(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筒状部材を前記水栓本体部に対して回転させることによって、前記筒状部材が前記水栓本体部に接続されるように構成される接続機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の水栓。
前記接続機構は、前記筒状部材を前記継手管に対して回転させることによって、前記筒状部材が前記継手管に接続されるように構成されることを特徴とする請求項2に記載の水栓。
前記接続機構は、前記筒状部材を前記継手管に対して回転させることによって、前記筒状部材が前記継手管の軸方向に変位するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の水栓。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る水栓100の側面図であり、
図2は水栓100の分解斜視図である。水栓100は、一般ユーザでも交換可能な着脱構造を備えている。
図1に示す吐水ヘッド106は浄水機能を持たないタイプである。以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。方向Xは水平な左右方向に対応し、方向Yは水平な前後方向に対応し、方向Zは鉛直な上下方向に対応する。方向Yおよび方向Zはそれぞれ方向Xに直交する。方向Xは左方向あるいは右方向と、方向Yは前方向あるいは後方向と、方向Zは上方向あるいは下方向と表記することがある。
図1において水栓100を矢印Pの方向から視て向かって右側を右と、左側を左という。
【0015】
水栓100は、
図2に示すように、本体側面から突出する突出管部20を有する水栓本体部112と、水栓本体部112に着脱可能に装着される吐水ヘッド106と、を含む。突出管部20は、継手管118と、継手管118に挿入され一部が軸方向に突出して露出している筒状部材172と、を含み、吐水ヘッド106は、突出管部20を収容する収容部10を有する。継手管118と筒状部材172については後述する。
【0016】
(水栓本体部)
水栓本体部112は、
図1に示すように、通水部材84と、ハウジング86と、吐水ハンドル102と、を含む。通水部材84は、接続継手82、支柱部108および通水管110を含む。ハウジング86は、突出管部20、回転部104および支柱キャップ114を含む。突出管部20は本体側面である回転部104から半径方向、好ましくは斜め上方に突出する。以下、突出管部20の中心軸Mに沿った方向を軸方向と、中心軸Mに直交する方向を半径方向という。
【0017】
支柱部108は、台所などに固定され、通水管110を内蔵する。支柱部108を覆うように回転部104が設置される。回転部104は、支柱部108を中心として水平方向に回転する。回転部104は、樹脂メッキ加工が施され、外表面に金属光沢を有するメッキ面が設けられる。支柱キャップ114は、回転部104の上側に設けられ、支柱部108と接続される。回転部104は、支柱キャップ114によって上下に抜けないように位置決めされる。ユーザが支柱キャップ114の上にある吐水ハンドル102を垂直方向に動かすと、吐水ハンドル102は操作突起116を前後させ、これによって支柱部108に内蔵される弁(不図示)が開閉される。
【0018】
(突出管部)
突出管部20は、
図2に示すように、継手管118と筒状部材172とを含む。継手管118は回転部104から連なって突出する管状の部分である。筒状部材172は継手管118の内側に差し込まれ、通水口124を介して接続継手82と接続される。接続継手82は弁を介して通水管110と接続される。吐水ヘッド106は突出管部20を収容した状態で、回転部104に着脱可能に装着される。
図1に示すように、吐水ヘッド106の端部は回転部104の側面部(外周面)と対向する。すなわち、回転部104から継手管118が分岐する箇所である継手管118の根元において、吐水ヘッド106と回転部104(水栓本体部112)が対向する。
【0019】
吐水ヘッド106は突出管部20を収容する収容部10を含む。吐水ヘッド106は、装着時には継手管118の根元部分まで収容する。吐水ヘッド106は、回転部104の外側面と当接することが望ましいが、少なくとも、回転部104と吐水ヘッド106の接合部分が目立たない程度に回転部104の外側面と近接する。
【0020】
(留具)
吐水ヘッド106の下部には周方向に延伸する差込口122が設けられる。吐水ヘッド106の収容部10に突出管部20を挿入した後、ユーザは差込口122から留具120を挿入する。留具120は、クリップ形状を有し、例えば所定の強度と弾力性を有する樹脂等から形成される。水栓本体部112に吐水ヘッド106を装着するとき、吐水ヘッド106の収容部10に突出管部20を収容して、吐水ヘッド106を回転部104に向けて押し込む。次に、差込口122から留具120を手で押し込む。留具120が継手管118をクリップのように把持(挟持)することで、吐水ヘッド106は回転部104に固定される。留具120を外せば、吐水ヘッド106を軸方向に引っ張ることにより、吐水ヘッド106を水栓本体部112から外すことができる。
【0021】
なお、本実施形態における「着脱可能」は、接着や溶接などにより、吐水ヘッド106と水栓本体部112を完全固定する構造は含まない。家庭で一般ユーザが自ら着脱できる構造であり、スクリュードライバーなどの着脱のための専用工具を必須としない構造が好ましい。そこで、本実施形態の水栓100では、吐水ヘッド106と水栓本体部112を留具120により固定している。留具120は工具を使わなくても、指や爪でも挿抜できる。なお、留具120は任意の金属棒等をひっかけて取り外すようにしてもよい。留具120を用いることは必須の構成ではない。
【0022】
吐水ヘッド106に回転力を加えて操作することで回転部104を回転させることがある。このとき、継手管118の根元部分には回転にともなう応力が集中する。このため、継手管118と回転部104の接続強度を向上することが望ましい。そこで、本実施形態の水栓100では、継手管118の根元部分に継手管118の中央部の外径よりも大きな外径を有する外径拡大部174が設けられている。外径拡大部174は、例えばテーパー形状を有する。
【0023】
吐水ヘッド106は、外径拡大部174の全部または一部を収容するように回転部104に向けて押し込まれて装着される。吐水ヘッド106は、その端部を回転部104の外側面と当接させ、外径拡大部174を完全に収容してもよい。
【0024】
(吐水ヘッド)
図3は、吐水ヘッド106の分解斜視図である。吐水ヘッド106は、外殻126、内管128、吐水口部材130および整流部材132を含む。
【0025】
(内管)
内管128は、略軸方向に延伸する管状の部材で、上流側の端部に収容部10が設けられる。収容部10は筒状部材172と継手管118を含む突出管部20を収容する。内管128は内部に水の通り道である通水部184(
図1も参照)を有しており、水道水は、通水管110から筒状部材172と内管128の通水部184を経由して、吐水口部材130に至り、整流部材132を通ってシンク(図示せず)に吐水される。通水管110には弁(図示せず)が接続される。弁は、支柱部108に内蔵されており、吐水ハンドル102および操作突起116によって開閉される。
【0026】
外殻126は、吐水ヘッド106の筐体であり、内管128の外側を覆う管状の部材である。つまり、吐水ヘッド106は、内管128と外殻126の二重構造を有する。吐水ヘッド106は二重構造を有することにより、吐水ヘッド106全体の強度を向上させている。回転部104は支柱部108を回転軸として回動自在に支持される。回転部104から分岐する突出管部20に吐水ヘッド106が接続される。回転部104が回転することによって、吐水ヘッド106は回転部104と共に回転する。また、吐水ヘッド106と共に接続継手82と筒状部材172も一体的に回転する。
【0027】
吐水ヘッド106は突出管部20の延長上に設けられているから、吐水ヘッド106を水平方向に回転することで、その回転力がそのまま突出管部20の継手管118に伝達される。このため、ユーザによる回転操作を回転部104の回転力として伝えることができる。突出管部20は、吐水ヘッド106の装着時には外観を構成しない。
【0028】
内管128は、外殻126のほぼ全域をカバーするように、吐水口部材130から外殻126の回転部104と対向する端部まで延伸されてもよい。特に、内管128の端部と外殻126の端部はほぼ一致している。内管128は、水栓本体部112に装着されるとき、外径拡大部174の全部または一部を収容するように押し込まれる。内管128は、外殻126の端部から内管128の一部が飛び出す形状であってもよい。
【0029】
外殻126は外観を構成するから美観が重視される。内管128は外殻126に覆われるから、外観を構成する機会は少なく、美観はそれほど重要ではない。内管128は水の通り道であり、継手管118に直接接合されるため、特にその内部構造には高い加工精度が求められる。
【0030】
外殻126および内管128は、例えばABS樹脂やポリアセタール等の樹脂材料からモールド成型工程により形成することができる。この場合、外殻126および内管128の軽量化およびコストダウンに有利である。外殻126を軽量化することで、交換用の吐水ヘッド106を容易に持ち運びすることができる。外殻126は、樹脂メッキ加工が施され、外表面に金属光沢を有するメッキ面が設けられる。
【0031】
樹脂部品にメッキを施す工程では、樹脂部品を高温のメッキ液に浸すため、樹脂部品は高温のストレスにより変形して加工精度が低下することがある。そこで、実施形態における吐水ヘッド106では、内管128を外殻126で覆う二重構造とすることで、美観が重視される外殻126にはメッキ面を形成し、加工精度が重視される内管128はメッキ面を有しない構成としている。特に、内管128は、第1収容部186および第2収容部188を含む全体の表面が、非メッキ面から構成されている。
【0032】
回転部104の外側面は円筒形状である曲面形状を有する。外殻126の端面および内管128の端面は、回転部104の外側面の曲面形状と一致する形状を有する。特に、外殻126の端面および内管128の端面は外径拡大部174のテーパー面に一致する形状を有する。このように構成することにより、吐水ヘッド106と回転部104を隙間無く接続できる。
【0033】
(着脱機構)
次に、水栓100の着脱機構について説明する。本実施形態においては、回転部104から突出する突出管部20を吐水ヘッド106の収容部10に収容することで吐水ヘッド106を水栓本体部112に接続している。収容部10は後述する第1収容部186と第2収容部188とを含む。吐水ヘッド106と回転部104の接合部分である境界部は、突出管部20の継手管118の根元に形成される。水栓100では、本体側面から突出する突出管部20の継手管118および筒状部材172を吐水ヘッド106が覆う。このため、吐水ヘッド106の外殻126は、その内径や外径を比較的自由に設計することができる。
【0034】
図1に示すように、吐水ヘッド106が回転部104の外側面から突出する突出管部20を収容する構成では、回転部104の表面が境界部となるから、境界面が吐水ヘッドの軸方向の途中にある場合に比べて接合部分が目につきにくい。吐水ヘッド106は、
図1に示すように、内管128が突出管部20を収容しつつ回転部104に直接的に接続される。外殻126は内管128の接続部分をカバーして直接的には接続部分に関与しない。このため、外殻126は、接続によるストレスを受けにくいから、外殻126の形状や材質などの設計自由度を高くすることができる。
【0035】
図4は水栓100の突出管部20の周辺の側面図である。
図4はOリング152が装着されていない状態を示している。
図4に示すように、突出管部20は継手管118と筒状部材172を含む。筒状部材172は、継手管118の先端より小さい外径を有し、継手管118の内側に差し込まれている。筒状部材172は後述する接続機構90によって継手管118に接続されている。筒状部材172の上側(下流側)の一端172aは、継手管118から軸方向に突き出しており、継手管118から露出している。筒状部材172の下側(上流側)の他端172bは、回転部104中の通水口124に挿入され、接続継手82に接続される(
図1も参照)。継手管118の回転部104との接続部分には外径拡大部174が形成される。外径拡大部174は、回転部104に近づくほど外径が大きくなるテーパー形状を有する。継手管118は回転部104と一体に樹脂材料からモールド成形により形成される。継手管118と回転部104を型枠から外す際には、継手管118に対応する部分を押出すようにしてもよい。この場合、外部に露出する回転部104への傷付きを減らすことができる。
【0036】
図1に示すように、吐水ヘッド106の外殻126の端面および内管128の端面は、外径拡大部174に対向する。外殻126および内管128にはテーパー状の端面である吐水ヘッドの端面180が設けられる(
図8も参照)。吐水ヘッドの端面180のテーパー面は、外径拡大部174の外側面のテーパー面と、略平行な角度で対向する。吐水ヘッド106の端面180のテーパー面を外径拡大部174のテーパー面と同一の曲面形状にすることによって、境界部の隙間を目立ちにくくすることができる。吐水ヘッド106は、吐水ヘッドの端面180の少なくとも一部が回転部104に当接状態または非当接状態にて、回転部104と対向してもよい。
【0037】
(収容部)
図1に示すように、内管128の内側面には、通水部184と、第1収容部186と、第2収容部188とが設けられる。通水部184は第1収容部186の下流側に設けられる水の通り道である。第1収容部186は、第2収容部188の下流側に設けられ、主に筒状部材172を収容する。第2収容部188は、第1収容部186の上流側に設けられ、主に継手管118を収容する。第2収容部188の上流側の端面180は吐水ヘッドの端面180を構成する。第1収容部186は通水部184より大きな内径を有し、第2収容部188は第1収容部186より大きな内径を有する。収容部10が小径の第1収容部186と大径の第2収容部188の二段構造になるから、第1収容部186と筒状部材172の間にてシールを形成して水漏れを抑制し、第2収容部188と継手管118の間にて半径方向のガタを抑制することができる。
【0038】
図1に示すように、筒状部材172は、継手管118より小さな外径を有し、その外周面にはOリング152が取り付けられる。Oリング152は、弾性を有するゴムなどの材料から形成される。Oリング152は、筒状部材172と第1収容部186の間のシールとして水の漏れ出しを抑制する。
【0039】
継手管118の根元に外径拡大部174を形成しているから、継手管118と回転部104の接合が強化される。吐水ヘッドの端面180の曲面形状を外径拡大部174の曲面形状と同一の曲面形状としているから、境界部が目立ちにくい。なお、ここでいう「同一の曲面形状」とは、吐水ヘッド106と外径拡大部174の対向部分に大きな隙間、たとえば、1.0ミリメートル以上の隙間が生じない程度に吐水ヘッドの端面180の形状を外径拡大部174の曲面形状に近づけることをいう。
【0040】
(接続機構)
次に、継手管118に筒状部材172を接続する接続機構90について説明する。筒状部材172は、継手管118および接続継手82に対して簡易に接続されることが施工上望ましいが、水栓本体部112から吐水ヘッド106を外した際に、意図せず、筒状部材172が継手管118から外れることは防ぐ必要がある。そこで、実施の形態の水栓100では、筒状部材172を継手管118に対して筒状部材172の周方向に回転させることによって、筒状部材172が継手管118に接続されるように構成される接続機構90を備えている。このような接続機構90を有することにより、継手管118から筒状部材172を外すときも逆方向に回転させることになるから、意図せず、筒状部材172が継手管118から外れる可能性を小さくすることができる。
【0041】
筒状部材172の上流側の他端172bを通水口124に密着させるために、筒状部材172は、継手管118に対して軸方向に押し込むように装着されることが望ましい。そこで、実施の形態の水栓100では、接続機構90は、筒状部材172を継手管118に対して筒状部材172の周方向に回転させることによって、筒状部材172が継手管118の軸方向に変位するように構成されている。筒状部材172を回転させることによって、筒状部材172が軸方向で継手管118の上流側に向かって変位するから、他端172bは通水口124に押しつけられ、これらの密着性を向上することができる。
【0042】
また逆に、他端172bが通水口124に長期間密着していた場合に、他端172bが通水口124に貼り付いて容易に外れないことがある。特に、本実施形態のように接続部分にOリング155を有する水栓では、長期間の使用によりOリング155が周囲の部材に貼り付いていることがある。この場合には、Oリング155を周囲の部材から剥がしながら筒状部材172を継手管118から軸方向に引き抜くことになり、過度に力が必要となる場合が有る。本実施形態では筒状部材172を継手管118に対して接続時と逆方向に回転させることによって、筒状部材172が継手管118から下流側に向かって軸方向に変位するから、他端172bは通水口124から剥がれて容易に取り外すことができる。
【0043】
次に、実施の形態の水栓100の接続機構90について詳しく説明する。
図5は継手管118の周辺を説明する説明図である。
図5において、円Fは継手管118の周辺を上から視た図であり、円Gは継手管118を軸方向から視た図である。
図6は筒状部材172の側面図である。
図6において、
図6(a)は筒状部材172の係合凸部192が上下の両側に位置する姿勢における側面から視た図で、
図6(b)は筒状部材172の係合凸部192をその突出方向から視た図である。
図6において矢印Tは軸方向で下流側を示す。
【0044】
接続機構90としては構成がシンプルで生産が容易であることが望ましい。そこで、実施の形態の水栓100では、継手管118の内面と筒状部材172の外面の一方には係合溝部が設けられ、継手管118の内面と筒状部材172の外面の他方には係合溝部に係合する係合凸部が設けられている。水栓100では、
図5に示すように、継手管118の内面に係合溝部190が設けられている。係合溝部190は、それぞれ円周方向に延在する溝部190aと溝部190bとを含む。溝部190aと溝部190bは周方向に略180度離れて対面する位置に設けられる。係合溝部190の溝部190aと溝部190bは、継手管118の内面から外面に向かって貫通している。継手管118には、継手管118の端面から軸方向に沿って延在して係合溝部190につながる導入溝191が設けられている。導入溝191は、溝部190aにつながる導入溝191aと、溝部190bにつながる導入溝191bとを含む。導入溝191は継手管118の内面から外面に向かって貫通しておらず、凹状である。係合溝部190についても、継手管118の内面から外面に向かって貫通しない凹状に形成してもよい。
【0045】
筒状部材172の外面には、
図6に示すように、係合溝部190に係合する係合凸部192が設けられている。係合凸部192は、半径方向外側に突出する突起状の部分で、それぞれ溝部190aと溝部190bに係合する、周方向に略180度離れて対面する位置に設けられた凸部192aと凸部192bとを含む。凸部192aと凸部192bとは突出方向に垂直な断面が円形状、オーバル形状、矩形状、多角形状などの形状に形成される。
【0046】
図7は筒状部材172が継手管118に係合する過程を説明する説明図である。
図7は、周方向に延在する係合溝部190を縦方向に展開して示しており、係合溝部190内を係合凸部192が移動する過程を示している。
図7において矢印Tは軸方向で下流側を示す。
図7に示すように、係合溝部190は、導入溝191に繋がる入口部190mと、入口部190mから周方向に離れた内方部190nと、を有する。入口部190mと、内方部190nと、は軸方向にずれて段違いに形成されている。まず、係合凸部192は、
図7にて192(1)で示すように、継手管118の端面から導入溝191に進入する。次に、係合凸部192は、
図7にて192(2)で示すように、軸方向に沿って入口部190mに移動する。次に、筒状部材172が回転されることによって、係合凸部192は、
図7にて192(3)で示すように、周方向に沿って内方部190nに移動する。このとき、内方部190nは入口部190mと段違いの奥側(水栓本体側)に形成されているから、係合凸部192が入口部190mから内方部190nに移動する過程で、筒状部材172が継手管118の軸方向の奥側に変位することになる。
【0047】
接続機構90は、一例として、筒状部材172が継手管118に対して反時計回りに回転するとき、筒状部材172は継手管118から抜ける方向に変位し、時計回りに回転するとき、筒状部材172は継手管118に押し込まれる方向に変位するように構成されてもよい。このように、接続機構90は、筒状部材172を継手管118に対して回転させることによって、筒状部材172が継手管118に接続されるように構成されており、筒状部材172を継手管118に対して回転させることによって、筒状部材172が継手管118の軸方向に変位するように構成されている。
【0048】
(具体的構造)
次に、水栓100の具体的な構造について説明する。
図8は実施形態に係る水栓100の吐水ヘッド106の断面図である。
図1の水栓本体部112に接続されている吐水ヘッド106である。以下、水栓本体部112に浄水機能を持たない吐水ヘッド106を装着した水栓を水栓100aと表記することがある。
図8に示すように、吐水ヘッド106の内管128は、吐水口部材130に接続される。内管128と吐水口部材130の間にはOリング154が挟まれている。吐水口部材130の出口は整流部材132によってキャップされる。整流部材132は、内管128からの流水を整流して泡沫水に変える。
【0049】
図1に示すように、筒状部材172は継手管118に挿入され、筒状部材172の下側の他端172bは通水口124に接続される。筒状部材172の他端172bと通水口124の間はOリング155により止水される。
【0050】
吐水ヘッド106は、内管128に継手管118が挿入された状態で、留具120が継手管118を把持することで、継手管118に固定される。特に、留具120は、外殻126の差込口122aから差し込まれ、内管128の差込口122bを通じて継手管118を把持する。
【0051】
(浄水機能)
次に、浄水機能を有する吐水ヘッド148について説明する。
図9は浄水機能を有する吐水ヘッド148の断面図であり、
図10は吐水ヘッド148を水栓本体部112に装着した水栓100bの断面図である。水栓100bは、水栓100aの水栓本体部112から浄水機能を持たない吐水ヘッド106を取り外し、浄水機能を有する吐水ヘッド148に交換することで得られる。
【0052】
吐水ヘッド148は、内管170、外殻164、吐水部材160、浄水ハンドル162、Oリング166、弁168、カートリッジ保持部156および浄水カートリッジ158を含む。内管170は外周を外殻164によってカバーされる。吐水ヘッド148は、内管170と外殻164の二重構造を有する。内管170には継手管118と筒状部材172からなる突出管部20が収容される。吐水部材160は内管170の下流側の先端に取り付けられる。浄水ハンドル162は、原水と浄水を切り替えるための操作部材であり、外殻164の下流側に寄った側面に設けられる。
【0053】
カートリッジ保持部156は、内管170と嵌合し、内管170の一部として設けられる。Oリング166は内管170とカートリッジ保持部156の間に挿入される。浄水カートリッジ158はカートリッジ保持部156に内蔵される。浄水カートリッジ158は吐水部材160を取外すことで交換できる。
【0054】
弁168はカートリッジ保持部156の内部に設けられる。弁168は、カートリッジ保持部156にセットされた浄水カートリッジ158によって押し出され、内管170とカートリッジ保持部156とを連通する。弁168は、浄水カートリッジ158が取り外されると、内管170内の水圧によって閉じられる。つまり、弁168は、通水状態で浄水カートリッジ158を取り外した時に、内管170の中の水をそのまま吐水ヘッド148の先端から噴射させないための安全装置である。
【0055】
ユーザの作業空間を確保する観点から、吐水ヘッド106とシンクの間の空間である吐水空間は広い方が好ましい。そこで、実施の形態の水栓100では、
図1に示すように、吐水ヘッド106の上面が水栓本体部112となす角度θは鋭角にされている。このように構成することによって、角度θが鈍角である場合に比べて、吐水ヘッド106の下流側が上方に位置するから、シンクからの距離が長くなり、吐水空間を広くすることができる。
【0056】
次に、このように構成された水栓100の特徴を説明する。
水栓100は、通水部材84と、通水部材84を覆うハウジング86を有する水栓本体部112と、水栓本体部112に着脱可能に装着される吐水ヘッド106と、を備える。筒状部材172は、通水部材84と吐水ヘッド106とを連通させ、水栓本体部112から突出して設けられる。このため、水栓本体部112から吐水ヘッド106を外したときにも、筒状部材172の上流側の他端172bは水栓本体部112内部の通水部材83に接続したままであるため、筒状部材の無い水栓と比較して、水栓本体部112内部での漏水のおそれを小さくすることができる。
【0057】
水栓100は、突出管部20が、継手管118と、継手管118に挿入される筒状部材172と、を含み、吐水ヘッド106は、突出管部20を収容する収容部10を有する。このため、収容部10が、継手管118と、継手管118に挿入される筒状部材172と、を含む二重構造の突出管部20を収容することで、筒状部材が安定しがたつきにくくなり、接続強度が向上する。
【0058】
水栓100は、筒状部材172を水栓本体部112に対して回転させることによって、筒状部材172が水栓本体部112に接続されるように構成される接続機構を備える。このため、筒状部材を軸方向に沿って水栓本体部112に押し込むことで接続する構成の水栓と比較して、比較的小さな力で楽に筒状部材172を水栓本体部112に接続することができる。また、筒状部材を軸方向に沿って押し込むと、力の掛け具合によっては部材を変形させる懸念がある。水栓100では、回転させることで接続されるから、部材を変形させる懸念を小さくすることができる。
【0059】
水栓100は、筒状部材172を継手管118に対して回転させることによって、筒状部材172が継手管118に接続されるように構成される接続機構90を備える。このため、比較的小さな力で楽に筒状部材172を継手管118に接続することができる。また、筒状部材172が意図せず継手管118から外れる可能性を小さくすることができる。
【0060】
水栓100は、接続機構90が、筒状部材172を継手管118に対して回転させることによって、筒状部材172が継手管118の軸方向に変位するように構成されるから、筒状部材172を装着するときは、筒状部材172の回転により継手管118の上流側に向かって変位するように構成し、筒状部材172を取り外すときは、筒状部材172の逆回転により継手管118の下流側に向かって変位するように構成することができる。このように構成することによって、小さな力で筒状部材172を継手管118に対して着脱することが可能になる。
【0061】
水栓100は、接続機構90が、継手管118の内面に設けられる係合溝部190と、筒状部材172の外面に設けられ、係合溝部190に係合する係合凸部192と、を含んでいる。このように構成された係合溝部190や係合凸部192は、比較的簡単な構造の金型によって容易に樹脂成型できるから、生産性や金型費用の観点で有利である。
【0062】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0063】
(変形例)
次に、変形例に係る水栓200について説明する。
図11は水栓200の接続機構93を説明する側面図である。
図11(a)は
図4に対応する突出管部220の周辺の側面図、
図11(b)は継手管218を断面で示した側面図である。水栓200は水栓100に対して接続機構90を削除し接続機構93を加えた点で異なり、他の構成は同様であるから重複する説明を省く。水栓200は継手管118の代わりに継手管218を、筒状部材172の代わりに筒状部材272を含む。接続機構93は、
図11(b)に示すように、継手管218の内面に設けられる雌ねじ部92と、筒状部材272の外面に設けられ雌ねじ部92に螺合する雄ねじ部94と、を含む。雌ねじ部92は螺旋状の傾斜を有するから、雄ねじ部94が雌ねじ部92にねじ込まれることで、回転力が軸方向の推力に変換され、筒状部材272は軸方向に沿って変位する。雌ねじ部92は継手管218の先端側に設けてあるため、見えやすく作業性が良い。
【0064】
接続機構93は、一例として、筒状部材272が継手管218に対して反時計回りに回転するとき、筒状部材272は継手管218から抜ける方向に変位し、時計回りに回転するとき、筒状部材272は継手管218に押し込まれる方向に変位するように構成されている。このように構成することにより、小さな力で筒状部材272を継手管218から外すことが可能になり、小さな力で筒状部材272を継手管218に装着することができる。
【0065】
変形例の水栓200は、実施形態の水栓100と同様の構成を有することで、前述した水栓100の特徴を有する。また、変形例の水栓200は、継手管218が筒状部材272と全周で均等に接するから、筒状部材272に対する継手管218の同軸性を確保し易い。
【0066】
実施の形態の水栓100の説明では、筒状部材172が、水栓本体部112の回転部104から突出する継手管118に挿入される例について説明したが、これに限られない。例えば、水栓本体部から突出する継手管は設けずに、筒状部材が水栓本体部から外側に突出する構成であってもよい。
【0067】
実施の形態の水栓100の説明では、筒状部材172が、水栓本体部112に対して回転することで水栓本体部112に接続される例について説明したが、これに限られない。例えば、筒状部材は別部材であるピン等を用いて水栓本体部に接続されてもよい。
【0068】
実施の形態の水栓100の説明では、係合溝部190が溝部190aと溝部190bの二つの溝部を含む例について説明したが、これに限られない。係合溝部190は、一つまたは3以上の溝部を含むようにしてもよい。
【0069】
実施の形態の水栓100の説明では、継手管118の内面に係合溝部190が設けられ、筒状部材172の外面に係合凸部192が設けられる例について説明したが、これに限られない。係合溝部が筒状部材に設けられ、係合凸部が継手管に設けられてもよい。
【0070】
説明に使用した図面では、部材の関係を明瞭にするために一部の部材の断面にハッチングを施しているが、当該ハッチングはこれらの部材の素材や材質を制限するものではない。