特許第6715980号(P6715980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6715980
(24)【登録日】2020年6月11日
(45)【発行日】2020年7月1日
(54)【発明の名称】旅行かばんの筐体の製作方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/28 20060101AFI20200622BHJP
   A45C 5/02 20060101ALI20200622BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20200622BHJP
   B29C 51/12 20060101ALI20200622BHJP
   B29C 63/28 20060101ALI20200622BHJP
   B29C 69/00 20060101ALI20200622BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20200622BHJP
【FI】
   B29C51/28
   A45C5/02 Q
   B29C51/10
   B29C51/12
   B29C63/28
   B29C69/00
   B29C43/18
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-44431(P2019-44431)
(22)【出願日】2019年3月12日
(65)【公開番号】特開2019-209683(P2019-209683A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2019年3月12日
(31)【優先権主張番号】201810550815.5
(32)【優先日】2018年5月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519087398
【氏名又は名称】東莞永湖複合材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲廖▼ 元宏
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 樹春
【審査官】 ▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−143329(JP,A)
【文献】 特開平05−077274(JP,A)
【文献】 特開2009−184239(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0181512(US,A1)
【文献】 特開平05−116210(JP,A)
【文献】 特開平05−147067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00 − 51/46
B29C 63/28
B29C 69/00
A45C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップA)、ステップB)、ステップC)およびステップD)を含み、
前記ステップA)は、真空成型法(vacuum molding method)によって片状熱可塑性プラスチックからシェルを製作することであり、前記シェルは外側面、内側面および前記内側面から囲まれて形成された収納空間を有し、
前記ステップB)は、内側に凹んだ部位がある加熱用型を用意し、前記加熱用型の内側の前記凹んだ部位に前記シェルを位置させ、前記シェルの前記外側面を前記加熱用型の内側の前記凹んだ部位の内壁面に対応させることであり、
前記ステップC)は、熱硬化性プラスチック層を前記シェルの前記内側面に配置することであり、
前記ステップD)は、前記シェルの前記収納空間にエアバッグを配置して膨張させ、前記熱硬化性プラスチック層に押し付けると同時に前記加熱用型の内側の前記凹んだ部位に位置する前記シェルおよび前記熱硬化性プラスチック層を前記加熱用型によって加熱し、前記シェルと前記熱硬化性プラスチック層とを結合させて旅行かばんの筐体を完成させることであり、
前記ステップC)において、前記熱硬化性プラスチック層は溶融状態であることを特徴とする旅行かばんの筐体の製作方法。
【請求項2】
前記ステップD)において、前記加熱用型の内側の前記凹んだ部位の加熱温度は140度から150度の間であることを特徴とする請求項1に記載の旅行かばんの筐体の製作方法。
【請求項3】
前記ステップA)において、前記片状熱可塑性プラスチックは透明な材質であることを特徴とする請求項1に記載の旅行かばんの筐体の製作方法。
【請求項4】
前記ステップA)または前記ステップB)において、スプレー方式、プリント方式またはラベル貼り付け方法によって前記シェルの前記内側面にパターンを配置する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の旅行かばんの筐体の製作方法。
【請求項5】
前記ステップA)において、前記真空成型法(vacuum molding method)はモールドボディ(mold body)を有する真空成型装置(vacuum molding device)を採用し、前記片状熱可塑性プラスチックを前記真空成型装置に入れて加熱して軟化させ、続いて前記真空成型装置に負圧を生じさせて前記片状熱可塑性プラスチックを前記真空成型装置の前記モールドボディの表面に付着させて前記シェルを製作することを特徴とする請求項1に記載の旅行かばんの筐体の製作方法。
【請求項6】
前記ステップD)において、前記熱硬化性プラスチック層は前記加熱用型によって加熱された後、前記シェルの前記内側面に固化し、付着することを特徴とする請求項1に記載の旅行かばんの筐体の製作方法。
【請求項7】
前記ステップD)が完了した後、ステップE)を追加し、
前記ステップE)は前記シェルの前記収納空間から前記エアバッグを取り外し、前記旅行かばんの前記筐体を冷却させることを特徴とする請求項1に記載の旅行かばんの筐体の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旅行かばんに関し、詳しくは旅行かばんの筐体の製作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
市販の旅行かばんは二つのシェルからなり、熱可塑性プラスチックまたはアルミマグネシウム合金から製作されることが一般的である。熱可塑性プラスチックで旅行かばんを製作する場合、それぞれのシェルの内側に裏地を縫製し、続いて二つのシェルを結合させてキャスターおよびハンドルを取り付ければ製品が完成する。熱可塑性プラスチック製の旅行かばんを使用する時、特に空港の搬送ラインで搬送する時、旅行かばんを相互に衝突させるか落下させる可能性がある。そのうちの一部の熱可塑性プラスチック(例えばABS樹脂)製の旅行かばんは破裂または損壊が原因で使用しにくくなるため、新しい旅行かばんを買い替えることが必要である。従って、従来の旅行かばんには改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、構造強度が良好な旅行かばんの筐体の製作方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するため、旅行かばんの筐体の製作方法は下記のステップを含む。ステップA)は真空成型法(vacuum molding method)によって片状熱可塑性プラスチックからシェルを製作することである。シェルは外側面、内側面および内側面から囲まれて形成された収納空間を有する。ステップB)は内側に凹んだ部位がある加熱用型を用意し、加熱用型の内側の凹んだ部位にシェルを位置させ、シェルの外側面を内側の凹んだ部位の内壁面に対応させることである。ステップC)は熱硬化性プラスチック層をシェルの内側面に配置することである。ステップD)はシェルの収納空間にエアバッグを配置して膨張させ、熱硬化性プラスチック層に押し付けると同時に加熱用型の内側の凹んだ部位に位置するシェルおよび熱硬化性プラスチック層を加熱用型によって加熱し、シェルと熱硬化性プラスチック層とを結合させて旅行かばんの筐体を完成させることである。
【0005】
比較的好ましい場合、ステップDにおいて、加熱用型の内側の凹んだ部位の加熱温度は140度から150度の間である。
【0006】
比較的好ましい場合、ステップAにおいて、片状熱可塑性プラスチックは透明な材質である。
【0007】
比較的好ましい場合、ステップAまたはステップBにおいて、スプレー方式、プリント方式またはラベル貼り付け方法によってシェルの内側面にパターンを配置する工程を含む。
【0008】
比較的好ましい場合、ステップAにおいて、真空成型法(vacuum molding method)はモールドボディ(mold body)を有する真空成型装置(vacuum molding device)に片状熱可塑性プラスチックを入れて加熱して軟化させ、続いて真空成型装置に負圧を生じさせて片状熱可塑性プラスチックを真空成型装置のモールドボディの表面に付着させてシェルを製作することである。
【0009】
比較的好ましい場合、ステップCにおいて、熱硬化性プラスチック層は溶融状態である。
【0010】
比較的好ましい場合、ステップDにおいて、熱硬化性プラスチック層は加熱用型によって加熱された後、シェルの内側面に固化して付着する。
【0011】
比較的好ましい場合、ステップDが完了した後、さらにステップEを行う。ステップE)はシェルの収納空間からエアバッグを取り外し、シェルを冷却させることである。
【0012】
上述したステップにより、熱硬化性プラスチック層はシェルの内側面に付着してシェルの構造強度を強化するため、シェルは外力によって衝撃を受けるか落下して破損することが起りにくい。一方、上述した製作方法はシェルの内側面に熱硬化性プラスチック層をまんべんなく配置することに限定されず、実際のニーズに応じてシェルの内側面の特定部位(例えば四つの隅角部)に熱硬化性プラスチック層を配置して一部分を補強することであってもよいため、構造強度を強化できるだけでなく、旅行かばんの筐体全体の重さを減らすことができる。
【0013】
本発明の詳細な構造、特徴、組み立てまたは使用方法は、以下の実施形態の詳細な説明を通して明確にする。また、以下の詳細な説明および本発明により提示された実施形態は本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の請求範囲を限定できないことは、本発明にかかわる領域において常識がある人ならば理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態において真空成型装置によって片状材料からシェルを製作するステップを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態において真空成型装置によって片状材料からシェルを製作するステップを示す側面断面図である。
図3】本発明の一実施形態において真空成型装置によって片状材料からシェルを製作するステップを示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態において加熱用型にシェルを配置するステップを示す側面断面図である。
図5】本発明の一実施形態において加熱用型にシェルを配置するステップを示す側面断面図である。
図6】本発明の一実施形態において熱硬化性プラスチック層をシェルの内側面に配置するステップを示す側面断面図である。
図7】本発明の一実施形態において熱硬化性プラスチック層にエアバッグを押し付けるステップを示す側面断面図である。
図8】本発明の一実施形態において熱硬化性プラスチック層にエアバッグを押し付けるステップを示す側面断面図である。
図9】本発明の一実施形態による製作方法に基づいて製作された旅行かばんの筐体を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による旅行かばんの筐体100の製作方法のステップを図面に基づいて説明する。
【0016】
(一実施形態)
図1および図2に示すように、ステップA)は真空成型法(vacuum molding method)によって片状熱可塑性プラスチック10からシェル20を製作することである。シェル20は外側面22、内側面24および内側面24から囲まれて形成された収納空間26を有する。本実施形態において、片状熱可塑性プラスチック10はポリプロピレン(PP)、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、ポリカーボネート(PC)またはそれらの組成物であるが、これに限らず、それ以外の熱可塑性プラスチックまたは熱可塑性プラスチックの組成物であってもよい。
真空成型法(即ちブリスターパック)はモールドボディ42(mold body)を有する真空成型装置40(vacuum molding device)を採用する。モールドボディ42はオス型である。オス型に別の補助用モールドボディ(例えば凸状線形型)を配置して外形の異なるシェル20を製作することができる。一方、片状熱可塑性プラスチック10を真空成型装置40に入れて加熱して軟化させ、続いて真空成型装置40に負圧を生じさせて片状熱可塑性プラスチック10を真空成型装置40のモールドボディ42の表面に付着させてシェル20を製作することは従来の技術であるため、説明を省略する。図2に示すように、真空成型装置40によってシェル20を製作する際、サイド部材28はシェル20の周りに残留する。図3に示すように、サイド部材28は二次加工によってシェル20から除去される。
【0017】
図4および図5に示すように、ステップB)は加熱用型50を使用する。加熱用型50は内側に凹んだ部位52がある。加熱用型50の内側の凹んだ部位52は内壁面54がシェル20の外側面22に対応する。つまり、ステップB)は加熱用型50の内側の凹んだ部位52にシェル20を位置させ、シェル20の外側面22を内側の凹んだ部位52の内壁面54に対応させることである。
【0018】
別の実施形態において、シェル20にパターン(商標など)を増設しようとする場合、ステップAにおいて透明な片状熱可塑性プラスチック10を用いてシェル20を製作し、続いてステップAまたはステップBにおいて、スプレー方式、プリント方式またはラベル貼り付け方法によってシェル20の内側面24にパターンを配置することができる。
【0019】
図6に示すように、ステップC)は溶融状態の熱硬化性プラスチック層30をシェル20の内側面24に配置することである。本実施形態において、熱硬化性プラスチック層30はエポキシ樹脂(Epoxy resin)またはポリエステル(Polyester)であるが、これに限らず、それ以外の熱硬化性プラスチックまたは熱硬化性プラスチックの組成物であってもよい。本発明は本実施形態においてシェル20の内側面24に熱硬化性プラスチック層30をまんべんなく配置することであるが、これに限定されず、別の実施形態において、シェル20の内側面24の特定部位、例えば最も破損しやすい四つの隅角部に熱硬化性プラスチック層30を配置してシェル20を補強することであってもよい。
【0020】
図7および図8に示すように、ステップD)は膨張できるエアバッグ62を有するエアバッグ装置60を使用する。シェル20の収納空間26にエアバッグ62を配置して膨張させ、シェル20の内側面24の熱硬化性プラスチック層30に押し付けることによって熱硬化性プラスチック層30をシェル20の内側面24に密着させる。同時に加熱用型50の内側の凹んだ部位52に位置するシェル20および熱硬化性プラスチック層30を加熱用型50によって加熱し、熱硬化性プラスチック層30をシェル20の内側面24に固化および付着させてシェル20と熱硬化性プラスチック層30とを結合させれば、旅行かばんの筐体100が完成する。加熱温度が140度から150度の間に維持されれば比較的好ましい。
【0021】
比較的好ましい場合、ステップE)を追加する。図9に示すように、ステップE)において、シェル20の収納空間26からエアバッグ62を取り外し、旅行かばんの筐体100を冷却させれば旅行かばんの筐体100の製作工程が完了する。
【0022】
上述したステップにより、熱硬化性プラスチック層30はシェル20の内側面24に付着してシェル20の構造強度を強化するため、シェル20は外力によって衝撃を受けるか落下して破損することが起りにくい。一方、本発明による製作方法はシェル20の内側面24に熱硬化性プラスチック層30をまんべんなく配置することに限定されず、実際のニーズに応じてシェル20の内側面24の特定部位(例えば四つの隅角部)に熱硬化性プラスチック層30を配置して一部分を補強することであってもよいため、構造強度を強化できるだけでなく、旅行かばんの筐体100の全体の重さを減らすことができる。
【0023】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0024】
100:旅行かばんの筐体
10:片状熱可塑性プラスチック、
20:シェル、
22:外側面、
24:内側面、
26:収納空間、
28:サイド部材、
30:熱硬化性プラスチック層、
40:真空成型装置、
42:モールドボディ、
50:加熱用型、
52:内側の凹んだ部位、
54:内壁面、
60:エアバッグ装置、
62:エアバッグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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