特許第6716598号(P6716598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6716598腎臓及び/又は肝臓疾患を治療するための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6716598
(24)【登録日】2020年6月12日
(45)【発行日】2020年7月1日
(54)【発明の名称】腎臓及び/又は肝臓疾患を治療するための組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 235/34 20060101AFI20200622BHJP
   C07D 213/56 20060101ALI20200622BHJP
   A61K 31/4406 20060101ALI20200622BHJP
   C07D 333/24 20060101ALI20200622BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20200622BHJP
   C07D 207/327 20060101ALI20200622BHJP
   A61K 31/402 20060101ALI20200622BHJP
   C07D 307/54 20060101ALI20200622BHJP
   A61K 31/341 20060101ALI20200622BHJP
   C07D 231/12 20060101ALI20200622BHJP
   A61K 31/415 20060101ALI20200622BHJP
   C07D 239/26 20060101ALI20200622BHJP
   A61K 31/505 20060101ALI20200622BHJP
   C07D 277/30 20060101ALI20200622BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20200622BHJP
   C07D 261/08 20060101ALI20200622BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20200622BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20200622BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20200622BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20200622BHJP
   C07H 15/203 20060101ALI20200622BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20200622BHJP
【FI】
   C07C235/34
   C07D213/56CSP
   A61K31/4406
   C07D333/24
   A61K31/381
   C07D207/327
   A61K31/402
   C07D307/54
   A61K31/341
   C07D231/12 B
   A61K31/415
   C07D239/26
   A61K31/505
   C07D277/30
   A61K31/427
   C07D261/08
   A61K31/192
   A61K31/165
   A61P1/16
   A61P13/12
   C07H15/203
   A61K31/7034
【請求項の数】23
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2017-548937(P2017-548937)
(86)(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公表番号】特表2018-509434(P2018-509434A)
(43)【公表日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】AU2016000094
(87)【国際公開番号】WO2016145478
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年2月8日
(31)【優先権主張番号】2015900978
(32)【優先日】2015年3月18日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】516079202
【氏名又は名称】ヴェクタス バイオシステムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダガン,カレン アネット
【審査官】 松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/170371(WO,A1)
【文献】 Peters, Martin et al.,Chemistry - A European Journal ,2013年,Vol.19,No.7,p.2442-2449
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A61K
A61P
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】
[式中、
Aは、
【化2】
であり、
R1〜R9は、独立にC、N、O、又はSであり、
Qは、C1〜6アルキル、ハロ、C0〜6アルキルカルボン酸、アミノ、ヒドロキシ、及びC1〜6アルコキシから独立に選択され、
nは、0、1、2、3、又は4であり、
Xは、-OH、又は
【化3】
であり、
Xが-OHのとき、Aは非置換型のフェニルではない]
の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項2】
Qが、-CH3、-C(O)OH、-F、-NH2、-OH、及び-OCH3から独立に選択される、請求項1に記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項3】
R5〜R9が、独立にC又はNである、請求項1又は2に記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項4】
nが、0、1、又は2である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項5】
C0〜6アルキルカルボン酸が、カルボン酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項6】
Xが、-OHである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項7】
Xが、
【化4】
である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項8】
【化5】
からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項9】
【化6】
である、請求項1〜5及び7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項11】
腎臓及び/又は肝臓疾患を予防的又は治療的に処置するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項12】
前記処置が、腎線維症及び/又は肝線維症の進行を予防する、減少させる、又は遅らせる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記処置が、確立した腎線維症及び/又は肝線維症を減少させる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記処置が、腎尿細管細胞死を予防する、減少させる、又は遅らせる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記処置が、肝脂肪の蓄積を予防する、減少させる、又は遅らせる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記処置が、正常な組織構造を復元する、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項17】
腎臓及び/又は肝臓疾患を予防的又は治療的に処置するための医薬品の製造のための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物の使用。
【請求項18】
前記医薬品が、腎線維症及び/又は肝線維症の進行を予防する、減少させる、又は遅らせる、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記医薬品が、確立した腎線維症及び/又は肝線維症を減少させる、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
前記医薬品が、腎尿細管細胞死を予防する、減少させる、又は遅らせる、請求項17に記載の使用。
【請求項21】
前記医薬品が、肝脂肪の蓄積を予防する、減少させる、又は遅らせる、請求項17に記載の使用。
【請求項22】
前記医薬品が、正常な組織構造を復元する、請求項17に記載の使用。
【請求項23】

【化7】
の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、グルクロニド、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物若しくは溶媒和物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腎臓及び/又は肝臓疾患の予防的及び/又は治療的処置における新規化合物及びその使用に関する。
【0002】
本発明は、主に腎臓及び/又は肝臓疾患を予防的及び/又は治療的に処置するために開発され、本出願を参照して以下に記載される。しかしながら、本発明はこの特定の使用分野に限定されないと認識されるものとする。
【背景技術】
【0003】
本明細書全体を通じて、先行技術について議論する場合、そのいずれについても、そのような先行技術が幅広く知られているか又は当分野において共通の一般的知識の一部をなすということの承認とは決してみなされないものとする。
【0004】
腎疾患は、とりわけ免疫学的、機械的、代謝的、及び毒性的な損傷を含む多様な病因から構成される(Hewitson, Fibrogenesis & Tissue Repair 2012, 5(Suppl 1):S14)。病因を問わず、慢性腎疾患を有する患者はすべて、経時的に腎機能の低下を示し、必然的に末期腎不全から生涯にわたる透析又は腎臓移植を必要とする状態に至る(Hakim & Lazarus, Am J Kidney Dis 1989, 14:396-401)。腎機能が進行的に失われると、糸球体硬化症の発症のみならず、間質性線維症の発症とも関連する。間質性線維症は、尿細管及び間質性の毛細血管の破壊により、並びに細胞外マトリックスタンパク質の蓄積により特徴付けられる(Fukagawa et al., Nephrol Dial Transplant 1999, 14:2793-2795)。腎線維症は、全身性の血管抵抗の増加に起因する高血圧症を引き起こす可能性があり、慢性腎疾患を有する患者の85〜95%で高血圧症が生じることが報告されている(Rao et al., Am J Kidney Dis. 2008, 51(suppl 2):S30-S37)。
【0005】
アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター単独、又はアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)併用による治療は、腎不全の進行速度を低下させることが明らかにされているが、腎疾患を治癒させない、すなわち既存の線維症を逆転させず、また正常な組織構造を復元しない。更に、ACEインヒビター及びARBは、副作用、例えば低血圧症、血管神経性の浮腫、高カリウム血症、及び遷延性の乾性咳嗽等を引き起こす可能性がある。
【0006】
肝臓疾患は、遺伝性の場合もあり、又は肝臓に損傷を与える様々な因子、例えば肥満、糖尿病、感染症、及びアルコール中毒等により引き起こされる場合もある。肝臓疾患の例として、肝炎、脂肪性肝疾患、及び硬変症が挙げられる。
【0007】
脂肪性肝疾患では、トリグリセリド脂肪の大型の液胞が、脂肪過多症(すなわち、細胞内での脂質の異常な保持)により、肝細胞内に蓄積する可能性がある。この脂肪の蓄積は、炎症、細胞死、及び瘢痕化の原因となり得る。
【0008】
未治療のまま放置すると、脂肪性肝疾患及びその他の肝臓疾患による損傷が、線維症の蓄積を引き起こし、その結果硬変症、肝不全、及び門脈高血庄症となり、多くの場合肝移植を必要とする。
【0009】
肝線維症に対する標準治療法は存在しない。実験的な研究では、齧歯類において、線維症の進行を防止する標的が明らかにされたが、ほとんどの治療において、その有効性は、ヒトについて証明されていない(Bataller & Brenner、J Clin Invest。2005、115(2):209-18)。現時点では、治療は肝線維症の原因を治療することに通常重点が置かれ、そして肝臓の再生を期待する。線維症の逆転を目的とする治療は、通常、長期使用による毒性が強すぎる(例えば、コルチコステロイド、ペニシラミン)、又は有効性が証明されていない(例えば、コルヒチン)。
【0010】
現在のところ、肝臓の脂肪蓄積に対する薬物療法は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
腎臓疾患及び/又は肝臓疾患を予防又は治療する薬剤に対する必要性が存在する。特に、腎線維症及び/又は肝線維症の進行を予防する、減少させる、又は遅らせる、確立した腎線維症及び/又は肝線維症を減少させる、腎尿細管細胞死を予防する、減少させる、又は遅らせる、腎臓及び/又は肝臓の正常な組織構造を復元する、並びに/或いは肝臓の脂肪蓄積を予防する、減少させる、又は遅らせる薬剤に対する必要性が存在する。
【0012】
先行技術の欠点のうちの少なくとも1つを克服又は改善する、又は有用な代替法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1つの態様によれば、本発明は、式
【0014】
【化1】
[式中、
Aは、
【0015】
【化2】
であり、
R1〜R9は、独立にC、N、O、又はSであり、
Qは、C1〜6アルキル、ハロ、C0〜6アルキルカルボン酸、アミノ、ヒドロキシ、及びC1〜6アルコキシから独立に選択され、
nは、0、1、2、3、又は4であり、
Xは、-OH、又は
【0016】
【化3】
であり、
Xが-OHのとき、Aは非置換型のフェニルではない]
の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物、及び/若しくは溶媒和物に関する。
【0017】
1つの実施形態では、Qは、-CH3、-C(O)OH、-F、-NH2、-OH、及び-OCH3から独立に選択される。
【0018】
1つの実施形態では、R5〜R9は、独立にC又はNである。
【0019】
1つの実施形態では、nは、0、1、又は2である。
【0020】
1つの実施形態では、C0〜6アルキルカルボン酸は、カルボン酸である。
【0021】
1つの実施形態では、Xは、-OHである。
【0022】
1つの実施形態では、Xは、
【0023】
【化4】
である。
【0024】
1つの実施形態では、化合物は、
【0025】
【化5】
、又はその薬理学的に許容される塩、グルクロニド、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物、及び/若しくは溶媒和物から選択される。
【0026】
1つの実施形態では、化合物は、
【0027】
【化6】
、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物、及び/若しくは溶媒和物である。
【0028】
別の態様によれば、本発明は、本発明の化合物、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0029】
別の態様によれば、本発明は、対象の腎臓及び/又は肝臓疾患を治療的に処置する方法であって、本発明による化合物又は医薬組成物を、前記対象に投与するステップを含む方法に関する。
【0030】
別の態様によれば、本発明は、対象の腎臓及び/又は肝臓疾患を予防的に処置する方法であって、本発明による化合物又は医薬組成物を、前記対象に投与するステップを含む方法に関する。
【0031】
別の態様によれば、本発明は、腎臓及び/又は肝臓疾患を治療的に処置する方法に用いるための本発明の化合物又は医薬組成物に関する。
【0032】
別の態様によれば、本発明は、腎臓及び/又は肝臓疾患を予防的に処置する方法に用いるための本発明の化合物又は医薬組成物に関する。
【0033】
別の態様によれば、本発明は、腎臓及び/又は肝臓疾患を治療的に処置するための医薬品の製造のための本発明の化合物の使用に関する。
【0034】
別の態様によれば、本発明は、腎臓及び/又は肝臓疾患を予防的に処置するための医薬品の製造のための本発明の化合物の使用に関する。
【0035】
1つの実施形態では、本発明の化合物、医薬組成物、又は医薬品は、腎線維症及び/又は肝線維症の進行を予防する、減少させる、又は遅らせる。
【0036】
1つの実施形態では、本発明の化合物、医薬組成物、又は医薬品は、確立した腎線維症及び/又は肝線維症を減少させる。
【0037】
1つの実施形態では、本発明の化合物、医薬組成物、又は医薬品は、腎尿細管細胞死を予防する、減少させる、又は遅らせる。
【0038】
1つの実施形態では、本発明の化合物、医薬組成物、又は医薬品は、肝臓内での脂肪蓄積を予防する、減少させる、又は遅らせる。
【0039】
1つの実施形態では、本発明の化合物、医薬組成物、又は医薬品は、腎臓及び/又は肝臓内で、正常な組織構造を復元する。
【0040】
別の態様によれば、本発明は、式
【0041】
【化7】
の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、グルクロニド、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物、及び/若しくは溶媒和物に関する。
【0042】
文脈が別途明確に必要としない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、単語「含む」、「含むこと」等は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包括的な意味、すなわち「を含むが、それに限定されない」という意味で用いられると解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】P5、P8、P11、P22、P26、P40、及びP41の合成スキームを示す図である。
図2】チアゾールピナコールボロン酸エステルの合成スキームを示す図である。
図3】P9の合成スキームを示す図である。
図4】(2E)-3-[3'-(ベンジルオキシ)-4-トリフルオロメタンスルホネート-ビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミドの合成スキームを示す図である。
図5】P3、P46、P47、P48、P49、及びP50の中間体の合成スキームを示す図である。
図6】P3、P46、P47、P48、P49、及びP50の合成スキームを示す図である。
図7】P104の合成スキームを示す図である。
図8】62.5μM (白色の棒)、125μM (灰色の棒)、又は250μM (黒色の棒)の試験化合物で処置したA10血管平滑筋細胞内の細胞インピーダンスを示す図である。
図9】62.5μM (白色の棒)、125μM (灰色の棒)、又は250μM (黒色の棒)の試験化合物で処置したウシ大動脈内皮細胞内の細胞インピーダンスを示す図である。
図10】シスプラチン(5μg/ml)による処置に起因する細胞毒性から、腎尿細管細胞を救済する試験化合物(30μM)の能力を示す図である。
図11】試験化合物が収縮期血圧に及ぼす効果を示す図である。
図12】5%エタノール飲料溶液に含まれる試験化合物又は飲料溶液単独を用いた処置から4週間後、2.2%塩分食を与えられたSHRにおいて、試験化合物が腎臓内の線維症に及ぼす効果を示す図である。
図13】5%エタノール飲料溶液に含まれる試験化合物(500pmol/kg/分)又は飲料溶液単独(18週齢対照)を用いた処置から4週間後の18週齢のSHRにおける肝線維症を示す図である。
図14】対照ラット(A)、並びにP8 (B)、P9 (C)、及びP26 (D)で処置したラットから得られた組織切片について、マッソンの三重染色法により染色を行い、その門脈路を示す図である。
図15】飲料溶液に含まれる試験化合物又は飲料溶液単独を用いた処置から4週間後、2.2%塩分食を与えられたSHRにおいて、試験化合物がSHRの肝臓内脂肪蓄積に及ぼす効果を示す図である。
図16】試験化合物で処置した、A10血管平滑筋細胞内の細胞インピーダンス、及びSHRにおける肝線維症のレベルの比較を示す図である。
図17】試験化合物で処置した、ウシ大動脈内皮細胞内の細胞インピーダンス、及びSHRにおける肝線維症のレベルの比較を示す図である。
図18】試験化合物で処置したSHRにおける、シスプラチンに誘発された細胞毒性から腎近位尿細管細胞の救済、及び腎線維症レベルの比較を示す図である。
図19】試験化合物で処置した、ウシ大動脈内皮細胞における細胞インピーダンス、及びSHRにおける肝脂肪含有量レベルの比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、腎臓及び/又は肝臓疾患の治療で有効な化合物に関する。また本発明は、腎線維症及び/又は肝線維症の進行を予防する、減少させる、又は遅らせる、確立した腎線維症及び/又は肝線維症を減少させる、腎尿細管細胞死を予防する、減少させる、又は遅らせる、腎臓及び/又は肝臓内で正常な組織構造を復元する、並びに/或いは肝臓の脂肪蓄積を予防する、減少させる、又は遅らせるのに有効である化合物とも関連する。
【0045】
本発明の化合物は、式
【0046】
【化8】
[式中、
Aは、
【0047】
【化9】
であり、
R1〜R9は、独立にC、N、O、又はSであり、
Qは、C1〜6アルキル、ハロ、C0〜6アルキルカルボン酸、アミノ、ヒドロキシ、及びC1〜6アルコキシから独立に選択され、
nは、0、1、2、3、又は4であり、
Xは、-OH又は
【0048】
【化10】
であり、
Xが-OHのとき、Aは非置換型のフェニルではない]
により表わされ、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物、及び/若しくは溶媒和物である。
【0049】
下記の化合物は、特定の、但し非限定的な、本発明の化合物の例である。
【0050】
【化11】
【0051】
本明細書で用いる場合、用語「アルキル」とは、単独で、又は組み合わせて、式-CnH(2n+1)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルラジカルを意味する。アルキルの例として、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチル等が挙げられる。
【0052】
本明細書で用いる場合、用語「アルコキシ」とは、単独で、又は組み合わせて、酸素に結合したアルキルを意味し、用語アルキルは上記で定義した通りである。アルコキシの例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ等が挙げられる。
【0053】
本明細書で用いる場合、用語「ハロ」とは、-F、-Cl、-Br、又は-Iを指す。
【0054】
本明細書で用いる場合、用語「ヒドロキシ」とは、-OHを指す。
【0055】
本明細書で用いる場合、用語「アミノ」又は「アミン」とは、-NH2を指す。
【0056】
本明細書で用いる場合、用語「カルボン酸」とは、-C(O)OHを指す。
【0057】
本明細書で用いる場合、用語「グルクロニド」として、グルクロン酸がグリコシド結合を介して化合物と連結した化合物が挙げられる。
【0058】
本明細書で用いる場合、略号Me、Et、Ph、Msは、メチル、エチル、フェニル、及びメタンスルホニルをそれぞれ表す。当業者の有機化学者により利用される略号のより網羅的なリストは、Journal of Organic Chemistryの各巻の第1号に掲載されている。このリストは、略号の標準リストと題する表に一般的に提示されている。前記リストに含まれる略号、及び当業者の有機化学者により利用されるすべての略号は、本明細書により参照として組み込まれる。
【0059】
本発明の化合物は、特定の幾何学的形態又は立体異性的形態で存在し得る。本発明は、本発明の範囲に該当するシス-及びトランス-異性体、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(d)-異性体、(l)-異性体、そのラセミ混合物、及びその他のその混合物を含む、そのような化合物すべてについて検討する。そのような異性体並びにその混合物のすべては、本発明に含まれるように意図される。
【0060】
例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望ましい場合には、不整合成により、又は不斉補助剤を用いた誘導体化により調製され得るが、得られたジアステレオマー混合物は、分離され、また補助基が開裂することで所望の純粋なエナンチオマーが得られる。或いは、ジアステレオマー塩は、適する光学的に活性な酸又は塩基を用い、その後にジアステレオマーの分割を行うことにより形成可能であり、従って分別再結晶又は当技術分野において周知のクロマトグラフィー手段と、その後の純粋なエナンチオマーの回収により形成可能である。
【0061】
一般的に、本発明の化合物は、例えば以下に記載するような一般反応スキームに示す方法により、又は容易に入手可能な出発物質、試薬、及び従来型の合成手順を用いてそれを修飾することにより、調製され得る。そのような反応では、それ自体公知であるが、本明細書では記載されない変異体を使用することも可能である。
【0062】
特記されない限り、化合物合成法は、例えば、Micheal B. SmithによるMarch's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure (2013)、Francis A. Carey and Richard J. SunbergによるAdvanced Organic Chemistry, Part A: Structure and Mechanisms (2008)、及びAdvanced Organic Chemistry: Part B: Reaction and Synthesis (2010)、並びにPeter G. M. WutsによるGreene's Protective Groups in Organic Synthesis (2014)に記載されている十分に確立された方法に基づく。
【0063】
また本発明は、化合物の薬学的に許容される塩についても検討する。用語「薬学的に許容される塩」には、酸及び塩基付加塩の両方が含まれ、また生物学的に、又はそれ以外でも望ましくないとはいえない、生物学的有効性、及び遊離塩基又は酸の特性を保持する塩を意味する。薬学的に許容される塩は、無機若しくは有機の酸若しくは塩基を用いて形成され、化合物の最終的な単離及び精製期間中にin situで、又は適する有機若しくは無機の酸若しくは塩基と共に、精製された化合物をその遊離した塩基若しくは酸の形態で個別に反応させ、形成された塩を単離することにより調製され得る。
【0064】
確立した腎臓及び/又は肝臓疾患の治療に付加して、本発明の化合物は、腎臓及び/又は肝臓疾患を発症するリスクを有する対象において予防的に利用可能である。腎線維症を発症するリスクカテゴリーに含まれる対象の例として、糖尿病を有する、又はがん化学療法(例えば、ダウノルビシン、シスプラチン等)、悪性腫瘍(例えば、ミエローマ及びリンパ腫等)、遺伝的素因(アルポート症候群、多発性嚢胞腎疾患、逆流性腎症)、感染症(Hep B、Hep C)、軽躁病処置用の薬物(リチウム)、移植拒絶反応(シクロスポリン、タクロリムス)、関節炎の状態(NSAID、ペニシラミン、金)で使用される薬物の投与を受けつつ、腎臓損傷又は慢性腎疾患を有する対象、及び鉛やカドミウム等の重金属に曝露された対象が挙げられる。肝線維症を発症するリスクカテゴリーに含まれる対象の例として、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、慢性アルコール中毒、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、ヘモクロマトーシス、脂肪性肝疾患、肝性脳症、肝臓への脂肪蓄積、胆石、がん、又は急性肝損傷を有する対象が挙げられる。
【0065】
用語「予防的」とは、本発明の文脈で用いられる場合、リスク群内の腎臓及び/又は肝臓疾患の発症を予防する、又は減速させるのに用いられる治療を含むように特に意図される。予防的処置が実施され得る対象は、腎不全及び/又は肝不全の初期の兆候をすでに有する対象であってもよい。
【0066】
本明細書で用いる場合、用語「線維症」とは、臓器又は組織における線維性結合組織の過剰形成を意味する。
【0067】
すべての臓器は、正常に機能するために、特定の、但し異なる組織構成(構造)に立脚する。疾患及び/又は線維沈着は、臓器の不具合又は機能不良を引き起こし得る。従って、正常な組織構造を復元すれば、臓器はその正常な機能を取り戻すことができる。
【0068】
本発明は、許容される薬学的賦形剤と関連付けて、本発明の化合物を含む医薬組成物についても検討する。用語「薬学的に許容される賦形剤」とは、本発明の文脈で用いられる場合、任意の薬学的に許容される組成物の不活性成分を意味する。当技術分野において周知のように、賦形剤として、希釈剤、バッファー、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、着色剤、酸化防止剤/防腐剤、pH調整剤等が挙げられる。賦形剤は、最終形態の望ましい物理的側面に基づき選択され、例えば、迅速分散及び容易な飲み込みに望ましい硬度及び破砕性を有する錠剤等が得られる。組成物を摂取した後、それから活性物質が放出される際の望ましい速度も、賦形剤の選択において重要な役割を果たす。医薬組成物は、任意の種類の剤形、例えば錠剤、カプセル、粉末、液剤、遅発性又は徐放性、パッチ、嗅剤、鼻腔スプレー等を備え得る。検討対象の医薬組成物の物理的形態及び含有量は、医薬製剤分野における熟練者により製剤化されてもよく、例えば、Remingtonの、The Science and Practice of Pharmacy, 19th Edition, 1995; British Pharmacopoeia 2000及び類似した製剤化のテキスト及びマニュアルに記載されている十分に確立された原理及び組成物に基づく従来型の調製物である。
【0069】
例えば、化合物又は組成物が経口により投与される場合、化合物又は組成物は、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、又はシロップとして製剤化されてもよいし、又は非経口投与用の場合には、化合物又は組成物は、注射液(静脈内、筋肉内、又は皮下)、点滴調製物又は坐剤として製剤化されてもよい。眼の粘膜経路により適用される場合、化合物又は組成物は、点眼薬又は眼軟膏として製剤化され得る。これらの製剤は従来方式により調製され得るが、また所望の場合には、活性成分は、任意の従来型の添加物、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、矯正薬、可溶化剤、懸濁助剤、乳化剤、又はコーティング剤等と混合され得る。
【0070】
本発明の化合物が、医薬品としてヒト及び動物に投与される場合、該化合物それ自体、又は例えば、0.1〜99.5%(より好ましくは、0.5〜90%)の活性成分を薬学的に許容される担体と組み合わせて含有する医薬組成物として投与され得る。
【0071】
用いられるべき化合物の投薬量及び投与頻度も、開業医により、所望の応答が生み出されるように容易に決定され得る。
【0072】
用量は、患者の症状、年齢及び体重、治療又は予防の対象となる障害の性質及び重症度、投与経路、並びに薬物の形態に応じて変化するものの、一般的に、本発明の化合物、1日0.0001mg〜200mgの投薬量が、ヒト成人患者にとって適する有効量であり得、またこれは、単回用量で、又はいくつかに分割された用量で投与され得る。
【0073】
本主題の方法により治療される「患者」又は「対象」とは、ヒト又はヒト以外の対象のいずれかを意味し得る。
【0074】
治療の方法に関連して、対象化合物の「有効量」とは、望ましい投与計画の一環として適用される場合、特定の障害の治療又は予防を目的として、臨床的に許容される基準に基づき利益を提供する調製物中の治療薬の量を意味する。
【0075】
具体的な組成物及び使用方法について記載する、具体的ではあるが、但し非限定的な事例を参照しながら、ここで本発明について更に詳細に記載する。しかしながら、具体的な手順、組成物、及び方法の詳細な説明は、もっぱら本発明を例示する目的で記載されるものと理解される。決して、これまでに記載したような本発明の概念の広範な説明に対する制限として理解してはならない。
【実施例】
【0076】
[実施例1]
P5、P8、P11、P22、P26、P40、及びP41の合成
P5、P8、P11、P22、P26、P40、及びP41を調製するのに用いられる合成経路を図1に示す。初めに、3-ヒドロキシ桂皮酸をエステル化してエステル(1)とし、これを次に水素付加してプロピオン酸エチル(2)とし、臭素で処理してアリール臭化物(3)を得た。アリール臭化物(3)及び3-ベンジルオキシフェニルボロン酸間の鈴木クロスカップリング反応により、ビフェニル(4)を得、その後アンモニアと共にアミノリシス反応を行い、アミド(5)を得た。化合物5をN-フェニルトリフルアミドと反応させると、アリールトリフレート(6)が得られ、それをその後チオアニソール/TFAで処理して、アリールトリフレート(7)を得た。
【0077】
アリールトリフレート(7)及び該当するアリールボロン酸/エステル間の一連の鈴木クロスカップリング反応により、P5、P8、P11、P22、P26、P40、及びP41を得た。アリールトリフレート(7)及び該当するボロン酸/エステル間の鈴木クロスカップリング反応の結果を表1に要約する。
【0078】
【表1】
【0079】
P40を合成するために、不可欠なチアゾールピナコールボロン酸エステル(9)を調製する必要があった。従って、2,4-ジメチルチアゾールをブロム化して5-ブロモ-2,4-ジメチルチアゾール(8)とし、次にこれをメタレート化(metallated)し、ピナコールイソプロポキシボロン酸エステルで処理して、チアゾールピナコールボロン酸エステル9を形成した(図2)。
(E)-エチル=3-(3-ヒドロキシフェニル)アクリレート(1)の生成
【0080】
エタノール(600mL)中の(E)-3-(3-ヒドロキシフェニル)アクリル酸(60.70g、370.0mmol)の溶液を撹拌し、それに濃硫酸(6mL)を添加し、反応混合物を3時間加熱還流し、次に周囲温度に18時間置いた。ロータリーエバポレーションによりエタノールを除去し、残留物を水及び酢酸エチル間で分別した。各層を分離し、有機相を重炭酸ナトリウム飽和溶液及びブラインで洗浄し、乾固するまで濃縮した。次に熱油をジクロロメタン及びヘプタンで粉砕した。得られた固形物を濾過により収集し、(E)-エチル=3-(3-ヒドロキシフェニル)アクリレート(1) (62.77g、88%)を、ベージュ色、mp 63.8〜65.2℃の固形物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.74 (d, 1H, 3Jtrans 16 Hz), 7.35 (m, 1H), 7.19 (d, 1H, J 7.6 Hz), 7.14 (m, 1H), 6.99 (m, 1H), 6.51 (d,1H, 3Jtrans 16 Hz), 5.97 (br s, 1H), 4.38 (q, 2H, J 7.1 Hz), 1.44 (t, 3H, J 7.1 Hz).
【0081】
エチル=3-(3-ヒドロキシフェニル)プロパノエート(2)の生成
エタノール(260mL)中の(E)-エチル=3-(3-ヒドロキシフェニル)アクリレート(1) (62.62g、326.0mmol)、及び10%パラジウム炭素(50% wtの水)を、その3バッチについて、水素が140psiのオートクレーブ内で1時間撹拌した。3バッチを一まとめにし、セライトを通じて濾過し、エタノールで徹底洗浄した。濾過液を濃縮して、エチル=3-(3-ヒドロキシフェニル)プロパノエート(2)を、淡黄褐色の油状物(63.23g、100%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.23 (m, 1H), 6.92 (br s, 1H), 6.85 - 6.80 (m, 3H), 4.24 (q, 2H, J 7.1 Hz), 3.00 (t, 2H, J 7.5 Hz), 2.72 (t, 2H, J 7.5 Hz), 1.34 (t, 3H, J 7.1 Hz).
【0082】
エチル=3-(2-ブロモ-5-ヒドロキシフェニル)プロパノエート(3)の生成
乾燥DCM (500mL)中の3-(3-ヒドロキシフェニル)プロパノエート(2) (50.0g、0.258mol)及び炭酸カルシウム(33.5g、0.335mol)からなる混合物を激しく撹拌しながら、臭素(13.25mL、0.258mol)を、2時間にわたりゆっくりと添加した。水(60mL)に溶解したメタ重亜硫酸ナトリウム(12.5g、65.79mmol)を添加した。次に、反応混合物を、乾燥し、濾過し、濃縮して、エチル=3-(2-ブロモ-5-ヒドロキシフェニル)プロパノエート(3)を、淡黄褐色の油状物として得た(69.27g、98%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.32 (d, 1H, J 8.6 Hz), 6.75 (d, 1H, J 3.0 Hz), 6.58 (dd, 1H, J 8.6, 3.0 Hz), 6.28 (s, 1H), 4.12 (q, 2H, J 7.2 Hz), 2.96 (t, 2H, J 7.5 Hz), 2.62 (t, 3H, J 7.5 Hz), 1.22 (q, 3H, J 7.2 Hz). 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 174.2, 155.6, 140.6, 133.6, 117.5, 115.6, 114.3, 61.3, 34.3, 31.5, 14.2. EIMS: m/z 実測値: M+・ 272.0028, C11H13BrO3の計算値 272.0043. EIMS: m/z 272 (M+・, 5%), 193 (86), 165 (100).
【0083】
エチル=3-(3'-ベンジルオキシ-4-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(4)の生成
ジメトキシエタン(650mL)に溶解したエチル=3-(2-ブロモ-5-ヒドロキシフェニル)プロパノエート(3) (35.0g、128.0mmol)の溶液を、窒素で10分間脱気した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (3.50g、3.03mmol)を添加し、反応混合物を更に15分間撹拌した。炭酸カリウムの2M水溶液(200mL、0.40mmol)、その後に3-ベンジルオキシフェニルボロン酸(35.0g、154.0mmol)を添加した。反応混合物を2時間加熱還流し、次に周囲温度まで冷却し、2M塩酸及び酢酸エチル間で分別した。各層を分離し、水層をもう一度、酢酸エチルで抽出した。一まとめにした有機性の抽出物を水及びブラインで洗浄し、濃縮して黄褐色の油状物として粗生成物を得た。未精製の物質を、セライト上に事前吸収させ、次にヘプタンに溶解したDCMのグラジエント(50〜100% DCM)、次にDCMに溶解した酢酸エチルのグラジエント(2〜6%の酢酸エチル)を用いて溶出させるクロマトグラフィー(DCVC)で処理して、濃縮後に物質を黄色の油状物として得た(47.6g、99%)。これをDCM及びヘプタンから再結晶化させて、エチル=3-(3'-(ベンジルオキシ)-4-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(4)を、3回の操作で淡黄色の固形物として得た(38.47g、80%)、mp 85.7〜87.2℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.43 (m, 2H), 7.37 (m, 2H), 7.33 - 7.24 (m, 2H), 7.06 (d, 1H, J 8.2 Hz), 6.94 (m, 1H), 6.87 (m, 2H), 6.75 (d, 1H, 2.6 Hz), 6.70 (dd, 1H, 8.2, 2.6 Hz), 5.43 (br s, 1H), 5.07 (s, 2H), 4.06 (q, 2H, J 7.1 Hz), 2.86 (t, 2H, J 8.1 Hz), 2.39 (t, 2H, J 8.1 Hz), 1.18 (t, 3H, J 7.1 Hz). 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 173.7, 158.7, 155.4, 142.9, 139.5, 137.2, 134.4, 131.5, 129.4, 128.8, 128.1, 127.7, 122.4, 116.1, 115.9, 113.6, 113.5, 70.2, 60.8, 35.5, 28.6, 14.3. EIMS: m/z 実測値: M+・ 376.1658, C24H24O4の計算値 376.1669. EIMS: m/z 376 (M+・, 24%), 91 (100).
【0084】
3-(3'-ベンジルオキシ-4-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(5)の生成
エチル=3-(3'-(ベンジルオキシ)-4-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(4) (30.0g、79.80mmol)、メタノール(150mL)、及び30%アンモニア水溶液(450mL)を、周囲温度で1週間撹拌した。得られた固形物を濾過により収集した。未精製の物質をDCM及びヘプタンから再結晶化させて、3-(3'-(ベンジルオキシ)-4-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル-2-イル)プロパンアミド(5)を、無色の四角い板状として得た(12.8g、46%)、mp 119.5〜120.5℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.39 (br s, 1H), 7.46 (m, 2H), 7.39 (t, 2H, J 7.1 Hz), 7.31 (q, 2H, J 7.6 Hz), 7.23 (br s, 1H), 6.96 (m, 2H), 6.87 (m, 1H), 6.83 (d, 1H, J 7.6 Hz), 6.73 (br s, 1H), 6.71 (d, 1H, J 2.4 Hz), 6.64 (dd, 1H, J 8.2, 2.5 Hz), 5.12 (s, 2H), 2.67 (t, 2H, J 7.7 Hz), 2.21 (t, 2H, J 7.7 Hz). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 175.4, 158.7, 155.9, 143.0, 139.3, 137.2, 133.9, 131.6, 129.5, 128.8, 128.2, 127.7, 122.3, 116.3, 116.2, 113.8, 113.6, 70.2, 36.8, 29.2. EIMS: m/z 実測値: M+・ 347.1515, C22H21NO3の計算値 347.1516. EIMS: m/z 347 (M+・, 19%), 91 (100).
【0085】
2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-(ベンジルオキシ)-[1,1'-ビフェニル]-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(6)の生成
DCM (100mL)中の3-(3'-(ベンジルオキシ)-4-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル-2-イル)プロパンアミド(5) (8.0g、21.0mmol)の混合物に、N-フェニルトリフルアミド(8.21g、23.0mmol)、その後にトリエチルアミン(3.2mL、23.0mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で20時間撹拌し、次に分液漏斗に移し、水(2×)及びブラインで洗浄し、次に濃縮して黄褐色の油状物を得た。未精製の油状物をセライト上に事前吸収させ、次にDCMに溶解した酢酸エチルのグラジエント(0〜25%の酢酸エチル)を用いて溶出させるクロマトグラフィー(DCVC)で処理した。同一分画を一まとめにし、DCM及びヘプタンから再結晶化させて、2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-(ベンジルオキシ)-[1,1'-ビフェニル]-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(6)を無色の針状として得た(10.73g、65%)、mp 104.0〜106.0℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.41 - 7.27 (m, 6H), 7.23 (d, 1H, J 8.2 Hz), 7.17 (d, 1H, J 2.6 Hz), 7.11 (dd, 1H, J 8.4, 2.6 Hz), 6.98 (m, 1H), 6.82 (m, 2H), 5.57 (br s, 1H), 5.16 (br s, 1H), 5.06 (s, 2H), 2.89 (t, 2H, J 7.9 Hz), 2.21 (t, 2H, J 7.9 Hz). 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 173.9, 158.9, 148.9, 142.2, 141.2 (2つのシグナルは一致), 136.9, 132.0, 129.8, 128.8, 128.3, 127.7, 122.0, 121.8, 119.2, 118.9 (d, J320.6 Hz) 115.8, 114.4, 70.2, 36.3, 28.8. EIMS: m/z 実測値: M+・ 479.1004, C23H20F3NO532Sの計算値 479.1009. EIMS: m/z 479 (M+・, 7%), 91 (100).
【0086】
2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-4-イル-トリフルオロメタンスルホネート(7)の生成
トリフルオロ酢酸(10mL)中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-(ベンジルオキシ)-[1,1'-ビフェニル]-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(6) (10.29g、22.0mmol)、及びチオアニソール(5.05mL、43.0mmol)を、ストッパー付きのフラスコ内で、周囲温度で2日間撹拌した。反応混合物を氷浴中で冷却し、次に氷水上に注入し、分液漏斗に移した。生成物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水及びブラインで洗浄し、乾固するまで濃縮した。未精製の物質をセライト上に事前吸収させ、次にヘプタンに溶解したDCMのグラジエント(50、75、及び100%のDCM)、その後にDCMに溶解したメタノールのグラジエント(1〜5%のメタノール)を用いて溶出させるクロマトグラフィー(DCVC)で処理した。清浄な物質を含有する分画を一まとめにして濃縮し、次にメタノール及び1,2-ジクロロエタンから再結晶化させて、2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(7)を無色の針状として得た(6.19g、74%)、mp 126.2〜127.3℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.60 (s, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.38 - 7.20 (m, 4H), 6.86 - 6.66 (m, 4H), 2.80 (t, 2H, J 8.1 Hz,), 2.28 (t, 2H, J 8.1 Hz,). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 173.0, 157.3, 148.3, 142.2, 141.9, 140.7, 131.7, 129.5, 121.4, 119.6, 118.8, 116.7, 115.8, 114.6, 35.5, 28.0. EIMS: m/z 実測値: M+・ 389.0533, C16H14F3NO232Sの計算値 389.0539. EIMS: m/z 389 (M+・, 32%), 211 (60), 197 (100).
【0087】
3-(3'-ヒドロキシ-4-(ピリジン-3-イル)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P5)の生成
トルエン(10mL)及びエタノール(2mL)中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-4-イル-トリフルオロメタンスルホネート(7) (0.50g、1.29mmol)、ピリジン-3-ボロン酸(0.20g、1.60mmol)、及び炭酸ナトリウム水溶液(1M) (3.0mL、3.0mmol)からなる混合物を窒素で10分間脱気した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (0.10g、0.09mmol)を添加し、反応混合物を、すべてのトリフレート出発物質が消費されるまで、密閉容器内において、85℃で加熱した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、次に2M塩酸及び酢酸エチル間で分別した。各層を分離した。有機層をTLCによりチェックし、所望の生成物がほとんど含まれないことが判明し、それを廃棄した。水層を塩基性にし、酢酸エチル(2×)で再抽出した。一まとめにした有機層を水及びブラインで洗浄し、乾固するまで濃縮してクリーム状の固形物を得た(260mg)。未精製の物質を、セライト上に事前吸収させ、次にDCMに溶解したメタノールのグラジエント(0〜10%のメタノール)を用いて溶出させるクロマトグラフィー(DCVC)で処理した。清浄な物質を含有する分画を一まとめにし、DCM及びメタノールから再結晶化させて、3-(3'-ヒドロキシ-4-(ピリジン-3-イル)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P5)を、無色の固形物として得た(0.09g、21%)、mp 196〜198℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.55 (s, 1H), 8.92 (m, 1H), 8.58 (m, 1H), 8.10 (m, 1H), 7.67 (m, 1H), 7.59 (dd, 1H, J 2.0, 7.9 Hz), 7.50 (m, 1H), 7.25 (m, 3H), 6.78 (m, 4H), 2.84 (m, 2H), 2.33 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 173.4, 157.1, 148.4, 147.6, 141.9, 141.3, 139.4, 136.0, 135.4, 134.0, 130.4, 129.3, 127.4, 124.3, 123.8, 119.6, 115.8, 114.1, 36.1, 28.1. EIMS: m/z 実測値: M+・ 318.1358, C20H18N2O2の計算値 318.1363. EIMS: m/z 318 (M+・, 92%), 273 (38), 259 (100). HPLC純度(40% ACN / H2O, 264 nm): 98.90%.
【0088】
3-(3'-ヒドロキシ-4-(チオフェン-3-イル)-[1,1'ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P8)の生成
P5の方法に基づき、トルエン(10mL)及びエタノール(2mL)中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(7) (0.32g、0.82mmol)、チオフェン-3-ボロン酸(0.132g、1.03mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (0.056g、0.05mmol)、及び炭酸ナトリウム水溶液(1M) (2.0mL、2.0mmol)から調製した。未精製の物質を、DCMに溶解したメタノールのグラジエント(0〜5%のメタノール)を用いて溶出させるクロマトグラフィー(DCVC)により精製した。清浄な物質を含有する分画を一まとめにし、DCM及びメタノールから再結晶化させて、3-(3'-ヒドロキシ-4-(チオフェン-3-イル)-[1,1'ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P8)を、ベージュ色の固形物として得た(0.13g、50%)、mp 211〜212℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.50 (s, 1H), 7.88 - 7.84 (m, 1H), 7.68 - 7.63 (m, 2H), 7.59 - 7.54 (m, 2H), 7.27 - 7.19 (m, 2H), 7.16 (d, 1H, J 7.9 Hz), 6.80 - 6.68 (m, 4H), 2.80 (t, 2H, J 7.9 Hz), 2.30 (t, 2H, J 7.9 Hz). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 173.4, 157.1, 142.2, 141.3, 140.2, 139.0, 134.2, 130.1, 129.3, 127.0, 126.6, 126.2, 123.7, 120.8, 119.7, 115.8, 113.9, 36.2, 28.2. EIMS: m/z 実測値: M+・ 323.0964, C19H17NO232Sの計算値 323.0975. EIMS: m/z 323 (M+・, 100%), 305 (36), 277 (53), 264 (64). HPLC純度(40% ACN / H2O, 274 nm): 99.78%.
【0089】
3-(4-(フラン-3-イル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P11)の生成
P5の方法に基づき、トルエン(10mL)及びエタノール(2mL)中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(7) (0.50g、1.29mmol)、フラン-3-ボロン酸(0.18g、1.60mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (0.10g、0.09mmol)、及び炭酸ナトリウム水溶液(1M) (2.5mL、2.50mmol)から調製した。未精製の物質を、DCMに溶解したメタノールのグラジエント(0〜10%のメタノール)を用いて溶出させるクロマトグラフィー(DCVC)により精製し、次にDCM及びメタノールから再結晶化させて、3-(4-(フラン-3-イル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P11)を、ベージュ色の棒状物として得た(0.23g、58%)、mp 191〜192℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.49 (s, 1H),8.20 - 8.16 (m, 1H), 7.78 - 7.73 (m, 1H), 7.58 - 7.54 (m, 1H), 7.49 - 7.44 (m, 1H), 7.26 - 7.18 (m, 2H), 7.14 (d, 1H, J 7.9 Hz), 6.99 - 6.94 (m, 1H), 6.80 - 6.67 (m, 4H), 2.79 (t, 2H, J 8.3 Hz), 2.29 (t, 2H, J 8.3 Hz). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 173.4, 157.1, 144.3, 142.2, 140.1, 139.2, 139.0, 130.9, 130.0, 129.2, 126.0, 125.6, 123.1, 119.6, 115.8, 113.9, 108.7, 36.1, 28.1. EIMS: m/z 実測値: M+・ 307.1204, C19H17NO3の計算値 307.1203. EIMS: m/z 307 (M+・, 100%), 248 (50). HPLC純度(40% ACN / H2O, 265 nm): 99.33%.
【0090】
3-(3'-ヒドロキシ-4-(1H-ピラゾール-4-イル)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P22)の生成
P5の方法に基づき、トルエン(10mL)及びエタノール(2mL)中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-4-イル-トリフルオロメタンスルホネート(7) (0.50g、1.29mmol)、tert-ブチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(0.47g、1.61mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (0.10g、0.09mmol)、及び炭酸ナトリウム水溶液(1M) (3.0mL、3.00mmol)から調製した。未精製の物質を、DCMに溶解したメタノールのグラジエント(0〜20%のメタノール)を用いて溶出させるクロマトグラフィー(DCVC)により精製した。DCMに溶解した酢酸エチルのグラジエント(50〜100%の酢酸エチル)、次に酢酸エチルに溶解したメタノールのグラジエント(1〜5%のメタノール)を用いて溶出させるラジアルクロマトグラフィーにより物質を更に精製して、3-(3'-ヒドロキシ-4-(1H-ピラゾール-4-イル)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P22)を、ベージュ色の結晶として得た(0.10g、26%)、mp 161.5〜163.2℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.95 (s, 1H), 9.44 (s, 1H), 8.13 (br s, 1H), 7.99 (br s, 1H), 7.58 - 7.54 (m, 1H), 7.49 - 7.42 (m, 1H), 7.28 - 7.19 (m, 2H), 7.10 (d, 1H, J 7.9 Hz), 6.79 - 6.67 (m, 4H), 2.78 (t, 2H, J 7.9 Hz), 2.29 (t, 2H, J 7.9 Hz). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 173.6, 157.1, 142.4, 139.0, 138.9, 136.3, 131.9, 130.1, 129.2, 125.5 (2つのシグナルは一致), 122.8, 121.0, 119.7, 115.9, 113.8, 36.2, 28.2. EIMS: m/z 実測値: M+・ 307.1314 C18H17N3O2の計算値 307.1315. EIMS: m/z 307 (M+・, 100%), 248 (57). HPLC純度(35% ACN / 0.1% TFA, 270 nm): 99.08%.
【0091】
3-(3'-ヒドロキシ-4-(ピリミジン-5-イル)-[1,1-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P26)の生成
P5の方法に基づき、トルエン(20mL)及びエタノール(4mL)中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-4-イル-トリフルオロメタンスルホネート(7) (1.00g、2.58mmol)、ピリミジン-5-ボロン酸(0.40g、3.20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (0.20g、0.18mmol)、及び炭酸ナトリウム水溶液(1M) (6.0mL、6.00mmol)から調製した。未精製の物質を、DCMに溶解したメタノールのグラジエント(0〜7.5%のメタノール)を用いて溶出させるクロマトグラフィー(DCVC) (×2)により精製し、次にメタノールから再結晶化させて、3-(3'-ヒドロキシ-4-(ピリミジン-5-イル)-[1,1-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P26)を、薄いレモン色の固形物として得た(0.17g、20%)、mp 191.9〜193.5℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.56 (s, 1H), 9.20 (s, 1H), 9.17 (s, 2H), 7.77-7.75 (m, 1H), 7.69 - 7.66 (m, 1H), 7.32 - 7.22 (m, 2H), 7.25 (br s, 1H), 6.81 - 6.71 (m, 4H), 2.87 - 2.80 (m, 2H), 2.37 -2.13 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 173.4, 157.24, 157.18, 154.7 (2つのシグナルは一致), 142.1, 141.7, 139.6, 133.1, 132.7, 130.5, 129.3, 127.4, 124.4, 119.6, 115.8, 114.2, 36.0, 28.1. EIMS: m/z 実測値: M+・ 319.1310, C19H17N3O2の計算値 319.1315. EIMS: m/z 319 (M+・, 70%), 274 (48), 260 (100). HPLC純度(40% ACN / H2O, 265 nm): 99.87%.
【0092】
5-ブロモ-2,4-ジメチルチアゾール(8)の生成
DCM (200mL)中の2,4-ジメチルチアゾール(23.37g、0.207mol)及び炭酸カルシウム(26.90g、270mmol)からなる混合物を激しく撹拌し、これにDCM (100mL)に溶解した臭素溶液(11.10mL、217mmol)をゆっくりと添加した。3時間後、TLC (DCM)により反応をチェックしたが、完全ではなかった。反応が完了するまで、DCM (2×20mL)に溶解した臭素(2×3.00mL、117.10mmol)を更に2容量必要とした。水(60mL)に溶解したメタ重亜硫酸ナトリウム(16.0g、84.17mmol)を、反応混合物にゆっくりと添加した。より多くの水を添加し、反応混合物を分液漏斗に移した。各層を分離し、水層をDCMを用いてもう一度抽出した。一まとめにした有機層を、1M炭酸ナトリウム溶液(2×)及び水で洗浄し、濃縮して5-ブロモ-2,4-ジメチルチアゾール(8)を、淡黄褐色の油状物として得た(38.40g、97%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.51 (s, 3H), 2.24 (s, 3H).
【0093】
2,4-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)チアゾール(9)の生成
THF (20mL)に溶解した5-ブロモ-2,4-ジメチルチアゾール(8) (5.00g、26.0mmol)及び1,2-ジブロモエタン(0.24g、1.3mmol)の溶液を、マグネシウム(削状) (0.65g、26.8mmol)を含有するフラスコに一滴ずつ1時間かけて添加した。反応混合物を75℃に4時間加熱し、周囲温度まで冷却し、次に第2の反応フラスコのカニューレを経由して滴下漏斗に移した。次に、グリニヤール試薬を、0℃で、THF (10mL)に溶解したイソプロピルピナコールボレートの溶液(5.30mL、26.00mmol)に一滴ずつ添加した。添加完了後、反応混合物を周囲温度まで加温し、20時間撹拌した。反応物を約10℃まで冷却し、次に反応混合物がpH7となるように、酢酸(1.03mL、25.50mmol)をゆっくりと添加した。溶媒をロータリーエバポレーションにより除去し、次に酢酸エチルを添加し、やはりロータリーエバポレーションにより除去した。未精製の油状物をセライト上に事前吸収させ、次にヘプタンに溶解した酢酸エチルのグラジエント(0〜30%の酢酸エチル)を用いて溶出させるクロマトグラフィー(DCVC)で処理した。所望の物質を含有する分画を一まとめにし、濃縮して2,4-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)チアゾール(9)を、凝固した淡黄色の油状物として得た(1.65g、26%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 2.63 (s, 3H), 2.53 (s, 3H), 1.26 (s, 12H). 13C NMR (50 MHz, DMSO-d6) δ 170.4, 163.2, 84.1, 24.9, 19.1, 17.6 (1つのシグナルは認められず). EIMS: m/z 実測値: M+・ 239.1143, C11H18NO211B32Sの計算値 239.1146. EIMS: m/z 239 (M+・, 66%), 224 (45), 182 (37), 139 (53), 71 (100).
【0094】
3-(4-(2,4-ジメチルチアゾール-5-イル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P40)の生成
P5の方法に基づき、トルエン(20mL)及びエタノール(4mL)中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(7) (1.00g、2.58mmol)、2,4-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)チアゾール(0.76g、3.20mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (0.24g、0.21mmol)、及び炭酸ナトリウム水溶液(1M) (6.0mL、6.00mmol)から調製した。未精製の物質を、ジクロロメタンに溶解したメタノールのグラジエント(0〜5%メタノール)を用いて溶出させるクロマトグラフィー(DCVC)により精製し、次にメタノールから再結晶化させて3-(4-(2,4-ジメチルチアゾール-5-イル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P40)を、黄色の結晶として得た(0.23g、26%)、mp 196.6〜199.4℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.54 (s, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.32 - 7.19 (m, 4H), 6.81 - 6.69 (m, 4H), 2.80 (t, 2H, J 7.8 Hz), 2.63 (s, 3H), 2.42 (s, 3H), 2.27 (t, 2H, J 7.8 Hz). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 173.3, 162.5, 157.2, 146.7, 141.8, 140.8, 139.2, 130.7, 130.4, 130.1, 129.3, 129.1, 126.2, 119.6, 115.8, 114.1, 35.9, 27.9, 18.7, 16.0. EIMS: m/z 実測値: M+・ 352.1230, C20H20N2O232Sの計算値 352.1240. EIMS: m/z 352 (M+・, 100%), 334 (41), 293 (35). HPLC純度(35% ACN / 0.1% TFA, 256 nm): 98.64%.
【0095】
3-(4-(3,5-ジメチルイソオキサゾール-4-イル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P41)の生成
P5の方法に基づき、トルエン(10mL)及びエタノール(2mL)中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-4-イル-トリフルオロメタンスルホネート(7) (0.50g、1.29mmol)、3,5-ジメチルイソオキサゾール-4-ボロン酸(0.23g、1.60mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (0.10g、0.09mmol)、及び炭酸ナトリウム水溶液(1M) (2.5mL、2.50mmol)から調製した。未精製の物質を、DCMに溶解したメタノールのグラジエント(0〜5%のメタノール)を用いて溶出させるクロマトグラフィー(DCVC)により精製し、次にDCM及びメタノールから再結晶化させて、3-(4-(3,5-ジメチルイソオキサゾール-4-イル)-3'-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P41)を薄いレモン色の固形物として得た(0.15g、33%)、mp 203〜204℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.52 (s, 1H), 7.32 - 7.30 (m, 1H), 7.28 - 7.20 (m, 4H), 6.81 - 6.70 (m, 4H), 2.52 - 2.49 (m, 2H), 2.44 (s, 3H), 2.32 - 2.25 (m, 2H), 2.27 (s, 3H). 13C NMR (50 MHz, DMSO-d6) δ 173.3, 165.1, 158.2, 157.1, 142.0, 140.5, 139.0, 130.0, 129.3, 129.2, 128.8, 126.2, 119.6, 115.8, 115.7, 114.0, 35.9, 27.9, 11.4, 10.6. EIMS: m/z 実測値: M+・ 336.1459, C19H17N3O2の計算値 336.1468. EIMS: m/z 実測値: M+・ 336.1459, C20H20N2O3の計算値 336.1468. EIMS: m/z 336 (M+・, 86%), 292 (100). HPLC純度(40% ACN / H2O, 275 nm): 97.36%.
【0096】
[実施例2]
P9の合成
P5、P8、P11、P22、P26、P40、及びP41の調製に用いられる合成経路を図3に示す。要するに、ビフェニルエステル(4)をN-フェニルトリフルアミドと共に反応させて、保護されたアリールトリフレート(10)を生成し、その後にチオアニソール/TFAで処理することにより、アリールトリフレートエステル(11)を調製した。アリールトリフレートエステル(11)及びピロール間で、パラジウム触媒型クロスカップリング反応を行うと、次に所望のターアリール(teraryl)化合物(12)が得られ、そのアミノリシス反応からP9が生成される。
【0097】
エチル=3-(3'-(ベンジルオキシ)-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(10)の生成
化合物6を生成するのに用いられる方法に基づき、(100mL)中のエチル=3-(3'-(ベンジルオキシ)-4-ヒドロキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(4) (8.0g、21.00mmol)、N-フェニルトリフルアミド(8.21g、23.00mmol)、及びトリエチルアミン(3.2mL、23.00mmol)から調製した。未精製の物質を、シリカゲルのプラグを通過させて精製し、溶出させることにより、エチル=3-(3'-(ベンジルオキシ)-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(10)が、次のステップで使用するのに十分な純度を有する黄色の油状物として得られた(定量的収率)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.46 - 7.23 (m, 7H), 7.20 - 7.11 (m, 2H), 7.02 - 6.97 (m, 1H), 6.88 - 6.83 (m, 2H), 5.08 (s, 2H), 4.06 (q, 2H, J 7.2Hz), 2.90 (t, 2H, J 7.9 Hz), 2.39 (t, 2H, J 7.9 Hz), 1.18 (t, 3H, J 7.2 Hz). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 172.6, 158.9, 148.9, 142.4, 141.2, 141.1, 137.0, 132.0, 129.8, 128.8, 128.3, 127.7, 123.7, 121.9, 121.8, 119.1, 115.8, 114.4, 70.3, 60.8, 34.9, 28.4, 14.3. EIMS: m/z 実測値: M+・ 508.1160, C25H23F3O6 32Sの計算値 508.1162. EIMS: m/z 508 (M+・, 10%), 91 (100).
【0098】
エチル=3-(3'-ヒドロキシ-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(11)の生成
化合物7を生成するのに用いられる方法に基づき、TFA (10mL)中のエチル=3-(3'-(ベンジルオキシ)-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(10) (10.67g、21.0mmol)、及びチオアニソール(5mL、42.62mmol)から調製した。未精製の物質をセライト上に事前吸収させ、次にヘプタンに溶解したDCMのグラジエント(50〜100%のDCM)を用いて溶出させるクロマトグラフィー(DCVC)で処理し、その後にDCM及びヘプタンから再結晶させて、エチル=3-(3'-ヒドロキシ-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(11)を無色のプリズム状として得た(4.84g、55%)、mp 90.8〜91.9℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.30 - 7.23 (m, 2H), 7.19 - 7.11 (m, 2H), 6.87 - 6.78 (m, 2H), 6.76 - 6.73 (m, 1H), 5.73 (s, 1H), 4.07 (q, 2H, J 7.2 Hz), 2.95 (t, 2H, J 7.9 Hz), 2.44 (t, 2H, J 7.9 Hz), 1.19 (t, 3H, J 7.2 Hz). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 173.0, 155.9, 148.9, 142.2, 141.3, 140.9, 132.0, 130.0, 121.8, 121.6, 119.0 (q, J=321.2 Hz) 119.2, 116.2, 115.0, 61.1, 35.1, 28.5, 14.3. EIMS: m/z 実測値: M+・ 418.0690, C18H17F3O632Sの計算値 418.0692. EIMS: m/z 418 (M+・, 100%), 373 (38), 211 (61), 197 (82).
【0099】
エチル=3-(3'-ヒドロキシ-4-(1H-ピロール-1-イル)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(12)の生成
1,4-ジオキサン(4.5mL)を含有するオーブン乾燥したμWバイアル(2〜5mL)を10分間脱気し、その後、Pd2(dba)3 (0.07mmol、66mg)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル(DavePhos) (0.07mmol、28mg)、及びK3PO4 (1.1mmol、228mg)を添加し、20分間撹拌した状態で放置した。次に、エチル=3-(3'-ヒドロキシ-4-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(11) (300mg、0.72mmol)及びピロール(4.30mmol、298μL)を添加し、バイアルを密閉し、反応混合物を100℃で16時間加熱した。溶媒を蒸発させ、シリカ製の小型のカラムを通じて残留物を濾過し、酢酸エチル:PEが3:7の比で溶出させた。溶媒を蒸発させた後、残留物を、5:95の酢酸エチル:PEから1:4の酢酸エチル:PEを用いて溶出させるDCVCにより精製し、エチル=3-(3'-ヒドロキシ-4-(1H-ピロール-1-イル)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(12)を黄色の油状物として得た(159mg、72%)。1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 7.39 (m, 1H), 7.36 (dd, 1H, J 8.4, 2.4 Hz), 7.30 - 7.18 (m, 4H), 6.84 - 6.72 (m, 3H), 6.28 (m, 2H), 4.02 (q, 2H, J 7.1 Hz), 2.97 (m, 2H), 2.45 (m, 2H), 1.14 (t, 3H, J 7.1 Hz). 13C NMR (100 MHz, MeOH-d4) δ 174.7, 158.6, 143.7, 141.4, 140.9, 140.8, 132.4, 130.6, 121.8, 121.6, 120.1, 118.9, 117.3, 117.1, 111.5, 61.7, 36.2, 29.8, 14.6. EIMS: m/z 実測値: M+・ 335.1510, C21H21NO3の計算値 335.1516. EIMS: m/z 335 (M+・, 100%).
【0100】
3-(3'-ヒドロキシ-4-(1H-ピロール-1-イル)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P9)の生成
エチル=3-(3'-ヒドロキシ-4-(1H-ピロール-1-イル)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパノエート(12) (145mg、0.43mmol)を、メタノール(4mL)に溶解し、それに30%のアンモニア水溶液(2.5mL)を添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した状態で放置した。次に、アンモニア(1mL)を更に添加し、それに続いて24時間後に更に追加(1mL)した。更に16時間撹拌を継続し、その後、酢酸エチル(20mL)及び水(20mL)を添加した。混合物を分別し、有機相を乾燥し、溶媒を蒸発させた。残留物を熱メタノール中に溶解し、脱色チャコールを添加し、反応物を加温したフィルターペーパーを通じて濾過して透明な溶液を得た。しばらくして固体が形成され、それを収集し、冷却メタノールで洗浄して、3-(3'-ヒドロキシ-4-(1H-ピロール-1-イル)-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)プロパンアミド(P9)を白色結晶として得た(81mg、61%)、mp 221〜224℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.52 (br s, 1H); 7.50 (m, 1H), 7.42 (dd, 1H, J 2.4, 8.4 Hz), 7.36 (m, 2H), 7.25 - 7.19 (m, 3H), 6.79 - 6.69 (m, 4H), 6.28 (m, 2H), 2.80 (m, 2H), 2.31 (m, 2H). 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 173.3, 157.1, 141.7, 140.1, 139.0, 138.5, 130.7, 129.3, 119.7 (2つのシグナルは一致), 118.9, 116.9, 115.9, 114.0, 110.4, 35.9, 28.2. EIMS: m/z 実測値: M+・ 306.1355, C19H18N2O2の計算値 306.1363. EIMS: m/z 306 (M+・, 28%), 288 (100). HPLC純度(35% ACN / 0.1 % TFA, 270 nm): 99.33%.
【0101】
[実施例3]
中間体(2E)-3-[3'-(ベンジルオキシ)-4-トリフルオロメタンスルホネート-ビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミドの合成
中間体(2E)-3-[3'-(ベンジルオキシ)-4-トリフルオロメタンスルホネート-ビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミドを調製するのに用いられる合成経路を図4に示す。
【0102】
(2E)-3-(2-ブロモ-5-ヒドロキシフェニル)プロプ-2-エン酸の調製
ピペリジン(1.47mL)を、ピリジン(150mL)中の4-ブロモ-3-ホルミル-フェノール(25.0g、0.124mol)及びマロン酸(15.53g、0.149mol)の混合物に添加し、4時間加熱還流した。塩酸(2M、500mL)を添加する少し前に反応混合物を冷却し、濃塩酸(33%、約50〜100mL)でpH1〜2に酸性化した。懸濁液を約10℃まで冷却し、塩酸(2M、60mL)を用いた真空濾過洗浄により固形物を収集し、18時間真空下で乾燥した。この未精製の物質には、1H NMRが示すように、水及びピリジン塩酸塩が含まれたので、それを酢酸エチル(1.3L)に取り込み、塩酸(2M、2×750mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した。濾過液を濃縮乾固させて、標題化合物を灰色の粉末として得た(23.63g、0.0972mol、78%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 12.62 (br. s., 1 H) 9.91 (s, 1 H) 7.76 (d, J=16.0 Hz, 1 H) 7.48 (d, J=8.6 Hz, 1 H) 7.19 (d, J=2.3 Hz, 1 H) 6.80 (dd, J=8.8, 2.5 Hz, 1 H) 6.41 (d, J=16.0 Hz, 1 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに98.9%; LCMS [M+H]+ = 242.9 , [M-H]- = 242.0.1H NMR分析が示すように、約2〜5mol%の未知不純物。
【0103】
(2E)-3-(2-ブロモ-5-ヒドロキシフェニル)プロプ-2-エナミドの調製
塩化オキサリル(16mL、0.19mol)を、ジクロロメタン(200mL)及びジメチルホルムアミド(0.5mL)中の(2E)-3-(2-ブロモ-5-ヒドロキシフェニル)プロプ-2-エン酸(23.50g、0.0967mol)懸濁液に、0℃で10分にわたり添加した。反応混合物を室温までゆっくりと加温し、1時間撹拌した。塩化オキサリル(16mL、0.19mol)を更に添加し、5時間加熱還流し、次に室温で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固して、未精製の酸塩化物中間体を得た。
【0104】
未精製の酸塩化物を、1,4-ジオキサン(100mL)に溶解し、1,4-ジオキサン(200mL)に溶解したアンモニア水溶液(28%、68mL、1.12mol)に注入した。この混合物を30分間撹拌した後、反応混合物を水(500mL)で希釈した。反応混合物を濃縮乾固させて灰色の固形物を得た。灰色の固形物を塩酸(1M、200mL)に懸濁し、真空濾過により収集し、塩酸(1M、60mL)及び水(60mL)で洗浄し、次にロータリーエバポレーター(70℃)で45分間、次に高真空下で4時間乾燥させて、未精製の標題化合物(30.51g)を、1H NMR分析が示すように、未知の不純物を含有する灰色の粉末として得た。この物質の一部分(29.6g)を酢酸エチル(500mL)中で撹拌し、フィルターケーキを酢酸エチル(200mL)で洗浄しながら濾過した。濾過液を濃縮乾固して、標題化合物を薄茶色の粉末として得た(21.73g、98%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 9.89 (s, 1 H) 7.63 (br. s., 1 H) 7.59 (d, J=15.7 Hz, 1 H) 7.45 (d, J=9.0 Hz, 1 H) 7.23 (br. s., 1 H) 7.06 (d, J=2.7 Hz, 1 H) 6.76 (dd, J=8.6, 2.7 Hz, 1 H) 6.53 (d, J=15.7 Hz, 1 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに95.3%; LCMS [M+H]+ = 244.1, [M+Na]+ = 264.0.
【0105】
(2E)-3-[3'-(ベンジルオキシ)-4-ヒドロキシビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミドの調製
水(60mL)、トルエン(160mL)、及びエタノール(100mL)からなる混合物中の、(2E)-3-(2-ブロモ-5-ヒドロキシフェニル)プロプ-2-エナミド(10.00g、41.31mmol)、3-ベンジルオキシフェニルボロン酸(12.22g、53.58mmol)、及び炭酸カリウム(17.34g、0.125mol)からなる混合物を窒素で10分間バブリングした後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (1.21g、10.5mmol)を添加し、混合物を2.5時間加熱還流した。混合物を短時間冷却し、水(200mL)で希釈し、塩酸(2M、約400mL、pH0〜1)を添加して酸性化し、酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。一まとめにした有機性の抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した。濾過液を濃縮乾固させ、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/ヘキサンによる10〜100%グラジエント)により精製して、標題化合物を褐色の固形泡状物として得た(14.37g、101%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 9.71 (s, 1 H) 7.39 - 7.48 (m, 4 H) 7.29 - 7.38 (m, 4 H) 7.17 (d, J=8.2 Hz, 1 H) 7.09 (s, 1 H) 7.06 (d, J=2.4 Hz, 1 H) 7.01 (dd, J=8.2, 2.4 Hz, 1 H) 6.83 - 6.90 (m, 2 H) 6.81 (d, J=7.4 Hz, 1 H) 6.49 (d, J=15.6 Hz, 1 H) 5.12 (s, 2 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに88.2%; LCMS [M+H]+ = 346.2, [M-H]- = 344.1. 1H NMR分析が示すように、約11wt%の酢酸エチル及び14mol%の未知不純物。
【0106】
(2E)-3-[3'-(ベンジルオキシ)-4-トリフルオロメタンスルホネート-ビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミドの調製
N-フェニルビス(トリフルオロ-メタンスルホンアミド) (16.35g、45.77mmol)を、氷浴中で冷却されたアセトニトリル(200mL)に溶解した(2E)-3-[3'-(ベンジルオキシ)-4-ヒドロキシビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミド(14.27g、41.33mmol)及び炭酸カリウム(11.63g、84.15mmol)の溶液に1分にわたり少量ずつ添加した。反応混合物を室温まで加温し、1時間激しく撹拌した。シリカゲルを添加し、混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/ヘキサンによる10〜100%のグラジエント)により精製して、標題化合物を薄茶色の固形泡状物として得た(15.95g、81%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.78 (d, J=2.4 Hz, 1 H) 7.52 - 7.61 (m, 3 H) 7.43 - 7.50 (m, 2 H) 7.37 - 7.43 (m, 3 H) 7.29 - 7.37 (m, 2 H) 7.21 (br. s., 1 H) 7.11 (dd, J=8.2, 2.4 Hz, 1 H) 6.96 - 7.03 (m, 1 H) 6.90 (d, J=7.4 Hz, 1 H) 6.69 (d, J=15.6 Hz, 1 H) 5.15 (s, 2 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに95.0%; LCMS [M+H]+ = 478.1. 1H NMR分析が示すように、微量の不純物。
【0107】
[実施例4]
P3、P46、P47、P48、P49、及びP50の中間体の合成
P3、P46、P47、P48、P49、及びP50の中間体を調製するのに用いられる合成経路を図5に示す。
【0108】
水(3mL)、トルエン(8mL)、及びエタノール(5mL)からなる混合物中の(2E)-3-[3'-(ベンジルオキシ)-4-トリフルオロメタンスルホネート-ビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミド(1等量)、フェニルボロン酸(1.3等量)、及び炭酸カリウム(3等量)からなる混合物を窒素で5分間バブリングした後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (0.1等量)を添加し、TLC、LCMS、及び/又はHPLCにより(2E)-3-[3'-(ベンジルオキシ)-4-トリフルオロメタンスルホネート-ビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミドがなくなるまで、密閉バイアル内、80℃〜90℃で、又は窒素雰囲気の下、コンデンサーを用いて加熱還流した。反応混合物を冷却し、シリカ上に吸着させた後、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/ヘキサンによる10〜100%のグラジエント)により精製して、未精製の所望の化合物を得た。一部の化合物において更なる精製が必要とされ、それを以下に記載する。
【0109】
下記の化合物を本手順により調製した:
3'-[(1E)-3-アミノ-3-オキソプロプ-1-エン-1-イル]-3''-ベンジルオキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-3-カルボン酸
【0110】
【化12】
【0111】
HPLC及びLCMS分析により、未精製の標題化合物(243mg)には、トリフェニルホスフィンオキシドが含まれた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/ジクロロメタンによる50〜100%のグラジエント、その後メタノール/ジクロロメタンによる0〜20%のグラジエント)により、物質を更に精製し、標題化合物を白色粉末として得た(112mg、16%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 13.18 (br. s., 1 H) 8.26 (t, J=1.56 Hz, 1 H) 7.95 - 8.05 (m, 3 H) 7.79 (dd, J=8.22, 1.96 Hz, 1 H) 7.65 (t, J=7.83 Hz, 1 H) 7.53 (br. s., 1 H) 7.38 - 7.51 (m, 7 H) 7.29 - 7.37 (m, 1 H) 7.14 (br. s., 1 H) 7.06 - 7.12 (m, 1 H) 6.97 - 7.03 (m, 1 H) 6.90 - 6.96 (m, 1 H) 6.77 (d, J=15.65 Hz, 1 H) 5.16 (s, 2 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに94.5%; LCMS [M+H]+ = 450.1, [M+Na]+ = 472.1.1H NMR分析により、約2wt%の酢酸エチル及びその他の微量の不純物。
【0112】
(2E)-3-(3-ベンジルオキシ-4''-フルオロ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロプ-2-エナミド
【0113】
【化13】
【0114】
灰白色の固形泡状物(215mg、32%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.93 (d, J=1.2 Hz, 1 H) 7.80 (dd, J=8.6, 5.5 Hz, 2 H) 7.72 (dd, J=7.8, 657 Hz, 1 H) 7.28 - 7.53 (m, 11 H) 7.13 (br. s., 1 H) 7.09 (dd, J=8.2, 2.0 Hz, 1 H) 6.98 (s, 1 H) 6.92 (d, J=7.4 Hz, 1 H) 6.75 (d, J=16.0 Hz, 1 H) 5.12 - 5.20 (m, 2 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに83.7%; LCMS [M+H]+ = 424.2, [M+Na]+ = 446.2.1H NMR分析により、約3%の酢酸エチル、及び10mol%のその他の未知不純物。
【0115】
(2E)-3-(3-ベンジルオキシ-4''-ニトロ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロプ-2-エナミド
【0116】
【化14】
【0117】
HPLC及びLCMS分析により、未精製の標題化合物には、トリフェニルホスフィンオキシド及び(2E)-3-[3'-(ベンジルオキシ)ビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミドが含まれた。2回のフラッシュクロマトグラフィー分離(シリカ、酢酸エチル/ジクロロメタンによる50〜100%のグラジエント)により更なる精製を行い、標題化合物を黄色の粉末として得た(158mg、22%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 8.36 (d, J=8.6 Hz, 2 H) 8.07 (m, J=8.6 Hz, 3 H) 7.87 (dd, J=8.0, 1.4 Hz, 1 H) 7.53 (d, J=8.2 Hz, 1 H) 7.44 - 7.51 (m, 4 H) 7.41 (s, 3 H) 7.34 (s, 1 H) 7.15 (br. s., 1 H) 7.11 (dd, J=8.2, 1.96 Hz, 1 H) 7.00 (s, 1 H) 6.94 (d, J=7.4 Hz, 1 H) 6.77 (d, J=15.6 Hz, 1 H) 5.18 (s, 2 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに95.9%; LCMS [M+H]+ = 452.3, [M+Na]+ = 473.2 .
【0118】
(2E)-3-(3-ベンジルオキシ-3''-メチル-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロプ-2-エナミド
【0119】
【化15】
【0120】
白色固形泡状物(272mg、62%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.94 (d, J=1.6 Hz, 1 H) 7.73 (dd, J=8.2, 1.6 Hz, 1 H) 7.58 (s, 1 H) 7.54 (d, J=7.8 Hz, 1 H) 7.45 - 7.51 (m, 4 H) 7.37 - 7.44 (m, 5 H) 7.33 (m, J=7.0 Hz, 1 H) 7.23 (d, J=7.4 Hz, 1 H) 7.13 (br. s., 1 H) 7.09 (dd, J=8.4, 2.2 Hz, 1 H) 6.99 (s, 1 H) 6.92 (d, J=7.4 Hz, 1 H) 6.75 (d, J=15.7 Hz, 1 H) 5.16 (s, 2 H) 2.41 (s, 3 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに97.7%; LCMS [M+H]+ = 420.3, [M+Na]+ = 442.3. 1H NMR分析により、約4wt%の酢酸エチル及び微量の不純物。
【0121】
(2E)-3-(3-ベンジルオキシ-3''-ヒドロキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロプ-2-エナミド
【0122】
【化16】
【0123】
灰白色の固形泡状物(485mg、66%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 9.58 (br. s., 1 H) 7.91 (s, 1 H) 7.69 (d, J=8.2 Hz, 1 H) 7.46 - 7.54 (m, 4 H) 7.39 - 7.46 (m, 4 H) 7.26 - 7.39 (m, 2 H) 7.06 - 7.22 (m, 4 H) 6.91 - 7.04 (m, 2 H) 6.84 (d, J=7.8 Hz, 1 H) 6.76 (d, J=15.7 Hz, 1 H) 5.17 (s, 2 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに89.3%; LCMS 444.2 = [M+Na]+. 1H NMR分析により、約7wt%の酢酸エチル及び16mol%の未知不純物。
【0124】
(2E)-3-(3-ベンジルオキシ-3''-メトキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロプ-2-エナミド
【0125】
【化17】
【0126】
未精製の標題化合物(456mg、68%)には、(2E)-3-[3'-(ベンジルオキシ)ビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミド及びトリフェニルホスフィンオキシドが含まれた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/ジクロロメタンによる20〜100%のグラジエント)により更なる精製を行い、(2E)-3-[3'-(ベンジルオキシ)ビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミドを含有する未精製の標題化合物(361mg)を得た。調製用のHPLC (C18、30〜90%のアセトニトリル水溶液(+0.1% TFA))により更なる精製を行い、標題化合物を無色のガラス状固形物として得た(218mg、32%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d 7.94 (s, 1 H) 7.74 (dd, J=7.8, 1.2 Hz, 1 H) 7.44 - 7.54 (m, 4 H) 7.37 - 7.44 (m, 5 H) 7.29 - 7.37 (m, 2 H) 7.27 (s, 1 H) 7.12 (br. s., 1 H) 7.09 (dd, J=8.4, 1.8 Hz, 1 H) 6.95 - 7.03 (m, 2 H) 6.92 (d, J=7.4 Hz, 1 H) 6.75 (d, J=15.7 Hz, 1 H) 5.16 (s, 2 H) 3.85 (s, 3 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに98.4%; LCMS [M+H]+ = 436.3, [M+Na]+ = 458.3.
【0127】
[実施例5]
P3、P46、P47、P48、P49、及びP50の合成
P3、P46、P47、P48、P49、及びP50を調製するのに用いられる合成経路を図6に示す。
【0128】
活性炭担持パラジウム (10% wt/wt、ベンジルオキシ-テルフェニル誘導体100mg当たり10mg)を、酢酸エチル又はメタノール(5〜15mL)に溶解したベンジルオキシ-テルフェニル誘導体(1等量)、及びトリエチルアミン(酢酸エチル又はメタノール1mL当たり100μL)からなる溶液に添加し、水素バルーンの下に配置し、TLC、HPLC、及び/又はLCMSにより反応が完了するまで加熱還流した。検査法及び精製手順は化合物毎に異なり、それを以下に記載する。
【0129】
下記の化合物をこの方法により生成した。
【0130】
3'-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3''-ヒドロキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-3-カルボン酸(P47)
【0131】
【化18】
【0132】
反応混合物を冷却し、塩酸(2M、10mL)及び酢酸エチル(20mL)で希釈し、セライトを通じて濾過し、セライトパッドを酢酸エチル(2×20mL)で洗浄した。塩酸(2M、20mL)を、濾過液に添加し、有機層を収集した。水層を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。一まとめにした有機性の抽出物を濃縮して標題化合物を未精製の形態で得た。この物質をメタノール:ジクロロメタン(1:3、3×0.5mL)で洗浄し、40℃、真空下で乾燥させた後、真空下で乾燥して標題化合物を灰白色の粉末として得た(41mg、47%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.52 (s, 1 H) 8.22 (s, 1 H) 7.95 (d, J=7.8 Hz, 2 H) 7.65 (br. s., 1 H) 7.62 (t, J=7.8 Hz, 1 H) 7.56 (dd, J=7.8, 1.2 Hz, 1 H) 7.19 - 7.29 (m, 3 H) 6.77 (t, J=8.6 Hz, 2 H) 6.72 (br. s., 2 H) 2.84 (t, J=8.0 Hz, 2 H) 2.31 (t, J=8.6 Hz, 2 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに97.4 %; LCMS [M+H]+= 362.2 [M+Na]+ = 384.2.
【0133】
3-(4''-フルオロ-3-ヒドロキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロパンアミド(P3)
【0134】
【化19】
【0135】
反応混合物を室温まで冷却し、得られた混合物を塩酸(2M、15mL)及び酢酸エチル(15mL)で希釈し、酢酸エチル(2×20mL)でセライトパッドを洗浄しながらセライトを通じて濾過した。塩酸(2M、20mL)を濾過液に更に添加し、有機層を収集した。水層を酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。一まとめにした有機性の抽出物を濃縮し、ジクロロメタン(2mL)を添加することにより残留物を結晶化した。混合物を濃縮して、未精製の標題化合物(75mg)を灰白色の粉末として得たが、それをエタノール(3×0.5mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた後、真空下で乾燥して標題化合物を灰白色の粉末として得た(30mg、37%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.51 (s, 1 H) 7.73 (dd, J=8.4, 5.7 Hz, 2 H) 7.58 (s, 1 H) 7.50 (dd, J=8.2, 1.6 Hz, 1 H) 7.31 (t, J=8.8 Hz, 2 H) 7.15 - 7.27 (m, 3 H) 6.65 - 6.83 (m, 4 H) 2.82 (t, J=7.8 Hz, 2 H) 2.30 (t, J=8.0 Hz, 2 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに97.6%; LCMS [M+H]+ = 336.2, [M+Na]+ = 358.1.
【0136】
3-(4''-アミノ-3-ヒドロキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロパンアミド(P49)
【0137】
【化20】
【0138】
反応混合物を室温まで冷却し、得られた混合物を、塩化アンモニウム(飽和、30mL)及び酢酸エチル(30mL)で希釈し、酢酸エチル(2×20mL)でセライトパッドを洗浄しながらセライトを通じて濾過した。濾過液の有機層を分離し、水層を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。一まとめにした有機性の抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮して灰白色の粉末を得た(67mg)。未精製の生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/ヘキサンによる30〜100%のグラジエント)により精製して、真空下で乾燥させた後、標題化合物を白色の粉末として得た(41mg、37%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.48 (s, 1 H) 7.47 (s, 1 H) 7.38 (d, J=8.6 Hz, 3 H) 7.18 - 7.27 (m, 2 H) 7.12 (d, J=7.8 Hz, 1 H) 6.68 - 6.79 (m, 4 H) 6.65 (d, J=8.2 Hz, 2 H) 5.22 (s, 2 H) 2.79 (t, J=7.8 Hz, 2 H) 2.28 (t, J=7.8 Hz, 2 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに100.0%; LCMS [M+H]+ = 333.2, [M+Na]+ = 355.2.
【0139】
3-(3-ヒドロキシ-3''-メチル-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロパンアミド(P46)
【0140】
【化21】
【0141】
反応混合物を冷却し、塩酸-ジエチルエーテルで酸性化し(pH4〜6まで)、シリカを添加し、混合物を濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル/ヘキサンによる10〜100%のグラジエント)により精製して、所望の化合物を得た。この物質を粉砕して微粉末とし、2日間真空下で乾燥して、標題化合物を白色の固形泡状物として得た(109mg、55%)。
【0142】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.51 (s, 1 H) 7.59 (s, 1 H) 7.43 - 7.55 (m, 3 H) 7.36 (t, J=7.6 Hz, 1 H) 7.14 - 7.29 (m, 4 H) 6.64 - 6.84 (m, 4 H) 2.83 (t, J=7.8 Hz, 2 H) 2.39 (s, 3 H) 2.30 (t, J=7.8 Hz, 2 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに98.9%; LCMS [M+H]+ = 332.3 [M+H]+, [M+Na]+ = 354.2
【0143】
3-(3,3''-ジヒドロキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロパンアミド(P48)
【0144】
【化22】
【0145】
反応混合物を、塩酸(2M、5mL)及び酢酸エチル(30mL)で希釈し、酢酸エチル(2×20mL)でセライトパッドを洗浄しながらセライトを通じて濾過した。濾過液を、塩酸(2M、20mL)で希釈し、有機性の層を分離し、また水層を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。一まとめにした有機性の抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮し、調製用のHPLC (C18、20〜70%のアセトニトリル水溶液(+0.1% TFA))により精製して、真空下で乾燥させた後、標題化合物を白色粉末として得た(24mg、15%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.52 (br. s., 2 H) 7.53 (s, 1 H) 7.44 (d, J=7.8 Hz, 1 H) 7.14 - 7.30 (m, 4 H) 7.09 (d, J=7.8 Hz, 1 H) 7.05 (s, 1 H) 6.65 - 6.81 (m, 5 H) 2.81 (t, J=7.8 Hz, 2 H) 2.29 (t, J=7.8 Hz, 2 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに96.8%; LCMS [M+H]+ = 334.2, [M+Na]+ = 356.1.
【0146】
3-(3-ヒドロキシ-3''-メトキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロパンアミド(P50)
【0147】
【化23】
【0148】
反応混合物を室温まで冷却し、塩酸(2M、10mL)及び酢酸エチル(20mL)で希釈し、酢酸エチル(2×30mL)でセライトパッドを洗浄しながら、セライトを通じて濾過した。濾過液を、塩酸(2M、25mL)で希釈し、有機性の層を分離し、水層を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。一まとめにした有機性の抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮して白色粉末を得たが、それを更に破砕及び真空下で乾燥して標題化合物を白色粉末として得た(90mg、54%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.51 (br. s., 1 H) 7.60 (s, 1 H) 7.52 (dd, J=7.8, 1.2 Hz, 1 H) 7.39 (t, J=7.8 Hz, 1 H) 7.16 - 7.30 (m, 5 H) 6.95 (dd, J=8.0, 1.8 Hz, 1 H) 6.67 - 6.84 (m, 4 H) 3.84 (s, 3 H) 2.83 (t, J=7.8 Hz, 2 H) 2.31 (t, J=8.0 Hz, 2 H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに98.4%; LCMS [M+H]+ = 348.2, [M+Na]+ = 370.2.
【0149】
[実施例6]
P1、P6、及びP33の合成
P1、P6、及びP33を調製するのに用いられる合成経路を以下に記載する。
カップリング手順A
【0150】
【化24】
【0151】
20mL容量のマイクロウェーブバイアルに、水/エタノール/トルエン(1:2:3 0.05M)からなる溶液中の2-[(1E)-3-アミノ-3-オキソプロプ-1-エン-1-イル]-3'-ベンジルオキシビフェニル-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(1.0等量)、ボロン酸(1.3等量)、及び炭酸カリウム(3.0等量)からなる混合物を充填した。窒素で溶液を5分間バブリングした後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (10mol%)を添加し、反応混合物を密閉し、マイクロウェーブ反応装置内に110℃で3時間配置した。TLC及び/又はLCMSの指示に従い、出発物質の消費が確認されたら、混合物を冷却し、シリカゲル上に吸収させ、フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)より精製して下記の化合物を得た。
【0152】
(2E)-3-(3''-フルオロ-3-ベンジルオキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロプ-2-エナミド
【0153】
【化25】
【0154】
(2E)-3-(3''-フルオロ-3-ベンジルオキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロプ-2-エナミドを灰白色の固形物として得た(0.300g、68%)。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.83 (d, J= 1.9 Hz, 1H), 7.70 (d, J= 15.8 Hz, 1H), 7.62 (dd, J= 1.9, 8.0 Hz, 1H), 7.47 -7.44 (m, 3H), 7.44 -7.40 (m, 3H), 7.40 -7.37 (m, 2H), 7.36 -7.32 (m, 3H), 7.04 -7.00 (m, 1H), 6.99 -6.97 (m, 1H), 6.96 -6.93 (m, 1H), 6.45 (d, J= 15.7 Hz, 1H), 5.42 (br. s., 2H), 5.10 (s, 2H); LCMS[M+H]+ = 424.2, [M+Na]+ = 446.1. 1H NMRにより微量の不純物が検出された。
【0155】
(2E)-3-[3'-ベンジルオキシ-4-(ピリジン-4-イル)ビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミド
【0156】
【化26】
【0157】
(2E)-3-[3'-ベンジルオキシ-4-(ピリジン-4-イル)ビフェニル-2-イル]プロプ-2-エナミドを灰白色の固形物として得た(0.150g、70%)。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.90 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.64 (dd, J = 1.5, 4.8 Hz, 1H), 7.95 -7.91 (m, 1H), 7.83 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.70 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 7.63 (dd, J = 1.9, 8.0 Hz, 1H), 7.50 -7.43 (m, 3H), 7.43 -7.30 (m, 5H), 7.04 -7.00 (m, 1H), 6.99 -6.96 (m, 1H), 6.96 -6.92(m, 1H),6.45 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 5.50 (br. s., 2H), 5.10 (s, 2H);LCMS[M+H]+ = 407.15, [M+Na]+ = 429.2. 1H NMRにより微量の不純物が検出された。
【0158】
(2E)-3-(3'',5''-ジフルオロ-3-ベンジルオキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロプ-2-エナミド
【0159】
【化27】
【0160】
(2E)-3-(3'',5''-ジフルオロ-3-ベンジルオキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロプ-2-エナミドを灰白色固形物として得た(0.090、39%)。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.80 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 2.0, 8.0 Hz, 1H), 7.48 -7.43 (m, 3H), 7.42 -7.32 (m, 4H), 7.18 -7.13 (m, 2H), 7.02 (ddd, J= 0.9, 2.6, 8.3 Hz, 1H), 6.98 -6.95 (m, 1H), 6.95 -6.90 (m, 1H), 6.83 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.45 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 5.45 (br. s., 2H), 5.10 (s, 2H);LCMS[M+H]+ = 442.1, [M+Na]+ = 464.2. 1H NMRにより微量の不純物が検出された。
【0161】
水素添加手順A
【0162】
【化28】
【0163】
活性炭担持パラジウム(10% wt/wt、(ベンジルオキシ)-1,1':4',1''-テルフェニル- 2'-イル)プロプ-2-エナミド誘導体100mg当たり10mg)を、酢酸エチル又はメタノール(5〜15mL)に溶解した(ベンジルオキシ)-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロプ-2-エナミド誘導体(1等量)、及びトリエチルアミン(酢酸エチル又はメタノール1mL当たり100μL)からなる溶液に添加し、水素バルーンの下に配置した。TLC、HPLC、及び/又はLCMSの指示に従い、反応が完了するまで(24〜48時間)、混合物を加熱還流した。出発物質が消費されたら、反応混合物を、HPLCナイロンシリンジフィルターを通して濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン)により精製して下記の化合物を得た。
【0164】
3-(3''-フルオロ-3-ヒドロキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロパンアミド(P1)
【0165】
【化29】
【0166】
P1を、白色粉末として得た(0.105g、58%)。1H NMR(400MHz, CDCl3) δ 9.51 (s, 1H), 7.64 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.58 -7.50 (m, 4H), 7.27 -7.17 (m, 4H), 6.80 -6.70 (m, 4H), 2.86 -2.79 (m, 2H), 2.33 -2.29 (m, 2H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220nmに98.28%; LCMS [M+H]+ = 336.1, [M+Na]+ = 358.1.
【0167】
3-[3'-ヒドロキシ-4-(ピリジン-4-イル)ビフェニル-2-イル]プロパンアミド(P6)
【0168】
【化30】
【0169】
P6を、淡黄色の粉末として得た(0.080g、64%)。1H NMR(400MHz, DMSO) δ 9.52 (s, 1H), 8.92 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.58 (dd, J = 1.6, 4.8 Hz, 1H), 8.12 -8.06 (m, 1H), 7.67 (d, J = 1.9Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 2.0, 7.9 Hz, 1H), 7.50 (ddd, J = 0.8, 4.8, 7.9 Hz, 1H), 7.28 -7.21 (m, 3H), 6.79 (ddd, J = 1.0, 2.4, 8.1 Hz, 1H), 6.77 -6.71 (m, 3H), 2.84 (dd, J = 6.9, 8.9 Hz, 2H), 2.32 (dd, J = 7.0, 8.9 Hz, 2H);HPLC(水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220nmに>99%; LCMS [M+H]+ = 319.2.
【0170】
3-(3'',5''-ジフルオロ-3-ヒドロキシ-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-イル)プロパンアミド(P33)
【0171】
【化31】
【0172】
P33を、白色粉末として得た(0.090g、75%)。1H NMR(400MHz, DMSO) δ 9.52 (s, 1 H), 7.69 (d, J = 1.9 Hz, 1 H), 7.60 (dd, J= 2.0, 8.0 Hz, 1 H), 7.51 -7.44 (m, 2 H), 7.27 -7.19 (m, 4 H), 6.79 (ddd, J= 1.0, 2.4, 8.1 Hz, 1 H), 6.77 -6.72 (m, 2 H), 6.72 -6.69 (m, 1 H), 2.82 (dd, J = 7.0, 8.9 Hz, 2 H), 2.33 (dd, J= 7.1, 8.9 Hz, 2 H);HPLC(水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220nmに98.83%; LCMS[M+H]+ = 354.1, [M+Na]+ = 376.1.
【0173】
[実施例7]
P38、P42、P43、P44、及びP45の合成
P38、P42、P43、P44、及びP45を調製するのに用いられる合成経路を以下に記載する。
【0174】
2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシビフェニル-4-イル-トリフルオロメタンスルホネート
【0175】
【化32】
【0176】
白金酸化物(10 wt/wt%、基質100mg当たり10mg)を、エタノール(250mL)に溶解した2-[(1E)-3-アミノ-3-オキソプロプ-1-エン-1-イル]-3'-ベンジルオキシビフェニル-4-イル-トリフルオロメタンスルホネート(5.0g、10.4mmol)の溶液に添加し、水素バルーンの下に配置し、LCMSの指示に従い反応が完了するまで(24時間)、加熱還流した。冷却する際に、反応混合物を、HPLCナイロンシリンジフィルターを通して濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)により未精製の物質を精製して、2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシビフェニル-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(2.6g、64%)を、薄いピンク色の粉末として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.57 (s, 1H), 7.42 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.38 -7.33 (m, 1H), 7.33 -7.30 (m, 1H), 7.27 -7.22 (m, 2H), 6.80 (ddd, J = 0.8, 2.4, 8.1 Hz, 1H), 6.76 (br. s., 1H), 6.74 -6.71 (m, 1H), 6.69 -6.67 (m, 1H), 2.82 -2.75 (m, 2H), 2.30 -2.23 (m, 2H).
【0177】
3-[3'-ヒドロキシ-4-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ビフェニル-2-イル]プロパンアミド(P38)
【0178】
【化33】
【0179】
20mL容量のマイクロウェーブバイアルを、トルエン(8mL)、エタノール(5mL)、及び水(1mL)からなる溶液中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシビフェニル-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(0.35g、0.899mmol)、1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル-5-ボロン酸(0.17g、1.35mmol)、及び炭酸カリウム(0.37g、2.69mmol)で充填した。窒素で混合物を5分間バブリングした後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (10mol%、0.103g、0.089mmol)を添加し、反応バイアルを密閉し、マイクロウェーブ反応装置内に120℃で4時間配置した。冷却する際に、水(10mL)、2M塩酸(10mL)、及び酢酸エチル(10mL)を添加し、有機相を分離し、水相を酢酸エチル(2×10mL)で逆抽出した。一まとめにした有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮し、未精製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン/メタノール)により精製して、P38を白色固形物として得た(0.045g、16%)。1H NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 9.53 (s, 1H), 7.48 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.39 (dd, J = 2.0, 7.8 Hz, 1H), 7.27 -7.21 (m, 3H), 6.81 -6.76 (m, 2H), 6.76 -6.71 (m, 2H), 6.41 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 3.89 (s, 3H), 2.82 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 2.33 -2.25 (m, 2H); HPLC(水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに96.07 %; LCMS [M+H]+ = 322.20.
【0180】
3-[4-(3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-4-イル)-3'-ヒドロキシビフェニル-2-イル]プロパンアミド(P42)
【0181】
【化34】
【0182】
20mL容量のマイクロウェーブバイアルを、水(10mL)及び1,4-ジオキサン(1mL)からなる溶液中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシビフェニル-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(0.50g、1.28mmol)、tert-ブチル(4-ボロン酸ピナコールエステル)-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(0.50g、1.54mmol)、及び炭酸セシウム(0.83g、2.56mmol)で充填した。窒素で混合物を5分間バブリングした後、ジクロロメタン(0)と錯体形成した[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II) (10mol%、0.105g、0.128mmol)を添加し、反応バイアルを密閉し、マイクロウェーブ反応装置内に、80℃で96時間配置した。冷却する際に、水(50mL)を添加し、混合物を酢酸エチル(50mL)で洗浄した。有機相を分離し、2M塩酸(20mL)で洗浄した。水相を一まとめにし、pH1に更に酸性化し、酢酸エチル(3×50mL)で洗浄した。一まとめにした有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮し、未精製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン)により精製して灰白色の固形物を得た。この物質をジクロロメタン/クロロホルムからの倍散により更に精製して、P42を灰白色の固形物として得た(0.030g、7%)。1H NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 9.47 (s, 1 H), 8.19 (s, 1 H), 7.25 -7.19 (m, 3 H), 7.15 (d, J = 1.2 Hz, 2 H), 6.78 -6.73 (m, 2 H), 6.73 -6.70 (m, 2 H), 2.78 (t, J =7.8 Hz, 2 H), 2.30 -2.25 (m, 2H), 2.23 (s, 6 H); HPLC(水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに96.21 %;LCMS[M+H]+ = 336.20.
【0183】
3-[3'-ヒドロキシ-4-(3-メチルチオフェン-2-イル)ビフェニル-2-イル]プロパンアミド(P43)
【0184】
【化35】
【0185】
20mL容量のマイクロウェーブバイアルを、水(1mL)及び1,4-ジオキサン(10mL)からなる溶液中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシビフェニル-4-イル-トリフルオロメタンスルホネート(0.50g、1.28mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-[3-(メチル)チオフェン-2-イル]-1,3,2-ジオキサボロラン(0.35g、1.54mmol)、及び炭酸セシウム(1.25g、3.84mmol)で充填した。窒素で混合物を5分間バブリングした後、ジクロロメタン(0)と錯体形成した[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II) (10mol%、0.105g、0.128mmol)を添加し、反応バイアルを密閉し、マイクロウェーブ反応装置内に130℃で9時間配置した。冷却する際には、混合物をシリカゲル上に吸収させ、フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン/メタノール)により精製して、所望の生成物と出発物質の85:15の混合物として黄色の固形物(0.260mg)を得た。この物質(0.2g)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、この溶液を、氷浴中、0℃に冷却した。テトラ-n-ブチルアンモニウムフッ化物(5.93mL、1M THF溶液、5.93mmol)を添加し、反応混合物を室温になるまで放置し、60時間撹拌した。酢酸エチル(20mL)を添加し、1M塩酸(10mL)、水(10mL)、及びブライン(10mL)を用いて、有機相を連続的に洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮し、未精製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール)により精製して淡黄色の固形物を得た。この物質をジクロロメタン/メタノールから更に結晶化してP43を淡黄色の固形物として得た(0.055g、28%)。1H NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 9.51 (s, 1H), 7.46 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.32 (dd, J = 1.9, 7.9 Hz, 1H), 7.27 -7.18 (m, 3H), 7.01 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 6.80 -6.69 (m, 4H), 2.83 -2.76 (m, 2H), 2.33 (s, 3H), 2.27 (dd, J = 7.0, 8.8 Hz, 2H); HPLC(水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに97.08 %; LCMS [M+H]+= 338.2, [M+Na]+ = 360.1.
【0186】
3-[3'-ヒドロキシ-4-(4-メチルチオフェン-3-イル)ビフェニル-2-イル]プロパンアミド(P44)
【0187】
【化36】
【0188】
20mL容量のマイクロウェーブバイアルを、水(1mL)及び1,4-ジオキサン(10mL)からなる溶液中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシビフェニル-4-イル-トリフルオロメタンスルホネート(0.50g、1.28mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-[4-(メチル)チオフェン-3-イル][1,3,2]ジオキサボロラン(0.35g、1.54mmol)、及び炭酸セシウム(1.25g、3.84mmol)で充填した。窒素で混合物を5分間バブリングした後、ジクロロメタン(0)と錯体形成した[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II) (10mol%、0.105g、0.128mmol)を添加し、反応バイアルを密閉し、マイクロウェーブ反応装置内に130℃で7.5時間配置した。冷却する際には、混合物をシリカゲル上に吸収させ、フラッシュクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン)により精製して黄色の固形物を得た。この物質をジクロロメタンから倍散により更に精製してP44を白色の固形物として得た(0.110g、25%)。1H NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 9.49 (s, 1H), 7.48 (d, J = 3.1 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.31 -7.27 (m, 2H), 7.26 -7.20 (m, 2H), 7.17 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.80 -6.70 (m, 4H), 2.83 -2.76 (m, 2H), 2.31 -2.24 (m, 5H); HPLC(水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに98.31 %; LCMS [M+H]+ = 338.15, [M+Na]+= 360.10.
【0189】
3-[3'-ヒドロキシ-4-(3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ビフェニル-2-イル]プロパンアミド(P45)
【0190】
【化37】
【0191】
20mL容量のマイクロウェーブバイアルを、水(1mL)及び1,4-ジオキサン(10mL)からなる溶液中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ヒドロキシビフェニル-4-イル-トリフルオロメタンスルホネート(0.25g、0.642mmol)、tert-ブチル-3-メチル-4-(ボロン酸ピナコールエステル)-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(0.30g、0.96mmol)、及び炭酸セシウム(0.42g、1.28mmol)で充填した。混合物を窒素で5分間バブリングした後、ジクロロメタン(0)と錯体形成した[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II) (10mol%、0.052g、0.064mmol)を添加し、反応バイアルを密閉し、マイクロウェーブ反応装置内に80℃で12時間配置した。冷却する際に、水(10mL)を添加し、混合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。一まとめにした有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。未精製の残留物を、酢酸エチルに取り込み、2M塩酸(20mL)で洗浄した。酸性の水層を除去し、形成した析出物を濾過により単離して標題化合物を淡黄色の微結晶として得た(0.060g、29%)。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.86 (s, 1H), 7.39 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.31 (dd, J = 1.9, 7.9 Hz, 1H), 7.28 - 7.19 (m, 2H), 7.14 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 6.79-6.69 (m, 4H), 2.82 - 2.75 (m, 2H), 2.41 (s, 3H), 2.28 (dd, J = 7.1, 8.9 Hz, 2H), NH及びOHは見られない; HPLC(水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに97.39 %; LCMS [M+H]+ = 322.20.
【0192】
[実施例8]
P4の合成
P4を調製するのに用いられる合成経路を以下に記載する。
【0193】
(2E)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-1-イル)-3'-ベンジルオキシビフェン-2-イル]プロプ-2-エナミド
【0194】
【化38】
【0195】
20mL容量のマイクロウェーブバイアルを、1,4-ジオキサン(15mL)中の2-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-3'-ベンジルオキシビフェニル-4-イル-トリフルオロメタンスルホネート(1.00g、2.10mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(0.69g、2.73mmol)、及び酢酸カリウム(0.62g、6.30mmol)で充填した。窒素で混合物を5分間バブリングした後、ジクロロメタン(0)と錯体形成した[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II) (20mol%、0.343g、0.42mmol)を添加し、反応バイアルを密閉し、マイクロウェーブ反応装置内に130℃で5時間配置した。冷却する際に、混合物をシリカゲル上に吸収させ、フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)により精製して黄色のガムを得た。この物質をジクロロメタンからの倍散により更に精製して、(2E)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-1-イル)-3'-ベンジルオキシビフェン-2-イル]プロプ-2-エナミドを黄色の固形物として得た(0.650g、68%)。1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ = 8.13 -8.08 (m, 1H), 7.84 (dd, J = 1.2, 7.6 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 7.46 -7.44 (m, 1H), 7.44 -7.42 (m, 1H), 7.40 -7.30 (m, 5H), 6.99 (ddd, J = 0.9, 2.6, 8.3 Hz, 1H), 6.94 -6.92 (m, 1H), 6.92 -6.88 (m, 1H), 6.48 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 5.61 (br. s., 2H), 5.08 (s, 2H), 1.37 (s, 12H); LCMS [M+H]+ = 456.2, [M+Na]+ = 478.2.
【0196】
3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-1-イル)-3'-ヒドロキシビフェン-2-イル]プロパンアミド
【0197】
【化39】
【0198】
白金酸化物(10 wt/wt%、基質100mg当たり10mg)を、エタノール(15mL)に溶解した(2E)-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-1-イル)-3'-ベンジルオキシビフェン-2-イル]プロプ-2-エナミド(0.30g、0.66mmol)の溶液に添加し、反応混合物を水素バルーンの下に配置し、24時間加熱還流した。冷却する際に、混合物を、HPLCナイロンシリンジフィルターを通して濾過し、濃縮し、未精製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル/メタノール)により精製して、白色粉末を、HPLCにより65:35の3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-1-イル)-3'-ヒドロキシビフェン-2-イル]プロパンアミド及び対応するボロン酸からなる混合物として得た(0.160g)。LCMSの結果は、[M+H]+= 368.2が(3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-1-イル)-3'-ヒドロキシビフェン-2-イル]プロパンアミド)であり、[M+H]+ = 286.1が(ボロン酸)である。3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-1-イル)-3'-ヒドロキシビフェン-2-イル]プロパンアミド。1H NMR(400 MHz, MeOD) δ7.71 (s, 1 H), 7.59 (dd, J = 1.2, 7.6 Hz, 1 H), 7.23 (t, J = 7.8 Hz, 1 H), 7.16 (d, J = 7.6 Hz, 1 H), 6.80 -6.76 (m, 2 H), 6.76 -6.71 (m, 1 H), 2.94 -2.88 (m, 2 H), 2.37 -2.32 (m, 2 H), 1.36 (s, 12 H), NHH及びOHは見られない
【0199】
3-[3'-ヒドロキシ-4-(ピリジン-2-イル)ビフェニル-2-イル]プロパンアミド(P4)
【0200】
【化40】
【0201】
20mL容量のマイクロウェーブバイアルを、水(0.5mL)及びジメトキシエタン(5.0mL)からなる溶液中の未精製の3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-1-イル)-3'-ヒドロキシビフェン-2-イル]プロパンアミド(0.15g)、2-ブロモピリジン(0.14g、0.86mmol)、及び炭酸カリウム(0.11g、0.82mmol)で充填した。窒素で混合物を5分間バブリングした後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (10mol%、0.047g、0.041mmol)を添加し、反応バイアルを密閉し、マイクロウェーブ反応装置内に110℃で4時間配置した。冷却する際に、混合物をシリカゲル上に吸収させ、フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール)により精製して淡黄色の固形物を得た(0.090g)。この物質をアセトンから結晶化してP4を灰白色の微粉末として得た(0.07g、54%)。1H NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 9.51 (s, 1H), 8.70 -8.65 (m, 1H), 8.04 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.99 -7.95 (m, 1H), 7.95 -7.86 (m, 2H), 7.36 (ddd, J = 1.1, 4.8, 7.4 Hz, 1H), 7.25 (td, J = 3.9, 7.9 Hz, 3H), 6.81 -6.70 (m, 4H), 2.88 -2.81 (m, 2H), 2.34 -2.27 (m, 2H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220 nmに>99%; LCMS [M+H]+ = 319.15.
【0202】
[実施例9]
P104の合成
P104を調製するのに用いられる合成経路を図7に示す。
【0203】
ステップ1 - a) X = OAcのとき、pTSA、ZnCl2、若しくはSnCl4、b) X = OHのとき、TMSOTf若しくはDEAD/PPh3、又はc) X = OC(NH)CCl3のとき、BF3.OEt2
【0204】
ステップ2及び3 LiOH(aq)、EtOH。
【0205】
ステップ1〜3は、a) Atzrodt et al, ARKIVOC 2012 (iii) 257-278、b) Jacquinet, J-C, Carbohydrate Research, 199 (1990) 153-181、c) Stachulski and Jenkins, Natural Product Reports, 1998, p173-186及びd) Engstrom et al, J. Org. Chem., 2006, 8378-8383に記載されている。
【0206】
[実施例10]
化合物のin vitroスクリーニング
xCELLigence SPシステム(Roche社)を、A10胚性血管平滑筋細胞(ATCC、CRL-1476)を試験化合物で処置した後に、細胞インピーダンス(細胞インデックス)の変化を測定するのに用いた。このin vitroでの細胞に基づく実験系では、負性インピーダンスプロファイルがラットの血圧低下と相関する-インピーダンスの低下は血管拡張と関連し、またインピーダンスの増加は血管収縮と関連する(Stallaert W, Dorn JF, van der Westhuizen E, Audet M & Bouvier M. Impedance responses reveal β-adrenergic signaling pluridensitometry and allow classification of ligands with distinct signalling profiles PLoS ONE 2012; 7(1):e29420, doi:10.1371/journal.pone.0029420)。
【0207】
要するに、細胞培養培地(10%ウシ胎仔血清が補充された低グルコースDMEM、37℃)、50μlを、E-Plate 96 (ロッシュ社)の各ウェルに添加し、各ウェル内のバックグラウンドインピーダンスを測定した。A-10細胞懸濁物(細胞10,000個/ウェル)、50μlを、次にE-PLATE 96の該当するウェルに添加した。細胞培養インキュベーター内のRTCA SPステーションにおいて、E-PLATE 96の各ウェルについて、細胞インデックスをモニタリングした。5%のCO2及び95%の湿度において、終夜16〜20時間インキュベートした後、試験化合物溶液(試験化合物をDMSO内で調製し、DMSOの最終濃度が0.25%となるように、細胞培養培地で希釈した)、100μlを、E-PLATE 96の該当するウェルに添加し、化合物で処置した直後に細胞インデックス値を20秒毎に、3時間にわたり測定した。細胞インデックス値は、媒体で処置された細胞の細胞インデックスを差し引いてベースライン補正され、また化合物を添加する直前の時点における細胞インデックスで割り算して標準化される。ベースラインで標準化された細胞インデックスを時間の関数として、Roche社のRTCAソフトウェアを用いてプロットする。
【0208】
化合物は、血管平滑筋細胞と相互作用してこの細胞を弛緩させ、その結果血管拡張及び血圧低下を引き起こすことにより血圧の低下を実現し得る。これは、直接血管拡張薬と呼ばれる。A10血管平滑筋細胞の負性インピーダンス応答は、試験化合物が直接血管拡張薬であることを示唆する。
【0209】
xCELLigence SPシステムは、ウシ大動脈内皮細胞(欧州細胞培養コレクション)を試験化合物で処置した後に細胞インピーダンスの変化を測定する際にも用いた。採用された方法は、上記A10胚性血管平滑筋細胞の場合と同一であったが、細胞培養培地には10%ではなく、15%のウシ胎仔血清が補充された。
【0210】
化合物は、血管内皮細胞と相互作用して、物質、例えば一酸化窒素や内皮細胞由来の過分極因子等を放出させる可能性があり、それは次に血管平滑筋細胞に作用して血管拡張及び血圧降下を引き起こす。そのような化合物は、間接血管拡張薬と呼ばれる。ウシ大動脈内皮細胞の負性インピーダンス応答は、試験化合物が間接血管拡張薬であることを示唆する。
【0211】
A10血管平滑筋細胞の負性インピーダンス応答は、P3、P5、P8、P9、P11、P33、及びP46について観察され(図8)、これらの化合物が直接血管拡張薬であることを示唆する。
【0212】
ウシ大動脈内皮細胞の負性インピーダンス応答は、P1、P3、P4、P6、P8、P9、P11、P22、P26、P33、P38、P41、P42、P43、P44、P46、P47、P48、P49、及びP50について観察され(図9)、これらの化合物が間接血管拡張薬であることを示唆する。
【0213】
DMEM + 10% FBS + 1% NEAA + 2mMグルタミン中で増殖させたラット(NRK-52E)腎近位尿細管細胞を、細胞10,000個/ウェルで96ウェルプレート内に配置し、5% CO2において、37℃で、終夜インキュベートした。濃度が30μMの試験化合物を、ヒト又はラット腎近位尿細管細胞と共に、37℃及び5% CO2において2時間インキュベートした。次に、シス-ジアミンジクロロプラチナ(III) (シスプラチン)を5μ/mlで添加し、次に、各細胞集団を37℃、5% CO2において24又は48時間インキュベートした。試験化合物をオリジナルの濃度で維持した。シスプラチンがラット腎近位尿細管細胞に及ぼす細胞毒性効果をアッセイするために、きわめて水溶性のテトラゾリウム塩であり、細胞内でデヒドロゲナーゼにより還元されて水溶性の黄色い指示染料であるホルマザンを生成するWST-8を、製造業者の指示に従って用いた(特に、Sigma社のCell Count Kit- 8 (CCK-8) assay)。次に、WST-8 (CCK-8)試薬のプレート吸収を、Thermo Scientific Multiskan EXプレートリーダーを用いて、450nmで測定した。
【0214】
P1、P3、P4、P5、P6、P8、P9、P11、P22、P26、P33、P38、P40、P41、P42、P43、P44、P45、P46、P49、及びP50で処置した腎近位尿細管細胞の培養において、シスプラチン誘発性の細胞死が減少したが(図10)、それはこれらの化合物が、腎近位尿細管細胞死を低下させることを実証する。
【0215】
[実施例11]
化合物のin vivoスクリーニング
14週齢のSHR (2.2%の塩分食(Glen Forrest Stockfeeders社)を与えた)を、ゼロ時間対照(14週齢のラット)、試験化合物処置用飲料溶液(500pmol/kg/分で脱イオン蒸留水に溶解)、又は対照用飲料溶液(脱イオン蒸留水に溶解した5%エタノール)に無作為に割り振った。ゼロ時間対照群(14週齢のラット)に割り振られたラットを麻酔し、その腎臓及び肝臓を摘出した一方、対照及び試験化合物による処置に割り振られたラットを週2回秤量し、またその飲料溶液摂取量をモニタリングして、飲料溶液中の試験化合物濃度の調整を可能にし、4週間の試験期間にわたり一定量を維持した。テールカフ・プレチスモグラフィー(PowerLab、ADInstruments社製、Castle Hill、NSW、Australia)により、血圧を週2回測定した。4週間後、ラットを麻酔し(18週齢のラット)、その腎臓及び肝臓を摘出した。
【0216】
組織の線維症及び/又は脂肪含有量を定量化するために、厚さ≦3mmの組織切片を10%の緩衝化されたホルマリン中で24時間固定し、パラフィン中で処理及び包埋した。3ミクロン横断面を、マッソンの三重染色法を用いて染色した。ランダムな視野の最低20箇所について、倍率×20で横断面(5箇所、それぞれ2レベル)からデジタル化し、線維症の程度、及び脂肪含有量を、Image-Pro Plus V.7 (Media Cybernetics社、Bethesda、MD、USA)を用いて、各デジタル画像の視野面積に占める割合(%)として求めた、次にラット毎に平均化して、線維症のレベル及び/又は脂肪含有量を決定した。
【0217】
血圧が、P5、P8、P22、P28、及びP40で処置したラットで低下した(図11)。
【0218】
500pmol/kg/分のP5、P8、P9、P11、P22、P26、P40による処置から4週間後、腎臓内の線維症が、18週齢の対照と比較して減少し(図12* p <0.05)、これらの化合物が腎線維症の発症を低下させることを実証する。500pmol/kg/分のP5による処置から4週間後、腎臓内の線維症は、14週齢の対照と比較してやはり減少し(図12、# p <0.05)、この化合物は確立した腎線維症を逆転させることを実証する。
【0219】
500pmol/kg/分のP8、P9、P11、P22、P26、P40による処置から4週間後、肝臓内の線維症が18週齢の対照と比較して減少し(図13* p <0.05、** p <0.025、及び*** p <0.01)、これらの化合物は肝線維症の発症を低下させることを実証する。
【0220】
門脈路を示すマッソンの三重染色法により染色された切片では、対照において、線維症が門脈路を取り巻くように明瞭に可視化されており、類洞空間(矢印)への浸潤が始まっている(図14A)。P8 (図14B)、P9 (図14C)、及びP26 (図14D)で処置したラットに由来する切片では、線維組織は管腔壁内の基底膜に限定されており、また正常な組織構造が復元されている。
【0221】
500pmol/kg/分のP22、P26、及びP40による処置から4週間後、18週齢の対照と比較して肝脂肪は減少し(図15* p <0.05、** p <0.025、及び*** p <0.01)、これらの化合物が肝脂肪の蓄積を低下させることを実証する。
【0222】
[実施例12]
化合物のin vitro及びin vivoスクリーニングの比較
様々な試験化合物で処置した、A10血管平滑筋細胞内の細胞インピーダンス、及びSHRにおける肝線維症のレベルを比較することにより、本in vitroアッセイ法は、肝臓内の線維症を減少させる本試験化合物の能力を予測可能にすることが明らかとなった(図16、R2=0.618)。
【0223】
様々な試験化合物で処置した、ウシ大動脈内皮細胞内の細胞インピーダンス、及びSHRにおける肝線維症のレベルを比較することにより、本in vitroアッセイ法は、肝臓内の線維症を減少させる本試験化合物の能力を予測可能にすることが明らかとなった(図17、R2=0.759)。
【0224】
様々な試験化合物で処置したSHRにおいて、シスプラチンに誘発された細胞毒性からの腎近位尿細管細胞の救済、及び腎線維症のレベルを比較することにより、本in vitroアッセイ法は、腎臓内の線維症を減少させる化合物の能力を予測可能にすることが明らかとなった(図18、R2=0.914)。
【0225】
様々な試験化合物で処置した、ウシ大動脈内皮細胞内の細胞インピーダンス、及びSHRにおける肝脂肪のレベルを比較することにより、本in vitroアッセイ法は、肝脂肪を減少させる本試験化合物の能力を予測可能にすることが明らかとなった(図19、R2=0.996)。
(付記)
(付記1)

【化41】
[式中、
Aは、
【化42】
であり、
R1〜R9は、独立にC、N、O、又はSであり、
Qは、C1〜6アルキル、ハロ、C0〜6アルキルカルボン酸、アミノ、ヒドロキシ、及びC1〜6アルコキシから独立に選択され、
nは、0、1、2、3、又は4であり、
Xは、-OH、又は
【化43】
であり、
Xが-OHのとき、Aは非置換型のフェニルではない]
の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物、及び/若しくは溶媒和物。
(付記2)
Qが、-CH3、-C(O)OH、-F、-NH2、-OH、及び-OCH3から独立に選択される、付記1に記載の化合物。
(付記3)
R5〜R9が、独立にC又はNである、付記1又は2に記載の化合物。
(付記4)
nが、0、1、又は2である、付記1〜3のいずれか一つに記載の化合物。
(付記5)
C0〜6アルキルカルボン酸が、カルボン酸である、付記1〜4のいずれか一つに記載の化合物。
(付記6)
Xが、-OHである、付記1〜5のいずれか一つに記載の化合物。
(付記7)
Xが、
【化44】
である、付記1〜6のいずれか一つに記載の化合物。
(付記8)
【化45】
、又はその薬理学的に許容される塩、グルクロニド、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物、及び/若しくは溶媒和物からなる群から選択される、付記1〜6のいずれか一つに記載の化合物。
(付記9)
【化46】
、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物、及び/若しくは溶媒和物である、付記1〜5又は7のいずれか一つに記載の化合物。
(付記10)
付記1〜9のいずれか一つに記載の化合物、及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
(付記11)
対象の腎臓及び/又は肝臓疾患を予防的又は治療的に処置する方法であって、付記1〜9のいずれか一つに記載の化合物又は付記10に記載の医薬組成物を、前記対象に投与するステップを含む、方法。
(付記12)
前記処置が、腎線維症及び/又は肝線維症の進行を予防する、減少させる、又は遅らせる、付記11に記載の方法。
(付記13)
前記処置が、確立した腎線維症及び/又は肝線維症を減少させる、付記11に記載の方法。
(付記14)
前記処置が、腎尿細管細胞死を予防する、減少させる、又は遅らせる、付記11に記載の方法。
(付記15)
前記処置が、肝脂肪の蓄積を予防する、減少させる、又は遅らせる、付記11に記載の方法。
(付記16)
前記処置が、正常な組織構造を復元する、付記11に記載の方法。
(付記17)
腎臓及び/又は肝臓疾患を予防的又は治療的に処置するための医薬品の製造のための、付記1〜9のいずれか一つに記載の化合物の使用。
(付記18)
前記医薬品が、腎線維症及び/又は肝線維症の進行を予防する、減少させる、又は遅らせる、付記17に記載の使用。
(付記19)
前記医薬品が、確立した腎線維症及び/又は肝線維症を減少させる、付記17に記載の使用。
(付記20)
前記医薬品が、腎尿細管細胞死を予防する、減少させる、又は遅らせる、付記17に記載の使用。
(付記21)
前記医薬品が、肝脂肪の蓄積を予防する、減少させる、又は遅らせる、付記17に記載の使用。
(付記22)
前記薬剤が、正常な組織構造を復元する、付記17に記載の使用。
(付記23)

【化47】
の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、グルクロニド、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物、及び/若しくは溶媒和物。
図1
図2
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