特許第6715799号(P6715799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6715799-口腔用組成物 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6715799
(24)【登録日】2020年6月11日
(45)【発行日】2020年7月1日
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/21 20060101AFI20200622BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20200622BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20200622BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20200622BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20200622BHJP
【FI】
   A61K8/21
   A61K8/24
   A61K8/34
   A61K8/37
   A61Q11/00
【請求項の数】12
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-105256(P2017-105256)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2017-214371(P2017-214371A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2018年9月19日
(31)【優先権主張番号】特願2016-109189(P2016-109189)
(32)【優先日】2016年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 典敬
(72)【発明者】
【氏名】永田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】浅田 拓也
【審査官】 山中 隆幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−260794(JP,A)
【文献】 特表2011−515492(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/169082(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0108559(US,A1)
【文献】 特開昭57−093906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、並びに(D):
(A)フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、及びフッ化錫から選ばれる1種又は2種以上のフッ素イオン供給化合物 フッ素原子換算量で0.005質量%以上2質量%以下、
(B)セタノール(b1)、及びステアリルアルコール(b2)を含む炭素数12以上22以下の高級アルコール 4質量%以上30質量%以下、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれるノニオン界面活性剤(c1)、並びに炭素数12以上22以下の脂肪酸又はその塩であるアニオン界面活性剤(c2)から選ばれる1種又は2種以上を含む界面活性剤 0.1質量%以上10質量%以下、並びに
(D)水
を含有し、成分(c1)の含有量が0.05質量%以上であって、成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が0.001以上0.2以下であり、成分(A)以外の多価金属化合物(E)のモル量が成分(A)のモル量に対して0.1倍未満である口腔用組成物。
【請求項2】
成分(C)が成分(c2)を含有しない場合における、成分(B)の含有量と成分(c1)の含有量との質量比((B)/(c1))が1以上10以下であり、
成分(C)が成分(c1)及び成分(c2)の双方を含有する場合における、成分(B)の含有量と成分(c1)の含有量との質量比((B)/(c1))が1以上10以下であり、かつ成分(B)の含有量と成分(c2)の含有量との質量比((B)/(c2))が2以上180以下である請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
成分(b1)の含有量と成分(b2)の含有量との質量比((b1)/(b2))が、0.5以上5以下である請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
成分(b1)の含有量及び成分(b2)の含有量の合計量と、成分(B)の含有量との質量比(((b1)+(b2))/(B))が、0.85以上1以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
セルロース系粘結剤の含有量が、0.3質量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項6】
セルロース系粘結剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びヒドロキシアルキルセルロースから選ばれる1種又は2種である請求項5に記載の口腔用組成物。
【請求項7】
研磨性シリカ、ソルビトール、及びキシリトールから選ばれる20℃で固体の吸水性成分の含有量が、30質量%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項8】
成分(B)の含有量と、成分(c1)の含有量及び成分(c2)の脂肪酸換算量の合計量との質量比((B)/((c1)+(c2)))が、1以上より大きく40以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項9】
成分(D)の含有量が、50質量%以上95質量%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項10】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量が、0.5質量%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項11】
歯へのフッ素イオンの取り込み促進剤である請求項1〜10のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項12】
成分(B)の融点以上90℃以下の温度で、成分(B)と成分(C)を含有する混合液を混合する工程(I)、並びに
成分(A)を添加する工程(II)
を備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の口腔用組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、グリチルレチン酸やトコフェロール等の水難溶性の有効成分は、種々の薬理作用を付与し得ることから、薬効成分として多用されている。例えば、特許文献1には、トコフェロール等の水難溶性の有効成分と油性成分、及びショ糖脂肪酸エステルとアニオン性界面活性剤とを各々特定の質量比で含有することにより、優れた薬効の発揮、及びその持続性を高める歯磨組成物が開示されている。また特許文献2には、上記有効成分と界面活性剤とともに、特定のペパーミント油を特定量で併用することにより、優れた薬効に加え良好な香味の発現を試みる歯磨組成物が開示されている。
【0003】
一方、歯質の主成分はハイドロキシアパタイトであり、口中においては通常、リン酸イオンやカルシウムイオンの溶出(脱灰)と、リン酸カルシウムやハイドロキシアパタイトへの結晶化(再石灰化)が平衡状態にあり、歯のう蝕は、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)等の細菌がショ糖等を分解して有機酸を産生しpHを低下させて、歯のカルシウム等を溶出させることにより脱灰を促進することで進行していく。う蝕の初期段階においては、エナメル質に白斑(ホワイトスポット)といわれる歯の表層下脱灰病巣を生じる。ここで、カルシウムイオンとリン酸イオンの結晶化、すなわち再石灰化を促進してう蝕の発生を防止し、かかる白斑を消失させうるフッ素イオンが有用であることが知られている。
【0004】
そのため、口腔内においてフッ素イオンを歯に供給することができるフッ化ナトリウム等の水溶性の有効成分も、薬効成分として多用されている。例えば、特許文献3には、フッ化ナトリウムを含有しつつ、脂肪酸アミドプロピルベタインと、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体を特定量配合することにより、フッ素の歯表面での滞留性を向上する技術が開示されている。また特許文献4には、フッ化ナトリウム等のフッ化物イオン供給化合物とN−アシルアミノ酸塩及び特定の糖アルコールとを併用することにより、フッ化物イオンの歯牙への吸着を向上する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−289917号公報
【特許文献2】特開2007−45786号公報
【特許文献3】特開2009−155217号公報
【特許文献4】特開2014−125443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、歯のエナメル質にフッ素イオンを取り込ませ、再石灰化を促進するためには、フッ素イオン濃度を高くすることが考えられるが、フッ素イオンの溶解性、安全性の観点から大量に歯磨組成物に含有させることは困難であり、また上記特許文献1〜2にも記載されるように、こうしたフッ化ナトリウム等の水溶性の有効成分は、唾液やバイオフィルムの存在によって、その吸収性が低下する問題があることでも知られる。しかしながら、少量のフッ素イオンを効率的にエナメル質に取り込ませようとするにあたり、上記特許文献3〜4に記載の技術では、かかるフッ素イオン取り込み量を充分に増大させるには未だ改善の余地がある。
【0007】
したがって、本発明は、歯のエナメル質へのフッ素イオンの取り込み性が向上し、再石灰化効果を高めた口腔用組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者らは、種々検討したところ、フッ化ナトリウム等のフッ素イオン供給化合物及び水とともに、特定の高級アルコール及び特定の界面活性剤を各々特定量と質量比で併用しつつ、かつ多価金属化合物の含有も制限された口腔用組成物であれば、水溶性の有効成分であるフッ素イオン供給化合物を用いながらも、フッ素イオンの歯牙への取り込み性が効果的に高められることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、並びに(D):
(A)フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、及びフッ化錫から選ばれる1種又は2種以上のフッ素イオン供給化合物 フッ素原子換算量で0.005質量%以上2質量%以下、
(B)セタノール(b1)、及びステアリルアルコール(b2)を含む炭素数12以上22以下の高級アルコール 4質量%以上30質量%以下、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれるノニオン界面活性剤(c1)、並びに炭素数12以上22以下の脂肪酸又はその塩であるアニオン界面活性剤(c2)から選ばれる1種又は2種以上を含む界面活性剤 0.1質量%以上10質量%以下、並びに
(D)水
を含有し、成分(c1)の含有量が0.05質量%以上であって、成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が0.002以上0.2以下であり、成分(A)以外の多価金属化合物(E)のモル量が成分(A)のモル量に対して0.1倍未満である口腔用組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の口腔用組成物によれば、ラメラ構造を有するα−ゲルが形成され、これによって水溶性の有効成分であるフッ素イオン供給化合物を用いながらも、歯のエナメル質等へのフッ素イオンの取り込み性が高められ、う蝕の発生を有効に防止することが可能となり、象牙質知覚過敏の予防又は改善にも極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1で得られた組成物中に形成されたα−ゲルの、広角X線回折による回折X線強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の口腔用組成物は、成分(A)として、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、及びフッ化錫から選ばれる1種又は2種以上のフッ素イオン供給化合物を、フッ素換算量で0.005質量%以上2質量%以下含有する。かかる成分(A)は、水溶液においてフッ素イオンを放出する水溶性の化合物である。なかでも、歯のエナメル質へのフッ素イオン取り込み性の観点、及び水への溶解性や製剤化のしやすさの観点から、フッ化ナトリウムが好ましい。フッ素イオン供給化合物により、う蝕予防効果、再石灰化、象牙質知覚過敏抑制作用等をもたらすことができる。
【0013】
成分(A)の含有量は、歯のエナメル質や象牙質に対するフッ素イオンの取り込み量を充分に確保する点及び安全性の観点から、本発明の口腔用組成物中にフッ素原子換算量で、0.005質量%以上であって、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、さらに好ましくは0.04質量%以上である。成分(A)の含有量は、安全性等の観点から、本発明の口腔用組成物中にフッ素原子換算量で、2質量%以下であって、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下である。そして、成分(A)の含有量は、本発明の口腔用組成物中にフッ素原子換算量で、0.005質量%以上2質量%以下であって、好ましくは0.01〜1質量%であり、より好ましくは0.02〜1質量%であり、さらに好ましくは0.04〜0.5質量%である。
【0014】
本発明の口腔用組成物は、成分(B)として、セタノール(b1)、並びにステアリルアルコール(b2)を含む炭素数12以上22以下の高級アルコールを4質量%以上30質量%以下含有する。すなわち、成分(B)は、成分(b1)のセタノール、及び成分(b2)のステアリルアルコールを必須成分とする炭素数12以上22以下の高級アルコールである。かかる成分(B)を含有することにより、後述する成分(C)の界面活性剤とともに、ラメラ層が重なり合った構造を有するα−ゲルを形成し、構造粘性を有する組成物とすることができる。そして、かかるα−ゲルが有する構造粘性により、後述する成分(D)の水中において、成分(A)のフッ素イオン供給物の流動性が確保されるため、フッ素イオン供給化合物が流動しながら歯に接触を繰り返し、放出されるフッ素イオンの歯等への吸着性や滞留性を良好に保持することができると考えられる。こうして本発明の口腔用組成物は、成分(A)の良好な流動性を確保し得る水を含有しつつ、適度な粘性を有することにより、歯のエナメル質等へのフッ素イオンの取り込み量を効果的に高めることができる。
【0015】
成分(B)の高級アルコールは、良好にα−ゲルを形成しつつ、口腔用組成物としての適度な粘度を保持する観点から、成分(b1)のセタノール、及び成分(b2)のステアリルアルコールを含む高級アルコールであり、かつ炭素数12以上22以下であって、成分(b1)の含有量及び成分(b2)の含有量の合計量と、成分(B)の含有量との質量比(((b1)+(b2))/(B))は、好ましくは0.85以上であり、より好ましくは0.9以上であり、さらに好ましくは0.92以上であり、1以下である。
【0016】
成分(b1)及び成分(b2)以外の成分(B)としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、及びベヘニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
【0017】
成分(b1)の含有量と成分(b2)の含有量との質量比((b1)/(b2))は、良好にα−ゲルを形成しつつ、口腔用組成物としての安定性を向上する観点から、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.7以上であり、好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下であり、さらに好ましくは2以下であり、よりさらに好ましくは1.7以下である。
また、成分(b1)及び成分(b2)以外の炭素数12以上22以下の高級アルコールである、ラウリルアルコール及びミリスチルアルコールは、味の観点から、ラウリルアルコールの含有量及びミリスチルアルコールの含有量の合計量と、成分(B)の含有量との質量比((ラウリルアルコール+ミリスチルアルコール)/(B))が、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.03以下であり、さらに好ましくは0.01以下である。
【0018】
成分(b1)及び成分(b2)以外の炭素数12以上22以下の高級アルコールである、ベヘニルアルコールは、成分(B)の析出や分離を抑制する観点から、ベヘニルアルコールの含有量と成分(B)の含有量との質量比(ベヘニルアルコール/(B))が、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.05以下である。
【0019】
なお、炭素数10以下の高級アルコールは、安定性の観点から、炭素数10以下の高級アルコールの含有量と成分(B)の含有量との質量比(炭素数10以下の高級アルコール/(B))が、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.01以下であり、さらに好ましくは0.005以下であり、或いは本発明の口腔用組成物は、炭素数10以下の高級アルコールを含有しないことがよりさらに好ましい。
また、炭素数24以上の高級アルコールは、安定性の観点から、炭素数24以上の高級アルコールの含有量と成分(B)の含有量との質量比(炭素数24以上の高級アルコール/(B))が、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.01以下であり、さらに好ましくは0.005以下であり、或いは本発明の口腔用組成物は、炭素数24以上の高級アルコールを含有しないことがよりさらに好ましい。
【0020】
成分(B)の含有量は、良好にα−ゲルを形成させる観点から、本発明の口腔用組成物中に、4質量%以上であって、好ましくは4.5質量%以上である。また、成分(B)の含有量は、適度な粘度とする観点、及び組成物の成分(D)の水中におけるフッ素供給化合物の流動性や他の各成分の分散性を確保する等の観点から、本発明の口腔用組成物中に、30質量%以下であって、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは18質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。そして、成分(B)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、4質量%以上30質量%以下であって、好ましくは4〜25質量%であり、より好ましくは4〜20質量%であり、さらに好ましくは4.5〜18質量%であり、さらに好ましくは4.5〜15質量%である。
【0021】
本発明の口腔用組成物において、成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、0.001以上0.2以下である。これにより、形成されるα−ゲルによって成分(A)の流動性を良好に確保しながら、フッ素イオンの取り込み量を効果的に高めることができる。かかる成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、フッ素イオンの取り込み量を有効に高める観点から、0.001以上であって、好ましくは0.002以上であり、より好ましくは0.003以上である。また、成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、α−ゲルを良好に形成させて成分(A)の流動性を確保する観点から、0.2以下であって、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.05以下である。そして、成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))は、0.001以上0.2以下であって、好ましくは0.002〜0.1であり、より好ましくは0.003〜0.05である。
【0022】
本発明の口腔用組成物は、成分(C)として、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれるノニオン界面活性剤(c1)、並びに炭素数12以上22以下の脂肪酸塩であるアニオン界面活性剤(c2)から選ばれる1種又は2種以上を含む界面活性剤を0.1質量%以上10質量%以下含有し、かつ成分(c1)の含有量が0.05質量%以上である。このように、成分(c1)のノニオン界面活性剤、及び成分(c2)のアニオン界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上を含みつつ、成分(c1)を特定量以上含む成分(C)の界面活性剤を特定の含有量で用いることにより、上記成分(A)の流動性を確保しつつ、さらに成分(B)とともにα−ゲルを形成し、適度な構造粘性をもちつつ、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯のエナメル質や象牙質への取り込み量を効果的に高めることができる。
【0023】
成分(c1)は、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれるノニオン界面活性剤である。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性の観点から、好ましくは炭素数10以上の脂肪酸由来のものであり、より好ましくは炭素数12以上の脂肪酸由来のものであり、好ましくは炭素数20以下の脂肪酸由来のものであり、より好ましくは炭素数18以下の脂肪酸由来のものから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。具体的には、例えば、モノカプリン酸ソルビタン、モノウンデシル酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノトリデシル酸ソルビタン、モノミリスチン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、テトラオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、及びトリステアリン酸ソルビタン等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、及びモノパルミチン酸ソルビタンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、及びモノステアリン酸ソルビタンから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
【0024】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性の観点から、好ましくは炭素数6以上の脂肪酸由来のものであり、より好ましくは炭素数12以上の脂肪酸由来のものであり、好ましくは炭素数22以下の脂肪酸由来のものであり、より好ましくは炭素数20以下の脂肪酸由来のものから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルにおけるエチレンオキシ基の平均付加モル数は、同様の観点から、好ましくは5〜40モルであり、より好ましくは10〜25モルであり、さらに好ましくは10〜20モルである。かかるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノミリスチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、優れた起泡性を発揮しつつ低温安定性を高める観点から、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0025】
成分(c2)のアニオン界面活性剤は、炭素数12以上22以下の脂肪酸又はその塩である。成分(c2)は、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性の観点、及び良好な香味を確保する観点から、炭素数12以上であって、好ましくは炭素数14以上であり、より好ましくは16以上であり、炭素数22以下であって、好ましくは炭素数20以下であり、より好ましくは18以下である。また、成分(c2)を構成する脂肪酸は、直鎖であってもよく分岐鎖であってもよいが、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性の観点から、直鎖であるのが好ましい。かかる成分(c2)としては、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、少なくとも成分(c2)としてステアリン酸又はその塩を含有することがさらに好ましい。また、成分(c2)を構成する塩としては、ナトリウム及びカリウムから選ばれるアルカリ金属;アルギニン等の塩基性アミノ酸;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等のアルカノールアンモニウム;アンモニウム等が挙げられる。なかでも成分(c2)を構成する塩として、安定性の観点から、ナトリウム及びカリウムから選ばれるアルカリ金属が好ましい。
【0026】
成分(C)は、上記成分(c1)、及び成分(c2)から選ばれる1種又は2種以上を含むほか、さらにポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれるノニオン界面活性剤(c3)、並びにアルキル硫酸ナトリウム、アシルメチルタウリン塩、及びアシルサルコシン塩から選ばれるアニオン界面活性剤(c4)から選ばれる1種又は2種以上を含んでもよい。すなわち、本発明の口腔用組成物は、成分(C)の界面活性剤として、成分(c1)のノニオン界面活性剤、及び成分(c2)のアニオン界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上を含むほか、ノニオン界面活性剤として、成分(c1)以外の成分(c3)を含むことができ、又はアニオン界面活性剤として、成分(c2)以外の成分(c4)を含むことができる。
【0027】
成分(c3)のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油におけるエチレンオキシ基の平均付加モル数は、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を良好に保持しつつ、組成物の安定性を確保する観点から、好ましくは20〜100モルであり、より好ましくは40〜80モルである。成分(c3)のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量は、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を良好に保持する観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.01質量%以下であり、或いは本発明の口腔用組成物はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有しないものであってもよい。
【0028】
成分(c3)のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンが2〜20個縮合したポリグリセリンに、炭素数8〜24の脂肪酸が1〜4個エステル結合したものが挙げられる。かかるポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸部分としては、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を良好に保持しつつ、組成物の安定性を確保する観点から、炭素数12〜20の脂肪酸由来のものが好ましく、炭素数12〜18の脂肪酸由来のものがより好ましく、炭素数12〜14の脂肪酸由来のものがさらに好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、これらの脂肪酸部分から構成されるモノエステルであることが好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの平均縮合度は、同様の観点から、好ましくは2〜20であり、より好ましくは5〜12である。
【0029】
成分(c3)のショ糖脂肪酸エステルとしては、炭素数6〜20の脂肪酸由来の脂肪酸部分から構成されるショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。なかでも、かかるショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸部分としては、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を良好に保持しつつ、組成物の安定性を確保する観点、及び良好な使用感を付与する観点から、炭素数10〜18の脂肪酸由来のものが好ましく、炭素数12〜14の脂肪酸由来のものがより好ましい。
【0030】
成分(c4)のアルキル硫酸塩、アシルメチルタウリン塩、及びアシルサルコシン塩から選ばれる1種又は2種以上のアニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;N−ラウロイルサルコシン、N−ミリストイルサルコシン、N−パルミトイルサルコシン、N−ステアロイルサルコシン、N−イソステアロイルサルコシン、N−オレオイルサルコシン等のアシルサルコシンのナトリウム塩又はカリウム塩;カプリルメチルタウリン、ラウリルメチルタウリン、ミリスチルメチルタウリン、パルミチルメチルタウリン、ステアリルメチルタウリン等のアシルメチルタウリンのナトリウム塩又はカリウム塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、ラウリル硫酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン塩、N−ミリストイルサルコシン塩、ラウリルメチルタウリン塩、及びミリスチルメチルタウリン塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ラウリル硫酸ナトリウムがより好ましい。
【0031】
成分(c1)の含有量は、成分(B)とともにα−ゲルを形成して適度な構造粘性を有しつつ、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を効果的に高める観点から、本発明の口腔用組成物中に、0.05質量%以上であって、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.4質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、またさらに好ましくは1質量%以上であり、組成物の安定性を確保する観点、及び適度な粘度や風味とのバランスの観点から、10質量%以下であって、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下である。
また、成分(c1)の含有量は、成分(c2)を含有しない場合には、成分(B)とともにα−ゲルを形成して適度な構造粘性を有しつつ、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を効果的に高める観点から、本発明の口腔用組成物中に、0.05質量%以上であって、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは1.5質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上である。成分(c1)の含有量は、成分(c2)を含有する場合には、成分(B)とともにα−ゲルを形成して適度な構造粘性を有しつつ、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を効果的に高める観点から、本発明の口腔用組成物中に、0.05質量%以上であって、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.4質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.5質量%以上である。そして、成分(c2)を含有しない場合における、成分(B)の含有量と成分(c1)の含有量との質量比((B)/(c1))は、成分(B)とともにα−ゲルを形成して適度な構造粘性を有しつつ、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を効果的に高める観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.4以上である。また、成分(c2)を含有しない場合における、成分(B)の含有量と成分(c1)の含有量との質量比((B)/(c1))は、組成物の安定性を確保する観点、及び適度な粘度や風味とのバランスの観点から、好ましくは10以下であり、より好ましくは7以下であり、さらに好ましくは5以下であり、よりさらに好ましくは3.5以下である。
成分(c1)の含有量は、成分(c2)を含有する場合には、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは5質量%以下である。
【0032】
成分(c2)の含有量は、成分(B)及び成分(c1)とともにα−ゲルを形成して適度な構造粘性を有しつつ、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を効果的に高める観点から、本発明の口腔用組成物中に、脂肪酸換算量で、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.08質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、成分(B)とともにα−ゲルを形成し、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を効果的に高める観点、適度な粘度を付与する観点から、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.4質量%以上である。また、成分(c2)の含有量は、組成物の安定性を確保する観点、適度な粘度、風味とのバランスの観点、口腔内粘膜への為害性を低減する観点から、本発明の口腔用組成物中に、脂肪酸換算量で、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは2.5質量%以下であり、よりさらに好ましくは2質量%以下であり、風味をさらに向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.2質量%以下であり、或いは本発明の口腔用組成物は、成分(c2)を含有しないものであってもよい。
【0033】
成分(c1)の含有量及び成分(c2)の脂肪酸換算量の合計量は、成分(B)とともにα−ゲルを形成して適度な粘性を確保しつつ、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を効果的に高める観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、よりさらに好ましくは1質量%以上であり、組成物の安定性を確保する観点、及び適度な粘度や風味とのバランスの観点から、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは6.5質量%以下であり、また本発明の口腔用組成物は、成分(c1)と成分(c2)が互いに相まって、フッ素イオンの歯への取り込み性を一層向上させることが可能となる観点から、成分(c1)及び成分(c2)の双方を含有することが好ましい。
【0034】
そして、成分(c1)及び成分(c2)の双方を含有する場合における、成分(B)の含有量と成分(c1)の含有量との質量比((B)/(c1))は、成分(B)とともにα−ゲルを形成して適度な構造粘性を有しつつ、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を効果的に高める観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.4以上である。また、成分(c1)及び成分(c2)の双方を含有する場合における、成分(B)の含有量と成分(c1)の含有量との質量比((B)/(c1))は、組成物の安定性を確保する観点、及び適度な粘度や風味とのバランスの観点から、好ましくは20以下であり、より好ましくは17以下であり、さらに好ましくは15以下である。そして、成分(c1)及び成分(c2)の双方を含有する場合における、成分(B)の含有量と成分(c1)の含有量との質量比((B)/(c1))は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1.2〜17であり、さらに好ましくは1.4〜15である。
【0035】
他方、成分(c1)及び成分(c2)の双方を含有する場合における、成分(B)の含有量と成分(c2)の含有量との質量比((B)/(c2))は、成分(B)とともにα−ゲルを形成して適度な構造粘性を有しつつ、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を効果的に高める観点から、好ましくは2以上であり、より好ましくは4以上であり、さらに好ましくは5以上である。また、成分(c1)及び成分(c2)の双方を含有する場合における、成分(B)の含有量と成分(c2)の含有量との質量比((B)/(c2))は、組成物の安定性を確保する観点、及び適度な粘度や風味とのバランスの観点から、好ましくは180以下であり、より好ましくは150以下であり、さらに好ましくは100以下であり、よりさらに好ましくは90以下である。そして、成分(c1)及び成分(c2)の双方を含有する場合における、成分(B)の含有量と成分(c2)の含有量との質量比((B)/(c2))は、2〜180であり、より好ましくは4〜150であり、さらに好ましくは5〜100であり、よりさらに好ましくは5〜90である。
【0036】
成分(c3)の含有量は、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を向上する観点、及びかかる取り込み性と風味とのバランスを確保する観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.25質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.1質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.05質量%以下である。
【0037】
成分(c4)の含有量は、歯茎や口腔内粘膜への為害性、及び風味の観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.7質量%以下である。
【0038】
成分(C)の含有量は、成分(B)とともにα−ゲルを形成して適度な粘性を確保しつつ、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を効果的に高める観点から、本発明の口腔用組成物中に、0.1質量%以上であって、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、成分(C)の含有量は、組成物の安定性を確保する観点、及び適度な粘度や風味とのバランスの観点から、本発明の口腔用組成物中に、10質量%以下であって、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは6.5質量%以下である。そして、成分(C)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、0.1質量%以上10質量%以下であって、好ましくは0.2〜8質量%であり、より好ましくは0.3〜7質量%であり、さらに好ましくは0.5〜6.5質量%である。
【0039】
本発明の口腔用組成物が成分(C)として成分(c1)を含む場合、成分(B)の含有量と、成分(c1)を含むノニオン界面活性剤の含有量との質量比((B)/ノニオン界面活性剤)は、良好にα−ゲルを形成して成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を高める観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.4以上である。また、成分(B)の含有量と、成分(c1)を含むノニオン界面活性剤の含有量との質量比((B)/ノニオン界面活性剤)は、口腔用組成物としての適度な粘度を保持する観点、安定性の観点から、好ましくは20以下であり、より好ましくは17以下であり、さらに好ましくは15以下である。そして、成分(B)の含有量と、成分(c1)を含むノニオン界面活性剤の含有量との質量比((B)/ノニオン界面活性剤)は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1.2〜17であり、さらに好ましくは1.4〜15である。
【0040】
本発明の口腔用組成物が成分(C)として成分(c2)を含む場合、成分(B)の含有量と、成分(c2)を含むアニオン界面活性剤の含有量との質量比((B)/アニオン界面活性剤)は、良好にα−ゲルを形成して成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を高める観点から、好ましくは4以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは7以上であり、またさらに好ましくは10以上である。また、成分(B)の含有量と、成分(c2)を含むアニオン界面活性剤の含有量との質量比((B)/アニオン界面活性剤)は、口腔用組成物としての適度な粘度を保持しつつ安定性を確保する観点、及び良好な使用感を付与する観点から、好ましくは180以下であり、より好ましくは100以下であり、よりさらに好ましくは90以下である。そして、成分(B)の含有量と、成分(c2)を含むアニオン界面活性剤の含有量との質量比((B)/アニオン界面活性剤)は、好ましくは4〜180であり、より好ましくは5〜180であり、よりさらに好ましくは5〜100であり、またさらに好ましくは7〜100であり、よりさらに好ましくは10〜90である。
【0041】
本発明の口腔用組成物において、成分(B)の含有量と、成分(c1)の含有量及び成分(c2)の脂肪酸換算量の合計量との質量比((B)/((c1)+(c2)))は、良好にα−ゲルを形成して成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を高める観点から、好ましくは1より大きく、より好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.5以上である。また、成分(B)の含有量と、成分(c1)の含有量及び成分(c2)の脂肪酸換算量の合計量との質量比((B)/((c1)+(c2)))は、口腔用組成物としての適度な粘度を保持しつつ安定性を確保する観点、及び良好な使用感を付与する観点から、好ましくは40以下であり、より好ましくは35以下であり、さらに好ましくは30以下であり、またさらに好ましくは15以下である。そして、成分(B)の含有量と、成分(c1)の含有量及び成分(c2)の脂肪酸換算量の合計量との質量比((B)/((c1)+(c2)))は、好ましくは1より大きく40以下であり、より好ましくは1.2〜35であり、さらに好ましくは1.5〜30であり、またさらに好ましくは1.5〜15である。
【0042】
本発明の口腔用組成物は、口腔内粘膜への為害性を防止する観点から、カチオン性殺菌剤以外のカチオン性界面活性剤の含有を制限するのが好ましい。かかるカチオン性殺菌剤以外のカチオン性界面活性剤の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以下であり、或いは本発明の口腔用組成物は、カチオン性殺菌剤以外のカチオン性界面活性剤を含有しないのが好ましい。なお、カチオン性殺菌剤としては、第4級アンモニウム化合物、及びビグアニド化合物から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。第4級アンモニウム化合物としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム等が挙げられる。ビグアニド化合物としては、クロルヘキシジン及びその塩が挙げられ、かかる塩としては、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジンが挙げられる。
【0043】
本発明の口腔用組成物は、成分(D)の水を含有する。本発明における成分(D)の水とは、口腔用組成物に配合した精製水等だけでなく、例えば処方する際に用いる70%ソルビトール液(水溶液)や48%水酸化カリウム液(水溶液)のように、配合した各成分に含まれる水分をも含む、口腔用組成物中に含まれる全水分を意味する。かかる成分(D)の水を含有することにより、口腔用組成物としての適度な粘度や良好な保形性を確保しつつ、形成されるα−ゲルを組成物中で良好に保持しながら各成分を良好に分散又は溶解させ、良好な使用感と成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を向上することができる。成分(D)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上であり、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは92質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下である。そして、成分(D)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは50〜95質量%であり、より好ましくは55〜92質量%であり、さらに好ましくは55〜80質量%である。
【0044】
なお、本発明の口腔用組成物の成分(D)の含有量、すなわち水分量は、配合した水分量及び配合した成分中の水分量から計算によって算出することもできるが、例えばカールフィッシャー水分計で測定することができる。カールフィッシャー水分計としては、例えば、微量水分測定装置(平沼産業)を用いることができる。この装置では、口腔用組成物を5gとり、無水メタノール25gにより懸濁させ、この懸濁液0.02gを分取して水分量を測定することができる。
【0045】
本発明の口腔用組成物は、成分(A)以外の多価金属化合物(E)のモル量が、成分(A)のモル量に対して0.1倍未満である。これにより、上記成分(A)が組成物中において成分(E)から放出され得る多価金属イオンとともにフッ化金属を形成することを防止し、または上記成分(B)及び(C)により形成されたα−ゲルが崩壊するのを抑制し、さらに成分(c2)を含有する場合は、成分(c2)と成分(F)の多価金属とが結合して金属塩が析出するのを防止して、口腔内に適用した場合に、フッ素イオンの放出を可能とするため、歯のエナメル質等への取り込み性の低下を有効に抑制することができる。
【0046】
かかる成分(E)としては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、銅イオン、マンガンイオン等の多価金属イオンを水溶液において放出する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、硫酸金属塩、グルコン酸金属塩、乳酸金属塩、グリセロリン酸金属塩、塩化物等の、20℃における水100mLに対する溶解度が0.1g/100mL超である水溶性の化合物である多価金属イオン供給化合物;
アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の多価金属を含む、炭酸カルシウム等の水不溶性カルシウム化合物、リン酸水素カルシウム、不溶性メタリン酸カリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の研磨剤(研磨性粉体);
ストロンチウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、鉄、銅、亜鉛、及びマンガンから選ばれる多価金属化合物であって、20℃で固体の紛体であり、かつ20℃における水100mLに対する溶解度が0.1g/100mL以下である水難溶性の多価金属化合物が挙げられる。
ただし、銅クロロフィルナトリウム、及び鉄クロロフィルナトリウム等のクロロフィル化合物は、多価金属イオンが分子中に安定して包含されている化合物であるため、多価金属イオンを放出するおそれがなく、また多価金属によって析出物を生成するおそれもないことから、本明細書において、これらクロロフィル化合物は上記成分(E)には該当しない。したがって、かかるクロロフィル化合物は、必要に応じて、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.001〜0.5質量%、より好ましくは0.01〜0.1質量%含有することができる。
【0047】
成分(A)以外の多価金属化合物(E)のモル量は、口腔内に適用した場合に、フッ素イオンを有効に放出させる観点、及び形成されたα−ゲルが崩壊するのを抑制する観点から、成分(A)のモル量に対して0.1倍未満であって、好ましくは0.05倍以下であり、より好ましくは0.01倍以下であり、或いは不可避的に混入する場合を除き、本発明の口腔用組成物は成分(A)以外の多価金属化合物(E)を含有しないのが好ましい。
また、多価金属化合物(E)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、金属原子換算量で、好ましくは0.1質量%以下であり、好ましくは0.01質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%以下であり、或いは不可避的に混入する場合を除き、本発明の口腔用組成物は成分(E)を含有しないのが好ましい。
【0048】
本発明の口腔用組成物において、成分(B)、成分(C)、油溶性薬効成分、及び香料以外の油剤(F)の含有量と、成分(B)の含有量との質量比((F)/(B))は、好ましくは1未満である。本発明の口腔用組成物中において、成分(B)の含有量に対し、かかる油剤(F)の含有を制限することにより、口腔用組成物に配合できる限られた界面活性剤の範囲での組成物の安定性を向上し、上記成分(B)及び(C)によるα−ゲルの形成が阻害されるのを有効に抑制することができ、また風味を良好なものとすることができる。かかる成分(F)としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、ミネラルオイル、軽質流動パラフィン、パラフィンワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、ミツロウ、スクワラン、スクワレン等の炭化水素油;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸プロピル、セバシン酸ジエチル、グリセリン脂肪酸エステル等のエステル油;トリグリセライド及びこれを含むオリーブ油、ナタネ油、シア脂、米糠油の植物油;シリコーン油;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等の防腐剤;油溶性殺菌剤等が挙げられる。
なお、油溶性薬効成分としては、β-グリチルレチン酸、トコフェロール、アズレン、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、チモール等が挙げられ、本明細書では、これら油溶性薬効成分は、上記成分(F)の油剤には該当しない。したがって、かかる油溶性薬効成分は、必要に応じて、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.01〜3.5質量%、より好ましくは0.1〜2.5質量%含有することができる。
【0049】
成分(F)の含有量と、成分(B)の含有量との質量比((F)/(B))は、好ましくは1未満であり、より好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.3以下である。
【0050】
また、成分(F)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.5質量%以下である。なお、成分(F)が25℃で液体の油剤である場合には、かかる成分(F)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下である。
【0051】
本発明の口腔用組成物は、形成されるα−ゲルによる口腔用組成物としての適度な粘度や保形性を維持し、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への優れた取り込み性を確保する観点から、セルロース系粘結剤の含有を制限するのが好ましい。セルロース系粘結剤としては、具体的には、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキプロピルセルロース)が挙げられる。かかるセルロース系粘結剤の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.25質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.1質量%以下であり、或いは不可避的に混入する場合を除き、本発明の口腔用組成物は、セルロース系粘結剤を含有しないことが好ましい。
【0052】
本発明の口腔用組成物は、セルロース系粘結剤以外の粘結剤を含有することができる。セルロース系粘結剤以外の粘結剤としては、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ペクチン、寒天、トラガントガム、アラビアガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ジェラガム、タマリドガム、及びサイリウムシードガム、及びカルボキシビニルポリマー等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、カラギーナン、キサンタンガムから選ばれる1種又は2種の粘結剤が好ましい。
【0053】
これらのセルロース系粘結剤以外の粘結剤の含有量は、フッ素イオンの歯への取り込み性を向上する観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、或いは本発明の口腔用組成物は、セルロース系粘結剤以外の粘結剤を含有しないものであってもよい。
なお、カルボキシビニルポリマーとしては、例えばカーボポール940、941(以上、Lubrizol Advanced Materials 社)等の市販品を用いることができるが、かかるカルボキシビニルポリマーの含有は、さらに制限するのが好ましい。具体的には、カルボキシビニルポリマーの含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、或いは本発明の口腔用組成物は、カルボキシビニルポリマーを含有しないものであってもよい。
【0054】
本発明の口腔用組成物は、粘結剤による粘弾性を増強する観点から、さらに増粘剤を含有することができる。増粘剤としては、吸油量が180〜350mL/100gの増粘性シリカ、及び脂肪酸デキストリンから選ばれる1種又は2種が好ましい。かかる増粘性シリカの含有量は、フッ素イオンの歯への取り込み性を確保する観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下であり、また脂肪酸デキストリンの含有量は、フッ素イオンの歯への取り込み性を向上する観点、風味とのバランスの観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下である。なお、脂肪酸デキストリンとしては、パルミチン酸デキストリンが好ましい。
【0055】
本発明の口腔用組成物は、吸油量が50〜150mL/100gの研磨性シリカを含有することができる。研磨性シリカの含有量は、成分(D)の水の吸収を抑制して、成分(B)及び成分(C)により形成されたα−ゲルによる適度な構造粘性を保持しつつ、成分(D)中における成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を確保する観点から、制限するのが好ましい。なお、研磨性シリカは、前述の多価金属を含む研磨剤(研磨性紛体)以外の研磨剤であり、また20℃で固体の吸水性成分である。研磨性シリカの含有量は、フッ素イオンの歯への取り込み性を向上する観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは7質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下であり、よりさらに好ましくは2質量%以下であり、よりさらに好ましくは1質量%以下であり、或いは本発明の口腔用組成物は、吸油量が50〜150mL/100gの研磨性シリカを含有しないものであってもよい。
なお、吸油量とは、シリカが担持できる油量を示したものであり、測定方法はJIS K5101−13−2(2004年制定)の方法により、吸収される煮あまに油の量により特定される値を意味する。
【0056】
本発明の口腔用組成物は、風味の観点から、さらに糖アルコールを含有することが好ましい。かかる糖アルコールの含有量は、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下であり、風味の観点から、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上である。かかる糖アルコールとしては、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、還元パラチノース、及びマンニトールから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、水への溶解性が高く、組成物をなめらかな感触にする観点から、ソルビトール、及びキシリトールから選ばれる1種又は2種がより好ましく、糖アルコールとして、少なくともソルビトールを含有することが好ましい。
【0057】
ただし、ソルビトール、及びキシリトールは、上記研磨性シリカと同様、20℃で固体の吸水性成分であるため、成分(D)の水の吸収を抑制して、成分(B)及び成分(C)により形成されたα−ゲルによる適度な粘性をもちつつ、成分(D)の水中の成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を確保する観点から、これら吸水性成分の合計含有量を制限することが好ましい。具体的には、研磨性シリカ、ソルビトール、及びキシリトールから選ばれる20℃で固体の吸水性成分の合計含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは25質量%以下であり、よりさらに好ましくは20質量%以下である。
【0058】
本発明の口腔用組成物は、上記成分(B)及び成分(C)により形成されたα−ゲルが崩壊するのを有効に抑制して、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を保持する観点、適度な粘度を確保する観点、及び刺激の抑制の観点から、エタノールの含有を制限するのが好ましい。具体的には、エタノールの含有量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下であり、或いは本発明の口腔用組成物は、エタノールを含有しないのが好ましい。
【0059】
本発明の口腔用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記成分以外に、多価アルコール、甘味剤、湿潤剤、保存料、フッ化物、酵素、色素等を含有させることができる。
【0060】
本発明の口腔用組成物の20℃における粘度は、適度な粘度を保持して、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への優れた取り込み性を発揮させる観点、及び良好な保形性や使用感を確保する観点から、好ましくは5000dPa・s以下であり、より好ましくは4000dPa・s以下であり、さらに好ましくは3800dPa・s以下であり、好ましくは300dPa・s以上であり、より好ましくは400dPa・s以上であり、さらに好ましくは500dPa・s以上であり、よりさらに好ましくは700dPa・s以上である。そして、本発明の口腔用組成物の20℃における粘度は、好ましくは5000dPa・s以下であり、より好ましくは300〜5000dPa・sであり、さらに好ましくは400〜4000dPa・sであり、よりさらに好ましくは500〜3500dPa・sであり、よりさらに好ましくは700〜3500da・sである。かかる粘度は、粘度測定用の容器に詰め、20℃の恒温器で24時間保存した後、ヘリパス型粘度計(VISCOMETER TVB−10 東機産業)を用いて、ロータT−C、回転数2.5rpm、1分間の条件で測定することができる。
【0061】
本発明の口腔用組成物の形態としては、練歯磨剤、塗布剤、含嗽剤、液状歯磨剤等が挙げられる。なかでも、本発明の口腔用組成物を歯茎又は口腔内粘膜へ十分に行き渡らせ、成分(A)から放出されるフッ素イオンを効果的に歯のエナメル質等に取り込ませる観点から、液状歯磨剤、練歯磨剤であるのが好ましい。本発明の口腔用組成物は、好ましくは口腔内に適用し、適用後に水を口腔内に含嗽して用いる。適用後に水を口腔内に含嗽しても、歯にフッ素イオンを効果的に取り込ませることができる。口腔内への適用方法は、塗布、歯ブラシによるブラッシング、又は含嗽のいずれであってもよく、塗布又は歯ブラシによるブラッシングが好ましい。
【0062】
本発明の口腔用組成物の製造方法は、成分(B)の融点以上90℃以下の温度で、成分(B)と成分(C)を含有する混合液を混合する工程(I)、並びに成分(A)を添加する工程(II)を備える。具体的には、成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を有効に高める観点から、以下の工程(I‐X)、並びに工程(II)を備える製造方法であるのが好ましく、或いは成分(A)から放出されるフッ素イオンの歯への取り込み性を有効に高める観点、及び製造設備の簡便化の観点から、以下の工程(I‐Y)、並びに工程(II)を備える製造方法であるのが好ましい。
【0063】
工程(I‐X)、並びに工程(II)を備える製造方法とは、成分(B)の融点以上90℃以下の温度で、成分(B)と成分(C)を含有する混合液1−1を混合した後、得られた混合液1−1に成分(D)を添加及び混合して混合液1−2を得る工程(I‐X)、並びに成分(A)を添加する工程(II)を備える製造方法である。かかる製造方法においては、成分(A)は、工程(I‐X)を経た後に得られる混合液1−2に添加して混合してもよく、成分(D)とともに添加及び混合してもよい。また、成分(D)の一部を混合液1−1に含めて混合してもよく、成分(C)が(c2)を含む場合には成分(D)の一部を混合液1−1に含めることが好ましい。この場合、成分(A)は残りの成分(D)に添加して、混合液1−1に添加及び混合して混合液1―2を得ることが好ましい。混合液1−1を混合する際の温度、及び混合液1-2を得る工程の温度は、成分(B)の融点以上90℃以下の温度であればよく、成分(B)の中で最も高い融点以上の温度であり、より好ましくは成分(B)の融点以上85℃以下の温度であり、さらに好ましくは80℃以上85℃以下の温度である。成分(B)の融点以上の温度としては、好ましくは65℃以上であり、より好ましくは75℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上である。
【0064】
また工程(I‐Y)、並びに工程(II)を備える製造方法とは、成分(B)〜(D)を含む混合液2を混合する工程(I‐Y)、成分(A)を添加する工程(II)を備える製造方法である。かかる製造方法においては、成分(A)は、工程(I‐Y)を得た後に得られる混合液2に添加して混合してもよいし、成分(D)に予め添加してもよい。
【0065】
本発明の口腔用組成物は、成分(A)から放出されるフッ素イオンを歯のエナメル質や象牙質へ効果的に取り込むことができることから、かかるフッ素の歯への取り込み促進剤としても非常に有用であり、象牙質への取り込みにより象牙質知覚過敏に対しての治療、予防にも有用である。
【0066】
上述した実施態様に関し、本発明はさらに以下の口腔用組成物、口腔用途、及びその製造方法を開示する。
[1]次の成分(A)、(B)、(C)、並びに(D):
(A)フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、及びフッ化錫から選ばれる1種又は2種以上のフッ素イオン供給化合物 フッ素原子換算量で0.005質量%以上2質量%以下、
(B)セタノール(b1)、及びステアリルアルコール(b2)を含む炭素数12以上22以下の高級アルコール 4質量%以上30質量%以下、
(C)ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれるノニオン界面活性剤(c1)、並びに炭素数12以上22以下の脂肪酸又はその塩であるアニオン界面活性剤(c2)から選ばれる1種又は2種以上を含む界面活性剤 0.1質量%以上10質量%以下、並びに
(D)水
を含有し、成分(c1)の含有量が0.05質量%以上であって、成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が0.001以上0.2以下であり、成分(A)以外の多価金属化合物(E)のモル量が成分(A)のモル量に対して0.1倍未満である口腔用組成物。
[2]成分(A)の含有量が、フッ素原子換算量で好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、さらに好ましくは0.04質量%以上であり、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下である上記[1]の口腔用組成物。
【0067】
[3]成分(B)の含有量が、好ましくは4.5質量%以上であり、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは18質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である上記[1]又は[2]の口腔用組成物。
[4]成分(b1)の含有量及び成分(b2)の含有量の合計量と、成分(B)の含有量との質量比(((b1)+(b2))/(B))が、好ましくは0.85以上であり、より好ましくは0.9以上であり、さらに好ましくは0.92以上であり、1以下である上記[1]〜[3]の口腔用組成物。
[5]成分(b1)の含有量と成分(b2)の含有量との質量比((b1)/(b2))が、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.7以上であり、好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下であり、さらに好ましくは2以下であり、よりさらに好ましくは1.7以下である上記[1]〜[4]の口腔用組成物。
[6]成分(A)のフッ素原子換算量と成分(B)の含有量との質量比((A)/(B))が、好ましくは0.002以上であり、より好ましくは0.003以上であり、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.05以下である上記[1]〜[5]の口腔用組成物。
[7]成分(b1)及び成分(b2)以外の炭素数12以上22以下の高級アルコールがラウリルアルコール及びミリスチルアルコールであり、これらラウリルアルコールの含有量及びミリスチルアルコールの含有量の合計量と、成分(B)の含有量との質量比((ラウリルアルコール+ミリスチルアルコール)/(B))が、好ましくは0.05以下であり、より好ましくは0.03以下であり、さらに好ましくは0.01以下である上記[1]〜[6]の口腔用組成物。
【0068】
[8]成分(C)の含有量が、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、またさらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは6.5質量%以下である上記[1]〜[7]の口腔用組成物。
[9]成分(c1)の含有量が、好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下であり、成分(c2)を含有しない場合には、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは1.5質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上であり、成分(c2)を含有する場合には、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.4質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.5質量%以上である上記[1]〜[8]の口腔用組成物。
[10]成分(c2)を含有しない場合における、成分(B)の含有量と成分(c1)の含有量との質量比((B)/(c1))が、好ましくは1以上であり、より好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.4以上であり、好ましくは10以下であり、より好ましくは7以下であり、さらに好ましくは5以下であり、よりさらに好ましくは3.5以下である上記[1]〜[9]の口腔用組成物。
[11]成分(c2)の含有量が、脂肪酸換算量で、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.08質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.4質量%以上であり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは2.5質量%以下であり、よりさらに好ましくは2質量%以下であり、また好ましくは0.5質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.2質量%以下であり、或いは成分(c2)を含有しないものであってもよい上記[1]〜[10]の口腔用組成物。
[12]成分(c1)の含有量及び成分(c2)の脂肪酸換算量の合計量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、よりさらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは6.5質量%以下であり、また成分(c1)及び成分(c2)の双方を含有することが好ましい上記[1]〜[11]の口腔用組成物。
[13]成分(c1)及び成分(c2)の双方を含有する場合における、成分(B)の含有量と成分(c1)の含有量との質量比((B)/(c1))は、好ましくは1以上であり、より好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.4以上であり、好ましくは20以下であり、より好ましくは17以下であり、さらに好ましくは15以下である上記[1]〜[12]の口腔用組成物。
[14]成分(c1)及び成分(c2)の双方を含有する場合における、成分(B)の含有量と成分(c2)の含有量との質量比((B)/(c2))は、好ましくは2以上であり、より好ましくは4以上であり、さらに好ましくは5以上であり、好ましくは180以下であり、より好ましくは150以下であり、さらに好ましくは100以下であり、よりさらに好ましくは90以下である上記[1]〜[13]の口腔用組成物。
[15]成分(B)の含有量と、成分(c1)の含有量及び成分(c2)の脂肪酸換算量の合計量との質量比((B)/((c1)+(c2)))が、好ましくは1以上でありより大きく、より好ましくは1.2以上であり、さらに好ましくは1.5以上であり、好ましくは40以下であり、より好ましくは35以下であり、さらに好ましくは30以下であり、またさらに好ましくは15以下である上記[1]〜[14]の口腔用組成物。
【0069】
[16]カチオン性殺菌剤以外のカチオン性界面活性剤の含有量が、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以下であり、或いは好ましくはカチオン性殺菌剤以外のカチオン性界面活性剤を含有しない上記[1]〜[15]の口腔用組成物。
[17]成分(D)の含有量が、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上であり、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは92質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下である上記[1]〜[16]の口腔用組成物。
[18]成分(A)以外の多価金属化合物(E)のモル量は、成分(A)のモル量に対して0.1倍未満であって、好ましくは0.05倍以下であり、より好ましくは0.01倍以下であり、或いは好ましくは成分(A)以外の多価金属化合物(E)を含有しない上記[1]〜[17]の口腔用組成物。
[19]成分(E)の含有量が、金属原子換算量で、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以下であり、さらに好ましくは0.001質量%以下であり、或いは好ましくは成分(E)を含有しない上記[1]〜[18]の口腔用組成物。
【0070】
[20]成分(B)、成分(C)、油溶性薬効成分、及び香料以外の油剤(F)の含有量が、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.5質量%以下である上記[1]〜[19]の口腔用組成物。
[21]成分(F)の含有量と、成分(B)の含有量との質量比((F)/(B))が、好ましくは1未満であり、より好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.3以下である上記[20]の口腔用組成物。
[22]セルロース系粘結剤の含有量が、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.25質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.1質量%以下であり、或いは好ましくはセルロース系粘結剤を含有しない上記[1]〜[21]の口腔用組成物。
[23]セルロース系粘結剤以外の粘結剤の含有量が、フッ素イオンの歯への取り込み性を向上する観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、或いはセルロース系粘結剤以外の粘結剤を含有しない上記[1]〜[22]の口腔用組成物。
[24]増粘性シリカの含有量が、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下である上記[1]〜[23]の口腔用組成物。
[25]研磨性シリカの含有量が、好ましくは7質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下であり、よりさらに好ましくは2質量%以下であり、よりさらに好ましくは1質量%以下であり、或いは研磨性シリカを含有しない上記[1]〜[24]の口腔用組成物。
[26]糖アルコールの含有量が、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下であり、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上である上記[1]〜[25]の口腔用組成物。
[27]研磨性シリカ、ソルビトール、及びキシリトールから選ばれる20℃で固体の吸水性成分の合計含有量が、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは25質量%以下であり、よりさらに好ましくは20質量%以下である上記[1]〜[26]の口腔用組成物。
【0071】
[28]20℃における粘度が、好ましくは5000dPa・s以下であり、より好ましくは4000dPa・s以下であり、さらに好ましくは3800dPa・s以下であり、好ましくは300dPa・s以上であり、より好ましくは400dPa・s以上であり、さらに好ましくは500dPa・s以上であり、よりさらに好ましくは700dPa・s以上である上記[1]〜[27]の口腔用組成物。
[29]成分(B)の融点以上90℃以下の温度で、より好ましくは成分(B)の融点以上85℃以下の温度で、さらに好ましくは80℃以上85℃以下の温度で成分(B)と成分(C)を含有する混合液を混合する工程(I)、並びに
成分(A)を添加する工程(II)
を備える、上記[1]〜[28]の口腔用組成物の製造方法。
[30]歯へのフッ素イオンの取り込み促進剤である上記[1]〜[28]の口腔用組成物。
[31]上記[1]〜[28]いずれか1の口腔用組成物の、フッ素イオンの歯への取り込み促進のための使用。
[32]上記[1]〜[28]いずれか1の口腔用組成物の、歯へのフッ素イオンの取り込み促進剤製造のための使用。
[33]上記[1]〜[28]いずれか1の口腔用組成物を、口腔内に適用し、好ましくは適用後に水を口腔内に含嗽する、フッ素イオンの歯への取り込み方法。
【実施例】
【0072】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0073】
[実施例1〜18、比較例1〜3]
表1〜2に示す処方にしたがい、各口腔用組成物を製造した。具体的には、成分(B)、及び成分(C)を80℃(80〜82℃)に加温して混合し、約10分間撹拌した。次いで、成分(D)を添加して混合した後、成分(A)及びその他の成分を添加して10分間混合することにより、口腔用組成物を得た。
得られた各口腔用組成物を用い、下記方法にしたがって粘度及びフッ素イオンの取り込み量を測定し、α−ゲルの形成の観察を行った。
結果を表1〜2に示す。
【0074】
《α−ゲルの形成の観察》
得られた各口腔用組成物を用い、広角X線回折によりα−ゲルが形成されているか否かを確認した。具体的には、広角X線回折においてBragg角=21〜22°付近に鋭い1本の回折ピークが現れるか否かにより、α−ゲルの形成の有無を判断した。
具体的には、図1にも示すように、Bragg角=21〜23°付近に鋭い1本の回折ピークが認められ、α−ゲル構造が形成されてなる組成物であることが確認された場合を「あり」と評価し、かかるピークが確認されなかった場合を「なし」と評価した。なお、実施例1の組成物中に形成されたα−ゲルの広角X線回折による回折X線強度分布を図1に示す。
【0075】
《フッ素イオン取り込み量の測定》
得られた各口腔用組成物をイオン交換水で4倍希釈した水溶液中にHAPペレット(APP−100 HOYA)10mm×10mm×2mmを浸漬して3分間置いた後、口腔用組成物をイオン交換水で洗浄することにより除去し、ペレットを室温(25℃)で乾燥させた。乾燥後のペレットから1Nの塩酸1mL添加によって30秒間フッ素イオンの抽出を行い、次いで3Mクレン酸3ナトリウム2mL、イオン交換水1mLを添加した後、緩衝液TSABII(Thermo Scientific社製)4mLを加えてフッ素イオン定量用の溶液を用意した。この溶液を測定サンプルとし、フッ素イオン電極(ionplus20Fluoride(ORION社製))を用い、イオンアナライザー(Expandable ionAnalyzer EA 940(ORION社製))を使用してHAPペレットに吸着したフッ素を定量し、フッ素イオンの取り込み量とみなした。なお、HAPペレットは、側面はマニキュアで覆い、上下面は耐水研磨紙を用いて表面が平滑化されるまで鏡面研磨したものを用いた。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
表1〜2の結果より、実施例の歯磨剤は、α−ゲルが有効に形成されており、フッ素イオンの歯への取り込み性を効果的に高められることがわかる。
図1