特許第6716372号(P6716372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6716372
(24)【登録日】2020年6月12日
(45)【発行日】2020年7月1日
(54)【発明の名称】タッチパネル装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20200622BHJP
【FI】
   G06F3/041 450
   G06F3/041 490
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-133762(P2016-133762)
(22)【出願日】2016年7月5日
(65)【公開番号】特開2018-5698(P2018-5698A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】片山 正彦
(72)【発明者】
【氏名】上野 豊
【審査官】 円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−065117(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/100067(WO,A1)
【文献】 特開2014−095992(JP,A)
【文献】 特開2015−103102(JP,A)
【文献】 特開2012−173855(JP,A)
【文献】 特開平08−152966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/041−3/047
G09F9/00
H05K3/46
G06F3/02−3/027
H03M11/00−11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ入力を受け付ける操作領域とタッチ入力を受け付けない非操作領域とを有する加飾フィルムと、前記加飾フィルムの前記非操作領域に装着されたフレームとを備える外装ユニットと、
前記操作領域に対応する前記加飾フィルムの下に空間を介して配置されるタッチパネルと、を有し、
前記操作領域に対応する前記加飾フィルムの下面に凹凸が形成されており、
前記タッチパネルは、前記フレームに設けられた前記操作領域に位置する貫通孔に嵌めこまれることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
タッチ入力を受け付ける操作領域とタッチ入力を受け付けない非操作領域とを有する加飾フィルムと、前記加飾フィルムの前記非操作領域に装着されたフレームとを備える外装ユニットと、
前記操作領域に対応する前記加飾フィルムの下に空間を介して配置されるタッチパネルと、を有し、
前記操作領域に対応する前記加飾フィルムの下面に凹凸が形成されており、
前記タッチパネルは、前記操作領域に対応する前記加飾フィルムの下面と対向する上部基板と、前記上部基板上に形成された第1スペーサと、下部基板と、前記上部基板と前記下部基板との間に配置された第2スペーサとを備えることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項3】
前記タッチパネルは、前記上部基板と重ならない前記下部基板の位置に第1接着部材を有し、
前記加飾フィルムと前記上部基板との間に空間を形成するように、前記下部基板は前記第1接着部材により前記加飾フィルムに固定されていることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
前記タッチパネルは、前記上部基板と重ならない前記下部基板の位置に配線部及び第2接着部材を有し、
前記配線部と重なる前記加飾フィルムの位置には、支持部材が貼り付けられており、
前記支持部材は、前記加飾フィルムに接着される第1接着層と、前記配線部に接着されずに接触する支持層とを有し、
前記配線部及び前記支持部材の合計の厚みは前記第2接着部材の厚みと同一である
ことを特徴とする請求項2に記載のタッチパネル装置。
【請求項5】
前記外装ユニットは、前記加飾フィルムと前記フレームとの間に接着層を有し、当該接着層は、前記操作領域に対応する前記加飾フィルムの下に配置される空間から外部に接続する通気孔を備えることを特徴とする請求項乃至4のいずれか1項に記載のタッチパネル装置。
【請求項6】
タッチ入力を受け付ける操作領域とタッチ入力を受け付けない非操作領域とを有する加飾フィルムと、前記加飾フィルムの前記非操作領域に装着されたフレームとを備える外装ユニットと、
前記操作領域に対応する前記加飾フィルムの下に空間を介して配置されるタッチパネルと、を有し、
前記操作領域に対応する前記加飾フィルムの下面に凹凸が形成されており、
前記外装ユニットは、前記加飾フィルムと前記フレームとの間に接着層を有し、当該接着層は、前記操作領域に対応する前記加飾フィルムの下に配置される空間から外部に接続する通気孔を備えることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項7】
前記非操作領域の一部の位置に対応する前記加飾フィルムは第2貫通孔あるいは弾性変形する突起有し、当該第2貫通孔あるいは突起が設けられた部分にメカスイッチが配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のタッチパネル装置。
【請求項8】
前記フレームは、第3接着部材により外部基板に接続されており、
前記第3接着部材は、前記フレームに接着される第2接着層と、前記外部基板に接着され、前記第2接着層よりも接着強度が弱い第3接着層とを有する請求項1乃至のいずれか1項に記載のタッチパネル装置。
【請求項9】
前記フレームの外周部には塗料が付加されており、前記フレームの外周部以外の部分には、腐食防止の塗料が付加されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のタッチパネル装置。
【請求項10】
前記フレームの下面は、外部基板と係合する係合部を有することを特徴とする請求項1乃至7及び9のいずれか1項に記載のタッチパネル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タッチ入力ができない非操作領域上に加飾層が形成されているタッチパネル装置が知られている(例えば、特許文献1,2)。特許文献1のタッチパネル装置では、フィルムとガラス基板との間の非操作領域に加飾層が形成されており、フィルムとガラス基板との間の表示領域には空気層が形成されている。この空気層によって表示領域の視認性が低下する。表示領域の視認性を向上させるため、特許文献1のタッチパネル装置では、加飾層と同一の厚みを持つ透明樹脂を空気層に充填している。
【0003】
特許文献2のタッチパネル装置では、カバーガラスと筐体との間の非操作領域に加飾層が形成されており、カバーガラスと筐体との間の表示領域には空気層が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−68909号公報
【特許文献2】特開2014−77821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルムとガラス基板との間の表示領域に空気層が形成されると、フィルムとガラス基板との間の距離によって光干渉による干渉縞が見えてしまうおそれがある。干渉縞を見えなくするために、空気層に透明樹脂を充填すると、フィルムが透明樹脂に張り付き、フィルムの交換が困難になる。
【0006】
本発明は、操作領域上に光の干渉による干渉縞が発生することを回避し、加飾フィルムを容易に交換できるタッチパネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、明細書に開示されたタッチパネル装置は、タッチ入力を受け付ける操作領域とタッチ入力を受け付けない非操作領域とを有する加飾フィルムと、前記加飾フィルムの前記非操作領域に装着されたフレームとを備える外装ユニットと、前記操作領域に対応する前記加飾フィルムの下に空間を介して配置されるタッチパネルと、を有し、前記操作領域に対応する前記加飾フィルムの下面に凹凸が形成されており、前記タッチパネルは、前記フレームに設けられた前記操作領域に位置する貫通孔に嵌めこまれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作領域上に光の干渉による干渉縞が発生することを回避し、加飾フィルムを容易に交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(A)は、本実施の形態に係るタッチパネル装置の上面図である。(B)は、図1(A)のA−A線の断面図である。(C)は、表示装置が装着されたタッチパネル装置を示す図である。
図2】(A)は、加飾フィルムの部分拡大図である。(B)は、加飾フィルムの変形例の部分拡大図である。(C)はタッチパネルの拡大図である。
図3】接着層の変形例を示す図である。
図4】(A)〜(C)は、加飾フィルムの変形例を示す図である。
図5】(A)は、タッチパネル装置の第1変形例の上面図である。(B)は、図5(A)のB−B線の断面図である。
図6】(A),(B)は、図5(B)のタッチパネル装置の変形例を示す図である。
図7】外装ユニットを基板に取り付ける際に使用される両面テープを示す図である。
図8】板金に印刷される塗料の例を示す図である。
図9】外装ユニットを基板に取り付ける際に使用される係合部を示す図である。
図10】(A)は、タッチパネル装置の第2変形例を示す図である。(B)は、図1(B)のタッチパネル装置の一部を示す図である。
図11】タッチパネル装置の第3変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1(A)は、本実施の形態に係るタッチパネル装置の上面図である。図1(B)は、図1(A)のA−A線の断面図である。図1(C)は、表示装置が装着されたタッチパネル装置を示す図である。図2(A)は、加飾フィルムの部分拡大図であり、図2(B)は、加飾フィルムの変形例の部分拡大図である。図2(C)はタッチパネルの拡大図である。
【0012】
本実施の形態では、タッチパネル装置1は、図1(B)に示すように、タッチパネル3に加えて、加飾フィルム2と接着層4と板金5とで構成される外装ユニット6を備えている。
【0013】
タッチパネル装置1の上面は、図1(A)に示す加飾フィルム2で覆われている。加飾フィルム2は、例えば、PET(polyethylene terephthalate)フィルムで構成されており、加飾フィルム2の厚みは125μm〜250μmである。加飾フィルム2は、タッチ入力を受け付けない非操作領域2Aと、タッチ入力を受け付ける操作領域2Bとを備えている。非操作領域2Aは、例えば黒色であり、操作領域2Bは透明である。従って、操作者は、非操作領域2Aの下に配置された板金5などは見ることができないが、操作領域2Bの下に配置されたタッチパネル3やタッチパネル3の下に配置された表示装置20(図1(C)参照)を見ることができる。また、操作領域2Bは、表示装置の画像を表示する表示領域として機能し、貫通孔であってもよい。
【0014】
板金5は非操作領域2Aの下に接着層4により固定されている。接着層4は、例えば、両面テープ又は透明な光学のりであり、接着層4の厚みは50μm以下である。本実施の形態では、フレームとして板金5が使用されているが、樹脂モールドが使用されてもよい。
【0015】
板金5は、操作領域2Bの位置に第1貫通孔としての貫通孔5Aを有する。貫通孔5Aの口径はタッチパネル3の外形と同一である。接着層4は、操作領域2Bの位置に貫通孔4Aを有する。貫通孔4Aの口径は貫通孔5Aの口径以下である。貫通孔4Aの口径が貫通孔5Aの口径よりも小さい場合、操作領域2Bにはみ出ている接着層4の一部がタッチパネル3のフィルム11の上面に接着される。操作領域2B全体に接着層4が形成されていると、加飾フィルム2がタッチパネル3に固く接着されてしまうため、加飾フィルム2及び板金5をタッチパネル3から取り外すことが困難である。しかし、本実施の形態では、操作領域2B全体に接着層4が形成されていないので、外装ユニット6をタッチパネル3から取り外すことができ、外装ユニット6の交換が可能である。
【0016】
タッチパネル3は、上部基板としてのフィルム11、両面テープ12及び下部基板としてのガラス基板13を備えている。フィルム11はガラス基板13上に両面テープ12により固定されている。フィルム11の下面とガラス基板13の上面にはそれぞれ透明導電膜が形成されているが、図1(B)では透明導電膜は図示省略されている。また、フィルム11とガラス基板13との間にはスペーサが設けられているが、図1(B)では図示省略されている。
【0017】
ガラス基板13の下に接着されている接着層14の面積はガラス基板13の面積よりも大きい。接着層14は、例えば、透明な両面テープ又は透明な光学のりである。タッチパネル3は、接着層14により外部基板としての基板100上に接着される。タッチパネル3が貫通孔5Aに嵌めこまれた場合に、ガラス基板13の外周から外側に延びる接着層14が板金5の下面に接着される。従って、タッチパネル3は、接着層4及び14により板金5の貫通孔5Aに固定される。尚、タッチパネル3の厚み(フィルム11の上面とガラス基板13の下面との間の距離)は板金5の厚みと同一である。
【0018】
図1(C)に示すように、接着層14の下に表示装置20を取り付けてもよい。フィルム11、両面テープ12、ガラス基板13及び接着層14は透明な材料であり、表示装置20の画像が操作領域2Bに表示される。図1(C)に示すように、タッチパネル3が接着層4及び14により板金5の貫通孔5Aに固定されると、加飾フィルム2とフィルム11との間に空気層7が形成される。この場合、加飾フィルム2とフィルム11との間の距離によって光の干渉による干渉縞が生じる場合がある。
【0019】
そこで、本実施の形態では、図2(A)に示すように、フィラー(小粒子)によって加飾フィルム2の下面に凹凸を形成する。これにより、干渉縞が生じることを防止する。凹凸が形成された部分の算術平均表面粗さ(Ra)は、例えば0.5μm以上である。凹凸は少なくとも操作領域2Bに対応する加飾フィルム2の下面に形成されるが、加飾フィルム2の下面全体に凹凸が形成されてもよい。加飾フィルム2の下面全体に凹凸が形成される場合、凹凸形成の加工が容易である。尚、加飾フィルム2の下面全体に凹凸が形成されても、非操作領域2Aの凹凸は接着層4で吸収されるので、加飾フィルム2の水平性に影響を与えることはない。
【0020】
また、加飾フィルム2の下面に形成される凹凸は図2(A)に示すように、不規則な波形21であるが、干渉縞の発生を防止する限り、図2(B)に示すような規則的な波形22であってもよい。
【0021】
さらに、図2(C)に示すように、タッチパネル3のフィルム11の上面、又は加飾フィルム2の下面に、絶縁性の透明樹脂で第1スペーサ(突起)16を形成してもよい。操作者が加飾フィルム2を押下した際に、第1スペーサ16を通じてその押下荷重がフィルム11に伝わることにより、タッチパネル装置1の入力荷重を減少させることができる。
【0022】
また、第1スペーサ16を、フィルム11とガラス基板13との間に配置された絶縁性の第2スペーサ15と逆のパターンで配置してもよい。つまり、上面視で第1スペーサ16が隣接する2つの第2スペーサ15間の中央に配置されるようにする。これにより、第1スペーサ16は、第2スペーサ15が存在しない領域を押下できるため、さらにタッチパネル装置1の押下荷重を減少させることができる。
【0023】
図3は、接着層4の変形例を示す図である。接着層4は、操作領域2Bの位置に貫通孔4Aを有するが、貫通孔4Aから外部に接続する通気孔4Bを備えていてもよい。接着層4が通気孔4Bを備えることで、外装ユニット6を交換する際に、気泡が発生することを回避できる。尚、通気孔4Bは複数あってもよい。
【0024】
図4(A)〜(C)は、加飾フィルム2の変形例を示す図である。
【0025】
図4(A)では、加飾フィルム2は、操作領域2Bの位置に貫通孔2Cを有する。貫通孔2Cの口径は貫通孔4Aの口径と同一であり、貫通孔5Aの口径以下である。貫通孔2Cの口径が貫通孔5Aの口径と同一である場合、タッチパネル3のフィルム11の全体が貫通孔2Cから露出される。貫通孔2Cの口径が貫通孔5Aの口径よりも小さい場合には、操作領域2Bにはみ出ている接着層4の一部がタッチパネル3のフィルム11の上面に接着される。
【0026】
操作領域2Bの位置に貫通孔2Cを有することで、タッチパネル3のフィルム11に直接タッチ入力ができるので、加飾フィルム2を介してタッチパネル3のフィルム11を押下する場合に比べて、入力荷重を低減できる。
【0027】
図4(B)では、貫通孔2Cの近傍の加飾フィルム2の厚みは125μmであり、加飾フィルム2の外周部の厚みは188μmである。このように、タッチパネル3に近づくに従って、加飾フィルム2の厚みを減少させてもよい。加飾フィルム2の厚みを次第に減少させることで、加飾フィルム2とフィルム11との段差を減らすことができ、デザイン性を向上させることができる。
【0028】
図4(C)では、加飾フィルム2の厚みは図4(B)の加飾フィルム2の厚みと同一であり、接着層4の厚みを変更している。貫通孔4Aの近傍の接着層4の厚みは50μm以下であり、接着層4の外周部の厚みは62μm以上である。このように、タッチパネル3に近づくに従って接着層4の厚みを減少させてもよい。これにより、加飾フィルム2及び接着層4とフィルム11との段差を減らすことができ、デザイン性をより向上させることができる。
【0029】
以下、図1(A)〜図2(C)の構成と同一の構成については、その説明を省略する。例えば、以降の実施例でも、加飾フィルム2の下面に形成される凹凸や第2スペーサ15及び第1スペーサ16は存在するが、図示は省略されている。
【0030】
図5(A)は、タッチパネル装置の第1変形例の上面図である。図5(B)は、図5(A)のB−B線の断面図である。
【0031】
図5(A)に示す加飾フィルム2は、操作領域2Bに加えて、第2貫通孔としての複数の貫通孔2Dを備えている。尚、貫通孔2Dは1つ以上であればよい。図5(B)では、接着層4は貫通孔2Dの位置に貫通孔4Cを有する。板金5は、貫通孔2Dの位置に第3貫通孔としての貫通孔5Bを有する。貫通孔4C及び貫通孔5Bの口径はプッシュ式のメカスイッチ23の外形と同一か若干大きい。メカスイッチ23は貫通孔5Bに挿入され、接着層24が板金5の下面に接着される。これにより、メカスイッチ23は接着層24により板金5に固定される。操作者は、貫通孔2Dから露出されているメカスイッチ23を押下することができる。図5(B)の構成では、タッチパネル3で感覚的な操作を実現し、メカスイッチ23で確実な操作を実現するタッチパネル装置を提供できる。
【0032】
貫通孔2Dの口径は、貫通孔4C及び貫通孔5Bの口径以下である。好ましくは、貫通孔2Dの口径は、貫通孔4C及び貫通孔5Bの口径よりも小さい。これにより、埃が貫通孔4C及び貫通孔5Bに侵入することを抑制できる。
【0033】
図6(A),(B)は、図5(B)のタッチパネル装置の変形例を示す図である。
【0034】
図6(A),(B)では、加飾フィルム2にエンボス加工が施され、加飾フィルム2に弾性変形する突起30が形成されている。突起30は、貫通孔4C及び貫通孔5B上、即ち図6(A)のメカスイッチ23上に形成されている。操作者が突起30を押下すると、突起30は下側に突出するように弾性変形し、メカスイッチ23を押下する。操作者が突起30から指を離すと、突起30は図6(A)の元の形状に戻る。
【0035】
図6(B)では、メカスイッチ23の代わりに、弾性変形するメンブレンスイッチ25が貫通孔5B内に配置される。つまり、突起30は、メンブレンスイッチ25上に形成される。操作者が突起30を押下すると、突起30が下側に突出するように弾性変形し、メンブレンスイッチ25を押下する。操作者が突起30から指を離すと、メンブレンスイッチ25及び突起30は図6(B)の元の形状に戻る。図6(A),(B)では、貫通孔2Dが加飾フィルム2に形成されないので、埃が貫通孔4C及び貫通孔5Bに侵入することを抑制できる。
【0036】
図7は、外装ユニット6を基板100に取り付ける際に使用される両面テープを示す図である。
【0037】
図7では、外装ユニット6は第3接着部材としての両面テープ34により基板100上に接着される。両面テープ34は3層構造であり、接着強度が強い第2接着層としての接着層31と、接着層31よりも接着強度が弱い第3接着層としての接着層33と、接着層31と接着層33とに挟まれる基材32とを備えている。接着層31の上面が板金5の下面に接着され、接着層33の下面が基板100の上面に接着される。
【0038】
外装ユニット6の取り付けに両面テープ34を用いるので、外装ユニット6を上側に引き上げることで、両面テープ34の接着層33が基板100から剥がれ、外装ユニット6を容易に交換できる。
【0039】
図8は、板金5に印刷される塗料の例を示す図である。図8に示すように、板金5の外周部には、加飾フィルム2の非操作領域2Aの色(例えば黒色)と同一色の塗料40が印刷される。これは、加飾フィルム2の板金5への取り付け位置がずれた場合に、板金5を目立たなくするためである。また、板金5の残りの部分、つまり塗料40が印刷されてない部分に、腐食防止用の塗料41を印刷する。
【0040】
図9は、外装ユニット6を基板100に取り付ける際に使用される係合部を示す図である。
【0041】
図9に示すように、板金5の下面には、外装ユニット6を基板100に取り付けるためのフックなどの係合部43が形成されていてもよい。基板100には、係合部43と係合するための孔などの被係合部44が形成されている。外装ユニット6及びタッチパネル3は接着層では基板100に取り付けられていない。外装ユニット6を基板100に対してスライドすることで、外装ユニット6を基板100に取り付けることや外装ユニット6を基板100から取り外すことができる。従って、外装ユニット6を容易に交換できる。
【0042】
図10(A)は、タッチパネル装置の第2変形例を示す図である。図10(B)は、図1(B)のタッチパネル装置の一部を示す図である。図10(A)では、図10(B)と異なり、接着層4が操作領域2Bにはみ出ていない。タッチパネル3の構造が図1(B)のタッチパネル3の構造と異なる。
【0043】
ガラス基板13の面積はフィルム11の面積よりも大きく、フィルム11はガラス基板13の略中央上に両面テープ12により固定されている。ガラス基板13の外周部13A上に第1接着部材である接着層50の下端が接着されている。接着層50の厚みは、フィルム11及び両面テープ12の合計の厚みよりも大きい。接着層50の上端は加飾フィルム2の下面に接着される。このように、図10(A)のタッチパネル3では、ガラス基板13が接着層50により加飾フィルム2の下面に固定される。ガラス基板13が加飾フィルム2の下面に固定された場合には、加飾フィルム2とフィルム11との間に空気層が形成される。
【0044】
図10(B)の場合、外装ユニット6がタッチパネル3上に装着されると、接着層4がフィルム11の外周部11A上に接着される。タッチパネル3の両面テープ12の上方又は下方には不図示の配線が印刷されているため、フィルム11の外周部11Aには凹凸が生じる。外装ユニット6がタッチパネル3上に装着されると、フィルム11の外周部11Aの凹凸が接着層4を介して加飾フィルム2の上面に現れてしまう。
【0045】
このため、図10(A)のように、ガラス基板13をフィルム11及び両面テープ12の合計の厚みよりも厚い接着層50により加飾フィルム2の下面に固定し、加飾フィルム2とフィルム11との間に空気層を形成することで、フィルム11の外周部11Aのタッチパネル3の配線により生じる凹凸が加飾フィルム2の上面に現れることを防止することができる。
【0046】
また、ガラス基板13はフィルム11に比べて熱による線膨張係数が小さい。このため、加飾フィルム2をガラス基板13に接着する図10(A)の構造は、加飾フィルム2をフィルム11に接着する図10(B)の構造と比べて、加飾フィルム2に伝わるガラス基板13の膨張及び収縮の影響が小さく、加飾フィルム2の歪みを抑えることができる。
【0047】
図11は、タッチパネル装置の第3変形例を示す図である。
【0048】
図11では、ガラス基板13の面積はフィルム11の面積よりも大きく、フィルム11はガラス基板13の略中央に両面テープ12により固定されている。ガラス基板13の右端に第2接着部材としての接着層51の下端が接着されている。接着層51の厚みは、フィルム11及び両面テープ12の合計の厚みよりも大きい。接着層51の上端は加飾フィルム2の下面に接着される。ガラス基板13の左端には、配線部としてのFPC(Flexible printed circuits)52が固定されている。FPC52は、タッチパネル3の両面テープ12の上方又は下方に印刷されている配線(不図示)と接続されている。
【0049】
FPC52と重なる加飾フィルム2の位置には、支持部材としての片面テープ55が貼り付けられている。片面テープ55は、第1接着層としての接着部53と支持層としての非接着部54とを備えている。接着部53は、加飾フィルム2の下面に接着する。非接着部54は、外装ユニット6がタッチパネル3上に装着されたときに、FPC52に接触するが接着しない。片面テープ55とFPC52の合計の厚みは接着層51の厚みと同一である。
【0050】
FPC52と加飾フィルム2との間に両面テープを貼り付けると、フィルム11の膨張又は収縮による動きで、FPC52に水平方向のダメージが加わる。FPC52と加飾フィルム2との間に何も設けないことも考えられるが、FPC52上に加飾フィルム2を支持する部材がないと、加飾フィルム2にへこみが生じるおそれがある。そこで、図11では、FPC52と加飾フィルム2との間には両面テープを貼り付けず、FPC52に接着されない片面テープを配置している。これにより、FPC52にダメージを与えずに、FPC52と加飾フィルム2との間の空間を埋め、加飾フィルム2を支持することができる。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態によれば、タッチパネル装置1は、タッチ入力を受け付ける操作領域2Bとタッチ入力を受け付けない非操作領域2Aとを有する加飾フィルム2と、加飾フィルム2の非操作領域2Aに装着された板金5とを備える外装ユニット6と、操作領域2Bに対応する加飾フィルム2の下に空気層7を介して配置されるタッチパネル3とを有し、操作領域2Bに対応する加飾フィルム2の下面に凹凸が形成されている。従って、操作領域2Bに対応する加飾フィルム2の下面に形成された凹凸によって、操作領域2B上に光の干渉による干渉縞が発生することを回避することができる。また、タッチパネル3は、外装ユニット6に含まれる加飾フィルム2の下に空気層7を介して配置されるので、外装ユニット6をタッチパネル3から容易に取り外すことができ、加飾フィルム2を容易に交換できる。
【0052】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 タッチパネル装置
2 加飾フィルム
2A 非操作領域
2B 操作領域
3 タッチパネル
4 接着層
5 板金
6 外装ユニット
11 フィルム
12 両面テープ
13 ガラス基板
14 接着層
15 第2スペーサ
16 第1スペーサ
100 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11