(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記決定部により決定された入札額で入札した場合の落札率を前記目標落札率へと収束させるために、前記決定部により決定された入札額での入札の試行を繰り返すうえで、前記決定部により決定された今回の入札額での入札で期待される落札率である期待落札率を算出する算出部をさらに有し、
前記決定部は、前記算出部により算出された期待落札率を前記相関モデルに入力することにより算出された入札額に基づいて、前記広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額として、前記今回の入札額を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
前記決定部は、前記期待落札率を前記相関モデルに入力することにより算出された入札額と、前記広告枠に対応する広告リクエストを送信した送信元のユーザに対して設定される範囲であって、入札可能な入札額の範囲を示す範囲情報とに基づいて、前記広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額を決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
前記決定部は、期待落札率を前記相関モデルに入力することにより算出された入札額が前記範囲情報が示す範囲内である場合には、期待落札率を前記相関モデルに入力することにより算出された入札額を、前記広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額として決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
前記決定部は、期待落札率を前記相関モデルに入力することにより算出された入札額が前記範囲情報が示す範囲の最大値であって入札可能な入札額の最大値より大きい場合には、前記最大値が示す額を、前記広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額として決定する
ことを特徴とする請求項3または4に記載の情報処理装置。
前記決定部は、期待落札率を前記相関モデルに入力することにより算出された入札額が前記範囲情報が示す範囲の最小値であって入札可能な入札額の最小値より小さい場合には、前記広告枠に対応する広告リクエストに対する入札を行わないよう決定する
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
前記広告枠に対応する広告リクエストが受信された場合に、当該広告リクエストが前記決定部により決定された入札額で入札される入札対象の広告リクエストであるか否かを判定する判定部をさらに有し、
前記決定部は、前記判定部により前記広告枠に対応する広告リクエストが入札対象の広告リクエストであると判定された場合に、前記広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額を決定する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
前記判定部は、前記広告枠に対応する広告リクエストが、前記広告枠を含むコンテンツに対応する正規な広告リクエストである場合に、前記広告枠に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定する
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
前記判定部は、前記広告枠に対応する広告リクエストが、ユーザ由来の広告リクエストである場合に、前記広告枠に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定する
ことを特徴とする請求項9または10に記載の情報処理装置。
前記決定部は、前記広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額として、前記情報処理装置に入稿されている広告コンテンツが前記広告枠において所定回数表示された場合に前記情報処理装置の事業主が支払う金額を決定する
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願にかかる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態により本願にかかる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0012】
〔1.入札額決定処理〕
まず、
図1を用いて、実施形態にかかる入札額決定処理の一例について説明する。
図1は、実施形態にかかる入札額決定処理の一例を示す図である。実施形態にかかる入札額決定処理は、情報処理装置100によって行われる。
【0013】
また、実施形態にかかる入札システム1は、
図1に示すように、端末装置10と、SSP装置60と、DSP装置70−1と、DSP装置70−2と、情報処理装置100とを含む。SSPは「Supply-Side Platform」の略である。DSPは「Demand-Side Platform」の略である。また、端末装置10、SSP装置60、DSP装置70−1、DSP装置70−2、情報処理装置100は、
図2に示すネットワークNを介して有線または無線により通信可能に接続される。
【0014】
図1の例では、入札システム1には、3台のDSP装置(DSP装置70−1、70−2、情報処理装置100)が含まれるが、入札システム1に含まれるDSP装置の数は限定されない。また、各DSP装置を区別して表記する必要が無い場合には、単に「DSP装置70」と表記する。また、
図1に示す入札システム1には、複数台の端末装置10や、複数台のSSP装置が含まれてよい。なお、実施形態にかかる情報処理装置100もDSP装置70と同等の機能を有するためDSP装置70に含まれる装置である。
【0015】
次に、入札システム1に含まれる各装置を管理する事業主について説明する。まず、SSP装置60は、「メディア配信業者KG1」によって管理される。また、
図1の例では、ウェブページP1は、メディア配信業者KG1により配信されるコンテンツ(メディア)であるものとする。次に、DSP装置70−1は、広告主から依頼された広告を配信する広告配信業を行う広告業者G1によって管理される。また、DSP装置70−2は、広告主から依頼された広告を配信する広告配信業を行う広告業者G2によって管理される。実施形態にかかる情報処理装置100は、広告主から依頼された広告を配信する広告配信業を行う広告業者G3によって管理される。広告業者G1〜G3は、一般に広告代理店等とも呼ばれる。また、メディア配信業者KG1、広告業者G1、G2、G3は、全て異なる事業主であるものとする。
【0016】
次に、入札システム1に含まれる各装置について説明する。端末装置10は、ユーザによって利用される情報処理装置である。端末装置10は、例えば、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等である。例えば、端末装置10は、ユーザ操作に従い、各種コンテンツのリクエストを送信したり、リクエストにより配信されたコンテンツを表示したりする。例えば、端末装置10は、広告コンテンツの配信を要求する広告リクエストをSSP装置に送信する。
【0017】
SSP装置60は、広告リクエストに応じて広告を配信する広告配信サービスを提供する。具体的には、SSP装置60は、所定のプラットフォーム(例えば、DSPに入札要求を行い、各DSP装置からの配信を希望する広告の入札を取得し、取得した広告に基づいて、配信する広告を決定する。例えば、SSP装置60は、端末装置10からの広告リクエストに対して配信する広告の入札を、各種DSP装置に要求する。
図1の例では、SSP装置60は、DSP装置70−1、DSP装置70−2、情報処理装置100それぞれに対して入札要求することにより、DSP装置70−1、DSP装置70−2、情報処理装置100それぞれから入札を受け付ける。また、SSP装置60が入札を受け付けるとは、DSP装置から入札額の設定を受け付けることを意味する。
【0018】
なお、本実施形態では、SSP装置60は、CPM(Cost Per Mille)で入札を受け付けるものとする。CPMとは、インプレッション単価とも呼ばれ、広告コンテンツを1000回表示させるための広告費用である。したがって、SSP装置60が例えば、DSP装置から入札額100円で入札を受け付けた場合、入札額としてCPM100円で入札を受け付けたことを意味する。以下の実施形態では、入札額「〇〇円」といった表記を用いるが、これはCPM「〇〇円」と言い換えることができる。
【0019】
また、SSP装置60は、受け付けた入札額を用いてオークション処理を行うことで、落札者を決める。
図1の例では、SSP装置60は、DSP装置70−1(広告業者G1)、DSP装置70−2(広告業者G2)、情報処理装置100(広告業者G3)の中から落札者を決める。これにより、落札者は、入札対象の広告コンテンツを広告リクエスト元のユーザ(端末装置10)に対して、配信させることができるようになる。このようなことから、SSP装置60によって行われるオークション処理とは、所定の広告枠に広告コンテンツが掲載される権利である掲載権の獲得に対して各広告業者が入札額で争う、といったものである。
【0020】
DSP装置70−1および70−2は、SSP装置60からの要求に対して広告を入札する装置である。例えば、DSP装置70−1および70−2は、SSP装置60からの入札要求に対して、入札額(CPM)を設定して広告を入札する。また、DSP装置70−1および70−2は、任意のロジックを用いて、広告主から受け付けている広告コンテンツの中から入札対象の広告コンテンツを決定する。
【0021】
次に、情報処理装置100が現状行っている入札額決定処理であって、この後説明する実施形態にかかる入札額決定処理の前提となる処理を示す。実施形態にかかる入札額決定処理と区別するために、現状行われている入札額決定処理を「前提処理」と言い換えることにする。情報処理装置100は、現状、
図1に示すステップS3−3において、かかる前提処理を行っている。情報処理装置100は、DSP装置の一種であるため、DSP装置70と同様にSSP装置60からの要求に対して広告を入札する。例えば、情報処理装置100は、広告主から広告コンテンツの入稿と、当該広告コンテンツに対するCPC(Cost Per Click)の設定とを受け付ける。そして、情報処理装置100は、入稿されている各広告コンテンツのCPCに基づいて、入稿されている各広告コンテンツの中から入札対象の広告コンテンツを決定する。このとき、情報処理装置100は、CPCとCTR(Click Through Rate)とを乗じることにより算出されるeCPM(effective Cost Per Mille)に基づいて、入札対象の広告コンテンツを決定することもできる。
【0022】
このような状態において、情報処理装置100は、決定した入札対象の広告コンテンツに対応するCPCに対して所定の変換処理を行うことによりCPCをCPMに変換する。上述したように、SSP装置60は、CPMでの入札を受け付けているため、情報処理装置100は、CPCをCPMに変換する。
【0023】
この変換処理の一例を示す。例えば、情報処理装置100は、広告コンテンツADxを入札対象の広告コンテンツとして決定しており、広告コンテンツADxに対応するCPCは50円であるとする。また、情報処理装置100は、この50円を80円に変換することによりCPM「80円」で入札したとする。すなわち、情報処理装置100は、入札額80円でSSP装置60に対して入札したとする。かかる入札額80円には、当然であるが広告業者G3の予算が使用される。
【0024】
また、SSP装置60によるオークション処理により、情報処理装置100に対応する広告業者G3が落札者となったとする。かかる場合、広告業者G3はSSP装置60のメディア配信業者KG1に対して入札額80円を支払うことになる。また、情報処理装置100により決められた入札対象の広告コンテンツADxがSSP装置60によってユーザに配信される(ユーザの端末装置10によって表示される)。
【0025】
このようにして、情報処理装置100がオークション処理に競り勝つ度に広告コンテンツADxは表示されるが、例えば、1000回表示されるまでの間に、広告コンテンツADxが1回しかクリックされなかったとする。広告コンテンツADxにはCPC「50円」が設定されているため、かかる場合、情報処理装置100は、広告コンテンツADxの入稿元(広告主)に対して、50円しか課金することができない。そうすると、情報処理装置100は、入札額に80円を費やしているため、課金額50円との差額30円が赤字となる。
【0026】
一方で、例えば、1000回表示されるまでの間に、広告コンテンツADxが2回クリックされたとする。広告コンテンツADxにはCPC「50円」が設定されているため、かかる場合、情報処理装置100は、広告コンテンツADxの入稿元(広告主)に対して、100円課金することができる。そうすると、情報処理装置100は、入札額に80円を費やしているため、課金額100円との差額20円を儲けることができる。
【0027】
以上説明したように、情報処理装置100は、実施形態にかかる入札システム1において、広告主からは広告入稿およびCPCの設定を受け付ける一方で、CPMで入札を行う。このような関係上、情報処理装置100は、入札対象の広告コンテンツがどれくらいクリックされるかを考慮して損失が抑えられるよう最適な入札額を設定する必要がある。このようなことから、例えば、情報処理装置100は、入札対象の広告コンテンツについてCTRを予測し、予測したCTRとCPCを用いて、eCPMを算出する。そして、情報処理装置100は、算出したeCPMを用いて、収益損失を考慮した最適な値のCPMへと変換を行う。そして、情報処理装置100は、変換後のCPMを入札額として決定する。
【0028】
さて、情報処理装置100は、上記前提処理により、最適な値のCPMへと変換を行う旨説明したが、情報処理装置100は、前提処理では、必ずしも高精度にCPM変換を行うことができるとは限らず、赤字を増やしてしまう場合もある。また、広告業者G3は、情報処理装置100を用いて、ユーザから送信される全ての広告リクエストに対して、入札するのではなく、不要な広告リクエストに対する入札を行わず、必要とする広告リスエストにだけ入札したいと考えている。
【0029】
広告業者G3は、例えば、あるウェブページに自身の広告コンテンツが表示されても、広告効果が見込めない(広告コンテンツの評価値が低い)ことが実績等から判明している場合、このウェブページに表示されるための広告リクエストは不要と考える。一方、広告業者G3は、例えば、別のウェブページに自身の広告コンテンツが表示された場合、広告効果が見込める(広告コンテンツの評価値が高い)ことが実績等から判明している場合、この別のウェブページに表示されるための広告リクエストは必要と考える。例えば、広告業者G3は、別のウェブページに自身の広告コンテンツが表示された場合、CVR(Conversion Rate)が所定値より高くなり、CPA(Cost Per Acquisition)が所定値より低くなることが見込める場合、この別のウェブページに表示されるための広告リクエストは必要と考える。CPAは、広告コンテンツによってコンバージョンにつながった(新規顧客を獲得した)場合における、新規顧客の獲得人数あたりの費用を示す。CPAは、広告費用をコンバージョン数で除算することで求められ、CPAの値が低いほど、広告の効率がよいことを意味している。
【0030】
ここで、必要な広告リスエストだからといって、例えば、広告業者G3は、情報処理装置100を用いて、他業者の入札額と比べて高額だと思われる入札額で入札した場合、高確率で落札者となることができる一方で、予算を大幅に浪費し結果的に赤字を招くかもしれない。このようなことから、広告業者G3は、必要な広告リクエストに対応するオークションにおける落札状況(後述する落札率)を制御または最適化したいと考える。例えば、広告業者G3は、必要な広告リクエストに対応するオークションにおいて自身が落札者となれる落札率を制御または最適化したいと考える。言い換えれば、広告業者G3は、情報処理装置100に入稿されている広告コンテンツが、必要な広告リクエストに対応する広告枠に対する表示対象の広告コンテンツとなる確率を制御または最適化したいと考える。
【0031】
しかしながら、情報処理装置100の前提処理では、上述したような広告業者G3が望む事項を実現できるように入札額を決定することができない。したがって、情報処理装置100は、前提処理に代わって、上述したような広告業者G3が望む事項を実現できるような入札額を決定するために、実施形態にかかる入札額決定処理を行う。
【0032】
具体的には、情報処理装置100は、広告コンテンツが表示される広告枠に対応する広告リクエストに応じて入札を行うサーバ装置である。そして、情報処理装置100は、所定の入札額で入札した場合に、自装置に入稿されている広告コンテンツにおける入札に対する落札状況の実績に関する実績情報を取得する。そして、情報処理装置100は、取得した実績情報と、落札状況に関する目標値とに基づいて、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額を決定する。
【0033】
ここで、入札により広告コンテンツが広告枠に対する表示対象の広告コンテンツとなることは、情報処理装置100が入札競争に勝利し広告業者G3が落札者となる(広告業者G3が掲載権を得る)ことを示す。
【0034】
より具体的には、情報処理装置100は、落札状況として、所定の入札額で入札した場合に、自装置に入稿されている広告コンテンツが広告枠に対する表示対象の広告コンテンツとなった確率である落札率の実績に関する実績情報を取得する。また、かかる落札率は、言い換えれば、情報処理装置100が入札競争に勝利し広告業者G3が落札者となった確率、あるいは、広告業者G3が掲載権を得た確率である。なお、以下の実施形態では、落札率を「win rate」と表記する場合がある。
【0035】
また、情報処理装置100は、実績情報に基づき算出されたモデルであって、所定の入札額と落札率との相関を示す相関モデルを取得する。そして、情報処理装置100は、落札状況に関する目標値として、広告枠に対応する広告リクエストに応じて入札した際の落札率の目標値である目標落札率を相関モデルに入力することにより算出された入札額に基づいて、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額を決定する。
【0036】
さて、以下では、情報処理装置100が前提処理に代わって行う入札額決定処理の一例について説明する。また、ここでは、入札システム1での処理の全体の流れも示す。
【0037】
まず、端末装置10は、ユーザU1の操作に従って、所定のサーバ装置からウェブページP1を取得したものとする。
図1に示すようにウェブページP1には、広告コンテンツが表示される広告枠F1が含まれる。したがって、端末装置10は、広告枠F1に表示される広告コンテンツを配信するよう広告リクエストをSSP装置60に送信する(ステップS1)。
【0038】
SSP装置60は、端末装置10から広告リクエストを受信すると、かかる広告リクエストに対して配信する広告コンテンツについて入札するよう入札要求をDSP装置70−1、DSP装置70−2および情報処理装置100に送信する(ステップS2)。例えば、SSP装置60は、広告枠F1に広告コンテンツが掲載される権利である掲載権のオークションのために入札するよう入札要求をDSP装置70−1、DSP装置70−2および情報処理装置100に送信する。
【0039】
ここで、DSP装置70−1は、ステップS2で送信された入札要求を受信したことに応じて、入札対象の広告コンテンツと入札対象の広告コンテンツでの入札額とを決定する決定処理を行う(ステップS3−1)。かかる例では、DSP装置70−1は、自装置について各広告主から受け付けている広告コンテンツの中から、広告コンテンツADx1を入札対象の広告コンテンツとして決定したものとする。また、DSP装置70−1は、入札額(CPM)を70円と決定したものとする。また、これによりDSP装置70−1は、広告コンテンツADx1を入札対象の広告コンテンツとして、CPM「70円」をSS装置60に対して入札する(ステップS4−1)。
【0040】
また、DSP装置70−2は、ステップS2で送信された入札要求を受信したことに応じて、入札対象の広告コンテンツと入札対象の広告コンテンツでの入札額とを決定する決定処理を行う(ステップS3−2)。かかる例では、DSP装置70−2は、自装置について各広告主から受け付けている広告コンテンツの中から、広告コンテンツADx2を入札対象の広告コンテンツとして決定したものとする。また、DSP装置70−2は、入札額(CPM)を60円と決定したものとする。また、これによりDSP装置70−2は、広告コンテンツADx2を入札対象の広告コンテンツとして、CPM「60円」をSS装置60に対して入札する(ステップS4−2)。
【0041】
また、情報処理装置100は、ステップS2で送信された入札要求を受信したことに応じて、入札対象の広告コンテンツと入札対象の広告コンテンツでの入札額とを決定する入札額決定処理を行う(ステップS3−3)。かかる例では、情報処理装置100は、入稿されている各広告コンテンツのCPC(eCPMでもよい)に基づいて、入札対象の広告コンテンツを決定する。例えば、情報処理装置100は、CPCが最も高い広告コンテンツを入札対象の広告コンテンツとして決定する。かかる例では、情報処理装置100は、広告コンテンツAD31を入札対象の広告コンテンツとして決定したものとする。また、入札対象の広告コンテンツAD31に対して広告主に設定されているCPCは50円であるものとする。
【0042】
ここで、情報処理装置100は、所定の入札額で入札した場合に、自装置に入稿されている広告コンテンツが広告枠F1に対する表示対象の広告コンテンツとなった確率である落札率の実績に関する実績情報を、後述する実績情報記憶部122に有している。すなわち、情報処理装置100は、SSP装置60によって実行されるオークション処理の中で広告業者G3が広告枠F1に対応する落札者となった落札率の実績情報を実績情報記憶部122に有している。なお、かかる実績情報は、情報処理装置100が、前述した前提処理により決定した入札額で入札を行った際の実績情報である。
【0043】
また、情報処理装置100は、実績情報に基づいて、入札額と落札率との相関を示す相関モデルMD1を算出し、算出した相関モデルMD1についても実績情報記憶部122内に格納している。
図1の例(ステップS3−3−2に示す例)に示す通り、情報処理装置100は、実績情報に基づいて、落札率(x)と入札額(b
1)との相関を示す相関モデルMD1を算出している。したがって、相関モデルMD1はb
1=f(x)によって表される。相関モデルMD1によると、前提処理による入札では、入札額が大きいほど落札率は高くなる傾向にあることがわかる。また、相関モデルMD1はb
1=f(x)によって表されることから、情報処理装置100は、例えば、所定の落札率を相関モデルMD1に入力することにより、出力として入札額を得ることができる。
【0044】
ステップS3−3の説明に戻る。ステップS3−3において、情報処理装置100は、まず、落札状況に関する目標値を決定する。具体的には、情報処理装置100は、落札状況に関する目標値として、広告枠F1に対応する広告リクエストに応じて入札した際の落札率の目標値である目標落札率を決定する。例えば、情報処理装置100は、広告枠に広告コンテンツが表示された際のCTRおよびCVRがより高い広告枠ほど高い目標落札率を決定することができる。
図1の例では、情報処理装置100は、広告枠F1に対応する広告リクエストでの入札について、目標落札率30%を決定したとする。
【0045】
ここで、情報処理装置100は、相関モデルMD1に対して目標落札率30%を入力することにより出力された入札額を入札に用いることもできる。しかしながら、相関モデルMD1は過去の実績情報に基づき算出されたものであるため、出力された入札額で入札したとしても高精度に目標落札率30%を達成できるとは限らない。
【0046】
そこで、情報処理装置100は、ステップS3−3−1の処理を行う。ステップS3−3−1の処理の一例を示す。情報処理装置100は、例えば、所定期間の間に目標落札率30%を達成するためには、実際には、どのような入札額とすればよいか探る。例えば、情報処理装置100は、様々な落札率を設定し、設定した落札率に対応する入札額での試行を繰り返し、所定期間の間に目標落札率30%へ収束させるためには、試行回数の中で今回はどのような値の落札率が期待されるかといった期待落札率を算出する。
【0047】
より具体的には、情報処理装置100は、実施形態にかかる入札額決定処理(ステップS3−3での決定処理)により決定された入札額(後述する最終入札額)で入札した場合の落札率を目標落札率30%へと収束させるために、実施形態にかかる入札額決定処理により決定された入札額での入札の試行を繰り返すうえで、今回の入札額決定処理で決定した入札額での入札で期待される落札率である期待落札率を算出する。この点について、ステップS3−3に示す収束モデルSMDを用いて説明する。
【0048】
例えば、情報処理装置100は、1回目の試行として、目標落札率30%へと収束させるために期待落札率5%を算出(設定)し、期待落札率5%を相関モデルMD1に適用した場合の入札額に基づいて、1回目の入札額として入札額N1を決定したとする。かかる場合、情報処理装置100は、この後、SSP装置60から広告枠F1での入札要求を受信する度に、入札額N1で入札を行うことにより所定期間での実際の落札率の遷移情報を取得する。
【0049】
また、情報処理装置100は、所定期間経過後、2回目の試行として、例えば、目標落札率30%へと収束させるために期待落札率10%を算出し、期待落札率10%を相関モデルMD1に適用した場合の入札額に基づいて、2回目の入札額として入札額N2を決定したとする。かかる場合、情報処理装置100は、この後、SSP装置60から広告枠F1での入札要求を受信する度に、入札額N2で入札を行うことにより所定期間での実際の落札率の遷移情報を取得する。
【0050】
例えば、1回目の試行から2回目の試行にかけて、落札率は上昇したが目標落札率30%には到達しなかったとする。かかる場合、情報処理装置100は、3回目の試行では、例えば、目標落札率30%へと収束させるために期待落札率20%を算出して、期待落札率20%と相関モデルMD1とから入札額N3を決定する。情報処理装置100は、この後、SSP装置60から広告枠F1での入札要求を受信する度に、入札額N3で入札を行うことにより所定期間での実際の落札率の遷移を取得する。
【0051】
このようにして、情報処理装置100は、各回の試行で取得した遷移情報により、収束モデルSMDを得ることができる。つまり、情報処理装置100は、X1回目での期待落札率に対応する入札額では目標落札率30%に到達しなかった場合、次のX2回目では、例えば、X1回目の期待落札率より高い期待落札率を算出し、この期待落札率に対応する入札額で入札を行う。そして、情報処理装置100は、この入札額での実際の落札率の遷移を取得する。
【0052】
また、情報処理装置100は、X2回目での期待落札率に対応する入札額では目標落札率30%を超えてしまった場合、X3回目では、X1回目の期待落札率とX2回目の期待落札率との間の値で期待落札率を算出し、この期待落札率に対応する入札額で入札を行う。そして、情報処理装置100は、この入札額での実際の落札率の遷移を取得する。
【0053】
また、情報処理装置100は、X3回目での期待落札率に対応する入札額では目標落札率30%を下回ってしまった場合、X4回目では、X2回目の期待落札率とX3回目期待標落札率との間の値で期待落札率を算出し、この期待落札率に対応する入札額で入札を行う。そして、情報処理装置100は、この入札額での実際の落札率の遷移を取得する。
【0054】
情報処理装置100は、このように試行を繰り返すことで、収束モデルSMDを取得することができ、取得した収束モデルSMDの形状、すなわち収束モデルSMDが示す値(各回に対応する期待落札率)に基づいて、今回用いるべき期待落札率を算出する(ステップS3−3−2)。
【0055】
今回の試行(例えば、10回目の試行)において、情報処理装置100は、相関モデルMD1に期待落札率35%を入力することにより、入札額b
1を出力したとする。このように相関モデルMD1を用いて算出された入札額b
1を「モデル入札額b
1」と表記する。
【0056】
次に、情報処理装置100は、ステップS3−3−2で算出したモデル入札額b
1と、広告枠F1に対応する広告リクエストを送信した送信元のユーザ(ユーザU1)に対して設定される範囲であって、入札可能な入札額の範囲を示す範囲情報とに基づいて、入札に用いる最終的な入札額(最終入札額)を決定する(ステップS3−3−3)。最終入札額の決定方法については後述する。
図1の例では、情報処理装置100は、CPM「80円」を最終入札額として算出したものとする。
【0057】
そうして、情報処理装置100は、広告コンテンツAD31を入札対象の広告コンテンツとして、CPM「80円」をSSP装置60に対して入札する(ステップS4−3)。このようなことから、
図1の例は、情報処理装置100が10回目の試行において、最終入札額80円を算出し、算出した入札額80円をSSP装置60に入札した例を示す。したがって、情報処理装置100は、10回目以外の各回においても当該回で算出した期待落札率を用いて最終入札額を決定し、決定した最終入札額で入札した際の落札率を実際の落札率として計測することで、ステップS3−3−1で説明した収束モデルSMDを取得することができる。
【0058】
さて、次に、SSP装置60は、DSP装置70−1、DSP装置70−2、情報処理装置100から入札額を受け付けたことにより、受け付けた入札額を用いてオークション処理を実行する(ステップS5)。例えば、SSP装置60は、DSP装置70−1、DSP装置70−2、情報処理装置100のうち、最も高い入札額で入札した装置の管理主を落札者として決定する。
図1の例では、情報処理装置100が最も高いCPM「80円」で入札しているため、SSP装置60は、広告業者G3を落札者と決定する。
【0059】
また、SSP装置60は、セカンドプライスオークションを採用しているため、2番目に高い入札額であるCPM「70円」を広告業者G3に対して課金する課金額として決定する。したがって、SSP装置60は、所定のタイミングで、広告業者G3に対して「70円」を支払うよう請求する。
【0060】
また、不図示であるが、SSP装置60は、情報処理装置100に対して、落札者となった旨を通知する。そうすると、情報処理装置100は、入札対象の広告コンテンツAD31をSSP装置60に送信する。SSP装置60は、情報処理装置100から受信した広告コンテンツAD31をユーザU1の端末装置10に配信する(ステップS6)。そして、端末装置10は、広告枠F1に広告コンテンツAD31が表示されたウェブページP1を表示画面に表示する。
【0061】
さて、これまで説明してきたように、実施形態にかかる情報処理装置100は、
図1の例では、ステップS3−3において前提処理に代わる入札額決定処理を行う。具体的には、情報処理装置100は、所定の入札額で入札した場合に、自装置に入稿されている広告コンテンツにおける入札に対する落札状況の実績に関する実績情報を取得する。そして、情報処理装置100は、取得した実績情報と、落札状況に関する目標値とに基づいて、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額を決定する。
【0062】
これにより、情報処理装置100は、広告業者G3が望むような落札率を実現可能な最適な入札額を決定することができる。すなわち、情報処理装置100は、広告配信に伴う適切な入札額を決定することができる。
【0063】
〔2.システムの構成〕
次に、
図2を用いて、実施形態にかかる入札システムの構成について説明する。
図2は、実施形態にかかる入札システム1の構成例を示す図である。実施形態にかかる入札システム1は、
図2に示すように、端末装置10と、SSP装置60と、DSP装置70−1〜70−xと、情報処理装置100とを含む。また、端末装置10、SSP装置60、DSP装置70−1〜70−x、情報処理装置100は、
図2に示すネットワークNを介して有線または無線により通信可能に接続される。なお、不図示であるが実施形態にかかる入札システム1には、広告コンテンツが表示される媒体であるコンテンツ(例えば、ウェブページ)を配信するコンテンツサーバが含まれてよい。
【0064】
〔3.情報処理装置の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態にかかる情報処理装置100について説明する。
図3は、実施形態にかかる情報処理装置100の構成例を示す図である。
図3に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0065】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、例えば、SSP装置60との間で情報の送受信を行う。
【0066】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、広告情報記憶部121と、実績情報記憶部122と、範囲情報記憶部123と、フィルタリング情報記憶部124と、目標落札率記憶部125と、入札情報記憶部126とを有する。
【0067】
(広告情報記憶部121について)
広告情報記憶部121は、広告主により入稿された広告コンテンツに関する各種情報を記憶する。ここで、
図4に実施形態にかかる広告情報記憶部121の一例を示す。
図4の例では、広告情報記憶部121は、「広告主ID」、「広告ID」、「広告コンテンツ」、「CPC」、「CTR」、「eCPM」、「CVR」、「CPA」といった項目を有する。
【0068】
「広告主ID」は、広告主または広告主によって利用される端末装置を識別する識別情報を示す。「広告ID」は、「広告コンテンツ」を識別する識別情報である。「広告コンテンツ」は、実際に入稿された広告コンテンツであり、広告コンテンツを形成するデータといえる。
図4の例では、「広告コンテンツ」として「DA11」といったように概念的な記号を用いているが、実際には、テキストデータ、画像データ、動画データ等である。
【0069】
「CPC」は、広告コンテンツが1回選択された際に、かかる広告コンテンツの入稿元である広告主へ請求する課金額の単価である課金額単価である。広告主は、例えば、自身の広告コンテンツがより掲載され易いように情報処理装置100に対してCPCを設定する。したがって、CPCは入札単価とも呼ばれる。「CTR」(クリック率)は、広告コンテンツが選択される確率を示す。
【0070】
「eCPM」は、CTRとCPCとを乗じることにより算出される値であり、広告コンテンツを評価する評価値の一つである。「CVR」(コンバージョン率)は、ユーザが広告コンテンツを選択する行動に続いて商品またはサービスの購入や資料請求等の販売者にとって利益につながる行動を起こす確率である。CPAは、広告コンテンツによってコンバージョンにつながった(新規顧客を獲得した)場合における、新規顧客の獲得人数あたりの費用を示す。
【0071】
すなわち、
図4の例では、広告主ID「M11」によって識別される広告主(広告主M11)によって、広告ID「AD11」によって識別される広告コンテンツ(広告コンテンツAD11)が入稿された例を示す。また、
図4の例では、広告主M11によってCPC「40円」が設定された例を示す。また、
図4の例では、広告コンテンツAD11はCTR「0.02」、eCPM「0.8」、CVR「0.01」、CPA「15,000」である例を示す。なお、情報処理装置100は、初めて入稿されたされたため、例えば、CTRが不明な広告コンテンツについては、既存の手法を用いてCTRを予測してもよい。同様に、情報処理装置100は、CVRも予測してもよい。
【0072】
(実績情報記憶部122)
実績情報記憶部122は、SSP装置60によるオークション処理により広告コンテンツにおける入札に対する落札状況の実績に関する実績情報を記憶する。かかる実績情報は、情報処理装置100が、
図1で説明した前提処理により決定した入札額で入札をおこなった際の実績情報である。ここで、
図5に実施形態にかかる実績情報記憶部122の一例を示す。
図5の例では、実績情報記憶部122は、「広告枠ID」、「入札日時」、「入札額(CPM)」、「落札率」、「相関モデル」といった項目を有する。
【0073】
「広告枠ID」は、広告枠を識別する識別情報である。また、「広告枠ID」は、広告リクエストが送信されるきっかけとなった広告枠であって、オークション(入札)の対象となった広告枠を識別する識別情報である。「入札日時」は、「広告枠ID」によって識別される広告枠に対応する広告リクエストに応じて行われたオークションにおいて、情報処理装置100が入札を行った日時を示す。
【0074】
「入札額(CPM)」は、情報処理装置100が入札の際に用いた入札額であって、
図1で説明した前提処理により決定された入札額を示す。「落札率」は、「入札額(CPM)」で入札した場合に、情報処理装置100に入稿されている広告コンテンツが「広告枠ID」によって識別される広告枠に対する表示対象の広告コンテンツとなった確率である落札率を示す。
【0075】
「相関モデル」は、実績情報に基づき算出されたモデルであって、入札額と落札率との実績情報に基づき生成された相関を示す相関モデルを示す。入札は広告枠毎に行われるため、各広告枠に対応する「相関モデル」は、
図5に示す通り、広告枠毎の実績情報から算出される。
【0076】
すなわち、
図5の例では、広告枠ID「F1」によって識別される広告枠(広告枠F1)に対応する広告リクエストに応じて行われたオークションにおいて、入札日時「2018年4月1日」に入札額(CPM)「50円」で入札されたという実績があることを示す。また、入札額(CPM)「50円」で入札した場合の落札率は、「30%」であった例を示す。また、広告枠F1に対応する広告リクエストに応じて行われたオークションにおける入札の実績情報に基づいて、相関モデルMD1が算出された例を示す。
【0077】
(範囲情報記憶部123について)
範囲情報記憶部123は、情報処理装置100が入札可能な入札額の範囲を示す範囲情報を記憶する。ここで、
図6に実施形態にかかる範囲情報記憶部123の一例を示す。
図6の例では、範囲情報記憶部123は、「広告枠ID」、「ユーザグループID」、「eCPM範囲」、「入札額範囲」といった項目を有する。
【0078】
「広告枠ID」は、広告枠を識別する識別情報である。「ユーザグループID」は、「eCPM範囲」に応じて分けられたグループであってユーザのグループを識別する識別情報を示す。eCPMは、CTR×CPCにより算出される値である。したがって、広告コンテンツをクリックし易いユーザ、すなわちクリック率が高く、結果的により高いeCPMとして、例えば、1000以上のeCPMを期待(eCPMの期待値が1000以上)できるユーザが属するグループにユーザグループID「UG1」が対応付けられる。
【0079】
「eCPM範囲」は、ユーザに期待されるeCPMの値であるeCPMの期待値の範囲を示す。例えば、1000以上のeCPMを期待できるユーザは、ユーザグループID「UG1」によって識別されるグループに属される。
【0080】
「入札額範囲」は、広告枠に対応する広告リクエストを送信した送信元のユーザに対して設定される範囲であって、入札可能な入札額の範囲を示す範囲情報を示す。「入札額範囲」は、入札額の最小値と最大値によって示される範囲情報である。
図6の例では、ユーザグループID「UG1」によって識別されるグループに対しては、「入札額範囲」の最小値として「P
min1」、最大値として「P
max1」が対応付けられる。例えば、より高いeCPMが期待できるユーザ、すなわち
図6の例では、ユーザグループID「UG1」に属するユーザから広告リクエストが送信されたことにより、発生したオークションでは、情報処理装置100は、より高い入札額を決定することができる。
【0081】
ここで、
図10を用いて、入札額範囲についてより詳細に説明する。
図10は、入札額範囲を説明する説明図である。上記の通り、ユーザは、広告コンテンツに対するクリックし易さとして、例えば、eCPMの期待値に応じて、各グループに属される。
図10の例では、eCPMの期待値「1000」以上で、広告コンテンツを最もクリックし易いと考えられるユーザは、ユーザグループUG1に所属させられている。また、eCPMの期待値「500−1000」の間で、平均的なユーザは、ユーザグループUG2に所属させられている。また、eCPMの期待値「500」未満で、広告コンテンツを最もクリックし難いと考えられるユーザは、ユーザグループUG3に所属させられている。
【0082】
例えば、情報処理装置100は、eCPMの期待値が高いユーザほど、当該ユーザの広告リクエストに対応するオークションにおいて、高い入札額を決定することができる。なぜなら、より高い入札額で入札することにより落札者となった場合、入札対象の広告コンテンツが1000回表示されるまでの間に、より多くのクリックを望めるため、広告主へのCPC課金により、入札に用いた金額以上の額を広告主から回収できる可能性が高くなるためである。
【0083】
このようなことから、
図10に示すように、eCPMの期待値「1000」以上のユーザグループUG1には、入札額範囲として、当グループを含めた3グループのうち最も高い最小値と最大値での入札額範囲を示す範囲情報が対応付けられる。他の2グループについても考え方は同様であるため説明は省略する。
【0084】
(フィルタリング情報記憶部124について)
フィルタリング情報記憶部124は、広告リクエストのフィルタリングに用いられる情報を記憶する。具体的には、フィルタリング情報記憶部124は、危険性の高い広告リクエストをフィルターするためのリスト情報(ホワイトリスト)や、広告業者G3が必要とする広告リクエストであるか否かを判定するためのリスト情報(ブラックリスト)を記憶する。ここで、
図7に実施形態にかかるフィルタリング情報記憶部124の一例を示す。
図7の例では、フィルタリング情報記憶部124は、フィルタリング情報記憶部124−1およびフィルタリング情報記憶部124−2に分けられる。
【0085】
図7の例では、フィルタリング情報記憶部124−1は、ホワイトリストに対応し、「配信業者ID」、「コンテンツID」、「広告枠ID」、「SSPID」といった項目を有する。「配信業者ID」は、メディア配信業者を識別する識別情報を示す。「コンテンツID」は、メディア配信業者によって配信されるコンテンツを識別する識別情報を示す。「広告枠ID」は、広告枠を識別する識別情報を示す。「SSPID」は、メディア配信業者によって管理されるSSP装置を識別する識別情報を示す。
【0086】
すなわち、
図7の例では、配信業者ID「KG1」によって識別されるメディア配信業者(メディア配信業者KG1)は、SSPID「SSP11」によって識別されるSSP装置を利用しており、SSPID「SSP11」によって識別されるSSPからは、コンテンツID「P1」によって識別されるコンテンツが配信されることが定義されている例を示す。
【0087】
このように定義されていることにより、情報処理装置100は、広告リスエストとが正規な広告リクエストであるか否かを判定することができる。
図1の例を用いると、情報処理装置100は、フィルタリング情報記憶部124−1を参照することで、広告リクエスト(入札要求でもよい)が、SSP装置60のメディア配信業者KG1に属するウェブページP1の広告枠F1からの広告リクエストによるものと判定することができる。すなわち、情報処理装置100は、広告リクエストの出所が定義されていることから、かかる広告リクエストが正規な広告リクエストであると判定することができる。
【0088】
また、
図7の例では、フィルタリング情報記憶部124−2は、ブラックリストに対応し、「広告枠ID」、「評価値」といった項目を有する。「評価値」は、広告枠IDによって識別される広告枠に表示された広告コンテンツの評価値を示す。かかる評価値は、限定されず、例えば、CTRやeCPM等である。例えば、情報処理装置100は、広告枠IDに対応付けられる評価値が所定値以下である場合、かかる広告枠IDが示す広告枠を含むコンテンツはパフォーマンスの悪いコンテンツと判定する。また、情報処理装置100は、このようなパフォーマンスの悪いコンテンツに自身の広告コンテンツが表示されたとしても広告効果は見込めないため、かかる広告枠IDが示す広告枠に対応する広告リクエストは不要な広告リクエストと判定する。
【0089】
(目標落札率記憶部125について)
目標落札率記憶部125は、広告枠に対応する広告リクエストに応じて入札した際の落札率の目標値である目標落札率を記憶する。ここで、
図8に実施形態にかかる目標落札率記憶部125の一例を示す。
図8の例では、目標落札率記憶部125は、「枠グループID」、「広告枠ID」、「目標落札率」といった項目を有する。「枠グループID」、「広告枠ID」、「目標落札率」との対応付けは、CTRおよびCVRに基づく値が大きい広告枠ほど、当該広告枠に対応する広告リクエストでのオークションに対し、高い入札額で入札する、といった考えを基になされている。
【0090】
「枠グループID」は、広告枠が属するグループである枠グループを識別する識別情報を示す。「広告枠ID」は、「枠グループID」が示す枠グループに属する広告枠を識別する識別情報を示す。「目標落札率」は、広告枠に対応する広告リクエストに応じて入札した際の落札率の目標値を示す。
【0091】
すなわち、
図8の例では、枠グループID「FGID1」によって識別される枠グループには、広告枠F1、F5・・・が属しており、情報処理装置が、広告枠F1、F5・・・に対応する広告リクエストにおけるオークションに対して目標落札率「30%」を設定している例を示す。
【0092】
ここで、
図11を用いて、目標落札率についてより詳細に説明する。
図11は、目標落札率を説明する説明図である。ウェブページに含まれる広告枠は、広告コンテンツが表示された際の評価値として、例えば、CTRおよびCVRに基づく値に応じて、各枠グループに属される。例えば、各広告枠は、評価値として、CTRとCVRとを乗じた値に応じて、各枠グループに属される。
図11の例では、CTRとCVRとを乗じた値「U
1%」以上で、表示された広告コンテンツが最もクリックされ易くかつコンバージョンに繋がり易くなると考えられる広告枠は、枠グループFGID1に所属させられている。また、CTRとCVRとを乗じた値「U
2%−U
1%」の間で、平均的な広告枠は、枠グループFGID2に所属させられている。また、CTRとCVRとを乗じた値「U
2%」未満で、表示された広告コンテンツが最もクリックされ難くかつコンバージョンに繋がり難いと考えられる広告枠は、枠グループFGID3に所属させられている。
【0093】
例えば、情報処理装置100は、CTRとCVRとを乗じた値が高い枠グループに属する広告枠ほど、当該広告枠の広告リクエストに対応するオークションにおいて、高い目標落札率を設定することができる。
【0094】
基本的に目標落札率が高いほど、その目標落札率を達成するためにより高い入札額で入札する必要があると考えられる。例えば、不用意に高い入札額で入札した場合、広告コンテンツが選択されなかったとしたら、広告主への課金額で入札にかけた入札額を回収することができなくなるといったリスクがある。しかしながら、CTRとCVRとを乗じた値がより高い広告枠であれば、例えば、この広告枠に表示された広告枠についてより高いCTRやコンバージョン数が期待できるため、目標達成率を達成するために高い入札額で入札したとしても、広告主への課金額で入札にかけた入札額を回収できる可能性が高くなる。このような理由から、
図11に示すように、CTRとCVRとを乗じた値が高い枠グループほど、高い目標落札率が設定される。
【0095】
(入札情報記憶部126について)
入札情報記憶部126は、目標落札率に収束するよう、期待落札率を用いて調整された実際の落札率の遷移を記憶する。ここで、
図9に実施形態にかかる入札情報記憶部126の一例を示す。
図9の例では、入札情報記憶部126は、「広告枠ID」、「目標落札率」、「時間経過」、「期待落札率」、「実測値」といった項目を有する。
【0096】
「広告枠ID」は、広告枠を識別する識別情報を示す。「目標落札率」は、広告枠に対応する広告リクエストに応じて入札した際の落札率の目標値を示す。「時間経過」は、時間帯を示す。例えば、所定の1日の間に「目標落札率」へと収束させたい場合、所定の1日における1時間あるいは1分毎の「時間経過」に応じて、実際に測定された落札率が「実測値」として記憶される。なお、
図9の例では、「目標落札率」および「実測値」に概念的な記号を用いているが、実際には算出あるいは測定された数値が入力される。
【0097】
図1では、ステップS3−3−1において収束モデルSMDを示したが、落札率の遷移を示す収束モデルSMDは、
図9において広告枠ID「F1」に対応付けられる「実測値」を繋ぐことにより得られる。
【0098】
(その他の記憶部について)
不図示であるが、情報処理装置100は、ユーザ情報を記憶する記憶部を有してもよい。例えば、情報処理装置100は、ユーザ毎に当該ユーザの広告コンテンツに対する評価値(例えば、CTRやeCPM等)を対応付けて記憶してもよい。
【0099】
(制御部130について)
図3に戻り、制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0100】
図3に示すように、制御部130は、取得部131と、モデル生成部132と、範囲設定部133と、受信部134と、広告制御部135と、判定部136と、算出部137と、決定部138と、入札部139とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、
図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0101】
(取得部131にいて)
取得部131は、所定の入札額で入札した場合に、情報処理装置100に入稿されている広告コンテンツにおける入札に対する落札状況の実績に関する実績情報を取得する。例えば、取得部131は、落札状況として、所定の入札額で入札した場合に、情報処理装置100に入稿されている広告コンテンツが広告枠に対する表示対象の広告コンテンツとなった確率である落札率の実績に関する実績情報を取得する。
【0102】
図4で説明した通り、実績情報記憶部122には、SSP装置60によるオークション処理により広告コンテンツが広告枠に対する表示対象の広告コンテンツとなったことを示す落札率の実績情報であって、前提処理により決定した入札額で入札をおこなった際の実績情報が予め記憶されている。したがって、取得部131は、実績情報記憶部122から、各広告枠IDに対応付けられる実績情報を取得する。
図4の例では、取得部131は、広告枠ID「F1」については、広告枠ID「F1」に対応付けられる「入札額」と「落札率」とを取得する。
【0103】
(モデル生成部132について)
モデル生成部132は、取得部131により取得された実績情報に基づいて、入札額と落札率との相関を示す相関モデルを生成する。例えば、モデル生成部132は、
図4の例では、広告枠IDに対応付けられる実績情報に基づいて、当該広告枠IDが示す広告枠での相関モデルを生成する。また、モデル生成部132は、広告枠毎に生成した相関モデルを実績情報記憶部122に格納する。
【0104】
図4の例では、モデル生成部132は、広告枠F1に対して相関モデルMD1を生成している。すなわち、モデル生成部132は、SSP装置60によるオークション処理により情報処理装置100の広告コンテンツが広告枠F1に対する表示対象の広告コンテンツとなったことを示す落札率の実績情報に基づいて、相関モデルMD1を生成した例を示す。
【0105】
相関モデルMD1は、例えば、落札率(x)と入札額(b
1)との相関を示すモデルである。したがって、相関モデルMD1はb
1=f(x)によって表すことができる。また、かかる例は、モデル生成部132が、相関モデルMD1として、b
1=f(x)を算出(生成)したことを示す。例えば、落札率(x)として目標落札率が判明している場合、情報処理装置100は、この目標落札率を相関モデルMD1に入力することにより、入札額b
1(モデル入札額b
1)を算出することができる。
【0106】
(範囲設定部133について)
範囲設定部133は、広告枠に対応する広告リクエストを送信した送信元のユーザに対して設定される範囲であって、入札可能な入札額の範囲を示す範囲情報を設定する。
図6および
図10で説明した通り、範囲設定部133は、「eCPM範囲」に応じてユーザグループを設定する。また、範囲設定部133は、eCPMの期待値が高いユーザほど、当該ユーザの広告リクエストに対応するオークションにおいて、高い入札額を決定することができるとの観点から、「eCPM範囲」が高いユーザグループほど、高い入札額範囲を設定する。
【0107】
例えば、範囲設定部133は、
図10に示すように、eCPMの期待値「1000」以上のユーザグループUG1には、入札額範囲として、当グループを含めた3グループのうち最も高い最小値と最大値での入札額範囲を示す範囲情報を設定する。
【0108】
なお、範囲情報記憶部123において、「ユーザグループID」、「eCPM範囲」、「入札額範囲」の設定、「ユーザグループID」と「eCPM範囲」と「入札額範囲」との対応付けは、範囲設定部133によって行われるのではなく、人手によって行われてもよい。
【0109】
(受信部134について)
受信部134は、各種情報を受信する。例えば、受信部134は、SSP装置60を介して各種情報を受信する。例えば、受信部134は、入札要求を受信する。SSP装置60は、ユーザの端末装置10から送信された広告リクエストを受信したことに応じて、DSP装置70および情報処理装置100に対して入札要求を送信する。したがって、受信部134は、SSP装置60から送信された入札要求を受信する。また、受信部134は、例えば、広告枠ID、SSPID、広告枠IDが示す広告枠を含むコンテンツを識別するコンテンツIDとを含む入札要求を受信する。
【0110】
また、受信部134は、例えば、広告コンテンツが選択されたことを示す情報や、広告コンテンツの選択からコンバージョンに至ったことを示す情報等も受信してよい。例えば、受信部134は、SSP装置60を介してかかる情報を受信してもよいし、端末装置10から直接受信してもよい。また、受信部134は、SSP装置60からオークション結果を受信してもよい。例えば、受信部134は、SSP装置60のオークション処理により、情報処理装置100の広告業者G3が落札者となった場合には、情報処理装置100の広告業者G3が落札者となったことを示すオークション結果を受信する。
【0111】
(広告制御部135について)
広告制御部135は、広告コンテンツに関する各種の制御処理を行う。例えば、広告制御部135は、受信部134により入札要求が受信された場合に、広告情報記憶部121に格納されている広告コンテンツの中から入札対象の広告コンテンツを決定する。例えば、広告制御部135は、各広告コンテンツの評価値に基づいて、入札対象の広告コンテンツを決定する。例えば、広告制御部135は、評価値としてeCPMが最も高い広告コンテンツを入札対象の広告コンテンツとして決定する。かかる場合、
図4の例では、広告制御部135は、広告コンテンツAD31を入札対象の広告コンテンツとして決定する。
【0112】
また、広告制御部135は、情報処理装置100の広告業者G3が落札者となった場合には、入札対象の広告コンテンツがオークション対象の広告枠に表示されるよう入札対象の広告コンテンツをSSP装置60に送信する。また、広告制御部135は、後述する判定部136〜決定部138にかけて行われる実施形態にかかる入札額決定処理と並行して、入札対象の広告コンテンツを決定する処理を行ってもよいし、入札額決定処理の前または後にこの処理を行ってもよい。
【0113】
(判定部136について)
まず、フィルタリング情報記憶部124−1(ホワイトリスト)を用いた判定処理について説明する。判定部136は、広告枠に対応する広告リクエストが受信された場合に、当該広告リクエストが入札対象の広告リクエストであるか否かを判定する。具体的には、判定部136は、広告枠に対応する広告リクエストが受信された場合に、当該広告リクエストが実施形態にかかる入札額決定処理により決定された入札額で入札される入札対象の広告リクエストであるか否かを判定する。また、判定部136は、広告枠に対応する広告リクエストに応じてSSP装置60から送信された入札要求が受信部134によって受信された場合に、当該広告リクエストが入札対象の広告リクエストであるか否かを判定する。
【0114】
広告リクエストが入札対象の広告リクエストであるか否かを判定するというのは、すなわち広告業者G3が必要とする広告リクエストであるのか、不要とする広告リクエストであるのかを判定することである。したがって、言い換えれば、判定部136は、当該広告リクエストが必要な広告リクエストであるのか否かを判定する。
【0115】
例えば、広告業者G3は、出所が判明している正規な広告リクエストにだけ入札したい、あるいは、広告リクエストとSSP装置との組合せが正しい広告リクエストにだけ入札したいと考える。つまり、広告業者G3は、このような広告リクエストを自身にとって必要な広告リクエストと考える。したがって、判定部136は、広告枠に対応する広告リクエストが、広告枠を含むコンテンツに対応する正規な広告リクエストである場合に、かかる広告枠に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定する。また、
図1の例を用いると、かかる広告枠は広告枠F1である。例えば、判定部136は、フィルタリング情報記憶部124−1を参照し、広告枠に対応する広告リクエストが正規な広告リクエストであるか否かを判定する。そして、判定部136は、広告枠に対応する広告リクエストが正規な広告リクエストである場合には、広告枠に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定する。判定部136による判定処理について、
図1および
図7の例を用いて説明する。
【0116】
図1の例では、ユーザU1の操作に応じて端末装置10が、ウェブページP1に含まれる広告枠F1に対応する広告リクエストを送信する(ステップS1)。また、これに応じて、SSP装置60が情報処理装置100に対して入札要求を送信する(ステップS2)。したがって、
図1の例では、受信部134は、例えば、コンテンツID「P1」、広告枠ID「F1」、SSPID「SSP11」を含む入札要求を受信する。なお、説明の便宜上、
図1に示すSSP装置60はSSPID「SSP11」によって識別されるものとする。
【0117】
このような状態において、判定部136は、受信部134からコンテンツID「P1」、広告枠ID「F1」、SSPID「SSP11」を受け取る。そして、判定部136は、フィルタリング情報記憶部124−1を参照し、コンテンツID「P1」、広告枠ID「F1」、SSPID「SSP11」の組合せを検索する。
図7の例では、コンテンツID「P1」、広告枠ID「F1」、SSPID「SSP11」の組合せが存在する。
【0118】
ここで、コンテンツID「P1」、広告枠ID「F1」、SSPID「SSP11」の組合せは、SSPID「SSP11」によって識別されるSSPからは、コンテンツID「P1」によって識別されるコンテンツが配信され、また、コンテンツID「P1」によって識別されるコンテンツには、広告枠ID「F1」によって識別される広告枠が含まれることを定義付けている。したがって、判定部136は、コンテンツID「P1」、広告枠ID「F1」、SSPID「SSP11」の組合せが存在することにより、広告枠F1に対応する広告リクエストの出所は判明しており、また、その出所も間違っていないことを認識する。そして、このように認識できた場合、判定部136は、広告枠F1に対応する広告リクエストは正規な広告リクエストであると判定する。そして、判定部136は、広告枠F1に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定する。
【0119】
次に、フィルタリング情報記憶部124−2(ブラックリスト)を用いた判定処理について説明する。例えば、広告業者G3は、広告コンテンツが表示された場合、広告効果が見込める(広告コンテンツの評価値が高くなる)ことが実績等から判明している広告枠については、この広告枠に対応する広告リクエストは必要と考える。一例を示すと、広告業者G3は、CVRが所定値より高くなり、CPAが所定値より低くなることが見込める広告枠については、この広告枠に対応する広告リクエストは必要と考える。
【0120】
したがって、判定部136は、広告枠に表示された広告コンテンツの評価値に基づいて、広告枠に対応する広告リクエストが入札対象の広告リクエストであるか否かを判定する。例えば、判定部136は、広告枠に表示された広告コンテンツの評価値が所定値より高い場合には、この広告枠に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定する。判定部136による判定処理について、
図1および
図7の例を用いて説明する。なお、かかる例では、所定値を0.01とする。
【0121】
図1の例では、受信部134は、広告枠F1に対応する広告リクエストに応じた入札要求を受信する。かかる入札要求には、広告枠ID「F1」が含まれる。したがって、判定部136は、受信部134から広告枠ID「F1」を受け取る。そして、判定部136は、フィルタリング情報記憶部124−2を参照し、広告枠ID「F1」に対応付けられる評価値を取得する。
図7の例では、判定部136は、評価値としてCTR「0.015」を取得する。
【0122】
かかる場合、判定部136は、広告枠F1に表示された際の広告コンテンツの評価値としてCTRが0.015と所定値0.01より高いことから、広告枠F1に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定する。
【0123】
(算出部137について)
算出部137は、情報処理装置100に入稿されている広告コンテンツにおける入札に対する落札状況に関する目標値として、広告枠に対応する広告リクエストに応じて入札した際の落札率の目標値である目標落札率を算出する。また、算出部137は、後述する決定部138により決定された入札額で入札した場合の落札率を目標落札率へと収束させるために、決定部138により決定された入札額での入札の試行を繰り返すうえで、決定部138により決定された今回の入札額での入札で期待される落札率である期待落札率を算出する。
【0124】
まず、算出部137による目標落札率の算出方法について、
図1および
図8の例を用いて説明する。
図1の例では、受信部134は、広告枠F1に対応する広告リクエストに応じた入札要求を受信する。かかる入札要求には、広告枠ID「F1」が含まれる。したがって、算出部137は、受信部134から広告枠ID「F1」を受け取る。そして、算出部137は、目標落札率記憶部125を参照し、広告枠ID「F1」に対応付けられる目標落札率を取得する。
図8の例では、算出部137は、目標落札率として「30%」を取得する。つまり、算出部137は、目標落札率「30%」を算出する。
【0125】
なお、かかる例のように、算出部137は、目標落札率記憶部125を参照することにより、対応する目標落札率を取得するのではなく、動的に目標落札率を算出してもよい。
図8および
図11でも説明したように、広告コンテンツが表示された際のCTRおよびCVRに基づく値が大きい広告枠ほど、高い目標落札率を設定することができる。したがって、算出部137は、広告枠F1に広告コンテンツが表示された際の評価値(広告枠F1の評価値)として、例えば、CTRおよびCVRが判明している場合には、CTRとCVRとを乗じた値に基づいて、目標落札率を算出する。例えば、算出部137は、CTRとCVRとを乗じた値が所定の閾値以上であれば、その閾値に予め対応付けられる目標落札率を、広告枠F1に対応するオークションでの目標落札率として算出する。
【0126】
次に、算出部137による期待落札率の算出方法について、
図1の例を用いて説明する。かかる説明は、既に
図1で説明した内容と重複する。
【0127】
算出部137は、例えば、所定期間(例えば、入札要求が受信された日)の間に目標落札率30%を達成するためには、実際には、どのような入札額とすればよいか探る。例えば、算出部137は、様々な落札率を設定し、設定した落札率に対応する入札額での試行を繰り返し、所定期間の間に目標落札率30%へ収束させるためには、試行回数の中で今回はどのような値の落札率が期待されるかといった期待落札率を算出する。
【0128】
より具体的には、算出部137は、実施形態にかかる入札額決定処理により決定された入札額(後述する最終入札額)で入札した場合の落札率を目標落札率30%へと収束させるために、実施形態にかかる入札額決定処理により決定された入札額での入札の試行を繰り返すうえで、今回の入札額決定処理で決定した入札額での入札で期待される落札率である期待落札率を算出する。
【0129】
例えば、算出部137は、1回目の試行として、目標落札率30%へと収束させるために期待落札率5%を算出(設定)し、期待落札率5%を相関モデルMD1に適用した場合の入札額に基づいて、1回目の入札額として入札額N1を決定したとする。かかる場合、算出部137は、この後、SSP装置60から広告枠F1での入札要求を受信する度に、入札額N1で入札を行うことにより1日のうちの所定期間(例えば、1時から2時の間)での実際の落札率の遷移情報を取得する。
【0130】
また、算出部137は、所定期間経過後、2回目の試行として、例えば、目標落札率30%へと収束させるために期待落札率10%を算出し、期待落札率10%を相関モデルMD1に適用した場合の入札額に基づいて、2回目の入札額として入札額N2を決定したとする。かかる場合、情報処理装置100は、この後、SSP装置60から広告枠F1での入札要求を受信する度に、入札額N2で入札を行うことにより所定期間(例えば、2時から3時の間)での実際の落札率の遷移情報を取得する。
【0131】
例えば、1回目の試行から2回目の試行にかけて、落札率は上昇したが目標落札率30%には到達しなかったとする。かかる場合、算出部137は、3回目の試行では、例えば、目標落札率30%へと収束させるために期待落札率20%を算出して、期待落札率20%と相関モデルMD1とから入札額N3を決定する。算出部137は、この後、SSP装置60から広告枠F1での入札要求を受信する度に、入札額N3で入札を行うことにより所定期間(例えば、3時から4時の間)での実際の落札率の遷移情報を取得する。
【0132】
このようにして、算出部137は、各回の試行で取得した遷移情報により、収束モデルSMDを得ることができる。つまり、算出部137は、X1回目での期待落札率に対応する入札額では目標落札率30%に到達しなかった場合、次のX2回目では、例えば、X1回目の期待落札率より高い期待落札率を算出し、この期待落札率に対応する入札額で入札を行う。そして、算出部137は、この入札額での実際の落札率の遷移を取得する。
【0133】
また、算出部137は、X2回目での期待落札率に対応する入札額では目標落札率30%を超えてしまった場合、X3回目では、X1回目の期待落札率とX2回目の期待落札率との間の値で期待落札率を算出し、この期待落札率に対応する入札額で入札を行う。そして、情報処理装置100は、この入札額での実際の落札率の遷移を取得する。
【0134】
また、算出部137は、X3回目での期待落札率に対応する入札額では目標落札率30%を下回ってしまった場合、X4回目では、X2回目の期待落札率とX3回目の期待落札率との間の値で期待落札率を算出し、この期待落札率に対応する入札額で入札を行う。そして、情報処理装置100は、この入札額での実際の落札率の遷移を取得する。
【0135】
算出部137は、このように試行を繰り返すことで、収束モデルSMDを取得することができ、取得した収束モデルSMDの形状、すなわち収束モデルSMDが示す値(各回に対応する期待落札率)に基づいて、今回用いるべき期待落札率を算出する。
【0136】
今回の試行を10回目の試行としてより具体的に説明する。例えば、収束モデルSMDは、8回目の試行では、期待落札率35%に対応する入札額で入札されたことにより、実際の落札率は徐々に減少してゆき40%になったことを示すとする。また、収束モデルSMDは、9回目の試行では、期待落札率25%に対応する入札額で入札されたことにより、実際の落札率は徐々に低下してゆき20%になったことを示すとする。かかる場合、算出部137は、期待落札率25%から期待落札率35%までの間のいずれかの値を今回の期待落札率として算出する。例えば、算出部137は、期待落札率33%を算出する。
【0137】
(決定部138について)
決定部138は、取得部131により取得された実績情報と、落札状況に関する目標値とに基づいて、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額を決定する。例えば、決定部138は、落札状況に関する目標値として、広告枠に対応する広告リクエストに応じて入札した際の落札率の目標値である目標落札率を前記相関モデルに入力することにより算出された入札額に基づいて、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額を決定する。
【0138】
また、決定部138は、相関モデルに入力することにより算出された入札額と、広告枠に対応する広告リクエストを送信した送信元のユーザに対して設定される範囲であって、入札可能な入札額の範囲を示す範囲情報とに基づいて、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額(最終入札額)を決定する。例えば、決定部138は、相関モデルに入力することにより算出された入札額が範囲情報が示す範囲内である場合には、相関モデルに入力することにより算出された入札額を、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額として決定する。また、例えば、決定部138は、相関モデルに入力することにより算出された入札額が範囲情報が示す範囲の最大値であって入札可能な入札額の最大値より大きい場合には、最大値が示す額を、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額として決定する。また、例えば、決定部138は、相関モデルに入力することにより算出された入札額が範囲情報が示す範囲の最小値であって入札可能な入札額の最小値より小さい場合には、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札を行わないよう決定する。範囲情報を用いた最終入札額の決定方法について、
図1、
図6の例を用いて説明する。
【0139】
ここでは、上記の通り、算出部137により期待落札率33%が算出されたとする。かかる場合、まず、取得部131は、
図5に示す実績情報記憶部122を参照し、広告枠ID「F1」に対応付けられる相関モデルMD1を取得する。そして、決定部138は、期待落札率33%を相関モデルMD1に入力する。相関モデルMD1はb
1=f(x)によって表されるため、決定部138は、f(x)に期待落札率33%を入力することにより、入札額b
1(モデル入札額b
1)を出力する。
【0140】
次に、決定部138は、算出したモデル入札額b
1と、広告枠F1に対応する広告リクエストを送信した送信元のユーザU1に対して設定される範囲であって、入札可能な入札額の範囲を示す範囲情報とに基づいて、入札に用いる最終的な入札額(最終入札額)を決定する。
【0141】
例えば、決定部138は、範囲情報記憶部123を参照し、広告枠F1に対応する広告リクエストを送信した送信元のユーザU1に対応する範囲情報を取得する。かかる例では、ユーザU1に対しては、1000円以上のeCPMが期待できるものとする。そうすると、決定部138は、
図6に示す範囲情報記憶部123の例では、ユーザU1はユーザグループUG1に属すると判断し、ユーザグループUG1に対応付けられる範囲情報「P
min1−P
max1」を取得する。なお、範囲情報は、取得部131によって取得されてもよい。
【0142】
次に、決定部138は、モデル入札額b
1と範囲情報「P
min1−P
max1」とに基づいて、最終入札額bを決定する。まず、決定部138は、モデル入札額b
1<P
min1が成立するか否かを判定する。決定部138は、モデル入札額b
1<P
min1が成立しない場合、すなわちモデル入札額b
1>P
min1の場合、モデル入札額b
1<P
max1が成立するか否かを判定する。決定部138は、モデル入札額b
1<P
max1が成立しない場合、すなわちモデル入札額b
1>P
max1の場合、最終入札額b=P
max1と決定する。一方、決定部138は、モデル入札額b
1<P
max1が成立する場合、すなわちP
min1<モデル入札額b
1<P
max1が成立する場合、最終入札額b=モデル入札額b
1と決定する。
【0143】
また、決定部138は、モデル入札額b
1<P
min1が成立する場合、最終入札額b=0と決定する。言い換えれば、決定部138は、広告枠F1に対応する広告リクエストに対する入札を行わないと決定する。なお、決定部138は、モデル入札額b
1<P
min1が成立する場合、最終入札額b=P
min1と決定してもよい。
【0144】
(入札部139について)
入札部139は、受信部134により入札要求が受信された場合に、SSP装置60に対して入札を行う。例えば、入札部139は、受信部134により入札要求が受信された場合に、SSP装置60に対して、決定部138により決定された最終入札額bで入札を行う。
図1の説明したように、最終入札額bはCPMである。例えば、決定部138によりCPM「80円」が最終入札額bとして算出したものとする。かかる場合、入札部139は、広告コンテンツAD31を入札対象の広告コンテンツとして、CPM「80円」をSS装置60に対して入札する。
【0145】
なお、入札部139により最終入札額b(CPM「80円」)で入札された際の落札率が、まだ目標落札率30%には収束しきれていなかった場合、算出部139は、11回目の試行として、さらに期待落札率を算出する。そうすると、決定部138は、再び相関モデルMD1を用いて、モデル入札額b
1を算出し、算出したモデル入札額b
1と範囲情報とを比較することにより最終入札額bを算出する。すなわち、算出部137および決定部138は、実際の落札率が目標落札率に収束するまで、実施形態にかかる入札額決定処理を繰り返す。
【0146】
〔4.処理手順〕
(全体の流れについて)
次に、
図12を用いて、実施形態にかかる情報処理装置100が実行する入札額決定処理の手順について説明する。
図12は、実施形態にかかる情報処理装置100による入札額決定手順にかかる全体の流れを示すフローチャートである。なお、
図12の説明では、情報処理装置100は、
図1で説明した前提処理で得られた実績情報に基づき、既に、相関モデルを生成済みであるものとする。また、適宜、
図1の説明も用いることにする。
【0147】
まず、受信部134は、SSP装置60から送信された入札要求を受信したか否かを判定する(ステップS101)。受信部134は、SSP装置60から入札要求を受信していない場合には(ステップS101;No)、入札要求を受信するまで待機する。
図12では、受信部134は、コンテンツID「P1」、広告枠ID「F1」、SSPID「SSP11」を含む入札要求を受信したとする。かかる場合、受信部134は、入札要求を受信したと判定し(ステップS101;Yes)、判定部136に対して判定処理を行うよう指示する。
【0148】
判定部136は、受信部134により入札要求が受信されたと判定された場合には(ステップS101;Yes)、入札要求に対応する広告リクエスト、すなわち広告枠F1に対応する広告リクエストが、ステップS104で行われる入札額決定処理により決定された入札額で入札される入札対象の広告リクエストであるか否かを判定する(ステップS102)。言い換えれば、判定部136は、当該広告リクエストが必要な広告リクエストであるのか否かを判定する。
【0149】
具体的には、判定部136は、フィルタリング情報記憶部124−1を参照し、広告枠F1に対応する広告リクエストが、広告枠F1を含むコンテンツに対応する正規な広告リクエストであるか否かを判定するホワイトリスト判定を行う。また、判定部136は、フィルタリング情報記憶部124−2を参照し、広告枠F1に表示された広告コンテンツの評価値に基づいて、広告枠F1に対応する広告リクエストが入札対象の広告リクエストであるか否かを判定するブラックリスト判定を行う。
【0150】
そして、判定部136は、ホワイトリスト判定およびブラックリスト判定の双方において、広告枠F1に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストでないと判定した場合には(ステップS102;No)、処理を終了する。一方、判定部136は、ホワイトリスト判定およびブラックリスト判定の双方において、広告枠F1に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定した場合には(ステップS102;Yes)、ステップS103に移行させる。なお、判定部136は、ステップS102において、ホワイトリスト判定を行った後にブラックリスト判定を行ってもよいし、ブラックリスト判定を行った後にホワイトリスト判定を行ってもよい。
【0151】
次に、広告制御部135は、判定部136により広告枠(
図12の例では、広告枠F1)に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定された場合には(ステップS102;Yes)、入札対象の広告コンテンツを決定する(ステップS103)。例えば、広告制御部135は、各広告コンテンツの評価値に基づいて、入札対象の広告コンテンツを決定する。例えば、広告制御部135は、評価値としてeCPMが最も高い広告コンテンツを入札対象の広告コンテンツとして決定する。なお、広告制御部135は、判定部136により広告枠に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定された後であれば、いずれのタイミングで入札対象の広告コンテンツを決定してもよい。
【0152】
次に、算出部137および決定部138は、実施形態にかかる入札額決定処理を行う(ステップS104)。入札額決定処理の詳細な処理手順については、
図13を用いて説明する。そして、入札部139は、ステップS104での入札額決定処理により決定された入札額を用いて、SSP装置60に対して入札する(ステップS105)。
【0153】
不図示であるが、このあとSSP装置60によってオークション処理が行われる。そして、オークション処理により、例えば、情報処理装置100が落札者となった場合には、受信部134は、SSP装置60から情報処理装置100の広告業者G3が落札者となったことを示すオークション結果を受信する。また、かかる場合、広告制御部135は、入札対象の広告コンテンツが広告枠F1に表示されるよう、入札対象の広告コンテンツをSSP装置に送信する。
【0154】
(入札額決定処理の流れについて)
次に、
図13を用いて、実施形態にかかる情報処理装置100が実行する入札額決定処理の手順について説明する。
図13は、実施形態にかかる情報処理装置100による入札額決定手順の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0155】
まず、算出部137は、今回のオークションにおいて達成すべき目標落札率を算出する(ステップS201)。例えば、算出部137は、目標落札率記憶部125を参照し、広告枠ID「F1」に対応付けられる目標落札率を取得する。
図8の例では、算出部137は、目標落札率として「30%」を取得する。つまり、かかる例では、算出部137は、目標落札率「30%」を算出する。また、算出部137は、例えば、目標落札率「30%」を現在日のうちに達成すべき目標落札率と定める(デイリー目標)。
【0156】
次に、算出部137は、決定部138により決定された最終入札額bで入札した場合の落札率を目標落札率へと収束させるために、今回のオークションに対する最終入札額bでの入札で期待される落札率である期待落札率を算出する(ステップS202)。例えば、算出部137は、現時点で生成されている収束モデルを参照し、これまでの期待落札率に対応する実際の落札率に基づいて、今回どのような期待落札率とすれば、ステップS201で算出された目標落札率に収束させることができるか探り、今回の期待落札率を算出する。
【0157】
次に、取得部131は、相関モデルを取得する(ステップS203)。かかる例では、取得部131は、実績情報記憶部122を参照し、広告枠ID「F1」に対応付けられる相関モデルMD1を取得する。これまで説明してきた通り、相関モデルMD1は、モデル入札額b
1=f(x)(x=落札率)によって示される。
【0158】
次に、決定部138は、ステップS202で算出された期待落札率を相関モデルMD1に入力することにより、出力としてのモデル入札額b
1を算出する(ステップS204)。
【0159】
また、決定部138は、広告リクエスト送信元のユーザに対応する範囲情報を取得する(ステップS205)。例えば、決定部138は、範囲情報記憶部123を参照し、広告枠F1に対応する広告リクエストを送信した送信元のユーザU1に対応する範囲情報を取得する。かかる例では、ユーザU1に対しては、1000円以上のeCPMが期待できるものとする。そうすると、決定部138は、
図6に示す範囲情報記憶部123の例では、ユーザU1はユーザグループUG1に属すると判断し、ユーザグループUG1に対応付けられる範囲情報「最小値P
min1−最大値P
max1」を取得する。
【0160】
次に、決定部138は、モデル入札額b
1と、範囲情報「最小値P
min1−最大値P
max1」とを比較し、モデル入札額b
1<最小値P
min1が成立しているか否かを判定する(ステップS206)。決定部138は、モデル入札額b
1<最小値P
min1が成立している場合(ステップS206;Yes)、最終入札額b=0と決定する(ステップS207−1)。すなわち、決定部138は、モデル入札額b
1<最小値P
min1が成立する場合には、今回は入札を行わないと決定する。
【0161】
一方、決定部138は、モデル入札額b
1<最小値P
min1が成立していない場合(ステップS206;No)、言い換えれば、モデル入札額b
1>最小値P
min1が成立している場合には、モデル入札額b
1<最大値P
max1が成立しているか否かを判定する(ステップS207−2)。決定部138は、モデル入札額b
1<最大値P
max1が成立している場合(ステップS207−2;Yes)、最終入札額b=モデル入札額b
1と決定する(ステップS208−1)。すなわち、決定部138は、最小値P
min1<モデル入札額b
1<最大値P
max1が成立する場合には、最終入札額b=モデル入札額b
1と決定する。
【0162】
一方、決定部138は、モデル入札額b
1<最大値P
max1が成立していない場合(ステップS207−2;No)、言い換えれば、モデル入札額b
1>最大値P
max1が成立している場合には、最終入札額b=最大値P
max1と決定する(ステップS208−2)。
【0163】
次に、入札部139は、最終入札額bを用いて、SSP装置60に対して入札する(ステップS209)。なお、ステップS209は、
図12に示すステップS105に対応する。具体的には、最終入札額bでの入札を行う。また、このような状態において、例えば、入札部139は、最終入札額bで入札した場合の落札率(実際の落札率)を算出する(ステップS210)。
【0164】
また、入札部139は、ステップS210で算出した落札率を用いて、落札率の収束モデルを生成する(ステップS211)。具体的には、入札部139は、
図1に示す波状の曲線を示す収束モデルSMDを生成する。例えば、収束モデルSMDは各試行での結果が試行の度に反映されてゆくものであるため、入札部139は、今回の試行で得た落札率(ステップS210で算出した落札率)と、今回の試行に対応する期待落札率(ステップS202で算出された期待落札率)とに基づいて、これまでに生成されている収束モデルSMDを更新する。
【0165】
〔5.変形例〕
上記実施形態にかかる情報処理装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、情報処理装置100の他の実施形態について説明する。
【0166】
〔5−1.判定処理〕
上記実施形態では、判定部136が、ホワイトリスト判定およびブラックリスト判定により、広告枠に対応する広告リクエストが入札対象の広告リクエストであるか否かを判定する例を示した。しかし、判定部136は、さらなる判定処理を組み合わせてもよい。具体的には、判定部136は、広告枠に対応する広告リクエストが、ユーザ由来の広告リクエストであるか否かを判定する。
【0167】
例えば、クローラ(ボット、ロボット、スパイダー等とも呼ばれる)によっては、インターネット上を徘徊し、広告コンテンツをクリックするものがある。しかしながら、SSP装置60は、受信した広告リクエストがユーザ(人)が広告コンテンツを選択したことによる広告リクエスト(ユーザ由来の広告リクエスト)であるのか、クローラが広告コンテンツを選択したことによる広告リクエスト(クローラ由来の広告リクエスト)であるのかまでは判定せずに、とにかく広告リクエストを受信すれば入札要求を送信する場合がある。
【0168】
例えば、情報処理装置100は、クローラ由来の広告リクエストにより発生した入札要求に応じて入札を行った場合、無駄な入札を行うことになり、また、無駄に資金を使ってしまうことになる。したがって、情報処理装置100の判定部136は、このような状況を回避するために、広告枠に対応する広告リクエストが、ユーザ由来の広告リクエストであるか否かを判定する。例えば、ユーザは、端末装置10を介して広告コンテンツを選択するため、ユーザ由来の広告リクエストには、端末装置10の識別情報(端末ID)が含まれる。一方、クローラ由来の広告リクエストには、端末装置10の識別情報が含まれない。
【0169】
このため、判定部136は、受信部134により入札要求が受信された場合に、例えば、SSP装置60にアクセスし、かかる入札要求に対応する広告リクエストに端末IDが含まれているか否かを判定する。そして、判定部136は、端末IDが含まれている場合には、入札要求に対応する広告リクエストはユーザ由来の広告リクエストであるため、入札対象の広告リクエストであると判定する。
【0170】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、クローラ由来の広告リクエストにより発生した入札要求に対して入札してしまうことを防止することができるため、無駄な入札による無駄な浪費を防止することができる。なお、上述した、広告リクエストがユーザ由来であるのかクローラ由来であるのかを判定する判定処理は一例であり、判定部136がどのような手法で判定処理を行うかは限定されない。
【0171】
〔5−2.情報処理装置の構成〕
上記実施形態では、
図3に示す通り、情報処理装置100が広告情報記憶部121および広告制御部135を有していることにより、情報処理装置100が入札対象の広告コンテンツを決定する例を示した。しかし、情報処理装置100以外のサーバ装置であって情報処理装置100と協働するサーバ装置によって、入札対象の広告コンテンツが決定されてもよい。かかる場合、このサーバ装置は、広告情報記憶部121および広告制御部135を有する。
【0172】
〔5−3.期待落札率を用いた試行繰り返しについて〕
上記実施形態では、情報処理装置100が、時間帯毎に期待落札率を変えることにより当該期待落札率に基づく入札額で当該時間帯で入札を行うといった入札の試行を繰り返し、例えば当日中に目標落札率により近付けるといった処理を行う例を示した。しかしながら、情報処理装置100は、所定の時間帯(例えば、7時台)のうちに目標落札率に収束させるために、この所定の時間帯の中で期待落札率を変えることにより、この所定の時間帯の中で入札の試行を繰り返してもよい。
【0173】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態にかかる情報処理装置100は、例えば
図14に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図14は、情報処理装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0174】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0175】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、通信網50を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網50を介して他の機器へ送信する。
【0176】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを、入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0177】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0178】
例えば、コンピュータ1000が実施形態にかかる情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部120内のデータが格納される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを、記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、通信網50を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0179】
〔7.その他〕
上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0180】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0181】
また、上述してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0182】
〔8.効果〕(クレーム1)
実施形態にかかる情報処理装置100は、広告コンテンツが表示される広告枠に対応する広告リクエストに応じて入札を行う情報処理装置100であって、取得部131と、決定部138とを有する。取得部131は、所定の入札額で入札した場合に、情報処理装置100に入稿されている広告コンテンツにおける落札に対する落札状況の実績に関する実績情報を取得する。決定部138は、取得部131により取得された実績情報と、落札状況に関する目標値とに基づいて、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額を決定する。
【0183】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、情報処理装置100を管理する事業主が望むような落札率を実現可能な最適な入札額を決定することができる。すなわち、情報処理装置100は、広告配信に伴う適切な入札額を決定することができる。
【0184】
(クレーム2)
また、取得部131は、落札状況として、所定の入札額で入札した場合に、情報処理装置100に入稿されている広告コンテンツが広告枠に対する表示対象の広告コンテンツとなった確率である落札率の実績に関する実績情報を取得する。
【0185】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、情報処理装置100を管理する事業主が望むような落札率を実現可能な最適な入札額を決定することができる。
【0186】
(クレーム3)
また、取得部131は、実績情報に基づき算出されたモデルであって、所定の入札額と前記落札率との相関を示す相関モデルを取得する。
【0187】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、実現したい落札率がある場合に、どの程度の入札額で入札すればよいかを予測することができる。
【0188】
(クレーム4)
また、決定部138は、落札状況に関する目標値として、広告枠に対応する広告リクエストに応じて入札した際の落札率の目標値である目標落札率を相関モデルに入力することにより算出された入札額に基づいて、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額を決定する。
【0189】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、目標落札率を実現するにはどの程度の入札額で入札すればよいかを予測することができる。
【0190】
(クレーム5)
また、実施形態にかかる情報処理装置100は、算出部137を有する。算出部137は、決定部138により決定された入札額で入札した場合の落札率を目標落札率へと収束させるために、決定部138により決定された入札額での入札の試行を繰り返すうえで、決定部138により決定された今回の入札額での入札で期待される落札率である期待落札率を算出する。そして、決定部138は、算出部137により算出された期待落札率を相関モデルに入力することにより算出された入札額に基づいて、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額として、今回の入札額を決定する。
【0191】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、目標落札率を実現するための入札額を高精度に決定することができるため、広告配信に伴う適切な入札額を精度よく決定することができる。
【0192】
(クレーム6)
また、決定部138は、期待落札率を相関モデルに入力することにより算出された入札額と、広告枠に対応する広告リクエストを送信した送信元のユーザに対して設定される範囲であって、入札可能な入札額の範囲を示す範囲情報とに基づいて、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額を決定する。
【0193】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、安全に収益を高めることができる入札額で入札することができる。
【0194】
(クレーム7)
また、決定部138は、期待落札率を相関モデルに入力することにより算出された入札額が範囲情報が示す範囲内である場合には、期待落札率を前記相関モデルに入力することにより算出された入札額を、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額として決定する。
【0195】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、安全に収益を高めることができる入札額で入札することができる。
【0196】
(クレーム8)
また、決定部138は、期待落札率を相関モデルに入力することにより算出された入札額が範囲情報が示す範囲の最大値であって入札可能な入札額の最大値より大きい場合には、最大値が示す額を、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額として決定する。
【0197】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、安全に収益を高めることができる最大の入札額で入札することができる。
【0198】
(クレーム9)
また、決定部138は、期待落札率を前記相関モデルに入力することにより算出された入札額が範囲情報が示す範囲の最小値であって入札可能な入札額の最小値より小さい場合には、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札を行わないよう決定する。
【0199】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、安全に収益を高めることができない場合、すなわち損害がでる可能性が高い場合には、入札を中止することができる。
【0200】
(クレーム10)
また、実施形態にかかる情報処理装置100は、判定部136を有する。判定部136は、広告枠に対応する広告リクエストが受信された場合に、当該広告リクエストが決定部138により決定された入札額で入札される入札対象の広告リクエストであるか否かを判定する。そして、決定部138は、判定部136により広告枠に対応する広告リクエストが入札対象の広告リクエストであると判定された場合に、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額を決定する。
【0201】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、例えば、情報処理装置100を管理する事業主が必要とする広告リクエストに対してのみ入札を行うことができるため、不要な広告リクエストに入札してしまうことを防止することができる。
【0202】
(クレーム11)
また、判定部136は、広告枠に対応する広告リクエストが、広告枠を含むコンテンツに対応する正規な広告リクエストである場合に、広告枠に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定する。
【0203】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、出所が不明な広告リクエストやダミーの広告リクエストに対して入札してしまうことを防止することができる。
【0204】
(クレーム12)
また、判定部136は、広告枠に表示された広告コンテンツの評価値に基づいて、広告枠に対応する広告リクエストが入札対象の広告リクエストであるか否かを判定する。
【0205】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、広告効果が見込めない広告枠に対応する広告リクエストに対して入札してしまうことを防止することができる。
【0206】
(クレーム13)
また、判定部136は、評価値が所定値より高い場合には、広告枠に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定する。
【0207】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、広告効果が見込めない広告枠に対応する広告リクエストに対して入札してしまうことを防止することができる。
【0208】
(クレーム14)
また、判定部136は、広告枠に対応する広告リクエストが、ユーザ由来の広告リクエストである場合に、広告枠に対応する広告リクエストは入札対象の広告リクエストであると判定する。
【0209】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、クローラ由来の広告リクエストにより発生した入札要求に対して入札してしまうことを防止することができるため、無駄な入札による無駄な浪費を防止することができる。
【0210】
(クレーム15)
また、決定部138は、広告枠に対応する広告リクエストに対する入札額として、情報処理装置100に入稿されている広告コンテンツが広告枠において所定回数表示された場合に情報処理装置100の事業主が支払う金額を決定する。
【0211】
これにより、実施形態にかかる情報処理装置100は、CPMでの入札に対応することができる。
【0212】
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0213】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。