(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6715623
(24)【登録日】2020年6月11日
(45)【発行日】2020年7月1日
(54)【発明の名称】熱収縮性フィルム積層体
(51)【国際特許分類】
B32B 7/028 20190101AFI20200622BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20200622BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20200622BHJP
【FI】
B32B7/028
B32B27/32 B
B65D65/40 D
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-50802(P2016-50802)
(22)【出願日】2016年3月15日
(65)【公開番号】特開2017-164938(P2017-164938A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2019年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206473
【氏名又は名称】大倉工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】寺元 義純
(72)【発明者】
【氏名】溝淵 義輝
(72)【発明者】
【氏名】石川 真二
(72)【発明者】
【氏名】矢野 智也
【審査官】
飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−007332(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0276345(US,A1)
【文献】
特開2014−121821(JP,A)
【文献】
特開平01−067330(JP,A)
【文献】
特開2014−121822(JP,A)
【文献】
特開2014−122047(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0274245(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の熱収縮性フィルムと他方の熱収縮性フィルムとが積層された熱収縮性フィルム積層体において、
前記一方の熱収縮性フィルムと前記他方の熱収縮性フィルムとは、共に印刷層を備えており、該印刷層が接着剤層を介して対向するように積層され、
前記一方の熱収縮性フィルムが備える印刷層と、前記他方の熱収縮性フィルムが備える印刷層は共に塩素化ポリプロピレンを含有し、
前記一方の熱収縮性フィルム及び前記他方の熱収縮性フィルムは、前記印刷層側にポリプロピレン系樹脂からなる層を備えるポリオレフィン系熱収縮性フィルムであり、
前記接着剤層はポリエーテルウレタン系接着剤であることを特徴とする熱収縮性フィルム積層体。
【請求項2】
前記一方の熱収縮性フィルム及び前記他方の熱収縮性フィルムの厚さが5〜30μmであることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性フィルム積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の熱収縮性フィルムと他方の熱収縮性フィルムとが接着剤を介して積層された熱収縮性フィルム積層体に関する。特に、化粧箱に収納された贈答品等をオーバーラップ包装する用途に適した熱収縮性フィルム積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、菓子、書籍、化粧品、医薬品等の商品を包装する際に、しばしば熱収縮性フィルムが用いられる。熱収縮性フィルムを用いて商品をオーバーラップ包装する場合、熱収縮性フィルムを適宜切断しながら、該フィルムで商品を覆い、フィルムの端縁部をヒートシールや溶断シール等した後、フィルムを熱収縮させる。このときシールされる面に印刷が施されていると、十分なシール強度が発揮されない。そこで熱収縮性フィルムに印刷を施す際は、通常、十分なシール強度を担保するために、ヒートシールや溶断シールが施される場所を除いて印刷が行われる。しかしながらオーバーラップ包装された包装体において、シール部分に印刷が施されていないということは、美観を大いに損ねるものである。
【0003】
フィルム全面に印刷が施された熱収縮性フィルムを用いてオーバーラップ包装する場合、印刷面を外側(商品と接しない側)にして熱収縮性フィルムで商品を包むと、印刷によるシール強度の低下を防止できる。しかしながら該方法を用いると、シールバーにインキが付着する、輸送中等にフィルムが擦られて印刷が剥がれるといった問題があった。
【0004】
特許文献1は、オーバーラップ包装された包装体の合掌シール部分やその周辺部分における透明部分が少なく、合掌シール部分のシール強度も十分な包装体の提供を目的とする発明である。特許文献1ではオーバーラップ包装において合掌シールされる部分に、ドット印刷を施すことを提案している。
しかしながら該包装に用いられるフィルムは、合掌シールされる部分が予め特定されているため、商品の大きさが変わるとフィルムも変更する必要がある。また該包装体は、合掌シールされる部分全面に印刷が施されているものではない。シール部分にはドット状の印刷が施されるのみで、シール強度を低下させない為に、透明の部分が残されている。
【0005】
近年、化粧箱に収納された贈答品等が、包装作業の機械化、包装資材の削減等を目的とし、包装紙ではなく印刷が施されたプラスチックフィルムで包装されることが増えている。このような用途では包装体の意匠性が重視される為、オーバーラップ包装できる熱収縮性フィルムであって、全面に印刷が施された熱収縮性フィルムが求められている。
【0006】
特許文献2は、熱融着される部分まで印刷を施すことができ、包装された製品の外観や機能を向上させることができる熱収縮性フィルム積層体(ラミネートシュリンクフィルム)の提供を目的とする発明である。特許文献2では、一方の熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)と他方の熱収縮性フィルムとが接着剤によって貼り合わされた熱収縮性フィルム積層体であって、一方の熱収縮性フィルムは、他方の熱収縮性フィルム側の面に塩素化ポリプロピレン樹脂を含む印刷層が形成された熱収縮性フィルム積層体が提案されている。該フィルムは、印刷層が熱収縮性フィルムの間に形成されているため、熱融着される部分にも印刷を施すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−184740号公報
【特許文献2】特開2014−121821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献2記載の熱収縮性フィルム積層体を用いて商品をオーバーラップ包装した場合、熱収縮性フィルム積層体の一部がデラミネーション(剥離)することがあった。
【0009】
本発明は、熱融着される部分まで印刷を施すことができ、包装された製品の外観や機能を向上させることができる熱収縮性フィルム積層体であって、包装後にデラミネーションすることのない熱収縮性フィルム積層体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると上記課題を解決するための手段として、一方の熱収縮性フィルムと他方の熱収縮性フィルムとが積層された熱収縮性フィルム積層体において、前記一方の熱収縮性フィルムと前記他方の熱収縮性フィルムとは、共に印刷層を備えており、該印刷層が接着剤層を介して対向するように積層されていることを特徴とする熱収縮性フィルム積層体が提供される。
また前記一方の熱収縮性フィルムが備える印刷層と、前記他方の熱収縮性フィルムが備える印刷層は、樹脂成分が同じインキにより形成されていることを特徴とする前記熱収縮性フィルム積層体が提供される。
また前記樹脂成分が、塩素化ポリオレフィンであることを特徴とする前記熱収縮性フィルム積層体が提供される。
また前記接着剤がポリエーテルウレタン系接着剤であることを特徴とする前記熱収縮性フィルム積層体が提供される。
また前記一方の熱収縮性フィルムが備える印刷層または前記他方の熱収縮性フィルムが備える印刷層が、色料を含まないことを特徴とする前記熱収縮性フィルム積層体が提供される。
【0011】
特許文献2記載の熱収縮性フィルム積層体では、一方の熱収縮性フィルムと他方の熱収縮性フィルムとが、一方のフィルムが備える印刷層と他方のフィルムに塗布された接着剤層とを介して積層されているが、本発明の熱収縮性フィルム積層体では、一方の熱収縮性フィルムと他方の熱収縮性フィルムとが、一方のフィルムに施された印刷層と他方のフィルムに施された印刷層と二つの印刷層の間に形成された接着剤層とを介して積層されている。印刷層が一層増えることによりデラミネーションが改善される理由は定かではないが、一方の熱収縮性フィルムの熱収縮特性と他方の熱収縮性フィルムの熱収縮特性とが同じようになる為ではないかと推察する。更に二つの熱収縮性フィルムの間に存在する接着剤層も、各フィルムの熱収縮特性の相違を解消する方向に働き、デラミネーション改善に寄与するものと思われる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一方の熱収縮性フィルムと他方の熱収縮性フィルムとが共に印刷層を備え、該印刷層同士が接着剤層により接着されているため、包装後の熱収縮性フィルム積層体がデラミネーションし難い。また二つの印刷層を備えるため、複雑な印刷が可能となり、熱収縮性フィルム積層体に意匠性や遮光性といった新たな機能を付与することができる。更に熱収縮性フィルム積層体全面が熱融着性を備えるため、商品の大きさが変化しても、同じ熱収縮性フィルム積層体を用いてオーバーラップ包装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の熱収縮性フィルム積層体の一実施例を示す概略断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の熱収縮性フィルム積層体1の一実施例を示す概略断面説明図である。本発明の熱収縮性フィルム積層体1は、熱収縮性フィルム基材20aと印刷層21aからなる一方の熱収縮性フィルム2aと、熱収縮性フィルム基材20bと印刷層21bからなる他方の熱収縮性フィルム2bとが、接着剤層3を介し、印刷層21a、21bが対向するように積層されていることを特徴とする。
【0015】
[熱収縮性フィルム]
本発明に用いられる熱収縮性フィルム2a、2bは、それぞれ熱収縮性フィルム基材20a、20bと印刷層21a、21bとからなる。
<熱収縮性フィルム基材>
熱収縮性フィルム基材20a、20bは、従来、熱収縮性フィルムに用いられている樹脂から成形することができる。例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、6ナイロンや6,6ナイロンといったアミド系樹脂、ポリスチレンなどのスチロール系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂から選択される1種または2種以上の樹脂から成形することができる。
【0016】
本発明による熱収縮性フィルム積層体を、化粧箱に収納された贈答品を包装する用途(以下、ギフト包装用途と略称する)に使用する場合は、熱収縮性フィルム基材20a、20bを形成する樹脂としてエチレン系樹脂やプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂、或いはこれらの積層体を用いることが望ましい。オレフィン系樹脂、特にプロピレン系樹脂から成る熱収縮性フィルムは表面光沢に優れる為、得られる包装体に高級感を持たせることができる。エチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体等を、プロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等を例示することができるが、低温で安定して延伸できるプロピレン−エチレンランダム共重合体からなる層を少なくとも一層備えることが特に望ましい。
【0017】
上述した熱可塑性樹脂から熱収縮性フィルム基材20a、20bを製造する方法は特に限定されず、例えば上述した樹脂をインフレーション押出成形法、Tダイ押出成形法等によりフィルム状に製膜し、これをチューブラー延伸法、テンター延伸法等を用いて延伸すればよい。また上述した樹脂の複数を共押出法等により製膜した多層構造のフィルムを延伸し、得られる多層構造の熱収縮性フィルムを、本発明の熱収縮性フィルム基材20a、20bとしてもよい。
【0018】
また本発明の熱収縮性フィルム基材20a、20bとして、市販の熱収縮性フィルムを採用することもできる。例えば、大倉工業株式会社製のポリプロピレン製熱収縮性フィルム「OKUWRAP(登録商標)」や、ポリオレフィン多層シュリンクフィルム「ラプラー(登録商標)501」、「ランディファイブ(登録商標)NP300」等を用いても良い。
【0019】
熱収縮性フィルム基材の厚さは特に限定されるものではなく、使用される用途に応じ適宜設計することができるが、膜厚が薄すぎると製膜性が低下し、厚くなり過ぎると均一に延伸することが難しくなる為、5〜30μm、特に7〜20μm程度が望ましい。またギフト包装用途の場合、熱収縮性フィルムの膜厚は5〜20μm、特に7〜12μmが望ましい。膜厚が薄すぎるとギフトを運搬する際にフィルムが破れたり歪んだりする恐れがあり、膜厚が厚すぎると包装仕上がりが悪くなる。
熱収縮性フィルム基材の熱収縮率もまた、使用される用途に応じ適宜設計することができるが、ギフト包装用途の場合、MD(フィルム長さ方向)収縮率とTD(幅方向)収縮率が同程度であることが望ましい。
【0020】
熱収縮性フィルム基材20a、20bは、デラミネーションを防止するために熱収縮特性が似ていることが好ましい。よって、同種(プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂といったレベルでの同種)の樹脂から成ることが好ましく、同一の樹脂から成ることが特に好ましい。更に一方の熱収収縮性フィルム基材20aの膜厚が他方の熱収縮性フィルム基材20bの膜厚の0.8〜1.2倍、更には0.9〜1.1倍、更には0.95〜1.05倍であることが望ましい。
【0021】
また一方の熱収縮性フィルム基材20aと他方の熱収縮性フィルム基材20bとは、熱収縮特性とが近似していれば、異なる樹脂からなるフィルムであっても良い。一方の熱収縮性フィルム基材20aをエステル系樹脂やアミド系樹脂から成形し、他方の熱収縮性フィルム基材20bをオレフィン系樹脂のように低温で熱融着可能な樹脂から成形すると、得られる熱収縮性フィルム積層体は、シールバーによってヒートシールすることが可能となる。
【0022】
[印刷層]
印刷層21a、21bは、従来プラスチックフィルムの印刷に用いられているインキから形成することができるが、印刷適性を考慮すると、グラビア印刷用のインキを用いることが好ましい。グラビア印刷用のインキに用いられる樹脂としては、塩酢ビ樹脂、塩化ゴム、塩素化ポリオレフィン、アクリル樹脂、アミド樹脂、ウレタン樹脂、硝化綿樹脂を用いたもの等が知られているが、印刷層21a及び印刷層21bは同じ樹脂成分を含有していることが望ましい。同じ樹脂成分を含有していると、一方の熱収縮性フィルム2aと他方の熱収縮性フィルム2bの熱収縮特性を近似させることができる。
【0023】
本発明の印刷層21a、21bは、特に樹脂成分として塩素化ポリオレフィンを含有していることが好ましく、中でも塩素化ポリプロピレンを含有していることが好ましい。塩素化ポリオレフィンを用いた印刷層は比較的やわらかい為、熱収縮性フィルム基材20a、20bの熱収縮特性の相違によるデラミネーションを改善することができる。また熱収縮性フィルム基材20a、20bは、コロナ放電処理されていると、溶断シール強度が低下する恐れがあるが、塩素化ポリオレフィンは、コロナ放電処理が施されていない熱収縮性フィルム基材20a、20bとの密着性にも優れる。
【0024】
印刷層21a、21bの膜厚は特に限定されないが、一般的な膜厚(乾燥後)は0.1〜5μm程度である。熱収縮性フィルム積層体1のデラミネーションを防止するために印刷層21a、21bは同程度の膜厚であることが望ましい。詳しくは、一方の印刷層21aの膜厚が他方の印刷層21bの膜厚の0.8〜1.2倍、更には0.9〜1.1倍、更には0.95〜1.05倍であることが望ましい。
【0025】
尚、該印刷層21a、21bはいずれも熱収縮性フィルム積層体1の層間剥離防止に寄与するものであるため、これらは熱収縮性フィルム基材20a、20bの片側表面全体を覆うことが望ましく、少なくとも90%以上覆うことが望ましい。熱収縮性フィルム積層体1を平面視した際に、印刷層21a、21bが存在しない部分が多くあると、後述する接着剤層を用いても、デラミネーションが発生する恐れがある。
【0026】
また、印刷層21a、21bは、共に顔料や染料といった色料を含んでいてもよいが、一方が色料を含んでいなくても良い。換言すれば、一方の印刷層21a(または21b)によってフィルムに所望の図柄を印刷し、他方の印刷層21b(または21a)はデラミネーションを防止する目的で無色のインキを印刷することができるのである。印刷を一方の印刷層のみで行えば、図柄がずれるという問題が発生し難い。
むろん印刷層21a、21bそれぞれが、色料を含むインキで形成されていても良い。印刷層を2層設けると、従来に無い意匠性に優れたフィルムを得ることができる。また商品を包装する際に、外側となる印刷層に所望の図柄や商品名等を印刷し、商品側となる印刷層に白や黒、銀、茶色等のベタ印刷を行うと、熱収縮性フィルム積層体に遮光性を持たせることができる。尚、ベタ印刷は2層以上を重ねて印刷したものでもよい。例えば商品を包装する際に商品側(内側)となる熱収縮性フィルムに、黒や茶色などの暗色の印刷を施し、更に該印刷層上に白色の印刷を施すこともできる。
また商品が透けて見えることを防止したい場合は、商品を包装する際に商品側となる熱収縮性フィルム基材を着色することもできる。
【0027】
[接着剤層]
接着剤層3は、ドライラミネート用接着剤として従来用いられている接着剤を用いることができる。ドライラミネート用接着剤としては、二液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤等が知られているが、本発明では特に二液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤等のウレタン系接着剤を用いることが望ましく、特にポリエーテルウレタン系接着剤を用いることが望ましい。ウレタン系接着剤は柔軟性に優れる為、一方の熱収縮性フィルム2aと他方の熱収縮性フィルム2bの熱収縮特性が多少異なっていても、接着剤層が緩衝材として機能し、熱収縮性フィルム積層体1のデラミネーションを防止する。
【0028】
[熱収縮性フィルム積層体の製造方法]
本発明による熱収縮性フィルム積層体の製造方法について、一実施例を挙げて説明する。
<印刷工程>
まず、一方の熱収縮性フィルム基材20a、他方の熱収縮性フィルム基材20b、それぞれに印刷を施す。印刷に先立ち、熱収収縮性フィルム基材20a、20bは、コロナ放電処理されることがある。印刷方式はグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ドライオフセット印刷等、公知の印刷方式を採用することができるが、グラビア印刷を用いると、高速の印刷が可能となる。
【0029】
<積層工程>
次いで印刷層が形成された二枚の熱収縮性フィルム2a、2bを積層する。積層に先立ち、一方の熱収縮性フィルム2aの印刷層21a上に接着剤3を塗布する。接着剤を塗布する方法は特に限定されないが、例えばグラビア印刷法を採用することができる。接着剤の塗布量は、接着剤中の固形分の量が0.1〜5g/m
2程度が望ましい。接着剤が塗布された熱収縮性フィルムは乾燥炉にてある程度乾燥された後に、他方の熱収縮性フィルム2bと積層され、本発明の熱収縮性フィルム積層体となる。
【実施例】
【0030】
本発明の熱収縮性フィルム積層体の効果を、実施例および比較例により確認した。
[実施例1]
大倉工業株式会社製のポリプロピレン製熱収縮性フィルム「OKUWRAP(登録商標)」の一方の面に、樹脂成分として塩素化ポリプロピレンを用いたインクを用いて印刷を施し、一方の熱収縮性フィルムとした。また同様にして、他方の熱収縮性フィルムも製造した。
次いで、一方の熱収縮性フィルムの印刷層上にポリエールウレタン系樹脂接着剤を塗布し、乾燥した後、該接着剤層上に、他方の熱収縮性フィルムを、該フィルムの印刷層が前記接着剤層と接するように積層し、本発明の熱収縮性フィルム積層体を得た。
【0031】
[比較例1]
他方の熱収縮性フィルムに印刷層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の熱収縮性フィルム積層体を製造した。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例1及び比較例1の熱収縮性フィルム積層体を用いて、化粧箱をオーバーラップ包装し、オーバーラップ包装体の外観を目視にて確認した。
実施例1の熱収縮性フィルム積層体を用いた包装体は、デラミネーションが確認されなかった。一方、比較例1の包装体は、部分的に一方の熱収縮性フィルムと他方の熱収縮性フィルムとがデラミネーションしていた。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の熱収縮性フィルム積層体は、フィルムのほぼ全面に印刷を行うことができる為、該フィルムを用いて包装された包装体は意匠性に優れたものとなる。よって、従来、包装紙が用いられていたギフト包装用途において、包装紙の代わりに用いるのに適する。
むろん、従来、熱収縮性フィルムによって包装されていた食品、菓子、書類、薬などの商品をオーバーラップ包装する用途やスリーブ包装する用途等にも用いることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 熱収縮性フィルム積層体
2a、2b 熱収縮性フィルム
20a、20b 熱収縮性フィルム基材
21a、21b 印刷層
3 接着剤層