(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマーが、約200以上の粘度指数を示し、および/またはnが、0であり、mが、4である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリ(メタ)アクリレートスターポリマー。
前記酸素官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマーが、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1〜4のいずれかに記載のポリ(メタ)アクリレートスターポリマー。
多官能性チオールコアおよび(メタ)アクリレートモノマーのフリーラジカル重合生成物を含むポリ(メタ)アクリレートスターポリマーであって、前記重合生成物が、約20〜約500Kg/molの重量平均分子量および1.5超〜約4.0の多分散指数を有し、
前記多官能性チオールコアが、三〜六官能性アルコールおよびメルカプトカルボン酸の反応生成物から得られ、
前記(メタ)アクリレートモノマーが、約20〜約35モルパーセントの1〜4個の炭素のアルキル鎖長を有する短鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、約60〜約80モルパーセントの12〜20個の炭素のアルキル鎖長を有する長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、および任意に約5〜約10モルパーセントの2〜7個の炭素を含むヒドロキシアルキル鎖を有する酸素官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む、ポリ(メタ)アクリレートスターポリマー。
前記多官能性チオールコアを形成する前記三〜六官能性アルコールが、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタヒドロキシペンタン、およびそれらの混合物から選択される、請求項6に記載のポリ(メタ)アクリレートスターポリマー。
前記メルカプトカルボン酸が、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酪酸、メルカプトペンタン酸、メルカプトヘキサン酸、メルカプトデカン酸、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項6または7に記載のポリ(メタ)アクリレートスターポリマー。
前記酸素官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマーが、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項6〜8のいずれかに記載のポリ(メタ)アクリレートスターポリマー。
前記重量平均分子量が、約40〜約300Kg/molであり、および/または前記ポリマーが、約50〜約1500cStの100℃での動粘度を有する、請求項6〜9のいずれかに記載のポリ(メタ)アクリレートスターポリマー。
多量の潤滑油と、式Iのポリマーを形成する多官能性チオールおよび(メタ)アクリレートモノマーの重合生成物を含む粘度指数向上ポリマーとを含む、潤滑油組成物であって、
[(PMA)−Q−R1−C(O)−O−CH2]m−C−An(式I)
式中、
PMAが、約20〜約35モルパーセントの1〜4個の炭素のアルキル鎖長を有する短鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位、約60〜約80モルパーセントの12〜20個の炭素のアルキル鎖長を有する長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位、および任意に約5〜約10モルパーセントの2〜7個の炭素を含むヒドロキシアルキル鎖を有する酸素官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位を含む、ランダム重合(メタ)アクリレートモノマー単位を有するポリマー鎖であり、
各Qが、独立して、硫黄原子であり、
R1が、1〜10個の炭素のアルキレン基であり、
Aが、水素、アルキル基、または独立して式A1、A2、もしくはA3:
−O−C(O)−R1−Q−(PMA)(式A1)、
−C(A1)CH2−O−C(O)−R1−Q−(PMA)(式A2)、
−CH2−O−CH2−C−[CH2−O−C(O)−Q−(PMA)]r(式A3)
から選択される基であり、
mが、1〜4の整数であり、mが4未満である場合、Aが、独立して前記水素、前記アルキル基、または前記式A1、A2、もしくはA3から選択される少なくとも1つの基を含み、
nが、0または1〜3の整数であり、
rが、1〜3の整数であり、かつ、rが3未満である場合には、[CH2−O−C(O)−Q−(PMA)]rが結合した炭素は、さらに水素原子と結合し、
前記整数mと関連した前記基、A、および前記整数rと関連した前記基が、それに隣接する炭素原子にのみ結合しており、かつm+nは4に等しい、
前記粘度指数向上ポリマーは、少なくとも3つの、前記ポリマー鎖を含むアームを有し、
前記潤滑油組成物が、活性分に基づき、約10重量パーセント以下の粘度指数向上ポリマーを含み、
前記潤滑油組成物の増粘VIが、前記潤滑油組成物中のポリマー重量パーセント当たり約45〜約65の粘度指数単位である、潤滑油組成物。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、硫黄官能化連鎖移動剤またはコアからの新しいクラスのポリ(メタ)アクリレート(「PMA」)スターポリマーを記載する。スターポリマーは、硫黄官能化連鎖移動剤コアまたはスター中心から半径方向外側に延在する側鎖またはアームとしてPMAモノマーまたはモノマー単位の独自の組み合わせを含む。一態様では、これらのスターポリマーは、いくつかのアプローチでは、スターポリマーアームにおける選択PMAモノマー単位に起因して、潤滑剤および油において粘度指数向上剤(VII)として使用される場合、向上したおよび高い粘度指数(VI)を提供する。連鎖移動剤コアは、複数の硫黄官能基を有し、各々は、好ましくは制御されたまたは従来のフリーラジカル重合によってスターポリマーアームを作製する側鎖を有する。本明細書に開示されるスターポリマーは、ポリマーの中心を提供する連鎖移動剤コアと共にランダムに重合されたアルキル(メタ)アクリレートモノマーを使用して作製される。このアプローチは、経済的に拡張可能な方法でより良いPMA性能を提供する。これらのポリマーは、これらに限定されないが、ドライブラインフルード、エンジンオイル、オートマチックトランスミッションフルード、および/または金属加工流体を含む、潤滑油組成物における使用に特に適している。
【0022】
本明細書に記載のスターポリマーの硫黄官能化連鎖移動剤コアと組み合わされる選択されたモノマーは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを含み、任意に(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(「HEMA」または「HEA」)のような)酸素官能性(メタ)アクリレートモノマーならびに/またはジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート(「DMAPMA」)および/もしくはジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド(「DMAPMAD」)のような任意の分散剤モノマーと組み合わされた、選択量の長鎖アルキルエステルおよび短鎖アルキルエステルを含む。1つのアプローチでは、本明細書におけるスターポリマーは、従来のフリーラジカル重合技術によって合成された高粘度指数を有するPMAポリマーを提供する。他のアプローチでは、本明細書におけるポリマーは、可逆的付加−開裂連鎖移動(RAFT)重合もしくは原子移動ラジカル重合(ATRP)または多段階重合のような高度重合技法によっても調製され得る。好ましくは、ポリマーは、従来のフリーラジカル重合によって調製される。
【0023】
長鎖アルキルエステルモノマー(またはポリマー中のモノマー単位)は、それらのモノマーおよびモノマー単位が以下に記載されるように、ラウリル(メタ)アクリレート(「LMA」)およびセチル−エイコシル(メタ)アクリレート(「CEMA」)のようなエステルを含む。短鎖アルキルエステルモノマー(またはポリマー中のモノマー単位)は、メチル(メタ)アクリレート(「MMA」)、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、およびn−ブチル(メタ)アクリレート(「n−BMA」)のようなエステルを含む。任意に、本発明のスターポリマーは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMAまたはHEA)のような酸素官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマーならびに/またはジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート(DMAPMA)および/もしくはジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド(DMAPMAD)のような分散剤モノマーも含む。本明細書で使用されるとき、「(メタ)アクリレート」は、用途の必要に応じてメタクリレートおよび/またはアクリレートモノマーまたはモノマー単位(または混合物)の両方を指す。
【0024】
本明細書における高粘度指数PMAスターポリマーおよび潤滑剤は、より広い温度範囲にわたって向上したおよび一貫した性能を有し、したがって、燃料経済性の向上のように、自動車に利益を提供することができる。上記のように、成分の追加または増加したレベルは、製造の複雑性を拡大し、製品コストを増加させ得るが、本明細書における高粘度指数PMA添加剤は、特にオートマチックトランスミッションにおいて、これに限定されないが自動車の燃料経済性のような、(ポリマーの高VIのために)より広い温度範囲にわたる利益を提供する。いくつかのアプローチでは、これらの利点は、潤滑油中のVIIのより低い処理率で達成することができる。PMA添加剤は、当該技術分野において既知であるが、既知の例は、高度な構造を有し、高度な技術に依存し、これが製造コストを上昇させており、従来のPMA添加剤はまた、高いVI向上を達成するには限られた能力を有するか、または同様の結果を達成するのにより高い処理率を必要とし得る。本開示のPMA VIIは、一方で、好ましくは従来のフリーラジカル重合によって行われるより単純でより安価なランダムスターコポリマー技術を提供し、モノマー関係の独自の選択によって従来のポリマーよりもさらに高いVIを達成する。すなわち、本明細書で開示されるスターPMA粘度指数向上剤は、連鎖移動剤コアまたは多官能化硫黄ポリマーコアから延在する選択量および比の長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位、短鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位、任意にジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート(DMAPMA)、および任意に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMAまたはHEA)モノマー単位の混合物を含む。本開示は、当該技術分野で既知の他のPMA VIIと比較して驚くほどかつ予想外に高い粘度指数を提供する、本明細書に記載のモノマーまたはモノマー単位の新規組み合わせを含むPMAスターポリマー(およびそのようなポリマーを含有する潤滑油)をさらに含む。
【0025】
以下でさらに議論されるように、本開示のPMAスターポリマーの主要な長鎖官能基は、ラウリル(メタ)アクリレートまたはLMAモノマー単位であるが、これらの長鎖官能基は、セチル−エイコシル(メタ)アクリレートまたはCEMAモノマー単位のような、より長い鎖も含むことができる。同様に、本開示のPMAスターポリマーの主要な短鎖官能基は、メチル(メタ)アクリレートまたはMMAモノマー単位であるが、これらの短鎖官能基は、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、およびn−ブチル(メタ)アクリレートまたはn−BMAモノマー単位のような、他の短鎖も含むことができる。本開示のPMAスターポリマー中に存在する場合、豊富なCEMAは、典型的には、全てのPMAモノマーまたはモノマー単位に対して約10モルパーセント以下(他のアプローチでは、約7.5モルパーセント未満、また他のアプローチでは、約5モルパーセント以下)である。本開示のPMAスターポリマー中に存在する場合、豊富なDMAPMAおよび/またはDMAPMADは、典型的には、全てのPMAモノマーまたはモノマー単位に対して約10モルパーセント以下(他のアプローチでは、約7.5モルパーセント未満、また他のアプローチでは、約5モルパーセント以下)である。
【0026】
加えて、本開示のPMAスターポリマーは、典型的には、5〜9個の炭素の炭素鎖長を有する中間アルキル鎖長官能基を有するモノマーおよびモノマー単位を含まない。本明細書で使用するとき、「含まない」とは、一般に、(同様に、PMAモノマーまたはモノマー単位に対して)約0.5モルパーセント未満、他のアプローチでは、約0.25モルパーセント未満、他のアプローチでは、約0.1モルパーセント未満、他のアプローチでは、ゼロを意味する。
【0027】
PMAスターポリマーは、典型的には、少なくとも10kg/モル、他のアプローチでは、少なくとも約100kg/モル、他のアプローチでは、少なくとも約150kg/モル、また別のアプローチでは、少なくとも約200kg/モルの重量平均分子量を有するように合成される。他の実施形態では、PMAスターポリマーは、最大約600kg/モル、他のアプローチでは、約10〜約600kg/モル、他のアプローチでは、約150〜約600kg/モル、また他のアプローチでは、約200〜約600kg/モルの重量平均分子量を有するように合成される。また他の実施形態では、PMAスターポリマーは、約10〜約50kg/モル、他のアプローチでは、約50〜約100kg/モル、他のアプローチでは、約100〜約400kg/モル、他のアプローチでは、約150〜約400kg/モル、またさらなるアプローチでは、約200〜約400kg/モルの重量平均分子量も有し得る。
【0028】
本開示は、基油および少なくとも、本明細書で粘度指数向上剤(VII)として議論されるような、PMAスターポリマーを含む、潤滑油組成物または添加剤濃縮物も含む。PMAスターポリマーは、典型的には、潤滑油組成物中に、粘度指数向上剤として使用される場合、約1〜約20重量パーセント(他の方アプローチでは、約1〜約15重量パーセント、またさらなるアプローチでは、約1〜約10重量パーセント)で存在する。本明細書で使用されるとき、PMAスターポリマーの重量パーセントは、潤滑油組成物に添加される場合そのようなポリマーと一般的に関連するいかなるキャリアオイルまたは他の希釈剤でもなく、潤滑油中のポリマー固体の(すなわち、油非含有分に基づく)重量パーセントを指す。
【0029】
本明細書で使用されるとき、文脈が他に示唆しない限り、「アルキル」基は、1〜8個(例えば、1〜6個または1〜4個)の炭素原子を含有する飽和脂肪族炭化水素またはヒドロカルビル基を指す。アルキル基は、直鎖または分岐であり得る。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル、または2−エチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、本明細書に記載されるように、任意に1つ以上の置換基で置換することができる。
【0030】
本明細書で使用されるとき、「アルキレン」基は、二価飽和アルキル基、例えば、「アルキルリンカー」を指す。アルキレンの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、およびブチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「メルカプト」基は、−SHを指し、「チオール」と同義である。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「有機硫黄」基は、硫黄原子を含有する任意の有機化合物を指す。
【0033】
本明細書で使用されるとき、「有機窒素」基は、窒素原子を含有する任意の有機化合物を指す。「有機窒素」は、本開示の「有機窒素(メタ)アクリレートモノマー」のようなより具体的な化学部分を表すためにも使用することができ、「有機窒素(メタ)アクリレートモノマー」は、窒素含有モノマーである。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「ヒドロカルビル基」または「ヒドロカルビル」という用語は、当業者に周知のその通常の意味で使用される。具体的には、それは、分子の残りに直接結合した炭素原子を有し、主として炭化水素の特性を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例としては、(1)炭化水素置換基、すなわち、脂肪族(例えば、アルキルまたはアルケニル)、脂環式(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、ならびに芳香族−、脂肪族−、および脂環式−置換芳香族置換基、ならびに環が分子の別の部分によって完成する(例えば、2つの置換基が共に脂環式ラジカルを形成する)環状置換基、(2)置換炭化水素置換基、すなわち、本明細書における説明の文脈において、主に炭化水素置換基(例えば、ハロ(特にクロロおよびフルオロ)、ヒドロキシル、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、アミノ、アルキルアミノ、およびスルホキシ)を変更しない、非炭化水素基を含有する置換基、(3)ヘテロ置換基、すなわち、本明細書の文脈において、主に炭化水素の特性を有するが、そうでなければ炭素原子で構成される環または鎖中に炭素以外を含有する置換基が挙げられる。ヘテロ原子は、硫黄、酸素、窒素を含み、カルボニル、アミド、イミド、ピリジル、フリル、チエニル、ウレイル、およびイミダゾリルのような置換基を包含する。一般に、ヒドロカルビル基中の10個の炭素原子毎に2個以下、またはさらなる例として、1個以下の非炭化水素置換基が存在し、いくつかの実施形態では、ヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基は存在しない。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「多量」という用語は、組成物の総重量に対して50重量%以上、例えば、約80〜約98重量%の量を意味すると理解される。また、本明細書で使用されるとき、「少量」という用語は、組成物の総重量に対して50重量%未満の量を意味すると理解される。
【0036】
より詳細を見ると一態様では、本明細書におけるPMAスターポリマーは、コアのチオール官能基から延在する重合スターアームを形成する硫黄官能化連鎖移動剤またはコアおよび選択(メタ)アクリレートモノマーのランダム重合反応生成物である。本明細書における様々な実施形態のスターポリマーは、少なくとも3個のアームおよび最大12個のアーム、他のアプローチでは、3〜6個のアーム、またさらなるアプローチでは、3〜4個のアームを有し得る。
【0037】
いくつかのアプローチでは、PMAスターポリマーは、式I
[(PMA)−Q−R
1−C(O)−O−CH
2]
m−C−A
n(式I)
のポリマーまたは構造を含み、式中、PMAは、約20〜約35モルパーセントの1〜4個の炭素のアルキル鎖長を有する短鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位、約60〜約80モルパーセントの12〜20個の炭素のアルキル鎖長を有する長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位、および任意に約5〜約10モルパーセントの2〜7個の炭素を含むヒドロキシアルキル鎖を有する酸素官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位を含む、ランダム重合(メタ)アクリレートモノマー単位を含むポリマー鎖を示す。式Iの各Q基は、独立して、硫黄原子または有機硫黄基であり、R
1は、1〜10個の炭素の置換または非置換結合またはアルキレン基である。
【0038】
式Iにおいて、A基は、独立して、水素、アルキル基、または独立して(PMA、R
1、およびQが上記で定義された通りである)式A1、A2、もしくはA3:
−O−C(O)−R
1−Q−(PMA)(式A1)、
−C(A1)CH
2−O−C(O)−R
1−Q−(PMA)(式A2)、
−CH
2−O−CH
2−C−[CH
2−O−C(O)−Q−(PMA)]
r(式A3)
から選択される基から選択される。
【0039】
式Iにおいて、mは、0または1〜4の整数であり、mが4未満である場合、Aは、独立して水素、アルキル基、または式A1、A2、もしくはA3から選択される少なくとも1つの基を含み、nは、0または1〜4の整数であり、式A3におけるrは、1〜3の整数である(rが3未満である場合、r部分が結合した炭素は、水素(複数可)でさらに置換され得る)。本明細書の実施形態のいくつかのアプローチでは、m+nは、4に等しい。
【0040】
スターポリマーを形成するために、整数mと関連した基、A基、および整数rと関連した基は、それに隣接する炭素原子に結合しており、以下により完全に示される。いくつかのアプローチでは、ポリ(メタ)アクリレートスターポリマーは、約20〜約500Kg/molの重量平均分子量および1.1超〜約4.0の多分散指数を有する。
【0041】
式IのPMA基のための選択(メタ)アクリレートモノマー(または得られるポリマー中のモノマー/繰り返し単位)は、少なくとも式IIおよび式IIIの(メタ)アクリレートモノマーを含み、
【0043】
式中、R
5は、そのモノマーまたは繰り返し単位がアクリレートである場合は水素、またはそのモノマーまたは繰り返し単位がメタクリレートである場合はCH
3であり、R
6は、1〜4個の炭素原子を有する短鎖アルキルまたはヒドロカルビル基であり、R
7は、12〜20個の炭素を有する長鎖アルキル基またはヒドロカルビル基である。いくつかのアプローチでは、(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位は、(すなわち、側鎖中の全てのPMAモノマーまたはモノマー単位に対して)約20〜約35モルパーセントの式IIの短鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位を含み、約60〜約80モルパーセントの(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位は、式IIIの長鎖アルキルモノマーである。他のアプローチでは、以下でさらに議論されるように、(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位は、(同様に、全PMAモノマーまたはモノマー単位に対して)約5〜約10モルパーセントのヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMAまたはHEA)モノマーのような酸素官能性アルキル(メタ)アクリレートをさらに含み得る。
【0044】
いくつかのアプローチでは、反応生成物は、反応媒体中で生成される。反応媒体は、希釈剤油をさらに含み得る。反応媒体中の反応生成物(すなわち、PMAスターポリマー)の重量パーセントは、約30重量パーセント〜約60重量パーセント(例えば、約40パーセント〜約50重量パーセント)であり得る。さらなる実施形態では、反応媒体中の反応生成物の重量パーセントは、約40パーセントである。別のさらなる実施形態では、反応媒体中の反応生成物の重量パーセントは、約50パーセントである。典型的には、反応生成物の残りは、希釈剤油である。
【0045】
スターポリマー
一態様では、本開示は、いくつかのアプローチでは、潤滑油組成物または用途における粘度指数向上剤(VII)に適したポリマーである、スターポリマーを含む。ポリマーは、多チオール官能性連鎖移動剤コアから延在するアームとしてランダムに重合された、任意に酸素官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマー(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)および/またはアミン系モノマー(例えば、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートモノマー)と組み合わされた、選択量の長鎖および短鎖両方のアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含むスターポリマー構造の形態の反応生成物を含む。いくつかのアプローチでは、本明細書のスターポリマーは、少なくとも3個のアームおよび最大12個のアームを有し得るが、より好ましくは、スターポリマーは、3〜6個のアーム、他のアプローチでは、3〜4個のアームを有する。
【0046】
1つのアプローチでは、ポリマーは、4つのチオール官能部位を有する連鎖移動剤コアに由来する。このアプローチでは、スターポリマーは、それぞれペンタエリスリトールまたはエリスリトールから誘導されたコアを含む以下の式IVまたは式Vの構造を有し得る(PMA、Q、およびR
1は、前述の通りである):
【0048】
スターポリマーは、他のアプローチでは、3つのチオール官能部位を有する連鎖移動剤コアも含み得る。このアプローチでは、スターポリマーは、以下の式VIまたはVIIの構造を有し、R
8が1〜4個の炭素を有するアルキル鎖である、グリセロール、トリメチロールエタン、またはプロパンから誘導されたコアを含み得る(PMA、Q、およびR
1は、上記の通りである):
【0050】
スターポリマーは、また他のアプローチでは、6つのチオール官能部位を有する連鎖移動剤コアを含み得る。このアプローチでは、スターポリマーは、以下の式VIIIの構造を有し、ジペンタエリスリトールから誘導されたコアを含み得る(PMA、Q、およびR
1は、前述の通りである):
【0052】
スターポリマーは、式Iと一貫した他の構造を有し得る。上記の追加の式は、本開示の可能なスターポリマーの単なる例である。
【0053】
式I(および他の式IV〜VIII)のスターポリマーは、約20〜約500kg/mol(例えば、約40〜約400kg/mol、約40〜約300kg/mol、または約100〜約300kg/mol)の重量平均分子量を有し得る。またさらなるアプローチでは、式Iのポリマーは、約40〜約500kg/モル、他のアプローチでは、約100〜約500kg/モル、およびまたさらなるアプローチでは、約200〜約500kg/モルの重量平均分子量を有する。さらなる実施形態では、式Iのスターポリマーは、約45、約115、約165、または約215kg/molの重量平均分子量を有する。
【0054】
連鎖移動剤コア:本明細書のスターポリマーを形成する中心またはコアは、以下でさらに議論されるように、PMAモノマー単位のための複数のチオール官能基または結合部位を有する連鎖移動剤コアを含む。1つのアプローチでは、連鎖移動剤コアは、三〜六官能性アルコールおよびメルカプトカルボン酸の反応生成物から誘導されるか、またはそれを含む。三〜六官能性アルコールは、例えば、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、それらの混合物、および同様のアルコールから選択され得る。メルカプトカルボン酸は、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酪酸、メルカプトペンタン酸、メルカプトヘキサン酸、メルカプトデカン酸、およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0055】
いくつかのアプローチでは、連鎖移動剤コアは、以下に示される式ICの化合物を含むことができ、
[Q−R
1−C(O)−O−CH
2]
m−C−A’
n (式1C)
式中、Q、R
1、ならびにmおよびnは、上述の通りであり、A’は、水素、アルキル基、または独立してその上にPMAモノマーを含まない式A1、A2、もしくはA3から選択される基である。
【0056】
他のアプローチでは、連鎖移動剤コアは、示されるQがチオールであり、示されるR
1がエチレンである、下記多官能性チオール化合物から選択される(もちろん、QおよびR
1は、本明細書で議論される他の部分であり得る):
【0058】
上記式は、ジペンタエリスリトールから誘導される。
【0059】
式Iにおける「Q」によって表される各硫黄官能基は、本明細書で議論されるように、短鎖、長鎖、および他の任意のモノマー(例えば、HEMA、DMAPMA、および/またはDMAPMADモノマー)の従来のまたは制御されたフリーラジカル重合の連鎖移動点を提供する。従来のフリーラジカル重合が使用される場合、Q基は、好ましくはメルカプト基であり、反応媒体は、ラジカル(または重合)開始剤を含み得る。さらなる実施形態では、ラジカル開始剤は、Vazo(商標)67(2.2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))または同様のラジカル開始剤であり得る。
【0060】
RAFTのようなより複雑な重合方法が使用される場合、Q基は、適切なRAFT開始剤、RAFT連鎖移動剤の一部分、またはPDASポリマー骨格に結合したRAFT剤の類似体であり得る。Qに適し得る適切なRAFT連鎖移動剤、その一部分、またはその類似体の例としては、ベンジル1−(2−ピロリジノン)カルボジチオエート、ベンジル(1,2−ベンゼンジカルボキシミド)カルボジチオエート、2−シアノプロプ−2−イル1−ピロールカルボジチオエート、2−シアノブト−2−イル1−ピロールカルボジチオエート、ベンジル1−イミダゾールカルボジチオエート、N,N−ジメチル−S−(2−シアノプロプ−2−イル)ジチオカルバメート、N,N−ジエチル−S−ベンジルジチオカルバメート、シアノメチル1−(2−ピロリドン)カルボジトエート、クミルジチオベンゾエート、2−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニル−2−メチル−プロピオン酸ブチルエステル、O−フェニル−S−ベンジルキサンテート、N,N−ジエチル−S−(2−エトキシ−カルボニルプロプ−2−イル)ジチオカルバメート、ジチオ安息香酸、4−クロロジチオ安息香酸、O−エチル−S−(I−フェニルエチル)キサンテート、O−エチル−S−(2−(エトキシカルボニル)プロプ−2−イル)キサンテート、O−エチル−S−(2−シアノプロプ−2−イル)キサンテート、O−エチル−S−(2−シアノプロプ−2−イル)キサンテート、O−エチル−S−シアノメチルキサンテート、O−ペンタフルオロフェニル−S−ベンジルキサンテート、3−ベンジルチオ−5,5−ジメチルシクロヘキス−2−エン−1−チオンもしくはベンジル3,3−ジ(ベンジルチオ)プロプ−2−エンジチオエート、S,S’−ビス−(α,α’−二置換−α”−酢酸)−トリチオカーボネート、S,S’−ビス−(α,α’−二置換−α”−酢酸)−トリチオカーボネートもしくはS−アルキル−S’−(α,α’−二置換−α”−酢酸)−トリチオカーボネート、ベンジルジチオベンゾエート、1−フェニルエチルジチオベンゾエート、2−フェニルプロプ−2−イルジチオベンゾエート、1−アセトキシエチルジチオベンゾエート、ヘキサキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(チオベンゾイルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス−(2−(チオベンゾイルチオ)−プロプ−2−イル)ベンゼン、1−(4−メトキシフェニル)エチルジチオベンゾエート、ベンジルジチオアセテート、エトキシカルボニルメチルジチオアセテート、2−(エトキシカルボニル)プロプ−2−イルジチオベンゾエート、2,4,4−トリメチルペント−2−イルジチオベンゾエート、2−(4−クロロフェニル)プロプ−2−イルジチオベンゾエート、3−ビニルベンジルジチオベンゾエート、4−ビニルベンジルジチオベンゾエート、S−ベンジルジエトキシホスフィニルジチオホルメート、tert−ブチルトリチオペルベンゾエート、2−フェニルプロプ−2−イル4−クロロジチオベンゾエート、2−フェニルプロプ−2−イル1−ジチオナフタレート、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート、ジベンジルテトラチオテレフタレート、ジベンジルトリチオカーボネート、カルボキシメチルジチオベンゾエートもしくはジチオベンゾエート末端基を有するポリ(エチレンオキシド)、またはそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、Qに適したRAFT連鎖移動剤としては、2−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニル−2−メチル−プロピオン酸ブチルエステル、クミルジチオベンゾエート、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0061】
例えば、RAFT重合が使用される場合、Q基は、有機硫黄基であり、
【0063】
から選択することができ、式中、R
2は、(任意に、R
1鎖のα位にシアノまたはエステル基のようなラジカル安定化官能基を含む)第一級、第二級、または第三級C
1〜C
12アルキル基またはヒドロカルビル基である。本明細書における構造内では、波線は、式Iのコアへの結合点を示す。
【0064】
短鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位:一実施形態では、(メタ)アクリレートモノマーは、側鎖またはアームモノマー単位の総量に対して約10〜約40モルパーセントの短鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位、他のアプローチでは、約15〜約30モルパーセント、また他のアプローチでは、約20〜約35モルパーセントの短鎖アルキル(メタ)アクリレートを含み得る。短鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位は、1〜4個の炭素原子のアルキル鎖長を有するものを含み、例えば、以下の構造に示されるようなメチル(メタ)アクリレートおよびn−ブチル(メタ)アクリレートを含み、
【0066】
式中、R
5は、モノマーまたはモノマー単位がアクリレートである場合に水素であり、モノマーまたはモノマー単位がメタクリレートである場合にメチルまたはCH
3であり、R
6は、C
1〜C
4炭素またはヒドロカルビル鎖である。例示的な短鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位としてn−ブチル(メタ)アクリレート(n−BMA)およびメチル(メタ)アクリレート(MMA)も上記に示される。短鎖アルキル(メタ)アクリレートは、特定の用途の必要に応じて、エチル、プロピル、またはt−ブチル(メタ)アクリレートでもあり得る。他のアプローチでは、(メタ)アクリレートモノマーは、本明細書で議論される他のモノマーまたは単位と組み合わせて、少なくとも約20モルパーセント、例えば、約20モルパーセント、約25モルパーセント、または約30モルパーセントの短鎖アルキル(メタ)アクリレートを含み得る。
【0067】
長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位:(メタ)アクリレートモノマーは、側鎖またはアームモノマー単位の総量に対して約50〜約85モルパーセント(他のアプローチでは、約60〜約80モルパーセント、またさらなるアプローチでは、約65〜約75モルパーセント)の長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーも含み得る。長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、一般に、以下の式IIIによって表され、以下の構造に示されるように12〜20個の炭素のアルキル鎖長を有するものを含み、ラウリル(メタ)アクリレートまたはLMA(以下に定義する)およびセチル−エイコシル(メタ)アクリレートまたはCEMA(以下に定義する)を含むことができ、
【0069】
式中、R
5は、モノマーまたはモノマー単位がアクリレートである場合に水素であり、モノマーまたはモノマー単位がメタクリレートである場合にメチルまたはCH
3であり、R
7は、C
12〜C
20アルキル鎖である。また別のアプローチでは、(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも約65モルパーセント(他のアプローチでは、約65モルパーセント、約70モルパーセント、または約75モルパーセント)の長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはその繰り返し単位を含み得る。
【0070】
上記に示されるように、長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位は、ラウリル(メタ)アクリレートまたはLMAを含み得る。本明細書で使用されるラウリル(メタ)アクリレートは、ブレンド中にC
12〜C
15の範囲のアルキル鎖長、特に12、14、および15個の炭素のアルキル鎖を有する(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位のブレンドを含む。例えば、LMAまたはLMAブレンドは、大多数のC
12鎖を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位を含むことができ、ブレンド中に混合された少量のC
14およびC
15鎖を有するモノマーまたはモノマー単位をさらに含む。1つのアプローチでは、LMAは、約67〜約75モルパーセントのC
12アルキル鎖(他のアプローチでは、約69〜約75モルパーセントのC
12鎖)を有するアルキル(メタ)アクリレートを含み、また約24〜約30モルパーセントのC
14アルキル鎖(他のアプローチでは、約25〜約29のC
14鎖)を有するアルキル(メタ)アクリレート、および約0〜約3モルパーセントのC
15アルキル鎖(他のアプローチでは、約1〜約2モルパーセントのC
15鎖)を有するアルキル(メタ)アクリレートを含み得る。特に明記されない限り、本開示がLMAまたはラウリル(メタ)アクリレートに言及する場合、上記モノマーまたはモノマー単位のブレンドが意図され、ブレンド中の全てのモノマーは、ランダムモノマー単位またはランダム繰り返し単位としてそれらのそれぞれの量で連鎖移動剤コアにランダムに重合されるであろう。
【0071】
長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位は、セチル−エイコシル(メタ)アクリレートまたはCEMAも含み得る。本明細書で使用されるセチル−エイコシル(メタ)アクリレートは、いくつかのアプローチでは、C
16〜C
20の範囲のアルキル鎖長、特に16、18、および20個の炭素を有する(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位のブレンドを含む。例えば、CEMAモノマーブレンドまたはモノマー単位ブレンドは、少量のC
20鎖と共に大多数のC
16およびC
18鎖を含み得る。本明細書では簡潔に、CEMAモノマーまたはモノマー単位は、大多数のC
16および/またはC
18アルキル鎖を含有し得るが、C
18アルキル鎖を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位と称され得る。1つのアプローチでは、CEMAモノマーは、約29〜約36モルパーセントのC
18アルキル鎖(他のアプローチでは、約30〜約35モルパーセントのC
18鎖)を有するアルキル(メタ)アクリレートを含み、また約46〜約54モルパーセントのC
16アルキル鎖(他のアプローチでは、約47〜約53モルパーセントのC
16鎖)を有するアルキル(メタ)アクリレート、および約9〜約17モルパーセントのC
20アルキル鎖(他のアプローチでは、約10〜約16モルパーセントのC
20鎖)を有するアルキル(メタ)アクリレートを含み得る。いくつかのアプローチでは、CEMAは、最大約4.5モルパーセントのC
16よりも短いアルキル鎖を有する(メタ)アクリレート、および最大3モルパーセントのC
20よりも長いアルキル鎖も含み得る。特に明記されない限り、本開示がCEMAまたはセチル−エイコシル(メタ)アクリレートに言及する場合、上記モノマーまたはモノマー単位のブレンドが意図され、ブレンド中の全てのモノマーは、ランダムモノマー単位またはランダム繰り返し単位としてそれらのそれぞれの量でポリマーにランダムに重合される。
【0072】
酸素官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位:いくつかのアプローチでは、本明細書におけるポリマーは、酸素官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位を含む。いくつかのアプローチでは、酸素官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMAまたはHEA)、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0073】
他のアプローチでは、酸素官能性モノマーは、HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)もしくはHEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート)または以下に示される構造を有するヒドロキシエステル(メタ)アクリレートであり、
【0075】
式中、R
5は、モノマーもしくはモノマー単位がアクリレートである場合に水素であるか、またはモノマーもしくはモノマー単位がメタクリレートである場合にメチル(CH
3)である。1つのアプローチでは、(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位は、側鎖またはアームモノマー単位の総量に対して0〜約10モルパーセント、他のアプローチでは、約5〜約10モルパーセントのHEMAもしくはHEAまたは他の酸素官能性アルキル(メタ)アクリレートを含む。他のアプローチでは、短鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、約10〜約30モルパーセントのHEMAもしくはHEAまたは他の酸素官能性モノマーまたはモノマー単位を含み得る。
【0076】
重合:重合中およびいくつかのアプローチでは、反応混合物中の上記モノマーは、スターポリマーコアまたは連鎖移動剤コア/中心(例えば、Q部分)の硫黄官能基上のフリーラジカルと反応し、次いで[または同時に]モノマーオレフィン官能基に炭素−炭素結合をランダムに形成し、好ましくは硫黄官能基に結合してポリマーコアから延在するスターアームを形成する直鎖ランダムポリマーを形成する。これらの好ましい直鎖ポリマー(PMA)は、コアの硫黄官能基から外側に延在し、炭素鎖(PMA)の繰り返し単位またはモノマー単位は、元の反応混合物中のモノマーの濃度と一貫した官能性部分または側鎖を有する。モノマー単位または繰り返し単位は、硫黄官能基から延在する側鎖にランダムに重合される。
【0077】
本開示の重合は、いくつかの形成方法を示唆するために、従来のフリーラジカル重合(FRP)または可逆的付加−開裂連鎖移動重合(RAFT)のような、様々なタイプの反応を用いて達成することができる。しかしながら、本開示の利点は、他のタイプの重合よりも技術的要求が少なく、より経済的である、従来のFRPを使用することができることである。一態様では、本開示の重合は、一般に
図1によって表されるランダムスターポリマーおよび式Iの以下の一般構造の反応生成物を形成することができ、
【0079】
ここで、上記式中のR
1は、C2炭化水素鎖であり(ただし上記で定義されるいずれのR1であってもよく)、aは、約20〜約35モルパーセントの短鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたは繰り返し単位をもたらすのに十分な整数であり、bは、約0〜約10モルパーセントのHEMAまたはHEAモノマーまたは繰り返し単位(または本明細書に記載される他の酸素官能性モノマー)をもたらす整数であり、cは、約0〜約10モルパーセントのアミン系モノマーまたは繰り返し単位(DMAPMAまたはDMAPMAD、ただし本明細書に記載のアミン系モノマー単位のいずれかであってもよい)をもたらす整数であり、dは、約60〜約80モルパーセントのR
7がC12〜C15炭素鎖である長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたは繰り返し単位をもたらす整数であり、eは、約0〜約10モルパーセントのR
7’がC16〜C20炭素鎖である長鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマーまたは繰り返し単位をもたらす整数である。整数a、b、c、d、およびeの関連部分または基は、ポリマーの側鎖またはスターアームとしてランダムに重合される。構造はQ部分に結合した「a」基を示すが、a、b、c、d、またはe基のいずれもQ部分またはその硫黄にランダムに結合し得る。変数mおよびnは上記のような整数であり、上記式中の他の変数は前述の通りである。
【0080】
この態様の一実施形態では、本明細書におけるスターポリマーの側鎖またはアームを形成するPMA官能基は、本明細書で議論される長鎖および短鎖アルキル(メタ)アクリレートモノマー、ならびに任意に、HEMAもしくはHEA(または他の酸素官能性アルキル(メタ)アクリレート)、ならびに/またはアミン系モノマーの、いずれかの組み合わせを含む直鎖メタ(アクリレート)ポリマーである。別の実施形態では、長鎖(メタ)アクリレートモノマーは、LMAおよびCEMAモノマー、またはそれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、短鎖(メタ)アクリレートモノマーは、n−BMAおよびMMAモノマー、またはそれらの組み合わせから選択される。さらなる実施形態では、短鎖(メタ)アクリレートモノマーは、MMAモノマーである。
【0081】
一実施形態では、本開示のスターポリマーのPMA官能基は、約50〜約90モルパーセントの長鎖モノマー、約10〜約40モルパーセントの短鎖モノマー、0〜約20モルパーセントのHEMAまたはHEA、および0〜約10モルパーセントのDMAPMAまたはDMAPMADを含む直鎖(メタ)アクリレートポリマーである。別の実施形態では、本発明のスターポリマーのPMA官能基は、約60〜約80モルパーセントの長鎖モノマー、20〜約35モルパーセントの短鎖モノマー、0〜約20モルパーセントのHEMAまたはHEA、および0〜約10モルパーセントのDMAPMAまたはDMAPMADを含む直鎖(メタ)アクリレートポリマーである。別の実施形態では、本発明のスターポリマーのPMA官能基は、約65〜約75モルパーセントの長鎖モノマー、20〜約30モルパーセントの短鎖モノマー、0〜約10モルパーセントのHEMAまたはHEA、および0〜約5モルパーセントのDMAPMAまたはDMAPMADを含む直鎖(メタ)アクリレートポリマーである。
【0082】
本明細書で使用されるとき、「モノマー」は、一般に、重合前の反応混合物内の化合物を指し、モノマー単位または(あるいは)繰り返し単位は、ポリマー骨格内、または本明細書におけるスターポリマーの場合、側鎖アーム内で重合されるモノマーを指す。述べたように、本明細書における様々なモノマーは、モノマー単位または繰り返し単位として側鎖またはアーム内でランダムに重合される。議論がモノマーに言及する場合、それは、ポリマーまたは側鎖アームにおいて得られたモノマー単位またはその繰り返し単位も意味する。同様に、議論がモノマー単位または繰り返し単位に言及する場合、それは、関連モノマーまたはその中の繰り返し単位でポリマーを形成するのに使用されるモノマー混合物も意味する。
【0083】
一実施形態では、本開示の反応生成物またはスターポリマーは、少なくとも約10kg/モル、他のアプローチでは、少なくとも約100kg/モル、他のアプローチでは、少なくとも約150kg/モル、また他のアプローチでは、少なくとも約200kg/モルの重量平均分子量を有する。ポリマーは、約10kg/モル〜約600kg/モル、他のアプローチでは、約10kg/モル〜約50kg/モル、またさらなるアプローチでは、約50〜約100kg/モル、さらなるアプローチでは、約100kg/モル〜約600kg/モル、他のアプローチでは、約150kg/モル〜約600kg/モル、また他のアプローチでは、約200〜約500kg/モルの範囲の重量平均分子量も有し得る。
【0084】
本開示の様々なスターポリマー実施形態は、約1.0〜約4.5、他のアプローチでは、約1.1〜約4.0、他のアプローチでは、約1.5〜約4.0、また他のアプローチでは、約1.5〜約3.7の多分散指数(PDI)も有し得る。従来のフリーラジカル重合が使用される場合、PDIは、約1.5〜約4.0であり得る。
【0085】
一実施形態では、本開示のスターポリマーのPMA官能基のアルキル(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位は、メチル(メタ)アクリレートおよびラウリル(メタ)アクリレートの両方を含み、ポリマーは、最大約95モルパーセント(他のアプローチでは、最大90モルパーセント)の組み合わされたメチル(メタ)アクリレートモノマー単位およびラウリル(メタ)アクリレートモノマー単位を有する側鎖を含み得る。他のアプローチでは、側鎖は、約75モルパーセント〜約95モルパーセント(例えば、75モルパーセント、77.5モルパーセント、80モルパーセント、82.5モルパーセント、85モルパーセント、88.3モルパーセント、および90モルパーセント)の組み合わされたメチル(メタ)アクリレートおよびラウリル(メタ)アクリレートを含み得る。
【0086】
別の実施形態では、本発明のスターポリマーのPMA官能基のアルキル(メタ)アクリレートモノマー単位は、約7.5モルパーセント以下(他のアプローチでは、約0〜約7.5モルパーセント、約2〜約7.5モルパーセント、約2〜約5モルパーセント、約3.3モルパーセント、または約5モルパーセント)の16〜20個の炭素の平均アルキル鎖長を有するより長鎖のアルキル(メタ)アクリレートモノマー単位をさらに含む。
【0087】
別の実施形態では、本発明のスターポリマーのPMA官能基のアルキル(メタ)アクリレートモノマー単位は、約12.5モルパーセント以下(他のアプローチでは、約0〜約12.5モルパーセント、約0〜約7.5モルパーセント、約5モルパーセント、または約10モルパーセント)のヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMAまたはHEA)モノマーをさらに含む。
【0088】
分散剤モノマーおよび他のモノマー単位:本明細書におけるスターポリマーは、任意に、(メタ)アクリル系および1つ以上のアミン系または分散剤モノマーまたはモノマー単位を含む他のモノマーおよびモノマー単位で官能化され得る。例えば、(メタ)アクリレートモノマーまたはモノマー単位は、約0〜約7.5モルパーセント(他のアプローチでは、約1〜約7.5モルパーセント)の1つ以上のアミン系もしくは分散剤モノマーもしくはモノマー単位の他のモノマー単位、または側鎖アーム内で重合した他の(メタ)アクリルモノマーもしくはモノマー単位を含み、ポリマーに分散剤官能基または他の分散官能基を提供し得る。他のアプローチでは、ポリマーは、約2〜約6、約3〜約4、または約3〜約5モルパーセントの分散剤または他のモノマー単位を含み得る。1つのアプローチでは、アミン系または分散剤モノマーまたはモノマー単位は、窒素含有モノマーまたはその単位であり得る。そのようなモノマーは、使用される場合、ポリマーに分散剤官能基を付与し得る。別の実施形態では、本発明のスターポリマーのPMA官能基のアルキル(メタ)アクリレートモノマー単位は、約7.5モルパーセント以下(他のアプローチでは、約0〜約7.5モルパーセント、約2〜約7.5モルパーセント、約2〜約5モルパーセント、約3.3モルパーセント、または約5モルパーセント)のジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート(DMAPMA)モノマーまたはジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド(DMAPMAD)をさらに含む。
【0089】
いくつかのアプローチでは、窒素含有モノマーは、メタクリレート、メタクリルアミドなどのような(メタ)アクリルモノマーであり得る。いくつかのアプローチでは、窒素含有部分のアクリル部分への結合は、窒素原子またはあるいは酸素原子を介することができ、その場合、モノマーの窒素はモノマー中の他の場所に位置するであろう。窒素含有モノマーは、ビニル置換窒素複素環モノマーおよびビニル置換アミンのような(メタ)アクリルモノマー以外であり得る。窒素含有モノマーは、周知であり、例は、例えば、US6,331,603に開示されている。他の適切な分散剤モノマーとしては、これらに限定されないが、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、N−第三級アルキルアクリルアミド、およびN−第三級アルキルメタクリルアミドが挙げられ、アルキル基またはアミノアルキル基は、独立して、1〜8個の炭素原子を含有し得る。例えば、分散剤モノマーは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートであり得る。窒素含有モノマーは、例えば、t−ブチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、またはN−ビニルカプロラクタムであり得る。それは、4−フェニルアゾアニリン、4−アミノジフェニルアミン、2−アミノベンズイミダゾール、3−ニトロアニリン、4−(4−ニトロフェニルアゾ)アニリン、N−(4−アミノ−5−メトキシ−2−メチル−フェニル)−ベンズアミド、N−(4−アミノ−2,5−ジメトキシ−フェニル)−ベンズアミド、N−(4−アミノ−2,5−ジエトキシ−フェニル)−ベンズアミド、N−(4−アミノ−フェニル)−ベンズアミド、4−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸フェニルエステル、およびN,N−ジメチル−フェニレンジアミンを含むWO2005/087821に開示される芳香族アミンのいずれかをベースとする(メタ)アクリルアミドでもあり得る。
【0090】
アミン系または分散剤モノマーは、DMAPMA(ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート)またはDMAPMAD(ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド)であり得、これらは、以下に示される一般的および特異的な構造を有するアミノアルキルエステルであり、
【0092】
式中、R
3は、水素またはメチル基であり、pは、1〜6の整数であり、各R
4は、独立して、C
1〜C
4アルキルまたはヒドロカルビル基であり、Aは、酸素またはNHである。1つのアプローチでは、短鎖アルキル(メタ)アクリレートは、0〜約30モルパーセント、他のアプローチでは、約10〜約30モルパーセント、また他のアプローチでは、約10〜約20モルパーセントのアミン系または分散剤モノマー、例えば、前段落からのもの、上記一般式、またはDMAPMAもしくはDMAPMADを含む。
【0093】
潤滑油組成物
別の態様では、本開示は、上記の独自のスターポリマーVIIを含む潤滑油組成物を含む。潤滑油組成物は、ドライブラインオイル、自動車トランスミッションフルード、エンジンオイル、金属加工油などであり得る。1つのアプローチでは、潤滑油組成物は、重量にして多量(または50%超)の基油および少量の少なくとも本明細書に記載のスターポリマー粘度指数向上剤を含む。潤滑油組成物は、以下でさらに議論される他の添加剤または成分も含み得る。
【0094】
この態様の一実施形態では、潤滑油組成物中のスターポリマーVIIの(活性分または油非含有分に基づく)処理率は、約1〜約25重量パーセント、他のアプローチでは、約1〜約10重量パーセント、また他のアプローチでは、約4〜約10重量パーセントである。いくつかの他のアプローチでは、潤滑油組成物は、約4.7%、約5.2%、約6.0%、もしくは約9.7重量%、またはその間のいずれかの範囲の本明細書におけるスターポリマーを粘度指数向上剤として含み得る。
【0095】
本明細書で使用されるとき、「油組成物」、「潤滑組成物」、「潤滑油組成物」、「潤滑油」、「潤滑剤組成物」、「完全配合潤滑剤組成物」、および「潤滑剤」という用語は、多量の基油と少量の粘度指数向上剤および他の任意成分を含む最終潤滑製品を指す、同義の完全に互換的な用語とみなされる。いくつかのアプローチでは、潤滑油組成物は、オートマチックトランスミッションフルードであり得、そのような用途では、ASTM−D2983を使用して約30,000cP(センチポアズ、動的粘度の単位)以下、いくつかのアプローチでは、約5,000〜約20,000cPの−40℃でのブルックフィールド粘度を有し得る。他のアプローチでは、これらの潤滑油組成物の100℃での動粘度は、約3.5〜約7.0cStの範囲である。
【0096】
潤滑油に使用される場合、本明細書におけるスターポリマーは、潤滑油組成物中のポリマーの重量パーセント当たり約45〜約65の粘度指数単位のいわゆる増粘VIを有し得る。いくつかのアプローチでは、この増粘VIは、潤滑油中のスターポリマーの約10重量パーセント以下の、活性分またはポリマーに基づく、低い処理率で達成され得る。本明細書で使用されるとき、増粘VIは、粘度指数を油中のポリマーの重量パーセントで割ることによって計算される係数である。単位は、最終油中のポリマーの重量パーセント当たりのVI単位である。
【0097】
基油:本明細書で使用されるとき、「基油」という用語は、一般に、米国石油協会(API)カテゴリーグループによって分類される油、グループI〜V油、ならびに動物油、植物油(例えば、ヒマシ油およびラード油)、石油、鉱物油、合成油、および石炭または頁岩由来の油を指す。米国石油協会は、これらの異なるベースストックタイプを次のように分類した:グループI、0.03重量パーセント超の硫黄、および/または90体積パーセント未満の飽和物、80〜120の粘度指数;グループII、0.03重量パーセント以下の硫黄、および90体積パーセント以上の飽和物、80〜120の粘度指数;グループIII、0.03重量パーセント以下の硫黄、および90体積パーセント以上の飽和物、120超の粘度指数;グループIV、全ポリアルファオレフィン。水素化処理ベースストックおよび接触脱蝋ベースストックは、それらの低硫黄および芳香族化合物含有量のために、一般にグループIIおよびグループIIIカテゴリーに入る。ポリアルファオレフィン(グループIVベースストック)は、様々なアルファオレフィンから調製された合成基油であり、硫黄および芳香族を実質的に含まない。
【0098】
グループI、II、およびIIIは、鉱物油プロセスストックである。グループIV基油は、オレフィン性不飽和炭化水素の重合によって生成される、真の合成分子種を含有する。多くのグループV基油も真の合成生成物であり、ジエステル、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、アルキル化芳香族、ポリリン酸エステル、ポリビニルエーテル、および/またはポリフェニルエーテルなどを含み得るが、植物油のような天然に存在する油でもあり得る。グループIII基油は、鉱物油に由来するが、これらの流体が受ける厳しい加工のために、それらの物理的特性がPAOのようないくつかの真の合成物に非常に類似することに留意されたい。したがって、グループIII基油由来の油は、業界では合成流体と称されることがあり得る。
【0099】
開示される潤滑油組成物に使用される基油は、鉱物油、動物油、植物油、合成油、またはそれらの混合物であり得る。適切な油は、水素化分解、水素化、水素化仕上げ、未精製、精製、および再精製油、およびそれらの混合物から誘導され得る。
【0100】
未精製油は、少しのさらなる精製処理を行ったか、または行っていない、天然、鉱物、または合成源から誘導されたものである。精製油は、1つ以上の特性の向上をもたらし得る、1つ以上の精製ステップによって処理されたことを除いて、未精製油と同様である。適切な精製技法の例は、溶媒抽出、二次蒸留、酸または塩基抽出、濾過、透過などである。食用油の品質に精製された油は、有用である場合もそうでない場合もある。食用油は、白油と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、潤滑剤組成物は、食用油または白油を含まない。
【0101】
再精製油は、再生または再加工油としても知られている。これらの油は、同一または類似のプロセスを用いて精製油を得るのに用いられるものと同様の方法で得られる。多くの場合、これらの油は、使用済み添加剤および油分解生成物の除去に関する技法によってさらに加工される。
【0102】
鉱物油は、掘削によって、または植物および動物から得られる油、ならびにそれらの混合物を含み得る。例えば、そのような油としては、ヒマシ油、ラード油、オリーブ油、ピーナツ油、トウモロコシ油、ダイズ油、およびアマニ油、ならびに液体石油およびパラフィン系、ナフテン系、または混合パラフィン−ナフテン系の溶媒処理または酸処理鉱物潤滑油のような鉱物潤滑油を挙げることができるが、これらに限定されない。そのような油は、望ましい場合、部分または完全水素化され得る。石炭または頁岩由来の油も有用であり得る。
【0103】
有用な合成潤滑油としては、重合、オリゴマー化、もしくは共重合オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレンイソブチレンコポリマー)のような炭化水素油;ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、1−デセンのトリマーもしくはオリゴマー、例えば、ポリ(1−デセン)、しばしばα−オレフィンと称されるそのような材料、およびそれらの混合物;アルキル−ベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)−ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニル);ジフェニルアルカン、アルキル化ジフェニルアルカン、アルキル化ジフェニルエーテル、およびアルキル化硫化ジフェニル、ならびにそれらの誘導体、類似体、および相同体、またはそれらの混合物を挙げることができる。
【0104】
他の合成潤滑油としては、ポリオールエステル、ジエステル、リン含有酸の液体エステル(例えば、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、およびデカンホスホン酸のジエチルエステル)、またはポリマーテトラヒドロフランが挙げられる。合成油は、フィッシャー−トロプシュ反応によって生成され得、典型的には、水素異性化フィッシャー−トロプシュ炭化水素またはワックスであり得る。実施形態では、油は、フィッシャー−トロプシュガス−ツー−リキッド合成手順によって、および他のガス−ツー−リキッド油から調製され得る。
【0105】
存在する基油または潤滑油の量は、100重量%から本明細書に記載の粘度指数向上剤および本明細書に記載のいずれかのさらなる任意の性能添加剤の量の合計を引いた後に残っている残部であり得る。例えば、最終流体中に存在し得る基油または潤滑油は、約50重量%超、約60重量%超、約70重量%超、約80重量%超、約85重量%超、または約90重量%超のように、多量であり得る。
【0106】
潤滑剤は、特定の用途の必要に応じて他の任意の添加剤も含み得る。いくつかの一般的な任意の添加剤が本明細書に記載されている。
【0107】
任意の添加剤成分
上記の基油および粘度指数向上剤に加えて、オートマチックトランスミッション潤滑組成物のような潤滑剤組成物は、潤滑流体に必要な1つ以上の機能を果たすための他の添加剤も含み得る。さらに、上記添加剤の1つ以上は、多官能性であり、本明細書で規定される機能に加えて、またはそれ以外の他の機能を提供し得る。
【0108】
例えば、本明細書における組成物は、追加の粘度指数向上剤、分散剤、清浄剤、摩擦調整剤、酸化防止剤、腐食防止剤、発泡防止剤、シール膨潤剤、防錆剤、極圧添加剤、耐摩耗剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの成分の1つ以上を含み得る。他の性能添加剤は、上記で特定されたものに加えて、金属不活性化剤、無灰TBNブースター、解乳化剤、乳化剤、流動点降下剤、およびそれらの混合物のうちの1つ以上も含み得る。典型的には、完全配合潤滑油は、これらの性能添加剤のうちの1つ以上を含有するであろう。いくつかの一般的な任意の添加剤成分の例を以下に記載する。
【0109】
追加の粘度調整剤:本明細書における潤滑油組成物は、任意に1つ以上の追加または補足の粘度指数向上剤も含有し得る。適切な補足の粘度指数向上剤としては、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリイソブテン、水素化スチレン−イソプレンポリマー、スチレン/マレイン酸エステルコポリマー、水素化スチレン/ブタジエンコポリマー、水素化イソプレンポリマー、α−オレフィン無水マレイン酸コポリマー、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリレート、ポリアルキルスチレン、水素化アルケニルアリール共役ジエンコポリマー、またはそれらの混合物を挙げることができる。粘度指数向上剤は、スターポリマー、コームポリマーを含むことができ、適切な例は、米国特許出願公開第2012/0101017A1号に記載され得る。
【0110】
本明細書における潤滑油組成物は、任意に、上記で議論されるスターポリマー粘度指数向上剤に加えて、1つ以上の分散剤粘度指数向上剤も含有し得る。適切な分散剤粘度指数向上剤としては、官能化ポリオレフィン、例えば、アシル化剤(無水マレイン酸など)およびアミンの反応生成物で官能化されたエチレン−プロピレンコポリマー、アミンで官能化されたポリ(メタ)アクリレート、またはアミンと反応したエステル化無水マレイン酸−スチレンコポリマーを挙げることができる。
【0111】
使用される場合、任意の追加の粘度調整剤が、潤滑剤中に約0.01〜約10重量パーセントで提供され得る。
【0112】
分散剤:潤滑剤組成物は、1つ以上の選択分散剤またはそれらの混合物を含む。分散剤は、潤滑油組成物への混合前にそれらが灰形成金属を含有せず、潤滑剤への添加時にそれらが通常いかなる灰にも寄与しないため、しばしば無灰型分散剤として知られる。無灰型分散剤は、比較的高分子量の炭化水素鎖に結合した極性基を特徴とする。本開示について発見された特定の無灰分散剤は、ホウ素化およびリン酸化N−置換長鎖アルケニルスクシンイミドを含む。
【0113】
N−置換長鎖アルケニルスクシンイミドは、(180〜約18,000の数平均分子量を有する)ポリスチレンを較正基準として用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される約1300〜約2300の範囲のポリイソブチレン置換基の数平均分子量を有するポリイソブチレン(PIB)置換基を含み得る。分散剤に使用されるPIB置換基はまた、ASTM D445を用いて決定される約2100〜約2700cStの100℃での粘度を有する。スクシンイミド分散剤およびそれらの調製は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,897,696号および米国特許第4,234,435号に開示されている。スクシンイミド分散剤は、典型的には、ポリアミン、典型的にはポリ(エチレンアミン)から形成されたイミドである。分散剤は、典型的には、ポリアミンによって結合された2つのスクシンイミド部分を含む。ポリアミンは、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、ペンタエチレンヘキサアミン(PEHA)、他の高級窒素エチレンジアミン種および/またはそれらの混合物であり得る。ポリアミンは、直鎖、分岐、および環状アミンの混合物であり得る。PIB置換基は、各スクシンイミド部分に結合され得る。
【0114】
本明細書におけるN−置換ポリイソブチレンスクシンイミド分散剤はまた、所望の摩擦特性を達成するために、ホウ素化およびリン酸化され得る。これらの分散剤は、一般に、i)少なくとも1つのリン化合物および/またはホウ素化合物と、ii)少なくとも1つの無灰分散剤との反応生成物である。
【0115】
本明細書における分散剤を形成するのに有用な適切なホウ素化合物は、ホウ素含有種を無灰分散剤に導入することができるいずれかのホウ素化合物またはホウ素化合物の混合物を含む。そのような反応を行うことができる有機または無機のいずれかのホウ素化合物を使用することができる。したがって、酸化ホウ素、酸化ホウ素水和物、三フッ化ホウ素、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、HBF
4ホウ素酸、例えば、ボロン酸(例えば、アルキル−B(OH)
2、またはアリール−B(OH)
2)、ホウ酸(すなわち、H
3BO
3)、四ホウ酸(すなわち、H
2B
5O
7)、メタホウ酸(すなわち、HBO
2)、そのようなホウ素酸のアンモニウム塩、およびそのようなホウ素酸のエステルを使用することができる。三ハロゲン化ホウ素とエーテル、有機酸、無機酸、または炭化水素との錯体の使用は、ホウ素反応物質を反応混合物に導入する便利な手段である。そのような錯体は、既知であり、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル、三フッ化ホウ素−フェノール、三フッ化ホウ素−リン酸、三塩化ホウ素−クロロ酢酸、三臭化ホウ素−ジオキサン、および三フッ化ホウ素−メチルエチルエーテルによって例示される。
【0116】
本明細書における分散剤を形成するための適切なリン化合物としては、リン含有種を無灰分散剤に導入することができるリン化合物またはリン化合物の混合物が挙げられる。よって、そのような反応を行うことができる有機または無機のいずれかのリン化合物を使用することができる。したがって、そのような無機リン化合物を、無機リン酸、およびその水和物を含む無機酸化リンとして使用することができる。典型的な有機リン化合物としては、リン酸、チオリン酸、ジチオリン酸、チオリン酸、およびテトラチオリン酸のモノ−、ジ−、およびトリエステルのような、リン酸の完全および部分エステル;亜リン酸、チオ亜リン酸、ジチオ亜リン酸、およびトリチオ亜リン酸のモノ−、ジ−、およびトリエステル;酸化トリヒドロカルビルホスフィン;硫化トリヒドロカルビルホスフィン;ホスホン酸モノ−およびジヒドロカルビル、(RおよびR’がヒドロカルビルであり、R’’が水素原子またはヒドロカルビル基である、RPO(OR’)(OR”))、ならびにそれらのモノ−、ジ−、およびトリチオ類似体;亜ホスホン酸モノ−およびジヒドロカルビル、(RおよびR’がヒドロカルビルであり、R’’が水素原子またはヒドロカルビル基である、RP(OR’)(OR’’))、ならびにそれらのモノ−およびジチオ類似体などが挙げられる。よって、そのような化合物を、例えば、亜リン酸(H
3PO
3、H
2(HPO
3)と表されることもあり、オルト−亜リン酸またはホスホン酸と呼ばれることもある)、リン酸(H
3PO
4、オルトリン酸と呼ばれることもある)、次リン酸(H
4P
2O
6)、メタリン酸(HPO
3)、ピロリン酸(H
4P
2O
7)、次亜リン酸(H
3PO
2、ホスフィン酸と呼ばれることもある)、ピロ亜リン酸(H
4P
2O
5、ピロホスホン酸と呼ばれることもある)、亜ホスフィン酸(H
3PO)、トリポリリン酸(H
5P
3O
10)、テトラポリリン酸(H
5P
4O
13)、トリメタリン酸(H
3P
3O
9)、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リンなどとして使用することができる。ホスホロテトラチオ酸(H
3PS
4)、ホスホロモノチオ酸(H
3PO
3S)、ホスホロジチオ酸(H
3PO
2S
2)、ホスホロトリチオ酸(H
3POS
3)、セスキ硫化リン、七硫化リン、および五硫化リン(P
2S
5、P
4S
10と称されることもある)のような部分または全硫黄類似体も、本開示のための分散剤の形成に使用することができる。あまり好ましくないが、PCl
3、PBr
3、POCl
3、PSCl
3などのような無機ハロゲン化リン化合物も使用可能である。
【0117】
同様に、そのような有機リン化合物を、リン酸のモノ−、ジ−、およびトリエステル(例えば、リン酸トリヒドロカルビル、リン酸ジヒドロカルビル一酸、リン酸モノヒドロカルビル二酸、およびそれらの混合物)、亜リン酸のモノ−、ジ、およびトリエステル(例えば、亜リン酸トリヒドロカルビル、亜リン酸ジヒドロカルビル水素、亜リン酸ヒドロカルビル二酸、およびそれらの混合物)、ホスホン酸のエステル(「第一級」、RP(O)(OR)
2、および「第二級」、R
2P(O)(OR)の両方)、ホスフィン酸のエステル、ハロゲン化ホスホニル(例えば、RP(O)Cl
2およびR
2P(O)Cl)、ハロ亜リン酸塩(例えば、(RO)PCl
2および(RO)
2PCl)、ハロリン酸塩(例えば、ROP(O)Cl
2および(RO)
2P(O)Cl)、第三級ピロリン酸エステル(例えば、(RO)
2P(O)−O−P(O)(OR)
2)、ならびに前述の有機リン化合物のいずれかの全または部分硫黄類似体などとして使用することができ、各ヒドロカルビル基は、最大約100個の炭素原子、好ましくは最大約50個の炭素原子、より好ましくは最大約24個の炭素原子、最も好ましくは最大約12個の炭素原子を含有する。あまり好ましくないが、ハロゲン化ハロホスフィン(例えば、四ハロゲン化ヒドロカルビルリン、三ハロゲン化ジヒドロカルビルリン、および二ハロゲン化トリヒドロカルビルリン)、およびハロホスフィン(モノハロホスフィンおよびジハロホスフィン)も使用可能である。
【0118】
本明細書における潤滑剤は、潤滑剤において上記の要求される分散剤要件が依然として満たされる限り、非ホウ素化および非リン酸化分散剤と組み合わされた1つ以上の上記のホウ素化およびリン酸化分散剤の混合物を含み得る。
【0119】
使用される場合、上述の分散剤の処理率は、潤滑剤中、約1〜約15重量パーセント、他のアプローチでは、約2〜約13重量パーセント、また他のアプローチでは、約4〜約10重量パーセントで提供される。
【0120】
清浄剤:潤滑剤組成物は、1つ以上の清浄剤または混合物も含む。1つのアプローチによって、清浄剤は、中性〜過塩基性清浄剤のような金属含有清浄剤である。適切な清浄剤基質には、フェネート、硫黄含有フェネート、スルホネート、カリキサレート、サリキサレート、サリチレート、カルボン酸、リン酸、モノ−および/またはジ−チオリン酸、アルキルフェノール、硫黄結合アルキルフェノール化合物、ならびにメチレン架橋フェノールが含まれる。適切な清浄剤およびその調製方法は、米国特許第7,732,390号、およびその中で引用される参考文献を含む、多数の特許公報においてより詳細に記載されている。1つのアプローチでは、清浄剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩を含む、中性〜過塩基性スルホネート、フェネート、またはカルボキシレートである。清浄剤は、直鎖または分岐スルホネートのような、直鎖または分岐であり得る。直鎖清浄剤は、側鎖が結合していない直鎖を含むものであり、典型的には、1つまたは2つの他の炭素原子にのみ結合した炭素原子を含む。分岐清浄剤は、分子の骨格に結合した1つ以上の側鎖を有するものであり、1、2、3、または4つの他の炭素原子に結合した炭素原子を含み得る。一実施形態では、スルホネート清浄剤は、主に直鎖アルキルベンゼンスルホネート清浄剤であり得る。いくつかの実施形態では、直鎖アルキル(またはヒドロカルビル)基は、アルキル基の直鎖に沿ってどこでもベンゼン環に結合し得るが、直鎖の2、3、または4位であることが多く、いくつかの例では、主に2位である。他の実施形態では、アルキル(またはヒドロカルビル)基は、分岐していてもよく、すなわち、プロピレンまたは1−ブテンもしくはイソブテンのような分岐オレフィンから形成されていてもよい。直鎖および分岐アルキル基の混合物を有するスルホネート清浄剤も使用され得る。
【0121】
清浄剤基質は、これらに限定されないが、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、リチウム、バリウム、またはそれらの混合物のような、アルカリ金属またはアルカリ土類金属で塩基化され得る。いくつかの実施形態では、清浄剤は、バリウムを含まない。適切な清浄剤は、石油スルホン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩、および長鎖モノ−またはジ−アルキルアリールスルホン酸を含むことができ、アリール基は、ベンジル、トリル、およびキシリルのうちの1つである。
【0122】
過塩基性清浄剤添加剤は、当該技術分野において周知であり、アルカリまたはアルカリ土類金属過塩基性清浄剤添加剤であり得る。そのような清浄剤添加剤は、金属酸化物または金属水酸化物を基質および二酸化炭素ガスと反応させることによって調製され得る。基質は、典型的には、酸、例えば、脂肪族置換スルホン酸、脂肪族置換カルボン酸、または脂肪族置換フェノールのような酸である。一般に、「過塩基性」という用語は、存在する金属の量が化学量論的量を超える、スルホネート、カルボキシレート、およびフェネートの金属塩のような金属塩に関する。そのような塩は、100%超の変換レベルを有し得る(すなわち、それらは、酸をその「正」、「中性」塩に変換するのに必要な金属の理論的量の100%超を含み得る)。しばしばMRと略される「金属比」という表現は、既知の化学反応性および化学量論性による中性塩中の金属の化学当量に対する過塩基性塩中の金属の総化学当量の比を示すために使用される。正または中性塩では、金属比は、1であり、過塩基性塩では、MRは、1より大きい。そのような塩は、一般的には、過塩基性、高塩基性、または超塩基性塩と称され、有機硫黄酸、カルボン酸、またはフェノールの塩であり得る。清浄剤は、約27〜約450、他のアプローチでは、約200〜約400の全塩基価(TBN)も示し得る。
【0123】
使用される場合、清浄剤の処理量は、潤滑剤組成物の総重量に基づき約0.05重量パーセント〜約7重量パーセントであり得る。
【0124】
摩擦調整剤:本明細書における潤滑油組成物は、任意に1つ以上の摩擦調整剤も含有し得る。適切な摩擦調整剤は、金属含有および金属非含有摩擦調整剤を含むことができ、これらに限定されないが、イミダゾリン、アミド、アミン、スクシンイミド、アルコキシル化アミン、アルコキシル化エーテルアミン、酸化アミン、アミドアミン、ニトリル、ベタイン、第四級アミン、イミン、アミン塩、アミノグアニジン、アルカノールアミド、ホスホネート、金属含有化合物、グリセロールエステル、硫化脂肪化合物およびオレフィン、ヒマワリ油および他の天然に存在する植物または動物油、ジカルボン酸エステル、ポリオールおよび1つ以上の脂肪族または芳香族カルボン酸のエステルまたは部分エステルなどを含むことができる。
【0125】
適切な摩擦調整剤は、直鎖、分岐鎖、もしくは芳香族ヒドロカルビル基、またはそれらの混合物から選択されるヒドロカルビル基を含有することができ、飽和または不飽和であり得る。ヒドロカルビル基は、炭素および水素または硫黄もしくは酸素のようなヘテロ原子で構成され得る。ヒドロカルビル基は、約12〜約25個の炭素原子の範囲であり得る。実施形態では、摩擦調整剤は、長鎖脂肪酸エステルであり得る。実施形態では、長鎖脂肪酸エステルは、モノ−エステル、またはジ−エステル、または(トリ)グリセリドであり得る。摩擦調整剤は、長鎖脂肪アミド、長鎖脂肪エステル、長鎖脂肪エポキシド誘導体、または長鎖イミダゾリンであり得る。
【0126】
他の適切な摩擦調整剤は、有機、無灰(金属非含有)、窒素非含有有機摩擦調整剤を含み得る。そのような摩擦調整剤は、カルボン酸および無水物をアルカノールと反応させることによって形成されるエステルを含むことができ、一般に、親油性炭化水素鎖に共有結合した極性末端基(例えば、カルボキシルまたはヒドロキシル)を含む。有機無灰窒素非含有摩擦調整剤の例は、一般に、オレイン酸のモノ−、ジ−、およびトリ−エステルを含み得るモノオレイン酸グリセロール(GMO)として知られている。他の適切な摩擦調整剤は、米国特許第6,723,685号に記載されている。
【0127】
アミン系摩擦調整剤は、アミンまたはポリアミンを含み得る。そのような化合物は、飽和もしくは不飽和、またはその混合物のいずれかの直鎖であるヒドロカルビル基を有することができ、約12〜約25個の炭素原子を含有し得る。適切な摩擦調整剤のさらなる例には、アルコキシル化アミンおよびアルコキシル化エーテルアミンが含まれる。そのような化合物は、飽和、不飽和、またはその混合物のいずれかの直鎖であるヒドロカルビル基を有し得る。それらは、約12〜約25個の炭素原子を含有し得る。例としては、エトキシル化アミンおよびエトキシル化エーテルアミンが挙げられる。
【0128】
アミンおよびアミドは、そのようなものとして、または酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、メタホウ酸塩、ホウ酸もしくはホウ酸モノ−、ジ−、もしくはトリ−アルキルのようなホウ素化合物との付加物もしくは反応生成物の形態で使用され得る。他の適切な摩擦調整剤は、米国特許第6,300,291号に記載されている。
【0129】
酸化防止剤:本明細書における潤滑油組成物は、任意に1つ以上の酸化防止剤も含有し得る。酸化防止剤化合物は、既知であり、例えば、フェネート、硫化フェネート、硫化オレフィン、リン硫化テルペン、硫化エステル、芳香族アミン、アルキル化ジフェニルアミン(例えば、ノニルジフェニルアミン、ジ−ノニルジフェニルアミン、オクチルジフェニルアミン、ジ−オクチルジフェニルアミン)、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン、ヒンダード非芳香族アミン、フェノール、ヒンダードフェノール、油溶性モリブデン化合物、高分子酸化防止剤、またはそれらの混合物を含む。酸化防止剤は、単独でまたは組み合わせて使用され得る。
【0130】
腐食防止剤:オートマチックトランスミッション潤滑剤は、追加の腐食防止剤をさらに含み得る(他の言及された成分のいくつかは銅腐食防止特性も有し得ることに留意すべきである)。適切な追加の銅腐食防止剤としては、エーテルアミン、エトキシル化アミンおよびエトキシル化アルコールのようなポリエトキシル化化合物、イミダゾリン、モノアルキルおよびジアルキルチアジアゾールなどが挙げられる。
【0131】
チアゾール、トリアゾール、およびチアジアゾールも、潤滑剤に使用され得る。例としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、オクチルトリアゾール、デシルトリアゾール、ドデシルトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−ヒドロカルビルチオ−1,3,4−チアジアゾール、および2−メルカプト−5−ヒドロカルビルチオ−1,3,4−チアジアゾールが挙げられる。好ましい化合物は、1,3,4−チアジアゾール、特に2−ヒドロカルビルジチオ−5−メルカプト−1,3,4−ジチアジアゾールであり、その多くは商品として入手可能である。
【0132】
発泡防止剤/消泡剤:消泡/界面活性剤も、本開示による流体に含まれ得る。様々な薬剤が、そのような用途について知られている。Solutiaから入手可能なPC−1244のようなエチルアクリレートおよびヘキシルエチルアクリレートのコポリマーが特に好ましい。4%DCFのようなシリコーン流体が好ましい。消泡剤の混合物が特に好ましい。
【0133】
シール膨潤剤:本開示のオートマチックトランスミッションフルードは、シール膨潤剤をさらに含み得る。エステル、アジペート、セバケート、アゼレート、フタレート、スルホン、アルコール、アルキルベンゼン、置換スルホラン、芳香族、または鉱物油のようなシール膨潤剤は、エンジンおよびオートマチックトランスミッションにおいてシールとして使用されるエラストマー材料の膨張を引き起こす。
【0134】
アルコール系シール膨潤剤は、一般に、デシルアルコール、トリデシルアルコール、およびテトラデシルアルコールのような低揮発性直鎖アルキルアルコールである。シール膨潤剤として有用なアルキルベンゼンとしては、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニル−ベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼンなどが挙げられる。置換スルホラン(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,029,588号に記載されるもの)も同様に、本発明による組成物におけるシール膨潤剤として有用である。本開示においてシール膨潤剤として有用な鉱物油は、高いナフテンまたは芳香族分を有する低粘度鉱物油を含む。芳香族シール膨潤剤は、市販のExxon Aromatic 200 NDシール膨潤剤を含む。鉱物油シール膨潤剤の市販の例には、Exxon(登録商標)Necton(登録商標)−37(FN 1380)およびExxon(登録商標)Mineral Seal Oil(FN 3200)が含まれる。
【0135】
防錆剤:様々な既知の防錆剤または添加剤が、トランスミッションフルードにおける使用について知られており、本開示による流体における使用に適している。Mazawet(登録商標)77のようなアルキルポリオキシンアルキレンエーテル、Neofat(登録商標)8のようなC−8酸、Tomah PA−14のようなオキシアルキルアミン、3−デシルオキシプロピルアミン、およびPluronic(登録商標)L−81のようなポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーsuc1が特に好ましい。
【0136】
極圧剤:本明細書における潤滑油組成物は、任意に1つ以上の極圧剤を含有し得る。油に可溶性である極圧(EP)剤は、硫黄およびクロロ硫黄含有EP剤、塩素化炭化水素EP剤、ならびにリンEP剤を含む。そのようなEP剤の例としては、塩素化ワックス;ジベンジルジスルフィド、二硫化ビス(クロロベンジル)、三硫化ジブチル、オレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジペンテン、硫化テルペン、および硫化ディールス−アルダー付加物のような有機硫化物および多硫化物;硫化リンとテルペンチンまたはオレイン酸メチルとの反応生成物のようなリン硫化炭化水素;亜リン酸ジヒドロカルビルおよびトリヒドロカルビル、例えば、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジヘプチル、亜リン酸ジシクロヘキシル、亜リン酸ペンチルフェニルのようなリンエステル;亜リン酸ジペンチルフェニル、亜リン酸トリデシル、亜リン酸ジステアリル、およびポリプロピレン置換亜リン酸フェニル;ジオクチルジチオカルバミン酸亜鉛およびバリウムヘプチルフェノール二酸のような金属チオカルバミン酸塩;例えば、ジアルキルジチオリン酸と酸化プロピレンとの反応生成物のアミン塩を含む、アルキルおよびジアルキルリン酸のアミン塩;ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0137】
耐摩耗剤:本明細書における潤滑油組成物は、任意に1つ以上の耐摩耗剤も含有し得る。適切な耐摩耗剤の例としては、金属チオリン酸塩、金属ジアルキルジチオリン酸塩、リン酸エステルまたはその塩、リン酸エステル(複数可)、亜リン酸塩、リン含有カルボン酸エステル、エーテル、またはアミド、硫化オレフィン、チオカルバミン酸エステル、アルキレン結合チオカルバメート、および二硫化ビス(S−アルキルジチオカルバミル)を含む、チオカルバメート含有化合物、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な耐摩耗剤は、ジチオカルバミン酸モリブデンであり得る。リン含有耐摩耗剤は、欧州特許第612839号においてより完全に記載されている。ジアルキルジチオリン酸塩中の金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケル、銅、チタン、または亜鉛であり得る。有用な耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり得る。
【0138】
適切な耐摩耗剤のさらなる例としては、チタン化合物、酒石酸塩、タルトリミド、リン化合物の油溶性アミン塩、硫化オレフィン、亜リン酸塩(例えば、亜リン酸ジブチル)、ホスホン酸塩、チオカルバメート含有化合物、例えば、チオカルバミン酸エステル、チオカルバミン酸アミド、チオカルバミン酸エーテル、アルキレン結合チオカルバメート、および二硫化ビス(S−アルキルジチオカルバミル)が挙げられる。酒石酸塩またはタルトリミドは、アルキル−エステル基を含有することができ、アルキル基上の炭素原子の合計は、少なくとも8であり得る。耐摩耗剤は、一実施形態では、クエン酸塩を含み得る。
【0139】
耐摩耗剤は、潤滑油組成物の約0重量%〜約15重量%、他のアプローチでは、約0.01重量%〜約10重量%、また他のアプローチでは、約0.05重量%〜約5重量%、またはさらなるアプローチでは、約0.1重量%〜約3重量%を含む範囲で存在し得る。
【0140】
本明細書で使用されるとき、「粘度指数」という用語は、温度の変動に伴う粘度の変化についての任意の尺度である。粘度指数は、式:VI=100*[(L−U)/(L−H)]を用いて計算することができ、式中、
●L=その粘度指数が計算される油と同じ100℃での動粘度を有する0粘度指数の油の40℃での動粘度mm
2/s(cSt)、
●H=その粘度指数が計算される油と同じ100℃での動粘度を有する100粘度指数の油の40℃での動粘度mm
2/s(cSt)、および
●U=その粘度指数が計算される油の40℃での動粘度mm
2/s(cSt)。
【0141】
本明細書で測定されるように、KV100を測定するための条件は、約7.7重量パーセントのDIパッケージを有する約2.3cStのグループ3基油(UltraS2)およびスターVIIポリマーの添加後の約6cStの標的KV100を使用することである。本開示に記載され、全体を通しておよび概要において記載されるような1つ以上の特徴を含むポリマーは、約200以上、いくつかのアプローチでは、約200〜約350、他のアプローチでは、約250〜約300のVIを示し得る。
【0142】
本明細書で使用されるとき、「処理率」という用語は、潤滑油中の成分の重量パーセントを指す。例えば、油組成物中の特定のポリマーの処理率は、組成物中のポリマーの重量パーセントである:処理率=(油非含有分に基づくポリマーの重量)/(組成物全体の重量)×100%。上記で言及されるように、本明細書におけるポリマーの処理率は、その重合中に使用されるいかなる油またはキャリア流体も存在しないポリマーの固体を指す。
【0143】
本明細書で使用されるとき、「多分散指数」という用語は、「分散度」という用語と同義であり、(重量平均分子量)/(数平均分子量)に等しい。
【0144】
上記議論に基づき、様々な潤滑組成物成分の例示的な範囲を以下の表1に記載する。
【0146】
本明細書に記載の粘度指数向上剤は、ドライブラインフルード、エンジンオイル、および/またはオートマチックトランスミッションフルードのような自動車用に設計された潤滑剤に特に適している。いくつかのアプローチでは、適切なオートマチックトランスミッションは、湿式摩擦クラッチトランスミッションを含むことができ、典型的には、セルロース系摩擦ライニングを有し、各々アプリケーションピストンとリリーススプリングとの間のハウジングに共に詰め込まれた関連スチールリアクションプレートを有するもののような、複数の(少なくとも3つであり得、最大6つであり得る)クラッチプレートを有する。そのようなトランスミッションは、波状またはクッションプレート、スペーサープレート、および/またはリテンションリングのような他の一般的な構成要素も含み得る。湿式摩擦クラッチは、本明細書に記載の潤滑トランスミッションフルードおよび粘度指数向上剤を用いて流体圧力の選択された印加によって従来の方法で操作される。
【0147】
材料および方法
以下の実施例におけるラウリル(メタ)アクリレート(LMA)、メチル(メタ)アクリレート(MMA)、およびセチル−エイコシル(メタ)アクリレート(CEMA)は、Evonik Oil Additives USAからのものである。実施例における2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)は、Sigma Aldrichからのものである。
【0148】
以下の実施例では、ChemoursからのVazo(商標)67(2.2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))を重合開始剤として用いた。重合反応に使用された基油は、80N ConocoPhillipsグループ2基油であった(KV100は約3.0cStである)。ブレンド試験に使用された基油は、2ULTRAS(PHILLIPS66グループ3基油)であった。一般的な合成戦略は、下記を含む:
【0150】
上記は、連鎖移動剤コアとして多官能性チオールコアを使用する従来のフリーラジカル重合(FRP)経路を介した本明細書における実施例のPMAスターポリマー合成の一般手順、および得られるポリマー骨格を示す。この実施例では、メタクリレートモノマーを使用したが、本明細書に記載されるように、モノマーは、アクリレートまたはメタクリレートのいずれでもよい。
【0151】
上記の一般スキームでは、モノマーは、共に溶媒(例えば、80N Conoco Phillipsグループ2基油)において、高温(例えば、80〜85℃)で、上記のような開始剤と、スキーム1に示されるペンタ−エリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)のような多チオール官能性コアを使用して反応させる。得られるPMAスターポリマー生成物は、上記のスキームで提供され、ここで、a、b、c、d、およびeは、PMAアームにおいて上記で議論される各モノマーのモルパーセントをもたらすのに十分な整数である。整数a、b、c、d、およびeの関連部分または基は、ポリマーの側鎖またはスターアームとしてランダムに重合される。上記の構造はQ部分に結合した「a」基を示すが、a、b、c、d、またはe基のいずれもQ部分またはその硫黄にランダムに結合し得る。式において、mおよびnは、最終スターポリマー生成物のコアの硫黄官能化の程度を表す整数である。PMAアーム中の各モノマー単位の相対存在量は、元の反応混合物中のモノマーの相対濃度に基づく。本開示では、b、c、およびeは、ゼロであり得る。
【0152】
本開示およびその多くの利点のよりよい理解は、下記実施例で明らかにされ得る。下記実施例は、範囲または精神のいずれにおいても例示的なものであり、それを限定するものではない。当業者であれば、これらの実施例に記載される成分、方法、ステップ、および装置の変形を使用することができることを容易に理解するであろう。特記されない限り、本開示に記載の全てのパーセンテージ、比、および部は重量による。
【実施例】
【0153】
実施例1:
この実施例は、アームとして直鎖ランダムコポリマーを有する、コアファーストスターPMAの形成を例示する。ポリマーは、従来のフリーラジカル重合(FRP)によって、以下の表2に記載される所望のモル比で合成された。
【0154】
FRPによるPMAは、以下のように記載される手順に従って合成された:C12〜15メタクリレート(LMA)、メチルメタクリレート(MMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、およびセチル−エイコシルメタクリレート(CEMA)を、ガラス反応器に必要量で入れた。加えて所望量の多官能性連鎖移動剤コア(例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート))およびグループII基油を、0.3SCFHで流れる窒素入口、中速機械撹拌器、熱電対、および水冷凝縮器を備えた反応器に入れ、反応媒体を、確実に混合するためにN
2バブル下で30分間撹拌した。混合物を、83℃まで加熱し、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を添加し、温度で4時間反応させ、続いて分析のための試料を採取した。追加の油を、ポリマーの取り扱いを容易にするために反応後に添加し、均質になるまで所望の温度で混合した。分子量を、RI検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および多分散度について得られた結果を、エクセルシートの表に示す。合成したPMAを、関連するDIパッケージを有する炭化水素基油にブレンドし、PMAの性能について分析した。結果を以下の表2および3に示す。
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
本開示のポリマーおよび潤滑剤は、その詳細な説明および本明細書における要約と共に記載されたが、前述の記載は、添付の特許請求の範囲によって定義される、本開示の範囲を例示することが意図され、これを限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、および変更は、特許請求の範囲内である。本明細書および実施例は、例示としてのみ考慮されることが意図され、本開示の真の範囲は、下記特許請求の範囲によって示される。
【0158】
本開示の他の実施形態は、本明細書の考慮および本明細書に開示される実施形態の実施から当業者に明らかとなるであろう。本明細書および特許請求の範囲を通して使用されるとき、「a」および/または「an」は、1つまたは2つ以上を指し得る。他に指示がない限り、本明細書で使用される成分の量、分子量、パーセント、比、反応条件などのような特性を表す全ての数字は、「約」という用語が存在するか否かにかかわらず、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、本明細書に記載される数値パラメータは、本開示によって得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。せめて、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各々の数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁の数字を考慮し、通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。広範囲の開示を記載する数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。いかなる数値も、しかしながら、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる、特定の誤差を本質的に含有する。
【0159】
特許権所有者は、いずれかの開示される実施形態を、一般に開放することを意図せず、いずれかの開示される変更または変形が文字通り特許請求の範囲に該当し得ない程度まで、それらは均等論下でこれらの一部であるとみなされる。
【0160】
本明細書に開示される各成分、化合物、置換基、またはパラメータは、単独で、または本明細書に開示される各々および全ての他の成分、化合物、置換基、もしくはパラメータのうちの1つ以上との組み合わせでの使用について開示されていると解釈されるべきであることを理解されたい。
【0161】
本明細書に開示される各成分、化合物、置換基、またはパラメータについての各量/値または量/値の範囲は、本明細書に開示されるいずれかの他の成分(複数可)、化合物(複数可)、置換基(複数可)、またはパラメータ(複数可)の各量/値または量/値の範囲と組み合わせて開示されていると解釈されるべきであり、本明細書に開示される2つ以上の成分(複数可)、化合物(複数可)、置換基(複数可)、またはパラメータについての量/値または量/値の範囲のいずれかの組み合わせも、よって、この説明の目的のために互いに組み合わせて開示されることも理解されたい。
【0162】
本明細書に開示される各範囲は、同じ有効桁の数字を有する開示範囲内の各特定値の開示として解釈されるべきであることをさらに理解されたい。よって、1〜4の範囲は、1、2、3、および4の値の、ならびにそのような値のいずれかの範囲の明確な開示として解釈されるべきである。
【0163】
本明細書に開示される各範囲の各下限は、同じ成分、化合物、置換基、またはパラメータについて本明細書に開示される各範囲の各上限および各範囲内の各特定値と組み合わせて開示されると解釈されるべきであることをさらに理解されたい。よって、本開示は、各範囲の各下限を各範囲の各上限と、または各範囲内の各特定値と組み合わせることによって、または各範囲の各上限を各範囲内の各特定値と組み合わせることによって誘導される全ての範囲の開示として解釈されるべきである。
【0164】
さらに、説明または実施例において開示される成分、化合物、置換基、またはパラメータの特定量/値は、範囲の下限または上限のいずれかの開示として解釈されるべきであり、よって、本出願の他の個所で開示される同じ成分、化合物、置換基、またはパラメータについての範囲または特定量/値のいずれかの他の下限または上限と組み合わせて、その成分、化合物、置換基、またはパラメータについての範囲を形成することができる。