【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、アルキルエステル生成物の生成のための連続法であって
、
C
1〜6アルカノール共反応剤の存在下で、一酸化炭素を用いてエチレンをカルボニル化して、前記アルキルエステル生成物を形成する工程を含み、カルボニル化が、(a)二座配位子、(b)第8族、第9族または第10族金属から選択される触媒金属またはその化合物、および(c)C
1〜6アルカノールとともに酸アルキルエステルを形成することが可能なスルホン酸を含む触媒系の存在下で行われる方法が提供され、この方法は、一段フラッシュ蒸留塔中でアルキルエステル生成物を蒸発させるのに有効な好適な処理によって、カルボニル化された粗生成物流れから形成されたアルキルエステル生成物を分離する工程を含み、前記二座配位子および触媒金属から分離された、精製されたアルキルエステル生成物流れを提供し、前記蒸留塔は、生成物をさらに分離するのに有効なさらなる分離手段を含む。
【0006】
典型的に、さらなる分離手段は、フラッシュ蒸留塔の上部中の充填物であるかまたはフラッシュ蒸留塔の上部に結合される。しかしながら、さらなる分離は、トレーによっても提供され得る。好ましくは、充填物は、規則充填物であるが、不規則充填物も用いられてもよい。
【0007】
好ましくは、充填物は、分離のための、0.01〜5のさらなる理論段、より好ましくは、0.1〜2のさらなる段、最も好ましくは、0.2〜3のさらなる理論段などの、さらなる理論段を提供する。一般に、充填物は、カラムの5〜40%を占め、カラムの上端に配置され、より好ましくは、カラムの上端で、カラムの10〜25%を占める。
【0008】
有利には、充填物は、触媒の持ち越しを防止するだけでなく、金属および配位子成分から触媒の酸成分を優先的に分離して、少量の酸の持ち越しを許容する。この少量の持ち越しは、連続的な触媒供給プロセスの際の反応器中の酸の蓄積を防止するのに十分である。
【0009】
「さらなる理論段」および「さらなる分離手段」の「さらなる」という用語は、一段フラッシュ蒸留塔自体によって提供される分離への追加を意味する。
【0010】
好適な規則充填物は、Mellapak製品などのSulzerの範囲であり、一例は、Mellapak Plus 202.Y製品である。しかしながら、他のタイプの規則充填物が、当業者に利用可能である。
【0011】
さらに、少量の還流をフラッシュ蒸留塔中に導入することが好ましい。典型的に、0.1〜5% w/wの還流が提供される。好適な還流成分は、反応のアルキルエステル生成物の別個の流れまたは例えば、反応のC
1〜6アルカノールとのその混合物である。
【0012】
好ましくは、精製されたアルキルエステル生成物流れは、その後、前記精製されたアルキルエステル生成物流れから前記酸を分離し、前記精製されたアルキルエステル生成物流れ中の前記酸を中和するのに有効なスルホン酸処理工程に供される。
【0013】
好ましくは、スルホン酸処理工程は、前記精製された生成物流れ中の酸素を少なくとも部分的に、より好ましくは、完全に中和するために、塩基を用いて行われるか、または蒸留などによって精製された流れからアルキルエステル生成物を優先的に蒸発させることで、酸およびそのエステルを重質留分として残すのに有効な好適な熱および/または圧力処理によって行われる。スルホン酸処理は、ほぼ大気圧で、およびアルキルエステル生成物の沸点でまたはそれよりわずかに高い温度、例えば、沸点より0〜5℃、より好ましくは、0〜3℃高い温度で動作するリボイラを用いて、分離によって行われ得る。プロピオン酸メチルの場合、リボイラは、79〜82℃であり得る。圧力範囲は、0.9〜1.1bargであり得る。しかしながら、温度が対応して調節される限り、同じ分離を異なる圧
力で行うことができ、または逆もまた同様であることが当業者によって理解されよう。
【0014】
形成されたアルキルエステル生成物は、ある割合のC
1〜6アルカノール共反応剤を含み得る。これは、好適な温度および圧力で、形成されたアルキルエステル生成物から、軽質もしくは重質留分としてまたは形成される場合は共沸混合物として分離され得る。アルカノール共反応剤の分離は、好ましくは、任意の酸処理工程の前に行われる。
【0015】
有利には、本発明は、精製されたアルキルエステル生成物流れ中の、10ppm未満、より典型的に、5ppm未満、最も典型的に、3または2ppm未満などの、少量の、ppmレベルのスルホン酸の意外な発見にも関する。スルホン酸の沸点が、アルキルエステル生成物の蒸発温度よりかなり高いため、このようなレベルの酸は、通常認められず、意外でもある。理論に制約されるものではないが、1つの考えられる説明は、アルコールの存在下における連続法では、スルホン酸は、スルホン酸と平衡状態にあるより低い沸点の酸アルキルエステルを形成し得、酸アルキルエステルが依然として本発明のアルキルエステル生成物よりかなり高い温度で沸騰するとしても、対応する蒸気圧の上昇が、上で示されるようなわずかなppm量を、粗生成物蒸気処理工程の際にアルキルエステル生成物とともに蒸発させるのに十分であり得ることであり得る。この意外な発見は、一般に、酸のレベルを測定可能なレベルまで上げるために生成物流れを例えば10、20または50倍濃縮することによってのみ可能である。精製されたアルキルエステル生成物流れ中の少量の酸およびそのアルキルエステルの意外な存在により、反応媒体、触媒、リサイクル流れの汚染なしでの比較的少量の酸の後の反応器処理またはアルキルエステル生成物を使用する後のプロセスが可能になり、それによって、触媒系の中和を回避し、連続法における反応媒体中の酸の蓄積を防ぐための意外なほど好都合な手段が得られる。酸の蓄積は、本来なら、反応器中の許容できない腐食の原因となり得る。特に、この処理により、反応媒体中の酸の蓄積を防ぐために本来必要であり得る反応器の過ヨウ素酸パージを行う必要性または汚染された触媒および/または塩基塩を除去する必要性がなくなる。これに関して、微量の酸を含有する生成物のリサイクルが酸の供給源としても機能するように、連続法における有効な溶媒が、反応の生成物であることも理解されるべきである。
【0016】
連続法において、酸の蓄積が、反応を所定の速度に維持するために反応器中に連続的にまたは定期的に供給される反応剤および触媒系によって引き起こされることが当業者によって理解されよう。触媒成分は、一般に、触媒の有効性を維持するためにその分解の速度で供給され得るが、触媒系の酸成分は、配位子および金属成分と異なり、一般に分解するため、反応媒体中の酸の蓄積の潜在的な問題が生じる。あるいは、触媒系の定期的または連続的な中和は、望ましくない塩基塩の蓄積を生じるであろう。
【0017】
1つの可能性は、精製されたアルキルエステル生成物を使用する後のプロセスにおいて低レベルの酸を中和することである。1つのこのようなプロセスは、ホルムアルデヒドを用いた、MMAへのプロピオン酸メチル(MEP)の接触転化である。有利には、このプロセスにおいて、ホルムアルデヒドの供給源は、一般に、35〜55重量%:0.05〜18重量%:42〜53重量%の比率のホルマリンホルムアルデヒド:メタノール:水である。メタノールおよび水の存在は、塩基が、ホルマリンをアルキルエステルと接触させる前にその中で容易に溶解され得ることを意味する。さらに、これにより、酸とホルマリンとのあらゆる反応が防止される。塩および任意の過剰の塩基は、より軽質の有機成分の蒸発によって除去され得る。
【0018】
アルキルエステル生成物を含有するスルホン酸に加えられる塩基の量は、精製されたアルキルエステル生成物中の酸の量および必要とされる中和の量に応じて変化し得る。しかしながら、その量は、典型的に、スルホン酸のモルレベルの1〜3倍、典型的に、スルホン酸のモルレベルの1〜2倍であり得る。
【0019】
酸
好ましくは、スルホン酸は、25℃で、希薄水溶液中で測定した際に6未満のpKaを有するように選択される。pKaは、好ましくは、18℃で、希薄水溶液中で測定した際に約4未満である。特に好ましい酸は、25℃で、希薄水溶液中で測定した際に2未満のpKaを有するが、ジエンなどの一部の基材の場合、18℃で、希薄水溶液で測定した際に2〜6のpKaが好ましい。好適なスルホン酸は、以下に挙げられる酸から選択され得る。
【0020】
好適な酸は、触媒金属に弱く配位するアニオンを有するものを含む。好適な酸は、メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、フルオロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸(例えばp−トルエンスルホン酸)、t−ブチルスルホン酸、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、C
2〜C
12アルカンスルホン酸、カンファースルホン酸および1および2−アダマンタンスルホン酸から選択され得る。本発明において、より好ましい酸は、メタンスルホン酸、C
2〜C
8アルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、t−ブチルスルホン酸およびトルエンスルホン酸であり、最も好ましい酸は、メタンスルホン酸である。
【0021】
好ましくは、スルホン酸は、触媒が反応剤と接触される前に、触媒系に加えられる。
【0022】
触媒系への酸の添加により、TONに好ましい酸性の反応条件が得られる。触媒系への酸の添加により、第8族、第9族または第10族金属と配位するスルホン酸アニオンの供給源も得られる。
【0023】
本明細書における本発明のために、pKaは、当業者に公知の好適な技術によって決定され得る。
【0024】
カルボニル化反応において、存在する酸の量は、酸に対する第8族、第9族または第10族金属/化合物のモル比として表すことができ、1:1〜1:4000、より好ましくは、1:2〜1:1000、最も好ましくは、1:5〜1:200、特に、1:10〜1:200であり得る。
【0025】
典型的に、アルキルエステル生成物は、存在する他の成分とともに生成物および/またはその共沸混合物を蒸発させるのに有効な好適な温度および圧力におけるフラッシュ蒸留塔中での有効な熱処理によって、粗生成物流れ中から蒸発される。例えば、プロピオン酸メチル生成物の場合、熱処理は、例えば、60〜120℃、より典型的に、65〜95℃の範囲であり得る。典型的に、処理は、130℃未満、より典型的に、110℃未満、最も典型的に、100℃未満で行われる。一般に、処理工程中の圧力は、上記の温度範囲において、80〜220KPa、より典型的に、100〜200KPa、最も典型的に、130〜180KPaで有効であろう。
【0026】
スルホン酸は、300〜400℃の範囲の沸点を有し、沸騰し得る前に分解することが多いため、あらゆる酸が、アルキルエステル粗生成物流れの前記処理によって除去されることが特に意外である。さらに、スルホン酸を含む触媒の大部分が、一般に、前記粗生成物の一段フラッシュカラム処理工程の後、重質留分として回収される。この段階での酸の喪失は、少な過ぎて、直接監視することができない。重質留分中の触媒系は、リサイクルされて、反応器中の反応媒体に戻される。
【0027】
典型的に、アルキルエステル生成物は、5ppm未満のスルホン酸および/またはそのアルキルエステル、より典型的に、その5ppm未満、最も典型的に、その2ppm未満
とともに、粗生成物流れ中から蒸発される。
【0028】
典型的に、二座配位子は、一般式(I)
【化1】
(式中、Hが、架橋中に1〜6個の原子を有する二価の有機架橋基であり;
基X
1、X
2、X
3およびX
4が、独立して、基がQ
1またはQ
2原子に結合される少なくとも1個の第三級炭素原子を任意に有する30個以下の原子の一価の基を表し、またはX
1およびX
2および/またはX
3およびX
4が一緒に、基がQ
1および/またはQ
2原子に結合される少なくとも2個の第三級炭素原子を任意に有する40個以下の原子の二価の基を形成し;
Q
1およびQ
2がそれぞれ、リン、ヒ素またはアンチモンを表す)
の二座配位子である。
【0029】
任意に、触媒系は、さらなるアニオンの供給源を含む。
【0030】
本明細書における連続法とは、反応中に生成物の除去を行うかまたは行わずに、一バッチの反応剤および触媒を、さらなる反応剤または触媒の入力なしで最後まで反応させる単純なバッチ反応に留まらずに反応プロセスが継続することを意味する。本明細書における連続反応では、反応剤は、反応が継続し得るように連続供給され、触媒は、劣化するにつれて補充され、反応が進行するにつれて、生成物は、生成物流れとして反応器から取り出される。
【0031】
上述されるように、連続反応では、触媒は、反応が進行するにつれて補充され、より好ましくは、触媒濃度は、一般に、添加の速度が触媒の劣化の速度に一致するように、連続反応を通して維持される。さらに、未反応の反応剤ガスが、連続的にリサイクルされて、反応器中に戻されることが好ましい。その上さらに、未反応の液体反応剤が、連続的にリサイクルされて、反応器に戻されることが好ましい。
【0032】
好ましくは、エチレンおよび一酸化炭素流入供給流れは、液相と接触する前に、組み合わされて単一の流入供給流れにされる。単一の組み合わされた流入供給流れ中のエチレン:COモル比は、好ましくは、2:1を超える。しかしながら、流入供給流れが、液相中に別々に供給される場合、それらは、好ましくは、所要の入力比を連続的に達成するように同時にそのように供給される。
【0033】
気相反応剤比
反応器は、気相用の装備を含む。典型的に、反応器中のヘッドスペース気相の確保を可能にするように、触媒および反応剤を含む液相の上にヘッドスペースが設けられる。
【0034】
好ましくは、反応器の気相中のエチレン:COガスモル比は、40:1〜200:1であり、より好ましくは、55:1〜150:1、任意に、25:1〜49:1である。
【0035】
好ましくは、本発明に係る連続法では、気相エチレンおよびCOは、流入供給流れを介してリサイクルされて、反応器の液相中に戻され、典型的に、エチレンおよびCOの40
体積%超が、リサイクルされて、反応器の液相中に戻される。
【0036】
供給流れ反応剤比
好ましくは、反応器のガス流入供給流れ(任意のリサイクルされたエチレンおよびCOを含む)中のエチレン:COモル比は、2:1〜20:1、より好ましくは、2:1〜10:1、最も好ましくは、3:1〜6:1、特に、4:1である。典型的に、ガス供給流れは、液相中に直接導入される。
【0037】
液相反応剤比
連続法では、リアルタイムのいずれの分析も、分析の過程において進行する反応によって損なわれるため、液相中のエチレン:CO比を決定するのが容易ではない。
【0038】
それにもかかわらず、ヘンリー定数および気相中の分圧の使用によって、COの液相濃度を計算することが可能である。これに基づいて、好ましくは、液相中のエチレン:COモル比は、10:1〜1000:1である。
【0039】
好ましくは、ガス供給流れは、反応用の液相中に送られ、その中を通過した後、未反応ガスが、気相に入り、気相は、最終的に、液相と平衡状態になるように安定する。
【0040】
好ましくは、液相中のエチレン:COのモル比は、10:1超、より好ましくは、20:1超、最も好ましくは、30:1超であり、いずれの場合も、1000:1の任意の上限を有する。液相中のエチレン:COの好ましいモル比は、30:1〜600:1、より好ましくは、50:1〜300:1のモル比、最も好ましくは、75:1〜300:1のモル比である。
【0041】
好ましくは、流入供給流れから液相に入るエチレン:COモル比は、2:1超である。好ましくは、気相中のエチレン:COガスモル比は、20:1〜1000:1である。
【0042】
COおよびエチレンの液相の組成は、平衡フラッシュ計算を用いて決定されている。この計算は、UNIQUAC活量係数モデルにより液相中の非理想性を説明し、Redlich Kwong状態方程式により気相中の非理想性を説明する。これらのモデル中のパラメータは、対象とする成分について実験により測定されている(COおよびエチレンのヘンリー定数を含めて)。
【0043】
他のガス
一酸化炭素またはエチレンは、反応の際に一般に不活性な他のガスの存在下で使用され得る。好適なガスとしては、水素、窒素、二酸化炭素、エタンおよびメタンまたはアルゴンなどの希ガスのいずれかが挙げられる。
【0044】
気相中の任意のこのような不活性ガスのレベルは、0〜75体積%、より典型的に、5〜70体積%、最も典型的に、15〜35体積%である。
【0045】
典型的に、エチレン、COおよび任意の不活性ガスまたは他のガスは、ガス供給流れによって、液相中に最初に導入される。
【0046】
ガス混合
好ましくは、液相は、反応中によく混合される。好ましいタイプの混合は、デュアルインペラミキサーを用いて行われ、デュアルインペラミキサーは、前進流および逆流が同時に得られるように反応器中で2つの対向する方向に混合する。
【0047】
したがって、好ましくは、本発明は、流体または固体の制御可能な混合を可能にすると同時に、効果的な混合環境を提供する混合装置を含む。
【0048】
好ましくは、反応器中で本発明の流体を混合するための混合装置は、その長手方向軸を中心に回転可能なシャフトと、液相中のシャフトに取り付けられ、それぞれ軸方向に間隔を空けられた第1および第2の放射状に延在するインペラとを含み、第1のインペラは、前記流体を第2のインペラに向かって軸方向に移動させるように動作可能な複数の湾曲した羽根を含み、第2のインペラは、前記流体を第1のインペラに向かって軸方向に移動させるように動作可能な複数の湾曲した羽根を含む。
【0049】
好ましくは、各インペラ上の羽根は、インペラ間の空間中へと内向きに移送する。典型的なほぼ垂直なシャフトの場合、下側のインペラは、したがって、上向きに移送し、上側のインペラは、下向きに移送する。好ましくは、各インペラの羽根は、水中翼羽根である。好適な水中翼羽根は、Chemineer Maxflo(商標)Wである。あるいは、Lightnin A315(商標)、A320(商標)またはA340(商標)が使用され得る。
【0050】
明らかに、液相中で混合される本発明の流体は、液体およびガスを含む。
【0051】
好ましくは、第1のインペラおよび第2のインペラはそれぞれ、2つ以上の湾曲した羽根、より好ましくは、3つ以上の湾曲した羽根を含み、最も好ましくは、4つの湾曲した羽根を備えたインペラである。多数の湾曲した羽根を備えたインペラの装備により、大きい気泡を破壊するように作用するせん断力が増加する。生成される小さい気泡は、より少ない湾曲した羽根を備えた第1のインペラおよび/または第2のインペラで生成される気泡より小さい平均気泡直径を有し、したがって、反応を引き起こすために利用可能な表面的が増加される。
【0052】
好ましくは、低い動力数で動作させた場合、完全均一分散相分布が得られる。これは、羽根、典型的に、水中翼羽根のエネルギー効率のために極めて望ましい。
【0053】
好ましくは、第1のインペラおよび第2のインペラが回転するときに使用される比動力は、狭い気泡サイズ分布を得るのに有効である。
【0054】
好ましくは、二重対向Maxfloインペラが使用される場合、算術平均サイズ(d
10)は、実質的に、250μm〜550μmであり、表面積体積平均直径(d
32)は、実質的に、400μm〜750μmである。
【0055】
好ましくは、BT−6型のインペラが使用される場合、d
10は、実質的に、250μm〜1500μmである。反応器中で、ガスは、撹拌液体媒体中にスパージされ、好ましくは、スパージガス速度は、好ましくは、50rpm〜1200rpm、最も好ましくは、実質的に、50rpm〜200rpmのインペラ速度で、実質的に、0.05〜1.0m
3/秒、好ましくは、実質的に、0.1〜0.5m
3/秒、最も好ましくは、実質的に、0.13m
3/秒である。
【0056】
好ましくは、実質的に、1〜10m、より好ましくは、実質的に、2〜5mの直径を有する槽中の二重対向流れ水中翼システムにおいて分散を得るための臨界分散速度は、好ましくは実質的に、1〜100rpm、好ましくは、実質的に、5〜50rpm、より好ましくは、実質的に、10〜20rpm、最も好ましくは、実質的に、14rpmである。
【0057】
配位子
式(I)または(II)の化合物が、第8族、第9族または第10族金属またはそれらの化合物と配位する配位子として機能して、本発明に使用するための化合物を形成し得ることが、当業者によって理解されよう。典型的に、第8族、第9族または第10族金属またはそれらの化合物は、式(I)または(II)の化合物の1個以上のリン、ヒ素および/またはアンチモン原子に配位する。
【0058】
共反応剤
反応の際のエチレンおよび共反応剤の比率(v/v)は、広範囲に変化し得、好適には、10:1〜1:500の範囲にある。
【0059】
本発明の共反応剤は、分枝鎖状または直鎖状、環式、非環式、部分環式または脂肪族であってもよく、アルカノール、特に、アルキル、ハロ、特に、フルオロから選択される1つ以上の置換基で任意に置換され得るC
1〜C
4アルカノールを含む。非常に好ましいアルカノールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、イソ−ブタノール、t−ブチルアルコール、フェノールおよびn−ブタノールである。特に好ましいアルカノールは、メタノールおよびエタノールである。最も好ましいアルカノールはメタノールである。
【0060】
アルコールの量は重要ではない。一般に、カルボニル化される基材の量を上回る量が使用される。したがって、アルコールは、反応溶媒としても機能し得るが、必要に応じて、別個の溶媒も使用され得る。
【0061】
反応の最終生成物が、使用されるアルカノールの供給源によって、少なくとも部分的に決定されることが理解されよう。例えば、メタノールの使用により、対応するメチルエステルが生成される。したがって、本発明は、エチレン二重結合を介して、基−C(O)OC
1〜C
6アルキルまたはアリールを付加する好都合な方法を提供する。
【0062】
溶媒
好ましくは、本発明の反応は、好適な溶媒の存在下で行われる。好適な溶媒は、本明細書において後述される。好ましくは、第8族、第9族または第10族金属/金属化合物および配位子は、溶媒に加えられ、好ましくは、それに溶解される。
【0063】
本発明に使用するのに好適な溶媒としては、例えば、メチルブチルケトンなどのケトン;例えば、アニソール(メチルフェニルエーテル)、2,5,8−トリオキサノナン(ジグリム)、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよびジ−エチレン−グリコールのジメチルエーテルなどのエーテル;例えば、ジオキサンなどのオキサン;例えば、酢酸メチル、アジピン酸ジメチル、安息香酸メチル、フタル酸ジメチルおよびブチロラクトンなどのエステル;例えば、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびジメチルホルムアミドなどのアミド;例えば、ジメチルスルホキシド、ジ−イソプロピルスルホン、スルホラン(テトラヒドロチオフェン−2,2−ジオキシド)、2−メチルスルホラン、ジエチルスルホン、テトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシドおよび2−メチル−4−エチルスルホランなどの、スルホキシドおよびスルホン;このような化合物のハロ誘導体を含む芳香族化合物、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン:このような化合物のハロ誘導体を含むアルカン、例えば、ヘキサン、ヘプタン、2,2,3−トリメチルペンタン、塩化メチレンおよび四塩化炭素;ニトリル、例えば、ベンゾニトリルおよびアセトニトリルが挙げられる。
【0064】
非常に好適なのは、298または293Kおよび1×10
5Nm
−2で、50の値未満
、より好ましくは、1〜30、最も好ましくは、1〜10、特に、2〜8の範囲の誘電率を有するプロトン性溶媒である。本明細書の文脈において、所与の共溶媒の誘電率は、その物質を誘電体として用いたコンデンサの容量と、誘電体に真空を用いた同じコンデンサの容量との比率を表すその通常の意味で使用される。一般的な有機液体の誘電率の値は、David R.Lide et alによって編集され、CRC pressによって1995年に出版された、the Handbook of Chemistry and Physics,76
th editionなどの一般的な参考図書に見られ、通常、約20℃または25℃、すなわち約293.15kまたは298.15Kの温度、および大気圧、すなわち約1×10
5Nm
−2で算出され、算出された換算係数を用いて298.15Kおよび大気圧に容易に換算され得る。特定の化合物の文献データが入手できない場合、誘電率は、確立された物理化学的方法を用いて容易に測定され得る。
【0065】
液体の誘電率の測定は、the Brookhaven Instruments Corporation(Holtsville,N.Y.)から入手可能なもの(例えば、モデルBI−870)およびthe Scientifica Company(Princeton,N.J.)から入手可能なもの(例えば、モデル850および870)などの、様々な計測器に取り付けられた、液浸プローブ、フロースループローブ(flow−through probe)、およびカップ型プローブなどの様々なセンサーによって容易に行われ得る。比較の一貫性のために、好ましくは、特定のフィルタシステムの全ての測定が、ほぼ同じサンプル温度で、例えば、水浴を用いて行われる。一般に、物質の測定された誘電率は、より低い温度で増加し、より高い温度で減少するであろう。本明細書における任意の範囲内に含まれる誘電率は、ASTM D924に準拠して決定され得る。
【0066】
しかしながら、誘電率を決定するのにどの技術を使用するかについて疑問がある場合、1〜200εの範囲設定でScientifica Model 870誘電率計が使用されるべきである。
【0067】
例えば、メチル−tert−ブチルエーテルの誘電率は、(293Kで)4.34であり、ジオキサンの誘電率は、(298Kで)2.21であり、トルエンの誘電率は、(298Kで)2.38であり、テトラヒドロフランの誘電率は、(295.2Kで)7.5であり、アセトニトリルの誘電率は、(298Kで)37.5である。誘電値は、化学および物理学の便覧から抜粋され、測定の温度が示される。
【0068】
あるいは、反応は、反応自体によって生成されない非プロトン性溶媒の非存在下で進行し得る。言い換えると、唯一の非プロトン性溶媒は、反応生成物である。この非プロトン性溶媒は、単に、反応自体によって生成されてもよく、または、より好ましくは、最初に溶媒として加えられ、次に、さらに反応自体によって生成される。特に好ましい非プロトン性溶媒は、プロピオン酸メチルである。
【0069】
あるいは、水以外のプロトン性溶媒が、使用され得る。プロトン性溶媒としては、カルボン酸(上に定義される)またはアルコールが挙げられる。好適なプロトン性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなどの低級アルコール、第一級および第二級アミン、特に、メタノールなどの、当業者に公知の従来のプロトン性溶媒が挙げられる。非プロトン性共溶媒とプロトン性共溶媒との混合物、特に、プロピオン酸メチルとメタノールとの混合物も、最初におよび反応自体によって生成される場合の両方で用いられ得る。
【0070】
プロトン性溶媒とは、ヒドロキシル基の酸素またはアミン基の窒素に結合されるものなどの供与性水素イオンを有する任意の溶媒を意味する。非プロトン性溶媒とは、プロトン
の供与も受容も行わないタイプの溶媒を意味する。
【0071】
金属
不明瞭さを避けるために、本明細書における第8族、第9族または第10族金属への言及は、現代の周期表の命名法における第8族、第9族および第10族を含むものとみなされるべきである。「第8族、第9族または第10族」という用語によって、好ましくは、Ru、Rh、Os、Ir、PtおよびPdなどの金属を選択する。好ましくは、金属は、Ru、PtおよびPdから選択される。より好ましくは、金属はPdである。
【0072】
カルボニル化剤およびプロセス条件
本発明に係る方法において、一酸化炭素は、純粋な形態で使用されても、あるいは窒素、二酸化炭素、エタンおよびメタンまたはアルゴンなどの希ガスなどの不活性ガスで希釈されてもよい。
【0073】
反応速度を高めるために、水素が、カルボニル化反応に任意に加えられ得る。用いられるときの水素の好適なレベルは、一酸化炭素に対して0.1〜10% vol/vol、より好ましくは、一酸化炭素に対して1〜10% vol/vol、より好ましくは、一酸化炭素に対して2〜5% vol/vol、最も好ましくは、一酸化炭素に対して3〜5% vol/volの比率であり得る。
【0074】
溶媒(存在する場合)の量に対する反応に使用されるエチレンの量のモル比は、広範囲に変化してもよく、例えば、1:1〜1:1000mol/molである。好ましくは、溶媒の量に対する反応に使用されるエチレンの量のモル比は、1:5〜1:500、より好ましくは、1:10〜1:100である。不明瞭さを避けるために、このような溶媒は、反応生成物および共反応剤を含む。
【0075】
カルボニル化反応に使用される本発明の触媒の量は、好ましくは、エチレン1モル当たり1×10
−7〜10
−1モルの範囲、より好ましくは、1×10
−6〜10
−1モル、最も好ましくは、エチレン1モル当たり1×10
−6〜10
−2モルである。
【0076】
好ましくは、エチレンに対する本明細書における式[I−II]の配位子の量は、エチレン1モル当たり1×10
−6〜10
−1、より好ましくは、1×10
−6〜10
−1、最も好ましくは、1×10
−5〜10
−2モルの範囲である。好ましくは、触媒の量は、商業上許容可能な速度で生成物を生成するのに十分な量である。
【0077】
好ましくは、カルボニル化は、−30〜170℃、より好ましくは、−10℃〜160℃、最も好ましくは、20℃〜150℃の温度で行われる。特に好ましい温度は、40℃〜150℃の間で選択される温度である。
【0078】
好ましくは、カルボニル化は、0.01×10
5N.m
−2〜2×10
5N.m
−2、より好ましくは、0.02×10
5N.m
−2〜1×10
5N.m
−2、最も好ましくは、0.05〜0.5×10
5N.m
−2の反応器中のCO分圧で行われる。特に好ましいのは、0.1〜0.3×10
5N.m
−2のCO分圧である。
【0079】
本発明において、液相中の配位子対金属のモル比は、典型的に、1:1〜2:1である。それにもかかわらず、二座配位子では、第8族、第9族または第10族金属に対する配位子のモル比は、依然として1:1〜100:1、より好ましくは、1:1〜50:1、最も好ましくは、1:1〜20:1であり得る。しかしながら、商業上の理由で、上述されるように、二座配位子対金属の比率は、好ましくは、1:1〜2:1である。
【0080】
好ましくは、二座配位子およびモノプロトン酸では、反応器中の酸に対する配位子のモル比は、1:1〜1:2000、より好ましくは1:2〜1:500、最も好ましくは、1:5〜1:100である。
【0081】
好ましくは、モノプロトン酸では、酸に対する第8族、第9族または第10族金属のモル比は、1:1〜1:4000、より好ましくは、1:2〜1:1000、最も好ましくは、1:5〜1:200、特に、1:10〜1:200である。
【0082】
不明瞭さを避けるために、上記の比率の条件は、連続反応のために示される。
【0083】
上述されるように、本発明の触媒系は、均一系または不均一系で使用され得る。好ましくは、触媒系は、均一系で使用される。
【0084】
好適には、本発明の触媒は、その場でカルボニル化反応に使用される前に、別個の工程で調製される。
【0085】
好都合には、本発明の方法は、本明細書に定義される第8族、第9族または第10族金属またはそれらの化合物を、上述されるアルカノールまたは非プロトン性溶媒のうちの1つまたはそれらの混合物などの好適な溶媒に溶解させることによって行われ得る。特に好ましい溶媒は、他の溶媒または共反応剤と混合され得る特定のカルボニル化反応の生成物であろう。その後、混合された金属および溶媒は、本明細書に定義される式I〜IIの化合物と混合され得る。あるいは、金属および式I〜IIの化合物は、溶媒に同時に加えられてもよく、または化合物が溶解されてから、続いて金属が溶解されてもよい。
【0086】
一酸化炭素は、反応の際に不活性な他のガスの存在下で使用され得る。このようなガスの例としては、水素、窒素、二酸化炭素、エタンおよびメタンおよびアルゴンなどの希ガスが挙げられる。
【0087】
反応の生成物は、任意の好適な手段によって、他の成分から分離され得る。しかしながら、一般にかなり高い選択性によって実証され得るように、かなり少ない副生成物が形成されるため、生成物の初期の分離の後、さらなる精製の必要性が低減されることが、本発明の方法の利点である。さらなる利点は、他の成分が、さらなる反応においてリサイクルおよび/または再利用され得る触媒系を含み、新しい触媒の補充が最小限で済むことである。
【0088】
特に、気相は、ガス供給流れ中にリサイクルされ得、次に、このガス供給流れは、所望の流入ガス供給流れを提供するために、必要に応じて一酸化炭素およびエチレンの新たな供給により調整され得る。
【0089】
連続反応は、TONが商業上許容可能である限り、継続し得る。
【0090】
担体および分散剤
さらなる態様によれば、本発明は、本明細書に定義されるエチレンのカルボニル化のための方法を提供し、この方法は、担体、好ましくは不溶性担体を含む触媒を用いて行われる。
【0091】
好ましくは、担体は、ポリオレフィン、ポリスチレンまたはポリスチレンコポリマー(ジビニルベンゼンコポリマーなど)または当業者に公知の他の好適なポリマーまたはコポリマーなどのポリマー;官能基化シリカ、シリコーンまたはシリコーンゴムなどのケイ素誘導体;または例えば、無機酸化物および無機塩化物などの他の多孔性粒子状材料を含む
。
【0092】
好ましくは、担体材料は、10〜700m
2/gの範囲の表面積、0.1〜4.0cc/gの範囲の全細孔容積および10〜500μmの範囲の平均粒度を有する多孔質シリカである。
【0093】
より好ましくは、表面積は、50〜500m
2/gの範囲であり、細孔容積は、0.5〜2.5cc/gの範囲であり、平均粒度は、20〜200μmの範囲である。最も望ましくは、表面積は、100〜400m
2/gの範囲であり、細孔容積は、0.8〜3.0cc/gの範囲であり、平均粒度は、30〜100μmの範囲である。典型的な多孔質担体材料の平均細孔径は、10〜1000Åの範囲である。好ましくは、50〜500Å、最も望ましくは、75〜350Åの平均細孔径を有する担体材料が使用される。3〜24時間のいずれかで100℃〜800℃の温度でシリカを脱水することが特に望ましいことがある。
【0094】
好適には、担体は、可撓性または剛性担体であってもよく、不溶性担体は、当業者に周知の技術によって、本発明の方法の化合物で被覆および/または含浸される。
【0095】
あるいは、本発明の方法の化合物は、任意に共有結合を介して、不溶性担体の表面に固定され、この構成は、化合物を不溶性担体から離間させるために二官能性スペーサ分子を任意に含む。
【0096】
本発明の化合物は、式IまたはIIの化合物中に存在する官能基と、担体上に存在するかまたは担体に予め挿入された補完的な反応性基との反応を促進することによって、不溶性担体の表面に固定され得る。担体の反応性基と、本発明の化合物の補完的な置換基との組合せは、本発明の化合物および担体が、エーテル基、エステル基、アミド基、アミン基、尿素基、ケト基などの結合を介して結合される不均一系触媒を提供する。
【0097】
本発明の方法の化合物を担体に結合する反応条件の選択は、担体の基に応じて決まる。例えば、カルボジイミド、1,1’−カルボニルジイミダゾールなどの反応剤、および混合無水物の使用、還元的アミノ化などの方法が用いられ得る。
【0098】
さらなる態様によれば、本発明は、触媒が担体に結合される本発明のいずれかの態様の方法または触媒の使用を提供する。
【0099】
さらに、二座配位子は、架橋置換基(環状原子を含む)、架橋基X、連結基Aまたは連結基Bのうちの少なくとも1つを介して好適なポリマー基材に結合されてもよく、例えば、シス−1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)ベンゼンが、好ましくは、ベンゼン基の3個、4個、5個または6個の環状炭素を介して、ポリスチレンに結合されて、固定された不均一系触媒が得られる。
【0100】
また、触媒系とともに安定化化合物を使用すると、触媒系から喪失された金属の回収を向上させるのに有益であり得る。触媒系が、液体反応媒体中で用いられる場合、このような安定化化合物は、第8族、第9族または第10族金属の回収を補助し得る。
【0101】
したがって、好ましくは、触媒系は、液体反応媒体中に、液体担体に溶解されたポリマー分散剤を含み、前記ポリマー分散剤は、液体担体中の触媒系の第8族、第9族または第10族金属または金属化合物の粒子のコロイド懸濁液を安定化することができる。
【0102】
液体反応媒体は、反応のための溶媒であってもよく、または反応剤または反応生成物自
体のうちの1つ以上を含み得る。液体形態の反応剤および反応生成物は、溶媒または液体希釈剤と混和でき、またはそれに溶解され得る。
【0103】
ポリマー分散剤は、液体反応媒体に可溶であるが、反応速度または伝熱に悪影響を与える形で反応媒体の粘度を著しく高めるべきではない。温度および圧力の反応条件下での液体媒体への分散剤の溶解度は、金属粒子への分散剤分子の吸着を著しく抑制するほど高くすべきではない。
【0104】
ポリマー分散剤は、液体反応媒体中の前記第8族、第9族または第10族金属または金属化合物の粒子のコロイド懸濁液を安定化することができ、それによって、触媒劣化の結果として形成される金属粒子が、液体反応媒体の懸濁液中に保持され、再生のために、および任意に、さらなる量の触媒を作製するのに再利用するために、液体とともに反応器から排出される。金属粒子は、通常、コロイドの寸法、例えば、5〜100nmの範囲の平均粒度を有するが、場合によってはより大きい粒子が形成され得る。ポリマー分散剤の一部が、金属粒子の表面上に吸着されるが、分散剤分子の残りは、液体反応媒体によって少なくとも部分的に溶媒和されたままであり、このように分散された第8族、第9族または第10族金属粒子は、反応器の壁または反応器のデッドスペースに沈着せず、かつ、粒子の衝突によって成長し、最終的に凝固し得る金属粒子の凝集を形成しないように安定化される。粒子のいくらかの凝集が、好適な分散剤の存在下でも生じ得るが、分散剤のタイプおよび濃度が最適化される場合、このような凝集は、比較的低いレベルになるはずであり、凝集は、緩く形成され得るに過ぎないため、撹拌によって凝集を破壊し、粒子を再分散させることができる。
【0105】
ポリマー分散剤は、グラフトコポリマーおよびスターポリマーなどのポリマーを含むホモポリマーまたはコポリマーを含み得る。
【0106】
好ましくは、ポリマー分散剤は、前記第8族、第9族または第10族金属または金属化合物のコロイド懸濁液を実質的に安定化するのに十分に酸性または塩基性の官能基を有する。
【0107】
実質的に安定化するとは、溶液相からの第8族、第9族または第10族金属の沈殿が、実質的に回避されることを意味する。
【0108】
この目的のために特に好ましい分散剤としては、ポリアクリレートなどの、カルボン酸、スルホン酸、アミンおよびアミドを含む酸性または塩基性ポリマー、または複素環、特に、窒素複素環、ポリビニルピロリドンなどの置換ポリビニルポリマーあるいは上記のもののコポリマーが挙げられる。
【0109】
このようなポリマー分散剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ−L−ロイシン、ポリ−L−メチオニン、ポリ−L−プロリン、ポリ−L−セリン、ポリ−L−チロシン、ポリ(ビニルベンゼンスルホン酸)およびポリ(ビニルスルホン酸)、アシル化ポリエチレンイミンから選択され得る。好適なアシル化ポリエチレンイミンは、BASFの特許公報である欧州特許出願公開第1330309A1号明細書および米国特許第6,723,882号明細書に記載されている。
【0110】
好ましくは、ポリマー分散剤は、側基としてまたはポリマー主鎖内に酸性または塩基性部分を組み込む。好ましくは、酸性部分は、6.0未満、より好ましくは、5.0未満、最も好ましくは、4.5未満の解離定数(pK
a)を有する。好ましくは、塩基性部分は
、6.0未満、より好ましくは、5.0未満、最も好ましくは、4.5未満の塩基の解離定数(pK
b)を有し、pK
aおよびpK
bは、25℃で、希薄水溶液中で測定される。
【0111】
好適なポリマー分散剤は、反応条件で反応媒体に可溶であることに加えて、ポリマー主鎖内にまたは側基として少なくとも1つの酸性または塩基性部分を含む。本発明者らは、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリアクリル酸(PAA)などのポリアクリレートなどの酸およびアミド部分を組み込んだポリマーが特に好適であることを見出した。本発明に使用するのに好適なポリマーの分子量は、反応媒体の性質および反応媒体へのポリマーの溶解度に応じて決まる。本発明者らは、通常、平均分子量が100,000未満であることを見出した。好ましくは、平均分子量は、1,000〜200,000、より好ましくは、5,000〜100,000、最も好ましくは、10,000〜40,000の範囲であり、例えば、PVPが使用される場合、分子量(Mw)は、好ましくは、10,000〜80,000、より好ましくは、20,000〜60,000の範囲であり、PAAの場合、約1,000〜10,000である。
【0112】
反応媒体中の分散剤の有効濃度は、使用される各反応/触媒系のために決定されるべきである。
【0113】
分散された第8族、第9族または第10族金属は、反応器から取り出された液体流れから、例えばろ過によって回収され、次に、廃棄されるか、あるいは触媒として再利用するためまたは他の用途のために処理され得る。連続法では、液体流れは、外部の熱交換器を通って循環され得、このような場合、これらの循環装置にパラジウム粒子用のフィルタを配置することが好都合であり得る。
【0114】
好ましくは、ポリマー:金属の質量比(g/g)は、1:1〜1000:1、より好ましくは、1:1〜400:1、最も好ましくは、1:1〜200:1である。好ましくは、ポリマー:金属の質量比(g/g)は、1000以下、より好ましくは、400以下、最も好ましくは、200以下である。
【0115】
好都合には、本発明の方法は、典型的なカルボニル化反応条件下で非常に安定した化合物を用いることができ、そのため、補充をほとんどまたは全く必要としない。好都合には、本発明の方法は、カルボニル化反応の高い速度を有し得る。
【0116】
好都合には、本発明の方法は、高い転化率を促進することができ、それによって、不純物をほとんどまたは全く含まずに、高い収率で所望の生成物が得られる。その結果、本発明の方法を用いることによって、カルボニル化反応の商業的な実現性が増大され得る。本発明の方法が、高いTON値を有するカルボニル化反応を提供することが特に有利である。
【0117】
本発明の第1の態様に記載される特徴のいずれも、本発明の第2、第3または他の態様の好ましい特徴とみなすことができ、逆もまた同様であることが理解されよう。
【0118】
一般式Iの配位子
上述されるように、二座ホスフィン、アルシンまたはスチビン配位子は、式I
【化2】
(式中、Hが、架橋中に1〜6個の原子を有する二価の有機架橋基であり;
基X
1、X
2、X
3およびX
4が、独立して、基が、Q
1またはQ
2原子に結合される少なくとも1個の第三級炭素原子を任意に有する30個以下の原子の一価の基を表し、またはX
1およびX
2および/またはX
3およびX
4が一緒に、基がQ
1および/またはQ
2原子に結合される少なくとも2個の第三級炭素原子を任意に有する40個以下の原子の二価の基を形成し;
Q
1およびQ
2がそれぞれ、独立して、リン、ヒ素またはアンチモンを表す)で表される。好ましくは、基Hは、架橋中に3〜5個の原子を有する。
【0119】
いずれの場合も、二価有機架橋基Hは、架橋基中に1〜50個の原子および架橋中に1〜6個、より好ましくは、2〜5個、最も好ましくは、3個または4個の原子を有する非置換または置換、分枝鎖状または直鎖状、環式、非環式または部分脂環式(part cyclic aliphatic)、芳香族または芳香脂肪族(araliphatic)の二価基であり得る。
【0120】
二価の有機架橋基は、O、N、S、PまたはSiなどの1個以上のヘテロ原子で置換または介在され得る。このようなヘテロ原子は、架橋中に見られてもよいが、架橋が炭素原子からなることが好ましい。
【0121】
好適な脂肪族架橋基としては、1,2−エチレン、1−3プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、2−メチル−1,3−プロピレン、1,5−ペンチレン、−O−CH
2CH
2−O−および−CH
2−NR−CH
2−などのアルキレン基または1−メチレン−シクロヘキサ−2−イル、1,2−ジメチレン−シクロヘキサンおよび1,2−ジメチレン−シクロペンタンを含む部分脂環式架橋が挙げられる。好適な芳香族または芳香脂肪族架橋としては、1,2−ジメチレンベンゼン、1,2−ジメチレンフェロセン、1−メチレン−フェン−2−イル、1−メチレン−ナフタ−8−イル、2−メチレン−ビフェン−2’−イルおよび2−メチレン−ビナフタ−2’−イルが挙げられる。最後の3つの二座ホスフィン芳香族架橋基が、以下に示される。
【化3】
【0122】
1つの組の実施形態において、式I中のHが、基−A−R−B−であり、そのため、式は、一般式II
【化4】
(式中:
Aおよび/またはBがそれぞれ、独立して、任意の低級アルキレン連結基を表し;
Rが、Q
1およびQ
2が、存在する場合に前記連結基を介して、環式ヒドロカルビル構造の利用可能な隣接環状原子上に結合される環式ヒドロカルビル構造を表し;
Q
1およびQ
2がそれぞれ、独立して、リン、ヒ素またはアンチモンを表す)
の二座配位子である。
【0123】
好ましくは、基X
3およびX
4が、独立して、少なくとも1個の第三級炭素原子を有する30個以下の原子の一価の基を表し、またはX
3およびX
4が、一緒に、少なくとも2個の第三級炭素原子を有する40個以下の原子の二価の基を形成し、ここで、各前記一価または二価の基が、それぞれ前記少なくとも1個または2個の第三級炭素原子を介して、それぞれの原子Q
1に結合される。
【0124】
好ましくは、基X
1およびX
2が、独立して、少なくとも1個の第一級、第二級、芳香環または第三級炭素原子を有する30個以下の原子の一価の基を表し、またはX
1およびX
2が、一緒に、少なくとも2個の第一級、第二級、芳香環または第三級炭素原子を有する40個以下の原子の二価の基を形成し、ここで、各前記一価または二価の基が、それぞれ前記少なくとも1個または2個の第一級、第二級、芳香環または第三級炭素原子を介して、それぞれの原子Q
2に結合される。
【0125】
好ましくは、基X
1、X
2、X
3およびX
4が、独立して、少なくとも1個の第三級炭素原子を有する30個以下の原子の一価の基を表し、またはX
1およびX
2および/またはX
3およびX
4が、一緒に、少なくとも2個の第三級炭素原子を有する40個以下の原子の二価の基を形成し、ここで、各前記一価または二価の基が、それぞれ前記少なくとも1個または2個の第三級炭素原子を介して、適切な原子Q
1またはQ
2に結合される。
【0126】
好ましくは、X
1およびX
2またはX
1およびX
2が、一緒に、それぞれ少なくとも1個または2個の第三級炭素原子を介して、それぞれの原子Q
2に結合されない場合、それによって第一級、第二級または芳香環炭素を介してQ
2原子に結合される基X
1またはX
2のうちの少なくとも1つが、置換基を含むことが特に好ましい。好ましくは、置換基は、Q
2原子に直接結合される炭素上またはそれに隣接する炭素上のいずれかにある。しかしながら、置換基は、Q
2原子からさらに離れていてもよい。例えば、置換基は、Q
2原子から離れた5個以下の炭素であり得る。したがって、Q
2原子に結合される炭素が、脂肪族第二級炭素原子であるか、またはそれに対するα炭素が、脂肪族第二級または第三級炭素原子であるか、またはQ
2原子に結合される炭素が、環における好適な位置で置換される芳香環の一部を形成する芳香族炭素であることが好ましい。好ましくは、この場合、置換基は、Q
2原子に結合された環における原子に隣接する原子上にある。
【0127】
好ましくは、前の段落のさらなる置換基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−ブ
チル、t−ブチル、メトキシまたはエトキシ基などの、C
1〜C
7アルキル基またはO−C
1〜C
7アルキル基あるいは−CN、−F、−Si(アルキル)
3、−COOR
63、−C(O)−、または−CF
3などの比較的不活性な基であり、ここで、R
63が、アルキル、アリールまたはHetである。特に好ましい置換基は、メチル、エチルおよびプロピル基、特に、メチル、メトキシまたはエチル、より特定的に、メチルである。好ましい範囲の基は、C
1〜C
7アルキル、O−C
1〜C
7アルキル置換フェニル基、特に、メチル、メトキシまたはエチルフェニル基である。このようなフェニルの実施形態において、置換は、環のオルト位、メタ位またはパラ位、好ましくは、オルト位またはメタ位、最も好ましくは、オルト位にあり得る。
【0128】
好適な非第三級炭素結合X
1またはX
2基は、プロパ−2−イル、フェン−1−イル、2−メチル−フェン−1−イル、2−メトキシ−フェン−1−イル、2−フルオロ−フェン−1−イル、2−トリフルオロメチル−フェン−1−イル、2−トリメチルシリル−フェン−1−イル、4−メチル−フェン−1−イル、3−メチル−フェン−1−イル、ブタ−2−イル、ペンタ−2−イル、ペンタ−3−イル、2−エチル−フェン−1−イル、2−プロピル−フェン−1−イルおよび2−プロパ−2’−イル−フェン−1−イルである。
【0129】
式II中のRが表す環式ヒドロカルビル構造は、芳香族、非芳香族、混合芳香族および非芳香族であってもよく、単環式、二環式、三環式または多環式であってもよく、架橋または非架橋であってもよく、置換または非置換であってもよく、または1個以上のヘテロ原子で介在されていてもよく、ただし、構造中の環状原子の大部分(すなわち半分以上)が、炭素である。Q
1およびQ
2原子が結合される利用可能な隣接環状原子は、環式ヒドロカルビル構造の一部または環を形成する。Q
1およびQ
2原子が、存在する場合に連結基を介して直接結合されるこの環自体は、芳香族または非芳香環であり得る。Q
1およびQ
2原子が、存在する場合に連結基を介して直接結合される環が非芳香族である場合、二環式、三環式または多環式構造中のいずれかの他の環は、芳香族または非芳香族またはそれらの組合せであり得る。同様に、Q
1およびQ
2原子が、存在する場合に連結基を介して直接結合される環が芳香族である場合、ヒドロカルビル構造のいずれかの他の環は、非芳香族または芳香族またはそれらの組合せであり得る。
【0130】
簡単にするために、これらの2つのタイプの架橋基Rは、Q
1およびQ
2原子が、連結基を介して直接結合される少なくとも1つの環に結合されたいずれかの他の環の性質にかかわらず、芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造または非芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造と呼ばれる。
【0131】
少なくとも1つの非芳香環上の隣接する位置でAおよびBで置換される非芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造は、好ましくは、AおよびB置換に対してシス配座を有し、すなわちAおよびBは、その同じ側で構造から離れるように延在する。
【0132】
好ましくは、非芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造は、3〜30個以下の環状原子、より好ましくは、4〜18個以下の環状原子、最も好ましくは、4〜12個以下の環状原子、特に、5〜8個の環状原子を有し、単環式または多環式であり得る。環状原子は、炭素またはヘテロであってもよく、本明細書におけるヘテロへの言及は、硫黄、酸素および/または窒素への言及である。典型的に、非芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造は、2〜30個以下の環状炭素原子、より好ましくは、3〜18個以下の環状炭素原子、最も好ましくは、3〜12個以下の環状炭素原子、特に、3〜8個の環状炭素原子を有し、単環式または多環式であってもよく、1個以上のヘテロ原子によって介在されてもまたは介在されなくてもよい。典型的に、非芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造が多環式である場合、それは、好ましくは二環式または三環式である。本明細書に定義される非芳香族架橋環式ヒ
ドロカルビル構造は、不飽和結合を含み得る。環状原子とは、環状骨格の一部を形成する原子を意味する。
【0133】
非芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造は、ヘテロ原子で介在され得ることを除いて、非置換であってもよく、またはアリール、アルキル、ヘテロ(好ましくは酸素)、Het、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR
19、−OC(O)R
20、−C(O)R
21、−C(O)OR
22、−N(R
23)R
24、−C(O)N(R
25)R
26、−SR
29、−C(O)SR
30、−C(S)N(R
27)R
28または−CF
3から選択される1つ以上のさらなる置換基で置換されてもよく、ここで、R
19〜R
30が、本明細書に定義されるとおりである。
【0134】
非芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造は、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、トリシクロデシル、ピペリジニル、モルホリニル、ノルボルニル、イソノルボルニル、ノルボルネニル、イソノルボルネニル、ビシクロ[2,2,2]オクチル、テトラヒドロフリル、ジオキサニル、O−2,3−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−エチル、シクロペンタノニル、シクロヘキサノニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロブテニル、シクロペンテノニル、シクロヘキセノニル、アダマンチル、フラン、ピラン、1,3ジオキサン、1,4ジオキサン、オキソセン(oxocene)、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ペンタメチレンスルフィド、1,3ジチアン、1,4ジチアン、フラノン、ラクトン、ブチロラクトン、ピロン、無水コハク酸、シスおよびトランス1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、ピロリジン、ピペラジン、イミダゾール、1,4,7トリアザシクロノナン、1,5,9トリアザシクロデカン、チオモルホリン、チアゾリジン、4,5−ジフェニル−シクロヘキシル、4または5−フェニル−シクロヘキシル、4,5−ジメチル−シクロヘキシル、4または5−メチルシクロヘキシル、1,2−デカリニル(decalinyl)、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−1H−インデン−5,6−イル、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−インデン−5,6−イル、1,2または3メチル−3a,4,5,6,7,7aヘキサヒドロ−1H−インデン−5,6−イル、トリメチレンノルボルナニル(trimethylene norbornanyl)、3a,4,7,7a−テトラヒドロ−1H−インデン−5,6−イル、1,2または3−ジメチル−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−インデン5,6−イル、1,3−ビス(トリメチルシリル)−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−3H−イソベンゾフランから選択されてもよく、ここで、連結基AまたはBは、利用可能な置換隣接環状原子に結合される。
【0135】
Rは、Q
1およびQ
2原子が、存在する場合に前記連結基を介して、少なくとも1つの環の利用可能な隣接環状原子上に結合される少なくとも1つの非芳香環を有する非芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造を表し得る。多環式構造の形態であり得ることを除いて、非芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造は、非置換であってもよく、または、好ましくは、少なくとも1つの環の少なくとも1つのさらなる非隣接環状原子上で、少なくとも1つの置換基で置換されてもよい。
【0136】
1個のさらなる非隣接環状原子という用語は、Q
1およびQ
2原子が結合される前記利用可能な隣接環状原子のいずれか1つに隣接していない環における任意のさらなる環状原子を意味する。
【0137】
しかしながら、ヒドロカルビル構造における前記利用可能な隣接環状原子に隣接する環状原子および他の場所の環状原子はまた、置換されていてもよく、環状原子のための好適な置換基が、本明細書に定義される。
【0138】
不明瞭さを避けるために、前記利用可能な隣接環状原子などに隣接する環状原子への言及は、前記2個の利用可能な隣接環状原子自体の1つを指すことが意図されない。例として、環の1位を介してQ
1に結合され、環の2位を介してQ
2原子に結合されたシクロヘキシル環は、環の4位および5位で定義されるように2個の前記さらなる非隣接環状原子を有し、3位および6位で前記利用可能な隣接環状原子に隣接する2個の環状原子を有する。
【0139】
非芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造という用語は、Q
1およびQ
2原子が、それぞれBおよびAを介して結合される少なくとも1つの環が、非芳香族であることを意味し、芳香族は、フェニルのタイプの構造だけでなく、フェロセニルのシクロペンタジエニルアニオン環に見られるものなどの芳香族性を有する他の環も含むように、広く解釈されるべきであり、いずれの場合も、この非芳香族の少なくとも1つの環における芳香族置換基を除外しない。
【0140】
非芳香族架橋ヒドロカルビル構造の前記環状原子における置換基は、環式ヒドロカルビル構造中の配座の硬直性ではなく、より高い安定性を促進するように選択され得る。したがって、置換基は、非芳香環の配座の変化の速度を抑制または低下させるのに適した大きさのものになるように選択され得る。このような基は、独立して、低級アルキル、アリール、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR
19、−OC(O)R
20、−C(O)R
21、−C(O)OR
22、−N(R
23)R
24、−C(O)N(R
25)R
26、−SR
29、−C(O)SR
30、−C(S)N(R
27)R
28または−CF
3、より好ましくは、低級アルキル、またはヘテロ、最も好ましくは、C
1〜C
6アルキルから選択され得る。ヒドロカルビル構造中に2個以上のさらなる環状原子がある場合、それらはそれぞれ、独立して、本明細書に詳述されるように置換され得る。したがって、2個のこのような環状原子が置換される場合、置換基は、組み合わされて、3〜20個の原子の環構造などのさらなる環構造が形成され得る。このようなさらなる環構造は、飽和または不飽和であってもよく、非置換であっても、またはハロ、シアノ、ニトロ、OR
19、OC(O)R
20、C(O)R
21、C(O)OR
22、NR
23R
24、C(O)NR
25R
26、SR
29、C(O)SR
30、C(S)NR
27R
28、アリール、アルキル、Hetから選択される1つ以上の置換基で置換されてもよく、ここで、R
19〜R
30が、本明細書に定義されるとおりであり、および/または1個以上(好ましくは合計で4個未満)の酸素、窒素、硫黄、ケイ素原子で、またはシラノもしくはジアルキルケイ素基またはそれらの混合物で介在されてもよい。
【0141】
特に好ましい置換基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、フェニル、オキソ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、シアノおよびカルボキシである。2個以上のさらなる非隣接環状原子が置換される場合、特に好ましい置換基は、x,y−ジメチル、x,y−ジエチル、x,y−ジプロピル、x,y−ジ−イソプロピル、x,y−ジフェニル、x,y−メチル/エチル、x,y−メチル/フェニル、飽和または不飽和シクロペンチル、飽和または不飽和シクロヘキシル、1,3置換または非置換1,3H−フリル、非置換シクロヘキシル、x,y−オキソ/エチル、x,y−オキソ/メチルであり、単一の環原子における二置換も考えられ、典型的に、x,x−低級ジアルキルである。より典型的な置換基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、またはオキソ、最も典型的に、メチルまたはエチル、またはオキソ、最も典型的に、メチルであり;ここで、xおよびyが、少なくとも1つの環における利用可能な原子位置を表す。
【0142】
好ましくは、前記非芳香族環式ヒドロカルビル構造のさらなる置換は、前記Q
1およびQ
2原子が結合される前記利用可能な隣接炭素原子上にない。非芳香族環式ヒドロカルビ
ル構造は、ヒドロカルビル構造の1個以上の前記さらなる環状原子において置換され得るが、好ましくは、1個、2個、3個または4個のこのような環状原子、より好ましくは1個、2個または3個、最も好ましくは、1個または2個のこのような環状原子、好ましくは、少なくとも1つの非芳香環において置換される。置換環状原子は、炭素またはヘテロであり得るが、好ましくは、炭素である。
【0143】
前記環式ヒドロカルビル構造中に2つ以上の置換基がある場合、それらは、本明細書において除外されない限り、一緒になってさらなる環構造を形成し得る。
【0144】
非芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造は、4および/または5低級アルキルシクロヘキサン−1,2−ジイル、4低級アルキルシクロペンタン−1,2−ジイル、4、5および/または6低級アルキルシクロヘプタン−1,2−ジイル、4、5、6および/または7低級アルキルシクロオクタン−1,2−ジイル、4、5、6、7および/または8低級アルキルシクロノナン−1,2−ジイル、5および/または6低級アルキルピペリジナン(piperidinane)−2,3−ジイル、5および/または6低級アルキルモルホリナン(morpholinane)−2,3−ジイル、O−2,3−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−エタン−2,3−ジイル、シクロペンタン−オン−3,4−ジイル、シクロヘキサノン−3,4−ジイル、6−低級アルキルシクロヘキサノン−3,4−ジイル、1−低級アルキルシクロペンテン−3,4−ジイル、1および/または6低級アルキルシクロヘキセン−3,4−ジイル、2および/または3低級アルキルシクロヘキサジエン−5,6−ジイル、5低級アルキルシクロヘキセン−4−オン−1,2−ジイル、アダマンチル−1−2−ジイル、5および/または6低級アルキルテトラヒドロピラン−2,3ジイル、6−低級アルキルジヒドロピラン−2,3ジイル、2−低級アルキル1,3ジオキサン−5,6−ジイル、5および/または6低級アルキル−1,4ジオキサン−2,3−ジイル、2−低級アルキルペンタメチレンスルフィド4,5−ジイル、2−低級アルキル−1,3ジチアン−5,6−ジイル、2および/または3−低級アルキル1,4ジチアン−5,6−ジイル、テトラヒドロ−フラン−2−オン−4,5−ジイル、δ−バレロラクトン4,5−ジイル、γ−ブチロラクトン3,4−ジイル、2H−ジヒドロピロン5,6−ジイル、グルタル酸無水物3,4−ジイル、1−低級アルキルピロリジン−3,4−ジイル、2,3ジ−低級アルキルピペラジン−5,6−ジイル、2−低級アルキルジヒドロイミダゾール−4,5−ジイル、2、3、5および/または6低級アルキル−1,4,7トリアザシクロノナン−8,9−ジイル、2、3、4および/または10低級アルキル−1,5,9トリアザシクロデカン6,7−ジイル、2,3−ジ−低級アルキルチオモルホリン−5,6−ジイル、2−低級アルキル−チアゾリジン−4,5−ジイル、4,5−ジフェニル−シクロヘキサン−1,2−ジイル、4および/または5−フェニル−シクロヘキサン−1,2−ジイル、4,5−ジメチル−シクロヘキサン−1,2−ジイル、4または5−メチルシクロヘキサン−1,2−ジイル、2、3、4および/または5低級アルキル−デカヒドロナフタレン8,9−ジイル、ビシクロ[4.3.0]ノナン−3,4ジイル、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−インデン−5,6−ジイル、1,2および/または3メチル−3a,4,5,6,7,7aヘキサヒドロ−1H−インデン−5,6−ジイル、オクタヒドロ−4,7メタノ−インデン−1,2−ジイル、3a,4,7,7a−テトラヒドロ−1H−インデン−5,6−ジイル、1,2および/または3−ジメチル−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−インデン5,6−ジイル、1,3−ビス(トリメチルシリル)−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−3H−イソベンゾフラン−5,6−ジイルから選択され得る。
【0145】
あるいは、非芳香族架橋ヒドロカルビル構造の前記少なくとも1つのさらなる非隣接環状原子における置換基は、基Yであってもよく、ここで、Yが、フェニルと少なくとも同程度の立体障害を有する基を表し、2つ以上の置換基Yがある場合、Yはそれぞれ、フェニルと同程度の立体障害を有し、および/または組み合わされて、フェニルより高程度の
立体障害を有する基が形成される。
【0146】
好ましくは、Yが−SR
40R
41R
42を表し、ここで、Sが、Si、C、N、S、Oまたはアリールを表し、R
40R
41R
42が、本明細書に定義されるとおりである。好ましくは、各Yおよび/または2つ以上のY基の組合せが、t−ブチルと少なくとも同程度の立体障害を有する。
【0147】
より好ましくは、1つのみの置換基Yがある場合、Yは、t−ブチルと少なくとも同程度の立体障害を有するが、2つ以上の置換基Yがある場合、Yはそれぞれ、フェニルと少なくとも同程度の立体障害を有し、組み合わされて単一の基になる場合、t−ブチルと少なくとも同程度の立体障害を有する。
【0148】
好ましくは、Sがアリールである場合、R
40、R
41およびR
42が、独立して、水素、アルキル、−BQ
3−X
3(X
4)(ここで、B、X
3およびX
4が、本明細書に定義されるとおりであり、Q
3が、上記のQ
1またはQ
2として定義される)、リン、アリール、アリーレン、アルカリール、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR
19、−OC(O)R
20、−C(O)R
21、−C(O)OR
22、−N(R
23)R
24、−C(O)N(R
25)R
26、−SR
29、−C(O)SR
30、−C(S)N(R
27)R
28、−CF
3、−SiR
71R
72R
73またはアルキルリンである。
【0149】
好ましくは、Sが、Si、C、N、SまたはOである場合、R
40、R
41およびR
42が、独立して、水素、アルキル、リン、アリール、アリーレン、アルカリール、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR
19、−OC(O)R
20、−C(O)R
21、−C(O)OR
22、−N(R
23)R
24、−C(O)N(R
25)R
26、−SR
29、−C(O)SR
30、−C(S)N(R
27)R
28、−CF
3、−SiR
71R
72R
73、またはアルキルリンであり、ここで、R
40〜R
42のうちの少なくとも1つが水素ではなく、R
19〜R
30が、本明細書に定義されるとおりであり;R
71〜R
73が、R
40〜R
42として定義されるが、好ましくは、C
1〜C
4アルキルまたはフェニルである。
【0150】
好ましくは、Sが、Si、Cまたはアリールである。しかしながら、組み合わされた基におけるY基の1つ以上として、N、SまたはOが好ましいこともある。不明瞭さを避けるために、酸素または硫黄が二価であり得る際、R
40〜R
42はまた、孤立電子対であり得る。
【0151】
好ましくは、基Yに加えて、非芳香族架橋構造は、非置換であってもよく、またはY、アルキル、アリール、アリーレン、アルカリール、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR
19、−OC(O)R
20、−C(O)R
21、−C(O)OR
22、−N(R
23)R
24、−C(O)N(R
25)R
26、−SR
29、−C(O)SR
30、−C(S)N(R
27)R
28、−CF
3、−SiR
71R
72R
73、またはアルキルリンから選択される基でさらに置換されてもよく、ここで、R
19〜R
30が、本明細書に定義されるとおりであり;R
71〜R
73が、R
40〜R
42として定義されるが、好ましくは、C
1〜C
4アルキルまたはフェニルである。
【0152】
さらに、Sがアリールである場合、アリールは、R
40、R
41、R
42に加えて、上記の非芳香族架橋構造について定義されるさらなる置換基のいずれかで置換されてもよい。
【0153】
より好ましいY置換基は、−t−ブチル、−SiMe
3、または2−フェニルプロパ−2−イルなどの、t−アルキルまたはt−アルキル,アリール、−フェニル、アルキルフェニル−、フェニルアルキル−またはホスフィノメチルなどのホスフィノアルキル−から選択され得る。
【0154】
好ましくは、Sが、SiまたはCであり、R
40〜R
42のうちの1つ以上が水素である場合、R
40〜R
42のうちの少なくとも1つは、必要な立体障害を与えるのに十分に嵩高くするべきであり、このような基は、好ましくは、リン、ホスフィノアルキル−、−t−ブチルなどの第三級炭素を有する基、−アリール、−アルカリール、−アラルキルまたは第三級シリルである。
【0155】
ある実施形態において、非芳香族架橋構造のさらなる環状原子上に2つ以上の前記Y置換基があり得る。任意に、前記2つ以上の置換基は、組み合わされて、脂環式環構造などのさらなる環構造が形成され得る。
【0156】
いくつかの典型的なヒドロカルビル構造が、以下に示され、式中、R’、R’’、R’’’、R’’’’などが、上記の環状原子上の置換基と同じように定義されるが、また、水素であってもよく、またはヘテロ原子に直接結合される場合、置換されていないヘテロ原子を表し、同じであってもまたは異なっていてもよい。リン(図示せず)に対するジイルメチレン結合が、それぞれ示されている。
【化5】
【0157】
2つ以上の可能な立体異性体がある本明細書における構造において、全てのこのような立体異性体が意図される。しかしながら、置換基がある場合、非芳香族架橋ヒドロカルビル構造の少なくとも1個のさらなる環状原子における少なくとも1つの置換基が、AおよびまたはB原子に対してトランス方向に延在し、すなわち、環の反対側で外向きに延在することが好ましい。
【0158】
好ましくは、前記利用可能な隣接環状原子に対する各隣接環状原子は、少なくとも1つの環中の前記利用可能な隣接環状原子に対する他の隣接環状原子を介して、または前記他の隣接する原子に隣接しているが、非芳香族架橋構造中の少なくとも1つの環の外側にある原子を介して、さらなる3〜8個の原子の環構造を形成するように、置換されていない。
【0159】
さらなる好ましい組の実施形態は、Rが、芳香族架橋ヒドロカルビル構造を表す場合、すなわち、Q
1およびQ
2が、それぞれの連結基を介して、少なくとも1つの芳香環の利用可能な隣接環状原子にそれぞれ結合される少なくとも1つの芳香環を有する場合に見られる。芳香族構造は、1つ以上の置換基で置換され得る。
【0160】
芳香族架橋ヒドロカルビル構造は、可能な場合、アルキル、アリール、Het、ハロ、シアノ、ニトロ、OR
19、OC(O)R
20、C(O)R
21、C(O)OR
22、NR
23R
24、C(O)NR
25R
26、C(S)NR
25R
26、SR
27、C(O)SR
27、または−J−Q
3(CR
13(R
14)(R
15)CR
16(R
17)(R
18)から選択される1つ以上の置換基で置換されてもよく、ここで、Jが、低級アルキレンを表し;または2つの隣接する置換基が、それらが結合される環の環状原子と一緒に、さらなる環を形成し、この環は、アルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、OR
19、OC(O)R
20、C(O)R
21、C(O)OR
22、NR
23R
24、C(O)NR
25R
26、C(S)NR
25R
26、SR
27またはC(O)SR
27から選択される1つ以上の置換基で任意に置換され;ここで、R
19〜R
27が、本明細書に定義される。
【0161】
芳香族架橋ヒドロカルビル構造のための1つのタイプの置換基は、1個以上のさらなる環状原子、好ましくは、芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造の芳香族環状原子上に存在し得る置換基Y
xである。
【0162】
好ましくは、存在する場合、芳香族構造における置換基Y
xは、
X=1−nΣtY
x≧4となるように合計で
X=1−nΣtY
x個の、水素以外の原子を有し、式中、nが、置換基Y
xの総数であり、tY
xが、特定の置換基Y
xにおける水素以外の原子の総数を表す。
【0163】
典型的に、2つ以上の置換基Y
x(以後、単にYとも呼ばれる)がある場合、いずれか2つが、芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造の同じかまたは異なる環状原子上に配置され得る。好ましくは、10個以下のY基があり、すなわち、nが1〜10であり、より好ましくは、芳香族構造上に1〜6つのY基、最も好ましくは、1〜4つのY基があり、特に、芳香族構造上に1つ、2つまたは3つの置換基Y基がある。置換環状芳香族原子は、炭素またはヘテロであり得るが、好ましくは炭素である。
【0164】
好ましくは、存在する場合、
X=1−nΣtY
xが、4〜100、より好ましくは、4〜60、最も好ましくは、4〜20、特に、4〜12である。
【0165】
好ましくは、1つの置換基Yがある場合、Yが、フェニルと少なくとも同程度の立体障害を有する基を表し、2つ以上の置換基Yがある場合、それらはそれぞれ、フェニルと同程度の立体障害を有し、および/または組み合わされて、フェニルより高程度の立体障害を有する基が形成される。
【0166】
本明細書における立体障害とは、後述される基R
1〜R
12または置換基Yのいずれの文脈であるかまたはそれ以外かにかかわらず、当業者によって容易に理解される用語を意味するが、不明瞭さを避けるために、フェニルより高程度の立体障害という用語は、PH
2Y(基Yを表す)が、以下の条件にしたがって、Ni(0)(CO)
4と8倍過剰に反応される場合、PH
2Phより低い置換度(DS)を有することを意味すると解釈され得る。同様に、t−ブチルより高程度の立体障害への言及は、PH
2t−Buなどと比較したDS値への言及として解釈され得る。例えば、2つのY基が比較され、PHY
1が、基準ほど高程度の立体障害を有さない場合、PHY
1Y
2は、基準と比較されるべきである。同様に、3つのY基が比較され、PHY
1またはPHY
1Y
2が、標準より高程度の立体障害を有することがまだ決定されていない場合、PY
1Y
2Y
3が比較されるべきである。4つ以上のY基がある場合、それらは、t−ブチルより高程度の立体障害を有するものと解釈されるべきである。
【0167】
本明細書における本発明の文脈での立体障害は、Chapman and Hallによって1981年に出版された、C.Mastersによる“Homogenous Transition Metal Catalysis − A Gentle Art”の14頁(以下参照)に説明されている。
【0168】
Tolman(“Phosphorus Ligand Exchange Equilibria on Zerovalent Nickel.A Dominant Role for Steric Effects”,Journal of American Chemical Society,92,1970,2956−2965)は、Ni(O)錯体の安定性を主に決定する配位子の特性が、それらの電子的特性よりそれらの大きさであることを結論付けている。
【0169】
基Yまたは他の置換基の相対的立体障害を決定するために、DSを決定するためのTolmanの方法が、上述されるように決定される基のリン類似体に使用され得る。
【0170】
Ni(CO)
4のトルエン溶液を、8倍過剰のリン配位子で処理した後;配位子によるCOの置換を、赤外スペクトルにおけるカルボニル伸縮振動を用いて行った。溶液を、100°で64時間、密閉管中で加熱することによって平衡化した。さらに74時間、100°でさらに加熱したところ、スペクトルはそれほど変化しなかった。次に、平衡化された溶液のスペクトルにおけるカルボニル伸縮バンドの周波数および強度を決定する。置換度は、相対強度から、およびバンドの減衰係数が全て同程度の大きさであるという仮定から半定量的に推定することができる。例えば、P(C
6H
11)
3の場合、Ni(CO)
3LのA
1バンドおよびNi(CO)
2L
2のB
1バンドは、ほぼ同じ強度のものであるため、置換度は、1.5と推定される。この実験でそれぞれの配位子を区別できない場合、ジフェニルリンPPh
2Hまたはジ−t−ブチルリンを、場合によってはPY
2H同等物と比較するべきである。さらにまた、この実験で配位子を同様に区別できない場合、PPh
3またはP(
tBu)
3配位子を、場合によってはPY
3と比較すべきである。Ni(CO)
4錯体を完全に置換する小さい配位子では、このようなさらなる実験が必要とされ得る。
【0171】
基Yは、その円錐角を参照して定義することもでき、円錐角は、本発明の文脈において、芳香環の中間点を中心とする円錐の頂角として定義され得る。中間点とは、環式環原子から等距離の環の面における点を意味する。
【0172】
好ましくは、少なくとも1つの基Yの円錐角または2つ以上のY基の円錐角の合計は、少なくとも10°、より好ましくは、少なくとも20°、最も好ましくは、少なくとも30°である。円錐角は、ここで円錐の頂角が芳香環の中間点を中心とすることを除いて、Tolman{C.A.Tolman Chem.Rev.77,(1977),313−348}の方法にしたがって測定されるべきである。Tolman円錐角のこの改変された使用は、シクロペンタジエニルジルコニウムエテン重合触媒におけるものなどの立体
効果を測定するために他の系において使用されている(Journal of Molecular Catalysis:Chemical 188,(2002),105−113)。
【0173】
置換基Yは、Q
1原子とQ
2原子との間の活性部位に対して立体障害を与えるのに適した大きさのものになるように選択される。しかしながら、置換基が、金属が脱離するのを防ぎ、その流入経路を誘導し、一般により安定した触媒の配座を提供し、または他の働きをするかどうかは不明である。
【0174】
特に好ましい配位子は、Yが−SR
40R
41R
42を表す場合に見られ、ここで、Sが、Si、C、N、S、Oまたはアリールを表し、R
40R
41R
42が、本明細書において以下に定義されるとおりである。好ましくは、各Yおよび/または2つ以上のY基の組合せが、t−ブチルと少なくとも同程度の立体障害を有する。
【0175】
より好ましくは、1つのみの置換基Yがある場合、Yは、t−ブチルと少なくとも同程度の立体障害を有するが、2つ以上の置換基Yがある場合、Yはそれぞれ、フェニルと少なくとも同程度の立体障害を有し、単一の基とみなされる場合、t−ブチルと少なくとも同程度の立体障害を有する。
【0176】
好ましくは、Sがアリールである場合、R
40、R
41およびR
42が、独立して、水素、アルキル、−BQ
3−X
3(X
4)(ここで、B、X
3およびX
4が、本明細書に定義されるとおりであり、Q
3が、上記のQ
1またはQ
2として定義される)、リン、アリール、アリーレン、アルカリール、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR
19、−OC(O)R
20、−C(O)R
21、−C(O)OR
22、−N(R
23)R
24、−C(O)N(R
25)R
26、−SR
29、−C(O)SR
30、−C(S)N(R
27)R
28、−CF
3、−SiR
71R
72R
73またはアルキルリンである。
【0177】
好ましくは、Sが、Si、C、N、SまたはOである場合、R
40、R
41およびR
42が、独立して、水素、アルキル、リン、アリール、アリーレン、アルカリール、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR
19、−OC(O)R
20、−C(O)R
21、−C(O)OR
22、−N(R
23)R
24、−C(O)N(R
25)R
26、−SR
29、−C(O)SR
30、−C(S)N(R
27)R
28、−CF
3、−SiR
71R
72R
73、またはアルキルリンであり、ここで、R
40〜R
42のうちの少なくとも1つが水素ではなく、R
19〜R
30が、本明細書に定義されるとおりであり;R
71〜R
73が、R
40〜R
42として定義されるが、好ましくは、C
1〜C
4アルキルまたはフェニルである。
【0178】
好ましくは、Sが、Si、Cまたはアリールである。しかしながら、組み合わされたY基の1つ以上としてまたは複数のY基の場合、N、SまたはOが好ましいこともある。不明瞭さを避けるために、酸素または硫黄が二価であり得る際、R
40〜R
42はまた、孤立電子対であり得る。
【0179】
好ましくは、基Yに加えて、芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造は、非置換であってもよく、または、可能な場合、アルキル、アリール、アリーレン、アルカリール、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR
19、−OC(O)R
20、−C(O)R
21、−C(O)OR
22、−N(R
23)R
24、−C(O)N(R
25)R
26、−SR
29、−C(O)SR
30、−C(S)N(R
27)R
28、−CF
3、−SiR
71R
72R
73、またはアルキルリンから選択される基でさらに置換されてもよく、ここで、R
19〜R
30が、本明細書
に定義されるとおりであり;R
71〜R
73が、R
40〜R
42として定義されるが、好ましくは、C
1〜C
4アルキルまたはフェニルである。さらに、少なくとも1つの芳香環は、メタロセン錯体の一部であり得、例えば、Rが、シクロペンタジエニルまたはインデニルアニオンである場合、それは、フェロセニル、ルテノシル(ruthenocyl)、モリブデノセニル(molybdenocenyl)またはインデニル同等物などの金属錯体の一部を形成し得る。
【0180】
このような錯体は、本発明の文脈の範囲内で芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造とみなされるべきであり、それらが2つ以上の芳香環を含む場合、置換基Y
xまたはそれ以外は、Q
1およびQ
2原子が結合されるのと同じ芳香環または構造のさらなる芳香環上にあってもよい。例えば、メタロセンの場合、置換基は、メタロセン構造の任意の1つ以上の環上にあってもよく、これは、Q
1およびQ
2が結合されるのと同じかまたは異なる環であってもよい。
【0181】
本明細書に定義されるように置換され得る好適なメタロセン型の配位子は、当業者に周知であり、国際公開第04/024322号パンフレットにおいて広範に定義されている。このような芳香族アニオンに特に好ましいY置換基は、SがSiである場合のものである。
【0182】
一般に、しかしながら、Sがアリールである場合、アリールは、非置換であってもよく、またはR
40、R
41、R
42に加えて、上記の芳香族構造について定義されるさらなる置換基のいずれかでさらに置換されてもよい。
【0183】
本発明のより好ましいY置換基は、−t−ブチルまたは2−フェニルプロパ−2−イルなどの、t−アルキルまたはt−アルキル,アリール、−SiMe
3、−フェニル、アルキルフェニル−、フェニルアルキル−またはホスフィノメチルなどのホスフィノアルキル−から選択され得る。
【0184】
好ましくは、Sが、SiまたはCであり、R
40〜R
42のうちの1つ以上が水素である場合、R
40〜R
42のうちの少なくとも1つは、必要な立体障害を与えるのに十分に嵩高くするべきであり、このような基は、好ましくは、リン、ホスフィノアルキル−、−t−ブチルなどの第三級炭素を有する基、−アリール、−アルカリール、−アラルキルまたは第三級シリルである。
【0185】
好ましくは、芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造は、メタロセン錯体でない場合、置換基を含め、5〜70個以下の環状原子、より好ましくは、5〜40個の環状原子、最も好ましくは、5〜22個の環状原子;特に、5または6個の環状原子を有する。
【0186】
好ましくは、芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造は、単環式または多環式であり得る。環状芳香族原子は、炭素またはヘテロであってもよく、本明細書におけるヘテロへの言及は、硫黄、酸素および/または窒素への言及である。しかしながら、Q
1およびQ
2原子が、少なくとも1つの芳香環の利用可能な隣接環状炭素原子に結合されることが好ましい。典型的に、環式ヒドロカルビル構造が多環式である場合、それは、好ましくは二環式または三環式である。芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造におけるさらなる環は、それ自体芳香族であってもまたは芳香族でなくてもよく、芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造という用語は、それに対応して理解されるべきである。本明細書に定義される非芳香族環式環は、不飽和結合を含み得る。環状原子とは、環状骨格の一部を形成する原子を意味する。
【0187】
好ましくは、芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造は、置換されているか否かにかかわらず、好ましくは、200個未満の原子、より好ましくは、150個未満の原子、より好ま
しくは、100個未満の原子を含む。
【0188】
芳香族架橋ヒドロカルビル構造の1個のさらなる環状原子という用語は、芳香族構造における任意のさらなる環状原子を意味し、この環状原子は、Q
1またはQ
2原子が連結基を介して結合される少なくとも1つの芳香環の利用可能な隣接環状原子ではない。
【0189】
上述されるように、前記利用可能な隣接環状原子の両側の直接隣接する環状原子は、好ましくは、置換されていない。例として、環の1位を介してQ
1原子に結合され、環の2位を介してQ
2原子に結合された芳香族フェニル環は、好ましくは、環の4位および/または5位で置換された1個以上の前記さらなる芳香族環状原子と、3位および6位で置換されていない前記利用可能な隣接環状原子に直接隣接する2個の環状原子とを有する。しかしながら、これは、好ましい置換基の配置に過ぎず、例えば、環の3位および6位における置換が可能である。
【0190】
芳香環または芳香族架橋という用語は、Q
1およびQ
2原子が、それぞれBおよびAを介して直接結合される少なくとも1つの環または架橋が芳香族であることを意味し、芳香族は、好ましくは、フェニル、シクロペンタジエニルアニオン、ピロリル、ピリジニルのタイプの構造だけでなく、前記環に置いて自由に移動することが可能な非局在化π電子を有する任意の環に見られるものなどの芳香族性を有する他の環も含むように、広く解釈されるべきである。
【0191】
好ましい芳香環は、環中に5個または6個の原子を有するが、[14]アンヌレン、[18]アンヌレンなどの4n+2個のπ電子を有する環も可能である。
【0192】
芳香族架橋環式ヒドロカルビル構造は、ベンゼン−1,2ジイル、フェロセン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,2−ジイル、4または5メチルベンゼン−1,2−ジイル、1’−メチルフェロセン−1,2−ジイル、4および/または5t−アルキルベンゼン−1,2−ジイル、4,5−ジフェニル−ベンゼン−1,2−ジイル、4および/または5−フェニル−ベンゼン−1,2−ジイル、4,5−ジ−t−ブチル−ベンゼン−1,2−ジイル、4または5−t−ブチルベンゼン−1,2−ジイル、2,3,4および/または5t−アルキル−ナフタレン−8,9−ジイル、1H−インデン−5,6−ジイル、1,2および/または3メチル−1H−インデン−5,6−ジイル、4,7メタノ−1H−インデン−1,2−ジイル、1,2および/または3−ジメチル−1H−インデン5,6−ジイル、1,3−ビス(トリメチルシリル)−イソベンゾフラン−5,6−ジイル、4−(トリメチルシリル)ベンゼン−1,2ジイル、4−ホスフィノメチルベンゼン−1,2ジイル、4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン−1,2ジイル、4−ジメチルシリルベンゼン−1,2ジイル、4−ジ−t−ブチル、メチルシリルベンゼン−1,2ジイル、4−(t−ブチルジメチルシリル)−ベンゼン−1,2ジイル、4−t−ブチルシリル−ベンゼン−1,2ジイル、4−(トリ−t−ブチルシリル)−ベンゼン−1,2ジイル、4−(2’−tert−ブチルプロパ−2’−イル)ベンゼン−1,2ジイル、4−(2’,2’,3’,4’,4’ペンタメチル−ペンタ−3’−イル)−ベンゼン−1,2ジイル、4−(2’,2’,4’,4’−テトラメチル,3’−t−ブチル−ペンタ−3’−イル)−ベンゼン−1,2ジイル、4−(または1’)t−アルキルフェロセン−1,2−ジイル、4,5−ジフェニル−フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)フェニル−フェロセン−1,2−ジイル、4,5−ジ−t−ブチル−フェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)t−ブチルフェロセン−1,2−ジイル、4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)ホスフィノメチルフェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)ジメチルシリルフェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)ジ−t−ブチル、メチルシリルフェロセン−1,2
ジイル、4−(または1’)(t−ブチルジメチルシリル)−フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)t−ブチルシリル−フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)(トリ−t−ブチルシリル)−フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)(2’−tert−ブチルプロパ−2’−イル)フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)(2’,2’,3’,4’,4’ペンタメチル−ペンタ−3’−イル)−フェロセン−1,2ジイル、4−(または1’)(2’,2’,4’,4’−テトラメチル,3’−t−ブチル−ペンタ−3’−イル)−フェロセン−1,2ジイルから選択され得る。
【0193】
本明細書の構造において、2つ以上の可能な立体異性体がある場合、全てのこのような立体異性体が意図される。
【0194】
上述されるように、ある実施形態において、芳香族構造のさらなる環状原子に2つの置換基があり得る。任意に、前記2つ以上の置換基は、特に、隣接環状原子上にある場合、組み合わされて、脂環式環構造などのさらなる環構造が形成され得る。
【0195】
このような脂環式環構造は、飽和または不飽和であってもよく、架橋または非架橋であってもよく、アルキル、本明細書に定義されるY基、アリール、アリーレン、アルカリール、アラルキル、アリーレンアルキル、アルケニル、アルキニル、het、ヘテロ、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR
19、−OC(O)R
20、−C(O)R
21、−C(O)OR
22、−N(R
23)R
24、−C(O)N(R
25)R
26、−SR
29、−C(O)SR
30、−C(S)N(R
27)R
28、−CF
3、−SiR
71R
72R
73、またはホスフィノアルキルで置換されてもよく、ここで、存在する場合、R
40〜R
42のうちの少なくとも1つが水素ではなく、R
19〜R
30が、本明細書に定義されるとおりであり;R
71〜R
73が、R
40〜R
42として定義されるが、好ましくは、C
1〜C
4アルキルまたはフェニルであり、および/または1個以上(好ましくは合計で4個未満)の酸素、窒素、硫黄、ケイ素原子で、あるいはシラノまたはジアルキルケイ素基またはそれらの混合物で介在される。
【0196】
このような構造の例としては、ピペリジン、ピリジン、モルホリン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、フラン、ジオキサン、アルキル置換DIOP、2−アルキル置換1,3ジオキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、1,4ジチアン、ピペリジン、ピロリジン、チオモルホリン、クロへキセノン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、アダマンタン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロ−フラン−2−オン、デルタバレロラクトン、γ−ブチロラクトン、グルタル酸無水物、ジヒドロイミダゾール、トリアザシクロノナン、トリアザシクロデカン、チアゾリジン、ヘキサヒドロ−1H−インデン(5,6ジイル)、オクタヒドロ−4,7メタノ−インデン(1,2ジイル)およびテトラヒドロ−1H−インデン(5,6ジイル)が挙げられ、それらは全て、本明細書においてアリールについて定義されるように、非置換であってもまたは置換されてもよい。
【0197】
本発明の範囲内の非置換芳香族架橋二座配位子の具体的であるが非限定的な例としては、以下が挙げられる:1,2−ビス−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2−ビス−(ジ−tert−ペンチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2−ビス−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ナフタレン、1,2ビス(ジアダマンチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2ビス(ジ−3,5−ジメチルアダマンチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2ビス(ジ−5−tert−ブチルアダマンチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2ビス(1−アダマンチルtert−ブチル−ホスフィノメチル)ベンゼン、1,2−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)−o−キシレン、1,2−ビス−(2−(ホスファ−アダマンチル))−
o−キシレン、1−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジコングレシルホスフィノメチル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−2−(ホスファ−アダマンチル)o−キシレン、1−(ジアダマンチルホスフィノ)−2−(ホスファ−アダマンチル)o−キシレン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)o−キシレン、1−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)−2−(ホスファ−アダマンチル)o−キシレン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ベンゼン、1−(ホスファ−アダマンチル)−2−(ホスファ−アダマンチル)メチルベンゼン、1−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノ)ベンゼン、1−(2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−ベンジル)−2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ホスファ−アダマンチル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノ)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)ベンゼン、1−(tert−ブチル,アダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)ベンゼン、1−[(P−(2,2,6,6,−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)メチル)]−2−(ホスファ−アダマンチル)ベンゼン、1,2−ビス−(ジtertブチルホスフィノメチル)フェロセン、1,2,3−トリス−(ジtertブチルホスフィノメチル)フェロセン、1,2−ビス(1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−2−ホスファ−アダマンチルメチル)フェロセン、1,2−ビス−α,α−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))ジメチルフェロセン、および1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))フェロセンおよび1,2−ビス(1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−2−ホスファ−アダマンチルメチル)ベンゼン;ここで、「ホスファ−アダマンチル」が、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチル(trioxadamantyl)、2−ホスファ−1,3,5−トリメチル−6,9,10トリオキサアダマンチル、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサアダマンチルまたは2−ホスファ−1,3,5−トリ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサアダマンチルから選択される。
【0198】
好適な置換非芳香族架橋二座配位子の例は、シス−1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;シス−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)5−メチルシクロペンタン;シス−1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5ジメチルシクロヘキサン;シス−1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;シス−1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル
)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロブタン;シス−1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;シス−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−5−メチルシクロペンタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−5−メチルシクロペンタン;シス−1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−5−メチルシクロペンタン;シス−1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−5−メチルシクロペンタン;シス−1−(2−ホスフィノ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(2−ホスフィノ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1−(ジ−t−ブチルホスフィノ)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1−(ジ−アダマンチルホスフィノ)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1−(ジ−アダマンチルホスフィノ)−2−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;シス−1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジメチルシクロヘキサン;1−[4,5−ジメチル−2−P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)−[1S,2R]シクロヘキシルメチル]−P−2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オンである
。
【0199】
好適な非置換非芳香族架橋二座配位子の例は、シス−1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロペンタン;シス−1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロブタン;シス−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)シクロヘキサン;シス−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)シクロペンタン;シス−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)シクロブタン;シス−1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)シクロペンタン;シス−1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)シクロブタン;シス−1,2−ビス(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))ジメチルシクロヘキサン、シス−1−(P,P−アダマンチル,t−ブチル−ホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(2−ホスフィノ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)シクロヘキサン;シス−1−(ジ−t−ブチルホスフィノ)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1−(ジ−アダマンチルホスフィノ)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1−(ジ−アダマンチルホスフィノ)−2−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))メチルシクロヘキサン;シス−1−(P,P−アダマンチル,t−ブチル−ホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロペンタン;シス−1−(P,P−アダマンチル,t−ブチル−ホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロブタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロペンタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロブタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロペンタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロブタン;シス−1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロペンタン;シス−1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロブタン;シス−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}
デシル)シクロヘキサン;シス−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロペンタン;シス−1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロブタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロペンタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)シクロブタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロヘキサン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロペンタン;シス−1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)シクロブタン;シス−1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)シクロヘキサン;シス−1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロペンタン;シス−1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロブタン;シス−1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロヘキサン;シス−1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロペンタン;およびシス−1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)シクロブタン、(2−エキソ,3−エキソ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)および(2−エンド,3−エンド)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)である。
【0200】
本発明に係る置換芳香族架橋配位子の例としては、1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4−フェニルベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5ジフェニルベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチ
ル)−4,5ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ジフェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−フェニルベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサト
リシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−フェニルベンゼン;;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−フェニルベンゼン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジフェニルベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−フェニルベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−t−ブチルベンゼン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4−t−ブチルベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(P,Pアダマンチル,t
−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ
アダマンチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−t−ブチルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−
(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−t−ブチルベンゼン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−t−ブチルベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)ベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−(ジ−t−ブチル)ベンゼン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−t−ブチルベンゼン、1,2−ビス−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスフィノメチル−シクロヘキサン−4−オン)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ホスファ−アダマンチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ホスファ−アダマンチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ホスファ−アダマンチル)−2−(ホスファ−アダマンチル)−4−(トリメチルシリル)メチルベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノ)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノ)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン、1−(2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン))−4−トリメチルシリルベンジル)−2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサン−4−オン、1−(tert−ブチル,アダマンチルホスフィノ)−2−(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(トリメチルシリル)ベンゼン−(ここで、「ホスファ−アダマンチル」が、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチル、2−ホスファ−1,3,5−トリメチル−6,9,10トリオキサアダマンチル、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサアダマンチルまたは2−ホスファ−1,3,5−トリ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサアダマンチル−から選択される)、1−(ジtertブチルホスフィノメチル)−2−(P−(2,2,6,6−テトラメチル−ホスファ−シクロヘキサ
ン−4−オン))−4−(トリメチルシリル)フェロセン、1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)4−(または1’)フェニルフェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5ジフェニルフェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ジフェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5
−ジフェニルフェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキ
サトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジフェニルフェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)フェニルフェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ビス−(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)(トリメチルシリル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル
)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−t−ブチルフェロセン;1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1,2−ビス(ジ−アダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(P,Pアダマンチル,t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−アダマンチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサ
トリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1,2−ビス(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホ
スフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1−(2−ホスフィノメチル−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ−{3.3.1.1[3.7]}デシル)−2−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}−デシル)−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロセン;1,2−ビス−ペルフルオロ(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4,5−ジ−(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)(2’−フェニルプロパ−2’−イル)フェロセン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシ・求j−4,5−(ジ−t−ブチル)フェロ
セン;1,2−ビス−(2−ホスフィノメチル−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロ
−メチル)−6,9,10−トリオキサトリシクロ{3.3.1.1[3.7]}デシル)−4−(または1’)t−ブチルフェロセンが挙げられる。
【0201】
本発明の配位子の選択される構造としては、以下が挙げられる。
【化6】
【0202】
ノルボルニル架橋非芳香族架橋配位子の例としては、以下が挙げられる。
【化7】
【0203】
置換非芳香族架橋配位子構造の例としては、以下が挙げられる。
【化8】
【0204】
一般式(I)〜(II)の配位子の上記の例の構造において、X
1〜X
4の第三級炭素を有する基、Q
1および/またはQ
2基のリンに結合されるt−ブチルのうちの1つ以上が、好適な代替基で置換され得る。好ましい代替基は、アダマンチル、1,3ジメチルアダマンチル、コングレシル(congressyl)、ノルボルニルまたは1−ノルボンジエニル(norbondienyl)であり、またはX
1およびX
2が一緒に、および/またはX
3およびX
4が一緒に、リンとともに、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチルまたは2−ホスファ−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチルなどの2−ホスファ−トリシクロ[3.3.1.1{3,7}デシル基を形成する。ほとんどの実施形態において、X
1〜X
4基または組み合わされたX
1/X
2およびX
3/X
4基が同じであることが好ましいが、本発明において一般に、これらの選択された配位子の活性部位の周りに非対称性を生成するのに、異なる基を使用することも有利である。
【0205】
同様に、連結基AまたはBのうちの一方は存在しなくてもよく、そのため、AまたはBのみがメチレンであり、メチレン基に結合されていないリン原子が、リン原子間に3つの炭素架橋をもたらす環炭素に直接結合される。
【0206】
典型的に、基X
1がCR
1(R
2)(R
3)を表し、X
2がCR
4(R
5)(R
6)を表し、X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がCR
10(R
11)(R
12)を表し、ここで、R
1〜R
12が、アルキル、アリールまたはhetを表す。
【0207】
特に好ましいのは、有機基R
1〜R
3、R
4〜R
6、R
7〜R
9および/またはR
10〜R
12、あるいは、R
1〜R
6および/またはR
7〜R
12が、それらのそれぞれの第三級炭素原子と結合される場合、t−ブチルと少なくとも同程度の立体障害を有する複合基を形成する場合である。
【0208】
立体複合基は、環式、部分環式または非環式であり得る。環式または部分環式である場合、基は、置換または非置換であってもよく、あるいは飽和または不飽和であってもよい。環式または部分環式基は、好ましくは、環状構造中に、第三級炭素原子を含め、C
4〜C
34、より好ましくは、C
8〜C
24、最も好ましくは、C
10〜C
20の炭素原子を含有し得る。環状構造は、ハロ、シアノ、ニトロ、OR
19、OC(O)R
20、C(O)R
21、C(O)OR
22、NR
23R
24、C(O)NR
25R
26、SR
29、C(O)SR
30、C(S)NR
27R
28、アリールまたはHetから選択される1つ以上の置換基で置換されてもよく(ここで、R
19〜R
30が、本明細書に定義されるとおりである)、および/または1個以上の酸素または硫黄原子で、またはシラノもしくはジアルキルケイ素基で介在されてもよい。
【0209】
特に、環式である場合、X
1、X
2、X
3および/またはX
4がが、コングレシル、ノルボルニル、1−ノルボルナジエニル(norbornadienyl)またはアダマンチルを表すことができ、またはX
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、任意に置換される2−Q
2−トリシクロ[3.3.1.1{3,7}]デシル基またはその誘導体を形成し、またはX
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、式1a
【化9】
の環系を形成する。
【0210】
同様に、X
3およびX
4が、それらが結合されるQ
1と一緒に、任意に置換される2−Q1−トリシクロ[3.3.1.1{3,7}]デシル基またはその誘導体を形成することができ、またはX
3およびX
4が、それらが結合されるQ
1と一緒に、式1b
【化10】
の環系を形成し得る。
【0211】
あるいは、基X
1、X
2、X
3および/またはX
4のうちの1つ以上が、配位子が結合される固相を表し得る。
【0212】
特に好ましいのは、X
1、X
2、X
3およびX
4またはX
1およびX
2が、そのそれぞれのQ
2原子と一緒に、およびX
3およびX
4が、そのそれぞれのQ
1原子と一緒に、同じである場合、またはX
1およびX
3が同じである一方、X
2およびX
4が互いに同じではなく異なる場合である。
【0213】
好ましい実施形態において、R
1〜R
12およびR
13〜R
18が、それぞれ、独立して、アルキル、アリール、またはHetを表し;
R
19〜R
30がそれぞれ、独立して、水素、アルキル、アリールまたはHetを表し;R
19が、水素、非置換C
1〜C
8アルキルまたはフェニルを表し、R
20、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26がそれぞれ、独立して、水素または非置換C
1〜C
8アルキルを表し、
R
49およびR
54が、存在する場合、それぞれ独立して、水素、アルキルまたはアリールを表し;
R
50〜R
53が、存在する場合、それぞれ独立して、アルキル、アリールまたはHetを表し;
YY
1およびYY
2が、存在する場合、それぞれ独立して、酸素、硫黄またはN−R
55を表し、ここで、R
55が、水素、アルキルまたはアリールを表す。
【0214】
好ましくは、本明細書におけるR
1〜R
12がそれぞれ、独立して、アルキルまたはアリールを表す。より好ましくは、R
1〜
12がそれぞれ、独立して、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルキルフェニル(ここで、フェニル基は、本明細書に定義されるようにアリールとして任意に置換される)またはフェニル(ここで、フェニル基は、本明細書に定義されるようにアリールとして任意に置換される)を表す。さらにより好ましくは、R
1〜R
12がそれぞれ、独立して、本明細書に定義されるようにアルキルとして任意に置換されるC
1〜C
6アルキルを表す。最も好ましくは、R
1〜R
12がそれぞれ、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシルなどの非置換C
1〜C
6アルキル、特に、メチルを表す。
【0215】
本発明の特に好ましい実施形態において、R
1、R
4、R
7およびR
10がそれぞれ、本明細書に定義されるように同じアルキル、アリールまたはHet部分を表し、R
2、R
5、R
8およびR
11がそれぞれ、本明細書に定義されるように同じアルキル、アリールまたはHet部分を表し、R
3、R
6、R
9およびR
12がそれぞれ、本明細書に定義されるように同じアルキル、アリールまたはHet部分を表す。より好ましくは、R
1、R
4、R
7およびR
10がそれぞれ、同じC
1〜C
6アルキル、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはシクロヘキシルなどの非置換C
1〜C
6アルキルを表し;R
2、R
5、R
8およびR
11がそれぞれ、独立して、上に定義されるように同じC
1〜C
6アルキルを表し;R
3、R
6、R
9およびR
12がそれぞれ、独立して、上に定義されるように同じC
1〜C
6アルキルを表す。例えば:R
1、R
4、R
7およびR
10がそれぞれ、メチルを表し;R
2、R
5、R
8およびR
11がそれぞれ、エチルを表し;R
3、R
6、R
9およびR
12がそれぞれ、n−ブチルまたはn−ペンチルを表す。
【0216】
本発明の特に好ましい実施形態において、各R
1〜R
12基が、本明細書に定義されるように同じアルキル、アリール、またはHet部分を表す。好ましくは、アルキル基の場
合、各R
1〜R
12が、同じC
1〜C
6アルキル基、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシルなどの非置換C
1〜C
6アルキルを表す。より好ましくは、各R
1〜R
12が、メチルまたはtert−ブチル、最も好ましくは、メチルを表す。
【0217】
2−Q
2(またはQ
1)−トリシクロ[3.3.1.1.{3,7}]デシル基(以後、便宜上、Q
1またはQ
2がヒ素、アンチモンまたはリン原子であることを表す2−メタ−アダマンチル基、すなわち、2−アルサ−アダマンチルおよび/または2−スチバ−アダマンチルおよび/または2−ホスファ−アダマンチル、好ましくは、2−ホスファ−アダマンチルと呼ばれる)は、水素原子に加えて、1つ以上の置換基を任意に含み得る。好適な置換基は、アダマンチル基に関して本明細書に定義される置換基を含む。非常に好ましい置換基は、アルキル、特に、非置換C
1〜C
8アルキル、特に、メチル、トリフルオロメチル、−OR
19を含み、ここで、R
19が、本明細書に定義されるとおりであり、特に、非置換C
1〜C
8アルキルまたはアリール、および4−ドデシルフェニルである。2−メタ−アダマンチル基が、2つ以上の置換基を含む場合、好ましくは、各置換基は同一である。
【0218】
好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、1位、3位、5位または7位のうちの1つ以上において、本明細書に定義される置換基で置換される。より好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、1位、3位および5位のそれぞれにおいて置換される。好適には、このような配置は、2−メタ−アダマンチル基のQ原子が、水素原子を有さないアダマンチル骨格中の炭素原子に結合されることを意味する。最も好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、1位、3位、5位および7位のそれぞれにおいて置換される。2−メタ−アダマンチル基が、2つ以上の置換基を含む場合、好ましくは、各置換基は同一である。特に好ましい置換基は、非置換C
1〜C
8アルキルおよびハロアルキル、特に、メチルなどの非置換C
1〜C
8アルキルおよびトリフルオロメチルなどのフッ素化C
1〜C
8アルキルである。
【0219】
好ましくは、2−メタ−アダマンチルは、非置換2−メタ−アダマンチルまたは1つ以上の非置換C
1〜C
8アルキル置換基で置換される2−メタ−アダマンチル、またはそれらの組合せを表す。
【0220】
好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、2−メタ−アダマンチル骨格中に、2−Q原子以外のさらなるヘテロ原子を含む。好適なさらなるヘテロ原子は、酸素および硫黄原子、特に、酸素原子を含む。より好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、6位、9位および10位において1個以上のさらなるヘテロ原子を含む。さらにより好ましくは、2−メタ−アダマンチル基は、6位、9位および10位のそれぞれにおいてさらなるヘテロ原子を含む。最も好ましくは、2−メタ−アダマンチル基が、2−メタ−アダマンチル骨格中の2個以上のさらなるヘテロ原子を含む場合、さらなるヘテロ原子のそれぞれは同一である。好ましくは、2−メタ−アダマンチルは、2−メタ−アダマンチル骨格中に1個以上の酸素原子を含む。本明細書に定義される1つ以上の置換基で任意に置換され得る特に好ましい2−メタ−アダマンチル基は、2−メタ−アダマンチル骨格の6位、9位および10位のそれぞれにおいて酸素原子を含む。
【0221】
本明細書に定義される非常に好ましい2−メタ−アダマンチル基としては、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチル、2−ホスファ−1,3,5−トリメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチル、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサアダマンチル基、および2−ホスファ−1,3,5−トリ(トリフルオロメチル)−6,9,10−トリオキサアダマンチル基が挙げられる。最も好ましくは、2−ホスファ−アダマンチ
ルは、2−ホスファ−1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチル基または2−ホスファ−1,3,5,−トリメチル−6,9,10−トリオキサアダマンチル基から選択される。
【0222】
好ましくは、2つ以上の2−メタ−アダマンチル基が、式I〜IIの化合物中に存在する場合、各2−メタ−アダマンチル基は同一である。しかしながら、非対称配位子が調製される場合、およびこのような配位子が、Q
1原子を組み込む2−メタ−アダマンチル基を含む場合、他の基が、Q
2原子上に見られ、または逆もまた同様であることも有利であり得る。
【0223】
2−メタ−アダマンチル基は、当業者に周知の方法によって調製され得る。好適には、特定の2−ホスファ−アダマンチル化合物が、Cytec Canada Inc(Canada)から得られる。同様に、式I〜IIの対応する2−メタ−アダマンチル化合物などが、同じ供給元から得られ、または類似の方法によって調製され得る。
【0224】
本発明の好ましい実施形態には:
X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がCR
10(R
11)(R
12)を表し、X
1がCR
1(R
2)(R
3)を表し、X
2がCR
4(R
5)(R
6)を表し;
X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がCR
10(R
11)(R
12)を表し、X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し;
X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がCR
10(R
11)(R
12)を表し;X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、式1a
【化11】
の環系を形成し;
X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がアダマンチルを表し、X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し;
X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がアダマンチルを表し、X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、式1a
【化12】
の環系を形成し;
X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がアダマンチルを表し、X
1がCR
1(R
2)(R
3)を表し、X
2がCR
4(R
5)(R
6)を表し;
X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がコングレシルを表し、X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し;
X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がコングレシルを表し、X
1がCR
1(R
2)(R
3)を表し、X
2がCR
4(R
5)(R
6)を表し;
X
3およびX
4が、独立して、アダマンチルを表し、X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し;
X
3およびX
4が、独立して、アダマンチルを表し、X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、式1a
【化13】
の環系を形成し;
X
3およびX
4が、独立して、アダマンチルを表し、X
1がCR
1(R
2)(R
3)を表し、X
2がCR
4(R
5)(R
6)を表し;
X
1、X
2、X
3およびX
4がアダマンチルを表し;
X
3およびX
4が、それらが結合されるQ
1と一緒に、式1b
【化14】
の環系を形成することができ、
X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、式1a
の環系を形成し;
【化15】
X
3およびX
4が、独立して、コングレシルを表し、X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し;
X
3およびX
4が、それらが結合されるQ
1と一緒に、式1b
【化16】
の環系を形成することができ、
X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し;
X
3およびX
4が、独立して、コングレシルを表し、X
1がCR
1(R
2)(R
3)を表し、X
2がCR
4(R
5)(R
6)を表し;
X
3およびX
4が、それらが結合されるQ
1と一緒に、式1b
【化17】
の環系を形成することができ、
X
1がCR
1(R
2)(R
3)を表し、X
2がCR
4(R
5)(R
6)を表し;
X
3およびX
4が、それらが結合されるQ
1と一緒に、2−ホスファ−アダマンチル基、X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成するものが含まれる。
【0225】
本発明の非常に好ましい実施形態には:
X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がCR
10(R
11)(R
12)を表し、X
1がCR
1(R
2)(R
3)を表し、X
2がCR
4(R
5)(R
6)を表し;特に、ここで、R
1〜R
12がメチルであるものが含まれる。
【0226】
好ましくは、式IIの化合物において、X
3がX
4と同一であり、および/またはX
1がX
2と同一である。
【0227】
本発明における特に好ましい組合せには:
(1)X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がCR
10(R
11)(R
12)を表し、X
1がCR
1(R
2)(R
3)を表し、X
2がCR
4(R
5)(R
6)を表し;
AおよびBが同じであり、−CH
2−を表し、またはAが−CH
2であり、リンが、基Rに直接結合されるように、Bが存在せず;
Q
1およびQ
2が両方とも、環の1位および2位でR基に結合されたリンを表し;
Rが、4−(トリメチルシリル)−ベンゼン−1,2−ジイルを表す。
(2)X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がCR
10(R
11)(R
12)を表し、X
1がCR
1(R
2)(R
3)を表し、X
2がCR
4(R
5)(R
6)を表し;
AおよびBが同じであり、−CH
2−を表し、またはAが−CH
2であり、リンが、基Rに直接結合されるように、Bが存在せず;
Q
1およびQ
2が両方とも、環の1位および2位でR基に結合されたリンを表し;
Rが、4−t−ブチル−ベンゼン−1,2−ジイルを表す。
(3)X
3およびX
4が、それらが結合されるQ
1と一緒に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し、X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し;
AおよびBが同じであり、−CH
2−を表し、またはAが−CH
2であり、リンが、基Rに直接結合されるように、Bが存在せず;
Q
1およびQ
2が両方とも、環の1位および2位でR基に結合されたリンを表し;
Rが、4−(トリメチルシリル)−ベンゼン−1,2−ジイルを表す。
(4)X
1、X
2、X
3およびX
4がアダマンチルを表し;
AおよびBが同じであり、−CH
2−を表し、またはAが−CH
2であり、リンが、基Rに直接結合されるように、Bが存在せず;
Q
1およびQ
2が両方とも、環の1位および2位でR基に結合されたリンを表し;
Rが、4−(トリメチルシリル)−ベンゼン−1,2−ジイルを表す。
(5)X
3がCR
7(R
8)(R
9)を表し、X
4がCR
10(R
11)(R
12)を表し、X
1がCR
1(R
2)(R
3)を表し、X
2がCR
4(R
5)(R
6)を表し;
AおよびBが同じであり、−CH
2−を表し、またはAが−CH
2であり、リンが、基Rに直接結合されるように、Bが存在せず;
Q
1およびQ
2が両方とも、環の1位および2位でR基に結合されたリンを表し;
Rが、フェロセンまたはベンゼン−1,2−ジイルを表す。
(6)X
3およびX
4が、それらが結合されるQ
1と一緒に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し、X
1およびX
2が、それらが結合されるQ
2と一緒に、2−ホスファ−アダマンチル基を形成し;
AおよびBが同じであり、−CH
2−を表し、またはAが−CH
2であり、リンが、基Rに直接結合されるように、Bが存在せず;
Q
1およびQ
2が両方とも、環の1位および2位でR基に結合されたリンを表し;
Rが、フェロセンまたはベンゼン−1,2−ジイルを表す。
(7)X
1、X
2、X
3およびX
4がアダマンチルを表し;
AおよびBが同じであり、−CH
2−を表し、またはAが−CH
2であり、リンが、基Rに直接結合されるように、Bが存在せず;
Q
1およびQ
2が両方とも、環の1位および2位でR基に結合されたリンを表し;
Rが、フェロセンまたはベンゼン−1,2−ジイルを表すものが含まれる。
【0228】
好ましくは、式IIの化合物において、Aおよび/またはBがそれぞれ、独立して、本明細書に定義されるように、例えば、アルキル基で任意に置換されるC
1〜C
6アルキレンを表す。好ましくは、Aおよび/またはBが表す低級アルキレン基は非置換である。AおよびBが、独立して、表し得る特に好ましいアルキレンは、−CH
2−または−C
2H
4−である。最も好ましくは、AおよびBのそれぞれが、本明細書に定義されるように同じアルキレン、特に、−CH
2−を表し、またはAが−CH
2−を表し、Bが存在せず、または逆もまた同様である。
【0229】
式I〜IIのさらに他の好ましい化合物には:
R
1〜R
12がアルキルであり、同じであり、好ましくは、それぞれが、C
1〜C
6アルキル、特に、メチルを表すものが含まれる。
【0230】
式I〜IIの特に好ましい特定の化合物には:
各R
1〜R
12が、同じであり、メチルを表し;
AおよびBが同じであり、−CH
2−を表し;
Rが、ベンゼン−1,2−ジイル、フェロセン−1.2−ジイル、4−t−ブチル−ベンゼン−1,2−ジイル、4(トリメチルシリル)−ベンゼン−1,2−ジイルを表すものが含まれる。
【0231】
アダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル(norborndienyl)基は、水素原子に加えて、アルキル、−OR
19、−OC(O)R
20、ハロ、ニトロ、−C(O)R
21、−C(O)OR
22、シアノ、アリール、−N(R
23)R
24、−C(O)N(R
25)R
26、−C(S)N(R
27)R
28、−SR
29、−C(O)SR
30、CF
3、−P(R
56)R
57、−PO(R
58)(R
59)、−PO
3H
2、−PO(OR
60)(OR
61)、または−SO
3R
62から選択される1つ以上の置換基を任意に含んでいてもよく、ここで、R
19〜R
30、アルキル、ハロ、シアノおよびアリールが、本明細書に定義されるとおりであり、R
56〜R
62がそれぞれ、独立して、水素、アルキル、アリールまたはHetを表す。
【0232】
好適には、アダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル
基が、上に定義される1つ以上の置換基で置換される場合、非常に好ましい置換基は、非置換C
1〜C
8アルキル、−OR
19、−OC(O)R
20、フェニル、−C(O)OR
22、フルオロ、−SO
3H、−N(R
23)R
24、−P(R
56)R
57、−C(O)N(R
25)R
26および−PO(R
58)(R
59)、−CF
3を含み、ここで、R
19〜R
26が、本明細書に定義されるとおりであり、R
56〜R
59がそれぞれ、独立して、非置換C
1〜C
8アルキルまたはフェニルを表す。特に好ましい実施形態において、置換基は、C
1〜C
8アルキル、より好ましくは、1,3ジメチルアダマンチルに見られるようにメチルである。
【0233】
好適には、アダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル基は、水素原子に加えて、上に定義される10個以下の置換基、好ましくは、上に定義される5つ以下の置換基、より好ましくは、上に定義される3つ以下の置換基を含み得る。好適には、アダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル基は、水素原子に加えて、本明細書に定義される1つ以上の置換基を含み、好ましくは、各置換基は同一である。好ましい置換基は、非置換C
1〜C
8アルキルおよびトリフルオロメチル、特に、メチルなどの非置換C
1〜C
8アルキルである。非常に好ましいアダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル基は、水素原子のみを含み、すなわち、アダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル基は置換されていない。
【0234】
好ましくは、2つ以上のアダマンチル、コングレシル、ノルボルニルまたは1−ノルボルンジエニル基が、式I〜IIの化合物中に存在する場合、各このような基は同一である。
【0235】
好ましくは、二座配位子は、二座ホスフィン、アルシンまたはスチビン配位子、好ましくは、二座ホスフィン配位子である。特に好ましいのは、二座ホスフィン配位子1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)o−キシレンである。
【0236】
定義
本明細書において使用される際、式I〜IIの化合物中のAおよびBが表す「低級アルキレン」という用語は、C
0〜C
10またはC
1〜C
10基を含み、これは、後者の場合、2箇所で基に結合され得、それによって、基Q
1またはQ
2をR基に結合し、後者の場合、そうでなければ以下の「アルキル」と同じように定義される。それにもかかわらず、後者の場合、メチレンが最も好ましい。前者の場合、C
0とは、基Q
1またはQ
2が、R基に直接結合され、C
1〜C
10低級アルキレン基がないことを意味し、この場合、AおよびBのうちの一方のみが、C
1〜C
10低級アルキレンである。いずれの場合も、基AまたはBのうちの一方がC
0である場合、他方の基がC
0ではあることはなく、本明細書において定義されるC
1〜C
10基であるはずであり、したがって、AおよびBのうちの少なくとも一方が、C
1〜C
10「低級アルキレン」基であり、そのため、「任意の」という用語は、それに対応して理解されるべきである。
【0237】
本明細書において使用される際の「アルキル」という用語は、C
1〜C
10アルキルを意味し、メチル、エチル、エテニル、プロピル、プロペニルブチル、ブテニル、ペンチル、ペンテニル、ヘキシル、ヘキセニルおよびヘプチル基を含む。特に規定されない限り、アルキル基は、十分な炭素原子数がある場合、直鎖状または分枝鎖状であってもよく(特に好ましい分枝鎖基は、t−ブチルおよびイソプロピルを含む)、飽和または不飽和であってもよく、環式、非環式または部分環式/非環式であってもよく、非置換であっても、ハロ、シアノ、ニトロ、OR
19、OC(O)R
20、C(O)R
21、C(O)OR
22、NR
23R
24、C(O)NR
25R
26、SR
29、C(O)SR
30、C(S)NR
27R
28、非置換または置換アリール、あるいは非置換または置換Hetから選択
される1つ以上の置換基で置換または終端されていてもよく、および/または1個以上(好ましくは4個未満)の酸素、硫黄、ケイ素原子で、またはシラノもしくはジアルキルケイ素基、またはそれらの混合物で介在されていてもよい。
【0238】
X
1またはX
2が、非第三級炭素を介してQ
2原子に結合されない限り、R
1〜R
12およびR
13〜R
18はそれぞれ、独立して、アルキル、アリール、またはHetを表し、その場合、それらはそれぞれ、水素も表し得る。
【0239】
本明細書におけるR
19〜R
30がそれぞれ、独立して、水素、ハロ、非置換または置換アリールまたは非置換または置換アルキル、あるいは、R
21の場合、さらに、ハロ、ニトロ、シアノ、チオおよびアミノを表す。好ましくは、R
19〜R
30が、水素、非置換C
1〜C
8アルキルまたはフェニル、より好ましくは、水素または非置換C
1〜C
8アルキルを表す。
【0240】
本明細書において使用される際の「Ar」または「アリール」という用語は、フェニル、シクロペンタジエニルおよびインデニルアニオンおよびナフチルなどの、5〜10員、好ましくは5〜8員の、炭素環式芳香族または擬芳香族基を含み、これらの基は、非置換であっても、あるいは1つの選択肢として、非置換または置換アリール、アルキル(この基自体が、本明細書に定義されるように、非置換であっても、あるいは置換または終端されてもよい)、Het(この基自体が、本明細書に定義されるように、非置換であっても、あるいは置換または終端されてもよい)、ハロ、シアノ、ニトロ、OR
19、OC(O)R
20、C(O)R
21、C(O)OR
22、NR
23R
24、C(O)NR
25R
26、SR
29、C(O)SR
30またはC(S)NR
27R
28から選択される1つ以上の置換基で置換されてもよく、ここで、R
19〜R
30が、本明細書に定義されるとおりである。
【0241】
本明細書において使用される際の「アルケニル」という用語は、C
2〜C
10アルケニルを意味し、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニル基を含む。特に規定されない限り、アルケニル基は、十分な炭素原子数がある場合、直鎖状または分枝鎖状であってもよく、飽和または不飽和であってもよく、環式、非環式または部分環式/非環式であってもよく、非置換であっても、ハロ、シアノ、ニトロ、OR
19、OC(O)R
20、C(O)R
21、C(O)OR
22、NR
23R
24、C(O)NR
25R
26、SR
29、C(O)SR
30、C(S)NR
27R
28、非置換または置換アリール、あるいは非置換または置換Hetから選択される1つ以上の置換基で置換または終端されていてもよく、ここで、R
19〜R
30が、本明細書に定義されるとおりであり、および/または1個以上(好ましくは4個未満)の酸素、硫黄、ケイ素原子で、またはシラノもしくはジアルキルケイ素基、またはそれらの混合物で介在されていてもよい。
【0242】
本明細書において使用される際の「アルキニル」という用語は、C
2〜C
10アルキニルを意味し、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニル基を含む。特に規定されない限り、アルキニル基は、十分な炭素原子数がある場合、直鎖状または分枝鎖状であってもよく、飽和または不飽和であってもよく、環式、非環式または部分環式/非環式であってもよく、非置換であっても、ハロ、シアノ、ニトロ、OR
19、OC(O)R
20、C(O)R
21、C(O)OR
22、NR
23R
24、C(O)NR
25R
26、SR
29、C(O)SR
30、C(S)NR
27R
28、非置換または置換アリール、あるいは非置換または置換Hetから選択される1つ以上の置換基で置換または終端されていてもよく、ここで、R
19〜R
30が、本明細書に定義されるとおりであり、および/または1個以上(好ましくは4個未満)の酸素、硫黄、ケイ素原子で、またはシラノもしくはジアルキルケイ素基、またはそれらの混合物で介在されていてもよい。
【0243】
「アルキル」、「アラルキル」、「アルカリール」、「アリーレンアルキル」などの用語は、矛盾する情報がない場合、基のアルキルまたはalk部分に関する限り、「アルキル」の上記の定義にしたがって解釈されるべきである。
【0244】
上記のArまたはアリール基は、1つ以上の共有結合によって結合され得るが、本明細書における「アリーレン」または「アリーレンアルキル」などへの言及は、2つの共有結合として理解されるべきであり、そうでなければ、基のアリーレン部分に関する限り、上記のArまたはアリールとして定義されるべきである。「アルカリール」、「アラルキル」などへの言及は、基のArまたはアリール部分に関する限り、上記のArまたはアリールへの言及として解釈されるべきである。
【0245】
上記の基が置換または終端され得るハロ基は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0246】
本明細書において使用される際の「Het」という用語は、4〜12員、好ましくは4〜10員の環系を含み、この環は、窒素、酸素、硫黄およびそれらの混合物から選択される1個以上のヘテロ原子を含み、環は、二重結合を含まないか、1つ以上の二重結合を含み、あるいは非芳香族、部分芳香族または全芳香族の性質であってもよい。環系は、単環式、二環式であっても、または縮合されていてもよい。本明細書において特定される各「Het」基は、非置換であっても、あるいはハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、アルキル(このアルキル基自体が、本明細書に定義されるように、非置換であっても、あるいは置換または終端されてもよい)−OR
19、−OC(O)R
20、−C(O)R
21、−C(O)OR
22、−N(R
23)R
24、−C(O)N(R
25)R
26、−SR
29、−C(O)SR
30または−C(S)N(R
27)R
28から選択される1つ以上の置換基で置換されてもよく、ここで、R
19〜R
30が、本明細書に定義されるとおりである。ここで、「Het」という用語は、任意に置換されるアゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリル、インドリル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、ピリダジニル、モルホリニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、ピペリジニル、ピラゾリルおよびピペラジニルなどの基を含む。Hetにおける置換は、Het環の炭素原子において、または、必要に応じて、ヘテロ原子の1個以上において行われ得る。
【0247】
「Het」基はまた、Nオキシドの形態であってもよい。
【0248】
本明細書において言及される際のヘテロという用語は、窒素、酸素、硫黄またはそれらの混合物を意味する。
【0249】
本発明の触媒化合物は、「不均一系」触媒または「均一系」触媒、好ましくは均一系触媒として作用し得る。
【0250】
「均一系」触媒という用語は、好ましくは、本明細書に記載される好適な溶媒中で、担持されずに、カルボニル化反応の反応剤と単に混合されるかまたはそのような反応剤を用いてその場で形成される触媒、すなわち、本発明の化合物を意味する。
【0251】
「不均一系」触媒という用語は、担体上に担持される触媒、すなわち、本発明の化合物を意味する。
【0252】
本明細書の式(例えば式I〜II)の化合物が、定義されるようなアルケニル基またはシクロアルキル部分を含む場合、シス(E)およびトランス(Z)異性も生じ得る。本発
明は、本明細書に定義される式のいずれかの化合物の個々の立体異性体および、必要に応じて、その個々の互変異性体を、それらの混合物とともに含む。ジアステレオ異性体またはシスおよびトランス異性体の分離は、従来の技術によって、例えば、式のうちの1つの化合物あるいはそれらの好適な塩または誘導体の立体異性体混合物の分別結晶、クロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィー(H.P.L.C.)によって行われ得る。式のうちの1つの化合物の個々の鏡像異性体はまた、対応する光学的に純粋な中間体から、または好適なキラル担体を用いた対応するラセミ化合物のH.P.L.C.または必要に応じて、対応するラセミ化合物と、好適な光学活性酸または塩基との反応によって形成されるジアステレオ異性体塩の分別結晶などによる分割(resolution)によって、調製され得る。
【0253】
ここで、本発明は、以下の非限定的な実施例および比較例によって説明され、例示される。