(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(メタ)アクリル系ポリマーにおける前記(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して1モル%以上である請求項1又は請求項2に記載の粘着剤組成物。
前記(メタ)アクリル系ポリマーにおける、単独重合体のガラス転移温度が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位に対する、単独重合体のガラス転移温度が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の比率が、モル基準で0.6〜3.2である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の粘着剤組成物及び粘着フィルムについて詳細に説明する。なお、本発明において、数値範囲における「〜」は、「〜」の前後の数値を含むことを意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0022】
本明細書において、(メタ)アクリル系ポリマーとは、(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマーのうち少なくとも主成分であるモノマーが(メタ)アクリロイル基を有するモノマーであるポリマーを意味する。主成分であるモノマーとは、ポリマーを構成するモノマーの中で最も含有率(質量%)が大きいモノマーを意味する。例えば、(メタ)アクリル系ポリマー中において、主成分である(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位の含有率が全構成単位の50質量%以上である場合をいう。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両者を包含することを意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を包含することを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両者を包含することを意味する。
【0023】
≪粘着剤組成物≫
本発明の粘着剤組成物は、下記一般式(1)で表される構成単位を含み、下記構成単位の含有率が全構成単位に対して0.1モル%〜3モル%であり、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して6モル%以下である(メタ)アクリル系ポリマー100質量部と、粘着付与樹脂10質量部〜40質量部と、を含む。
【0025】
一般式(1)中、R
1は、水素原子又はメチル基を示す。Lは、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基及び酸素原子よりなる群より選ばれる少なくとも1種から構成される2価の連結基を示す。
【0026】
本発明の粘着剤組成物は、上記構成とすることで、耐反発性及びジッピング防止性に優れた粘着剤層を形成することができ、上記粘着剤層を有する粘着フィルムが得られる。この理由を、本発明者らは、以下のように推測している。
【0027】
一般に、(メタ)アクリル系粘着剤組成物において、(メタ)アクリル系ポリマーにおける(メタ)アクリル酸の含有率が低いと、(メタ)アクリル系粘着剤組成物を用いて形成した粘着剤層の凝集力が小さく、粘着剤層が柔らかくなることで、耐反発性に劣る傾向がある。一方、アクリル酸の含有率が高いと、粘着剤層の凝集力が大きくなり、被着体に対する濡れ性が低くなるため、ジッピング防止性が悪くなる傾向がある。すなわち、(メタ)アクリル系ポリマーにおいて、(メタ)アクリル酸の含有量のみを検討するだけでは、特に、耐反発性及びジッピング防止性の双方を満足する粘着フィルムを得ることが困難であった。
本発明の粘着剤組成物は、特定の構成単位を含む(メタ)アクリル系ポリマーと、粘着付与樹脂と、を含むことにより、耐反発性及びジッピング防止性という2つの性能を同時に付与することができると推察される。
具体的には、粘着剤組成物中の(メタ)アクリル系ポリマーが、一般式(1)で表される構成単位の含有率を全構成単位に対して0.1モル%〜3モル%の範囲とし、かつ(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率を6モル%以下に調整することで、(メタ)アクリル系ポリマー全体の凝集力の上昇を抑えながらも、粘着剤層の濡れ性を高めることができる。そのため、低極性被着体に対する耐反発性にも優れる。加えて、所定量の粘着付与樹脂を併用するので、被着体に対する濡れ性を保持することができ、ジッピング防止性にも優れる。
このため、当該粘着剤組成物を用いて作製した粘着フィルムは、低極性被着体の曲面に貼着した場合であっても、耐反発性に優れ、かつ、低極性被着体から剥離する際のジッピング防止性にも優れると推察される。
【0028】
<(メタ)アクリル系ポリマー>
本発明の粘着剤組成物は、下記一般式(1)で表される構成単位を含み、下記一般式(1)で表される構成単位が全構成単位に対して0.1モル%〜3モル%であり、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率が6モル%以下である(メタ)アクリル系ポリマーの少なくとも1種を含む。本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、上記(メタ)アクリル系ポリマーとは異なる(メタ)アクリル系ポリマーを更に含んでいてもよい。
(メタ)アクリル系ポリマーが下記一般式(1)で表される構成単位を有すると、カルボキシル基がLを介して結合していることにより、粘着剤層の凝集力と濡れ性とを両立させ、剥離性とジッピング防止性とを両立させることができる。
【0030】
上記一般式(1)で表される構成単位において、Lはアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基及び酸素原子よりなる群より選ばれる少なくとも1種から構成される2価の連結基を示し、R
1は水素原子又はメチル基を示す。但し、Lが酸素原子を含む場合には、酸素原子は、アルキレン基、アリーレン基及びカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種と結合した2価の基を形成し、−COO−及び−CO−と結合する。
【0031】
Lにおけるアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。Lにおけるアルキレン基が直鎖状又は分岐鎖状の場合、アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜6が更に好ましい。
【0032】
また、Lにおけるアルキレン基が環状の場合、例えば、アルキレン基の炭素数が3〜5のシクロ環基となっていてもよい。
【0033】
Lにおけるアリーレン基は、炭素数が6〜10が好ましく、フェニレン基がより好ましい。アリーレン基における結合位置は特に制限されない。例えばアリーレン基がフェニレン基の場合、結合位置は1位と4位、1位と2位、及び1位と3位のいずれであってもよく、1位と2位が好ましい。
【0034】
Lにおけるアルキレン基及びアリーレン基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、フェニル基などが挙げられる。
【0035】
一般式(1)におけるLで表される2価の連結基は、ポリマーの側鎖に柔軟性を持たせて濡れ性を向上させ、ジッピング防止性を向上させる観点から、下記一般式(2a)又は一般式(2b)で表される2価の連結基が好ましい。
【0037】
一般式(2a)及び(2b)中、R
21〜R
24はそれぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキレン基又は炭素数6〜10のアリーレン基を示す。nは0〜10の数を示し、mは1〜10の数を示す。
R
21〜R
24におけるアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐鎖状が好ましく、直鎖状がより好ましい。
R
21〜R
24におけるアリーレン基における結合位置は特に制限されない。例えばアリーレン基がフェニレン基又はシクロヘキシレン基の場合、結合位置は1位と4位、1位と2位、及び1位と3位のいずれであってもよく、1位と2位が好ましい。
【0038】
R
21及びR
22におけるアルキレン基は、各々独立に、炭素数が2〜10が好ましく、炭素数が2〜6がより好ましい。R
21及びR
22におけるアルキレン基は、同一であっても異なっていてもよい。
R
21及びR
22におけるアリーレン基は、各々独立に、フェニレン基又はナフチレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
【0039】
一般式(2a)におけるR
21及びR
22は、ポリマーの側鎖に柔軟性を持たせて濡れ性を向上させ、ジッピング防止性を向上させる観点から、各々独立に、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜6のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜6であって直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が更に好ましい。
【0040】
一般式(2a)において、nは0〜10の数を表す。(メタ)アクリル系ポリマーが、一般式(1)で表される構成単位を1種類のみ含む場合には、nは整数であり、2種以上含む場合には、nは平均値である有理数となる。nは0〜4が好ましく、0〜2がより好ましい。
【0041】
R
23は、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜6のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基が更に好ましい。
【0042】
R
24は、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数4〜8の環状アルキレン基(2価のシクロ環基)又は炭素数6〜10のアリーレン基が好ましく、炭素数2〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数5〜6の環状アルキレン基又はフェニレン基がより好ましく、炭素数2〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、シクロヘキシレン基又はフェニレン基が更に好ましい。
【0043】
一般式(2b)において、mは1〜10の数を表す。(メタ)アクリル系ポリマーが、一般式(1)で表される構成単位を1種類のみ含む場合には、mは整数であり、2種以上含む場合には、mは平均値である有理数となる。mは1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。
【0044】
一般式(1)で表される構成単位は、例えば、下記一般式(1a)で表されるモノマーを、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する他のモノマーとともに共重合することで、(メタ)アクリル系ポリマーに導入することができる。
【0046】
一般式(1a)中、R
1及びLは一般式(1)におけるR
1及びLとそれぞれ同義である。
【0047】
一般式(1a)で表されるモノマーは、常法により製造したものであっても、市販のモノマーから適宜選択したものであってもよい。一般式(1a)で表されるモノマーのうちLが一般式(2a)で表されるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ダイマー(好ましくは、一般式(2a)におけるnの平均値が約0.4のもの)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(好ましくは、一般式(2a)におけるnの平均値が約1.0のもの)等が挙げられる。これらのモノマーは、例えば、「アロニックスM−5600」及び「アロニックスM−5300」(以上、東亞合成(株)製、)の商品名として市販されているものを用いることができる。
【0048】
また、一般式(1a)で表されるモノマーのうちLが一般式(2b)で表されるモノマーとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸等が挙げられる。これらのモノマーは例えば「ライトエステルHO−MS」、「ライトアクリレートHOA−MS(N)」、「ライトアクリレートHOA−HH(N)」及び「ライトアクリレートHOA−MPL(N)」(以上、共栄社化学(株)製、)の商品名として市販されているものを用いることができる。
【0049】
(メタ)アクリル系ポリマーにおける一般式(1)で表される構成単位の含有率は、全構成単位に対して、0.1モル%〜3モル%である。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける一般式(1)で表される構成単位の含有率が0.1モル%未満であると、凝集力が低くなりすぎて、耐反発性に劣る。また、粘着力が低く、被着体から脱落しやすくなる傾向がある。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける一般式(1)で表される構成単位の含有率が3モル%を超えると、凝集力が高くなりすぎて、剥離時にジッピングが生じやすくなる。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける一般式(1)で表される構成単位の含有率は、ジッピング性防止の観点から、2モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましく、0.5モル%以下が更に好ましい。また、(メタ)アクリル系ポリマーにおける一般式(1)で表される構成単位の含有率は、濡れ性を確保する観点から、0.2モル%以上が好ましく、0.3モル%以上がより好ましい。
【0050】
本発明における(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して6モル%以下である。
(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率が6モル%を超えると、凝集力が高くなりすぎてしまい、ジッピング防止性に劣る。(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率は、ジッピング防止性の観点から、4モル%以下が好ましく、3モル%以下がより好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率は、耐反発性の観点及び粘着力を高くして被着体からの脱落を防止する観点から、1モル%以上が好ましく、1.5モル%以上がより好ましい。
【0051】
(メタ)アクリル系ポリマーにおける一般式(1)で表される構成単位に対する、上記(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の比率は、モル基準で0.7〜20が好ましく、2〜15がより好ましく、4〜10が更に好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける一般式(1)で表される構成単位に対する、当該(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の比率がモル基準で0.7〜20であると、凝集力と濡れ性とのバランスが保たれ、耐反発性及びジッピング防止性に優れる傾向がある。
【0052】
本発明における(メタ)アクリル系ポリマーは、一般式(1)で表される構成単位及びアクリル酸に由来する構成単位に加えて、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の少なくとも1種を更に含むことが好ましい。
【0053】
また、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーは、主成分としてアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有することが好ましい。なお、主成分とは、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の、(メタ)アクリル系ポリマーに占める比率が50質量%以上であることをいう。
【0054】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
【0055】
中でも、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位としては、例えば、ブチルアクリレート、メチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートの少なくとも1種を含むことが好ましく、メチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートの少なくとも1種を含むことがより好ましく、メチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートを含有することが更に好ましい。
【0056】
(メタ)アクリル系ポリマーは、上記のアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位のうち、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むことが好ましい。この場合、単独重合体のガラス転移温度が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率は、全構成単位に対して、35モル%〜75モル%が好ましく、40モル%〜70モル%がより好ましく、45モル%〜65モル%が更に好ましい。
なお、単独重合体のガラス転移温度は、後述の方法で求めることができる。
【0057】
(メタ)アクリル系ポリマーは、上記のアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位のうち、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むことが好ましい。この場合、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率は、全構成単位に対して、20モル%〜60モル%が好ましく、25モル%〜55モル%がより好ましく、30モル%〜50%が更に好ましい。
なお、単独重合体のガラス転移温度は、後述の方法で求めることができる。
【0058】
そして、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーは、一般式(1)で表される構成単位及び(メタ)アクリル酸に由来する構成単位に加えて、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位と、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位と、を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーにおいて、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含有すると、粘着剤組成物を用いて作製された粘着フィルムは、耐反発性及びジッピング防止性に優れる傾向がある。
【0059】
単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg:−76℃)、オクチルアクリレート(Tg:−80℃)及びイソオクチルアクリレート(Tg:−75℃)が挙げられる。
【0060】
単独重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート(Tg:5℃)、t−ブチルアクリレート(Tg:41℃)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(Tg:0℃)、シクロヘキシルアクリレート(Tg:15℃)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(Tg:18℃)、n−ブチルメタクリレート(Tg:21℃)、n−プロピルメタクリレート(Tg:35℃)、エチルメタクリレート(Tg:42℃)、イソブチルメタクリレート(Tg:48℃)、グリシジルメタクリレート(Tg:50℃)、フェノキシエチルメタクリレート(Tg:54℃)、ベンジルメタクリレート(Tg:54℃)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(Tg:55℃)、シクロヘキシルメタクリレート(Tg:56℃)、イソプロピルメタクリレート(Tg:81℃)、イソボルニルアクリレート(Tg:96℃)、メチルメタクリレート(Tg:103℃)、t−ブチルメタクリレート(Tg:107℃)及びイソボルニルメタクリレート(Tg:155℃)が挙げられる。
【0061】
中でも、(メタ)アクリル系ポリマーは、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して35モル%〜75モル%であり、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が、全構成単位に対して20モル%〜60モル%であることが好ましい。
また、(メタ)アクリル系ポリマーは、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して30モル%〜70モル%であり、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して25モル%〜55モル%であることがより好ましい。
また、(メタ)アクリル系ポリマーは、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して45モル%〜65モル%であり、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して30モル%〜50モル%であることが更に好ましい。
【0062】
単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有率が35モル%〜75モル%の範囲にあり、単独重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が、20モル%〜60モル%の範囲にあると、凝集力と濡れ性とのバランスが保たれ、耐反発性及びジッピング防止性に優れる傾向がある。
【0063】
(メタ)アクリル系ポリマーにおける、単独重合体のガラス転移温度が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位に対する、単独重合体のガラス転移温度が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の比率は、モル基準で0.6〜3.2が好ましく、0.8〜2.5がより好ましく、1.0〜1.8が更に好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーにおける、単独重合体のガラス転移温度が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位に対する、単独重合体のガラス転移温度が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の比率が、モル基準で0.6〜3.2であると、凝集力と濡れ性とのバランスが保たれ、耐反発性及びジッピング防止性に優れる傾向がある。
【0064】
本発明における(メタ)アクリル系ポリマーは、一般式(1)で表される構成単位、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及びアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位以外のその他の構成単位を更に含んでいてもよい。その他の構成単位としては、一般式(1)で表される構成単位と共にポリマーを構成可能であれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
その他の構成単位を形成し得るモノマーとしては、例えば、水酸基を有するモノマー、アルキレンオキシド鎖を有するモノマー及び環状基を有するモノマーが挙げられる。
【0065】
水酸基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート及び3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0066】
アルキレンオキシド鎖を有するモノマーとしては、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート及びメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0067】
環状基を有するモノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0068】
本発明における(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、−70℃〜−10℃が好ましく、−60℃〜−20℃がより好ましく、−50℃〜−30℃が更に好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーのTgが−70℃以上であると、耐反発性に優れる傾向がある。(メタ)アクリル系ポリマーのTgが−10℃以下であると、ジッピング防止性に優れる傾向がある。
【0069】
本発明における(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、下記式から計算により求められる絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算したモル平均ガラス転移温度である。
1/Tg=m1/Tg1+m2/Tg2+・・・+m(k−1)/Tg(k−1)+mk/Tgk
式中、Tg1、Tg2、・・・、Tg(k−1)、Tgkは、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する各モノマーの単独重合体の絶対温度で表さられるガラス転移温度をそれぞれ表す。m1、m2、・・・、m(k−1)、mkは、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する各モノマーのモル分率をそれぞれ表し、w1+w2+・・・+w(k−1)+wk=1である。
【0070】
なお、「単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度」は、その単量体を単独で重合して製造した単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度をいう。単独重合体のガラス転移温度は、その単独重合体を、示差走査熱量測定装置(DSC)(セイコーインスツルメンツ(株)製、EXSTAR6000)を用い、窒素気流中、測定試料10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られたDSC曲線の変曲点を、単独重合体のガラス転移温度としたものである。
【0071】
代表的な単量体の「単独重合体のセルシウス温度(℃)で表されるガラス転移温度」は、上記アルキル(メタ)アクリレートの他に、ブチルアクリレートは−57℃であり、アクリル酸は163℃であり、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレートは−30℃であり、2−ヒドロキシエチルアクリレートは−15℃であり、2−ヒドロキシエチルメタクリレートは55℃であり、4−ヒドロキシブチルアクリレートは−39℃である。例えば、単独重合体のガラス転移温度が異なる単量体を用いることで、(メタ)アクリル重合体のガラス転移温度(Tg)を適宜調整できる。
なお、絶対温度(K)から273を引くことで絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算可能であり、セルシウス温度(℃)に273を足すことでセルシウス温度(℃)を絶対温度(K)に換算可能である。
【0072】
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、50万〜150万が好ましく、80万〜120万以下がより好ましい。(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)が50万以上であると、凝集力が高く、(メタ)アクリル系ポリマーの弾性が高くなり、耐反発性がより良好になる。また、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)が150万以下であると、粘着剤組成物により作製された粘着剤層の被着体への濡れ性が保たれ、ジッピング防止性がより良好になる。
【0073】
なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、下記の(1)〜(3)に従って測定される値である。
【0074】
(1)(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状の(メタ)アクリル系ポリマーを得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系ポリマーとテトラヒドロフランとを用いて、固形分濃度が0.2質量%である試料溶液を得る。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算値として、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)を測定する。
【0075】
(条件)
GPC :HLC−8220 GPC〔東ソー(株)製〕
カラム :TSK−GEL GMHXL 4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :0.6mL/分
カラム温度:40℃
【0076】
粘着剤組成物における(メタ)アクリル系ポリマーの含有率は、目的などに応じて適宜選択することができる。(メタ)アクリル系ポリマーの含有率は、粘着剤組成物の固形分総質量中、60質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。なお、固形分総質量とは粘着剤組成物から、溶剤などの揮発性成分を除いた残渣の総質量を意味する。
【0077】
本発明における(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は、特に制限されない。重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などの公知の方法を適用することができる。中でも、重合により得られた(メタ)アクリル系ポリマーから粘着剤組成物を製造するにあたり、処理工程が比較的簡単であり、かつ短時間で行うことができるため、重合方法としては溶液重合が好ましい。
【0078】
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、モノマー、重合開始剤、及び必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行われる。この場合、有機溶媒、モノマー及び重合開始剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
【0079】
重合反応時に用いられる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサ等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油等の脂肪系又は脂環族系炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−イソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、及びメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
これらの有機溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0080】
有機溶媒のうち、(メタ)アクリル系ポリマーの重合に際しては、エステル類、ケトン類などの重合反応中に連鎖移動を生じにくい有機溶媒を用いることが好ましい。特に、(メタ)アクリル系ポリマーの溶解性、重合反応の容易さなどの観点から、有機溶剤としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトンなどがより好ましい。
【0081】
重合開始剤としては、通常の溶液重合で用いられる有機過酸化物、アゾ化合物などを使用できる。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ−イソプロピルペルオキシジカルボナト、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナト、t−ブチルペルオキシピバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン及び2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンを挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−イソブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル及び2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルが挙げられる。
【0082】
重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル系ポリマーの合計100質量部に対して0.01質量部〜2質量部であることが好ましく、0.1質量部〜1質量部であることがより好ましい。
【0083】
重合反応時の重合温度としては、30℃〜180℃の範囲であることが好ましく、50℃〜150℃の範囲であることがより好ましく、50℃〜90℃の範囲であることが更に好ましく、50℃〜80℃の範囲であることが特に好ましい。
【0084】
<粘着付与樹脂>
本発明の粘着剤組成物は、粘着付与樹脂の少なくとも1種を含む。
粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂(スチレン系樹脂を含む)、ロジン系樹脂及びテルペン系樹脂が挙げられる。
【0085】
本発明の粘着剤組成物は、テルペン系樹脂及びロジン系樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましく、両方を含有することがより好ましい。テルペン系樹脂を含有すると、ジッピング防止性に優れる傾向がある。ロジン系樹脂を含有すると、耐反発性に優れる傾向がある。テルペン系樹脂とロジン系樹脂とを含有すると、ジッピング防止性と耐反発性との双方に優れる傾向がある。
本発明の粘着剤組成物がテルペン系樹脂とロジン系樹脂とを含む場合、テルペン系樹脂に対するロジン系樹脂の比率(質量基準)は、ジッピング防止性と耐反発性との観点から、0.2〜5.0が好ましく、0.25〜4.0がより好ましく、0.5〜1.5が更に好ましい。
【0086】
また、粘着付与樹脂は、ジッピング防止性及び耐反発性の観点から、粘着付与樹脂の軟化点が、130℃以下が好ましく、90℃〜120℃がより好ましく、95℃〜110℃が更に好ましい。
なお、粘着付与樹脂の軟化点は、環球法により測定できる。
【0087】
粘着付与樹脂の重量平均分子量(Mw)は、100〜10000が好ましく、500〜5000がより好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によりGPC装置(HLC−8220 GPC、東ソー(株)製)を用いて以下の条件にて測定し、標準ポリスチレンによる換算値として算出する。
【0088】
(条件)
GPC :HLC−8220 GPC〔東ソー(株)製〕
カラム :TSK−GEL GMHXL 4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :0.6mL/分
カラム温度:40℃
【0089】
上記テルペン系樹脂の具体例としては、「YSレジンTR105」(軟化点105℃、)、「YSレジンPX1250」(軟化点125℃)、「YSレジンPX1150」(軟化点115℃)、「YSレジンPX1000」(軟化点100℃)、「YSレジンTO105」(軟化点105℃)、「YSレジンPX1000」(軟化点100℃)、「YSポリスターU130」(軟化点130℃)、「YSポリスターU115」(軟化点115℃)、「YSポリスターT160」(軟化点160℃)、「YSポリスターT145」(軟化点145℃)、「YSポリスターT130」(軟化点130℃)、「YSポリスターT115」(軟化点115℃)、「YSポリスターT100」(軟化点100℃)、「YSポリスターT80」(軟化点80℃)、及び「YSポリスターUH115」(軟化点115℃)〔以上、ヤスハラケミカル(株)製〕などの商品名により市販されているものが挙げられる。
また、上記ロジン系樹脂の具体例としては、「スーパーエステルA−100」(軟化点100℃)、「スーパーエステルA−125」(軟化点125℃)、「スーパーエステルA−75」(軟化点75℃)〔以上、荒川化学工業(株)製〕などの商品名により市販されているものが挙げられる。
【0090】
本発明の粘着剤組成物は、一般式(1)で表される構成単位を含む(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、粘着付与樹脂10質量部〜40質量部を含む。
(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して粘着付与樹脂が10質量部未満、又は40質量部を超えると、粘着力及び被着体への濡れ性に劣り、耐反発性にも劣る場合がある。
本発明における粘着付与樹脂は、濡れ性を向上させる観点から、一般式(1)で表される構成単位を含む(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、10質量部〜35質量部が好ましく、15質量部〜30質量部がより好ましく、18質量部〜25質量部が更に好ましい。粘着付与樹脂の含有量が上記範囲であると、粘着力が高く被着体から脱落しにくい傾向がある。
【0091】
<架橋剤>
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を含むことができる。架橋剤としては、特に限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリアジリジン化合物、メラミンホルムアルデヒド縮合物、金属キレート化合物などが挙げられる。これら架橋剤は、それぞれ1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0092】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート化合物の水素添加物等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物、それらポリイソシアネート化合物の2量体若しくは3量体、これらポリイソシアネート化合物と、トリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体などが挙げられる。
これらのポリイソシアネート化合物の中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートの2量体、3量体並びにアダクト体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体がより好ましい。これらのポリイソシアネート化合物は、1種単独で又は2種類以上混合して使用することができる。
【0093】
ポリイソシアネート化合物は、例えば、「コロネートL」、「コロネートL−45E」、「コロネートHX」、「コロネートHL−S」、「コロネート2234」「アクアネート200」、「アクアネート210」〔以上、東ソー(株)製〕、「デスモジュールN3300」、「デスモジュールN3400」〔以上、住化コベストロウレタン(株)製〕、「デュラネートE−405−80T」、「デュラネート24A−100」、「デュラネートTSE−100」〔以上、旭化成ケミカルズ(株)製〕、「タケネートD−110N」、「タケネートD−120N」、「タケネートM−631N」、「MT−オレスターNP1200」〔以上、三井化学(株)製〕などの商品名により市販されているものが挙げられる。
【0094】
<その他の成分>
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー、粘着付与樹脂及び任意成分である架橋剤の他に、必要に応じて、シランカップリング剤、溶剤、耐候性安定剤、可塑剤、軟化剤、剥離助剤、染料、顔料、無機充填剤、界面活性剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、光安定剤などを含んでもよい。
【0095】
≪粘着フィルム≫
本発明の粘着フィルムは、基材と、前記基材上に設けられ、本発明の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層と、を備える。すなわち、本発明の粘着フィルムは、基材と、本発明の粘着剤組成物に由来する粘着剤層とが積層されている。本発明の粘着フィルムは、本発明の粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層を有することで、耐反発性に優れ、かつ、ジッピング防止性にも優れる。
【0096】
本発明の粘着フィルムを構成する基材の材料は、特に制限されない。基材の材料としては、透明性の観点から、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及び(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。これらの中でも、基材の材料としては、ラベルとした場合の表面の傷つきにくさの観点からは、ポリエステル系樹脂が好ましく、透明性及び耐熱性の観点からは、ポリエチレンテレフタレート樹脂がより好ましい。
基材が透明性に優れると、透明なラベルを製造できるため好ましい。
【0097】
基材の厚みは、特に制限されず、例えば、500μm以下であり、5μm〜300μmの範囲が好ましく、10μm〜200μmの範囲がより好ましい。
【0098】
基材上に設けられる粘着剤層の形成方法は、特に制限されず、通常用いられる方法を採用できる。基材上への粘着剤層の形成は、例えば、本発明の粘着剤組成物を、そのままの状態で、又は、必要に応じて溶媒で希釈した状態で、基材上に直接塗布し、乾燥して溶媒を除去し、養生して架橋反応を終了させる方法により行える。基材上に粘着剤層を形成するその他の方法としては、例えば、シリコーン樹脂などにより離型処理が施された紙、ポリエステルフィルムなどの剥離シートの上に、本発明の粘着剤組成物を塗布し、乾燥して溶媒を除去し、養生して架橋反応を終了させて粘着剤層を形成し、次いで剥離シートの粘着剤層が形成された側の面を基材に接触させて加圧し、基材側に粘着剤層を転写する方法が挙げられる。このようにして作製された基材上の粘着剤層の表面には、必要に応じて、離型フィルムをラミネートしてもよい。
【0099】
養生は、例えば、23℃、50%RHの環境下で4日間〜14日間行う。養生することで、粘着剤組成物の架橋反応が終了して粘着剤層が形成される。
【0100】
粘着剤層の厚さは、被着体の種類、被着体の表面粗さなどに応じて、適宜設定できる。一般には、粘着剤層の厚さは、1μm〜100μmの範囲であり、5μm〜50μmの範囲が好ましく、15μm〜30μmの範囲が更に好ましい。
【0101】
本発明の粘着フィルムは、湿熱経時後であっても、被着体の曲面に貼付した場合に、剥がれない程度に十分な粘着力及び耐反発性を有し、かつ、剥離する際にはジッピングが生じないことが好ましい。
【0102】
このような観点から、40℃、90%RHの環境下における経時後の、40℃での180度剥離試験における粘着剤層の被着体に対する粘着力(剥離力)が、剥離速度0.3m/分において、1N/25mm以上5N/25mm未満が好ましく、5N/25mm以上10N/25mm未満がより好ましく、10N/25mm以上15N/25mm未満が更に好ましく、15N/25mmを超える場合が特に好ましい。
経時後の粘着力(剥離力)が1N/25mm以上であることで、粘着フィルムを低極性の被着体の曲面に貼付した場合であっても、粘着フィルムが被着体から脱落しにくくなる。
【0103】
経時後の粘着力(剥離力)は、以下の方法によって測定される。
まず、粘着剤組成物を、剥離用フィルム上に25g/m
2となるように塗布し、粘着剤層を形成する。粘着剤層が形成された剥離用フィルムの粘着剤層の表面を、基材フィルムに貼り合せて粘着シートを作製する。
ついで、粘着シートを25mm×150mmにカットし、剥離用フィルムを剥離後、粘着シートを粘着剤層が被着体に接するように重ね、2kgのゴムローラーを用いて圧着して試験サンプルを作製する。
試験サンプルを40℃、90%RHの環境下で1週間放置し、被着体から粘着シートを粘着剤層ごと、剥離角度180°、23℃雰囲気下、剥離速度0.3m/minの条件で剥離したときの粘着力を、卓上型材料試験機を用いて測定する。
【0104】
本発明の粘着フィルムの用途としては、低極性被着体に貼り付ける用途が挙げられる。例えば、低極性被着体であるポリプロピレン(PP)及び、ポリエチレン(PE)製の容器に貼付けるポップラベル用の粘着フィルムとして使用できる。
すなわち、本発明の粘着フィルムは、低極性被着体に貼りつけた場合であっても耐反発性及びジッピング防止性に優れる。また、低極性被着体に対する粘着力が高いため、被着体から脱落しにくい。
【実施例】
【0105】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0106】
(製造例1)
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、温度計を備えた反応装置に2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)73.5質量部(56.8モル%)、メチルアクリレート(MA)25.2質量部(41.8モル%)、アクリル酸(AA)0.5質量部(1.0モル%)、一般式(1a)で表されるモノマー(製品名:アロニックスM−5300、東亞合成(株)製)0.8質量部(0.4モル%)からなる単量体混合物のうち25質量%、酢酸エチル60.8質量部及び重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.0042質量部を加えて加熱し、還流温度で10分間重合を行った。次いで還流温度条件下で単量体混合物の残量75質量%と酢酸エチル15質量部及びAIBN0.042質量部からなる重合開始剤溶液とを120分にわたって逐次滴下し、更に20分間重合を行った。その後、酢酸エチル15質量部にt−ブチルペルオキシピバレート0.2質量部を溶解させた溶液を、上記混合物に60分かけて滴下し、さらに140分間反応させた。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、固形分約35質量%、粘度約5100mPa・sの(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系ポリマーの組成(モル%)、重量平均分子量(Mw、単位:万)及び、Tg(℃)を表1に示す。
なお、ガラス転移温度(Tg)及び、重量平均分子量(Mw、単位:万)は既述の方法で測定、算出したものである。
なお、「固形分」とは(メタ)アクリル系ポリマーの溶液から溶媒を除去した残渣である。
【0107】
(製造例2〜製造例14)
製造例1において、表1に示すモノマー組成に変更し、適宜開始剤量などを調整したこと以外は、製造例1と同様の方法により(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマーの組成(モル%)、重量平均分子量(Mw、単位:万)及び、Tg(℃)を表1に示す。
なお、ガラス転移温度(Tg)及び、重量平均分子量(Mw、単位:万)は既述の方法で測定、算出したものである。
【0108】
【表1】
【0109】
表1における略号は以下の通りである。
・AA:アクリル酸
・M−5300:ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(商品名:アロニックスM−5300、東亞合成(株)製)(一般式(1a)で表されるモノマー)
・2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
・BA:n−ブチルアクリレート
・MA:メチルアクリレート
【0110】
(実施例1)
−粘着剤溶液の調製−
以下の手順にしたがって、粘着剤溶液(粘着剤組成物)を調製した。
製造例1で得られた(メタ)アクリル系ポリマーの溶液285.71質量部(固形分として100質量部)に対して、テルペン系樹脂(ヤスハラケミカル(株)製、YSレジンTR105、軟化点105℃、粘着付与樹脂)の酢酸エチル(EAc)溶液20質量部(固形分として10質量部)、ロジン系樹脂(ヤスハラケミカル(株)製、スーパーエステルA100、軟化点100℃、粘着付与樹脂)の酢酸エチル(EAc)溶液20質量部(固形分として10質量部)及び、コロネートL−45E(東ソー(株)製、イソシアネート系架橋剤)を4.67質量部(固形分として2.1質量部)を添加混合し、粘着剤溶液を調製した。
【0111】
−評価−
上記の粘着剤溶液を用い、以下の評価を行った。評価結果を下記表2に示す。
(1)耐反発性
(1−1)耐反発性の評価用粘着シートの作製
上記の手順で調製された粘着剤溶液を、シリコーン処理された剥離PETフィルム(藤森工業(株)製、フィルムバイナ100E−0010NO23(商品名)、厚さ100μm)に25g/m
2となるように塗布した。塗布後、熱風乾燥機を用いて100℃で1分間乾燥し、粘着剤層を形成した。乾燥後、粘着剤層が形成された剥離PETフィルムの粘着剤層面の表を、基材PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルムHPE(商品名)、厚さ50μm)に貼り合せた。この基材PETフィルムの裏面(粘着剤層を形成していない面)に、同様の手順で、粘着剤層が形成された剥離PETフィルムを貼り合わせた。さらに、23℃、50%RHの条件下で7日間養生した。養生終了後、シリコーン処理された剥離PETフィルム(藤森工業(株)製、フィルムバイナ100E−0010NO23(商品名)、厚さ100μm)を片面のみ剥離し、剥離した面に裏打ち用PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンテトロンフィルムHPE(商品名)、厚さ50μm)を貼り合せ、耐反発性の評価用粘着シートとした。
【0112】
(1−2)エッジリフト試験
以下のエッジリフト試験にて耐反発性を評価した。上記で作製された耐反発性の評価用粘着シートを30mm×44mmにカットした。カット後、シリコーン処理された剥離PETフィルム(藤森工業(株)製、フィルムバイナ100E−0010NO23(商品名)、厚さ100μm)を剥離し、被着体である直径20mmのポリプロピレン(PP)棒に、粘着シートの長さ方向(44mm)がPP棒の円周方向になるように貼り付け、40℃で24時間放置し、40℃におけるPP棒に対して剥がれた長さを測定した。下記の評価基準に従って耐反発性を評価した。結果を表2に示す。
【0113】
[評価基準]
A :被着体からの剥がれが認められない。
B :被着体から剥がれた距離が5mm以下であり、実用上支障がない。
C :被着体から剥がれた距離が5mmを超えて10mm以下であり、実用上支障がない。
D :被着体から剥がれた距離が10mmを超え、実用上支障がある。
【0114】
(2)ジッピング防止性
後述の「(3−2)初期の粘着力の測定」において、測定された粘着力の最小値に対する、粘着力の最大値の比率(最大粘着力/最小粘着力)を算出し、ジッピング防止性を評価する指標とした。ジッピング防止性の評価は、以下の基準に従って行った。結果を表2に示す。
【0115】
[評価基準]
A: 粘着力の最大値の最小値に対する比率の値が1.1以下である(ジッピングの発生が十分抑制されており非常に良好)。
B: 粘着力の最大値の最小値に対する比率の値が1.1を超え2.0以下である(ジッピングの発生が抑制されており良好)。
C: 粘着力の最大値の最小値に対する比率の値が2.0を超え5.0以下である(ジッピングが多数発生しているが許容範囲内)。
D: 粘着力の最大値の最小値に対する比率の値が5.0を超えている(ジッピングが顕著に発生)。
【0116】
(3)粘着力
(3−1)粘着力の評価用粘着シートの作製
上記の手順で調製された粘着剤溶液を、シリコーン処理された剥離PETフィルム(藤森工業(株)製、フィルムバイナ100E−0010NO23(商品名)、厚さ100μm)上に、25g/m
2となるように塗布した。塗布後、熱風乾燥機を用いて100℃で1分間乾燥し、粘着剤層を形成した。乾燥後、粘着剤層が形成された剥離PETフィルムの粘着剤層面を、基材PETフィルム(厚さ50μm)に貼り合せ、23℃、50%RHの環境下で7日間養生し、粘着力の評価用粘着シートとした。
【0117】
(3−2)初期の粘着力の測定
粘着力の評価用粘着シートを25mm×150mmにカットし、カット後、シリコーン処理された剥離PETフィルム(藤森工業(株)製、フィルムバイナ100E−0010NO23(商品名)、厚さ100μm)を剥離し、粘着剤層がポリプロピレン板に接するように重ね、2kgのゴムローラーを用いて圧着して粘着力測定用の試験サンプルとした。
上記粘着力測定用の試験サンプルを23℃、50%RHの環境下で24時間放置した。ポリプロピレン板から粘着力の評価用粘着シートを粘着剤層ごと剥離した場合の常温での粘着力を、剥離角度180°、23℃雰囲気下、剥離速度0.3m/minの条件で卓上型材料試験機((株)オリエンテック製、STA−1225(型名))を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0118】
[評価基準]
A:粘着力の最大値が15N/25mm以上である(粘着力に非常に優れている)。
B:粘着力の最大値が10N/25mm以上15N/25mm未満である(粘着力に優れている)。
C:粘着力の最大値が5N/25mm以上10N/25mm未満である(粘着力はやや低いが許容範囲内である)。
D:粘着力の最大値が1N/25mm以上5N/25mm未満である(粘着力はあまり高くないが、許容範囲内である)。
E:粘着力の最大値が1N/25mm未満である(不意な剥離が生じる可能性があり、許容範囲外である)。
【0119】
(3−3)経時後の粘着力の測定
また、上記(3−2)で作製した粘着力測定用の試験サンプルを40℃、90%RHの環境下で1週間放置した。ポリプロピレン板から粘着力の評価用粘着シートを粘着剤層ごと剥離した場合の粘着力を、剥離角度180°、23℃雰囲気下、剥離速度0.3m/minの条件で卓上型材料試験機((株)オリエンテック製、STA−1225(型名))を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0120】
[評価基準]
A:粘着力の最大値が15N/25mm以上である(粘着力に優れている)。
B:粘着力の最大値が10N/25mm以上15N/25mm未満である(粘着力にやや優れている)。
C:粘着力の最大値が5N/25mm以上10N/25mm未満である(粘着力はやや低いが許容範囲内である)。
D:粘着力の最大値が5N/25mm未満である(不意な剥離が生じる可能性があり、許容範囲外である)。
【0121】
(実施例2〜実施例18、比較例1〜5)
実施例1において、粘着剤組成物を表2に示した組成に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤溶液を調製した。調製した粘着剤溶液を用い、実施例1と同様に評価用粘着シートを作製し、各種物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0122】
【表2】
【0123】
表2における略号は以下の通りである。
・AA:アクリル酸
・M−5300:ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(商品名:アロニックスM−5300、東亞合成(株)製)(一般式(1a)で表されるモノマー)(示性式;CH
2CHCOO(C
5H
10COO)nH 〔n≒2〕)
・2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
・BA:n−ブチルアクリレート
・MA:メチルアクリレート
・T1:テルペン系樹脂(商品名:YSレジンTR105、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点105℃)
・T2:テルペン系樹脂(商品名:YSポリスターT145、ヤスハラケミカル(株)製、軟化点145℃)
・T3:ロジン系樹脂(商品名:スーパーエステルA100、荒川化学工業(株)製、軟化点100℃)
・T4:ロジン系樹脂(商品名:ペンセルKK、荒川化学工業(株)製、軟化点165℃)
・T5:芳香族系樹脂(商品名:FTR6100、三井化学(株)製、軟化点95℃)
・イソシアネート系架橋剤:(商品名:コロネートL−45E、東ソー(株)製)
なお、表2における粘着付与樹脂及び架橋剤の含有量は、固形分換算値であり、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対する含有量である。
比較例1では、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有量が多いため、凝集力が高くなり過ぎてジッピング防止性に劣っていることが分かる。比較例2では、一般式(1)で表される構成単位の全構成単位に対する含有率が、0.1モル%未満であるため、粘着剤組成物の凝集力が低すぎて、耐反発性に劣っていることが分かる。比較例3では、一般式(1)で表される構成単位の全構成単位に対する含有率が、3モル%を超えるため、粘着剤組成物の凝集力が高くなりすぎて、ジッピング防止性に劣っていることが分かる。比較例4では、粘着付与樹脂の含有量が少ないため、粘着力及び耐反発性に劣っていることが分かる。比較例5では、粘着付与樹脂の含有量が多すぎて、経時後にそれらがブリードアウトすることで経時後の粘着力が低下し、また、耐反発性に劣ることが分かる。
【0124】
本実施例1〜18の粘着剤組成物では、一般式(1)で表される構成単位を含み、この構成単位の含有率が全構成単位に対して0.1モル%〜3モル%であり、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の含有率が全構成単位に対して6モル%以下である(メタ)アクリル系ポリマー100質量部と、粘着付与樹脂10質量部〜40質量部とを含むので、この粘着剤組成物を用いて形成された粘着フィルムは、耐反発性及びジッピング防止性に優れていることが分かる。
特に、本実施例5〜7では、(メタ)アクリル系ポリマーにおける、一般式(1)で表される構成単位の含有率を、(メタ)アクリル系ポリマーの全構成単位に対して0.1モル%〜3モル%の範囲で増減させた場合であっても、耐反発性及びジッピング防止性に優れていることが分かる。
本実施例8及び9では、粘着剤組成物における粘着付与樹脂の含有量を10質量部〜40質量部の範囲で増減させた場合であっても、耐反発性及び、ジッピング防止性が良好であることが分かる。さらに、本実施例10〜12では、1種の粘着付与樹脂を用いた場合であっても耐反発性及びジッピング防止性が得られていることが分かる。
本実施例13及び14では、更に軟化点の温度が130℃を超える粘着付与樹脂を含む場合であっても、耐反発性及びジッピング防止性が得られていることが分かる。
本実施例15及び16では、(メタ)アクリル系ポリマーにおける、単独重合体のガラス転移温度が0℃以上であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位に対する、単独重合体のガラス転移温度が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の比率が、モル基準で0.6〜3.2であるので、耐反発性及びジッピング防止性が得られることが分かる。
本実施例17では、単独重合体のガラス転移温度が−70℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含まない場合であっても、耐反発性及びジッピング防止性が得られることが分かる。
本実施例18では、(メタ)アクリル系ポリマー中に(メタ)アクリル酸に由来する構成単位が含まれていると、耐反発性及びジッピング防止性が得られることが分かる。
【0125】
以上より、本発明の粘着剤組成物から形成された粘着フィルムは、耐反発性及び、ジッピング防止性能について良好な結果であり、粘着力についても良好な結果であることがわかる。