1の進行方向の中心軸CAに対する角度であり、第1発光角度である。θ2aは、第1断面において、入射面320と出射面330との間における第1光線L1の進行方向の中心軸CAに対する角度である。θ3aは、第1断面において、出射面330と被照射面との間における第1光線L1の進行方向の中心軸CAに対する角度である。すなわち、第1到達距離D1は、第1断面において、中心軸CAと、後述の方法で算出される第1発光角度θ1aで出射された光の被照射面における第1被照射位置P3aとの、中心軸CAに直交する方向における距離である。
【0037】
次いで、第1発光角度θ1aの求め方について説明する。
図8A、Bは、第1発光角度θ1aの求め方を説明するためのグラフである。
図8Aは、発光素子220の発光中心から出射された光線の発光角度θ1Aと当該光線の出射角度θ3Aとの関係を示す第1多項式近似関数C1を示すグラフであり、
図8Bは、第1多項式近似関数C1の1階微分に対応する第1曲線C1’を示すグラフである。
図8Aの横軸は、発光角度θ1A(°)を示しており、縦軸は、発光角度θ3A(°)を示している。また、
図8Bの横軸は、発光角度θ1A(°)を示しており、縦軸は、発光角度θ3A(°)の1階微分値を示している。
【0038】
第1発光角度θ1aは、以下の方法によって求められる。
(1)中心軸CAと、出射面330の外縁のうち中心軸CAに最も近い点とを含む第1断面において、発光中心P0から出射された任意の光線の発光中心P0と入射面320との間における進行方向の中心軸CAに対する角度である発光角度θ1Aと、当該任意の光線の出射面330と被照射面との間における進行方向の中心軸CAに対する角度である出射角度θ3Aとの関係を表す第1多項式近似関数C1を求める(
図8A参照)。
【0039】
(2)第1多項式近似関数の1階微分に対応する第1曲線C1’を求める(
図8B参照)。
【0040】
(3)第1曲線C1’の接線の傾きがマイナスからプラスに変化する1または2以上の底点と、接線の傾きがプラスからマイナスに変化する1または2以上の頂点とを求める。なお、
図8Bでは、底点を実線矢印で示しており、頂点を破線矢印で示している。
【0041】
(4)1または2以上の底点のそれぞれについて、1または2以上の頂点の中から、当該底点の発光角度θ1Aよりも大きく、かつその発光角度θ1Aが当該底点の発光角度θ1Aに最も近い1つの頂点を特定する。すなわち、
図8Bのグラフにおいて、当該底点の右隣に位置する頂点を特定する。
【0042】
(5)1または2以上の底点の中から、対応する頂点との間の出射角度θ3Aの微分値Δθ3Aの差が最大の底点を特定し、特定された底点の発光角度θ1Aを第1発光角度θ1aとする。
【0043】
本実施の形態において、以上のように求めることができる第1発光角度θ1aは、約63°である(
図8B参照)。
【0044】
上記のように求めた第1発光角度θ1aは、
図8Aに示される第1多項式近似関数C1において傾きが大きく変化する角度(
図8A実線矢印参照)である。第1発光角度θ1aより発光角度θ1が小さい領域では、出射面330から出射される光は、集光するように制御される。一方、第1発光角度θ1aより発光角度θ1が大きい領域では、出射面330から出射される光は、拡散するように制御される。すなわち、第1断面において、第1発光角度θ1aで発光された光の被照射領域における到達位置は、明部と暗部との境界である。
【0045】
次いで、第2到達距離D2の求め方について説明する。第2到達距離D2は、以下の式(3)により求められる。
【数6】
図7Bに示されるように、上記式(3)におけるh1bは、第2断面において、発光中心P0と、第2光線L2の入射面における入射点である第2入射位置P1bとの間の、中心軸CAに沿う方向における距離である。h2bは、第2断面において、第2入射位置P1bと、第2光線L2の出射面330における出射点である第2出射位置P2bとの間の、中心軸CAに沿う方向における距離である。h3bは、第2断面において、第2出射位置P2bと、第2光線L2の被照射面における到達点である第2被照射位置P3bとの間の、中心軸CAに沿う方向における距離である。θ1bは、第2断面において、発光中心P0と入射面320との間における第2光線L2の進行方向の中心軸CAに対する角度であり、第2発光角度である。θ2bは、第2断面において、入射面320と出射面330との間における第2光線L2の進行方向の中心軸に対する角度である。θ3bは、出射面330と被照射面との間における第2光線L2の進行方向の中心軸に対する角度である。すなわち、第2断面において、第2到達距離D3は、中心軸CAと、後述の方法で算出される第2発光角度θ1bで出射された光の被照射面における第2被照射位置P3bとの、中心軸CAに直交する方向における距離である。
【0046】
次いで、第2発光角度θ2bの求め方について説明する。
図9A、Bは、第2発光角度θ2bの求め方を説明するためのグラフである。
図9Aは、発光素子220の発光中心から出射された光線の発光角度θ1Bと当該光線の出射角度θ3Bとの関係を示す第1多項式近似関数C2を示すグラフであり、
図9Bは、第2多項式近似関数C2の1階微分に対応する第2曲線C2’を示すグラフである。
図9Aの横軸は、発光角度θ1B(°)を示しており、縦軸は、発光角度θ3B(°)を示している。また、
図9Bの横軸は、発光角度θ1B(°)を示しており、縦軸は、発光角度θ3A(°)の1階微分値を示している。
【0047】
第2発光角度θ1bは、以下の方法によって求められる。
(1)中心軸CAと出射面330の外縁のうち中心軸CAから最も遠い点とを含む第2断面において、発光中心P0から出射された任意の光線の発光中心P0と入射面320との間における進行方向の中心軸に対する角度である発光角度θ1Bと、当該任意の光線の出射面330と被照射面との間における進行方向の中心軸に対する角度である出射角度θ3Bとの関係を表す第2多項式近似関数を求める。
【0048】
(2)第2多項式近似関数の1階微分に対応する第2曲線C2’を求める(
図9B参照)。
【0049】
(3)第2曲線C’の接線の傾きがマイナスからプラスに変化する1または2以上の底点と、接線の傾きがプラスからマイナスに変化する1または2以上の頂点とを求める。なお、
図9Bでは、底点を実線矢印で示しており、頂点を破線矢印で示している。
【0050】
(4)1または2以上の底点のそれぞれについて、1または2以上の頂点の中から、当該底点の発光角度θ1Bよりも大きく、かつその発光角度θ1Bが当該底点の発光角度θ1Bに最も近い1つの頂点を特定する。すなわち、
図9Bのグラフにおいて、当該底点の右隣に位置する頂点を特定する。
【0051】
(5)1または2以上の底点の中から、対応する頂点との間の出射角度θ3Bの微分値Δθ3Bの差が最大の底点を特定し、特定された底点の発光角度θ1Bを第2発光角度θ1bとする。
【0052】
本実施の形態において、以上のように求めることができる第2発光角度θ1bは、約65°である(
図9B参照)。
【0053】
上記のように求めた第
2発光角度θ1bは、
図9Aに示される第2多項式近似関数C2において傾きが大きく変化する角度(
図9A実線矢印参照)である。第2発光角度θ1bより発光角度θ1が小さい領域では、出射面330から出射される光は、集光するように制御される。一方、第2発光角度θ1bより発光角度θ1が大きい領域では、出射面330から出射される光は、拡散するように制御される。すなわち、第2断面において、第2発光角度θ2aで発光された光の被照射領域における到達位置は、明部と暗部との境界である。
【0054】
このように求めた第1発光角度θ1aおよび第2発光角度θ1bに基づいて求められた前述の式(1)は、略正方形の被照射領域の四隅が他の領域と比較して暗いことを示している。
【0055】
上記の例では、第1発光角度θ1aおよび第2発光角度θ1bは、第2発光角度θ1bが第1発光角度θ1aよりも大きかったが、これに限らず、第1発光角度θ1aが第2発光角度θ1bよりも大きくてもよいし、第2発光角度θ1bが第1発光角度θ1aと略同じでもよい。いずれの場合であっても、前述の式(1)〜式(3)を満たせば所望の配光特性を得ることができる。
【0056】
(面光源装置の輝度測定)
次に、前述した光束制御部材300を用いた面光源装置100の輝度分布を測定した。
図10は、面光源装置100の被照射面(光拡散板120)における輝度の測定結果を示すグラフである。
図10の横軸は、第1断面における被照射面の中心(中心軸CA)からの距離(mm)を示しており、縦軸は、輝度(cd/m
2)を示している。本測定では、基板210から20mmの位置に、中心軸CAに直交するように、光拡散板120(被照射面)を配置した。また、本測定では、複数の発光装置200を正方格子状に配置し、一つの発光装置200のみを発光させた。
【0057】
図10に示されるような、前述の式(1)〜(3)を満たす本実施の形態に係る光束制御部材300を有する面光源装置100では、以下に示す通り、被照射面上(光拡散板120)における明部の発生を抑制できた。
【0058】
(シミュレーション)
前述した光束制御部材300を用いた面光源装置100の輝度分布のシミュレーションを行った。本シミュレーションでは、複数の発光装置200を格子状に配置した面光源装置100において、複数の発光装置200を点灯させた。なお、比較として、被照射面の形状が矩形の光束制御部材を用いた面光源装置(以下「比較例に係る面光源装置」ともいう)についても同様にシミュレーションした。なお、本実施の形態に係る面光源装置100における発光装置200の配置と、比較例に係る面光源装置における発光装置の配置とは、同じである。
【0059】
図11Aは、本実施の形態に係る面光源装置における輝度分布のシミュレーション結果を示す図であり、
図11Bは、比較例に係る面光源装置における輝度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0060】
図11Aに示されるように、本実施の形態に係る面光源装置100では、複数の発光装置200を正方格子状(マトリックス状)に配置することで、被照射面上(光拡散板120)において明部の発生を抑制できることが示唆された。これは、1つの発光装置200で照射される被照射面における被照射領域の四隅の輝度が他の部分の輝度と比較して低いため、隣接する発光装置200との被照射領域が部分的に重なっても明部が生じにくいためだと考えられた。
【0061】
一方、
図11Bに示されるように、比較例に係る面光源装置では、被照射面の形状が矩形であるため、各発光装置における光の被照射領域の四隅が重なり合い、明部が生じてしまった。
【0062】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る光束制御部材300は、前述の式(1)〜(3)を満たすため、格子状に配置された場合であっても、被照射面上における明部の発生を抑制できる。また、当該光束制御部材300を有する発光装置、面光源装置および表示装置では、被照射面上における明部の発生を抑制できる。