(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の光学絞りユニットでは、モーターと遮光板ベースA及び遮光板ベースBとが同じベースプレートによって支持されている。
このため、光学絞りユニットを組み立てる際には、ベースプレートにモーター、遮光板ベースA及び遮光板ベースBを、個々に取り付ける必要があり、作業性がよくないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決することを目的としたものであり、組立性を向上させることができる調光装置及びプロジェクターを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る調光装置は、入射される光束の中心軸を挟んで配置され、前記光束にそれぞれ挿入されて、前記光束の少なくとも一部を遮蔽する第1遮光部及び第2遮光部と、駆動力を発生させる駆動部と、前記駆動力により前記第1遮光部及び前記第2遮光部を移動させる移動機構と、前記駆動部を支持する基板と、前記基板に組み合わされるカバー部材と、を備え、前記移動機構は、前記駆動部に設けられるピニオンギアと、前記ピニオンギアの回動に伴って回動される第1ギア及び第2ギアと、を備え、前記第1遮光部は、前記第1ギアに取り付けられ、前記第2遮光部は、前記第2ギアに取り付けられ、前記カバー部材は、前記第1ギア及び前記第2ギアを回動可能に支持し、前記基板と組み合わされて、前記ピニオンギア、前記第1ギア及び前記第2ギアを覆うことを特徴とする。
【0008】
上記第1態様によれば、ピニオンギア、第1ギア及び第2ギアは、基板及びカバー部材によって覆われているので、各ギアに塵埃が付着することを抑制できる。これにより、第1遮光部及び第2遮光部の移動が妨げられることを抑制でき、調光装置の信頼性を向上できる。また、各ギアが回動する際に発生する騒音をカバー部材によって遮ることができ、調光装置の静音化を図ることができる。
また、第1ギア及び第2ギアは、カバー部材によって支持されている。このため、調光装置を製造する際、第1ギア及び第2ギアが支持されたカバー部材を基板に取り付けることにより、これらを一度に取り付けられるので、組立性を向上させることができる。
【0009】
上記第1態様では、前記カバー部材は、前記基板に取り付けられて、前記ピニオンギア、前記第1ギア及び前記第2ギアを覆う本体部と、前記本体部に設けられ、前記第1ギア及び前記第2ギアを回動可能に支持する支持部と、を有することが好ましい。
上記第1態様によれば、カバー部材によって第1ギア及び第2ギアを確実に軸支できる。
【0010】
上記第1態様では、前記カバー部材は、前記第1ギアの軸方向から見て、前記第1ギアの一部を露出させる第1開口部と、前記第2ギアの軸方向から見て、前記第2ギアの一部を露出させる第2開口部と、を有し、前記第1遮光部は、前記第1開口部を介して前記第1ギアに取り付けられ、前記第2遮光部は、前記第2開口部を介して前記第2ギアに取り付けられていることが好ましい。
上記第1態様によれば、第1開口部及び第2開口部を介して、カバー部材内に位置する第1ギア及び第2ギアに、第1遮光部及び第2遮光部を確実に取り付けることができる。
また、カバー部材の外側に位置する第1遮光部及び第2遮光部が、当該カバー部材の開口部を介してカバー部材の内側に位置する第1ギア及び第2ギアに取り付けられるので、当該開口部を各遮光部が閉塞するように設けられることによって、第1ギア及び第2ギアが配置されるカバー部材の内部を密閉でき、塵埃の付着をより確実に抑制できる。
また、基板には、モーターに加えて、センサー等の電子部品が取り付けられることがある。このため、第1遮光部及び第2遮光部を取り付けるため、当該基板に、第1ギアの一部及び第2ギアの一部を露出する開口部を形成しようとした場合は、開口部の位置を、これらの電子部品を避けた位置に設定する必要があり、第1遮光部及び第2遮光部の取付位置が制約される。これに対して、本発明によれば、第1開口部及び第2開口部の位置を、電子部品を避けた位置に設定する必要がないため、第1遮光部及び第2遮光部の取付位置の自由度を向上させることができる。
【0011】
上記第1態様では、前記移動機構は、前記ピニオンギア及び前記第1ギアのそれぞれと噛合する中間ギアを有し、前記中間ギアは、前記ピニオンギアと噛合する第1中間ギアと、前記ピニオンギアと噛合して、前記第1中間ギアと同軸で回動される第2中間ギアと、前記第1中間ギア及び前記第2中間ギアを付勢する付勢部材と、前記第2中間ギアと同軸で一体的に回動され、前記第1ギアと噛合する第3中間ギアと、を有するノーバックラッシギアであることが好ましい。
上記第1態様によれば、ピニオンギアの回転は、中間ギアを介して第1ギアに伝達される。これによれば、ピニオンギアと第1ギアとが直接噛合する場合と比べて、ピニオンギアに対する第1ギアの減速比を調整しやすくできる。
また、上記第1態様によれば、中間ギアがノーバックラッシギアであるので、ピニオンギアと中間ギアとが噛み合うときに発生する音(叩き音)を小さくできる。従って、調光装置の駆動音をより小さくできる。また、中間ギアのがたつきを抑制できるので、第1遮光部及び第2遮光部の位置精度を向上させることができる。
【0012】
上記第1態様では、前記第1遮光部は、前記第1ギアに取り付けられる第1取付部と、前記第1取付部に設けられた第1放熱部と、を有し、前記第2遮光部は、前記第2ギアに取り付けられる第2取付部と、前記第2取付部に設けられた第2放熱部と、を有することが好ましい。
上記第1態様によれば、光が当たることで第1遮光部及び第2遮光部に発生した熱を、第1放熱部及び第2放熱部によって放熱できるので、各遮光部の劣化を抑制できる。
また、各遮光部の熱を第1ギア及び第2ギアに伝わりにくくすることができるので、熱によって第1ギア及び第2ギアが膨張することを抑制できる。これにより、第1ギア及び第2ギアの回動が妨げられることを抑制できる。従って、調光装置の信頼性をより向上できる。
また、各放熱部が調光装置を通過する光を意図せず遮蔽してしまうことを抑制できる。
【0013】
上記第1態様では、前記第1放熱部は、前記第1取付部から延出した複数の第1フィンを有し、前記第2放熱部は、前記第2取付部から延出した複数の第2フィンを有し、前記複数の第1フィン及び前記複数の第2フィンは、前記第1遮光部及び前記第2遮光部に沿って流通する冷却風の流通方向に交差する方向に沿って延出していることが好ましい。
上記第1態様によれば、第1フィン及び第2フィンが冷却風の流通方向に沿って延出している場合と比べて、各フィンに冷却風を当たりやすくできる。これにより、各放熱部から空気中に熱をより効率よく放出することができ、熱によって第1ギア及び第2ギアが膨張することをより抑制できる。
【0014】
本発明の第2態様に係るプロジェクターは、光源装置と、前記光源装置から出射された光束を変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光束を投射する投射光学装置と、前記光源装置から前記光変調装置に入射される前記光束の光路上に配置される、上述した調光装置と、を備えることを特徴とする。
上記第2態様によれば、上記第1態様に係る調光装置と同様の効果を得ることができる。また、第1遮光部及び第2遮光部が、光源装置から光変調装置に入射される光束の光路上に配置されるので、当該光変調装置に入射される光量を確実に調整できる。従って、光変調装置により形成される画像、ひいては、投射光学装置によって投射される画像のコントラストを向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
[プロジェクターの外観構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1を正面側上方から見た斜視図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、内部に配置された光源装置から出射された光を変調して画像情報に応じた画像を形成し、当該画像をスクリーン等の被投射面上に拡大投射する画像表示装置である。このプロジェクター1は、
図1に示すように、外装を構成する外装筐体2と、当該外装筐体2内に配置される装置本体3(
図2参照)とを備える。
このようなプロジェクター1は、詳しくは後述するが、調光装置5(
図3〜
図6)を備える。この調光装置5は、駆動力を発生させる駆動部を支持する基板と、当該駆動力によって一対の遮光部を移動させる移動機構の一部を支持するカバー部材とが組み合わされることにより、当該移動機構を構成するギアが、これら基板及びカバー部材によって形成される空間内に収容されている点を、特徴の1つとしている。
以下、プロジェクター1の構成について詳述する。
【0017】
[外装筐体の構成]
外装筐体2は、全体略直方体形状を有し、本実施形態では合成樹脂により形成されている。この外装筐体2は、アッパーケース2A及びロアーケース2Bを有し、これらが組み合わされて構成されている。このような外装筐体2は、天面部21、底面部22、正面部23、背面部24、左側面部25及び右側面部26を有する。
【0018】
天面部21は、後述する投射光学装置46に設けられた操作レバー462を露出させる開口部211を有する。この操作レバー462は、当該投射光学装置46によって投射される画像のフォーカス調整又はズーム調整を行うためのレバーである。また、天面部21は、プロジェクター1に対する各種操作を受け付ける操作パネル212を有する。
右側面部26には、外部の空気を冷却気体として外装筐体2の内部に導入する吸気口261を有する。
正面部23は、開口部231及び排気口232を有する。開口部231は、正面部23における略中央に位置し、投射光学装置46から投射される画像を通過させる。排気口232は、正面部23の左側面部25側に位置し、外装筐体2内を流通した冷却気体を排出する。
【0019】
[装置本体の構成]
図2は、装置本体の構成を示す模式図である。
装置本体3は、プロジェクター1の内部構造に相当し、上記外装筐体2内に配置される。この装置本体3は、
図2に示すように、画像投射装置4及び冷却装置9を備える。この他、図示を省略するが、装置本体3は、プロジェクター1を制御する制御装置、及び、当該プロジェクター1を構成する電子部品に電力を供給する電源装置を備える。
これらのうち、冷却装置9は、詳しい図示を省略するが、冷却ファンと、当該冷却ファンから送出された冷却風を後述する調光装置5の下方に導くダクトとを備える。
【0020】
画像投射装置4は、上記制御装置による制御の下、画像情報に応じた画像を形成及び投射する。この画像投射装置4は、
図2に示すように、光源装置41、均一化装置42、色分離装置43、リレー装置44、電気光学装置45、投射光学装置46及び光学部品用筐体47を備える。
【0021】
光源装置41は、均一化装置42に光束を出射する。この光源装置41は、光源ランプ411、リフレクター412及び平行化レンズ413と、これらを収納するハウジング414と、を有する。しかしながら、光源装置41は、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の固体光源を有する構成としてもよい。また、光源装置41は、当該固体光源と、固体光源から出射された光の少なくとも一部の波長を変換する波長変換素子とを有する構成としてもよい。更に、光源装置の数は、2つ以上でもよい。
均一化装置42は、光源装置41から入射される光束の中心軸に直交する面内の照度を均一化する。この均一化装置42は、光源装置41からの光束の入射順に、第1レンズアレイ421、調光装置5、第2レンズアレイ422、偏光変換素子423及び重畳レンズ424を有する。なお、調光装置5については、後に詳述する。
【0022】
色分離装置43は、均一化装置42から入射される光束から、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色光を分離する。この色分離装置43は、ダイクロイックミラー431,432及び反射ミラー433を有する。
リレー装置44は、分離された3つの色光のうち、他の色光に比べて光路が長い赤色光の光路上に設けられる。このリレー装置44は、入射側レンズ441、リレーレンズ443及び反射ミラー442,444を有する。
【0023】
電気光学装置45は、分離された各色光を画像情報に応じてそれぞれ変調した後、当該各色光を合成して、投射光学装置46によって投射される画像光を形成する。この電気光学装置45は、各色光に応じて設けられる3つのフィールドレンズ451、3つの入射側偏光板452、光変調装置としての3つの液晶パネル453(赤、緑及び青用の液晶パネルをそれぞれ453R,453G,453Bとする)及び3つの出射側偏光板454と、1つの色合成装置455と、を有する。これらのうち、色合成装置455は、変調された各色光を合成するものであり、本実施形態ではクロスダイクロイックプリズムによって構成されている。しかしながら、これに限らず、色合成装置455は、複数のダイクロイックミラーによって構成することも可能である。
【0024】
投射光学装置46は、電気光学装置45によって形成された画像光を上記被投射面上に拡大投射する。この投射光学装置46は、複数のレンズ(図示省略)と、当該複数のレンズを内部に収納する鏡筒461とを備えた組レンズとして構成されている。これらのうち、鏡筒461には、上記操作レバー462(
図1参照)が外周面に設けられている。
【0025】
光学部品用筐体47は、上記装置41〜46を構成する光学部品の一部を支持する。この光学部品用筐体47には、照明光軸Axが設定されており、上記各装置41〜46は、当該照明光軸Ax上の所定位置に配置される。例えば、光源装置41が光学部品用筐体47に接続された際には、当該光源装置41から出射される光束の中心軸は、照明光軸Axと一致する。
【0026】
[調光装置の構成]
以下、調光装置5の構成について説明する。
なお、以下の説明では、互いに直交する+X方向、+Y方向及び+Z方向のうち、+Z方向を、調光装置5に入射される光の進行方向とする。また、+Y方向を、底面部22から天面部21に向かう方向とし、+X方向を、+Y方向側が上側となるように当該調光装置5を+Z方向側から見た際の左側から右側に向かう方向とする。すなわち、+Z方向は、左側面部25から右側面部26に向かう方向であり、+Y方向は、底面部22から天面部21に向かう方向であり、+X方向は、正面部23から背面部24に向かう方向である。更に、+Z方向とは反対方向を−Z方向とする。−X方向及び−Y方向も同様である。
【0027】
図3〜
図6は、遮光板55,56が全閉状態(遮光量が最も多い状態)にある調光装置5を示す図である。具体的に、
図3は、調光装置5を−Z方向側から見た斜視図であり、
図4は、調光装置5を+Z方向側から見た斜視図である。また、
図5は、調光装置5を−X方向側から見た分解斜視図であり、
図6は、調光装置5を+X方向側から見た分解斜視図である。
調光装置5は、第1レンズアレイ421から第2レンズアレイ422に入射される光の少なくとも一部を遮蔽して、上記液晶パネル453に入射される光の光量を調整する機能を有する。すなわち、調光装置5は、入射される光束の通過光量を調整する。この調光装置5は、
図3〜
図6に示すように、ベース51(基板)、モーター52(駆動部)、移動機構53、カバー部材54、遮光板55(第1遮光部)、遮光板56(第2遮光部)、配線基板58及びセンサー59を備える。
【0028】
[ベースの構成]
ベース51は、モーター52、カバー部材54及び配線基板58を支持するものであり、ねじ等の固定部材によって上記光学部品用筐体47に取り付けられる。このベース51は、
図5、
図6に示すように、−X方向側の表面部511と、+X方向側の裏面部512と、貫通孔513とを有する。
表面部511には、カバー部材54が取り付けられる。
裏面部512には、ねじS3によって、配線基板58が取り付けられる。この配線基板58には、+X方向側にセンサー59が実装されている。
貫通孔513は、モーター52のスピンドル521が挿通される孔である。
【0029】
[モーターの構成]
モーター52は、図示しないケーブルを介して上記制御装置から入力される駆動信号に応じて駆動して、移動機構53を介して遮光板55,56を移動させる駆動力を発生するものであり、本実施形態では、ステッピングモーターが採用されている。このモーター52は、
図5に示すように、+X方向に沿う回転軸を中心として回転するスピンドル521を有する。このようなモーター52は、スピンドル521が上記貫通孔513を挿通するように、ベース51の裏面部512に、ねじS1,S2によって取り付けられる。
【0030】
[移動機構の構成]
図7は、移動機構53を、−X方向側から見た図である。
移動機構53は、モーター52が発生した駆動力によって遮光板55,56を移動させるものである。この移動機構53は、
図5〜
図7に示すように、+X方向に沿った方向を軸として回動する平歯車であるピニオンギア531と、3つのギア532〜534と、を有する。ギア531〜534は、樹脂によって形成されている。
これらのうち、ピニオンギア531は、モーター52のスピンドル521に取り付けられ、当該スピンドル521と一体となって回転する。
【0031】
ギア532は、本発明の中間ギアに相当し、ノーバックラッシギアとして構成されている。このようなギア532は、上記ピニオンギア531とそれぞれ噛合する第1中間ギア5321及び第2中間ギア5322と、第3中間ギア5323と、付勢部材5324(
図6及び
図7参照)と、を有する。
第1中間ギア5321及び第2中間ギア5322は、それぞれ同径に形成され、同じ回動軸を中心として回動する円形ギアである。これら中間ギア5321,5322の外周に形成されて上記ピニオンギア531と噛合する複数の歯のピッチは、それぞれ同じである。これらのうち、第1中間ギア5321は、第2中間ギア5322に対する+X方向側に位置する。
このような第1中間ギア5321及び第2中間ギア5322は、後述するカバー部材54の回動軸部545が挿通する共通の挿通孔532Bを有する。この挿通孔532Bに回動軸部545が挿通されることによって、各中間ギア5321,5322は、当該回動軸部545に回動可能に支持される。
【0032】
第3中間ギア5323は、第2中間ギア5322において第1中間ギア5321とは反対側の面に一体化されている円形のギアである。第3中間ギア5323は、カバー部材54の回動軸部545が挿通する第1中間ギア5321及び第2中間ギア5322と共通の挿通孔532Bを有し、この挿通孔532Bに回動軸部545が挿通される。第3中間ギア5323は、ピニオンギア531の回動に伴って第1中間ギア5321及び第2中間ギア5322とともに同方向に回動する。このような第3中間ギア5323の外径は、第2中間ギア5322の外径より小さく、当該第3中間ギア5323の外周に形成された複数の歯のピッチは、第2中間ギア5322の外周に形成された複数の歯のピッチより大きい。このような第3中間ギア5323の複数の歯は、ギア533と噛合する。
【0033】
付勢部材5324は、ばねによって構成され、各中間ギア5321,5322に形成された収容部532Aに収容されている。この付勢部材5324の一端は、第1中間ギア5321に固定され、他端は、第2中間ギア5322に固定されている。この構成によって、中間ギア5321,5322は、当該中間ギア5321,5322の回動方向における第1中間ギア5321の一点と、同方向における第2中間ギア5322の一点とが互いに近接する方向に付勢される。換言すると、第1中間ギア5321は、ギア532の回動方向における一方向に付勢され、第2中間ギア5322は、同回動方向における他方向に付勢される。これにより、ピニオンギア531の歯を、各中間ギア5321,5322の歯で挟み込むシザース機構を構成でき、ピニオンギア531とギア532との間でのバックラッシの影響を減少させることができる。
【0034】
ギア533は、本発明の第1ギアに相当する。このギア533は、−X方向側から見て扇形に形成されている。このようなギア533は、歯車部5331及び軸部5332を有する。
歯車部5331は、上記扇形の円弧状部分に形成された複数の歯により構成される。この歯車部5331は、上記第3中間ギア5323と噛合する。
軸部5332は、ギア533において−X方向側、すなわち、ベース51とは反対側に突設されている。この軸部5332は、詳しくは後述するが、カバー部材54の軸受部546に挿入されて、ギア533の回動中心部を構成する。また、軸部5332は、当該カバー部材54の開口部5421を介して外部に露出され、当該軸部5332には、遮光板55が固定される。
【0035】
ギア534は、本発明の第2ギアに相当する。このギア534は、−X方向側から見て、上記ギア533より小さい扇形に形成されており、当該ギア533と噛合する。このようなギア534は、歯車部5341及び軸部5342を有する。
歯車部5341は、上記扇形の円弧状部分に形成された複数の歯により構成される。この歯車部5341は、上記ギア533の歯車部5331と噛合する。
軸部5342は、ギア534において−X方向側、すなわち、ベース51とは反対側に突設されている。この軸部5342は、詳しくは後述するが、カバー部材54の軸受部547に挿入されて、ギア534の回動中心部を構成する。また、軸部5342は、当該カバー部材54の開口部5422を介して外部に露出され、当該軸部5342には、遮光板56が固定される。
【0036】
このような移動機構53によれば、モーター52が駆動して、ピニオンギア531が、−X方向側から見て反時計回りに回転すると、
図7に示すように、ギア532を介してギア533が反時計回りに回動し、これに連動してギア534が時計回りに回動する。これにより、ギア533,534に取り付けられた遮光板55,56は、互いに近づく方向に移動する。
一方、ピニオンギア531が、−X方向側から見て時計回りに回転すると、ギア532を介してギア533が時計回りに回動し、これに連動してギア534が反時計回りに回動する。これにより、遮光板55,56は、互いに遠ざかる方向に移動する。
【0037】
[カバー部材の構成]
図8は、カバー部材54及び遮光板55,56を−X方向側から見た図である。また、
図9は、カバー部材54を+X方向側から見た斜視図である。
カバー部材54は、樹脂によって形成され、移動機構53を覆ってベース51に取り付けられる。このカバー部材54は、移動機構53を構成する各ギア531〜534に塵埃が付着することを抑制するとともに、当該各ギア531〜534が回動する際に発生する騒音を遮る機能を有する。
このようなカバー部材54は、
図9に示すように、本体部541及び支持部544を有する。
【0038】
図5、
図6及び
図9に示すように、本体部541は、平面部542及び側面部543を有する。
平面部542は、カバー部材54においてYZ平面に沿う平面である。この平面部542は、ギア533,534の軸部5332,5342を露出させる開口部5421(第1開口部)及び開口部5422(第2開口部)を有する他、
図5に示すように、−X方向側に突出する突起部5423,5424を有する。
これらのうち、突起部5423は、−X方向側から見て、開口部5421の同心円の円弧に沿って形成されている。この突起部5423には、後述する遮光板55の取付部553における+X方向側の面が当接し、これにより、遮光板55の摺動抵抗を減じている。
同様に、突起部5424は、−X方向側から見て、開口部5422の同心円の円弧に沿って形成されている。この突起部5424には、後述する遮光板56の取付部563における+X方向側の面が当接し、これにより、遮光板56の摺動抵抗を減じている。
【0039】
側面部543は、平面部542の外周縁から+X方向に延出して形成されている。この側面部543は、
図9に示すように、ベース51の外周縁に引っかかり、カバー部材54を当該ベース51に係止する一対の爪部5431,5432を有する。
そして、これら平面部542及び側面部543により、本体部541の内側には、+X方向側を向く凹部が形成され、上記移動機構53は、ベース51の表面部511とカバー部材54とによって囲まれた空間に収容される。
【0040】
支持部544は、上記ギア532〜534を回動可能に支持する。この支持部544は、回動軸部545及び軸受部546,547を有する。
回動軸部545は、平面部542から+X方向側に突設され、上記のように、ギア532に挿入される。これにより、ギア532は、回動軸部545を中心として回動可能に支持される。
【0041】
軸受部546は、平面部542における開口部5421の外周縁から+X方向側に突出した円筒状部分である。この軸受部546に上記軸部5332が挿入されることにより、ギア533は、当該軸部5332を中心軸として回動可能に支持される。
軸受部547は、軸受部546と同様に、平面部542における開口部5422の外周縁から+X方向側に突出した円筒状部分である。この軸受部547に上記軸部5342が挿入されることにより、ギア534は、当該軸部5342を中心軸として回動可能に支持される。
【0042】
[遮光板の構成]
遮光板55(第1遮光部)及び遮光板56(第2遮光部)は、
図3〜
図6に示すように、板金を折曲加工されて形成されている。これら遮光板55,56は、光源装置41から第1レンズアレイ421を介して第2レンズアレイ422に入射される光束の中心軸(上記照明光軸Axと同じ)を+Y方向側及び−Y方向側から挟むように配置される。そして、遮光板55,56は、上記移動機構53によって当該光束の通過領域内に挿入されて、当該光束の少なくとも一部の光を遮光することにより、当該光束の通過光量を調整する。なお、第1レンズアレイ421は、光源装置41から出射された光束を複数の部分光束に分割して出射しているが、説明の便宜上、複数の部分光束全体の中心軸を照明光軸Axとしている。
【0043】
遮光板55は、本体部551、延出部552、取付部553(第1取付部)及び放熱部554(第1放熱部)を有する。
本体部551は、上記通過領域内に挿入される部位であり、+Z方向側から見て略矩形状に形成されている。この本体部551は、反射された光が光源装置41に戻る戻り光となることを抑制する目的で、+X方向側から見て一部が湾曲した形状を有する。
延出部552は、本体部551の+X方向の端部から+X方向に延出している。
取付部553は、延出部552の+X方向の端部からYZ平面に沿うように屈曲して形成されており、上記軸部5332に取り付けられる。この取付部553には、当該軸部5332に遮光板55を固定するねじS4が挿通する孔部5531が形成されている。
放熱部554は、取付部553の外縁からそれぞれ同じ方向に延出した複数のフィン555(第1フィン)によって構成されている。ここで、各フィン555は、−X方向側に傾斜して取付部553の外縁から延出している。
【0044】
遮光板56は、遮光板55と鏡面対称に形成されている。すなわち、遮光板56は、遮光板55と同様に、本体部561、延出部562、取付部563(第2取付部)及び放熱部564(第2放熱部)を有する。このような遮光板56は、取付部563に形成された孔部5631を挿通するねじS5が上記軸部5342に固定されることにより、当該軸部5342に取り付けられている。
なお、放熱部564は、放熱部554と同様に、取付部563の外縁からそれぞれ同じ方向に延出した複数のフィン565(第2フィン)によって構成されている。各フィン565も、−X方向側に傾斜して取付部563の外縁から延出している。
【0045】
[遮光板による光量調整]
本体部551,561は、ギア533,534の回動に伴って、第1レンズアレイ421から第2レンズアレイ422へと進行する光束の中心軸から遠ざかる方向(互いに遠ざかる方向)、及び、当該中心軸に近づく方向(互いに近づく方向)に移動される。この移動により、当該中心軸からの本体部551,561の距離が調整されることにより、当該本体部551,561による遮光量が調整され、ひいては、液晶パネル453に入射される光量が調整される。
例えば、本体部551,561における上記中心軸側の端部が当該中心軸から最も離れた全開状態(遮光量が最小となる状態)では、液晶パネル453に入射される光量は最大となる。一方、本体部551,561における上記中心軸側の端部が当該中心軸に最も近づいた全閉状態(遮光量が最大となる状態)では、液晶パネル453に入射される光量は最小となる。
なお、本実施形態では、本体部551,561は、上記全閉状態においても−Z方向側から見て重ならないように構成されており、当該全閉状態でも僅かな光は、調光装置5を通過する。しかしながら、これに限らず、全閉状態では、第2レンズアレイ422に入射される光が完全に遮蔽されるように、調光装置5を構成してもよい。
【0046】
[調光装置を流通する冷却風の流れ]
ここで、調光装置5の遮光板55,56を冷却する冷却風の流通方向と、当該遮光板55,56が有するフィン555,565の突出方向との関係について説明する。
上記冷却装置9(
図2参照)から送出された冷却風のうち、調光装置5に送風された冷却風CGは、
図8に示すように、遮光板55,56に沿って+Y方向側に流通する。これにより、光が入射されることによって熱せられた遮光板55,56を冷却できる。
【0047】
各フィン555,565は、上記のように取付部553,563の外縁から−X方向側に傾斜して延出している。すなわち、冷却風CGの流通方向に交差する方向に沿って延出しているので、各フィン555,565に冷却風CGが当たりやすくなる。
また、各フィン555,565は、−X方向側から見て、全閉状態において、冷却風CGの流通方向と交差する方向に沿って配列されている。すなわち、各フィン555,565は、冷却風CGの流通方向において、互いに重ならないように配列されている。これによれば、例えば、各フィン555,565が冷却風CGの流通方向に沿って配列されている場合と比べて、各フィン555,565に冷却風CGがより当たりやすくなる。なお、本実施形態では、調光装置5は、全閉状態から全開状態までの間で、常に、各フィン555,565の配列方向が、冷却風CGの流通方向と交差する方向に沿うように構成されている。
これらにより、本体部551,561から取付部553,563に伝わった熱を、各フィン555,565から空気中に効率よく放出することができ、当該熱が取付部553,563からギア533,534に伝わることを抑制できる。また、遮光板55,56の冷却効率を高めることができ、遮光板55,56の劣化を効果的に抑制できる。
【0048】
[実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1によれば、以下の効果がある。
ギア531〜534は、ベース51及びカバー部材54によって覆われているので、各ギア531〜534に塵埃が付着することを抑制できる。これにより、遮光板55,56の移動が妨げられることを抑制でき、調光装置5の信頼性を向上できる。また、各ギア531〜534が回動する際に発生する騒音をカバー部材54によって遮ることができ、調光装置5の静音化を図ることができる。また、第1レンズアレイ421から出射された光をカバー部材54によって遮ることができ、ギア531〜534に当該光が当たることを抑制できる。これにより、ギア531〜534が劣化したり、ギア531〜534に光が当たることでギア531〜534が熱膨張して移動機構53の駆動が妨げられたりすることを抑制できる。
また、ギア532〜534は、カバー部材54によって支持されている。このため、調光装置5を製造する際、ギア532〜534が支持されたカバー部材54をベース51に取り付けることにより、これらを一度に取り付けられるので、組立性を向上させることができる。
また、ギア532〜534は、カバー部材54が有する支持部544に回動可能に支持されるため、カバー部材54によってギア532〜534を確実に軸支できる。
【0049】
開口部5421,5422を介して、カバー部材54内に位置するギア533,534に、遮光板55,56を確実に取り付けることができる。
また、カバー部材54の外側に位置する遮光板55,56が、当該カバー部材54の開口部5421,5422を介してカバー部材54の内側に位置するギア533,534に取り付けられるので、当該開口部5421,5422を各遮光板55,56が閉塞するように設けられることによって、ギア533,534が配置されるカバー部材54の内部を密閉でき、塵埃の付着をより確実に抑制できる。
また、ベース51には、モーター52、配線基板58、センサー59等の電子部品が取り付けられている。このため、遮光板55,56を取り付けるため、当該ベース51に、ギア533,534の一部を露出する開口部を形成しようとした場合は、開口部の位置を、これらの電子部品を避けた位置に設定する必要があり、遮光板55,56の取付位置が制約される。これに対して、プロジェクター1によれば、開口部5421,5422がカバー部材54に形成されているので、開口部5421,5422の位置を、電子部品を避けた位置に設定する必要がなく、遮光板55,56の取付位置の自由度を向上させることができる。
【0050】
ピニオンギア531の回転は、ギア532を介してギア533に伝達される。これによれば、ピニオンギア531とギア533とが直接噛合する場合と比べて、ピニオンギア531に対するギア533の減速比を調整しやすくできる。
また、ギア532がノーバックラッシギアであるので、ピニオンギア531とギア532とが噛み合うときに発生する音(叩き音)を小さくできる。従って、調光装置5の駆動音をより小さくできる。ここで、ピニオンギア531と、ピニオンギア531と噛合するギアとの間で発生する叩き音は、その他のギア間での叩き音と比べて大きいため、ピニオンギア531と噛合するギア532にノーバックラッシギアを用いることで、駆動音を効果的に小さくできる。
また、ギア532がノーバックラッシギアであるので、ギア532のがたつきを抑制でき、遮光板55,56の位置精度を向上させることができる。
【0051】
遮光板55,56は取付部553,563に設けられた放熱部554,564を有している。このため、光が当たることで遮光板55,56に発生した熱を、放熱部554,564によって放熱できので、各遮光板55,56の劣化を抑制できる。また、各遮光板55,56の熱をギア533,534に伝わりにくくすることができるので、熱によってギア533,534が膨張することを抑制できる。これにより、ギア533,534の回動が妨げられることを抑制できる。従って、調光装置5の信頼性をより向上できる。また、各放熱部554,564が調光装置5を通過する光を意図せず遮蔽してしまうことを抑制できる。
【0052】
フィン555,565が冷却風CGの流通方向に交差する方向に沿って延出しているので、フィン555,565が冷却風CGの流通方向に沿って延出している場合と比べて、各フィン555,565に冷却風CGを当たりやすくできる。これにより、各放熱部554,564から空気中に熱をより効率よく放出することができ、熱によってギア533,534が膨張することをより抑制できる。
【0053】
遮光板55,56が、光源装置41から液晶パネル453に入射される光束の光路上に配置されるので、当該液晶パネル453に入射される光量を確実に調整できる。従って、液晶パネル453により形成される画像、ひいては、投射光学装置46によって投射される画像のコントラストを向上させることができる。
【0054】
[実施形態の変形]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記実施形態では、ギア533は、ギア532を介して、ピニオンギア531と連動して回動することとした。しかしながら、これに限らない。例えば、ギア533は、ピニオンギア531に直接噛合してもよい。この場合、ギア533は、ノーバックラッシギアで構成されていることが好ましい。
【0055】
上記実施形態では、ギア533は、軸部5332を有することとした。しかしながら、これに限らない。すなわち、ギア533が軸部5332を有さず、カバー部材54がギア533を回動可能に支持する回動軸部を有する構成としてもよい。同様に、ギア534が軸部5342を有さず、カバー部材54がギア534を回動可能に支持する回動軸部を有する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、ギア532は、カバー部材54が有する回動軸部545に取り付けられることとした。しかしながら、これに限らない。例えば、ギア532が軸部を有し、当該軸部が、カバー部材54に形成された軸受部によって回動可能に支持される構成としてもよい。
【0056】
上記実施形態では、遮光板55,56は、カバー部材54の−X方向側から、ギア533,534に取り付けられることとした。しかしながら、これに限らない。例えば、ベース51に、+X方向側から見て、ギア533の軸部5332及びギア534の軸部5342をそれぞれ露出される開口部を設ける。そして、遮光板55,56を、ベース51の+X方向側から、前記開口部を介してギア533,534に取り付けてもよい。
ただし、上記実施形態の方が、+X方向においてベース51と遮光板55,56との間に移動機構53及びカバー部材54が配置される分、ベース51と遮光板55,56との距離を長くすることができる。このため、ベース51に設けられたモーター52、配線基板58、センサー59が、遮光板55,56に光が当たることで発生する熱の影響を受けにくくできる。
【0057】
上記実施形態では、遮光板55,56は、ギア533,534の軸部5332,5342に取り付けられることとした。しかしながら、これに限らない。例えば、遮光板55,56は、ギア533,534の軸部5332,5342以外の部位に取り付けられていてもよい。
【0058】
上記実施形態では、放熱部554,564は、遮光板55,56の取付部553,563に設けられることとした。しかしながら、これに限らない。例えば、放熱部554,564は、遮光板55,56の延出部552,562に設けられていてもよい。また、遮光板55,56は、放熱部554,564を有さなくてもよい。
【0059】
上記実施形態では、調光装置5は、第1レンズアレイ421と第2レンズアレイ422との間に配置されることとした。しかしながら、これに限らない。例えば、第2レンズアレイ422の光出射側に配置されてもよい。すなわち、調光装置5の配置位置は、液晶パネル453に入射される光束を調光できれば、いずれの場所に配置されてもよい。
【0060】
上記実施形態では、画像投射装置4は略L字状に構成されていた。しかしながら、これに限らず、例えば、略U字状に構成された画像投射装置を採用してもよい。
上記実施形態では、プロジェクター1は、3つの液晶パネル453を備えるとした。しかしながら、これに限らず、2つ以下、あるいは、4つ以上の液晶パネル453を用いたプロジェクターにも、本発明を適用可能である。
上記実施形態では、光入射面と光出射面とが異なる透過型の液晶パネル453を用いていたが、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。また、入射光束を変調して画像情報に応じた画像を形成可能な光変調装置であれば、マイクロミラーを用いたデバイス、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)等を利用したものなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。