(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなピラーガーニッシュは、製品ばらつきの他、成形後の熱収縮および線膨張等に起因して、寸法誤差が少なからず生じ得る。装飾モールディングやせき部材は、短手方向の寸法に対して長手方向の寸法が十分に長いため、特に長手方向で寸法誤差が発生し易いという傾向がある。装飾モールディングやせき部材の寸法が所定範囲から外れると、ピラーガーニッシュの端部において装飾モールディングとせき部材との間に隙間やズレが生じてしまい、見栄えが悪くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するべく創出されたものであり、その目的は、ピラーガーニッシュを複数の部材で構成する場合に、互いの部材の寸法誤差による見栄えの悪化を防止することができるピラーガーニッシュを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するべく創出された請求項1の発明は、車両の窓板の周縁部と前記車両のピラーとの隙間に取り付けられる長尺なピラーガーニッシュである。ピラーガーニッシュは、上記ピラーガーニッシュを上記隙間に取り付けるための長尺な取付部材と、上記取付部材の表面側に組み付けられ、上記車両の外方に配置される長尺な装飾部材と、を備える。上記取付部材は、長尺な本体部と、上記本体部の長手方向の少なくとも一方の端部に設けられたカバー部と、を備え、上記カバー部は、上記装飾部材の表面の少なくとも一部を覆う覆い部と、上記本体部から上記外方に向けて立ち上がり上記覆い部を支持する支持壁部を備える。そして上記支持壁部は、上記本体部の長手方向に交わる方向に沿って設けられるようにしたものである。
【0008】
請求項1の発明によれば、装飾部材と取付部材を別部材として構成することができる。これによって、装飾部材に高い意匠性の装飾を簡便かつ多様なものとして施すことができる。また、装飾部材と取付部材を組み付けたときに、装飾部材の長手方向の端部の表面が、取付部材のカバー部によって覆われる。これによって、装飾部材や取付部材に寸法誤差が生じた場合であっても、装飾部材の端部と取付部材の端部との間に生じるズレや隙間を、カバー部によって覆い隠すことができ、ピラーガーニッシュの見栄えが損なわれるのを防止することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記支持壁部は、上記本体部の長手方向の中央側の表面に、上記本体部の長手方向において上記中央側から上記本体部の端部側に向けて凹む凹部を備えている。そして支持壁部のうちの上記凹部の上記外方の部分は、上記覆い部を構成していることを特徴としたものである。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、装飾部材の端部が凹部に収容されて、装飾部材の端部を覆うことができる。このことによって、請求項1の発明の効果に加えて、装飾部材の端部が他の部品等と直接接触することを防止することができ、当該他の物品や装飾部材の端部の破損や損傷を防止できるという効果が得られる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、上記支持壁部は、上記本体部の長手方向において、上記端部側へ突出する凸部を有することを特徴としたものである。
請求項3の発明によれば、凸部により凹部を深くできるため、装飾部材の端部を覆う範囲を拡大することができる。これにより、上記請求項2の発明の効果に加えて、装飾部材の端部と取付部材の端部との間に生じるズレや隙間が大きい場合であっても、これらのズレや隙間をカバー部材によって隠せるという効果が得られる。また、装飾部材の露出部分を減らすことなく装飾部材の端部をカバー部で覆うことができ、見栄えの悪化を防止することができる。
【0011】
請求項4の発明において、上記支持壁部は、上記長手方向に貫通する貫通穴を備え、上記支持壁部のうちの上記貫通穴の上記外方の部分は、上記覆い部を構成していることを特徴としたものである。
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、装飾部材や取付部材の寸法誤差が大きくなり、装飾部材のうち貫通穴に挿入される部分が、例えば支持壁部の厚みより長くなっても、装飾部材の端部と取付部材の端部との間に生じるズレをカバー部で覆い隠すことができるという効果が得られる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、上記覆い部は、上記支持壁部から上記本体部の長手方向の中央側に延設されていることを特徴としたものである。
請求項5の発明によれば、請求項1〜4の発明の効果に加えて、延設された分だけ装飾部材の端部を覆う範囲を拡大することができる。このため、請求項1〜4の発明の効果に加えて、装飾部材の端部と取付部材の端部との間に生じるズレや隙間がより一層大きい場合であっても当該ズレや隙間を覆い隠すことができるという効果が得られる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において、上記カバー部は、上記本体部を構成する材料よりも軟質の材料によって構成されていることを特徴としたものである。
請求項6の発明によれば、取付部材と装飾部材とを組み付けるときに、カバー部を容易に変形させて装飾部材を嵌め込むことができる。これによって、請求項1〜5の発明の効果に加えて、取付部材と装飾部材との組み付けを作業性よく実施することができるという効果が得られる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1〜6の発明において、上記取付部材は、上記本体部から上記窓板および上記ピラーの少なくとも一つに向けて突出するとともに当接されるリップ部を備え、上記リップ部は、上記本体部に長手方向に沿って接続されているとともに、上記カバー部と一体的に形成されていることを特徴としたものである。
請求項7の発明によれば、ピラーガーニッシュが車両に取り付けられたときに、窓板やピラーに軟質のリップ部を当接させることができる。これにより、請求項1〜6の発明の効果に加えて、振動等による異音の発生を防止できるという効果が得られる。また、リップ部とカバー部との間に境目が形成されず、外観が良好になるために好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明のピラーガーニッシュについて、好適な実施形態をもとに詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る長尺状のピラーガーニッシュ10が取り付けられた車両(自動車)の前方の窓板40周辺の外観を示す斜視図である。
図2は、右側装着用ピラーガーニッシュ10R(以下、単にピラーガーニッシュ10という場合がある。)の概観を示す平面図である。
図3および
図4は、それぞれ、
図2のピラーガーニッシュ10のIII−III線およびIV−IV線に沿う断面図である。
図3および
図4では、右側枠のピラー30Rと窓板40の側端部40aとの隙間Gに装着されている右側装着用ピラーガーニッシュ10Rの取り付け状態を示している。
図5Aは、
図2において丸で囲んだ右側装着用ピラーガーニッシュ10Rの下端部の構造を模式的に示す分解斜視図である。
図5Bおよび5Cは、右側装着用ピラーガーニッシュ10Rの下端部をそれぞれ異なる方向から見た組み立て斜視図と平面図である。
図6(a)は、
図5BのA−A線断面を簡略化した図である。
図6(b)〜(e)は、他の実施形態にかかるA−A線断面に相当する図である。
図3、4の「内方」と「外方」は、ピラーガーニッシュ10を車両に取り付けた状態において、車内外方向を示す。図中の符号Xは、ピラーガーニッシュ10の長手方向を示し、符号Yは短手方向である左右方向を示す。また、符号Cは、ピラーガーニッシュ10(後述の本体部21に同じ。)の長手方向Xの中央を示す。
【0018】
図1に示すように、車両の前方の窓は、
車体2に設けられた窓開口1に、窓本体を構成する窓板40が後方に緩やかに傾斜された状態で嵌め込まれることで構成されている。窓開口1は、典型的には、車両の左右の側枠を構成するピラー30L,30Rと、ルーフパネル3と、窓板40の下縁部40bに沿って配置される図示しないカウルルーバー等により取り囲まれて構成されている。ここで、
図3および
図4に示すように、窓開口1の左右のピラー30L,30Rと窓板40とは、シーラント34aによって固定され、シーラント34aのはみ出しを抑えるためのダムラバー34bが窓板の全周に亘って設けられている。しかしながら、ピラー30L,30Rと窓板40の側端部40aとの間には、外観視で所定の隙間Gが形成される。かかる隙間Gを塞ぐように、窓板40の左右の側端部40aの上端から下端に亘って上下方向に長尺の右側装着用ピラーガーニッシュ10Rおよび左側装着用ピラーガーニッシュ10Lがそれぞれ取り付けられている。
【0019】
まず、本実施形態に係るピラーガーニッシュ10の構成について説明する。
図2、
図3および
図4に示すように、ピラーガーニッシュ10は、基本的な構成として、長尺な取付部材20と、長尺な装飾部材12と、を備えている。取付部材20は、ピラーガーニッシュ10を隙間Gに取り付けるための部材である。装飾部材12は、ピラーガーニッシュ10の外観を構成する部材である。取付部材20と装飾部材12とは、別個の構成要素として用意される。そしてピラーガーニッシュ10を車両に装着するに先立って、取付部材20の外方の表面21sに、装飾部材12が一体的に組み付けられる。
【0020】
取付部材20と装飾部材12との組み付け方法は特に制限されない。本実施形態においては、熱かしめによって取付部材20と装飾部材12とが一体的に固定されている。具体的には、
図2および
図3に示すように、取付部材20は、本体部21と、後述するリブ22と、カバー部23を含む下端部36と、リップ部32、42とを備えている。本体部21は、取付部材20の骨格たる主体であって、長手方向Xに延びている。取付部材20は、長手方向Xに沿って、本体部21の表面21sに断面U字型の溝部21cを備えている。装飾部材12は、装飾部本体13と、突出部14とを備えている。装飾部本体13は、装飾部材12の骨格たる主体であって、長手方向Xに延びている。突出部14は、装飾部本体13の内方である裏面13uから、内方に突出するように、長手方向Xに沿って備えられている。突出部14の左右方向Yの寸法は、装飾部本体13の左右方向Yの寸法よりも小さい。装飾部材12の突出部14の形状は、取付部材20の溝部21cの凹み形状に対応している。したがって、装飾部材12の突出部14を取付部材20の溝部21cに嵌め合わせることで、左右方向Yで大きく位置ずれすることなく所定の位置で、装飾部材12と取付部材20とを位置決めすることができる。なお、本実施形態の装飾部材12は、内部に、長手方向Xに沿って延びる中空部16を備えている。このように装飾部材12を中空構造とすることで、装飾部材12の軽量化を図ることができる。
【0021】
また、装飾部材12は、突出部14の内方の表面14uから、内方に向けて突出する棒状のボス14b(
図4参照)を備えている。ボス14bは、長手方向Xに沿って複数備えられている。具体的には図示しないが、本実施形態におけるボス14bの数は5つであり、突出部14の表面14uに長手方向Xにおいて等間隔に設けられている。また、取付部材20は、溝部21cの底を、外方と内方とに貫通する穴21t(
図4、
図5A参照)を備えている。穴21tは、装飾部材12のボス14bと対応する位置に、長手方向Xに沿って複数備えられている。本実施形態における穴21tの数は5つであり、穴21tは、取付部材20の一端側では、取付部材20に対する装飾部材12の組み付けの基準となるように丸穴であり、その他の位置では装飾部材12または取付部材20の寸法誤差を考慮して、長手方向に長い長穴とすることが好ましい。したがって、装飾部材12の突出部14を取付部材20の溝部21cに嵌め合わせるとき、装飾部材12のボス14bを取付部材20の穴21tに挿入することで、長手方向Xおよび左右方向Yで大きく位置ずれすることなく所定の位置で、装飾部材12と取付部材20とを位置決めすることができる。
【0022】
装飾部材12と取付部材20とを嵌め合わせた後、ボス14bを熱でかしめることにより、装飾部材12と取付部材20とは一体的に固定される。なお、熱かしめに際し、装飾部材12と取付部材20との位置を安定して保持するために、両面粘着テープ18などを用いて装飾部材12の突出部14と取付部材20の溝部21cとを固着しておいてもよい。これにより、装飾部材12と取付部材20とは強固に固定される。
【0023】
また、
図2〜
図4に示すように、本実施形態に係るリップ部32、42は、長手方向Xに沿うように、長手方向Xの一部において、取付部材20に設けられている。ピラー側リップ部32は、取付部材20の本体部21のピラー30R側の表面21sからピラー30Rに向けて突出するように形成されている。ピラー側リップ部32は、先端部がピラー30Rの表面に当接している。また、窓板側リップ部42は、取付部材20の本体部21の内方の裏面21uから窓板40の側端部40aに向けて突出するように形成されている。窓板側リップ部42は、先端部が窓板40の側端部40aの表面に当接している。このようなリップ部32、42によって振動等による異音の発生を防止できる。また、リップ部32、42と下端部36が一体に形成されているため、リップ部32、42と下端部36との間に境目が形成されず、外観が良好になるために好ましい。
【0024】
なお、
図3および
図4に示されるように、ピラーガーニッシュ10には、装飾部本体13の裏面13uと、取付部材20の本体部21の窓板40側の側面と、窓板側リップ部42と、窓板40とによって、略断面コの字型の雨水受溝部Wが形成される。この雨水受溝部Wの容量は、下方に向かうにつれて大きくなるように構成されている。
【0025】
また、リブ22は、本体部21の内方である裏面21u側から内方に突出するように形成されている。リブ22は、本体部21の長手方向Xに沿って断続的に形成されている。リブ22は、取付部材20を補強する補強部である。また、リブ22は、取付部材20をピラー30Rに固定するための固定部としても機能する。例えばリブ22は、図示しない係合孔を備えている。ここで、ピラー30Rは、リブ22の係合孔に対応する所定の間隔で、クリップ等の図示しない係合部材を備えている。これらのリブ22の係合孔と、ピラー30Rの係合部材とを係合させることで、ピラーガーニッシュ10をピラー30Rに機械的に係止することができる。
【0026】
なお、
図5A、5Bに示すように、本実施形態における取付部材20には、ピラーガーニッシュ10が車両に装着されたとき、窓板40の側端部40aの下方から下縁部40bの一部にかけて、窓板40の周縁に沿うように延びる下端部36が備えられている。また、下端部36は、カバー部23を備えている。カバー部23は、装飾部材12を覆うための部位であり、本体部21の長手方向Xの下方の端部21aに接続されている。
【0027】
以下、ここに開示されるピラーガーニッシュ10に特徴的なカバー部23について説明する。
図5Bと、
図5BのA−A線断面図を簡略化した
図6(a)とに示すように、カバー部23は、覆い部24と、支持壁部25と、を備えている。覆い部24は、装飾部材12が取付部材20に組み付けられたときに、装飾部本体13の表面13sの少なくとも一部を覆う部位である。支持壁部25は、覆い部24を支持する部位である。支持壁部25は、本体部21の端部21aから外方に向けて立ち上がるように、本体部21の長手方向Xに交わる方向に沿って設けられている。さらに、本実施形態の支持壁部25は、長手方向Xにおいて中央C側から端部21a側へ向かって突出する凸部27を備えている。また、支持壁部25の長手方向Xの中央C側の表面には、長手方向Xにおいて中央C側から端部21a側に向けて凹んだ凹部26が備えられている。凹部26は、凸部27の内部にも連続して形成されている。また、装飾部本体13の端部13aは、凹部26内に収容されている。装飾部本体13の端部13aは、凸部27の内部にまで達している。本実施形態では、支持壁部25が凹部26を備えることにより、凹部26の外方に位置する部分が覆い部24としての機能を果している。
【0028】
以上のピラーガーニッシュ10は、これに限定されるものではないが、樹脂材料を用いた射出成形法によって好適に作製することができる。ここで、装飾部材12および取付部材20は、それぞれ長尺のピラーガーニッシュ10の骨格たる部材であることから、比較的硬質なポリマー材料により好適に形成することができる。このような硬質なポリマー材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエン・スチレン(AES)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂等のポリマー材料が挙げられる。
【0029】
その一方で、リップ部32、42、および、カバー部23を含む下端部36は、ピラーガーニッシュ10とピラー30Rおよび窓板40との弾性的な当接が求められる部位であり得ることから、上記の装飾部材12および取付部材20の本体部21とリブ22よりも、相対的に軟質なポリマー材料により形成することが好ましい。このような軟質なポリマー材料としては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂等の各種の熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマーや、天然ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン(EPDM)ゴム等の各種ゴムが挙げられる。また、例えば、装飾部材12および取付部材20の本体部21とリブ22の硬度をロックウェル硬度100、リップ部32、42および下端部36の硬度をJIS K7215に規定されるデュロメータタイプA(ショアA)硬度80とするとよい。
【0030】
以上の材料は、いずれも熱を加えると軟化して流動性を示し得ることから、ピラーガーニッシュ10は、公知の各種の成形方法を利用して、任意の形状に簡便に作製することができる。ここで、装飾部材12と取付部材20とは別個に形成する。装飾部材12については、これに限定されるものではないが、例えば、ガスアシスト射出成形法を利用するのが好ましい。すなわち、まず、装飾部材12に対応した形状を有する射出成形用金型を用意する。そして、かかる金型内にポリマー材料(例えば、ABS樹脂)を射出し充填することで、所望の断面形状を有しかつ長尺な、装飾部材12を得ることができる。このとき、ガス(例えば、窒素ガス)の導入により、装飾部材12の内部に中空部(ガスチャンネル)16を形成することができる。
【0031】
一方で、取付部材20については、例えば、上記の材料の違いから、(1)本体部21およびリブ22と、(2)リップ部32、42および下端部36等とを、ワンステップで一体成形したり、或いは、別個に作製して一体に接合したりすることで作製することができる。(1)本体部21およびリブ22を形成するには、例えば、射出成形法を利用するのが好ましい。すなわち、まず、本体部21およびリブ22に対応した形状を有する射出成形用金型を用意する。そして、かかる金型内にポリマー材料(例えば、AES樹脂)を射出し充填する。これにより、所望の断面形状を有しかつ長尺な、本体部21およびリブ22の一体成形品を、中間品として得ることができる。
【0032】
次いで、(2)リップ部32、42および下端部36等を形成するには、これに限定されるものではないが、例えば、インサート射出成形法を利用するのが好ましい。すなわち、先ず、リップ部32、42および下端部36等のそれぞれの部位に対応した形状を有する射出成形用金型を用意する。そして、かかる金型に、予め作製した中間品(本体部21およびリブ22の一体成形品)をセットする。次いで、中間品がセットされた金型内にポリマー材料(例えば、TPO樹脂)を射出し充填することで、中間品に対して所望の形状を有するリップ部32、42および下端部36等を形成する。これにより、リップ部32、42および下端部36等を中間品に対して溶着一体化させることができる。このことにより、ピラーガーニッシュ10の取付部材20を作製することができる。なお本実施形態において、ピラー側リップ部32は、下端部36に繋がるように本体部21の表面21sに沿って形成されている。また、窓板側リップ部42は、下端部36に繋がるように本体部21の裏面21uに沿って形成されている。このことにより、下端部36、リップ部32、42は、一体的に形成されている。
【0033】
樹脂材料を用いた射出成形法によると、上記のように、異なる材料を用いた構成要素を一体的に成形することができる。なおこの場合、取付部材20の中間品と、リップ部32、42および下端部36との間の接合を強固にするために、これらの部位は互いに相溶性を有する材料から形成されていることが好ましい。
【0034】
なお、リップ部32、42および下端部36等は、これらの部位を個々に射出成形法を利用する等して作製しておき、予め作製した中間品に接着剤や粘着テープ等を介して接合することで一体化させてもよい。また、リップ部32、42は、押出成形法により作製してもよい。
また、リップ部32、42および下端部36等は、一部を中間品に射出成形により溶着一体化させ、他の一部を別個に形成して接着剤等を介して接合一体化させてもよい。例えば、予め、中間品と、リップ部32、42とを別部材として用意しておき、かかる中間品に下端部36を射出成形により溶着一体化したのち、中間品にリップ部32、42を粘着テープにより固定する等してもよい。
【0035】
上記実施形態において、ピラーガーニッシュ10は、取付部材20と、装飾部材12とが別部材として構成されている。したがって、取付部材20の材質や製法による制限を受けることなく装飾部材12を作製することができる。例えば、装飾部材12を車両のボデーと同じ色に塗装してから、装飾部材12を取付部材20に組み付けることができる。
このことにより、装飾部材12に高い意匠性の装飾を簡便かつ多様に施したピラーガーニッシュ10を実現することができる。
【0036】
また、長尺の取付部材20および装飾部材12は、樹脂材料を用いた射出成形法によって製造されている。したがって、取付部材20と装飾部材12とには、製品ばらつきの他、成形後の熱収縮および線膨張等に起因して寸法誤差が別個に生じ得る。しかしながら、上記の構成によると、装飾部材12の端部13aは、ピラーガーニッシュ10の端部においてカバー部23の覆い部24によって覆われる。このことにより、たとえ装飾部材12や取付部材20に長手方向Xにおける寸法誤差が生じて、装飾部材12の端部13aと取付部材20の端部21aとの間に隙間やズレが発生した場合であっても、覆い部24によって端部13aと端部21aとの間の隙間やズレを覆い隠すことができる。これにより、ピラーガーニッシュ10の見栄えの悪化を抑制することができる。
【0037】
さらに、上記実施形態において、支持壁部25は、凸部27と、凸部27内にまで延びる凹部26とを備えている。そして装飾部本体13の端部13aは凹部26に収容されている。凹部26の外方は覆い部24である。かかる構成によると、凹部26を深くでき、装飾部本体13の端部13aを覆うための覆い部24を長く確保することができる。これにより、たとえ取付部材20の端部21aと装飾部材12の端部13aとの間に隙間やズレが生じた場合であっても、ピラーガーニッシュ10の見栄えが悪くなるのを抑制することができる。また、凸部27は、取付部材20の長手方向Xにおいて端部21a側へ突出し、凸部27内の凹部26の外方に位置する部分で装飾部材12の端部13aを覆っている。これにより、装飾部材12の露出部分を減らすことが無く見栄えの悪化を防止できる。
【0038】
上記構成によると、取付部材20の装飾部材12が組みつけられるべき位置の少なくとも一部は、予めカバー部23が覆った状態となる。このとき、カバー部23(下端部36)は、取付部材20の本体部21よりも軟質な材料によって構成されている。また、カバー部23は、装飾部材12よりも軟質な材料によって構成されている。このことにより、装飾部材12を取付部材20のカバー部23に押し当てることで、装飾部材12によってカバー部23が容易に弾性変形させられ、取付部材20への装飾部材12の組付けを可能とする。また、装飾部材12がカバー部23を変形させた後、カバー部23を通過すると、カバー部23は装飾部材12による押圧から開放されて瞬時にもとの形状に戻る。このとき、作業者はカバー部23の抵抗力から開放され、装飾部材12がカバー部23内に収容されると同時に適度なクリック感を得ることができる。これにより、簡便に取付部材20と装飾部材12の組みつけを行うことができる。
【0039】
上記構成によると、下端部36およびリップ部32、42は、一体的に形成されている。かかる構成によると、ピラーガーニッシュ10が車両に装着されたときに、リップ部32、42と下端部36との間に境目が形成されず、外観が良好になるために好ましい。
【0040】
以上、本発明の具体例を図面を参照しつつ詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。本発明の特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0041】
上記実施形態では、カバー部23は、凸部27と凹部26とを備えている。しかしながら、カバー部23の構成はこれに限定されない。
図6(b)〜(e)に、カバー部23の他の構成について例示した。
カバー部23は、
図6(b)〜(e)に示すように、本体部21の前記長手方向Xの端部21aにおいて長手方向Xに交わる方向に沿って立設された支持壁部25を備えている。ここでカバー部23は、
図6(b)に示すように、支持壁部25は、長手方向Xの中央C側の表面に、長手方向Xにおいて、中央C側から端部21a側に向けて凹む凹部26を備えていてもよい。凹部26の外方の部分が、装飾部本体13の端部13aを覆う覆い部24を構成する。このような構成によっても、装飾部本体13の端部13aを覆うことができ、装飾部材12や取付部材20の寸法誤差により装飾部本体13の端部13aと本体部21の端部21aとの間に隙間やズレが生じた場合であっても、ピラーガーニッシュ10の見栄えが悪くなるのを抑制することができる。また、装飾部本体13の端部13aが凹部26に収容されるため、端部13aが他の部品等と直接接触することを防止することができ、当該他の物品や装飾部本体13の端部13a自体の破損や損傷を防止できる。
【0042】
なお、カバー部23は、
図6(c)に示すように、支持壁部25には、長手方向Xに貫通する貫通穴28が備えられていてもよい。この場合、支持壁部25のうちの貫通穴28よりも外方の部分が、装飾部本体13の端部13aを覆う覆い部24を構成する。かかる構成によると、装飾部材12や取付部材20の寸法誤差が大きくなり、装飾部材12のうち貫通穴28に挿入される部分が、例えば支持壁部25の厚みより長くなっても、装飾部本体13の端部13aが貫通穴28を貫通し、装飾部材12と取付部材20の端部21aとの間に生じるズレをカバー部23で覆い隠すことができる。
【0043】
カバー部23は、
図6(d)に示すように、覆い部24が、支持壁部25の外方の端部から長手方向Xの中央C側に延設されていてもよい。この場合、覆い部24は、本体部21の外方に位置する。かかる構成によると、覆い部24が延設された分だけ装飾部材12の端部13aを覆う範囲を拡大することができる。このため、装飾部材12と取付部材20とのズレや隙間がより一層大きい場合であっても、当該ズレや隙間を覆い隠すことができる。
【0044】
なおこのとき、カバー部23は、
図6(e)に示すように、支持壁部25は、長手方向Xの中央C側の表面に、長手方向Xにおいて中央C側から端部21a側に向けて凹む凹部26を備えていてもよい。かかる構成によると、覆い部は、凹部26のうちの外方の部分と、延設された部分とで、装飾部本体13の端部13aを覆う覆い部24を構成している。これにより、凹部26の外方の部分と覆い部が延設された部分とを合わせた広い覆い部24で、装飾部材12の端部13aを覆うことができる。
【0045】
以上の説明では、車両のフロントウィンドウの右側に装着されるフロントピラーガーニッシュ10Rを例に説明したが、フロントウィンドウの左側に装着されるフロントピラーガーニッシュ10Lについても同様の態様を採用し得る。
【0046】
上記実施形態では、装飾部材12と取付部材20とを熱かしめにより一体的に固定したが、装飾部材12と取付部材20との固定方法はその他の方法であってもよい。例えば、装飾部材12と取付部材20とをレーザー溶着してもよい。
レーザー溶着では、一方の部材の材料をレーザーを透過する透過材とし、他方の部材の材料をエネルギーを吸収して溶融する吸収材とする。また、例えば、取付部材20を
車体2に備えられたクリップ等の係合部材(図示せず)に嵌める場合、取付部材20が破損することを防止するため、取付部材20の本体部21を構成する材料を装飾部材12を構成する材料よりも剛性の高い材料にするとよい。したがって、装飾部材12と取付部材20とをレーザー溶着する場合は、装飾部材12を透過材であるポリカーボネートやアクリル樹脂等により構成し、取付部材20の本体部21を吸収材であるAES樹脂等により構成するとよい。