(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器を振動させる機能を有するアクチュエータは、一般に、固定部と、当該固定部に対して一軸方向に沿って往復運動する可動部と、当該可動部を駆動する駆動部と、を備える場合が多い。特許文献1及び2に記載のアクチュエータでは、駆動部としてのコイル及び永久磁石が、固定部及び可動部にそれぞれ設けられる。
【0005】
ところで、特許文献3に記載のアクチュエータのように、駆動部としてのコイル及び永久磁石が、可動部及び固定部にそれぞれ設けられるムービングコイル型のアクチュエータがある。たとえば導線によって往復運動するコイルに電流を供給する場合、導線をコイルに追随させる構成が求められるとともに、可動部の質量をより大きくして振動量を確保することが求められる。すなわち、可動部にコイルが設けられるアクチュエータにおいて、可動部の質量をより大きくしながら、コイルに電力を供給する導線を当該コイルに良好に追随させることが可能な技術が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題などを解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0007】
本発明の一の手段は、
永久磁石(42、43)を有する固定部(4)と、
コイル(21)を有し、前記固定部に対して移動自在な可動部(2)と、
前記可動部の移動方向(z軸方向)側に設けられる弾性部材(31)と、
前記コイルに電力を供給し、屈曲しながら前記弾性部材と並んで設けられる導線(34、35)と、を備える、
アクチュエータである。
【0008】
上記構成のアクチュエータによれば、導線の一部が可動部のコイルに追随して引っ張られたり押し戻されたりして振動しても、導線の屈曲度合いを変化させて振動を吸収することができるので、導線の変形量を抑制しながら振動を吸収することができる。また、導線が弾性部材と並んで設けられることで、弾性部材が弾性変形するための空間を有効活用して導線を設けることができるので、導線の弾性変形用の空間を確保するために可動部の設計の自由度が損なわれることを防ぐことができる。これにより、可動部にコイルが設けられるアクチュエータにおいて、可動部の質量をより大きくしながら、コイルに電力を供給する導線を当該コイルに良好に追随させることができる。
【0009】
上記アクチュエータにおいて、好ましくは、
前記弾性部材は、板状部材を折り曲げた板ばねである。
【0010】
上記構成のアクチュエータによれば、より小さいスペースで可動部の振動エネルギーを吸収することができるので、アクチュエータをより小型にすることができる。
【0011】
上記アクチュエータにおいて、好ましくは、
前記導線は、前記導線の屈曲の向きと前記板ばねの屈曲の向きとが揃うように設けられる。
【0012】
上記構成のアクチュエータによれば、板ばねと導線とを並んで設ける場合において、板ばねと導線とをより近接して配置することができるので、板ばねが弾性変形するための空間をより有効に活用して導線を屈曲させることができる。これにより、導線の弾性変形用の空間を確保するために可動部の設計の自由度が損なわれることをより確実に防ぐことができる。
【0013】
上記アクチュエータにおいて、好ましくは、
前記導線は、前記板ばねの内部において屈曲するように設けられる。
【0014】
上記構成のアクチュエータによれば、導線の弾性変形用の空間を板ばねの内部に含めることができるので、板ばねが弾性変形するための空間をより有効に活用して導線を屈曲させることができる。これにより、導線の弾性変形用の空間を確保するために可動部の設計の自由度が損なわれることをより確実に防ぐことができる。
【0015】
上記アクチュエータにおいて、好ましくは、
前記板ばねは、
前記板状部材の折り曲げ部(31c)と、
前記固定部に固定される第1端(31a)と、
前記可動部に固定される第2端(31e)と、
前記第1端から前記折り曲げ部に向かって延びる第1の延伸部(31b)と、
前記第2端から前記折り曲げ部に向かって延びる第2の延伸部(31d)と、を有し、
前記導線は、前記第2の延伸部に沿うように設けられる。
【0016】
上記構成のアクチュエータによれば、導線の一部が可動部のコイルに追随して引っ張られたり押し戻されたりして振動しても、変形量のより小さい第2の延伸部に沿って導線を設けることができるので、導線を安定させることができる。
【0017】
上記アクチュエータにおいて、好ましくは、
柔軟性を有し、前記導線の少なくとも一部が設けられる基板(33)をさらに備える。
【0018】
上記構成のアクチュエータによれば、たとえばFPC(Flexible Printed Circuits)の基板に導線を設けることができるので、導線が絡まることを防ぎながらFPC及び導線を弾性変形させることができる。これにより、導線の一部またはFPCが可動部のコイルに追随して引っ張られたり押し戻されたりして振動しても、FPC及び導線の変形量を抑制しながら振動を吸収することができる。
【0019】
上記いずれかのアクチュエータは、パーソナルコンピュータ、スマートホン及びタブレットなどの電子機器(100)に好適に適用される。
【0020】
上記構成の電子機器によれば、アクチュエータにおいて、導線の一部が可動部のコイルに追随して引っ張られたり押し戻されたりして振動しても、導線の屈曲度合いを変化させて振動を吸収することができるので、導線の変形量を抑制しながら振動を吸収することができる。また、導線が弾性部材と並んで設けられることで、弾性部材が弾性変形するための空間を有効活用して導線を設けることができるので、導線の弾性変形用の空間を確保するために可動部の設計の自由度が損なわれることを防ぐことができる。これにより、可動部にコイルが設けられるアクチュエータにおいて、可動部の質量をより大きくしながら、コイルに電力を供給する導線を当該コイルに良好に追随させることができる。これにより、振動量の大きな振動を電子機器に与えることができるので、電子機器の操作感を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のアクチュエータは、永久磁石を含む固定部と、コイルを有し、固定部に対して移動自在な可動部と、可動部の移動方向側に設けられる弾性部材と、を備える構成において、導線が、コイルに電力を供給し、屈曲しながら弾性部材と並んで設けられる構成としている点を特徴のひとつとする。
【0023】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.本実施形態
2.補足事項
【0024】
<1.本実施形態>
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のリニアモータの斜視図である。
図2は、本実施形態のリニアモータの正面図である。
図3は、本実施形態のリニアモータの
図2の切断線III−IIIの位置における断面図である。
図4は、本実施形態のリニアモータの
図2の切断線IV−IVの位置における断面図である。
図5は、本実施形態のリニアモータの
図2の切断線V−Vの位置における断面図である。なお、
図1及び
図2では、ケース44を図示していない。また、
図1、
図2及び
図5では、接続部5を図示していない。
【0025】
各図面にはx軸、y軸およびz軸を示している。可動部2の移動する方向(以下、移動方向と称することがある。)に平行な軸であって、FPC33の設けられない板ばね32から見てFPC33の設けられる板ばね31へ向いている軸を「z軸」と定義する。z軸に垂直な軸であって、駆動マグネット42から見て溝22gへ向いている軸を「x軸」と定義する。また、z軸およびx軸の両方に垂直な軸であって、駆動マグネット43から見て駆動マグネット42へ向いている軸を「y軸」と定義する。ここでは、x軸、y軸およびz軸は、右手系の3次元の直交座標を形成する。以下、z軸の矢印方向をz軸+側、矢印とは逆方向をz軸−側と呼ぶことがあり、その他の軸についても同様である。
【0026】
<リニアモータ1>
図1〜
図5に示されるように、本実施形態のリニアモータ1は、可動部2、板ばね31及び32、固定部4、接続部5並びにFPC33を含んで構成される。リニアモータ1は、たとえば、スマートホン、タブレット、ラップトップコンピュータ(ノートPC)またはゲームコントローラなどの電子機器に取り付けられる。リニアモータ1は、本発明でいう「アクチュエータ」の一具体例である。
【0027】
<固定部4>
固定部4は、地板41、駆動マグネット42及び43、ケース44並びにバックヨーク45を含んで構成される。固定部4は、電子機器に固定される固定部として機能する。
【0028】
<地板41>
地板41は、略矩形の断面を有する板状の部材であり、y軸+側に向いた第1面と、y軸−側に向いた第2面と、を有する。本実施形態では、地板41は、たとえば鉄などの強磁性体によって形成され、駆動マグネット43などからの磁束が固定部4の外側に漏れることを抑制する。地板41のz軸+側の端部には、z軸+側へ向かって突出する突出部41aが設けられる。
【0029】
<ケース44>
ケース44は、地板41と共にリニアモータ1の筐体(ケース)を形成する部材であって、樹脂または金属などによって形成される(
図1〜
図3参照)。ケース44は、y軸−側が地板41と連結可能に開放された凹形状を有する。ケース44と地板41とが連結されることで、可動部2、板ばね31及び32、接続部5、FPC33、駆動マグネット42及び43並びにバックヨーク45などを収容する空間が形成される。ここで、地板41のy軸+側に向いた面と対向するケース44の内面を底面44aと定義する(
図3〜
図5参照)。
【0030】
<バックヨーク45>
バックヨーク45は、駆動マグネット42の断面と略同じ断面を有する板状の部材であり、y軸+側に向いた第1面と、y軸−側に向いた第2面と、を有する。本実施形態では、バックヨーク45は、たとえば鉄などの強磁性体によって形成され、駆動マグネット42などからの磁束が固定部4の外側に漏れることを抑制する。バックヨーク45は、たとえば、ケース44の底面44aの略中央に第1面が接着されることでケース44に固定される。駆動マグネット42及び43は、本発明でいう「永久磁石」の一具体例である。
【0031】
<駆動マグネット42及び43>
マグネット42及び43は、コイル21を挟んで互いに対向する。本実施形態では、駆動マグネット42は、板状の永久磁石であり、y軸+側に向いた第1面と、y軸−側に向いた第2面と、を有する。駆動マグネット42は、固定部4に固定される。本実施形態では、駆動マグネット42は、たとえば、駆動マグネット42の側面とバックヨーク45の側面とが揃う配置で、第1面がバックヨーク45の第2面に接着されることでケース44に固定される。
【0032】
駆動マグネット43は、駆動マグネット42と略同じ形状を有する板状の永久磁石であり、y軸+側に向いた第1面と、y軸−側に向いた第2面と、を有する。駆動マグネット43は、コイル21を挟んで駆動マグネット42と対向するように固定部4に固定される。本実施形態では、駆動マグネット42は、たとえば、地板41のy軸+側の面の略中央に第2面が接着されることで地板41に固定される。
【0033】
<可動部2>
可動部2は、コイル21及び分銅22を含んで構成される。可動部2は、移動方向に沿って固定部4に対して移動自在である。
【0034】
<分銅22>
分銅22は、固定部4に面する面状部を有し、外形が略矩形の環状の部材である。詳細には、分銅22は、たとえばタングステンなどの密度の大きい材料によって形成される。分銅22は、ケース44の底面44aと対向するy軸+側に向いた第1面22aと、地板41の第1面と対向するy軸−側に向いた第2面22bと、を有する。底面44aと第1面22aとの間は、所定の間隔が空けられる。地板41の第1面と第2面22bとの間は、所定の間隔が空けられる。分銅22は、本発明でいう「錘部」の一具体例である。
【0035】
分銅22の第1面22aの略中央には、y軸に平行な貫通孔22cが設けられる。貫通孔22cには、退避空間23a、格納空間23b及び退避空間23cが、y軸+側からy軸−側にこの順で連続するように形成される(
図3及び
図4参照)。
【0036】
退避空間23cは、地板41からy軸+側に向かって貫通孔22cに突出する駆動マグネット43を収容可能な空間である。詳細には、退避空間23cは、分銅22が往復運動しても分銅22と駆動マグネット43とが物理的に干渉しない断面を有する。格納空間23bは、コイル21を収容可能な空間である。詳細には、格納空間23bの断面は、コイル21の断面より若干大きい。退避空間23aは、ケース44の底面44aからy軸−側に向かって貫通孔22cに突出する駆動マグネット42を収容可能な空間である。詳細には、退避空間23aは、コイル21を通過させることが可能であり、分銅22が往復運動しても分銅22と駆動マグネット42とが物理的に干渉しない断面を有する。
【0037】
第1面22aには、貫通孔22cと分銅22の外面とをつなぐ溝22gが設けられる。溝22gの延びる方向は、可動部2の移動方向と直交する。詳細には、溝22gは、第1面22aにおいて、貫通孔22cのx軸+側を掘り下げることで形成され、コの字状の断面を有し、x軸に平行に延びる。溝22gは、退避空間23aと分銅22のx軸+側の側面22mとをつなぐ。ケース44と地板41とが組み合わされた状態では、ケース44の底面44aと分銅22との間に分銅22の外部と貫通孔22cとをつなぐ導入空間23dが形成される(
図3及び
図5参照)。
【0038】
側面22mでは、z軸+側の端部において、段部22iが、第1面22aから第2面22bにわたって形成される。側面22mと段部22iとの段差は、板ばね31の厚さ及びFPC33の厚さの合計より若干大きい。また、側面22mでは、y軸+側の端部において、段部22hが、溝22gから段部22iに連続するように形成される。側面22mと段部22hとの段差は、FPC33の厚さより若干大きい。
【0039】
分銅22のx軸−側の側面22nでは、z軸−側の端部において、段部22jが、第1面22aから第2面22bにわたって形成される。側面22nと段部22jとの段差は、板ばね32の厚さより若干大きい。
【0040】
<コイル21>
コイル21は、貫通孔22cの内部に設けられる。詳細には、コイル21は、貫通孔22cにおける格納空間23bに設けられ、環状を有する。コイル21は、駆動マグネット42の第2面と対向するy軸+側に向いた第1面と、駆動マグネット43の第1面と対向するy軸−側に向いた第2面と、を有する。コイル21の第1面と駆動マグネット42の第2面との間は、所定の間隔が空けられる。駆動マグネット43の第1面とコイル21の第2面との間は、所定の間隔が空けられる。コイル21は、第1端と第2端とを有する単一の線材(以下、巻線と称することがある。)が所定の巻回方向に巻回されて形成される。
【0041】
<板ばね31>
図6は、本実施形態のリニアモータの断面図である。
図7は、本実施形態のリニアモータの斜視図である。
図6には、
図5の切断線VI−VIにおける断面図が示される。
図6及び
図7には、分銅22に対するz軸+側の拡大図が示される。なお、
図7では、ケース44を図示していない。また、
図7では、接続部5を図示していない。
図1〜
図7に示されるように、板ばね31は、可動部2の移動方向側に設けられる。板ばね31は、本発明でいう「弾性部材」の一具体例である。
【0042】
板ばね31は、可動部2に対するz軸+側に設けられる。詳細には、板ばね31は、ケース44のz軸+側の内周面44b(
図4〜
図6参照)と分銅22との間に設けられる。板ばね31は、第1端31a、延伸部31b及び31d、U字部31c並びに第2端31eを含んで構成される。板ばね31は、単一の板状部材が折れ曲がった形状を有し、第1端31a、延伸部31b、U字部31c、延伸部31d及び第2端31eの順に連続する。U字部31cは、本発明でいう「折り曲げ部」の一具体例である。
【0043】
第1端31aは、固定部4に固定される。第2端31eは、可動部2に固定される。U字部31cは、板状部材がU字に折り曲がった形状をする。延伸部31bは、第1端31aからU字部31cに向かって延びる。延伸部31dは、第2端31eからU字部31cに向かって延びる。
【0044】
詳細には、第1端31aは、ケース44の内周面44bのx軸+側に固定される。延伸部31bは、第1端31aと接続し、x軸−側へ向かいながら側面22pへ近づくように延伸する。U字部31cは、z軸+側の端部において延伸部31bと接続し、板ばね31の板状部材の延伸方向を、側面22pへ近づきながらx軸+側へ変換する。延伸部31dは、U字部31cのz軸−側の端部と接続し、x軸+側へ向かいながら側面22pへ近づくように延伸する。第2端31eは、分銅22における段部22iと側面22pとの接続部分においてy軸に平行な折れ線を介して延伸部31dと接続し、分銅22の段部22iに固定される。
【0045】
このように、第2端31eが段部22iに固定されることで、板ばね31が分銅22の側面22mからはみ出ることを防ぎながら、分銅22の質量を増大させることができる。板ばね31は、移動方向に沿った分銅22の移動に基づき形状が変形することで、移動した分銅22に対して復元力を与える。
【0046】
<板ばね32>
板ばね32は、可動部2に対するz軸−側に設けられる。詳細には、板ばね32は、ケース44のz軸−側の内周面44c(
図4〜
図6参照)と分銅22との間に設けられる。板ばね32は、第1端32a、延伸部32b及び32d、U字部32c並びに第2端32eを含んで構成される。板ばね32は、単一の板状部材が折れ曲がった形状を有し、第1端32a、延伸部32b、U字部32c、延伸部32d及び第2端32eの順に連続する。
【0047】
詳細には、第1端32aは、ケース44の内周面44cのx軸−側に固定される。延伸部32bは、第1端32aと接続し、x軸+側へ向かいながら側面22oへ近づくように延伸する。U字部32cは、z軸−側の端部において延伸部32bと接続し、板ばね32の板状部材の延伸方向を、側面22oへ近づきながらx軸−側へ変換する。延伸部32dは、U字部32cのz軸+側の端部と接続し、x軸−側へ向かいながら側面22oへ近づくように延伸する。第2端32eは、分銅22における段部22jと側面22oとの接続部分においてy軸に平行な折れ線を介して延伸部32dと接続し、分銅22の段部22jに固定される。
【0048】
このように、第2端32eが段部22jに固定されることで、板ばね32が分銅22の側面22nからはみ出ることを防ぎながら、分銅22の質量を増大させることができる。板ばね32は、分銅22の移動方向に沿った移動に基づき形状が変形することで、移動した分銅22に対して復元力を与える。
【0049】
<FPC33>
FPC33は、柔軟性を有する基板であり、コイル21に電力を供給する導線34及び35を含む。FPC33は、端子部33a及び33f、延伸部33b、33c及び33e並びに屈曲部33dを含んで構成される。FPC33は、端子部33a、延伸部33b、延伸部33c、屈曲部33d、延伸部33e及び端子部33fの順に連続する。
【0050】
導線34及び35は、電気導電率の大きい金属によって形成された線状の部材であり、被覆されながらFPC33上に配線される。本実施形態では、導線34は、端子部33aにおいて露出した第1端と、端子部33fにおいて露出した第2端と、を有し、FPC33上にパターン形成された銅箔である。導線35は、端子部33aにおいて露出した第1端と、端子部33fにおいて露出した第2端と、を有し、FPC33上にパターン形成された銅箔である。
【0051】
FPC33は、屈曲しながら板ばね31と並んで設けられる。本実施形態では、FPC33は、板ばね31の内部において、FPC33の屈曲の向きと板ばね31の屈曲の向きとが揃うように設けられる。また、FPC33は、板ばね31の内部において屈曲するように設けられる。
【0052】
詳細には、端子部33aは、zx面に平行な表面を有しており、分銅22の溝22gの底面に設けられる。延伸部33bは、yz面に平行な表面を有しており、板ばね31の第2端31e及び段部22hに当接するように設けられる。延伸部33bは、分銅22における溝22g及び段部22hの接続部分においてz軸に平行な折れ線を介して端子部33aと接続し、z軸+側へ向かって延伸する。
【0053】
延伸部33cは、板ばね31の延伸部31dに沿うように設けられる。本実施形態では、延伸部33cは、y軸に平行な折れ線を介して延伸部33bと接続し、板ばね31の延伸部31dのz軸+側の面に当接しながら延伸する。具体的には、延伸部33cは、当該折れ線を介して延伸部33bと接続し、x軸−側へ向かいながら側面22pから離れるように延伸する。
【0054】
屈曲部33dは、板ばね31の延伸部31bと延伸部31dとの間に位置する。屈曲部33dは、z軸−側の端部において延伸部33cと接続し、FPC33の延伸方向を、側面22pから離れながらx軸+側へ変換する。
【0055】
延伸部33eは、屈曲部33dのz軸+側の端部と接続し、x軸+側へ向かいながら側面22pから離れるように延伸する。端子部33fは、zx面に平行な表面を有しており、x軸に平行な折れ線を介して延伸部33eと接続し、地板41の突出部41aに設けられる。
【0056】
<接続部5>
接続部5は、溝22gに位置し、導線34及び35とコイル21とを接続する。本実施形態では、接続部5は、コイル21の巻線の第1端と導線34の第1端とを接続するとともに、コイル21の巻線の第2端と導線35の第1端とを接続する。詳細には、接続部5は、溝22gとケース44の底面44aとの間に形成される導入空間23dに設けられる。導入空間23dにおいて、端子部33aでは、コイル21の巻線の第1端と導線34の第1端とがはんだ(図示しない)によって電気的に接続されるともに、コイル21の巻線の第2端と導線35の第1端とがはんだ5aによって電気的に接続される(
図3参照)。このように、接続部5を導入空間23dに設けることで、はんだの盛り上がりを導入空間23dに収容することができるので、はんだとケース44とが接触する可能性を低減することができる。なお、接続部5は、コイル21の巻線の第1端と導線35の第1端とを接続するとともに、コイル21の巻線の第2端と導線34の第1端とを接続してもよい。
【0057】
<携帯情報端末100>
図8は、本実施形態の携帯情報端末の斜視図である。携帯情報端末100は、リニアモータ1及びタッチ操作パネル50を含んで構成される。携帯情報端末100は、タッチ操作パネル50を備える家電製品である。具体的には、携帯情報端末100は、たとえばスマートホンである。なお、携帯情報端末100は、タブレット、ラップトップコンピュータまたはゲームコントローラなどであってもよい。携帯情報端末100は、本発明でいう「電子機器」の一具体例である。
【0058】
タッチ操作パネル50は、たとえばタッチディスプレイである。携帯情報端末100は、タッチ操作パネル50のタッチ操作に応じてリニアモータ1を振動させるように構成される。リニアモータ1は、可動部2の質量が大きいので、良好な振動特性を有する。これにより、たとえば、素早いタッチ操作の繰り返しに対応して携帯情報端末100の振動と停止を繰り返す場合においても、良好な応答性を得ることができる。なお、タッチ操作パネル50が、タッチパッドである構成であってもよい。また、リニアモータ1は、タッチ操作パネル50を有しない電子機器に設けられる構成であってもよい。
【0059】
上記構成のリニアモータによれば、導線34及び35の一部が可動部2のコイル21に追随して引っ張られたり押し戻されたりして振動しても、導線34及び35の屈曲度合いを変化させて振動を吸収することができるので、導線34及び35の変形量を抑制しながら振動を吸収することができる。また、導線34及び35が弾性部材と並んで設けられることで、弾性部材が弾性変形するための空間を有効活用して導線34及び35を設けることができるので、導線34及び35の弾性変形用の空間を確保するために可動部2の設計の自由度が損なわれることを防ぐことができる。これにより、可動部2にコイル21が設けられるリニアモータ1において、可動部2の質量をより大きくしながら、コイル21に電力を供給する導線34及び35をコイル21に良好に追随させることができる。
【0060】
上記構成のリニアモータでは、弾性部材が、板状部材を折り曲げた板ばね31であるため、より小さいスペースで可動部2の振動エネルギーを吸収することができるので、リニアモータ1をより小型にすることができる。
【0061】
上記構成のリニアモータでは、導線34及び35が、導線34及び35の屈曲の向きと板ばね31の屈曲の向きとが揃うように設けられるため、板ばね31と導線34及び35とを並んで設ける場合において、板ばね31と導線34及び35とをより近接して配置することができる。これにより、板ばね31が弾性変形するための空間をより有効に活用して導線34及び35を屈曲させることができるので、導線34及び35の弾性変形用の空間を確保するために可動部2の設計の自由度が損なわれることをより確実に防ぐことができる。
【0062】
上記構成のリニアモータでは、導線34及び35が、板ばね31の内部において屈曲するように設けられるため、導線34及び35の弾性変形用の空間を板ばね31の内部に含めることができるので、板ばね31が弾性変形するための空間をより有効に活用して導線34及び35を屈曲させることができる。これにより、導線34及び35の弾性変形用の空間を確保するために可動部2の設計の自由度が損なわれることをより確実に防ぐことができる。
【0063】
上記構成のリニアモータでは、板ばね31が、板状部材のU字部31cと、ケース44に固定される第1端31aと、可動部2に固定される第2端31eと、第1端31aからU字部31cに向かって延びる延伸部31bと、第2端31eからU字部31cに向かって延びる延伸部31dと、を有し、導線34及び35が、延伸部31dに沿うように設けられる。これにより、導線34及び35の一部が可動部2のコイル21に追随して引っ張られたり押し戻されたりして振動しても、変形量のより小さい延伸部31dに沿って導線34及び35を設けることができるので、導線34及び35を安定させることができる。
【0064】
上記構成のリニアモータが、コイルに電力を供給する導線34及び35が、柔軟性を有する基板に設けられるため、たとえばFPC33の基板に導線34及び35を設けることができるので、導線34及び35が絡まることを防ぎながらFPC33及び導線34及び35を弾性変形させることができる。これにより、導線34及び35の一部またはFPC33が可動部2のコイル21に追随して引っ張られたり押し戻されたりして振動しても、FPC33及び導線34及び35の変形量を抑制しながら振動を吸収することができる。
【0065】
<2.補足事項>
以上、本発明の実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明では、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0066】
本実施形態のアクチュエータでは、板ばね31及び32が「弾性部材」の一具体例である構成について説明したが、コイルばねまたはぜんまいばねなどの他の種類のばねが「弾性部材」の一具体例となる構成であってもよい。
【0067】
また、本実施形態のアクチュエータでは、導線34及び35が被覆されながらFPC33上に配線される構成について説明したが、被覆された導線34及び35がそのまま配線される構成であってもよい。
【0068】
また、本実施形態のアクチュエータでは、導線34及び35の全部がFPC33上に配線される構成について説明したが、導線34及び35の一部がFPC33上に配線される構成であってもよい。