(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して実施例の窒化物半導体装置を説明する。実施例の窒化物半導体装置は、窒化ガリウム(GaN)を用いた縦型MOSFETである。その縦型MOSFETは、プレーナゲート構造を有する。説明の便宜上、実施例の窒化物半導体装置を単純に半導体装置10と称する。
図1に半導体装置10の要部断面図を示す。
【0016】
半導体装置10は、n型の窒化物半導体を材料とする基板3、n型の窒化物半導体層4、p型の一対のボディ領域5a、5b、n型のソース領域6a、6b、ゲート絶縁膜12、ゲート電極8、ソース電極9、ドレイン電極2、p型の一対の電界緩和領域13a、13bを備えている。
図1は、一対のボディ領域5a、5bとその周辺のみを示している。半導体装置10は、
図1と同じ構造を複数備えており、それらの構造の周囲を耐圧構造が囲んでいる。耐圧構造については説明を省略する。
【0017】
基板3は、n型不純物を高濃度に含む窒化ガリウム(GaN)を材料としている。基板3の裏面全体にドレイン電極2がオーミック接触している。基板3は、窒化物半導体層4がエピタキシャル成長するための下地板である。
【0018】
窒化物半導体層4は、基板3の上に半導体物質をエピタキシャル成長させた層である。窒化物半導体層4は、基板3よりもn型不純物を低濃度に含む窒化ガリウム(GaN)を材料とする。n型不純物の例としては、シリコン(Si)が挙げられる。
【0019】
窒化物半導体層4の表層にp型の一対のボディ領域5a、5bが設けられている。なお、一対のボディ領域5a、5bを以下では、ボディ領域5と総称する場合がある。ボディ領域5は、p型不純物を含んでいる。p型不純物の例としては、マグネシウム(Mg)が挙げられる。ボディ領域5のうち、後述するソース領域6とJFET領域7に挟まれた部分は、チャネル領域と呼ばれることがある。また、p型のボディ領域5の下にp型不純物をボディ領域5よりも高濃度に含むベース領域が設けられることもある。
【0020】
一対のボディ領域5a、5bに挟まれた領域がJFET(Junction Field Effect Transistor)領域7である。JFET領域7は、窒化物半導体層4と連続しており、窒化物半導体層4と一体である。説明の都合上、
図1では、破線でJFET領域7を窒化物半導体層4から区別している。JFET領域7は、窒化物半導体層4と同じ組成である。別言すれば、JFET領域7は、窒化物半導体層4の一部であるといってよい。
図1の破線よりも下の窒化物半導体層4は、ドリフト層と呼ばれることがある。
【0021】
ボディ領域5a、5bの表層にソース領域6a、6bが設けられている。ソース領域6a、6bは、ボディ領域5a、5bによって、窒化物半導体層4から隔てられている。ソース領域6a、6bは、n型不純物を高濃度に含んでいる。n型不純物の例は、前述したように、シリコン(Si)である。一対のソース領域6a、6bを以下ではソース領域6と総称する場合がある。ソース領域6にソース電極9がオーミック接触している。なお、ボディ領域5の表層でソース領域6に接するようにp型の半導体領域であるコンタクト領域が設けられることがあるが、
図1では、コンタクト領域の図示は省略した。コンタクト領域は、p型不純物をボディ領域5よりも高濃度に含む。
【0022】
ゲート電極8は、ゲート絶縁膜12を挟んで窒化物半導体層4(JFET領域7)と対向するように配置されている。ゲート電極8は、基板3の法線方向からみて、一端が一方のボディ領域5aと重なり、他端が他方のボディ領域5bと重なるように配置されている。基板3と平行な平板状のゲート電極8を有しているので、半導体装置10は、プレーナゲート型と呼ばれる。
【0023】
一対の電界緩和領域13a、13bは、窒化物半導体層4の中であって、JFET領域7のボディ領域5寄りの端の下方に設けられている。より詳しくは、電界緩和領域13aは、窒化物半導体層4の中であって、JFET領域7のボディ領域5a寄りの端の下方に設けられており、電界緩和領域13bは、窒化物半導体層4の中であって、JFET領域7のボディ領域5b寄りの端の下方に設けられている。別言すれば、一対の電界緩和領域13a、13bは、窒化物半導体層4の中であって、基板3の法線方向からみたときにJFET領域7のボディ領域寄りの端と重なるように設けられている。
【0024】
電界緩和領域13a、13bは、p型の半導体物質で作られている。詳しくは後述するが、電界緩和領域13a、13bは、もともと、ボディ領域5の一部であった半導体物質が、ボディ領域5を加熱することにより、ボディ領域から離脱して移動したものである。それゆえ、一対の電界緩和領域13a、13bは、ボディ領域5と組成が同じである。一対の電界緩和領域13a、13bを以下では電界緩和領域13と総称する場合がある。
【0025】
ゲート電極8とソース電極9の上部は絶縁層に覆われているが、その絶縁層の図示は省略してある。
【0026】
半導体装置10の動作について説明する。ソース電極9に対して所定の閾値以上の電圧をゲート電極8に印加すると、ボディ領域5のソース領域6とJFET領域7に挟まれた部分(チャネル領域)のゲート絶縁膜12の近傍にn型の反転層が形成される。ゲート電極8とソース電極9の電圧差を維持したままソース電極9に対して正の電圧をドレイン電極2に印加する。そうすると、ソース電極9/ソース領域6/ボディ領域5の反転層/JFET領域7/窒化物半導体層4/基板3/ドレイン電極2という順番で電子の経路が確立する。即ち、半導体装置10がオンし、ドレイン電極2からソース電極9へ電流が流れる。ソース電極9に対するゲート電極8の電圧を閾値より低くすると、反転層が消滅する。即ち、半導体装置10がオフし、電流が遮断される。
【0027】
ワイドバンドギャップ半導体である窒化ガリウム(窒化物半導体)は、絶縁破壊に至る電界強度が高いことが一つの特徴である。この特徴により、ドリフト層(窒化物半導体層4)のn型不純物の濃度を高めることができる。その結果、オン抵抗を下げることができる。また、ワイドバンドギャップ半導体は、ドリフト層の厚みを小さくすることができる。この特徴も、オン抵抗を下げることに貢献する。一方、半導体物質自体の電界強度が高いことで、相対的にゲート絶縁膜12の電界強度が不足しがちとなる。そこで、ゲート絶縁膜12の絶縁破壊対策が望まれている。p型の電界緩和領域13は、ゲート絶縁膜12の電界緩和に貢献する。すなわち、半導体装置10がオフの間、p型の電界緩和領域13からも空乏層が延び、ゲート絶縁膜12に加わる電界の強度が下がる。よって、ゲート絶縁膜12の絶縁破壊が生じ難くなる。
【0028】
窒化ガリウムでは、イオン注入によるp型領域の形成が難しい。実施例の半導体装置10では、先に述べたように、p型の電界緩和領域13は、もともとボディ領域5の一部を移動させて形成している。実施例の半導体装置10は、p型の電界緩和領域13を結晶成長法で形成する必要がないため、低コストに製造することができる。p型の電界緩和領域13は、ボディ領域5とJFET領域7との境界の下方に設けてあり、JFET領域7の形成前に、ボディ領域5から離脱した半導体物質が下方に移動して形成される。
【0029】
次に、
図2から
図7を参照しつつ半導体装置10の製造方法を説明する。まず、
図2に示すように、窒化ガリウムを材料とするn型の基板3の主面上に、エピタキシャル成長技術を用いてn型の窒化物半導体層4を堆積させる(ドリフト層形成工程)。エピタキシャル成長技術の一例は、有機金属化合物気相成長法(MOCVD法)である。
【0030】
次に、
図3に示すように、n型の窒化物半導体層4の上に、エピタキシャル成長技術を用いてp型半導体層15を堆積させる。p型半導体層15も窒化ガリウム(GaN)を主成分とする窒化物半導体の層である。p型の不純物としては、例えばマグネシウム(Mg)が挙げられる。このp型半導体層15の一部が後にボディ領域5となる。p型半導体層15を堆積する工程がボディ領域形成工程に相当する。
【0031】
次に、
図4に示すように、p型半導体層15の表面から窒化物半導体層4に達するトレンチ16を形成する(トレンチ形成工程)。トレンチ16は、p型半導体層15のトレンチ予定領域以外をマスクし、トレンチ予定領域をエッチングにて除去して形成する。トレンチ16により、p型半導体層15は二分され、一対のボディ領域5a、5bが得られる。先に述べたように、ボディ領域5a、5bをボディ領域5と総称する場合がある。
【0032】
次に、
図5に示すように、ボディ領域5を加熱し、トレンチ16の夫々の側面16a、16bに露出しているp型の半導体物質をトレンチ16の底のボディ領域寄りの端16cへ移動させる(マストランスポート工程)。ボディ領域5を加熱することによって、側面16a、16bに露出している半導体物質は側面16a、16bから遊離し、表面エネルギの低いトレンチ16の底へ移動する。
図5において、太矢印線Aが、原子の移動を模式的に表している。移動した半導体物質はトレンチ側面直下のトレンチ底の端16cで塊となる。その塊が電界緩和領域13a、13bを構成する。ボディ領域5の加熱は、窒素を含むガス雰囲気中で行われる。
【0033】
次に、
図6に示すように、窒化物半導体層4の露出面とボディ領域5の露出面に、n型の窒化物半導体の結晶を再成長させ、窒化物二次半導体層14を形成する(再成長工程)。窒化物二次半導体層14により、トレンチ16は埋められる。ここでもエピタキシャル成長技術が利用される。窒化物二次半導体層14の組成は、窒化物半導体層4と同じである。
【0034】
p型不純物を含む窒化ガリウム(GaN)のマストランスポートは、概ね1000℃以上で生じる。エピタキシャル成長前の基板加熱によりマストランスポートを生じさせ、電界緩和領域13を形成する。その後、窒化とガリウムとn型不純物を含む雰囲気ガスを供給してエピタキシャル成長を開始させ、窒化物二次半導体層14を形成する。
【0035】
一方、マストランスポート工程を、850℃から950℃の範囲で行うか、あるいは、ガリウムを含まない雰囲気ガス中で行うことで、エピタキシャル成長を生じさせずにボディ領域5の一部にマストランスポートを生じさせることができる。即ち、マストランスポート工程と、再成長工程を別々に行うことができる。
【0036】
次に、
図7に示すように、ボディ領域5の表面に堆積している窒化物二次半導体層14を除去し、ボディ領域5の表面を露出させる。離間している一対のボディ領域5a、5bの間に残った窒化物二次半導体層14が、先に説明したJFET領域7となる。
【0037】
最後に、ボディ領域5a、5bの表層にn型のソース領域6a、6bを形成し、さらに、ゲート絶縁膜12、ゲート電極8、ソース電極9、ドレイン電極2を形成し、
図1の半導体装置10が完成する。n型不純物を含むソース領域6a、6bは、n型不純物をイオン注入する方法により形成することができる。先に述べたように、窒化物半導体では、p型不純物をイオン注入することに対して、n型不純物をイオン注入することは比較的に容易である。
【0038】
上記の製造方法によれば、n型の窒化物半導体層4の中に孤立したp型の電界緩和領域13を形成するのに、そのための専用のエピタキシャル成長工程が不要である(なお、p型のボディ領域を形成するにはエピタキシャル成長技術が利用される)。それゆえ、孤立したp型の電界緩和領域13を有する窒化物半導体装置10を低コストで製造することができる。
【0039】
図8に、変形例の半導体装置10aの要部断面図を示す。トレンチ形成工程にて、トレンチ16を浅く形成すれば、
図8に示すように、電界緩和領域113a(113b)がボディ領域5a(5b)と連続した態様を実現することができる。
図8の態様では、互いに離間しているp型の一対の電界緩和領域113a、113bは、一方の電界緩和領域113aがJFET領域7の一方のボディ領域5a寄りの端に設けられ、他方の電界緩和領域113bはJFET領域7の他方のボディ領域5b寄りの端に設けられる。さらに、一方の電界緩和領域113aは一方のボディ領域5aと接しており、他方の電界緩和領域113bは他方のボディ領域5bと接している。
【0040】
次に、半導体装置の製造方法の変形例を説明する。この製造方法のドリフト層形成工程、ボディ領域形成工程は、先の製造方法と同じである。この製造方法のトレンチ形成工程を、
図9−
図13を参照して説明する。この製造方法のトレンチ形成工程では、ボディ領域5を貫通して窒化物半導体層4に達するトレンチ216を形成する際、トレンチ216の底のボディ領域5寄りの両端に、底の中央部216aよりも深いサブトレンチ216bを形成する。サブトレンチ216bは、ドライエッチングなどでトレンチ216を形成する際、トレンチ216の底の角(トレンチ底面と側面との境界)が過剰にエッチングされて形成されてしまうものである。トレンチゲート型の半導体装置では、トレンチの底の角にサブトレンチが形成されていると電界集中や応力集中が生じるため、サブトレンチを抑制する技術が導入される。本明細書が開示する製造方法では、後のマストランスポートでトレンチ側面から離脱する半導体物質の貯留場所として、サブトレンチを積極的に利用する。
【0041】
次に、マストランスポート工程にて、トレンチ216の側面に露出しているp型の半導体物質をサブトレンチ216bへ移動させる(
図10)。
図10の太矢印線Bが、トレンチ216の側面の半導体物質が離脱してその直下のサブトレンチ216bへ移動する様子を模式的に示している。サブトレンチ216bに溜まって固まったp型の半導体物質の塊が電界緩和領域213a、213bとなる。
【0042】
次に、
図11に示すように、窒化物半導体層4の露出面とボディ領域5の露出面に、n型の窒化物半導体の結晶を再成長させ、窒化物二次半導体層14を形成する(再成長工程)。窒化物二次半導体層14によりトレンチ216は埋められる。ここでもエピタキシャル成長技術が利用される。窒化物二次半導体層14の組成は、窒化物半導体層4と同じである。
図11では、破線を描いて窒化物半導体層4と窒化物二次半導体層14を区別している。
【0043】
次に、
図12に示すように、ボディ領域5a、5bの表面に堆積している窒化物二次半導体層14を除去し、ボディ領域5の表面を露出させる。このとき、一対のボディ領域5a、5bに挟まれたn型の領域がJFET領域7となる。
【0044】
最後に、
図13に示すように、ボディ領域5a(5b)の表層にn型のソース領域6a(6b)を形成し、さらに、所定の場所にゲート絶縁膜12、ゲート電極8、ソース電極9、ドレイン電極2を形成し、半導体装置10bが完成する。ソース領域6a、6bは、イオン注入技術により形成される。
【0045】
半導体装置10bは、トレンチ216を形成する際にトレンチ底の角に生じるサブトレンチ216b(
図9、
図10参照)を利用することで、マストランスポートによって一対の電界緩和領域213a、213bを形成する際にそれらが接触し難くなる。従って、この製造方法によれば、底が完全に平坦なトレンチの場合と比較して、より大きいサイズの一対の電界緩和領域を得ることができる。
【0046】
図14に、別の変形例の半導体装置10cの要部断面図を示す。トレンチ形成工程にて、トレンチ216を浅く形成すれば、
図14に示すように、電界緩和領域313a(313b)がボディ領域5a(5b)と連続した態様を実現することができる。
図14の態様では、互いに離間しているp型の一対の電界緩和領域313a、313bは、一方の電界緩和領域313aがJFET領域7の一方のボディ領域5a寄りの端に設けられ、他方の電界緩和領域313bはJFET領域7の他方のボディ領域5b寄りの端に設けられる。一方の電界緩和領域313aは一方のボディ領域5aと接触しており、他方の電界緩和領域313bは他方のボディ領域5bと接触している。
【0047】
本明細書が開示する製造方法の特徴は、p型の電界緩和領域を、エピタキシャル成長技術を用いずに、マストランスポートを利用して得ることにある。それゆえ、比較的に低コストで、電界緩和領域を有するプレーナゲート型の窒化物半導体装置を得ることができる。先に説明した半導体装置は、いずれも、電界緩和領域の底が、隣接するボディ領域の底よりも深くなっている。ゲート絶縁膜に加わる電界強度を下げる目的のためには、電界緩和領域は浅い場所に設けることが望ましい。コストは嵩むが、マストランスポートを利用して、ボディ領域の底よりも浅い位置に電界緩和領域を形成することができる。その製造方法を、
図15から
図18を参照して説明する。
【0048】
ドリフト層形成工程、ボディ領域形成工程、トレンチ形成工程は、先の製造方法と同じである。
図15に、ボディ領域5を貫通し、窒化物半導体層4に達するトレンチ316が形成された製造途中の半導体装置の断面図を示す。
【0049】
次に、窒素とガリウムとn型不純物を含む雰囲気ガス中でn型の窒化物半導体をエピタキシャル成長させ、トレンチ316の底が、ボディ領域5の底よりも高くなるまで、n型の窒化物半導体を堆積させる。
図16には、再成長させた窒化物二次半導体層315が堆積し、トレンチ316の底がボディ領域5の底よりも高くなった様子が描かれている。窒化物二次半導体層315は、ボディ領域5の上にも堆積する。
【0050】
次いで、
図17に示すように、トレンチ316の側面316a、316bに露出しているボディ領域5の窒化物半導体物質をマストランスポートによりトレンチ316の底の両端316cに移動させる。マストランスポートにより移動したp型半導体物質が、トレンチ316の底の両端316cに堆積し、一対の電界緩和領域313a、313bを構成する。
図17の太矢印線Cが、トレンチ316の側面316a、316bから離脱して直下のトレンチ底の端に堆積する様子を模式的に表している。なお、トレンチ316の側面316a、316bにも再成長したn型半導体物質が堆積している場合は、マストランスポートに先立って、トレンチ側面に堆積したn型半導体物質を除去するように、再度エッチングしてもよい。
【0051】
マストランスポートにより電界緩和領域313a、313bを形成した後、さらにn型の窒化物半導体層をエピタキシャル成長させ、トレンチ316をn型の窒化物二次半導体層314で完全に埋める(
図18)。あとは、先に説明した製造方法と同じであり、ボディ領域5の上に堆積した窒化物二次半導体層314を除去し、ソース領域やゲート絶縁膜、ソース電極、ゲート電極、ドレイン電極などを形成すればよい。
図17、
図18から理解されるように、ボディ領域5の底よりも浅い位置に一対の電界緩和領域313a、313bを形成した窒化物半導体装置を得ることができる。
【0052】
電界緩和領域のサイズについて説明する。
図19は、
図1と同じ図に、サイズを示す記号を追加した図である。ただし、見易さを考慮して、窒化物半導体層4とJFET領域7のハッチングは省略した。JFET領域7の幅L1は、概ね1.0〜4.0[μm]であり、JFET領域7の深さ(ボディ領域5の深さ)は、概ね0.5〜2.0[μm]である。電界緩和領域13の高さL3は、概ね0.2〜1.0[μm]である。電界緩和領域13の幅は、概ね0.2〜1.0[μm]である。ただし、一対の電界緩和領域13a、13bの間隔L5は、概ね0.5[μm]以上は確保すべきである。サブトレンチを設けたときの電界緩和領域213a、213b(
図13参照)の高さと幅も、概ね0.2〜1.0[μm]である。
【0053】
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。一対の電界緩和領域が相互に接触しないようにするには、マストランスポート工程において加熱温度や加熱時間を適宜に調整すればよい。また、マストランスポートを行うと、ボディ領域5のJFET領域7との境界55(製造途中におけるトレンチ16の側面)、特に、その上縁の角部は、緩やか湾曲することになるが、図では、マストランスポートによる境界の湾曲は無視した。
【0054】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。