特許第6715544号(P6715544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6715544
(24)【登録日】2020年6月11日
(45)【発行日】2020年7月1日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20200622BHJP
【FI】
   B65D5/66 301G
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-128024(P2015-128024)
(22)【出願日】2015年6月25日
(65)【公開番号】特開2017-7728(P2017-7728A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】吉野 晋
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第01530644(US,A)
【文献】 実開昭60−146016(JP,U)
【文献】 特開2009−255948(JP,A)
【文献】 実開平02−028411(JP,U)
【文献】 実開昭60−002625(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁で囲まれた開口部の一辺を構成する前記側壁に、蓋フラップの基端辺を連設し、該蓋フラップの前記基端辺以外の閉止辺を、該閉止辺に対応する前記側壁に連結して、前記蓋フラップで前記開口部を閉止する紙製の包装箱であって、
前記蓋フラップの前記閉止辺を含む複数辺を、前記複数辺にそれぞれ対応する前記側壁に、係合連結部を介して連結可能とし、
前記係合連結部は、係止爪をスリットに差し込んで抜き出し不能に連結するものであり、
前記開口部が4つの側壁で囲まれた四角形であり、前記開口部の一辺を構成する前記側壁に、前記蓋フラップの前記基端辺を連設し、前記蓋フラップの前記基端辺に対向する対向辺を前記閉止辺とし、この閉止辺を含む三辺を、これら三辺にそれぞれ対応する3つの側壁に、前記係合連結部を介して連結可能とし
前記係合連結部は、前記蓋フラップまたは前記側壁の一方に形成された前記係止爪と、前記蓋フラップまたは前記側壁の他方に形成された前記スリットとを備え、
前記蓋フラップに形成された前記係止爪は、前記蓋フラップの前記三辺のいずれかの辺に連設され、前記側壁に形成された前記係止爪は、該側壁の開口部側の端である上端に連設され、
前記蓋フラップに形成された前記スリットは、前記蓋フラップの前記三辺のいずれかの辺に連設された折込み片の折り線上に形成され、前記側壁に形成された前記スリットは、該側壁の前記開口部側の端である上端に連設される内フラップの折り線上に形成され、
前記蓋フラップの前記三辺を、前記3つの側壁に、前記係合連結部を介して連結した状態では、前記係止爪は、前記スリットに差し込まれて当該包装箱の内部に収容される
ことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
記係止爪は、主部と、この主部における外側方に突出した張出し部とを有し、
前記スリットは、前記係止爪の前記主部が挿通される主スリット部と、前記係止爪の前記張出し部が挿通される副スリット部とを有し、前記主スリット部の端部に前記副スリット部が非直線状に連設される、
請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記主スリット部と前記副スリット部とが、段差を介して互いに平行に連続する、
請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記係止爪が、切起こし変形可能なアーム部の先端に形成される、
請求項1ないし3のいずれかに記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関し、更に詳しくは、不正な開封を防止する機能を備えた包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
不正開封を防止する機能を備えた包装ケースとして、例えば、特許文献1に示されているように、有底四角筒状の箱体の開口部の一辺に、開口部を閉じる蓋板の基端側を揺動自在に連設し、この蓋板で開口部を閉じて、蓋板の遊端側に形成した切込みに、箱体の側壁に設けた差込片を差し込んで、差込片を抜き出し不能にロックするようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−327242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成の包装箱においては、蓋板の遊端側の辺に形成した切込みに、箱体の側壁に設けた差込片を差し込むと、差込片が抜き出し不能となるので、蓋フラップを不正に揺動開放することはできない。
【0005】
しかし、箱体の側壁および蓋板を撓み変形させることで、蓋板の遊端側の辺以外の両側辺を開口部から浮かして、細い物などを差し入れる隙間を形成することが可能であり、開封防止機能が必ずしも十分発揮されているとは言い難いものであった。
【0006】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、より確実に開封防止機能を発揮させることができる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0008】
(1)本発明は、側壁で囲まれた開口部の一辺を構成する前記側壁に、蓋フラップの基端辺を連設し、該蓋フラップの前記基端辺以外の閉止辺を、該閉止辺に対応する前記側壁に連結して、前記蓋フラップで前記開口部を閉止する紙製の包装箱であって、
前記蓋フラップの前記閉止辺を含む複数辺を、前記複数辺にそれぞれ対応する前記側壁に、係合連結部を介して連結可能とし、
前記係合連結部は、係止爪をスリットに差し込んで抜き出し不能に連結するものであり、
前記開口部が4つの側壁で囲まれた四角形であり、前記開口部の一辺を構成する前記側壁に、前記蓋フラップの前記基端辺を連設し、前記蓋フラップの前記基端辺に対向する対向辺を前記閉止辺とし、この閉止辺を含む三辺を、これら三辺にそれぞれ対応する3つの側壁に、前記係合連結部を介して連結可能とし
前記係合連結部は、前記蓋フラップまたは前記側壁の一方に形成された前記係止爪と、前記蓋フラップまたは前記側壁の他方に形成された前記スリットとを備え、
前記蓋フラップに形成された前記係止爪は、前記蓋フラップの前記三辺のいずれかの辺に連設され、前記側壁に形成された前記係止爪は、該側壁の開口部側の端である上端に連設され、
前記蓋フラップに形成された前記スリットは、前記蓋フラップの前記三辺のいずれかの辺に連設された折込み片の折り線上に形成され、前記側壁に形成された前記スリットは、該側壁の前記開口部側の端である上端に連設される内フラップの折り線上に形成され、
前記蓋フラップの前記三辺を、前記3つの側壁に、前記係合連結部を介して連結した状態では、前記係止爪は、前記スリットに差し込まれて当該包装箱の内部に収容される
【0009】
本発明によると、蓋フラップの閉止辺以外の辺も係止爪をスリットに抜き出し不能に差し込む係合連結部によって連結することができ、側壁および蓋フラップを撓み変形させて、蓋フラップの閉止辺及び閉止辺以外の辺を開口部から浮かして蓋フラップと側壁との間に細い物などが差し入れ可能な隙間が形成されるのを防止することができる。
また、蓋フラップの閉止辺を含む三辺と3つの側壁との抜き出し不能な連結によって、蓋フラップや側壁を大きく撓み変形させることができなくなり、蓋フラップの前記三辺を開口部から浮かして隙間が形成されるのを効果的に防止することができる。
【0012】
(2)本発明の一つの実施態様では、前記係止爪は、主部と、この主部における外側方に突出した張出し部とを有し、前記スリットは、前記係止爪の前記主部が挿通される主スリット部と、前記係止爪の前記張出し部が挿通される副スリット部とを有し、前記主スリット部の端部に前記副スリット部が非直線状に連設される。
【0013】
この実施態様によると、係止爪をスリットに差し入れると、張出し部及びスリットの一部が変形することで張出し部がスリットを通過し、通過して元の形状に復元した張出し部がスリットの内側に係合することで、係止爪の抜け出しが不能となる。つまり、係合連結部は解除不能となり、蓋フラップの開封が阻止される。
【0014】
)上記()の実施態様では、前記主スリット部と前記副スリット部とを、段差を介して互いに平行に連続させてもよい。
【0015】
この実施態様によると、係止爪の張出し部は、比較的少ない変形でスリットにおける張出し部挿通用の副スリット部を通過することができ、係止爪の差し込み操作を容易に行うことができる。
【0016】
)本発明の他の実施態様では、前記係止爪が、切起こし変形可能なアーム部の先端に形成される。
【0017】
この実施態様によると、係止爪が切起こし変形可能なアーム部の先端に形成されるので、蓋フラップを閉止位置まで揺動させた後でも、アーム部を撓ませながら係止爪をスリットに差し込み操作することができ、封止操作が容易となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、蓋フラップの閉止辺及び閉止辺以外の辺も係止爪をスリットに抜き出し不能に差し込む係合連結部によって連結することができ、側壁および蓋フラップを撓み変形させて、蓋フラップの閉止辺及び閉止辺以外の辺を開口部から浮かして蓋フラップと側壁との間に細い物などが差し入れ可能な隙間が形成されるのを防止することができ、より確実に開封防止機能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本発明の一実施形態に係る包装箱を構成する原紙を内面側からみた展開図である。
図2図2図1の原紙を用いた包装箱の組み上げ途中を示す外観斜視図である。
図3図3は組み上がった包装箱の外観斜視図である。
図4図4は封止操作中の包装箱を示す外観斜視図である。
図5図5は包装箱の横断平面図である。
図6図6は封止された包装箱を示す外観斜視図である。
図7図7は係合連結部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1に、本発明の一実施形態に係る包装箱Aを構成する原紙Bの裏面(内面)側から見た展開図が、図2に、組上げ途中の包装箱Aの外観斜視図が、また、図3に、組上げられた包装箱Aの外観斜視図がそれぞれ示されている。
【0022】
この原紙Bは、外表面に化粧紙を貼着積層してなるボール紙を型抜き裁断して形成されたものであり、四周の第1〜第4の側壁1,2,3,4が、折り線a,b,cを介して一連に並列形成されている。
【0023】
そして、第1の側壁1と第3の側壁3の上端には、折り線d,eを介して内フラップ5,6がそれぞれ連設されると共に、第2の側壁2の上端に、折り線fを介して蓋フラップ7が連設され、更に、各側壁1,2,3,4の下端には、折り線g,h,i,jを介して底フラップ9,10,11,12がそれぞれ連設されている。また、第4の側壁4の外端には、折り線kを介して糊代13が連設されると共に、蓋フラップ7の遊端部には、折り線lを介して折込み片14が連設されている。
【0024】
上記のように構成された原紙Bは、側壁1,2,3,4を内折りして、糊代13の外表面を、第1の側壁1における外側端の内面に貼り合せることで四角筒体が組上がる。また、側壁1,2を内折りして、第1の底フラップ9と第2の底フラップ10とを重ねて両面テープなどの接着剤sで貼り合わせると共に、側壁3,4を内折りして、第3の底フラップ11と第4の底フラップ12とを重ねて接着剤sで貼り合わせる。
【0025】
ここで、第2の底フラップ10及び第4の底フラップ12には、スリットを断続形成して折り込み容易に構成された折込み線m,nがそれぞれ隅部から45度の角度で形成されており、貼合せた2組の底フラップ9,10;11,12を、それぞれ折込線m,nを介して内側(上側)に折り込んで、第1の側壁1と第2の側壁2とが、また、第3の側壁3と第4の側壁4とがそれぞれ重なるようにして、包装箱全体を扁平に折り畳むことができ、使用前の包装箱Aの保管や運搬を嵩低く行うことができるようになっている。
【0026】
使用に際しては、扁平に折り畳まれた側壁1,2,3,4を四角筒状に折り起こすことで、図5に示すように、貼合せた2組の底フラップ9,10;11,12が起立しながら互いに巴状に交差し、外方(下方)に変形しない底面を備えた包装箱Aが組上げられる。
【0027】
以上のような包装箱Aを使用する場合、物品を収納した後、包装箱Aの開口部を蓋フラップ7で閉じることになるが、従来では、四角形状の蓋フラップ7の上記折り線fで示される基端辺と対向する上記折り線lで示される閉止辺を、対応する第4の側壁4に、例えば、上記特許文献1のように、切込みと差込片とによって、抜き出し不能にロックしている。
【0028】
このため、包装箱の側壁および蓋フラップを撓み変形させることで、蓋フラップの閉止辺以外の両側辺を開口部から浮かして、細い物などを差し入れることが可能な隙間を形成することが可能であり、開封防止機能が十分でなかった。
【0029】
この実施形態では、開封防止機能を高めるために、蓋フラップ7の折り線lで示される閉止辺と、その両側の両側辺とが、それぞれ対応する3つの側壁4,1,3に、図4及び図6に示すように、係合連結部15,16を介してそれぞれ連結される。
【0030】
すなわち、蓋フラップ7の折り線lで示される閉止辺と第4の側壁4とを連結する係合連結部15は、図1図3にも示される側壁4の上端の中央に連設した係止爪17と、蓋フラップ7における折込み片14の折り線l上の中央に設けたスリット18とで構成されている。
【0031】
係止爪17は、所定幅に形成された主部17aの両側に張出し部17bを備えた台形に形成されると共に、主部17aは、側壁4に切り込み形成されたアーム部17cの上端に連設されている。他方、スリット18は、係止爪17の主部17aを挿通する幅の主スリット部18aと、その両端に、係止爪17の厚さより若干大きい段差をもって平行に連設した張出し部挿通用の副スリット部18bとで構成されている。
【0032】
蓋フラップ7における一方の側辺と第1の側壁1とを連結する係合連結部16と、蓋フラップ7における他方の側辺と第3の側壁3とを連結する係合連結部16とは同一の仕様であり、蓋フラップ7の側辺の中央に連設した係止爪19と、側壁1,3における内フラップ5,6の折り線d,e上の中央に設けたスリット20とで構成されている。
【0033】
係止爪19は、所定幅に形成された主部19aの両側に張出し部19bを備えた台形に形成されると共に、スリット20は、係止爪19の主部19aを挿通する幅の主スリット部20aと、その両端に係止爪19の厚さより若干大きい段差をもって平行に連設した張出し部挿通用の副スリット部20bとで構成されている。
【0034】
包装箱Aに物品を収容した後に開口部を蓋フラップ7で閉じる際には、蓋フラップ7の両側の係合連結部16において、図4に示すように、係止爪19を対応するスリット20に差し込みながら蓋フラップ7を閉じ揺動させ、その後、図6に示すように、蓋フラップ7の遊端側の係合連結部15において、アーム部17cを介して外方に切り起こした係止爪17を蓋フラップ7のスリット8に差し込む。
【0035】
係止爪17(19)をスリッ18(20)に差し込む際、係止爪17(19)における主部17a(19a)の先端部を主スリット部18a(20a)に差し込むに連れて、係止爪17(19)の張出し部17b(19b)及びスリット18(20)の段差部位が変形しながら張出し部17b(19b)が副スリット部18b(20b)を通過し、係止爪17(19)の主部17a(19a)が根元まで主スリット部18a(20a)に差し込まれた状態では、図7に示すように、元の形状にまで復元した張出し部17b(19b)が、段差部位に内側から係合し、係止爪17(19)の抜け出しが不能となる。
【0036】
このように、蓋フラップ7を三箇所の係合連結部15,16を介して側壁1,3,4に連結した状態では、蓋フラップ7や側壁1,3,4を撓み変形させて、蓋フラップ7と側壁上端との間に形成される隙間は、極めて小さくなり、細い物などを差し入れるのを防止することができる。
【0037】
なお、この包装箱Aは基本的には使い捨て仕様であり、蓋フラップ7を破る、等して、梱包した包装箱から物品を取り出すことになる。
【0038】
[他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0039】
(1)蓋フラップ7における一辺の長さが大きい場合には、一辺について係合連結部を複数箇所に設けてもよい。
【0040】
(2)係合連結部15,16におけるスリット18,20の形態としては、上記のように、主スリット部18a,20aと張出し部挿通用の副スリット部18b,20bとを段違い状に連設するほかに、主スリット部18a,20aの端部に張出し部挿通用の副スリット部18b,20bを適当な角度をもって折れ線状に連設するようにしてもよい。
【0041】
(3)側壁側に係止爪を備えると共に蓋フラップ側にスリットを備えた係合連結部と、蓋フラップ側に係止爪を備えると共に側壁側にスリットを備えた係合連結部とのいずれの形態を採用するかは、包装箱Aの大きさや開口部の内フラップの形態に応じて任意に選択することができる。
【符号の説明】
【0043】
1〜4 第1〜第4の側壁
7 蓋フラップ
15,16 係合連結部
17,19 係止爪
17a,19a 主部
17b,19b 張出し部
17c アーム部
18,20 スリット
18a,20a 主スリット部
18b,20b 副スリット部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7