【文献】
J. Adv. Sci. Eng. Res.,2013年,Vol.3, No.4,p.388-399
【文献】
World J. Microbiol. Biotechnol.,2013年,Vol.29,p.1453-1460
【文献】
Curr. Microbiol.,2011年,Vol.62,p.894-902
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記集積培養工程で増殖させた前記微生物を、尿素を含む培養液に添加して、前記微生物を増殖させる大量培養工程をさらに含む、請求項1に記載のウレアーゼ生成微生物の製造方法。
前記微生物は、前記微生物を地盤に添加して前記地盤を改良するために使用されるものであり、かつ前記地盤から採取した微生物を培養して増殖させた微生物である、請求項1又は請求項2に記載のウレアーゼ生成微生物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで報告されているウレアーゼ生成微生物の培養方法の多くは試薬等としての少量の使用を目的としたものであり、地盤改良等に使用できる程度に大量にウレアーゼ生成微生物を製造するのに適した方法については充分に検討されていないのが実情である。
本発明は、ウレアーゼ生成微生物の大量製造に適したウレアーゼ生成微生物の製造方法及び地盤改良方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>栄養源及び尿素を含む第一の培養液中でウレアーゼを生成する微生物を増殖させることと、
第一の培養液から前記微生物を分離することと、
第一の培養液から分離した前記微生物と、栄養源と、尿素とを含む第二の培養液とを混合することと、
第二の培養液中で前記微生物を増殖させることと、を含む集積培養工程を有し、
前記集積培養工程は、第一の培養液及び第二の培養液のアンモニア濃度が10000ppm以下となる条件で行われる、ウレアーゼ生成微生物の製造方法。
【0007】
<2>前記集積培養工程で増殖させた前記微生物を、尿素を含む培養液に添加して、前記微生物を増殖させる大量培養工程をさらに含む、<1>に記載のウレアーゼ生成微生物の製造方法。
【0008】
<3>前記微生物は、前記微生物を地盤に添加して前記地盤を改良するために使用されるものであり、かつ前記地盤から採取した微生物を培養して増殖させた微生物である、<1>又は<2>に記載のウレアーゼ生成微生物の製造方法。
【0009】
<4><1>〜<3>のいずれか1項に記載のウレアーゼ生成微生物の製造方法により製造されたウレアーゼ生成微生物を地盤に添加する工程を含む、地盤改良方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウレアーゼ生成微生物の大量製造に適したウレアーゼ生成微生物の製造方法及び地盤改良方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0012】
<ウレアーゼ生成微生物の製造方法>
本発明のウレアーゼ生成微生物の製造方法は、
栄養源及び尿素を含む第一の培養液中でウレアーゼを生成する微生物を増殖させることと、
第一の培養液から前記微生物を分離することと、
第一の培養液から分離した前記微生物と、栄養源及び尿素を含む第二の培養液とを混合することと、
第二の培養液中で前記微生物を増殖させることと、を含む集積培養工程を有し、
前記集積培養工程は、第一の培養液及び第二の培養液のアンモニア濃度が10000ppm以下となる条件で行われる。
【0013】
本発明のウレアーゼ生成微生物の製造方法によれば、ウレアーゼ生成微生物を大量に製造することができる。すなわち本発明は、ウレアーゼ生成微生物を大量に製造するのに適した条件を検討した結果、集積培養工程においてウレアーゼ生成微生物の増殖に伴って生成されるアンモニアの濃度を10000ppm以下に抑えることが有効であることを見出しなされたものである。ウレアーゼ生成微生物の製造効率の観点からは、集積培養工程における第一の培養液及び第二の培養液のアンモニア濃度は7000ppm以下であることが好ましく、5000ppm以下であることがより好ましい。
【0014】
本発明においてウレアーゼ生成微生物とは、ウレアーゼを生成する微生物を意味し、その種類は特に制限されない。ウレアーゼ生成微生物として具体的には、バチルス、スポロサルシナ、スポロラクトバチルス、クロストリジウム、デスルホトマキュルム等を含む属から選択される細菌が挙げられる。
【0015】
本発明の方法により製造したウレアーゼ生成微生物を地盤改良に使用する場合、外来微生物の混入により現場の環境に影響が生じる可能性を排除する観点からは、地盤改良の対象地から採取した土壌中のウレアーゼ生成微生物を用いて集積培養工程を行うことが好ましい。
【0016】
(集積培養工程)
集積培養工程は、(1)栄養源及び尿素を含む第一の培養液中でウレアーゼを生成する微生物を増殖させることと、(2)第一の培養液から前記微生物を分離することと、(3)第一の培養液から分離した前記微生物と、栄養源及び尿素を含む第二の培養液とを混合することと、(4)第二の培養液中で前記微生物を増殖させることと、を含む。
【0017】
集積培養工程は、第二の培養液中で前記微生物を増殖させた後にさらに(5)第二の培養液から前記微生物を分離することと、(6)第二の培養液から分離した前記微生物と、栄養源及び尿素を含む第三の培養液とを混合することと、を含んでもよく、同様の工程をさらに繰り返してもよい。
【0018】
集積培養工程において、第一の培養液と第二の培養液とは異なっていても、一部が共通していてもよい。第一の培養液と第二の培養液の一部が共通している場合としては、例えば、第一の培養液の一部を除去した残りであるウレアーゼ生成微生物を含む第一の培養液に水、栄養源、尿素等を添加したものを第二の培養液として使用する場合が挙げられる。必要に応じて第三の培養液等を使用する場合も同様である。
【0019】
第一の培養液及び第二の培養液中でウレアーゼ生成微生物を増殖させる方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。例えば、培養液温度が10℃〜35℃の範囲、望ましくは20℃〜30℃の条件で行うことができる。必要に応じて第三の培養液等を使用する場合も同様である。
【0020】
第一の培養液からウレアーゼ生成微生物を分離する方法は特に制限されない。例えば遠心分離、膜分離等が挙げられる。必要に応じて第二の培養液からウレアーゼ生成微生物を分離する場合も同様である。
【0021】
第一の培養液から分離したウレアーゼ生成微生物と、第二の培養液とを混合する方法は特に制限されない。例えば、第一の培養液から分離したウレアーゼ生成微生物を第二の培養液に添加しても、第一の培養液から分離したウレアーゼ生成微生物に第二の培養液を添加してもよい。必要に応じて第三の培養液等を使用する場合も同様である。
【0022】
第一の培養液及び第二の培養液に含まれる栄養源は特に制限されず、有機物、無機塩等を栄養源として使用することができる。
【0023】
有機物として具体的には、酵母エキス、肉エキス、麦芽エキス、魚エキス、ペプトン、スクロース、トリプトン、グルコース、ジャガイモ抽出液、廃糖蜜、コンポスト廃液のしぼり汁等が挙げられる。
【0024】
無機塩として具体的には、KH
2PO
4、Na
2HPO
4等のリン酸塩、NH
4Cl等のアンモニア塩、KNO
3、NH
4NO
3等の硝酸塩、微量金属元素溶液等が挙げられる。本発明の方法では栄養源を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
本発明の方法では、栄養源が酵母エキスを含むことが好ましい。栄養源が酵母エキスを含むことで、ウレアーゼ生成微生物の製造効率が上昇する傾向にある。その理由は明らかではないが、ウレアーゼ生成微生物の増殖率が向上するほか、ウレアーゼ生成微生物を培養液から分離する際に酵母エキスがキャリアとして働き、培養液中に浮遊しているウレアーゼ生成微生物を取り込んで培養液からの分離を効率よく行うことができるためと推測される。
【0026】
第一の培養液及び第二の培養液に含まれる栄養源の濃度は特に制限されず、培養条件、栄養源の種類等に応じて設定できる。栄養源が酵母エキスである場合の濃度は、ウレアーゼ生成微生物の増殖を促進する観点からは1g/L以上であることが好ましく、5g/L以上であることがより好ましく、10g/L以上であることがさらに好ましい。酵母エキスが高濃度では微生物の吸収速度が頭打ちになるため、効率性の観点からは50g/L以下であることが好ましい。
【0027】
第一の培養液及び第二の培養液に含まれる尿素の濃度は特に制限されず、培養条件等に応じて設定できる。尿素の濃度は、ウレアーゼ生成微生物の優先化を促進するための観点からは0.05mol/L以上であることが好ましく、0.1mol/L以上であることがさらに好ましい。分解副生物であるアンモニアの蓄積による微生物の増殖阻害の抑制、及び培養液の悪臭抑制の観点からは、尿素の濃度は0.4mol/以下であることが好ましく、0.3mol/以下であることがより好ましい。
【0028】
(大量培養工程)
本発明のウレアーゼ生成微生物の製造方法は、集積培養工程で増殖させたウレアーゼ生成微生物を、尿素を含む培養液に添加して、ウレアーゼ生成微生物を増殖させる大量培養工程をさらに含むことが好ましい。
【0029】
本発明のウレアーゼ生成微生物の製造方法が集積培養工程と、大量培養工程とを含むことで、ウレアーゼ生成微生物を簡便な方法で大量に培養することができる。すなわち、集積培養工程においてウレアーゼ生成微生物を所望の濃度にまで増殖させた培養液を大量培養工程で用いることで、ウレアーゼ生成微生物を含む培養液を静置するのみでウレアーゼ生成微生物を大量に得ることができる。さらに、ウレアーゼ生成微生物を地盤改良等に利用する場合、集積培養工程は屋内等で行い、大量培養工程は集積培養工程で得られたウレアーゼ生成微生物を含む培養液を現場に移動してタンク等に投入して行うことで、ウレアーゼ生成微生物を含む大量の培養液を現場に運搬することなく大量のウレアーゼ生成微生物を調達することができる。
【0030】
大量培養工程では、集積培養工程で増殖させたウレアーゼ生成微生物を、尿素を含む培養液に添加して、ウレアーゼ生成微生物を増殖させる。大量培養工程で使用する培養液は、尿素を少なくとも含むことでウレアーゼ生成微生物を増殖させることができるが、栄養源をさらに含んでもよい。大量培養工程で使用する培養液が栄養源を含む場合は、上述した栄養源を用いることができる。
【0031】
大量培養工程においてウレアーゼ生成微生物を増殖させる方法は特に制限されない。例えば、培養液温度が15℃〜35℃の条件で行うことができる。培養液の尿素の濃度としては、例えば、ウレアーゼ生成微生物の優先化を促進するための観点からは0.05mol/L以上であることが好ましく、0.1mol/L以上であることがより好ましい。分解副生物であるアンモニアの蓄積による微生物の増殖阻害の抑制、及び培養液の悪臭抑制の観点からは、尿素の濃度は0.4mol/以下であることが好ましく、0.3mol/以下であることがさらに好ましい。
【0032】
<地盤改良方法>
本発明の地盤改良方法は、本発明のウレアーゼ生成微生物の製造方法により製造されたウレアーゼ生成微生物を地盤に添加する工程を含む。
【0033】
本発明の地盤改良方法においてウレアーゼ生成微生物を地盤に添加する方法は特に制限されない。ある実施態様では、例えば、ウレアーゼ生成微生物を水、セメント及び尿素と混合し、得られた混合物を土壌中にポンプで圧送して土壌と混合する。これにより、ウレアーゼによる尿素の分解によって分解された炭酸イオンとセメント中のカルシウムイオンとが反応して炭酸カルシウムが析出する。炭酸カルシウムはセメントと親和性を有する硬質の成分であるため、地盤の強度を向上させることができる。
【0034】
またある実施態様では、ウレアーゼ生成微生物を尿素及び塩化カルシウムとともに地盤中に混合し、炭酸カルシウムの析出により形成されるカルサイト中に地盤中の砒素等の有害金属イオンを捕捉させることによって有害金属を固定化(地下水への溶出抑制)することができる。
【0035】
本発明の地盤改良方法では、集積培養工程で増殖させたウレアーゼ生成微生物を用いても、大量培養工程で増殖させたウレアーゼ生成微生物を用いてもよい。また、増殖させたウレアーゼ生成微生物を含む培養液をそのまま用いても、所望の濃度に希釈して用いてもよい。
【実施例】
【0036】
以下、具体例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
<集積培養工程>
(参考例)
土壌試料(富津市において採取)に滅菌した蒸留水を質量比(土壌試料:蒸留水)が1:10となるように加え、2分間激しく振とうした。10分間静置後、上澄みを採取した。この上澄みを培養液に質量比(上澄み:培養液)が1:100となるように加え、30℃のインキュベータ内で3日間培養を行った。培養開始から3日後、培養液のウレアーゼ活性、アンモニア濃度、濁度、TOC(全有機炭素)及びpHを測定した。結果を表1の「EC変化率」、「アンモニア濃度」、「濁度」、「TOC」及び「pH」の欄にそれぞれ示す。
【0038】
培養液は、滅菌した蒸留水に食品添加物用酵母エキス(富士食品工業社製、商品名「YP−21CM」)を濃度が20.0g/Lとなるように添加し、農業資材用尿素を濃度が0.15mol/Lとなるように添加して調製した。
【0039】
培養液のウレアーゼ活性の測定は、EC(電気伝導度)の変化率の測定により行った。具体的には、0.50mol/Lの尿素水溶液40mLに培養液10mLを添加し、スターラーで撹拌しながら2分ごとにECを20分間測定し、1分間あたりのEC変化率を求めた。
【0040】
ECの値が上昇することは、ウレアーゼによる分解で尿素が減少していることを意味する。参考例で測定した1分間あたりのEC変化率は0.006(mS/cm/min)であった。この値は、ウレアーゼ活性の高い微生物として知られているBacillus pasteuriiのEC変化率(0.01〜0.026(mS/cm/min))の半分程度であり、ナタ豆より抽出したウレアーゼの濃度を200mg/Lとしたときの値にほぼ相当する。よって、この値をウレアーゼ活性の有無の判定基準とすることができる。
【0041】
培養液の濁度(FTU)は、遠心分離前の培養液について透過光・散乱光演算方式濁度計(HACH社製)により測定した。濁度が高いことは、培養液中に浮遊しているウレアーゼ生成微生物の量が多いことを意味する。
【0042】
培養液のTOCは、触媒燃焼式TOC計(島津製作所製、商品名「TOC−V」)により測定した。TOCが高いことは、酵母エキス等の栄養源が培養液中に十分に存在することを意味する。
【0043】
培養液のアンモニア濃度は、遠心分離によりウレアーゼ生成微生物を含む沈殿物から分離した上澄みについて、サリチル酸法(HACH社製のポータブル水質分析計、商品名「DR890」を使用)により測定した。遠心分離は、培養液を50mLの遠沈管に入れて3500rpm、20分間の条件で行った。上澄みのアンモニア濃度の上昇は、ウレアーゼによる尿素の分解が進んでいることを意味する。
【0044】
(実施例1)
(1)滅菌した蒸留水に食品添加物用酵母エキス(富士食品工業社製、商品名「YP−21CM」)を濃度が20g/Lとなるように添加し、さらに農業資材用尿素を濃度が0.15mol/Lとなるように添加して、第一の培養液を調製した。これを用いて、参考例と同じ条件でウレアーゼ生成微生物の培養を3日間行った。その後、参考例と同様にしてウレアーゼ活性、濁度、TOC及びpHを測定した。結果を表1に示す。
【0045】
(2)次いで、第一の培養液を50mLの遠沈管に入れて遠心分離を3500rpmで20分間行い、上澄みを除去して、第一の培養液からウレアーゼ生成微生物を含む沈殿物を分離した。さらに、除去した上澄みのアンモニア濃度を参考例と同様にして測定した。測定結果を表1の「アンモニア濃度」の「上澄み」の欄に示す。
【0046】
(3)次いで、第一の培養液と同じ組成の第二の培養液(50mL)をウレアーゼ生成微生物を含む沈殿物に加えた。沈殿物の質量が、遠心分離前の培養液全体の質量の30分の1程度であったため、第二の培養液添加後のアンモニア濃度を(2)で測定した上澄みのアンモニア濃度の30分の1程度と推計し、その値を表1の「アンモニア濃度」の「培養液添加後」の欄に示す。さらに、上記と同じ条件で3日間の培養を行った。その後、上記と同様にしてウレアーゼ活性、濁度、TOC及びpHを測定した。結果を表1に示す。
【0047】
(4)以上の(2)及び(3)の工程をさらに3回繰り返し、各回でウレアーゼ活性、アンモニア濃度、濁度、TOC及びpHを測定した。結果を表1に示す。
【0048】
(実施例2)
培養液中の酵母エキスの濃度を6.7g/Lとした以外は実施例1の(1)〜(4)と同様にしてウレアーゼ生成微生物の培養を行い、ウレアーゼ活性、アンモニア濃度、濁度、TOC及びpHを測定した。結果を表1に示す。
【0049】
(比較例1)
酵母エキスを培養液に添加しなかった以外は実施例1の(1)〜(4)と同様にしてウレアーゼ生成微生物の培養を行い、ウレアーゼ活性、アンモニア濃度、濁度、TOC及びpHを測定した。結果を表1に示す。
【0050】
(比較例2)
実施例2において(2)及び(3)の工程を行わない以外は同様にして培養を行い、3日後、6日後、9日後及び12日後にそれぞれウレアーゼ活性、アンモニア濃度、濁度、TOC及びpHを測定した。
【0051】
【表1】
【0052】
表1の結果に示されるように、酵母エキスの濃度が20g/Lとなるように培養液に添加した実施例1では、遠心分離及び培養を繰り返すことでEC変化率が上昇し、ウレアーゼ生成微生物が集積的に増殖していることが確認された。
これに対して酵母エキスを培養液に添加しなかった比較例1では、遠心分離及び培養を繰り返してもEC変化率が上昇せず、ウレアーゼ生成微生物の集積的な増殖は認められなかった。遠心分離を行わずに培養を行った比較例2でも、6日目から9日目にかけてEC変化率が低下し、ウレアーゼ生成微生物の集積的な増殖は認められなかった。
【0053】
<大量培養工程>
尿素及び酵母エキスを濃度がそれぞれ0.15mol/L、2.0g/Lとなるように添加した精製水(20L)に、実施例2において遠心分離・培養工程を計4回行った後の培養液を20mL添加し、ウレアーゼ活性、アンモニア濃度及びpHを上記と同じ方法で測定した。次いでこれを25℃〜30℃の暗所に静置し、12日後に上記と同じ方法でウレアーゼ活性、アンモニア濃度及びpHを測定した。結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
表2の結果に示されるように、大量培養開始から12日後にはウレアーゼ活性(EC変化率)が判定基準である0.006(mS/cm/min)に達していた。アンモニア濃度も上昇しており、ウレアーゼ生成微生物が増殖して尿素の分解が進んだことが確認された。
【0056】
以上より、本発明の方法はウレアーゼ生成微生物の大量製造に適していることが分かった。