(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルに向けて供給される水を流通させる主流路部と、前記主流路部から分岐すると共に捨て水を流通させる捨て水流路部と、を備える局部洗浄装置であって、
前記捨て水流路部は、上流側流路部と、前記上流側流路部を流通した水を流通させると共に水が流通する方向に直交する方向の断面積が前記上流側流路部の断面積よりも大きい下流側流路部と、を備え、
前記下流側流路部は、一端側が水を排出する排水口側に位置するように配置される本体部と、前記本体部の一端側に設けられる開放部と、前記本体部の他端側に設けられる閉鎖部と、前記上流側流路部を流通する水を前記閉鎖部に向かうように流出させる流出部と、を備え、
前記下流側流路部は、円筒状に形成される前記本体部としての円筒部と、前記円筒部の一端側に形成される前記開放部としての開口部と、前記円筒部の他端側に形成される前記閉鎖部としての壁部と、前記円筒部の途中の側部を貫通して設けられる前記流出部と、を有する局部洗浄装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の局部洗浄装置10を含む便器装置1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、便器装置1の便座2に座った人から視た場合の前後の向きを前後方向とする。また、便器装置1の便座2に座った人から視た場合の左右の向きを左右方向とする。また、鉛直方向に沿った上下の向きを上下方向とする。
【0018】
本実施形態の便器装置1は、
図1に示すように、便座2と、便蓋3と、便器4と、本発明の局部洗浄装置10と、給湯供給部5と、給水供給部6と、を備える。便座2及び便蓋3は、便器4の上方において、便器4に対して回動可能に取り付けられる。
【0019】
本実施形態の局部洗浄装置10は、例えば、ホテルの部屋などにおいて、壁に温水配管が引き回されたトイレルームに備えられる便器装置に設けられている。例えば、ホテルなどに設けられる便器装置において、消費電力を低減するために、局部洗浄装置にヒータ付きの温水タンクを備えずに、壁に引き回された温水配管から温水を供給するように構成する場合がある。なお、本発明は、ヒータ付きの温水タンクを備えた局部洗浄装置にも適用可能である。また、本発明は、温水タンクへの給水時において過剰給水を捨てる場合や、温水タンクに水を溜めずにヒータを通して温める瞬間加熱式の加温部に供給される過剰給水を捨てる場合にも適用可能である。
【0020】
本実施形態においては、局部洗浄装置10において使用される温水は、ホテルの部屋の壁などに引き回された温水配管(図示せず)に接続される給湯供給部5により供給される湯と、常温の水が流通する水道配管(図示せず)に接続される給水供給部6により供給される水とを混合することで作られる。
【0021】
給湯供給部5は、給湯止水栓5aと、給湯配管5bと、を有する。給湯供給部5は、トイレルームの壁部の温水配管(図示せず)に取り付けられる。給湯供給部5は、給湯機器(図示せず)により給湯されて温水配管(図示せず)を流通する湯を局部洗浄装置10に供給する。
給水供給部6は、給水止水栓6aと、給水配管6bと、を有する。給水供給部6は、トイレルームの壁部の水道配管(図示せず)に取り付けられる。給水供給部6は、水道配管(図示せず)を流通する常温の水を局部洗浄装置10に供給する。
【0022】
局部洗浄装置10は、
図1に示すように、便器4の後部の上方に配置される。
局部洗浄装置10は、
図1及び
図2に示すように、温水混合部20と、肛門洗浄用ノズル31及びビデ洗浄用ノズル32を有するノズルユニット30と、メインバルブ部41と、ノズル切替バルブ42と、捨て水バルブ43と、操作部44と、給排水流路部50と、ベースプレート60と、カバー部材71と、使用者が便座2に着座していることを検知する着座センサ(図示せず)と、を備える。
また、局部洗浄装置10は、給排水流路部50として、主流路部51と、捨て水流路部52と、を備える。
【0023】
ベースプレート60は、
図1に示すように、便器4の上部に配置される。ベースプレート60は、ベースプレート本体61と、ベースプレート延出部62と、を有する。
ベースプレート本体61は、左右方向に延びるように形成される。ベースプレート本体61の上部には、温水混合部20、ノズルユニット30と、メインバルブ部41、ノズル切替バルブ42、捨て水バルブ43、給排水流路部50などが配置される。
ベースプレート延出部62は、ベースプレート60の左右方向の一方側(
図1における左側)において外側に延出し且つ前方側に延出するように形成される。ベースプレート延出部62の上部には、後述する操作部44が配置される。
【0024】
ベースプレート60には、後述する捨て水流路部52を流通された捨て水が、捨て水流路部52の捨て水受け部材53から排出される。ベースプレート60は、
図3〜
図5に示すように、前方側において、前面壁部63と、左右方向において段差状に形成される底部64を有する。ベースプレート60の底部64は、上段部65と、下段部66と、を有する。
【0025】
上段部65は、ベースプレート60の前方側の端部におけるベースプレート60の左右方向の他方側(
図3〜
図5における右側)において、左右方向に水平に延びる平面状に形成される。上段部65には、後述する捨て水受け部材53が取り付けられる。
【0026】
下段部66は、平面視で、上段部65よりもベースプレート60の左右方向の内側に、上段部65に左右方向に並んで配置される。下段部66は、上段部65よりも下方に配置され、側壁67を介して、上段部65に接続されている。下段部66は、第1下段傾斜部68と、第2下段傾斜部69と、を有する。下段部66は、後述する捨て水受け部材53から排出された捨て水を一旦受け止める。
【0027】
第1下段傾斜部68及び第2下段傾斜部69は、
図3〜
図5に示すように、上段部65側からベースプレート60の左右方向の内側に向けて、この順に連続して配置されている。第1下段傾斜部68は、第2下段傾斜部69に向けて僅かに下る下り傾斜の面状に形成される。第1下段傾斜部68の前方側の端部には、前面壁部63が形成される。前面壁部63は、ベースプレート60における第1下段傾斜部68の前方側の端部から、上方に立ち上がるように形成される。
【0028】
第1下段傾斜部68には、第1排水口681が形成される。第1排水口681は、下段部66で受け止めた捨て水を、便器4のボウル部4a(
図6参照)に排出する。第1排水口681は、
図3〜
図5に示すように、左右方向に延びる長穴状に形成され、第1下段傾斜部68(ベースプレート60の底部64)を貫通する。
【0029】
第1下段傾斜部68の下面における第1排水口681の縁部には、
図3〜
図5に示すように、第1下方側リブ部682が形成される。第1下方側リブ部682は、第1排水口681における後方側の縁部において、第1下段傾斜部68の下面から下方に突出すると共に、第1排水口681の後方側の縁部に沿って延びる。第1下方側リブ部682は、平面視において、ベースプレート60の前方側が開放した略U字形状に形成される(
図5参照)。
【0030】
第2下段傾斜部69は、第1下段傾斜部68に連続して形成される。第2下段傾斜部69は、ベースプレート60の後方側から前方側に向かうにしたがって下る下り傾斜の平面状に形成される。第2下段傾斜部69の前方側の端部は前方に向けて開放されている。
【0031】
第2下段傾斜部69には、第2排水口691が形成される。第2排水口691は、下段部66で受け止めた捨て水を、便器4のボウル部4a(
図6参照)に排出する。第2排水口691は、
図3〜
図5に示すように、第2下段傾斜部69の前後方向の途中において、左右方向に延びる長穴状に形成され、第2下段傾斜部69(ベースプレート60の底部64)を貫通する。第2排水口691は、第1排水口681よりもベースプレート60の左右方向の内側に配置される。第2排水口691は、第1排水口681よりも左右方向の長さが長く形成されると共に、第1排水口681よりも前後方向の長さが短く形成される。
【0032】
第2下段傾斜部69の上面における第2排水口691の縁部には、上方側リブ部692が形成される。上方側リブ部692は、第2排水口691の前方側の縁部において、第2下段傾斜部69の上面から上方に突出すると共に、第2排水口691の前方側の縁部に沿って左右方向に延びる。
【0033】
第2下段傾斜部69の下面における第2排水口691の縁部には、第2下方側リブ部693が形成される。第2下方側リブ部693は、第2排水口691の後方側の縁部において、第2下段傾斜部69の下面から下方に突出すると共に、第2排水口691の後方側の縁部に沿って左右方向に延びる。
第2下方側リブ部693は、
図6に示すように、ベースプレート60が便器4の上部に配置される際に、便器4の前後方向における第2排水口691と便器4との間に配置される。
【0034】
カバー部材71は、
図1に示すように、ベースプレート本体61の上部に配置される局部洗浄装置10の各部材の後方側の部分を覆うように、ベースプレート本体61に取り付けられている。
【0035】
操作部44は、
図1に示すように、ベースプレート延出部62の上部に配置される。操作部44は、流量調整部45と、操作ボタン群46と、を有する。
【0036】
流量調整部45は、肛門洗浄用ノズル31及びビデ洗浄用ノズル32から吐出される水の流量を調整する。流量調整部45は、洗浄強さ調整ダイヤル451と、流量調整バルブ452と、を有する。洗浄強さ調整ダイヤル441は、肛門洗浄用ノズル31及びビデ洗浄用ノズル32から吐出される水の流量を回転操作により調整可能なダイヤルである。流量調整バルブ442は、洗浄強さ調整ダイヤル441により弁開度が調整されることで、肛門洗浄用ノズル31及びビデ洗浄用ノズル32から吐出される水の流量を調整可能なバルブである。
操作ボタン群46は、肛門洗浄用ボタン、ビデ洗浄用ボタン、洗浄停止用ボタン等を備えている。操作ボタン群46の各ボタンが操作されることで、洗浄動作の実行又は停止などが行われる。
【0037】
肛門洗浄用ノズル31及びビデ洗浄用ノズル32は、主流路部51を流通する温水を吐出する。肛門洗浄用ノズル31及びビデ洗浄用ノズル32は、
図1に示すように、ベースプレート60の上部に取り付けられている。肛門洗浄用ノズル31及びビデ洗浄用ノズル32の前側は、ベースプレート60の前方側において、第2下段傾斜部69(
図3参照)から離間した状態で、第2下段傾斜部69の上方に配置されている。肛門洗浄用ノズル31及びビデ洗浄用ノズル32は、先端側が、便器4側に突出するように配置される。
【0038】
温水混合部20は、
図1に示すように、ベースプレート本体61の上部に配置されている。温水混合部20には、
図1及び
図2に示すように、給湯供給部5の給湯配管5bの下流側の端部が接続されると共に、給水供給部6の給水配管6bの下流側の端部が接続される。温水混合部20においては、給湯供給部5から供給される湯と給水供給部6から供給される水とが、所定の温度の温水になるように混合される。
【0039】
給排水流路部50は、
図1及び
図2に示すように、主流路部51と、捨て水流路部52と、を備える。
主流路部51は、
図2に示すように、温水混合部20から、肛門洗浄用ノズル31又はビデ洗浄用ノズル32までの流路である。主流路部51は、肛門洗浄用ノズル31及びビデ洗浄用ノズル32に向けて供給される水を流通させる。主流路部51は、
図2に示すように、メインバルブ温水導入流路部511と、流量調整前温水流路部512と、流量調整後温水流路部513と、切替バルブ導入流路部514と、肛門洗浄側流路部515aと、ビデ洗浄側流路部515bと、を有する。
【0040】
主流路部51を流通する水は、捨て水バルブ43(後述)が閉状態である場合に、
図2に示すように、温水混合部20から肛門洗浄用ノズル31又はビデ洗浄用ノズル32までにおいて、上流側から下流側に順に、温水混合部20から、メインバルブ温水導入流路部511を介して、メインバルブ部41を通り、メインバルブ部41から、流量調整前温水流路部512を介して、流量調整部45に達する。流量調整部45によって流量が調整された水は、流量調整部45から、流量調整後温水流路部513を介して、メインバルブ部41に戻り、メインバルブ部41から、切替バルブ導入流路部514を介して、ノズル切替バルブ42に達する。そして、メインバルブ部41から供給された温水は、ノズル切替バルブ42の切り替え状態に応じて、肛門洗浄側流路部515aを介して肛門洗浄用ノズル31に向けて流通され、又は、ビデ洗浄側流路部515bを介してビデ洗浄用ノズル32に向けて流通される。
【0041】
メインバルブ部41には、温水混合部20において混合された温水が、メインバルブ温水導入流路部511を介して供給される。メインバルブ部41には、内部に、温度検知部(図示せず)が配置されている。温度検知部(図示せず)は、メインバルブ部41の内部に供給された水の温度を検知する。
【0042】
メインバルブ部41の温度検知部(図示せず)においてメインバルブ部41内の水の水温が適温であることが検知されると、後述する捨て水バルブ43の電磁弁は閉状態となり、メインバルブ部41の温度検知部(図示せず)においてメインバルブ部41内の水の水温が適温でないことが検知されると、後述する捨て水バルブ43の電磁弁は開状態となる。
【0043】
本実施形態においては、メインバルブ部41内の水の水温が適温であるとは、例えば、水の温度が所定範囲の温度であって、人が冷たいと感じない温度で且つ熱いと感じない温度の範囲にあることを意味する。メインバルブ部41内の水の水温が適温でないとは、例えば、水の温度が所定値よりも低い温度であって、人が冷たいと感じる温度の範囲の温度を意味する。
本実施形態においては、水温が適温である場合に、温水は、肛門洗浄用ノズル31及びビデ洗浄用ノズル32から吐出されて使用される。水温が適温でない場合には、水は、捨て水として便器4に排出される。
【0044】
後述する捨て水バルブ43の電磁弁が閉状態である場合には、温水混合部20からメインバルブ部41に供給された温水は、流量調整部45において流量が調整された後に、ノズル切替バルブ42に供給される。後述する捨て水バルブ43の電磁弁が開状態である場合には、メインバルブ部41の水は、捨て水として、後述する捨て水流路部52及び捨て水バルブ43を介して、ベースプレート60に排出され、ベースプレート60を介して、便器4に排出される。
【0045】
メインバルブ部41には、
図2に示すように、流量調整前温水流路部512及び流量調整後温水流路部513を介して、流量調整部45が接続されている。流量調整部45は、前述の通り、肛門洗浄用ノズル31及びビデ洗浄用ノズル32から吐出される水の流量を調整する。
温水混合部20からメインバルブ部41に供給された温水は、ノズル切替バルブ42に供給される場合に、流量調整前温水流路部512を介して流量調整部45に送出され、流量調整部45により温水の流量が調整された後に、流量調整後温水流路部513を介して、メインバルブ部41に戻り、メインバルブ部41から、切替バルブ導入流路部514を介して、ノズル切替バルブ42に供給される。
【0046】
ノズル切替バルブ42は、
図2に示すように、メインバルブ部41から排出され切替バルブ導入流路部514を流通する温水を、肛門洗浄用ノズル31側に流通させるか、又は、ビデ洗浄用ノズル32側に流通させるかを切り替えるバルブである。ノズル切替バルブ42には、肛門洗浄側流路部515aを介して、肛門洗浄用ノズル31が接続されると共に、ビデ洗浄側流路部515bを介して、ビデ洗浄用ノズル32が接続される。
【0047】
捨て水流路部52は、
図2に示すように、メインバルブ部41において、主流路部51から分岐すると共に、メインバルブ部41の内部を流れる適温でない水を捨て水として流通させる。捨て水流路部52は、メインバルブ部41から、後述する捨て水受け部材53までの流路である。捨て水流路部52は、
図2に示すように、第1上流側捨て水流路部521と、上流側流路部としての第2上流側流路部522と、下流側流路部としての捨て水受け部材53と、を有する。
【0048】
捨て水流路部52を流通する水は、捨て水バルブ43(後述)が開状態である場合に、
図2に示すように、メインバルブ部41から捨て水受け部材53までにおいて、上流側から下流側に順に、メインバルブ部41から、第1上流側捨て水流路部521を介して、捨て水バルブ43に向けて流通される。そして、捨て水バルブ43に到達した捨て水は、捨て水バルブ43から第2上流側流路部522に流通され、第2上流側流路部522から捨て水受け部材53に流出(合流)される。
【0049】
捨て水バルブ43は、メインバルブ部41の内部に配置される温度検知部によりメインバルブ部41の内部を流れる水の水温が適温である場合に閉状態となり、メインバルブ部41の内部に配置される温度検知部によりメインバルブ部41の内部を流れる水の水温が適温でない場合に開状態となるように切り替わる。
【0050】
捨て水受け部材53は、
図3〜
図5に示すように、ベースプレート60の上段部65の上面に配置される。捨て水受け部材53は、ベースプレート60上において、左右方向に水平に延びるように配置され、ベースプレート60に固定される。
【0051】
捨て水受け部材53は、
図3〜
図5に示すように、第2上流側流路部522の下流側の端部に接続される。捨て水受け部材53には、第2上流側流路部522を流通された捨て水が捨て水受け部材53の内部に流出される。捨て水受け部材53は、第2上流側流路部522を流通された捨て水を、捨て水受け部材53の内部を流通させた後に、ベースプレート60に排出する。
【0052】
捨て水受け部材53は、
図3〜
図5に示すように、本体部としての円筒部531と、閉鎖部としての端部壁部(壁部)532と、開放部としての出口開口部(開口部)533と、流出部534と、延在リブ部535と、を有する。
【0053】
円筒部531は、円筒状に形成され、水平方向に延びる。円筒部531は、一端(
図3〜
図5における左側の端部)側がベースプレート60の第2排水口691側に位置するように、ベースプレート60の上面に沿って延びて配置される。円筒部531における水が流通する方向に直交する方向の断面積S1は、
図7に示すように、第2上流側流路部522における水が流通する方向に直交する方向の断面積S2よりも大きい(S1>S2)。
端部壁部532は、円筒部531の他端(
図3〜
図5における右側の端部)側を塞ぐように、円筒部531の他端(
図3〜
図5における右側の端部)側に設けられる。
【0054】
出口開口部533は、円筒部531の一端(
図3〜
図5における左側の端部)側に設けられる。出口開口部533からは、端部壁部532に衝突して跳ね返った水が、ベースプレート60の第1排水口681及び第2排水口691に向けて排出される。
【0055】
流出部534は、第2上流側流路部522を流通する水が円筒部531の内部に流出する部分である。流出部534には、第2上流側流路部522の下流側の端部が接続される。流出部534は、円筒部531の長さ方向の中央よりも出口開口部533寄り(円筒部531の長さ方向の途中)において、
図7に示すように、円筒部531の軸方向に視た場合に、円筒部531の後方側の斜め上方の位置に配置される。流出部534は、第2上流側流路部522を流通する捨て水を、端部壁部532に向かうように、捨て水受け部材53に流出させる。流出部534は、貫通穴534aと、流出ガイド部534bと、を有する。
【0056】
貫通穴534aは、
図3〜
図5に示すように、円筒部531の長さ方向の途中において、円筒部531の後方側の斜め上方の側部を貫通する。
流出ガイド部534bは、貫通穴534aの周縁において円筒部531の外面から外方に突出する円筒状に形成される。流出ガイド部534bは、端部壁部532側に向かうにしたがって、円筒部531の軸に近づくように傾斜する角度で、貫通穴534aの周縁において円筒部531の外面から外方に突出するように形成される。
【0057】
これにより、流出部534においては、第2上流側流路部522を流通する捨て水は、流出ガイド部534bにガイドされて円筒部531の軸に対して所定の角度を有した状態で、端部壁部532側に向かうように、貫通穴534aから円筒部531の内部に導入される。そして、流出部534において捨て水受け部材53に流出された捨て水は、端部壁部532に向かうように円筒部531の内周面に沿って旋回しながら、円筒部531の内部を流通する。
【0058】
延在リブ部535は、板状に形成され、円筒部531の内部側に突出して形成される。延在リブ部535は、円筒部531の長さ方向に延びる。延在リブ部535は、
図7に示すように、円筒部531の内部において、円筒部531の径方向において流出部534の貫通穴534aに対向する位置に形成されている。延在リブ部535は、
図4及び
図5に示すように、円筒部531の左右方向において、円筒部531における出口開口部533から僅かに内部側に入った位置から端部壁部532の位置に亘って直線状に延びる。
【0059】
次に、使用者が便座2に着座した場合において、局部洗浄装置10により捨て水を便器4に排出する動作について説明する。
まず、使用者が便座2に着座すると、着座センサ(図示せず)から検知信号が出力されて、捨て水バルブ43(
図2参照)の電磁弁が開状態となる。これにより、給湯供給部5の給湯配管5bの内部の滞留水は、温水混合部20及びメインバルブ部41に到達する。
【0060】
ここで、メインバルブ部41内の温度検知部(図示せず)においてメインバルブ部41の内部の水の水温が適温でないと検知された場合には、捨て水バルブ43の電磁弁の開状態を維持して、給湯供給部5の給湯配管5bに滞留していた水が捨て水としてベースプレート60を介して便器4に排出される。また、メインバルブ部41内の温度検知部(図示せず)においてメインバルブ部41の内部の水の水温が適温であると検知された場合には、捨て水バルブ43の電磁弁が閉状態となり、捨て水の排出が停止される。
【0061】
メインバルブ部41内の温度検知部(図示せず)においてメインバルブ部41の内部の水の水温が適温でないと検知された場合において、給湯供給部5の給湯配管5bの内部に滞留した滞留水は、捨て水として、メインバルブ部41から、第1上流側捨て水流路部521を介して、捨て水バルブ43に達し、水圧を有した状態で、
図8に示すように、第2上流側流路部522から捨て水受け部材53の流出部534に流出される。ここで、捨て水受け部材53の円筒部531における水が流通する方向に直交する方向の断面積S1は、第2上流側流路部522の断面積S2よりも大きい(
図7参照)。そのため、流出部534において、捨て水の水圧が大気開放される。これにより、捨て水の水圧を減少させることができる。
【0062】
捨て水受け部材53の流出部534において円筒部531の内部に流出した捨て水は、
図8に示すように、円筒部531の内周面において、円筒部531の端部壁部532側に向かうように、円筒部531の内周面に沿って斜め方向に旋回して流れる。ここで。円筒部531の内周面に沿って斜め方向に旋回して流れる捨て水は、
図8に示すように、円筒部531の内部において延在リブ部535に衝突し、円筒部531の長さ方向への流れに変換されて、端部壁部532に向かって流通する。これにより、延在リブ部535は、円筒状の円筒部531の内周面に沿って旋回して流れる捨て水の勢いを弱めて、円筒部531の軸方向に流れるようにガイドできる。これにより、捨て水を、円筒部531の径方向に広がることが低減された状態で、端部壁部532に向けてガイドできる。
【0063】
そして、捨て水は、端部壁部532に衝突する。ここで、端部壁部532に衝突した捨て水は、進行方向が反転されて、円筒部531の左右方向において、端部壁部532とは反対方向の出口開口部533に向かって流れる。また、端部壁部532に衝突して反転した水は、流出部534から流出した水に衝突する。これにより、捨て水を、端部壁部532に衝突させると共に、端部壁部532に衝突して反転した水を流出部534から流出した水に衝突させることで勢いを弱めた状態で、捨て水受け部材53の出口開口部533から排出させることができる。
【0064】
捨て水受け部材53の出口開口部533から排出された捨て水は、ベースプレート60の上面に排出される。ここで、出口開口部533において、捨て水受け部材53の円筒部531の内部から外部に捨て水が排出されることで、捨て水の水圧が大気開放される。これにより、流出部534において大気開放されて水圧が低減された捨て水の水圧を、更に、円筒部531の出口開口部533から排出して大気開放させることができる。これにより、捨て水の水圧を、一層減少させることができる。
【0065】
ベースプレート60の上面に排出された捨て水は、第1下段傾斜部68を左右方向の他方側(
図8における右側)から一方側(
図8における左側)に向かって流れ、第1排水口681から便器4に排出される。
また、第1排水口681から排出しきれなかった捨て水は、第1下段傾斜部68を通り、第2下段傾斜部69に到達する。そして、捨て水は、第2下段傾斜部69を前後方向の後方側から前方側に向かって流れ、第2排水口691から便器4に排出される。
【0066】
ここで、第2排水口691における前方側の縁部には、上方側リブ部692が形成される。そのため、捨て水は、ベースプレート60の前方側において、上方側リブ部692にせき止められて、第2排水口691から排出される。このため、第2排水口691の縁部において、捨て水がベースプレート60の前方側へ溢れることを低減できる。
【0067】
このようにして、メインバルブ部41内の水の水温が適温でない場合に、給湯供給部5の給湯配管5bの内部に滞留した適温でない滞留水を、捨て水として、便器4に排出することができる。そして、捨て水を便器4に排出する際に、捨て水受け部材53において、流出部534及び出口開口部533において捨て水の水圧を大気開放すると共に、端部壁部532に捨て水を衝突させ且つ端部壁部532に衝突して反転した水を流出部534から流出した水に衝突させることで、捨て水の勢いを弱めることができる。このため、捨て水の勢いを弱めた状態で、捨て水を、ベースプレート60を介して、便器4に排出することができる。
これにより、捨て水の勢いを弱めた状態で、捨て水を、便器4のボウル部4a(
図6参照)に排出できるため、捨て水が便器4のボウル部4aから跳ね返ることを低減することができる。
【0068】
次に、使用者が、肛門洗浄用ノズル31又はビデ洗浄用ノズル32で洗浄を行う場合の局部洗浄装置10の動作について説明する。
使用者が便座2に着座した状態において、操作ボタン群46の肛門洗浄用ボタン又はビデ洗浄用ボタンを押すと、ノズル切替バルブ42の電磁弁が切り替わり、押された肛門洗浄用ボタン又はビデ洗浄用ボタンに対応する肛門洗浄用ノズル31又はビデ洗浄用ノズル32への流路が開状態となる。
【0069】
ここで、前述の通り、メインバルブ部41内の温度検知部(図示せず)において水の水温が適温でないと検知された場合には、給湯供給部5の給湯配管5bに滞留していた水が捨て水としてベースプレート60を介して便器4に排出される。また、メインバルブ部41内の温度検知部(図示せず)において水の水温が適温であると検知された場合には、捨て水バルブ43の電磁弁が閉状態となり、捨て水の排出が停止される。
【0070】
メインバルブ部41内の温度検知部(図示せず)において水温が適温であると検知されて捨て水の排出が停止されると、メインバルブ部41内の温水は、流量調整部45に送られて、流量が調整される。流量調整部45において流量が調整された温水は、メインバルブ部41に戻されて、ノズル切替バルブ42に流出される。そして、温水は、ノズル切替バルブ42において切り替えられた流路を介して、肛門洗浄用ノズル31又はビデ洗浄用ノズル32に達する。肛門洗浄用ノズル31又はビデ洗浄用ノズル32に達した温水は、温水の水圧によりノズルを押し出して、噴出穴(図示せず)から温水を吐出する。このようにして、使用者は、肛門洗浄用ノズル31又はビデ洗浄用ノズル32で洗浄を行うことができる。
【0071】
以上説明した本実施形態の局部洗浄装置10によれば、以下のような効果を奏する。
【0072】
本実施形態の局部洗浄装置10は、肛門洗浄用ノズル31又はビデ洗浄用ノズル32に向けて供給される水を流通させる主流路部51と、主流路部51から分岐すると共に捨て水を流通させる捨て水流路部52と、を備える局部洗浄装置10であって、捨て水流路部52は、第2上流側流路部522と、第2上流側流路部522を流通した水を流通させると共に水が流通する方向に直交する方向の断面積が第2上流側流路部522の断面積よりも大きい捨て水受け部材53と、を備え、捨て水受け部材53は、一端側が水を排出する第2排水口691側に位置するように配置される円筒部531と、円筒部531の一端側に設けられる出口開口部533と、円筒部531の他端側に設けられる端部壁部532と、第2上流側流路部522を流通する水を端部壁部532に向かうように流出させる流出部534と、を備える。
【0073】
そのため、捨て水を端部壁部532に衝突させて捨て水の進行方向を反転させた後に、捨て水を出口開口部533から第2排水口691側に排出できる。これにより、捨て水を端部壁部532に衝突させることで、捨て水の勢いを弱めることができる。従って、便器4に排出された捨て水が便器4から跳ね返ることを低減できる。
【0074】
また、流出部534は、第2上流側流路部522を流通する水を、端部壁部532に衝突して反転した水に衝突させるように、端部壁部532に向けて流出させる。これにより、端部壁部532に捨て水を衝突させ且つ端部壁部532に衝突して反転した水を流出部534から流出した水に衝突させることで、捨て水の勢いを弱めることができる。
【0075】
また、捨て水受け部材53は、水が流通する方向に直交する方向の断面積S1が第2上流側流路部522の断面積S2よりも大きい。これにより、第2上流側流路部522から捨て水受け部材53に流入される捨て水の水圧は、第2上流側流路部522から捨て水受け部材53に流入する際に、流出部534において大気開放される。これにより、捨て水の水圧が低減される。更に、捨て水受け部材53の出口開口部533から排出される捨て水の水圧は、出口開口部533から捨て水受け部材53の外部に排出される際に、出口開口部533において大気開放される。
よって、流出部534において捨て水の水圧を大気開放すると共に、出口開口部533において流出部534において大気開放された捨て水の水圧を大気開放することができる。これにより、捨て水の水圧を低減することで、捨て水の勢いを弱めることができる。従って、便器4に排出された捨て水が便器4から跳ね返ることを低減できる。
【0076】
また、本実施形態の局部洗浄装置10においては、捨て水受け部材53は、円筒状に形成される円筒部531と、円筒部531の一端側に形成される出口開口部533と、円筒部の他端側に形成される端部壁部532と、円筒部531の途中の側部を貫通して設けられる流出部534と、を有する。そのため、捨て水は、円筒状の円筒部531の内周面に沿って流通する。これにより、捨て水受け部材53に流出した捨て水を、円筒部531の内周面に沿って流通させることができるため、例えば、角形状の筒で形成された場合よりも、捨て水の乱流を抑制できる。
【0077】
本実施形態の局部洗浄装置10においては、円筒部531は、円筒部531の内部側に突出し且つ円筒部531の長さ方向に延びる延在リブ部535を備える。そのため、延在リブ部535は、円筒状の円筒部531の内周面に沿って旋回して流れる捨て水の勢いを弱めて、円筒部531の軸方向に流れるようにガイドできる。これにより、捨て水が円筒部531の径方向に広がることを低減できる。従って、捨て水が出口開口部533から排出される際に、円筒部531の径方向に広がることが低減されるため、捨て水の飛散を低減できる。
【0078】
本実施形態の局部洗浄装置10においては、捨て水受け部材53は、ベースプレート60上において、水平に延びるように配置される。これにより、捨て水受け部材53の円筒部531の内部において捨て水の流通方向が反転する本発明において、捨て水が流出部534から端部壁部532に向かう方向へ流通する場合においても、捨て水が端部壁部532から出口開口部533に向かう方向へ流通する場合においても、捨て水をスムーズに流通させることができる。
【0079】
本実施形態の局部洗浄装置10においては、ベースプレート60は、第2排水口691の縁部に沿って形成され、ベースプレート60の上面から上方に向けて突出する上方側リブ部692を有する。そのため、上方側リブ部692は、第2排水口691に向かって流れる捨て水は、上方側リブ部692にせき止められた状態で、上方側リブ部692にガイドされ、第2排水口691から排出される。このため、捨て水が第2排水口691の縁部において、ベースプレート60から溢れることを低減できる。
【0080】
本実施形態の局部洗浄装置10においては、ベースプレート60は、便器4の上部に配置されており、ベースプレート60は、便器4の前後方向における第2排水口691と便器4との間においてベースプレート60の下面から下方に向けて突出する第2下方側リブ部693を有する。そのため、便器4の上部にベースプレート60を配置する際に、第2下方側リブ部693を便器4の前方側に配置することで、第2排水口691が便器4に乗り上げることを防止できる。また、便器4の上部にベースプレート60が配置された状態において、第2下方側リブ部693により便器4の上面側がガードされるため、第2排水口691から排出される水が、便器4の上面とベースプレート60との間に入り込むことを低減できる。
【0081】
以上、本発明の局部洗浄装置10の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、捨て水受け部材53を、ベースプレート60上において、水平に延びるように配置したが、これに限定されない。捨て水受け部材53を、ベースプレート60上において、第2排水口691側の一端側が下るように傾斜して延びるように配置してもよい。これにより、捨て水受け部材53の端部壁部532に衝突させて反転させた捨て水を、ベースプレート60の第2排水口691側にスムーズに流通させることができる。
【0082】
また、前記実施形態では、捨て水受け部材53を円筒状に形成したが、これに限定されない。例えば、捨て水受け部材を角筒状に形成してもよいし、捨て水受け部材を上方側が開放した半円筒状に形成してもよい。また、捨て水受け部材は、筒状に限定されない。例えば、捨て水受け部材を、ベースプレート上において仕切板で仕切った流路により構成してもよい。
【0083】
また、前記実施形態においては、捨て水受け部材53の流出部534を、円筒部531の後方側の斜め上方の位置に配置したが、これに限定されない。例えば、捨て水受け部材53の流出部534を、円筒部531の真上の位置に配置してもよいし、円筒部531の真横の位置に配置してもよい。
【0084】
また、前記実施形態では、捨て水受け部材53の流出部534を、円筒部531の長さ方向の途中に設けたが、これに限定されない。例えば、捨て水受け部材53の流出部534を、円筒部531の一端の出口開口部533に設けてもよい。
【0085】
また、前記実施形態においては、捨て水流路部52から排出された水を一旦受け止めるベースプレートを備える構成としたが、これに限定されない。例えば、捨て水受け部材53(下流側流路部)から排出された水を、ベースプレート60の第2排水口691に直接流れるように構成してもよいし、ベースプレートを備えずに、捨て水受け部材53に排水管などの排水口を連結することで、捨て水受け部材53(下流側流路部)から排出された水を、排水管などの排水口に直接流れるように構成してもよい。