(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記偏光光照射部が前記待機位置にあるときには、水平方向において、前記光学測定器と前記偏光光照射部とが隣接して設けられ、前記光学測定器及び前記偏光光照射部の両側に前記ステージが2つ設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の偏光光照射装置。
前記偏光光照射部は、光源と、前記光源から照射された光を導光する導光部材であって、前記光源の光が供給される光入射部と、前記ステージの上方に略帯状に設けられ、前記ステージへ光を照射する光出射部と、を有する導光部材と、を有する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の偏光光照射装置。
対象物が載置される走査方向に移動しないステージと、前記対象物の走査方向と略直交する方向に沿った略帯状の偏光光を照射する偏光光照射部と、前記偏光光照射部から照射された光の特性を測定する光学測定器と、情報を入力する入力部と、を有し、前記偏光光照射部が待機位置にあるときに、前記ステージと、前記偏光光照射部と、前記光学測定器とは、水平方向の位置が重ならないように設けられる偏光光照射装置を使用する偏光光照射方法であって、
前記ステージに前記対象物を載置する工程と、
前記入力部から入力された情報に基づいて、前記偏光光照射部の移動速度を算出する工程と、
前記偏光光照射部から光を照射した状態で、前記偏光光照射部を前記待機位置から前記対象物の走査方向に沿って前記算出された移動速度で移動させて、前記ステージの上を通過させて露光処理を行う工程と、
前記偏光光照射部の水平方向の位置と前記光学測定器の水平方向の位置とが一致する測定位置へ前記偏光光照射部又は前記光学測定器を走査方向に沿って移動させ、前記偏光光照射部から光を照射して偏光光の測定処理を行う工程と、
前記待機位置に前記偏光光照射部を移動させる工程と、
を含むことを特徴とする偏光光照射方法。
対象物が載置される走査方向に移動しないステージと、前記対象物の走査方向と略直交する方向に沿った略帯状の偏光光を照射する偏光光照射部と、前記偏光光照射部から照射された光の特性を測定する光学測定器と、情報を入力する入力部と、を有し、前記偏光光照射部が待機位置にあるときに、前記ステージと、前記偏光光照射部と、前記光学測定器とは、水平方向の位置が重ならないように設けられる偏光光照射装置を使用する偏光光照射方法であって、
前記ステージに前記対象物を載置する工程と、
前記入力部から入力された情報に基づいて、前記偏光光照射部の移動速度を算出する工程と、
前記偏光光照射部から光を照射した状態で、前記偏光光照射部を前記待機位置から前記対象物の走査方向に沿って前記算出された移動速度で移動させて、前記光学測定器及び前記ステージの上を連続して通過させて露光処理及び偏光光の測定処理を行う工程と、
前記待機位置に前記偏光光照射部を移動させる工程と、
を含むことを特徴とする偏光光照射方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る偏光光照射装置1の概略を示す平面図である。
図2は、偏光光照射装置1の概略を示す正面図である。偏光光照射装置1は、例えば、偏光子を通過させて偏光した光(以下、偏光光という)をガラス基板等の対象物Wの被露光面に照射して光配向処理を行い、液晶パネル等の配向膜を生成する装置である。ここで、光配向処理とは、直線偏光紫外線を高分子膜上に照射して、膜内の分子の再配列や異方的な化学反応を誘起することで、膜に異方性を持たせる処理である。ただし、偏光光照射装置1を用いて行うことができる処理は光配向処理に限定されず、例えば偏光光照射装置1を用いて露光後の対象物Wを検査することもできる。
【0021】
以下、対象物Wの搬送方向をx方向とし、搬送方向に直交する方向をy方向とし、鉛直方向をz方向とする。なお、
図2においては、説明のため、装置手前側(−y側)の一部について図示を省略している。また、
図1においては、説明のため、装置枠の天面(+z側の面)について図示を省略している。
【0022】
偏光光照射装置1は、主として、偏光光照射部10と、ステージ21と、光学測定器22と、光源移動部30と、ロボット40と、を備える。
【0023】
偏光光照射部10は、対象物Wに偏光を照射する。
図3は、偏光光照射部10の詳細を示す斜視図である。偏光光照射部10は、主として、光源11と、光学部材12と、ミラー13と、筐体14と、を有する。
【0024】
光源11は、棒状の部材であり、偏光していない光(例えば、紫外光)を出射する。光源11は、長さが略1m〜略2m程度であり、直径が略10mm程度である。なお、光源11はこの形態に限られるものではなく、例えば点光源を一列に並べて棒状の光源としてもよい。
【0025】
光学部材12は、光源11の発光長よりやや長い長辺を持つ長方形の部材である。光学部材12は、その長手方向が光源11の長手方向に略一致するように、光源11の下側(−z側)に設けられる。光学部材12は、例えば、光源11から出射された無偏光の光を偏光する偏光膜であるが、偏光膜に限定されるものではない。また、光学部材12は、一個の部材で構成してもよいし、平行四辺形(正方形、長方形を含む)の小片を列状に並べて構成してもよい。
【0026】
ミラー13は、断面が略半楕円形であり、光源11から出射された光を反射する。ミラー13は、その長手方向が光源11の長手方向と一致するように、光源11の上側(+z側)に設けられる。これにより、光源11から出射された光は、光学部材12を通って、細い線状の光として下方(−z方向)に向けて照射される(
図3の2点鎖線参照)。
【0027】
筐体14には、光源11、光学部材12、及びミラー13が設けられる。筐体14の上側(+z側)の面には、回動部33(後に詳述)が設けられる。回動部33は、筐体14、すなわち偏光光照射部10の略中央に設けられる。
【0028】
図1及び
図2の説明に戻る。ステージ21は、図示しない回転機構により回転可能に設けられる(
図1点線参照)。ステージ21の上面には、対象物Wが載置される。
【0029】
光学測定器22は、偏光光照射部10から照射される光の照度、積算露光量や、偏光の軸の向き等の、偏光光照射部10から照射される光の特性を測定する。
図1に示すように、光学測定器22には、光の照度を測定するセンサ22aと、偏光の軸の向きを測定するセンサ22bとを有する。なお、センサ22a、22bの位置及び数は
図1に示す形態に限定されない。光学測定器22は、すでに公知の様々な技術を用いることができる。
【0030】
光源移動部30は、主として、支持台31と、支持台移動部32と、回動部33と、を有する。
【0031】
図3に示すように、支持台31は、回動部33を介して偏光光照射部10を保持する。回動部33は、支持台31の裏面(−z側の面)に設けられる。
【0032】
回動部33は、主として、支持台31に対して筐体14を回動させる回動軸33aと、回動軸を駆動させる回動軸駆動部33b(
図3では図示せず、
図4参照、後に詳述)と、を有する。
【0033】
なお、回動部33は必須の構成ではない。回動部33を設けない形態では、支持台31に筐体14を直接設ければよい。
【0034】
図1及び
図2の説明に戻る。支持台移動部32は、棒状のレール32aと、支持台駆動部32b(
図1、2では図示せず、
図4参照、後に詳述)と、支持台駆動部32bの駆動力によってレール32aに沿って支持台31を往復移動させる平行移動機構部(図示せず)と、を有する。
【0035】
支持台31の表面(+z側の面)又は側面(+y側の面及び−y側の面)には、図示しない摺動部が設けられ、この摺動部がレール32aに沿って摺動することで、支持台31がレール32aに沿って移動する。平行移動機構部は、公知の様々な技術を用いることができる。
【0036】
ロボット40は、対象物Wをステージ21へ移動させたり、対象物Wをステージ21から移動させたりする移動手段である。ロボット40の位置は、
図1、2に示す位置には限定されない。ロボット40は、すでに公知であるため、説明を省略する。
【0037】
なお、偏光光照射部10及び支持台31が
図1、2に示す待機位置(破線及び実線で示す位置)にあるときは、偏光光照射部10と、ステージ21と、光学測定器22とは、水平方向の位置が重ならないように設けられる。これにより、光学測定器22において光の特性を測定したり、対象物Wに対して配向処理をしたりすることを問題なく行うことができる。
【0038】
図4は、偏光光照射装置1の機能構成の概略を示すブロック図である。制御部50は、主として、支持台移動制御部51と、移動速度算出部52と、回動制御部53と、光源制御部54と、ステージ回動制御部55と、ロボット制御部56と、光学測定部57と、統括制御部59と、を有する。
【0039】
支持台移動制御部51は、支持台31を走査方向(+x方向又は−x方向)に沿って、ステージ21や光学測定器22の上を通過させるように、支持台駆動部32bを制御する。支持台駆動部32bは、例えばアクチュエータである。支持台移動制御部51は、アクチュエータのエンコーダー値等により支持台31のx方向の位置を把握することができる。
【0040】
移動速度算出部52は、入力された情報等に基づいて、支持台31の移動速度を算出する。移動速度算出部52で算出された結果は支持台移動制御部51に出力される。支持台移動制御部51は、移動速度算出部52で算出された速度で支持台31をx方向に移動させる。移動速度算出部52が行う具体的な処理については、後に詳述する。
【0041】
回動制御部53は、入力装置(
図5参照)等により指示が入力されると、回動軸駆動部33bを制御して支持台31を回動させる。回動軸駆動部33bは、例えばアクチュエータである。回動制御部53は、アクチュエータのエンコーダー値等により支持台31の回動角度を把握することができる。なお、すでに説明したように、回動部33は必須の構成ではなく、回動部33が設けられていない場合には回動制御部53も不要である。
【0042】
光源制御部54は、光源11の点灯及び消灯を制御する。ステージ回動制御部55は、ステージ21を回動駆動する。ロボット制御部56は、ロボット40を制御する。光源制御部54及びステージ回動制御部55はすでに公知であるため、説明を省略する。
【0043】
光学測定部57は、センサ22aで測定された結果に基づいて、偏光光照射部10から照射された偏光光の照度(mW/cm
2)及び積算露光量(mJ/cm
2)を算出する。また、光学測定部57は、センサ22bで測定された偏光の軸の向きが正しいかどうか判定する。光学測定部57が行う処理については、後に詳述する。
【0044】
統括制御部59は、偏光光照射装置1を構成する各部や制御部50の各機能構成部を統括的に制御する。また、統括制御部59は、情報(データ)入力、処理結果等に基づき、装置各部へ指令信号を送出する機能を有する。
【0045】
図5は、制御部50の概略構成の一例を示すブロック図である。図示するように、例えばコンピュータなどで構成される制御部50は、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)501と、揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)や不揮発性の記憶装置であるROM(Read only Memory)からなるメモリ502と、外部記憶装置503と、偏光光照射装置1の外部の装置と通信を行う通信装置504と、マウスやキーボード等の入力装置505と、ディスプレイ等の出力装置506と、制御部50と他のユニットを接続するインターフェース(I/F)507とを備える。
【0046】
図4に記載の各機能部は、例えば、CPU501がメモリ502のうちの不揮発性の記憶装置に格納された所定のプログラムをメモリ502のうちの揮発性の記憶装置に読み出して実行することにより実現される。なお、所定のプログラムは、例えば、予めメモリ502にインストールされてもよいし、通信装置504を介してネットワークからダウンロードされてインストール又は更新されてもよい。
【0047】
このように構成された偏光光照射装置1の作用について説明する。
図6は、偏光光照射装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。偏光光照射装置1を動作させる前は、偏光光照射部10は、
図1、2に示す待機位置にある。
【0048】
まず、ロボット制御部56は、ロボット40を制御して対象物Wをステージ21の上に載置する投入処理を行う(ステップS10)。次に、ステージ回動制御部55は、ステージ21を回転させて、対象物Wを走査方向に対して一定角度だけ傾ける回転処理を行う(ステップS12)。これにより、対象物Wに対して偏光光を照射するための準備が終了する。
【0049】
次に、光源制御部54及び支持台移動制御部51は、往路の露光処理を行う(ステップS14)。以下、往路の露光処理(ステップS14)について説明する。支持台移動制御部51は、支持台31を−x方向に移動させて、ステージ21の上を通過させる。このとき、光源制御部54は光源11を点灯して、偏光光照射部10から対象物Wに偏光光を照射する。支持台移動制御部51は、支持台31を−x側の端近傍(
図1、2における左側の2点鎖線参照)で停止させる。この往路の露光処理において、支持台移動制御部51は、あらかじめ移動速度算出部52が算出した速度、時間等で支持台31を−x方向に移動させる。
【0050】
図7は、移動速度算出部52に入力される情報及び移動速度算出部52が算出する情報の一例である。
図7中、「入力」と記載されている列は、入力装置505を介してメモリ502に記憶され、移動速度算出部52に入力される情報であり、「算出」と記載されている列は、メモリ502に記憶された情報に基づいて移動速度算出部52が算出する情報を示す。
【0051】
移動速度算出部52は、数式(1)に基づいて加速度及び減速度を算出する。例えば、支持台駆動部32bの駆動力が0.12Gと入力された場合には、移動速度算出部52は、加速度及び減速度を0.12(G)×9.80665×1000=1176.8(mm/秒
2)と算出する。なお、支持台駆動部32bの駆動力は、0.12G〜0.15Gの範囲内であることが望ましい。
[数1]
加速度、減速度=支持台駆動部32bの駆動力×重力加速度×1000 ・・・(1)
【0052】
移動速度算出部52は、数式(2)、(3)に基づいて、加速又は減速に必要な時間を算出する。例えば、加速度及び減速度が1176.8mm/秒
2であり、露光速度が100mm/秒であり、初期速度及び最終速度が0mm/秒である場合には、移動速度算出部52は、加速時間及び減速時間を、(100(mm/秒)−0(mm/秒))/1176.8(mm/秒
2)=0.085(秒)と算出する。
[数2]
加速時間=(露光速度−初期速度)÷加速度 ・・・(2)
[数3]
減速時間=(露光速度−最終速度)÷減速度 ・・・(3)
【0053】
移動速度算出部52は、数式(4)、(5)に基づいて、加速及び減速に必要な距離L1、L2(
図1参照)を算出する。例えば、加速時間及び減速時間が0.1秒、初期速度及び最終速度が0mm/秒である場合には、移動速度算出部52は、加速距離L1及び減速距離L2を1/2×1176.8(mm/秒
2)×0.085(秒)
2=4.25(mm)と算出する。また、移動速度算出部52は、数式(6)に基づいて、露光距離L3(
図1参照)を算出する。例えば、総移動距離L(
図1参照)が2800mmであり、加速距離L1及び減速距離L2が4.25mmである場合には、移動速度算出部52は、露光距離L3を2800(mm)−4.25(mm)−4.25(mm)=2791.5(mm)と算出する。
[数4]
加速距離L1=1/2×加速度×加速時間
2+初期速度×加速時間 ・・・(4)
[数5]
減速距離L2=1/2×減速度×減速時間
2+最終速度×減速時間 ・・・(5)
[数6]
露光距離L3=総移動距離L−加速距離L1−減速距離L2 ・・・(7)
【0054】
移動速度算出部52は、数式(7)、(8)に基づいて、露光時間及び総所要時間を算出する。例えば、露光距離が2791.5mm、露光速度が100mm/秒の場合には、露光時感は2791.5(mm)÷100(mm/秒)=27.915(秒)と算出する。また、加速時間及び減速時間が0.085秒の場合には、総所要時間を0.085(秒)+27.915(秒)+0.085(秒)=28.07(秒)と算出する。
[数7]
露光時間=露光距離÷露光速度 ・・・(7)
[数8]
総所要時間=加速時間+露光時間+減速時間 ・・・(8)
【0055】
以上より、往路の露光処理(ステップS14)において、支持台31を、最初の0.1秒は1176.8mm/秒
2で100mm/秒まで加速し、100mm/秒で27.9秒移動させ、最後の0.1秒は1176.8mm/秒
2で100mm/秒まで減速することが移動速度算出部52により求められる。支持台移動制御部51は、このようにして移動速度算出部52が算出した速度、時間等で支持台31を−x方向に移動させる。以下、支持台31が加速移動する範囲を加速域といい、支持台31が定速移動する範囲を定速域といい、支持台31が減速移動する範囲を減速域という。
【0056】
往路の露光処理(ステップS14)が終了したら、光源制御部54及び支持台移動制御部51は、復路の露光処理を行う(ステップS16)。復路の露光処理(ステップS16)において、支持台移動制御部51は、往路の露光処理(ステップS14)と同じ速度、時間等で支持台31を+x方向に移動させて、ステージ21の上を通過させる。このとき、光源制御部54は光源11を点灯して、偏光光照射部10から対象物Wに偏光光を照射する。以上により、往復の露光処理(ステップS14、S16)が終了する。
【0057】
偏光光照射装置1においては、偏光光照射部10が待機位置にあるときは、水平方向において、光学測定器22が、偏光光照射部10を挟んでステージ21と反対側に設けられる。光学測定器22は、光、特に紫外線が過剰に照射されることで劣化が加速する。したがって、往復の露光処理(ステップS14、S16)時に、光学測定器22に光(紫外線)が照射されることを防止し、光学測定器22の性能が早期に劣化しないようにすることができる。
【0058】
往復の露光処理(ステップS14、S16)が終了したら、ステージ回動制御部55は、ステージ21を回転させて、対象物Wが走査方向に対して一定角度だけ傾いた状態から元に戻す回転処理を行う(ステップS18)。それと同時に、支持台移動制御部51は、光源11の水平方向(x方向)の位置が光学測定器22のx方向の位置と重なる測定位置にくるように、支持台31を+x方向に移動させる(ステップS18)。
【0059】
光源11が測定位置に移動されたら、偏光光照射部10から照射される偏光光の測定処理を行う(ステップS20)。具体的には、偏光光照射部10が測定位置にあるときに、光源制御部54が光源11を一定時間だけ点灯する。また、偏光光照射部10から光学測定器22に偏光光が照射される時間は、あらかじめメモリ502に記憶されている。したがって、光学測定部57は、センサ22aで測定された結果及び点灯時間を示す情報に基づいて、偏光光照射部10から照射された偏光光の積算露光量(mJ/cm
2)及び偏光光の照度(mW/cm
2)を算出する。
【0060】
偏光光の測定処理と同時に、ロボット制御部56は、ロボット40を制御して対象物Wをステージ21から排出する排出処理を行う(ステップS20)。
【0061】
なお、ステップS20において、統括制御部59は、偏光光の測定処理によって測定された結果と、メモリ502に記憶された情報とを比較し、偏光光の測定処理によって測定された結果が正しいかどうか、すなわち対象物Wが正確に露光されたかどうかを判定してもよい。そして、統括制御部59は、対象物Wが正確に露光されていないと判定した場合には、処理を終了してもよい。
【0062】
統括制御部59は、次に処理を行う対象物Wがあるか否かを判定する(ステップS22)。例えば、統括制御部59は、入力装置505より処理を終了することを示す情報が入力されていない場合には、次の対象物Wに対して処理を行うと判定する。
【0063】
次に処理を行う対象物Wがある場合(ステップS22でYES)には、支持台移動制御部51は、支持台31を
図1、2に示す待機位置に移動させる(ステップS24)。そして、ロボット制御部56は、ステップS10と同様に、ロボット40を制御して対象物Wをステージ21の上に載置する投入処理を行う(ステップS24)。その後、統括制御部59は処理をステップS12に戻し、次の対象物Wに対して処理を行う。
【0064】
次に処理を行う対象物Wが無い場合(ステップS22でNO)には、支持台移動制御部51は、支持台31を
図1、2に示す待機位置に移動させて(ステップS26)、統括制御部59は一連の処理を終了する。
【0065】
なお、ステップS18、S20及びS24においては、処理時間短縮のため複数の処理を同時に行ったが、これらの処理は順番に行ってもよい。
【0066】
また、走査方向(x方向)に対して一定角度だけ傾いた対象物Wに対して、偏光光照射部10から対象物Wに偏光光を照射したが、対象物Wが偏光光照射部10に対して傾いていればよく、例えばステージ21を回動させず、光源11の長手方向をy方向に対して傾いていてもよいし、光源11の長手方向をy方向に対して傾けるとともにステージ21をx方向に対して傾いていてもよい。例えば、ステージ21を回動させず、光源11の長手方向をy方向に対して傾ける場合には、ステージ21を動かすことなく光源11の長手方向を走査方向に対して傾斜させることができ、その結果、良好な配向特性を得ることができる。
【0067】
本実施の形態によれば、ステージ21を走査方向に移動させず、偏光光照射部10を走査方向に移動させるようにしたため、偏光光照射装置1の長手方向の長さを短くし、偏光光照射装置1を小型化することができる。
【0068】
従来の偏光光照射装置の一例として、ステージ101を走査方向に移動させる偏光光照射装置100を
図22に示す。なお、
図22において、比較のため、本発明の偏光光照射装置1の大きさを2点鎖線で示す。偏光光照射装置100では、偏光光照射部102の両側にステージ101が配置可能な領域が必要であり、またその外側に光学測定器103を配置する必要がある。そのため、偏光光照射装置100のx方向の長さは、偏光光照射部10のx方向の長さ、光学測定器103のx方向の長さ、及びステージ101のx方向の長さ(ステージ101が走査方向に対して傾く場合は、傾いた状態におけるx方向の長さ)の2倍の長さの合計以上の長さが必要となる。
【0069】
しかしながら、ステージ21を走査方向に移動させず、偏光光照射部10を走査方向に移動させる場合には、ステージ21を移動させて走査するための領域、具体的にはステージ21のx方向の長さ(ステージ21が走査方向に対して傾く場合は、傾いた状態におけるx方向の長さ)の分が不要となる。したがって、偏光光照射装置1を小型化することができる。具体的には、偏光光照射装置1の長手方向の長さをステージ21のx方向の長さ(又は走査方向に対して傾いた状態におけるステージ21のx方向の長さ)の2倍以下とすることができる。
【0070】
本発明の偏光光照射装置1は、対象物Wの大きさが大きい場合に有効である。特に、対象物Wの走査方向に沿った方向の長さが300mm以上と大きい場合に有効である。これは、対象物Wの走査方向に沿った方向の長さが長くなればなるほど、偏光光照射装置1をより小型化することができるためである。
【0071】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、
図1、2に示す待機位置において、ステージ21と光学測定器22との間に偏光光照射部10が設けられるが、偏光光照射部10と、ステージ21と、光学測定器22とは、待機位置において水平方向の位置が重ならないように設けられればよく、これらの構成要素の配置は
図1、2に示す場合に限られない。
【0072】
第2の実施の形態は、待機位置において、ステージ21と偏光光照射部10との間に光学測定器22を設ける形態である。以下、第2の実施の形態に係る偏光光照射装置2について説明する。なお、第1の実施の形態に係る偏光光照射装置1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0073】
図8は、第2の実施の形態に係る偏光光照射装置2の概略を示す平面図である。
図8においては、偏光光照射部10及び支持台31の待機位置を破線及び実線で示す。この待機位置においては、偏光光照射部10が+x側の端近傍に設けられる。言い換えると、待機位置においては、ステージ21と偏光光照射部10との間に光学測定器22が設けられる。
【0074】
偏光光照射装置2は、主として、偏光光照射部10と、ステージ21と、光学測定器22と、光源移動部30Aと、ロボット40と、を備える。
【0075】
光源移動部30Aは、主として、支持台31と、支持台移動部32Aと、回動部33と、を有する。支持台移動部32Aは、棒状のレール32cと、支持台駆動部32b(図示せず)と、平行移動機構部(図示せず)と、を有する。なお、レール32aとレール32cとの差異はx方向の長さのみである。
【0076】
偏光光照射装置2の作用について説明する。
図9は、偏光光照射装置2が行う処理の流れを示すフローチャートである。偏光光照射装置2を動作させる前は、偏光光照射部10は、
図8に示す待機位置にある。
【0077】
まず、ロボット制御部56は、対象物Wをステージ21の上に載置する投入処理を行う(ステップS10)。次に、ステージ回動制御部55は、ステージ21を回転させる回転処理を行う(ステップS12)。
【0078】
その後、光源制御部54及び支持台移動制御部51は、光源11を点灯しながら支持台31を−x方向に移動させて、往路の露光処理及び測定処理を行う(ステップS15)。往路の露光処理に関して、ステップS14(
図6参照)とステップS15との違いは定速域の距離(総移動距離L−1及び露光距離L3−1)であり、その他はステップS14とステップS15とで同一である。
【0079】
偏光光照射装置2においては定速域に光学測定器22が設けられる。したがって、偏光光照射装置2における総移動距離L−1及び露光距離L3−1は、少なくとも光学測定器22の分だけ、偏光光照射装置1における総移動距離L及び露光距離L3より長い。
【0080】
ステップS15では、定速域における定速移動中において、支持台31(偏光光照射部10)が光学測定器22の上を通過し、そのまま連続してステージ21の上を通過する。したがって、ステップS15において、往路の露光処理とほぼ同時に測定処理を行うことができる。光学測定部57は、光学測定器22での測定結果と、移動速度算出部52が算出した速度とに基づいて、偏光光照射部10から照射された偏光光の積算露光量(mJ/cm
2)及び偏光光の照度(mW/cm
2)を算出する。
【0081】
往路の露光処理及び測定処理(ステップS15)後には、支持台移動制御部51は、支持台31を−x側の端近傍(
図8における2点鎖線参照)で停止させる。
【0082】
往路の露光処理及び測定処理(ステップS15)が終了したら、光源制御部54及び支持台移動制御部51は、光源11を点灯しながら支持台31を+x方向に移動させて、復路の露光処理を行う(ステップS16)。復路の露光処理(ステップS16)後には、支持台31が
図8に示す待機位置に戻る。
【0083】
往復の露光処理(ステップS14、S16)が終了したら、ステージ回動制御部55は、ステージ21を回転させて、対象物Wが走査方向に対して一定角度だけ傾いた状態から元に戻す回転処理を行う(ステップS17)。そして、ロボット制御部56は、ロボット40を制御して対象物Wをステージ21から排出する排出処理を行う(ステップS21)。
【0084】
統括制御部59は、次に処理を行う対象物Wがあるか否かを判定する(ステップS22)。次に処理を行う対象物Wがある場合(ステップS22でYES)には、ロボット制御部56は、統括制御部59は処理をステップS10に戻し、次の対象物Wに対して処理を行う。
【0085】
次に処理を行う対象物Wが無い場合(ステップS22でNO)には、統括制御部59は一連の処理を終了する。
【0086】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様、偏光光照射装置2の長手方向の大きさを小さくすることができる。
【0087】
また、本実施の形態によれば、支持台31(偏光光照射部10)を一往復(−x方向に移動させてから+x方向に移動させる)させればよいため、制御部50が行う処理内容を容易にし、また、1枚の対象物Wに対して処理を行うのに要する時間を短くすることができる。
【0088】
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態では、偏光光照射部10が移動可能に設けられたが、偏光光照射部10以外の部材を移動可能に設けてもよい。
【0089】
第3の実施の形態は、偏光光照射部10及び光学測定器22を移動可能に設ける形態である。以下、第2の実施の形態に係る偏光光照射装置3について説明する。なお、第1の実施の形態に係る偏光光照射装置1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0090】
図10は、第3の実施の形態に係る偏光光照射装置3の概略を示す平面図である。
図11は、第3の実施の形態に係る偏光光照射装置3の概略を示す正面図である。
図10、11に示す待機位置においては、光学測定器22が+x側の端近傍に設けられ、その−x側に隣接して偏光光照射部10が設けられる。言い換えると、待機位置においては、上(+z方向)からみて、ステージ21と光学測定器22との間に偏光光照射部10が設けられる。
【0091】
偏光光照射装置3は、主として、偏光光照射部10と、ステージ21と、光学測定器22と、光学測定器移動部23と、光源移動部30Bと、ロボット40と、を備える。
【0092】
光学測定器移動部23は、棒状のレール23aと、光学測定器駆動部23b(
図10、11では図示せず、
図12参照、後に詳述)と、光学測定器駆動部23bの駆動力によってレール23aに沿って光学測定器22を往復移動させる平行移動機構部(図示せず)と、を有する。
【0093】
光学測定器22の底面(−z側の面)には、図示しない摺動部が設けられ、この摺動部がレール23aに沿って摺動することで、光学測定器22がレール23aに沿って移動する。平行移動機構部は、公知の様々な技術を用いることができる。
【0094】
光源移動部30Bは、主として、支持台31と、支持台移動部32Bと、回動部33と、を有する。支持台移動部32Bは、棒状のレール32dと、支持台駆動部32b(
図10、11では図示せず、
図12参照)と、平行移動機構部(図示せず)と、を有する。なお、レール32aとレール32dとの差異はx方向の長さのみである。
【0095】
図12は、偏光光照射装置3の機能構成の概略を示すブロック図である。制御部50Aは、主として、支持台移動制御部51と、移動速度算出部52と、回動制御部53と、光源制御部54と、ステージ回動制御部55と、ロボット制御部56と、光学測定部57と、光学測定器移動制御部58と、統括制御部59と、を有する。
【0096】
光学測定器移動制御部58は、光学測定器22を走査方向(+x方向又は−x方向)に沿って移動させるように、光学測定器駆動部23bを制御する。光学測定器駆動部23bは、例えばアクチュエータである。光学測定器移動制御部58は、アクチュエータのエンコーダー値等により光学測定器22のx方向の位置を把握することができる。
【0097】
このように構成された偏光光照射装置3の作用について説明する。
図13は、偏光光照射装置3が行う処理の流れを示すフローチャートである。偏光光照射装置3を動作させる前は、偏光光照射部10は、
図10、11に示す待機位置にある。
【0098】
まず、ロボット制御部56は、ロボット40を制御して対象物Wをステージ21の上に載置する投入処理を行う(ステップS10)。次に、ステージ回動制御部55は、ステージ21を回転させる回転処理を行う(ステップS12)。次に、光源制御部54及び支持台移動制御部51は、往路の露光処理(ステップS14)及び復路の露光処理を行う(ステップS16)。
【0099】
露光処理(ステップS14、S16)が終了すると、ステージ回動制御部55は、ステージ21を回転させて、対象物Wが走査方向に対して一定角度だけ傾いた状態から元に戻す回転処理を行う(ステップS19)。この処理は、ステップS18(
図6参照)における処理と同一である。それと同時に、光学測定器移動制御部58は、光源11の水平方向(x方向)の位置が光学測定器22のx方向の位置と重なる測定位置にくるように、光学測定器22を−x方向に移動させる(ステップS19)。
【0100】
光源11が測定位置に移動されたら、偏光光照射部10から照射される偏光光の測定処理を行う(ステップS20)。それと同時に、ロボット制御部56は、ロボット40を制御して対象物Wをステージ21から排出する排出処理を行う(ステップS20)。
【0101】
統括制御部59は、次に処理を行う対象物Wがあるか否かを判定する(ステップS22)。次に処理を行う対象物Wがある場合(ステップS22でYES)には、光学測定器移動制御部58は、光学測定器22が待機位置にくるように、光学測定器22を+x方向に移動させる(ステップS25)。そして、ロボット制御部56は、ステップS10と同様に、ロボット40を制御して対象物Wをステージ21の上に載置する投入処理を行う(ステップS25)。その後、統括制御部59は処理をステップS12に戻し、次の対象物Wに対して処理を行う。
【0102】
次に処理を行う対象物Wが無い場合(ステップS22でNO)には、光学測定器22を+x方向に移動させて(ステップS27)、統括制御部59は一連の処理を終了する。
【0103】
なお、ステップS19、S20及びS25においては、処理時間短縮のため複数の処理を同時に行ったが、複数の処理は順番に行ってもよい。
【0104】
本実施の形態によれば、偏光光照射装置3の大きさをより小さくすることができる。具体的には、偏光光照射装置3の大きさを、偏光光照射装置1の大きさよりも、支持台31のx方向の長さの分だけ小さくすることができる。
【0105】
<第4の実施の形態>
第1の実施の形態では、光源11を用いた偏光光照射部10を走査方向に移動させたが、移動させる偏光光照射部はこれに限られない。
【0106】
第4の実施の形態は、光源の光をステージ21の上へ導く導光部材を用いる形態である。以下、第4の実施の形態に係る偏光光照射装置4について説明する。なお、第1の実施の形態に係る偏光光照射装置1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0107】
図14は、第4の実施の形態に係る偏光光照射装置4の概略を示す平面図である。
図15は、偏光光照射装置4の概略を示す正面図である。
【0108】
偏光光照射部60は、主として、光源61と、導光部材62と、光学部材63(
図14では図示せず)と、を有する。
図14、15に示す待機位置では、水平方向において、偏光光照射部60は、ステージ21と光学測定器22との間に設けられる。
【0109】
光源61は、主として、ランプ61aと、光学フィルタ61bと、を有する。光源61は、例えば偏光光照射装置1の装置枠の外側に設けられる。ただし、光源61を設ける位置は、
図14、15に示す位置に限られない。
【0110】
ランプ61aは、偏光していない光(例えば、紫外光)を出射する。ランプ61aは、例えば、電極間距離が1〜10mm程度と短い高輝度の点光源であるショートアークタイプのランプである。なお、ランプ61aは、ショートアークタイプのランプに限られず、LED等の様々な種類の発光装置を用いることができる。
【0111】
光学フィルタ61bは、ランプ61aから照射された光の中から所定の波長の光のみを通過させる。光学フィルタ61bの背面にはランプ61aが設けられ、光学フィルタ61bの前面には導光部材62の入射部62b(後に詳述)が設けられる。
【0112】
図16は、導光部材62の概略を示す斜視図である。導光部材62は、光源61から照射された光を、光源から離れた場所に導くものである。本実施の形態では、導光部材62は、複数本の光ファイバー素線62aが束ねられて束状に形成された光ファイバー束である。光ファイバー素線62aは、入射部62bから供給された光を出射部62cへ導光する。
【0113】
導光部材62は、部分的に光ファイバー素線62aが束ねられている。この束ねられた本体62dは、複数の光ファイバー素線62aを束ねて束状にし、これを融着処理等により一体にすることで形成される。
【0114】
光ファイバー素線62aのうちの、光ファイバー素線62aが束ねられた側の端面は、入射部62bである。入射部62bにおいては、複数の光ファイバー素線62aの端面は、均一に分布して固定されている。
【0115】
光ファイバー素線62aのうちの、光ファイバー素線62aが束ねられていな側の端面は、出射部62cである。出射部62cの近傍では、光ファイバー素線62aを広げることができる。本実施の形態では、出射部62cが略帯状となるように光ファイバー素線62aを広げて並べる。以下、略帯状に並べた出射部62c全体を、対象物Wに光を照射する照射面62eと定義する。
【0116】
図17は、照射面62eにおける、出射部62c(光ファイバー素線62aの端面)の分布状態を模式的に示した一例である。
図17では、光ファイバー素線62aを部分的に表示している。
【0117】
出射部62cは、照射面62eから照射される光のムラが目立たないように、千鳥状に配置される。すなわち、第一列(列I)における出射部62cの中心が、第一列に隣接する列(列II)における出射部62cの中心の間に位置するように、光ファイバー素線62aを配置する。ただし、出射部62cの配置はこの形態に限られない。
【0118】
図14、15の説明に戻る。照射面62e及びの光学部材63は、ステージ21の上方(+z方向)に設けられる。
【0119】
光学部材63は、照射面62eと略同じ長さの長辺を持つ長方形の部材である。光学部材63は、その長手方向が照射面62eの長手方向と略一致するように、光源61の下側(−z側)に設けられる。光学部材63は、例えば、光源11から出射された無偏光の光を偏光する偏光子であるが、これに限定されるものではない。
【0120】
支持台31は、照射面62eと、光学部材63とを支持する。支持台31には、本体62dが貫通する孔(図示せず)が設けられている。支持台31の下面側には、光ファイバー素線62aが広げて設けられ、照射面62eが形成される。支持台31をレール32aに沿って移動させると、導光部材62及び光学部材63が移動され、光源61は移動されない。
【0121】
偏光光照射装置4においては、光源制御部54は光源61の点灯及び消灯を制御する。その他、偏光光照射装置4の処理内容は、偏光光照射装置1の処理内容と同一であるため、説明を省略する。
【0122】
本実施の形態によれば、光源61を移動させず、導光部材62及び光学部材63のみを移動させるため、支持台31が支持する部分(言い換えると、支持台駆動部32bが移動させる部分)を小さくかつ軽くすることができる。その結果、偏光光を照射する部分を移動させることが容易となる。その結果、出力が小さい支持台駆動部32bを使用することができ、また偏光光照射装置3をより小さくすることができる。
【0123】
例えば、第1の実施の形態の偏光光照射装置1では、光源11から熱が発生するため、偏光光照射部10には排熱のためのダクトが設けられることが多い。そのため、支持台駆動部32bは、偏光光照射部10を移動する時にダクトも一緒に移動させなくてはならず、支持台駆動部32bとして出力が大きいアクチュエータ等を使用する必要がある。
【0124】
それに対し、本実施の形態の偏光光照射装置4は移動させる部分が軽いため、支持台駆動部32bとして出力が小さい小型のアクチュエータを使用することができる。また、支持台31が支持する部分が小さくかつ軽いため、その分偏光光照射装置3を小型化することができる。
【0125】
なお、本実施の形態では、導光部材62として光ファイバー束を用いたが、導光部材はこれに限定されない。光源61の光を導光する導光部材として拡散板を用いてもよい。
【0126】
図18は、第4の実施の形態の変形例に係る偏光光照射装置4Aの概略を示す平面図である。
図19は、偏光光照射装置4Aの概略を示す正面図である。
【0127】
偏光光照射部60Aは、主として、光源61と、導光部材64と、光学部材63と(
図11では図示せず)と、を有する。
図18、19に示す待機位置では、水平方向において、偏光光照射部60Aは、ステージ21と光学測定器22との間に設けられる。
【0128】
光源61は、導光部材64の側面(ここでは、y側(短手方向)の側面)に隣接して設けられる。光学部材63は、導光部材64の下方に設けられる。
【0129】
導光部材64は、アクリル等の透明な材料で形成された板材であり、略帯状に形成されている。導光部材64の裏面(−z側の面)が面発光するように、導光部材64の表面(+z側の面)には、金属製の反射拡散板が設けられる。また、導光部材64の光源61が隣接して設けられていない側面には、光が逃げないように、金属製の遮光板が設けられる。
【0130】
支持台31は、偏光光照射部60Aを支持する。偏光光照射部60Aは光源61を有するが、光源61は光源11より小さくかつ軽いため、偏光光照射装置1、2と比べて支持台31の移動は容易である。したがって、偏光光照射装置1、2と比べて、偏光光照射装置4Aを小型化することができる。
【0131】
<第5の実施の形態>
第1の実施の形態では、ステージ21が1つ設けられたが、ステージ21の数はこれに限られない。
【0132】
第5の実施の形態は、ステージ21を2つ設ける形態である。以下、第5の実施の形態に係る偏光光照射装置5について説明する。なお、第1の実施の形態に係る偏光光照射装置1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0133】
図20は、第2の実施の形態に係る偏光光照射装置5の概略を示す平面図である。
図20においては、待機位置における偏光光照射部10及び支持台31の位置を破線及び実線で示す。この待機位置においては、偏光光照射部10がx方向の略中央に設けられる。また、待機位置においては、偏光光照射部10に隣接して光学測定器22が設けられ、これらの両側にステージ21が設けられる。なお、
図20においては、偏光光照射部10の右側(+x側)に光学測定器22が設けられているが、偏光光照射部10の左側(−x側)に光学測定器22が設けられていてもよい。
【0134】
偏光光照射装置5は、主として、偏光光照射部10と、ステージ21と、光学測定器22と、光源移動部30Cと、ロボット40(
図20では図示せず)と、を備える。
【0135】
光源移動部30Cは、主として、支持台31と、支持台移動部32Cと、回動部33と、を有する。支持台移動部32Cは、棒状のレール32eと、支持台駆動部32b(図示せず)と、平行移動機構部(図示せず)と、を有する。なお、レール32aとレール32eとの差異はx方向の長さのみである。
【0136】
ロボット40は、偏光光照射装置5の+x側の端及び−x側の端に対向して設けられる。−x側の端に設けられるロボット40の位置は、偏光光照射装置1と同様である。
【0137】
このように構成された偏光光照射装置5の作用について説明する。
図21は、偏光光照射装置5が行う処理の流れを示すフローチャートである。偏光光照射装置5を動作させる前は、偏光光照射部10は、
図20に示す待機位置にある。
【0138】
まず、ロボット制御部56は、ロボット40を制御して対象物Wを−x側に設けられたステージ21(以下、第1ステージ21という)の上に載置する投入処理を行う(ステップS30)。当該処理は、ステップ10(
図6参照)と同様である。
【0139】
次に、ステージ回動制御部55は、第1ステージ21を回転させて、対象物Wを走査方向に対して一定角度だけ傾ける回転処理を行う(ステップS32)。当該処理は、ステップ12(
図6参照)と同様である。
【0140】
次に、光源制御部54及び支持台移動制御部51は、第1ステージ21に対して往路の露光処理を行う(ステップS34)。当該処理は、ステップS14(
図6参照)と同じである。
【0141】
往路の露光処理(ステップS34)が終了したら、光源制御部54及び支持台移動制御部51は、第1ステージ21に対する復路の露光処理を行う(ステップS36)。ステップS36における復路の露光処理は、ステップS16(
図6参照)と同じである。それと同時に、ロボット制御部56は、ロボット40を制御して対象物Wを+x側に設けられたステージ21(以下、第2ステージ21という)の上に載置する投入処理を行う(ステップS36)。
【0142】
第1ステージ21に対する往復の露光処理(ステップS34、S36)が終了したら、光源制御部54は光源11を点灯して、支持台移動制御部51は支持台31を+x方向に移動させ始める(ステップS38)。それと同時に、ステージ回動制御部55は、第1ステージ21を回転させて、対象物Wが走査方向に対して一定角度だけ傾いた状態から元に戻す回転処理、及び、第2ステージ21を回転させて、対象物Wを走査方向に対して一定角度だけ傾ける回転処理を行う(ステップS38)。
【0143】
光源11が、光源11の水平方向(x方向)の位置が光学測定器22のx方向の位置と重なる測定位置に移動されたら、偏光光照射部10から照射される偏光光の測定処理を行う(ステップS40)。そして、光源制御部54及び支持台移動制御部51は、第2ステージ21に対して往路の露光処理を行う(ステップS42)。
【0144】
統括制御部59は、ステップS38で支持台31移動させ始めてから、支持台31を止めずに連続してステップS40、S42を行う。移動速度算出部52は、あらかじめ支持台移動制御部51が支持台31を移動させる速度、時間等を算出しておく。ステップS40において、光学測定部57は、光学測定器22での測定結果と、移動速度算出部52が算出した速度とに基づいて、偏光光照射部10から照射された偏光光の積算露光量(mJ/cm
2)及び偏光光の照度(mW/cm
2)を算出する。このように、ステップS38〜S42において、露光処理と測定処理とが連続してほぼ同時に行われる。
【0145】
往路の露光処理と同時に、ロボット制御部56は、ロボット40を制御して対象物Wを第1ステージ21から排出する排出処理を行う(ステップS42)。
【0146】
統括制御部59は、次に処理を行う対象物Wがあるか否かを判定する(ステップS44)。次に処理を行う対象物Wがある場合(ステップS44でYES)には、光源制御部54及び支持台移動制御部51は、第2ステージ21に対する復路の露光処理と、第1ステージ21に対する対象物Wの投入処理と、を行う(ステップS46)。ステップS46における、第2ステージ21に対して行う復路の露光処理は、ステップS38〜S42における速度と同じ速度で支持台31を−x方向に移動させて、偏光光照射部10を待機位置に戻す。ステップS46における第1ステージ21への対象物Wの投入処理は、ステップS30と同じである。
【0147】
次に、ステージ回動制御部55は、第2ステージ21を回転させて、対象物Wが走査方向に対して一定角度だけ傾いた状態から元に戻す回転処理を行う(ステップS48)。当該処理は、ステップ32と同様である。それと同時に、ステージ回動制御部55は、第1ステージ21を回転させて、対象物Wを走査方向に対して一定角度だけ傾ける回転処理を行う(ステップS48)。
【0148】
そして、ロボット制御部56は、ロボット40を制御して対象物Wを第2ステージ21から排出する排出処理を行う(ステップS50)。それと同時に、光源制御部54及び支持台移動制御部51は、第1ステージ21に対して往路の露光処理を行う(ステップS50)。この露光処理は、ステップS34と同一である。その後、統括制御部59は処理をステップS36に戻し、次の対象物Wに対して処理を行う。
【0149】
次に処理を行う対象物Wが無い場合(ステップS44でNO)には、光源制御部54及び支持台移動制御部51は、第2ステージ21に対する復路の露光処理を行う(ステップS52)。当該処理は、ステップS46における処理と同じである。次に、ステージ回動制御部55は、第2ステージ21を回転させて、対象物Wが走査方向に対して一定角度だけ傾いた状態から元に戻す回転処理を行う(ステップS54)。当該処理は、ステップS48と同様である。その後、ロボット制御部56は、ロボット40を制御して対象物Wを第2ステージ21から排出する排出処理を行う(ステップS56)。当該処理は、ステップS50における処理と同じである。そして、統括制御部59は一連の処理を終了する。
【0150】
なお、ステップS36、S38、S42、S46、S48及びS50においては、処理時間短縮のため複数の処理を同時に行ったが、複数の処理は順番に行ってもよい。
【0151】
本実施の形態によれば、従来の装置と同等の大きさの装置を用いて、より効率よく処理を行うことができる。
【0152】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0153】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略中央とは、厳密に中央の場合には限られない。また、例えば、単に平行、直交等と表現する場合において、厳密に平行、直交等の場合のみでなく、略平行、略直交等の場合を含むものとする。また、本発明において「近傍」とは、例えばAの近傍であるときに、Aの近くであって、Aを含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。