(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る加熱調理器の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器が設置されたキッチン家具の斜視図である。
図1に示すように、キッチン家具200には、加熱調理器100が組み込まれている。キッチン家具200の内部には加熱調理器100の筐体1(
図2参照)が嵌め込まれる収容部(図示せず)が形成され、キッチン家具200の天面には作業台として使用される平板状の天板201が設けられている。加熱調理器100がキッチン家具200に組み込まれた状態において、天板201の上に加熱調理器100のトッププレート2が露出している。トッププレート2には、一又は複数の加熱口が設けられており、
図1では説明のために、トッププレート2の上で加熱される調理容器70を併せて図示している。
【0012】
キッチン家具200の内部には、調理器具や調味料などの収納物が収納されるキッチン収納庫202が設けられている。キッチン家具200の前面には、キッチン収納庫202の前面に形成された開口を開閉するキッチン収納庫扉203が設けられている。キッチン収納庫扉203には、キッチン収納庫扉203が開閉されるときに取っ手として使用される手掛部204が設けられている。使用者が手掛部204を手前側に引くと、手掛部204が設けられたキッチン収納庫扉203が開く。キッチン収納庫扉203は、奥行き方向にスライド移動する構成としてもよいし、キッチン収納庫扉203の側方、下方又は上方に取り付けられたヒンジを介して開閉される構成であってもよい。なお、本明細書において加熱調理器100の「前面」、キッチン家具200の「前面」というときには、加熱調理器100又はキッチン家具200の使用者と対向する面をいうものとする。
【0013】
加熱調理器100の前面には、加熱調理器100内の収納庫20(
図3参照)の前面に設けられた開口部を開閉する収納庫扉22が露出している。
【0014】
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器の斜視図である。加熱調理器100は、内部に部品を収納する金属で構成された筐体1を有し、この筐体1の上には被加熱物である調理容器が載置されるトッププレート2が設けられている。トッププレート2は、例えば耐熱性ガラスやセラミック等の非金属材料で構成され、本実施の形態では周囲を金属製の枠で囲まれている。
【0015】
加熱調理器100は、第1加熱口である加熱口3aと、第2加熱口である加熱口3bと、加熱口3cとを備えている。トッププレート2の表面又は裏面には、被加熱物が載置される加熱口3a〜3cの位置の目印となる表示が施されている。
【0016】
図3は、実施の形態1に係る加熱調理器の分解斜視図である。加熱調理器100の筐体1は、上面を開口した概ね箱型の形状を有する。加熱調理器100の筐体1の内部には、トッププレート2の上に載置される被加熱物の加熱手段として、第1加熱コイル6と、第2加熱コイル7と、ラジエントヒーター8とが設けられている。第1加熱コイル6、第2加熱コイル7及びラジエントヒーター8は、それぞれ、加熱口3a、加熱口3b及び加熱口3cに対応して設けられている。本実施の形態では、第1加熱コイル6と第2加熱コイル7とが筐体1の幅方向に並んで筐体1内の手前側に配置され、ラジエントヒーター8が、第1加熱コイル6及び第2加熱コイル7の間であってこれらの奥側に配置されている。なお、本実施の形態では複数の加熱手段が設けられていればよく、ラジエントヒーター8に代えて加熱コイルを設けてもよい。また、
図3の例では複数の加熱手段が前後二列に配置されているが、複数の加熱手段が筐体1の幅方向に一列に配置されていてもよい。
【0017】
筐体1の内部には、第1加熱コイル6及び第2加熱コイル7に高周波電流を供給するインバータである駆動回路、ラジエントヒーター8に電源を供給する回路及び制御回路が実装された回路基板10が収容されている。加熱調理器100の制御回路は、使用者からの操作入力に基づいて加熱手段を制御して、トッププレート2の上に載置される被加熱物を加熱する。また、加熱調理器100は、予め定められた制御シーケンスにしたがった加熱制御が行われる調理メニューを備えていてもよい。
【0018】
筐体1の内部であって、第1加熱コイル6の後方には、送風機9が設けられている。送風機9は、筐体1内に冷却風を送出し、回路基板10に実装された発熱部品及び第1加熱コイル6及び第2加熱コイル7を冷却する。本実施の形態の送風機9は、複数の羽根と、羽根を回転させるモータと、羽根及びモータを収容するケーシングとを含んでいる。
【0019】
筐体1の内部には、概ね直方体の収納庫20が区画形成されている。収納庫20を筐体1内に区画形成する壁を、隔壁21と総称する。収納庫20の前面には開口部が設けられており、この開口部を、収納庫扉22が開閉する。
【0020】
収納庫扉22には、上面を開口した箱状の収納庫ケース23が接続されている。収納庫扉22及び収納庫ケース23を、収納庫20の隔壁21に対して変位可能に支持する開閉機構として、本実施の形態では、固定レール24及び可動レール25が設けられている。左右一対の固定レール24は、収納庫20の隔壁21の左右の内面にそれぞれ設けられている。同じく左右一対の可動レール25は、収納庫ケース23の左右の側面の下部にそれぞれ設けられている。可動レール25は、固定レール24に摺動可能に係合し、収納庫扉22の開閉に伴って可動レール25が固定レール24に沿って移動する。収納庫扉22及び収納庫ケース23は、固定レール24及び可動レール25を介して、収納庫20に対して着脱可能に保持されている。収納庫ケース23には、例えば加熱調理器100での加熱に利用される調理容器70が収容されるほか、調味料などが収容されることが想定される。このため、収納庫ケース23には衛生性が要求される一方で、加熱調理器100の周囲は調理作業に伴って飛散する食材、油煙、及び水蒸気等で汚れやすい。本実施の形態のように収納庫ケース23を収納庫20に対して着脱可能な構成とすることで、使用者は収納庫ケース23の清掃を行いやすい。なお、加熱調理器100が上述の調理メニューを備えている場合には、その調理メニューでの加熱調理に使用される調理容器が収容できるように、収納庫ケース23の容積を定めるとよい。このように専用の調理容器を収納庫ケース23に収納できるようにすることで、調理の作業性を高めることができる。
【0021】
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器の、トッププレート及び加熱手段が取り外された状態の斜視図である。第1加熱コイル6及び第2加熱コイル7(
図3参照)の下側には、送風機9から供給される冷却風を導くコイル冷却ダクト11が設けられている。コイル冷却ダクト11は、送風機9の吹出口に連通する入口を有するとともに、第1加熱コイル6及び第2加熱コイル7に連通する複数の吹出口を有し、送風機9からの冷却風が複数の吹出口から分散して第1加熱コイル6及び第2加熱コイル7に供給される。このように、コイル冷却ダクト11は、第1加熱コイル6及び第2加熱コイル7の冷却を補助する機能を有する。
【0022】
図5は、実施の形態1に係る加熱調理器の内部構造を説明する図である。
図5は、
図4に示した構成からコイル冷却ダクト11が取り外された状態の、背面側斜視図である。収納庫20を形成する隔壁21の天面の上側には、第1対向壁12が設けられている。また、収納庫20を形成する隔壁21の側面の外側には、第2対向壁13が設けられている。第1対向壁12及び第2対向壁13は、例えば金属製の平板状の部材であり、収納庫20を形成する隔壁21との間に隙間をあけて設けられている。第1対向壁12は、トッププレート2(
図3参照)の平板面と概ね平行に配置され、第2対向壁13は、第1対向壁12及び筐体1の底面に概ね垂直に配置されている。
【0023】
第2対向壁13を境として、筐体1の幅方向の一方側に収納庫20が配置され、他方側に回路基板10及び送風機9が配置されている。
【0024】
図6は、実施の形態1に係る加熱調理器に搭載された部品の配置及び重心を説明する図である。
図6は、加熱調理器100の送風機9を通る水平断面を示している。
図6において、筐体1の幅方向(
図6の紙面左右方向)の中心を、符号L1を付加した一点鎖線で示している。収納庫20は、その過半領域が、中心線L1よりも筐体1の幅方向の一方側である左側に配置されている。また、送風機9及び回路基板10は、それらの過半領域が、中心線L1よりも筐体1の幅方向の他方側である右側に配置されている。
【0025】
次に、重心について説明する。ここで、収納庫20の重心について説明するときには、収納庫20を形成する隔壁21全体と、収納庫扉22と、収納庫扉22に接続されている部品(収納庫ケース23、固定レール24及び可動レール25)全体の重心として説明する。また、回路基板10は、基板10aと、基板10aに実装され第1加熱コイル6及び第2加熱コイル7を駆動するインバータ10bとを含んでいる。なお、基板10aにはインバータ10b以外の回路や部品も実装されるが、回路基板10の重心について説明するときには、説明の都合上、比較的質量の大きい部品であるインバータ10bと基板10aとによって回路基板10が構成されているものとして説明する。また、送風機9には必要に応じて吸気ダクトや吹出ダクトが一体に設けられうるが、送風機9の重心について説明するときには、説明の都合上、複数の羽根と、羽根を回転させるモータと、羽根及びモータを収容するケーシングとによって送風機9が構成されているものとして説明する。
【0026】
図6では、収納庫20の重心は、符号G2で示されている。また、送風機9及び回路基板10の重心は、符号G3で示されている。
図6に示されるように、収納庫20の重心G2と、送風機9及び回路基板10の重心G3とは、筐体1の幅方向の中心線L1に対して反対側の領域に設けられている。すなわち、中心線L1よりも左側に収納庫20の重心G2が配置され、中心線L2の右側に送風機9及び回路基板10の重心G3が配置されている。
【0027】
このように、本実施の形態の加熱調理器100においてそれぞれ1つずつ設けられる収納庫20、送風機9及び回路基板10の重心を、収納庫20と送風機9及び回路基板10とで中心線L1を挟んで反対側に配置したことで、加熱調理器100の全体の重心を、筐体1の幅方向の中心に近づけやすくなる。加熱調理器100全体の重心を、筐体1の幅方向の中心に近づけることで、加熱調理器100の左右を把持したときに作業者にかかる荷重の左右のバランスがよくなり、加熱調理器100の持ち運びやすさを向上させることができる。したがって、加熱調理器100の運搬性及び据付時の作業性を良好にすることができる。
【0028】
図7は、実施の形態1に係る加熱調理器の重心を説明する図である。
図7では、加熱調理器100のトッププレート2を透視した平面図を示している。
図7において、複数の加熱手段のうち筐体1内の最も右端に位置する第1加熱コイル6の幅方向の中心を、符号L2を付加した一点鎖線で示している。また、複数の加熱手段のうち筐体1内の最も左端に位置する第2加熱コイル7の幅方向の中心を、符号L3を付加した一点鎖線で示している。加熱調理器100の重心は、符号G1で示されている。
【0029】
ここで、加熱調理器100の重心というときには、運搬や施工のために持ち運びに供される状態の加熱調理器100の重心をいうものとする。本実施の形態では、収納庫20の隔壁21、収納庫扉22、収納庫ケース23、固定レール24及び可動レール25を含め、通常の加熱動作をするのに必要なすべての部品が実装された状態の加熱調理器100(
図3に示した加熱調理器100の構成の全体)の重心をいうものとして、説明する。
【0030】
図7に示すように、加熱調理器100の重心G1が、筐体1の幅方向の端部(左右の端部)よりも、中心線L1に近い位置に配置されるように、加熱調理器100を構成する各部品を配置する。より好ましくは、加熱調理器100の重心G1が、筐体1の幅方向の中心線L1上に位置するように、加熱調理器100を構成する各部品を配置する。このようにすることで、加熱調理器100の左右を把持したときに作業者にかかる荷重の左右のバランスがよくなり、加熱調理器100の持ち運びやすさを向上させることができる。
【0031】
加熱調理器100の重心G1と加熱手段の配置に着目すると、複数の加熱手段のうち、筐体1の幅方向の両端部に配置される加熱手段の中心同士の間、すなわち第1加熱コイル6の中心線L2と第2加熱コイル7の中心線L3との間に、加熱調理器100の重心G1が位置している。
【0032】
加熱手段と収納庫20の配置に着目すると、複数の加熱手段のうち、筐体1の幅方向の両端部に配置される加熱手段の中心同士の間、すなわち第1加熱コイル6の中心線L2と第2加熱コイル7の中心線L3との間に、収納庫20の少なくとも一部が配置されている。
【0033】
図7では、外径及び質量がほぼ同じである第1加熱コイル6と第2加熱コイル7の2つの加熱手段を、筐体1の幅方向に並べて配置した例を示しているが、質量の異なる第1加熱コイル6と第2加熱コイル7を設けることもできる。この場合、筐体1を平面視した状態において、質量が大きい方の加熱コイルを、当該加熱コイルの過半領域が収納庫20と重なるように配置する。このように、運搬や据付の際に空の状態である収納庫20と、相対的に重い方の加熱コイルとを重ねて配置することで、加熱調理器100の左右を把持したときに作業者にかかる荷重の左右のバランスがよくなり、加熱調理器100の持ち運びやすさを向上させることができる。
【0034】
また、収納庫20を区画形成する隔壁21を、金属で構成し、回路基板10の基板10aを、金属よりも比重の小さい材料で構成してもよい。
図7に示す構成において、重心G1が中心線L1よりも回路基板10側に位置している場合には、隔壁21を基板10aよりも重くすることで、重心G1を筐体1の中心線L1に近づけることができる。
【0035】
実施の形態2.
本実施の形態2は、筐体1内に形成される収納庫の数が、実施の形態1と異なる。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0036】
図8は、実施の形態2に係る加熱調理器が設置されたキッチン家具の斜視図である。
図9は、実施の形態2に係る加熱調理器の斜視図である。
図10は、実施の形態2に係る加熱調理器の分解斜視図である。本実施の形態の加熱調理器100Aは、2つの収納庫20、20Aが設けられている。収納庫20及び収納庫20Aは、概ね同じ寸法で構成されており、筐体1の幅方向に並べて設けられている。収納庫20Aを区画形成する隔壁21A、収納庫20Aの前面開口を開閉する収納庫扉22A、収納庫ケース23A、固定レール24A及び可動レール25Aは、実施の形態1で説明した収納庫20に対応する隔壁21、収納庫扉22、収納庫ケース23、固定レール24及び可動レール25と同様の構成である。
【0037】
図11は、実施の形態2に係る加熱調理器の、収納庫を通る前後断面図である。
図11では、筐体1の幅方向の右側に設けられた収納庫20Aを通る断面を示している。
図12は、実施の形態2に係る加熱調理器の、収納庫を通る左右断面図である。
図12では、送風機9を通る断面を背面側から見た図を示している。
図10〜
図12に示すように、本実施の形態では、第1加熱コイル6、第2加熱コイル7、ラジエントヒーター8、送風機9及び回路基板10は、収納庫20及び収納庫20Aよりも上側に配置されている。
【0038】
収納庫20及びその付帯部品と、収納庫20A及びその付帯部品とは、同様の構成であるので、収納庫20及び収納庫20Aの重心は、筐体1の幅方向の概ね中心に位置する。このため、収納庫20及び収納庫20Aの重心は、加熱調理器100Aの左右が把持されたときに作業者にかかる荷重のバランスを崩すような影響を与えにくい。
【0039】
加熱調理器100Aの各部の重心を、筐体1の高さ方向でみると、第1加熱コイル6、第2加熱コイル7、ラジエントヒーター8、送風機9及び回路基板10の重心は、筐体1の高さ方向の中心よりも上側に配置されている。また、収納庫20及び収納庫20Aの重心は、筐体1の高さ方向の中心よりも下側に配置されている。このように、加熱調理器100Aの主要な構成の重心の配置を、高さ方向の一方側と他方側とに分散して配置することで、加熱調理器100Aの運搬性及び据付性を向上させることができる。
【0040】
本実施の形態においても、加熱調理器100Aの重心を、筐体1の幅方向の端部(左右の端部)よりも、幅方向の中心に近い位置に配置するのが好ましい。本実施の形態では、概ね同じ構造及び大きさの収納庫20と収納庫20Aとを、筐体1の幅方向に並べて配置したので、収納庫20及び収納庫20Aの重心を筐体1の幅方向の中心に近づけやすい。したがって、収納庫20Aの上側に配置される部品の位置を調整することで、加熱調理器100Aの重心を、筐体1の幅方向の中心に近づけやすくなる。このように加熱調理器100Aの重心を筐体1の幅方向の中心近づけることで、加熱調理器100Aの左右を把持したときに作業者にかかる荷重の左右のバランスがよくなり、加熱調理器100Aの持ち運びやすさを向上させることができる。これにより、加熱調理器100の運搬性及び据付時の作業性を良好にすることができる。
【0041】
実施の形態3.
本実施の形態3は、筐体1内に形成される収納庫の形状が、実施の形態1と異なる。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0042】
図13は、実施の形態3に係る加熱調理器が設置されたキッチン家具の斜視図である。
図14は、実施の形態3に係る加熱調理器の斜視図である。
図15は、実施の形態3に係る加熱調理器の分解斜視図である。本実施の形態の加熱調理器100Bは、1つの収納庫20Bを備えているという点では実施の形態1と同様であるが、この収納庫20Bの大きさ及び配置が異なる。
図13〜
図15に示すように、収納庫20Bは、筐体1の幅方向の中心に配置されている。また、収納庫20Bは、筐体1の幅方向の中心よりも右側の過半領域及び左側の過半領域に渡って設けられている。好ましくは、収納庫20Bを構成する隔壁21Bのうち左右の隔壁を、筐体1の左右の側面に近い位置に設け、筐体1の内寸と収納庫20Bの内寸とを略同一とする。このようにすることで、収納庫20Bの収納容積を大きくすることができる。本実施の形態の収納庫20Bに対応して設けられた、収納庫扉22B、収納庫ケース23B、固定レール24B及び可動レール25Bは、実施の形態1で説明した収納庫20に対応する収納庫扉22、収納庫ケース23、固定レール24及び可動レール25とは大きさ及び配置は異なるが、同様の機能を有する。
【0043】
図15に示されるように、本実施の形態では、第1加熱コイル6、第2加熱コイル7、ラジエントヒーター8、送風機9及び回路基板10は、収納庫20Bよりも上側に配置されている。
【0044】
また、第1加熱コイル6、第2加熱コイル7、ラジエントヒーター8、送風機9及び回路基板10の重心は、筐体1の高さ方向の中心よりも上側に配置され、収納庫20Bの重心は、筐体1の高さ方向の中心よりも下側に配置されている。このように、加熱調理器100Bの主要な構成の重心の配置を、高さ方向の一方側と他方側とに分散して配置することで、加熱調理器100Bの可搬性及び据付性を向上させることができる。
【0045】
本実施の形態においても、加熱調理器100Bの重心を、筐体1の幅方向の端部(左右の端部)よりも、幅方向の中心に近い位置に配置するのが好ましい。本実施の形態の収納庫20Bは、筐体1の幅方向の内寸とほぼ同じ幅を有するので、収納庫20Bの重心を筐体1の幅方向の中心に近づけやすい。したがって、収納庫20Bの上側に配置される部品の位置を調整することで、加熱調理器100Bの重心を、筐体1の幅方向の中心に近づけやすくなる。このよう加熱調理器100Bの重心を筐体1の幅方向の中心近づけることで、加熱調理器100Bの左右を把持したときに作業者にかかる荷重の左右のバランスがよくなり、加熱調理器100Bの持ち運びやすさを向上させることができる。これにより、加熱調理器100の運搬性及び据付時の作業性を良好にすることができる。
【0046】
実施の形態4.
本実施の形態4は、筐体1に形成された収納庫に、加熱室を有する加熱ユニットと、収納ケースとを、選択的に収納できるように構成したものである。本実施の形態では、実施の形態2との相違点を中心に説明する。本実施の形態で示す加熱調理器100Cがキッチン家具200に組み込まれたときの図は、
図8と同様である。
【0047】
図16は、実施の形態4に係る加熱調理器の分解斜視図である。加熱調理器100Cは、実施の形態2で示したように2つの収納庫20及び収納庫20Aを備えている。収納庫20Aには、実施の形態2で示した収納庫ケース23Aと、加熱ユニット30とが、選択的に収納される。
【0048】
図17は、実施の形態4に係る加熱ユニットの分解斜視図である。加熱ユニット30は、内部に加熱室を有する上面を開口した加熱ケース31と、加熱ケース31の上面の開口を開閉自在に覆う蓋体32とを備える。蓋体32には、上方加熱手段33が設けられ、加熱ケース31の底部には、下方加熱手段34が設けられている。第2加熱手段である上方加熱手段33及び下方加熱手段34は、加熱ケース31内の加熱室を加熱するものであり、例えば、電気ヒータや加熱コイル等で構成される。なお、上方加熱手段33と下方加熱手段34のいずれか一方のみを設けてもよいし、加熱ケース31の側面に加熱手段を設けてもよい。加熱室を加熱する加熱手段の数、配置及び具体的構成によっては、本発明は限定されない。
【0049】
加熱調理器100Cには、加熱ユニット30の上方加熱手段33及び下方加熱手段34に給電する図示しない給電機構が設けられている。加熱ユニット30が収納庫20Aに収納された状態において、給電機構の接点と上方加熱手段33及び下方加熱手段34の接点とが電気的に接続され、上方加熱手段33及び下方加熱手段34に給電が行われるようになっている。
【0050】
加熱ケース31の左右の外側面の下部には、左右一対の可動レール35が設けられている。可動レール35は、収納庫20Aの隔壁21Bに設けられた固定レール24Aに摺動可能に係合する。可動レール35は、固定レール24Aに対して着脱可能である。加熱ケース31の前面側には、概ね平板状の加熱ケース扉36が設けられている。加熱ケース扉36は、収納庫扉22Aと同様に、収納庫20Aの前面の開口部を開閉する。
【0051】
このように構成された加熱ユニット30の加熱ケース31内には、
図17で例示するように、トッププレート2の上で加熱される調理容器70を収納して加熱することもできる。
【0052】
図18は、実施の形態4に係る加熱調理器の、収納庫を通る前後断面図である。
図18では、加熱ユニット30が収納された状態の収納庫20Aを通る断面を示している。
図19は、実施の形態4に係る加熱調理器の、収納庫を通る左右断面図である。
図19では、送風機9を通る断面を前面側から見た図を示している。収納庫20Aに収納された加熱ユニット30を除いて、加熱調理器100Cは、実施の形態2の加熱調理器100Aと同じ構成である。
【0053】
本実施の形態によれば、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。加えて、収納庫20Aに収納される加熱ユニット30を備えたので、使用者の加熱調理に関する自由度を高めることができ、加熱調理器100Cの使い勝手を向上させることができる。
【0054】
なお、加熱ユニット30が収納される収納庫20Aとそれに隣接する収納庫20との間には、断熱層を設けてもよい。この場合の断熱層としては、2枚の平板部材の隙間に設けられた空気層であってもよいし、空気層に代えてあるいは空気層に加えて、断熱材を設けてもよい。断熱材は、例えば、合成樹脂材料、独立気泡を有するゴム系又はウレタン系のフォーム材、グラス繊維、セラミック繊維等で構成することができる。このようにすることで、加熱ユニット30の熱に対する、収納庫20への断熱性が高まり、収納庫20内の温度上昇を抑制することができる。したがって、収納庫20の収納物の熱による劣化を抑制することができる。また、収納庫20の収納庫扉22が開かれたときに熱気が使用者に伝わることによる、使用者の違和感及び不快感を軽減することができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、2つの収納庫20、20Aを設けた例を示したが、実施の形態1、3で示した収納庫20、20Bに、加熱ユニット30を収納可能な構成としてもよい。
【0056】
また、実施の形態1〜4では、キッチン家具200に設けられた収納部に筐体1が収納されるいわゆる組み込み型の加熱調理器を例に説明したが、据え置き型の加熱調理器に本発明を適用することもできる。