(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、車両を移動して受電コイルと給電コイルとの位置合わせを行う際、弱励磁された給電コイルの磁界が車両の走行モータに作用した場合に、走行モータの回転位置センサに診断エラーが誘発されるという課題を見出した。回転位置センサの診断エラーが生じると、通常、その走行モータの駆動が禁止されるだけでなく、フェールセーフのために、高電圧バッテリがシステムから切断されるなど、車両が駆動できない状況になる。このため、非接触充電を行うことが困難となる。
【0006】
特許文献1及び特許文献2には、上記の課題を示唆する記載、並びに、この課題を解決する技術の記載はない。
【0007】
また、上記課題を解決するため、走行モータの下方を鉄板などの磁界を遮蔽する遮蔽板でシールドする構成を検討できる。しかし、この構成では、遮蔽板により車両の重量が増加し、部品コストが上昇するという課題が生じる。
【0008】
また、回転位置センサの診断エラーが生じると走行モータが正常であっても走行モータが駆動不能となるという課題は、受電コイルの位置合わせの際に限られず、外部の磁界に走行モータが晒される場合に発生し得る。
【0009】
本発明は、走行モータの回転位置センサに異常が生じても、走行モータの駆動を継続することのできる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、
磁気を用いてロータの回転位置を検出する回転位置センサを有する走行モータと、
前記走行モータに出力される駆動電流を制御する駆動制御部と、
を備え、
前記駆動制御部は、前記駆動電流の制御モードを、前記回転位置センサの検出結果を用いて前記駆動電流を制御するセンシング制御モードと、前記回転位置センサの検出結果を用いずに前記駆動電流を制御するセンシングレス制御モードとに切り替え可能
であり、
さらに、
前記走行モータへ電力を供給するバッテリと、
前記バッテリを充電する電力を地上設備の給電コイルから非接触で受ける受電コイルと、
前記受電コイルの位置を前記給電コイルに合わせる位置合わせの際に、前記駆動制御部の制御モードを前記センシング制御モードから前記センシングレス制御モードへ切り替える第1モード制御部と、
を備えることを特徴とする車両
である。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両において、
前記回転位置センサの検出結果に基づき前記ロータの回転位置を算出するロータ回転位置算出部と、
前記駆動電流の大きさを検出する電流センサと、
前記電流センサの検出結果に基づき前記ロータの回転位置を推定するロータ回転位置推定部と、
前記ロータ回転位置算出部の出力と前記ロータ回転位置推定部の出力とを切り替える切替部と、
を備え、
前記切替部の切り替えにより前記駆動電流の制御モードが切り替わる構成とした。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両において、
前記回転位置センサの診断結果がエラーとなったことに基づいて前記センシング制御モードから前記センシングレス制御モードへ切り替える第1モード制御部を備える構成とした。
【0014】
請求項4記載の発明は、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両において、
前記第2モード制御部は、前記受電コイルの位置を前記給電コイルに合わせる位置合わせの際、前記車両のシフト位置あるいは前記受電コイルと前記給電コイルとの相対位置に応じて、前記駆動制御部の制御モードを切り替える構成とした。
【0015】
請求項5記載の発明は、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両において、
前記走行モータは、前輪を駆動する前輪モータと、後輪を駆動する後輪モータとを含み、
前記第2モード制御部は、前記受電コイルの位置を前記給電コイルに合わせる位置合わせの際に、前記前輪モータの駆動電流の制御モードと前記後輪モータの駆動電流の制御モードとのうちの一方を前記センシングレス制御モードへ切り替える構成とした。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、センシング制御モードを用いることで、効率的に走行モータを駆動して車両を走行でき、センシングレス制御モードを用いることで、駆動制御部は回転位置センサの検出結果を使用せずに走行モータを駆動できる。したがって、回転位置センサに異常が生じるような場合でも、センシング制御モードからセンシングレス制御モードへ切り替えて走行モータを駆動することで、車両が走行不可となることを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1の車両及び地上設備を示すブロック図である。
【0020】
実施形態1の車両1は、2つの走行モータ(前輪モータ10と後輪モータ12)を有し、非接触充電が可能なEV(Electric Vehicle)である。車両1は、
図1に示すように、前輪を駆動する前輪モータ10と、後輪を駆動する後輪モータ12と、前輪モータ10と後輪モータ12とを駆動するインバータ11、13と、走行用の電力を蓄積及び供給する高電圧バッテリ14とを備える。また、車両1は、非接触充電ユニット15と、ドライバーの運転操作等が入力される操作部30と、車両1の制御を行う車両コントローラ20と、インバータ11、13を駆動制御する駆動制御部20a、20bとを備える。また、車両1には、駐車時等に車両1の周囲の状況を確認するためのレーダ21、カメラ22及び駐車支援システム23が設けられている。駐車支援システム23は、レーダ21の出力及びカメラ22の映像に基づいて所定の駐車スペースへ車両1を移動させる自動運転機能を有している。上記構成のうち、前輪モータ10及び後輪モータ12は、本発明に係る走行モータの一例に相当し、車両コントローラ20は、本発明に係る第1モード制御部及び第2モード制御部の一例に相当し、高電圧バッテリ14は本発明に係るバッテリの一例に相当する。
【0021】
非接触充電ユニット15は、非接触に電力を受ける受電コイル16と、受電コイル16に流れる交流電流を整流して高電圧バッテリ14に充電電流を供給する整流器17とを備える。また、非接触充電ユニット15は、電力の供給元である地上設備と無線通信(例えばwi-fi通信)するための通信部19と、非接触の電力伝送の制御を行う整流器内コントローラ18とを備える。受電コイル16は、車両1の下部かつ車両1の前後方向における前輪と後輪との間に配置される。
【0022】
操作部30は、ステアリング(ハンドル)31及びその操作量センサ35、ブレーキ及びアクセルなどのペダル32及びその操作量センサ34、SBW(Shift By Wire)33、並びに、非接触充電移行スイッチ36を備える。SBW33は、ドライバーのギアのシフト操作を電子的に入力するシステムであり、SBW33から車両コントローラ20へシフト位置を示す信号が送られる。非接触充電移行スイッチ36は、ドライバーが操作可能なスイッチであり、非接触充電前に車両1の位置合わせを開始することをドライバーが車両1へ通知するためのスイッチである。
【0023】
車両コントローラ20は、SBW33、操作量センサ34、35の出力に応じて、車両1の操舵制御と前輪モータ10及び後輪モータ12の駆動制御とを行う。駆動制御は、車両コントローラ20が駆動制御部20a、20bを介してインバータ11、13の出力を制御することで実現される。これらの制御により、ドライバーの運転操作に応じて車両1が走行する。また、走行状態あるいは設定状態に応じた割合で前輪モータ10と後輪モータ12とからトルクが発生されて車両1が走行する。
【0024】
加えて、車両コントローラ20は、車両1の任意のエラー情報を入力し、所定のエラーが生じた場合に、車両1をフェールセーフモードへ遷移させる機能を有する。フェールセーフモードには、車両1を走行禁止とする走行禁止モード、車両1を低速でのみ走行可能とする高速走行禁止モードなどが含まれる。車両コントローラ20は、特別な場合を除く通常時、レゾルバエラーが生じたことに基づいて車両1を走行禁止モードへ遷移させる。
【0025】
地上設備は、非接触に電力を送る給電コイル103、並びに、電力系統から電力を入力して給電コイル103に電流を流すPFC(Power Factor Correction)101及びインバータ102等を備える。また、地上設備には、非接触充電の際に車両1と無線通信を行う通信部106と、車両1と連携しながらインバータ102を駆動して給電コイル103を励磁する地上設備コントローラ105とが設けられている。
【0026】
前輪モータ10と後輪モータ12とには、回転位置を検出するレゾルバ10a、12aがそれぞれ設けられている。レゾルバ10a、12aは、本発明に係る回転位置センサの一例に相当する。レゾルバ10a、12aは、磁気を用いて前輪モータ10及び後輪モータ12の各ロータの回転位置をそれぞれ検出する。駆動制御部20a、20bは、これらの回転位置に応じてインバータ11、13を制御することで、前輪モータ10と後輪モータ12を高効率に駆動して、前輪モータ10と後輪モータ12から所望のトルクを出力させることができる。前輪モータ10及びレゾルバ10aは車体中央よりも前輪側に配置され、後輪モータ12及びレゾルバ12aは車体中央よりも後輪側に配置される。
【0027】
図2は、
図1の駆動制御部及びその周辺を示す構成図である。
【0028】
駆動制御部20aは、車両コントローラ20のトルク指令を受けて、要求されたトルクが前輪モータ10から出力されるようにインバータ11の出力電流を制御する。このような制御を行うため、駆動制御部20a、20bは、目標電流算出部201と、フィードバック電流算出部202と、前輪モータ10のロータ回転位置θの情報を取得して通知する回転位置取得部210とを有する。また、駆動制御部20aには、レゾルバ10aの出力(x、y)と、電流センサ220により検出されたインバータ11の電流出力値(Iv、Iw)とが入力される。
【0029】
目標電流算出部201及びフィードバック電流算出部202は、前輪モータ10の回転磁界に同期して回転するdq座標を用いたベクトル制御を行ってインバータ11を駆動する。具体的には、フィードバック電流算出部202は、インバータ11の三相交流の電流出力値(Iv、Iw)と、ロータ回転位置θとを入力し、dq座標における現在の電流出力値Iy_dqを算出し、目標電流算出部201にフィードバックする。目標電流算出部201は、車両コントローラ20からのトルク指令とフィードバックされた電流出力値Iy_dqとを入力する。目標電流算出部201は、さらに、トルク指令に応じたトルクが得られるようにフィードバック制御を行って、dq座標における目標電流値Ir_dqを求める。上記のフィードバック制御としては、例えばPI(Proportional-Integral)制御又はPID(Proportional-Integral-Differential)制御などが適用される。インバータ11は、目標電流値Ir_dqとロータ回転位置θを受けて、目標電流値Ir_dqを出力するための三相の電圧出力値(Eu、Ev、Ew)を計算し、これが出力されるように半導体スイッチを駆動する。このような動作により、車両コントローラ20からのトルク指令に応じて前輪モータ10が駆動される。
【0030】
回転位置取得部210は、ロータ回転位置算出部203と、ロータ回転位置推定部204と、切替部205とを有し、レゾルバ10aの出力に基づくロータ回転位置θ又はレゾルバ10aの出力を用いずに推定したロータ回転位置θを出力する。回転位置取得部210は、フィードバック電流算出部202とインバータ11にロータ回転位置θを出力する。
【0031】
ロータ回転位置算出部203は、前輪モータ10のレゾルバ10aの出力値(x、y)を受けて、ロータ回転位置θを算出する。一方のレゾルバ10aの出力値xは、ロータ回転位置θに応じたサインカーブ”Sinθ”に比例して変化し、他方のレゾルバ10aの出力値yは、ロータ回転位置θに応じたコサインカーブ”Cosθ”に比例して変化する。したがって、所定の算出式を用いて、ロータ回転位置算出部203はロータ回転位置θを算出できる。
【0032】
ロータ回転位置算出部203は、さらに、レゾルバ10aの出力値(x、y)に異常がないか常に診断処理を行う。出力値(x、y)の二乗和は、正常であれば、ロータ回転位置θがどの角度位置であっても一定値になる。しかし、例えばレゾルバ10aが外部磁界に晒されるなどした場合に、出力値(x、y)の二乗和が一定値から大きく外れる場合がある。ロータ回転位置算出部203は、診断処理として、例えば出力値(x、y)の二乗和と、この二乗和の理想値からのズレ量を演算し、このズレ量が閾値以上になっていないか判別する。そして、閾値以上であれば異常であるとして、ロータ回転位置算出部203は、レゾルバエラー情報を車両コントローラ20へ出力する。レゾルバ10aの出力の診断処理のことを「レゾルバ診断」と呼び、この診断結果が異常である場合を「レゾルバエラー」と呼ぶ。
【0033】
ロータ回転位置推定部204は、インバータ11の三相交流の電流出力値(Iv、Iw)と、インバータ11の三相交流の電圧出力値(Ev、Ew)とを入力し、これらの値を用いて前輪モータ10のロータ回転位置θを推定する。具体的な一例としては、先ず、ロータ回転位置推定部204は、推定されたロータ回転位置θ'と、推定された同期回転座標d’q’軸とを定義する。そして、ロータ回転位置推定部204は、検出された電流出力値(Iv、Iw)を用いて、d’q’軸上の推定電圧値E’_d’q’を求める。また、ロータ回転位置推定部204は、実際の電圧出力値(Ev、Ew)を用いて、d’q’軸上の電圧出力値E_d’q’を求める。さらに、ロータ回転位置推定部204は、推定電圧値E’_d’q’と電圧出力値E_d’q’との差電圧がゼロになるように、推定されたロータ回転位置θ’に対して、例えばPI(Proportional-Integral)補償演算を行う。これにより、定義された同期回転座標d’q’軸は、現実の同期回転座標dq軸に収束し、推定されたロータ回転位置θ’は現実のロータ回転位置θに収束する。よって、現実の値によく合致したロータ回転位置θ’が得られ、ロータ回転位置推定部204は、推定値としてロータ回転位置θ’を出力する。なお、ここで挙げた推定方法は、公知のロータ回転位置θの推定方法の一つである。ロータ回転位置推定部204が実行する推定方法としては、その他の公知の推定方法が適用されてもよい。
【0034】
切替部205は、ロータ回転位置算出部203の出力又はロータ回転位置推定部204の出力の何れか一方を、フィードバック電流算出部202及びインバータ11へ出力する。切替部205は、車両コントローラ20のモード切替指令に応じて、出力する値を切り替える。
【0035】
車両コントローラ20のモード切替指令には、センシング制御モードの指令と、センシングレス制御モードの指令とが含まれる。センシング制御モードとは、レゾルバ10aの検出結果を用いてインバータ11を駆動するモードであり、センシングレス制御モードとは、レゾルバ10aの検出結果を用いずにインバータ11を駆動するモードである。切替部205は、センシング制御モードの指令により、ロータ回転位置算出部203の出力を通し、センシングレス制御モードの指令により、ロータ回転位置推定部204の出力を通す。
【0036】
後輪モータ12及びインバータ13を駆動制御する駆動制御部20bは、
図2の駆動制御部20aと同様に構成される。
【0037】
<非接触充電移行処理>
図3は、車両コントローラ20により実行される非接触充電移行処理の手順を示すフローチャートである。
【0038】
非接触充電移行処理は、ドライバーが非接触充電移行スイッチ36をオン操作することで車両コントローラ20により開始される。ドライバーは、通常、高電圧バッテリ14を充電するために地上設備の近くで非接触充電移行スイッチ36をオン操作し、非接触充電移行処理が開始されたら受電コイル16を給電コイル103に位置合わせするように車両1を運転する。
【0039】
非接触充電移行処理が開始されると、車両コントローラ20は、整流器内コントローラ18に通信開始を指令し、これにより通信部19が通信を開始する(ステップS1)。通信部19は、先ず、地上設備の通信部106と通信を確立して、通信を開始する。車両コントローラ20は、所定時間内に通信部19が通信を確立したか否かを判別し(ステップS2)、通信確立していれば続くステップに処理を進めるが、タイムアウトになればエラーとして非接触充電移行処理を終了する。通常、車両1が地上設備の近傍にあれば所定時間内に通信が確立されるが、地上設備から離れていれば通信が確立されずにタイムアウトとなる。
【0040】
通信を確立したら、車両コントローラ20は無線通信により地上設備に弱励磁要求を行う(ステップS3)。具体的には、車両コントローラ20は、整流器内コントローラ18に弱励磁要求の指令を出力し、整流器内コントローラ18が通信部19の無線通信により地上設備コントローラ105へ弱励磁要求を発行する。
【0041】
弱励磁要求とは、地上設備の給電コイル103に位置合わせ用の弱い励磁を行わせるための要求である。この弱い励磁により、整流器内コントローラ18は、給電コイル103と受電コイル16との結合強度を検出し、結合強度が所定の閾値を超えた場合に、結合完了として、受電コイル16と給電コイル103とが正確に位置合わせされたことを判定できる。
【0042】
次に、車両コントローラ20は、SBW33の出力に基づき現在のギアのシフト位置を判別する(ステップS4)。このタイミングにおいて、ドライバーは車両1を運転操作して受電コイル16と給電コイル103とを位置合わせしており、前方に
給電コイル103があればシフト位置を「D:ドライブ」にしている。また、後方に
給電コイル103があればシフト位置を「R:リバース」にしている。
【0043】
ステップS4の判別の結果、シフト位置が「D:ドライブ」であれば、車両コントローラ20は、前輪モータ10の駆動制御部20aに対して、センシングレス制御モードへの切替えとレゾルバ診断OFFへの切替えとを行う(ステップS5)。ただし、元々、駆動制御部20aがこの状態であれば、そのままとする。センシングレス制御モードへの切替えは、車両コントローラ20がセンシングレス制御モードのモード切替指令を駆動制御部20aに出力することで実現される。レゾルバ診断OFFへの切替えは、車両コントローラ20が駆動制御部20aのレゾルバエラー情報をマスク(遮断)することで実現される。あるいは、駆動制御部20aのロータ回転位置算出部203がレゾルバ診断を停止する機能を有する場合には、車両コントローラ20が指令を発してロータ回転位置算出部203のレゾルバ診断を停止させることでレゾルバ診断OFFへの切替えを実現してもよい。
【0044】
さらに、車両コントローラ20は、後輪モータ12の駆動制御部20bに対して、センシング制御モードへの切替えと、レゾルバ診断ONへの切替えとを行う(ステップS6)。ただし、元々、駆動制御部20bがこの状態であれば、そのままとする。センシング制御モードへの切替えは、車両コントローラ20がセンシング制御のモード切替指令を駆動制御部20bに出力することで実現される。レゾルバ診断ONへの切替えは、車両コントローラ20が駆動制御部20bのレゾルバエラー情報のマスクを解除することで実現される。駆動制御部20bのロータ回転位置算出部203がレゾルバ診断を停止する機能を有する場合には、車両コントローラ20が指令を発してロータ回転位置算出部203のレゾルバ診断の停止を解除させることでレゾルバ診断ONへの切替えを実現してもよい。
【0045】
一方、ステップS4の判別の結果、シフト位置が「R:リバース」であれば、車両コントローラ20は、後輪モータ12の駆動制御部20bに対して、センシングレス制御モードへの切替えとレゾルバ診断OFFへの切替えとを行う(ステップS7)。ただし、元々、これらの状態であれば、そのままとする。さらに、車両コントローラ20は、前輪モータ10の駆動制御部20aに対して、センシング制御モードへの切替えと、レゾルバ診断ONへの切替えとを行う(ステップS8)。ただし、元々、これらの状態であれば、そのままとする。
【0046】
上記のステップS5〜S8における、センシング制御モード又はセンシングレス制御モードへの切替え処理は、本発明に係る
第1モード制御部による制御動作の一例に相当する。
【0047】
図4は、制御モードの切替え例を示す説明図であり、(A)〜(C)は受電コイルの位置合わせ動作の第1段階から第3段階を示す。
【0048】
上述のように、受電コイル16の位置合わせの際にシフト位置がドライブである場合、
図4(A)に示すように、給電コイル103は、受電コイル16よりも前方に位置することが想定される。この場合、位置合わせの途中、弱励磁された給電コイル103の磁界中を前輪モータ10及びレゾルバ10aが通過する一方、後輪モータ12及びレゾルバ12aは磁界から離間することになる。そこで、上記のステップS5、S6の処理において、駆動制御部20a、20bの制御モードと、前輪モータ10及び後輪モータ12のレゾルバ診断のON、OFFが切り替えられる。これにより、
図4(B)及び
図4(C)に示すように、位置合わせの際に前輪モータ10が磁界中を通過して、レゾルバ10aの出力が異常となっても、前輪モータ10を駆動することが可能となる。また、レゾルバエラーとなって車両1が走行不可となることが抑制される。
【0049】
図5は、制御モードの切替え例を示す説明図であり、(A)〜(C)は受電コイルの位置合わせ動作の第1段階から第3段階を示す。
【0050】
上述のように、位置合わせの際にシフト位置がリバースである場合、
図5(A)に示すように、給電コイル103は、受電コイル16よりも後方に位置することが想定される。この場合、位置合わせの途中、弱励磁された給電コイル103の磁界中を後輪モータ12及びレゾルバ12aが通過する一方、前輪モータ10及びレゾルバ10aは磁界から離間することになる。そこで、上記のステップS7、S8の処理において、駆動制御部20a、20bの制御モードと、前輪モータ10及び後輪モータ12のレゾルバ診断のON、OFFが切り替えられる。これにより、
図5(B)及び
図5(C)に示すように、位置合わせの際に後輪モータ12が磁界中を通過して、レゾルバ12aの出力が異常となっても、後輪モータ12を駆動することが可能となる。また、レゾルバエラーとなって車両1が走行不可となることが抑制される。
【0051】
ドライバーの運転により受電コイル16の位置合わせが行われている期間、上記の切替え制御を含んだループ処理(ステップS4〜S13)が繰り返される。
【0052】
ステップS4〜S13のループ処理中、車両コントローラ20は、レゾルバエラーが発生したか判別する(ステップS9)。受電コイル16の位置合わせの際、ドライバーが車両1を進めすぎてあるいはバックしすぎて、レゾルバ診断ONとしたレゾルバ10a又はレゾルバ12aが給電コイル103の磁界に晒される場合がある。このような場合に、レゾルバエラーが発生して、ステップS9の判別結果がYESとなる。
【0053】
レゾルバエラーとなったら、通常、車両コントローラ20は、内部で走行禁止モードの要求を行って、前輪モータ10及び後輪モータ12の駆動を停止する。しかし、ここでは、先ず、車両コントローラ20は、走行禁止モードの要求をマスクする(制御上の無効とする)(ステップS10)。さらに、車両コントローラ20は、レゾルバエラーとなった方の前輪モータ10の駆動制御部20a又は後輪モータ12の駆動制御部20bに対して、駆動モードをセンシングレス制御モードへ切り替え(ステップS11)、処理をステップS4へ戻す。ステップS10の処理により、レゾルバエラーとなって車両1が駆動できない状態になってしまうことを抑制でき、また、ステップS11の処理により、レゾルバエラーとなった状態でも前輪モータ10又は後輪モータ12の駆動を継続することができる。上記のステップS11は、本発明に係る
第2モード制御部による制御動作の一例に相当する。
【0054】
また、ステップS4〜S13のループ処理中、車両コントローラ20は、受電コイル16と給電コイル103との結合が完了したか判別し(ステップS12)、結合が完了していなければ所定時間が経過してタイムアウトになったか判別する(ステップS13)。結合の完了の判定は、具体的には、整流器内コントローラ18が給電コイル103の弱励磁に基づく整流器17の電流を検出し、この電流値が結合完了を示す閾値を超えた場合に、これを車両コントローラ20へ通知することで達成される。結合完了の状態は、受電コイル16と給電コイル103との位置が合った状態に相当する。
【0055】
ステップS12、S13の判別の結果、結合が完了せず、タイムアウトでもなければ、車両コントローラ20は、処理をステップS4に戻す。また、タイムアウトとなれば、車両コントローラ20は、整流器内コントローラ18を介して無線通信により地上設備に弱励磁の停止要求を行う(ステップS14)。これにより、給電コイル103の弱励磁が終了し、非接触充電移行処理が終了する。
【0056】
また、ステップS12の判別の結果、結合完了となったら、車両コントローラ20は、ドライバーに受電コイル16の位置合わせが完了したことを表示出力又は音声出力により通知するなどして、車両1を停止させる(ステップS15)。次に、車両コントローラ20は、非接触充電ユニット15を介して高電圧バッテリ14の充電を開始する(ステップS16)。具体的には、車両コントローラ20は、整流器内コントローラ18に充電開始の指令を出力する。整流器内コントローラ18は、この指令に基づき、地上設備コントローラ105へ無線通信により送電要求を行い、地上設備コントローラ105がインバータ102を通常駆動して給電コイル103から送電を行う。この送電により受電コイル16から整流器17に電流が送られ、これにより高電圧バッテリ14が充電される。充電が開始されたら、非接触充電移行処理が終了する。
【0057】
以上のように、実施形態1の車両1によれば、前輪モータ10の駆動電流を制御する駆動制御部20aと、後輪モータ12の駆動電流を制御する駆動制御部20bとが、センシング制御モードとセンシングレス制御モードとに切り替え可能に構成されている。したがって、前輪モータ10のレゾルバ10aから正常な出力が得られるような場合には、センシング制御モードにより高効率な前輪モータ10の駆動制御を行うことができる。一方、レゾルバ10aの出力が異常となるような場合には、センシングレス制御モードに切り替えることでレゾルバ10aの検出出力を用いずに前輪モータ10を駆動制御できる。後輪モータ12に関しても同様である。したがって、前輪モータ10と後輪モータ12とを重量の大きな遮蔽板で磁界を遮蔽する必要がなくなり、車両1の軽量化を図れる。そして、車両1の軽量化を図りつつ、非接触充電移行処理で受電コイル16の位置合わせ中に、車両1が駆動不可となることを抑制できる。
【0058】
さらに、実施形態1の車両1によれば、駆動制御部20a、20bが、ロータ回転位置算出部203と、ロータ回転位置推定部204と、切替部205とを有し、切替部205の切替えによりセンシング制御モードとセンシングレス制御モードとが切り替わる。このような構成により、駆動制御部20a、20bの回路規模の増大を抑制しつつ、少ないタイムラグで速やかに制御モードを切り替えることができる。
【0059】
また、実施形態1の車両1によれば、
図3のステップS9、S11に示すように、前輪モータ10又は後輪モータ12においてレゾルバエラーとなった場合に、対応する駆動制御部20a又は駆動制御部20bがセンシングレス制御モードへ切り替えられる。このような処理により、レゾルバ10a、12aの出力に応じて、駆動制御部20a、20bを適した制御モードに切り替えて、前輪モータ10又は後輪モータ12を駆動することができる。
【0060】
また、実施形態1の車両1によれば、非接触充電移行処理において、受電コイル16の位置合わせの際に、自動的に前輪モータ10の駆動制御部20a又は後輪モータ12の駆動制御部20bの制御モードがセンシングレス制御モードへ切り替えられる。具体的には、ギアのシフト位置に応じて、前輪モータ10の駆動制御部20a及び後輪モータ12の駆動制御部20bの一方の制御モードがセンシングレス制御モードへ切り替えられる。このような構成により、受電コイル16の位置合わせの際、給電コイル103の弱励磁の影響により、レゾルバエラーとなりかねない前輪モータ10又は後輪モータ12を予めセンシングレス制御モードで駆動することができる。仮に、レゾルバエラーとなった後にセンシングレス制御モードに切り替えた場合、車両1のスムースな走行が阻害される場合がある。しかし、上記の制御により、車両1のスムースな走行が妨げられることを抑制できる。
【0061】
(変形例1)
図6は、非接触充電移行処理の変形例を示すフローチャートである。
【0062】
変形例1は、
図3のステップS4のギアのシフト位置による分岐処理を、他の条件に基づく分岐処理へ変更したものである。その他の処理及び構成は実施形態1と同様であり、以下、異なる点のみ詳細に説明する。
【0063】
変形例1では、非接触充電移行処理でドライバーの運転操作に並行して実行されるループ処理(ステップS4a〜S13)において、先ず、車両コントローラ20は、給電コイル103の位置を検出する(ステップS4a)。位置の検出は、特に制限されないが、例えばカメラ22の映像の解析により行えばよい。地上設備には、位置合わせ用の標識があるので、映像から給電コイル103を直接に検出できなくても、標識を検出することで給電コイル103の位置を検出できる。次いで、車両コントローラ20は、給電コイル103が受電コイル16よりも前方にあるか後方にあるか、すなわち、受電コイル16と給電コイル103との相対位置を判別する(ステップS4b)。その結果、給電コイル103が前方にあればステップS5、S6に処理を分岐し、後方にあればステップS7、S8に処理を分岐する。
【0064】
以上のように、変形例1の車両によれば、非接触充電移行処理中の受電コイル16の位置合わせの際、受電コイル16と給電コイル103との相対位置に応じて、駆動制御部20a、20bの制御モードの切り替えが行われる。したがって、変形例1の車両においても、実施形態1と同様の作用効果が得られる。また、非接触充電移行処理中の受電コイル16の位置合わせの際、ドライバーが車両を前進しすぎたりバックしすぎたりする場合が想定される。しかし、変形例1の車両によれば、このような場合でも、前輪モータ10及び後輪モータ12のうち給電コイル103に近い方の駆動制御部20a、20bに対して、自動的にセンシングレス制御モードへ切替えることができる。
(実施形態2)
図7は、本発明の実施形態2の車両及び地上設備を示すブロック図である。
【0065】
実施形態2の車両1Aは、実施形態1の車両1から後輪モータ12と、後輪モータ12を駆動するためのインバータ13及び駆動制御部20bを除いた構成である。以下、実施形態1と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0066】
実施形態2の車両コントローラ20は、非接触充電移行時を除いた車両1Aのシステム動作時、レゾルバエラー情報に基づいて駆動制御部20aの制御モードを切り替えるように構成されている。この制御動作は、後述の制御モード切替処理において実行される。
【0067】
さらに、実施形態2の車両コントローラ20は、非接触充電移行時、受電コイル16の位置合わせ工程の開始契機に基づいて、駆動制御部20aの制御モードをセンシングレス制御モードに切り換えるように構成されている。この制御動作は、後述の非接触充電移行処理において実行される。受電コイル16の位置合わせ工程の開始契機とは、例えば、ドライバーが非接触充電移行スイッチ36をオン操作し、かつ、地上設備の通信部106と車両1Aの通信部19との通信が確立した状態を指す。
【0068】
さらに、実施形態2の車両コントローラ20からは、レゾルバエラー情報に基づき車両1Aを走行不能にするフェールセーフ機能が除かれている。
【0069】
<制御モード切替処理>
図8は、実施形態2の車両コントローラが実行する制御モード切替処理の手順を示すフローチャートである。
【0070】
実施形態2の車両コントローラ20は、車両1Aのシステム動作中、常に、
図8の制御モード切替処理を実行する。制御モード切替処理では、車両コントローラ20は、繰り返し駆動制御部20aからレゾルバエラー情報が出力されていないか判別する(ステップS21)。そして、レゾルバエラー情報の出力が無ければ、車両コントローラ20は、既にセンシング制御中か判別し(ステップS22)、センシング制御中であればこの状態を維持する。一方、センシング制御中でなければ、車両コントローラ20は、駆動制御部20aの制御モードをセンシング制御モードへ切り替える(ステップS23)。
【0071】
また、ステップS21の判別の結果、レゾルバエラー情報の出力が有れば、車両コントローラ20は、既に、センシングレス制御中か判別し(ステップS24)、センシングレス制御中であればこの状態を維持する。一方、センシングレス制御中でなければ、車両コントローラ20は、駆動制御部20aの制御モードをセンシングレス制御モードへ切り替える(ステップS25)。上記のステップS23、S25は、本発明に係る
第2モード制御部の制御動作の一例に相当する。
【0072】
このような制御モード切替処理により、レゾルバ10aの出力が正常であれば、センシング制御モードで駆動制御部20aが動作して、高効率に前輪モータ10が駆動される。また、例えば前輪モータ10に外部の磁界に晒されるなどしてレゾルバ10aの出力が異常になっても、センシングレス制御モードで駆動制御部20aが動作して、前輪モータ10の駆動を継続することができる。
【0073】
<非接触充電移行処理>
続いて、実施形態2の車両コントローラ20が実行する非接触充電移行処理について説明する。
図9は、実施形態2の非接触充電移行処理の手順を示すフローチャートである。
【0074】
実施形態2の非接触充電移行処理は、ドライバーが非接触充電移行スイッチ36をオン操作することで車両コントローラ20により開始される。非接触充電移行処理において、ステップS1〜S3と、ステップS12〜S16とは、実施形態1のステップと同様であり、詳細な説明を省略する。
【0075】
実施形態2の非接触充電移行処理では、車両1Aを走行させて受電コイル16を給電コイル103に位置合わせする際のループ処理において、車両コントローラ20は、ステップS12とステップS13の判別処理のみを実行する。すなわち、実施形態2では、車両コントローラ20は、このループ処理において、駆動制御部20aの制御モードの切り替え、レゾルバエラーの判別等は実行しない。
【0076】
実施形態2の非接触充電移行処理では、上記のループ処理に移行する前、車両コントローラ20は、駆動制御部20aをセンシングレス制御モードへ切り替える(ステップS31)。この切替えにより、車両1Aを走行させて受電コイル16を位置合わせする際、駆動制御部20aはセンシングレス制御モードで動作し、レゾルバ10aの出力に異常が生じても前輪モータ10の駆動を継続することが可能となる。ステップS31は、本発明に係る
第1モード制御部の制御動作の一例に相当する。
【0077】
そして、ステップS12、S13のループ処理において、車両コントローラ20が、受電コイル16と給電コイル103との結合完了と判別するか、タイムアウトと判別したら、実施形態1と同様のステップS14、S15、S16を実行する。そして、非接触充電移行処理が終了する。
【0078】
図10は、実施形態2の非接触充電移行処理における制御モードの切替えパターンを示す説明図であり、(A)〜(D)は受電コイルの位置合わせ動作の第1段階から第4段階を示す。
【0079】
実施形態2の非接触充電移行処理では、受電コイル16の位置合わせ工程の開始契機に基づいて、駆動制御部20aの制御モードがセンシングレス制御モードに切り換わる。そして、車両1を走行させて受電コイル16を給電コイル103に位置合わせする際、前輪モータ10は、センシングレス制御モードで駆動される。すなわち、
図10(A)〜
図10(D)に示すように、車両1Aのシフト位置がドライブ「D」又はリバース「R」などに切り替わろうが、センシングレス制御モードで前輪モータ10が駆動される。同様に、弱励磁の磁界を発生している給電コイル103と前輪モータ10とが近づいたり離れたりしようが、センシングレス制御モードで前輪モータ10が駆動される。
【0080】
したがって、実施形態2の車両1Aにおいても、受電コイル16の位置合わせの際、給電コイル103の弱励磁の磁界に起因して、レゾルバ10aの出力が異常となった場合でも、前輪モータ10の駆動を継続して受電コイル16を位置合わせすることができる。
【0081】
以上のように、実施形態2の車両1Aによれば、非接触充電移行時以外の通常の走行時、レゾルバエラーとなったことに基づいて、駆動制御部20aの制御モードがセンシングレス制御モードに切り換えられる。したがって、レゾルバ10aの出力が正常であれば、センシング制御モードにより前輪モータ10を高効率に駆動することができる。また、レゾルバ10aの出力が異常になっても、センシングレス制御モードにより前輪モータ10を駆動して、車両1の走行を継続することができる。
【0082】
また、実施形態2の車両1Aによれば、非接触充電移行時に駆動制御部20aの制御モードがセンシングレス制御モードに切り換えられる。したがって、給電コイル103の弱励磁の磁界に前輪モータ10が晒されたり、このような状態から前輪モータ10が抜け出したりしても、駆動制御部20aの制御モードに切り替わりが生じない。これにより、車両1Aをスムースに走行させて、受電コイル16の位置合わせを遂行することができる。
【0083】
以上、本発明の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限られるものでない。例えば、上記実施形態では、受電コイルを給電コイルに位置合わせする際、ドライバーが運転操作を行って車両を移動する構成を例にとって説明したが、例えば、駐車支援システム23が自動運転を行って位置合わせを行うようにしてもよい。また、上記実施形態では、ドライバーによる非接触充電移行スイッチ36の操作を、受電コイル16の位置合わせ工程の開始契機の一条件として示した。しかし、例えば車両が地上設備に近づいたと車両コントローラ20が検知したことを受電コイルの位置合わせ工程の開始契機の一条件としてもよい。さらに、この検知に加えて、車両が一次停止又は駐車を示す低速になったことを、受電コイルの位置合わせ工程の開始契機の一条件としてもよい。車両が地上設備の近傍に位置したことは、例えば車両コントローラ20がGPS(Global Positioning System)等により車両1の位置を測定し、予め登録されている地上設備の位置データと照合することで遂行すればよい。あるいは、カメラで車両1の周囲を撮影し、画像認識により地上設備を認識することで、車両コントローラ20が地上設備の近傍に入ったことを判定してもよい。
【0084】
また、実施形態2では、走行モータとして1つの前輪モータが備わる構成を示したが、実施形態2の車両1Aは、走行モータとして1つの後輪モータか備わる構成としてもよいし、車両の複数の箇所に複数の走行モータが備わる構成としてもよい。また、実施形態1と実施形態2では、走行モータ以外の動力源を示していないが、実施形態の車両は別途内燃機関を備えていてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、走行モータの駆動電流の制御モードをセンシング制御モードとセンシングレス制御モードとに切り替える方式として、ロータ回転位置θの供給元をロータ回転位置算出部とロータ回転位置推定部との何れかに切り替える方式を示した。しかし、制御モードを切り替える方式は、例えば、レゾルバの出力を用いて駆動電流を制御する第1駆動制御部と、レゾルバの出力を用いずにロータ回転位置を推定して駆動電流を制御する第2駆動制御部とを設け、これらを切り替えて動作させる方式としてもよい。
【0086】
また、上記実施形態1では、走行モータ(前輪モータ10又は後輪モータ12)の駆動モードをセンシングレス制御モードにするときに、同じ走行モータのレゾルバ診断をOFFに切り替える構成を示した。しかし、例えば、レゾルバエラーとなった場合に車両1を走行不能な状態に切り替えるフェールセーフ制御をオフにすることで、レゾルバ診断をオフに切り替える処理を省略してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、車両コントローラ20がトルク指令の出力と駆動制御部のモード切替指令の出力とを行い、駆動制御部20aのロータ回転位置算出部203がレゾルバ診断を行う構成を示した。しかし、これらの各処理は、1つのECU(Electronic Control Unit)が行ったり、複数のECUが個別に行ったり、複数のECUが連携して行ったりしてもよい。その他、実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。