(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る災害ネットワークシステムの第1実施形態の構成について説明する図である。
【0020】
図1に示すように、災害ネットワークシステム1は、サーバー10と、被災者端末30と、救助員端末40とを含む。被災者端末30及び救助員端末40は、ネットワーク20によってサーバー10に接続され、通信プロトコル(たとえば、TCP/IP)を介してデータを送受信可能になっている。なお、ネットワーク20は、たとえば、インターネット、専用通信回線(たとえばCATV(Community Antenna Television)回線)、移動体通信網(基地局等を含む)、ゲートウェイ等によって構築されている。
【0021】
サーバー10は、高速処理可能な大型コンピューターであり、サーバー管理者が操作する操作部や表示部などが接続されている。
【0022】
被災者端末30は、被災エリアとして想定されるエリアにいるが特段の権限のない一般使用者によって各自所有されている端末であり、たとえばスマートフォンやタブレット端末などである。被災者は、被災者端末30を操作して、種々の情報を入力したり取得する。
【0023】
救助員端末40は、消防隊員や自衛隊員などの特別権限を有する救助隊員が操作する機器である。救助員端末40としては、たとえば、スマートフォンやタブレット端末などである。
【0024】
続いて、災害ネットワークシステム1の具体的なロジックについて、フローチャートを参照して説明する。
【0025】
図2は、第1実施形態の災害発生時の処理を示すフローチャートである。この処理は、災害の発生をトリガーとして開始される。
【0026】
まずはじめに、ステップS111において、サーバー10は、被災エリアとして想定されるエリアにある端末(被災者端末)30に対して、災害エリアメールを送信する。この災害エリアメールは、緊急速報メールのように特定のエリアにある端末に対して通知するものである。
【0027】
この通知を受けて、ステップS311において、被災者端末30は、被災状況入力処理を実行する。ここで、
図3を参照して被災状況入力処理の具体的な内容について説明する。なおこの被災状況入力処理は、サーバー10から送信された災害エリアメールを受信したタイミングで実行されるが、他にも救助要否画面表示処理(ステップS3111)が実行されてから、所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0028】
ステップS3111において、被災者端末30は、
図4に例示されているような救助要否画面を表示する。
図4では「救助が必要ですか?」という質問とともに、「はい」「いいえ」の回答ボタンが表示されている。なおアラームを鳴らしながら画面を起動すれば、端末使用者の注意を引くことができるので、好ましい。
【0029】
ステップS3112において、被災者端末30は、救助要否画面に表示されているボタンが押されたか否かを判定する。そして、被災者端末30は、判定結果が否であればステップS3113へ処理を移行し、肯であればステップS3114へ処理を移行する。
【0030】
ステップS3113において、被災者端末30は、救助要否画面に表示されているボタンが押されないまま所定時間が経過したか否かを判定する。そして、被災者端末30は、判定結果が否の間はステップS3112へ処理を戻し、肯になったらステップS3118へ処理を移行する。
【0031】
ステップS3114において、被災者端末30は、押されたボタンが救助不要ボタンか否かを判定する。そして、被災者端末30は、判定結果が否であればステップS3115へ処理を移行し、肯であればステップS3117へ処理を移行する。
【0032】
ステップS3115において、被災者端末30は、前回押されたボタンが救助必要ボタンか否かを判定する。そして、被災者端末30は、判定結果が否であればステップS3116へ処理を移行し、肯であればステップS3118へ処理を移行する。なお、初めての処理の場合は、前回処理が無い。この場合は、判定結果が否であるので、被災者端末30はステップS3116へ処理を移行する。
【0033】
ステップS3116において、被災者端末30は、個人状況入力処理を実行する。ここで、
図5を参照して個人状況入力処理の具体的な内容について説明する。
【0034】
ステップS31161において、被災者端末30は、
図6に例示されているような個人状況入力画面を表示する。
図6では、「どのような状況ですか?」という質問とともに、「動けない」「出られない」「挟まれている」「閉じ込められている」の回答ボタンが表示される。なお、「どのような状況ですか?」に対する回答は、
図12に示されているように「動けない」「出られない」「挟まれている」「閉じ込められている」「出血している」「ひどい怪我をしている」「中程度の怪我をしている」「軽い怪我をしている」「水が迫っている」「水につかっている」などであるが、すべてを一画面に表示してしまうと、各ボタンが小さくなってしまう。そこで、
図6のように、適宜な数の回答ボタンを表示することが好ましい。
【0035】
ステップS31162において、被災者端末30は、個人状況入力画面に表示されているボタンが押されたか否かを判定する。そして、被災者端末30は、判定結果が否であればステップS31163へ処理を移行し、肯であればステップS31164へ処理を移行する。
【0036】
ステップS31163において、被災者端末30は、個人状況入力画面に表示されているボタンが押されないまま所定時間が経過したか否かを判定する。そして、被災者端末30は、判定結果が否の間はステップS31162へ処理を戻し、肯になったら処理を抜ける。
【0037】
ステップS31164において、被災者端末30は、回答されていない個人状況入力画面があるか否かを判定する。なお、個人状況入力画面としては、
図6に続いて、「出血している」「ひどい怪我をしている」「中程度の怪我をしている」「軽い怪我をしている」「水が迫っている」「水につかっている」などの回答画面がある。さらに、
図7に例示されているように、「同じような人が周囲にいますか?」という質問とともに、「自分だけ」「自分の他に1人いる」「自分の他に2人いる」「自分の他に3人以上いる」という回答画面がある。
【0038】
再び、
図3に戻る。ステップS3117において、被災者端末30は、周囲状況入力処理を実行する。ここで、
図8を参照して周囲状況入力処理の具体的な内容について説明する。
【0039】
ステップS31171において、被災者端末30は、
図9に例示されているような周囲状況入力画面を表示する。
図9では「周囲に救助が必要な人はいますか?」という質問とともに、「いる」「いない」の回答ボタンが表示される。なお「いる」が選択された場合には、さらに状況を確認するための質問画面になる。
【0040】
ステップS31172において、被災者端末30は、周囲状況入力画面に表示されているボタンが押されたか否かを判定する。そして、被災者端末30は、判定結果が否であればステップS31173へ処理を移行し、肯であればステップS31174へ処理を移行する。
【0041】
ステップS31173において、被災者端末30は、周囲状況入力画面に表示されているボタンが押されないまま所定時間が経過したか否かを判定する。そして、被災者端末30は、判定結果が否の間はステップS31172へ処理を戻し、肯になったら処理を抜ける。
【0042】
ステップS31174において、被災者端末30は、回答されていない周囲状況入力画面があるか否かを判定する。そして、被災者端末30は、判定結果が肯の間はステップS31171へ処理を戻し、否になったら処理を抜ける。なお、周囲状況入力画面としては、
図9に続いて、
図12に示されているような「停電していますか?」「ガス漏れはありますか?」「水道の漏水はありますか?」「倒壊した建物はありますか?」「通れない道路はありますか?」「使えない橋はありますか?」などの回答画面がある。なお、
図10に示した「倒壊した建物はありますか?」という質問画面に対して、「ある」が選択された場合には、
図11に示されているように、「倒壊した建物を撮影してください」という画面になって、被災者端末30の操作者に対して倒壊した建物の撮影を促す。シャッターボタンが押されて撮影された場合は、この撮影データが周囲状況情報として位置情報とともに送信される。このようにすることで、被災状況が把握されやすくなる。
【0043】
再び、
図3に戻る。ステップS3118において、被災者端末30は、サーバー10に情報を送信する。なおこの情報には、たとえば被災者端末30の識別情報(電話番号),位置情報(GPS情報),救助要否情報などが含まれ、さらに、救助が必要な場合は被災者端末30に入力された個人状況情報が含まれ、救助が不要な場合は被災者端末30に入力された周囲状況情報などが含まれる。
【0044】
再び、
図2に戻る。ステップS112において、サーバー10は、被災者端末30から受信した情報に基づいて状況整理処理を実行する。ここで、
図13を参照して状況整理処理の具体的な内容について説明する。
【0045】
ステップS1121において、サーバー10は、被災者端末30から送信された情報に基づいて、救助が必要か否かを判定する。そして、サーバー10は、判定結果が肯であればステップS1122へ処理を移行し、否であればステップS1123へ処理を移行する。
【0046】
ステップS1122において、サーバー10は、トリアージカテゴリー設定処理を実行する。ここで、
図14を参照してトリアージカテゴリー設定処理の具体的な内容について説明する。
【0047】
ステップS11221において、サーバー10は、個人状況情報があるか否かを判定する。そして、サーバー10は、判定結果が否であればステップS11222へ処理を移行し、肯であればステップS11223へ処理を移行する。
【0048】
ステップS11222において、サーバー10は、トリアージカテゴリーの情報が無いか否かを判定する。そして、サーバー10は、判定結果が肯であればステップS11223へ処理を移行し、否であればステップS11224へ処理を移行する。
【0049】
ステップS11223において、サーバー10は、トリアージカテゴリーを設定する。具体的には、たとえば、「動けない」「出られない」等の状況毎にポイントが予め決められており、このポイントに応じて、救助の優先度が最も高い最優先カテゴリー/救助の優先度が最優先カテゴリーの次に高い準優先カテゴリー/救助の優先度が最も低い非優先カテゴリーを設定する。また、状況情報が無い場合は、救助の優先度を決めることを保留する保留カテゴリーにする。
【0050】
ステップS11224において、サーバー10は、現在のトリアージカテゴリーが準優先カテゴリーであるか否かを判定する。そして、サーバー10は、判定結果が肯であればステップS11225へ処理を移行し、否であればステップS11226へ処理を移行する。
【0051】
ステップS11225において、サーバー10は、トリアージカテゴリーを最優先カテゴリーにする。すなわち、前回準優先カテゴリーであった場合に、今回個人状況情報が入力されていないときには、端末操作者が気を失っているなどの事態が想定される。そこでトリアージカテゴリーを最優先カテゴリーにする。
【0052】
ステップS11226において、サーバー10は、状況情報無しの状態が所定回数続いたか否かを判定する。そして、サーバー10は、判定結果が否であればステップS11227へ処理を移行し、肯であればステップS11228へ処理を移行する。
【0053】
ステップS11227において、サーバー10は、現在のトリアージカテゴリーを継続する。
【0054】
ステップS11228において、サーバー10は、トリアージカテゴリーを非優先カテゴリーにする。すなわち、状況情報無しの状態が所定回数(所定時間)続いた場合には、この端末操作者の救助よりも他の被災者の救助を優先すべく、トリアージカテゴリーを非優先カテゴリーにする。
【0055】
ステップS11229において、サーバー10は、トリアージカテゴリーを、被災者端末30の識別情報(電話番号)や位置情報(GPS情報)と対応させて保存する。なおこの保存は、過去の内容(履歴)を消去してしまう上書き保存であっても、過去の内容(履歴)とともに今回の内容も保存する追記保存であってもよい。
【0056】
再び、
図13に戻る。ステップS1123において、サーバー10は、周囲状況整理処理を実行する。ここで、
図15を参照して周囲状況整理処理の具体的な内容について説明する。
【0057】
ステップS11231において、サーバー10は、被災者端末30から受信した周囲状況情報に基づいて回避すべきエリア(以下適宜「回避エリア」と称す)を特定する。ここで「回避すべきエリア(回避エリア)」とは、被災者や救助員が近寄ると危険であるので回避すべきエリアや、救急車・消防車などをはじめとする救助車両が走行するのに適していないので回避すべきエリアなどである。救助車両は、軽自動車サイズから大型車両サイズまで、異なるサイズのさまざまな車種がある。ある救助車両では通行できなくても、他の救助車両では通行可能な場合もある。そこで、救助車両ごとに車両サイズに応じた回避エリアを特定しておくことが一層好ましい。なおサーバー10には、多くの被災者端末30から情報が送られてくる。サーバー10は、これらの情報に基づいて回避エリアを特定する。このように、多くの情報に基づいて回避エリアを特定するので、誤情報を排除でき、信頼性を高めることができる。
【0058】
ステップS11232において、サーバー10は、回避エリアの情報を保存する。
【0059】
再び、
図13に戻る。ステップS1124において、サーバー10は、被災者端末30に回避エリア情報を送信する。なお、このときに送信する回避エリア情報とは、被災者が近寄ると危険であるので回避すべきエリアに関する情報である。
【0060】
再び、
図2に戻る。ステップS312において、被災者端末30は、サーバー10から送信された回避エリア情報を受信する。被災者端末30は、この情報に基づいて避難ルートを設定することで、回避エリアを避けて避難所までのナビゲーションを行うことができる。
【0061】
再び、
図13に戻る。ステップS1125において、サーバー10は、トリアージカテゴリーの情報及び回避エリアの情報に基づいて救助ルートを設定する。なお、このときの回避エリア情報とは、救助員が近寄ると危険であるので回避すべきエリアや、救助車両が走行するのに適していないので回避すべきエリアに関する情報である。救助車両は、軽自動車サイズから大型車両サイズまで、異なるサイズのさまざまな車種がある。ある救助車両では通行できなくても、他の救助車両では通行可能な場合もある。そこで、救助車両ごとに車両サイズに応じた回避エリアに基づいて救助ルートを設定することが好ましい。サーバー10は、消防隊や自衛隊の各分隊(救助班)が、上述の回避エリアを避けて最優先カテゴリーに分類された被災者端末30(被災者)が多いエリアに効率的に向かうことができるルートを設定する。
【0062】
ステップS1126において、サーバー10は、救助員端末40に救助ルートの情報を送信する。
【0063】
再び、
図2に戻る。サーバー10から送信された情報を受けて、ステップS411において、救助員端末40は、トリアージ処理を実行する。ここで、
図16を参照してトリアージ処理の具体的な内容について説明する。
【0064】
ステップS4111において、救助員端末40は、画面上のマップにトリアージカテゴリーを表示する。この表示は、たとえば、最優先カテゴリーを赤丸/準優先カテゴリーを黄丸/非優先カテゴリーを黒丸/保留カテゴリーを白丸で表示する。
【0065】
ステップS4112において、救助員端末40は、画面上のマップに回避エリアを表示する。
【0066】
ステップS4113において、救助員端末40は、画面上のマップに救助へ向かうべきルートを表示するとともに現在地を表示することでナビゲーションを行う。
【0067】
救助員端末40の使用者(消防隊員や自衛隊員)は、救助員端末40の画面に表示されたルートを進んで被災者の救助に向かう。
【0068】
本実施形態によれば、災害が発生した場合に、被災者端末30は、エリアメールをトリガーとして災害状況入力画面を起動する。そして、この災害状況入力画面に被災状況の情報が入力されたら、その情報をサーバー10に送信し、サーバー10で一括的に管理する。したがって、このサーバー10にアクセスするための権限を有する者が、災害発生直後から迅速に被災状況を把握できることとなる。
【0069】
被災状況の報告が、実際に災害発生地にいる者によって入力された被災状況の情報によるので、被災状況を詳細に把握することができる。
【0070】
また、大量な情報を容易に集めることができ、誤情報を排除でき、情報の信頼性を高めることができる。
【0071】
そして、この被災状況の情報が、消防署員や自衛隊員などの特別権限を有する者が操作する端末40に送信されるので、消防署員や自衛隊員などの救助活動に役立つ。
【0072】
たとえば、
図17に示されているように道が格子状に広がっており、「×」を付した道が危険であって通行できないとする。丸囲みの数字が最優先カテゴリーとされた被災者の人数である。本実施形態を使用するA救助班は、現在地からまっすぐに北上して、最優先カテゴリーの被災者が32人いる場所で救助活動を行う。B救助班は、現在地から西進して最優先カテゴリーの被災者が20人いる場所で救助活動を行い、その後、通行不可道路を避けて、最優先カテゴリーの被災者が15人いる場所に向かう。
【0073】
このように、本実施形態によれば、被災情報に基づいて、各救助班が救助へ向かうべきルートを一元管理しているので、複数の救助班が同一の場所に行ってしまうなどの無駄を省くことができ、限られた人的資源を効率よく配置することが可能になる。なお、各救助班が救助へ向かうルートは、最優先カテゴリーの被災者の人数だけに基づくのではなく、たとえば最優先カテゴリーについてはポイント50/準優先カテゴリーについてはポイント1などのポイントを定めて、ポイントの総計に応じて優先すべき救助ルートを設定してもよい。この場合、最優先カテゴリーの被災者が1人だけいるところよりも、準優先カテゴリーの被災者が51人以上いるところに優先して救助ルートを設定することとなる。また救助車両が通れない道を避けて救助ルートを設定するので、安全かつ効率的な救助ルートを設定することができ、一層効率的な救助活動を行うことが可能になる。
【0074】
また、本実施形態では、どういう被災者たちをどういうルートで救助することによって、できるだけ多くの人命を救うことができるか、ということをサーバー10が機械的に設定する。現在の救助現場ではトリアージができていない。そのことが救助現場での大きな問題である。救助員が、救出する被災者(救出対象者)について、現場で判断すると、被救助者の家族などから「助けてください」と泣きつかれてしまった場合に、その場を離れることができなくなってしまう。このような場合に、その1人を救助することと引き替えに、別の現場の多くの人を救助できなくなる、という事態が少なくない。
【0075】
これに対して、本実施形態では、サーバー10が被災者の場所・人数・傷病の程度などに基づいて機械的に救出対象者を決めて救助ルートを設定して、いわば、サーバー10が救助員に命令して、救助員もその指示に従って行動すればよく、救助員の精神的な負担が軽減される。結果として、最大限の人命を救助することが可能になる。
【0076】
サーバー10は、被災状況の情報に基づいて回避エリアを特定し、その情報を被災者端末30に送信する。被災者は、この情報(回避エリア情報)を利用することで、現在地から避難所までのルートを決める際に、この回避エリアを避けたルートを得ることができる。
【0077】
たとえば、現在地から避難所までの最短ルートに回避エリアがある場合に、回避エリアの情報がなければ、回避エリアに向かって進んで行くこととなってしまう。たとえば、煙が多くて視界が悪いもののその先は安全なエリアが広がっていても、被災者は煙の多い方向には進むことなく、回避エリアに進んでしまうような事態が生じ得る。これに対して、本実施形態では、回避エリア情報を利用することで、回避エリアを避けたルートを得ることができ、被災者が安全に避難することができる。煙が多くても、その先に安全なエリアが広がっていることが分かっていれば、被災者は迷うことなく安全なエリアに避難することが可能である。
【0078】
また道幅の狭い路地は、現時点では危険でなくても、避難ルートには適さない。そこで、このような路地も避難ルートに適さないとして避けてルートを示すことも可能である。
【0079】
(第2実施形態)
この第2実施形態では、被災者端末30の所有者情報を予め登録しておく。このようにすることで、家族を同一の避難所(二次避難所)に案内したり、妊婦や子連れあるいはペットを飼っているなどのような境遇が同じ人を同一の避難所(二次避難所)に案内することが可能になる。具体的な内容について、フローチャートを参照して説明する。
【0080】
図18は、所有者情報の登録処理(初期登録)を示すフローチャートである。この処理は、一般使用者がスマートフォン(被災者端末30)にインストールされているアプリケーションプログラム(以下適宜「アプリ」と称す)を起動することで表示された所有者情報登録ボタンを押すことで開始される。基本的には災害が発生する前に一般使用者が自分の情報を登録するためにこの処理を実行しておくことが望ましい。
【0081】
ステップS321において、端末30は、所有者情報登録画面を表示する。端末30の使用者が、携帯電話番号(端末番号)・氏名・生年月日・性別・住所・職業・持病・かかりつけ医・常用薬などを入力する。なお入力項目としては、これらに限られず、マイナンバー(個人番号)や現在受けている治療などを加えてもよい。
【0082】
各項目の入力後に使用者が、画面に表示されている登録ボタンを押したら、ステップS322において、端末30は、所有者情報が登録されたことを表示する。
【0083】
図19は、家族登録の処理を示すフローチャートである。この処理は、一般使用者がスマートフォン(端末30)にインストールされているアプリを起動することで表示された家族登録ボタンを押すことで開始される。基本的には災害が発生する前に一般使用者が家族登録を行うためにこの処理を実行しておくことが望ましい。
【0084】
ステップS3311において、端末30−1は、「家族登録したい携帯電話番号を入力してください」というコメントを表示する。端末30−1の使用者が、家族登録したい携帯電話番号を入力し、登録ボタンを押したら、端末30−1は、その情報をサーバー10に送信する。
【0085】
この情報を受けて、ステップS131において、サーバー10は、入力された携帯電話番号宛てに認証コードをSMS(Short Message Service)送信を行う。
【0086】
この情報を受けて、ステップS3321において、端末30−2は、受信した認証コードを表示する。
【0087】
表示された認証コードを見た端末30−1の使用者によって、その認証コードが入力されて登録ボタンが押されたら、端末30−1は、その認証コード情報をサーバー10に送信する(ステップS3312)。
【0088】
この認証コード情報を受けて、ステップS132において、サーバー10は、認証コード情報が正しいか否かを判定する。そして、サーバー10は、判定結果が肯であればステップS133に処理を移行し、否であればステップS133をスキップする。
【0089】
ステップS133において、サーバー10は、端末30−1及び端末30−2に登録処理情報を送信する。
【0090】
この情報を受けて、ステップS3313において、端末30−1は、所有者情報に家族情報を追加登録するとともに、ステップS3322において、端末30−2も、所有者情報に家族情報を追加登録する。
【0091】
図20は、子供登録の処理を示すフローチャートである。この処理は、一般使用者がスマートフォン(端末30)にインストールされているアプリを起動することで表示された子供登録ボタンを押すことで開始される。
【0092】
ステップS341において、端末30は、子供登録画面を表示して、粉ミルクが必要か否かを尋ねるコメントを表示する。端末30への入力情報が否であればステップS342に処理を移行し、肯であればステップS343に処理を移行する。
【0093】
ステップS342において、端末30は、画面に、紙オムツが必要か否かを尋ねるコメントを表示する。端末30への入力情報が肯であればステップS344に処理を移行し、否であればステップS345に処理を移行する。
【0094】
ステップS343〜ステップS345において、端末30は、子供の名前及び生年月日の入力画面を表示する。端末30の使用者が、子供の名前及び生年月日を入力し、画面に表示されている登録ボタンを押したら、端末30は、ステップS346において、その情報(子供の名前及び生年月日並びに粉ミルク及び紙オムツの必要性)を、所有者情報に追加登録する。なお粉ミルクが必要な年齢であれば、紙オムツも必要であるので、ステップS341において粉ミルクが必要とされた場合は、紙オムツも必要とされている。
【0095】
図21は、ペット登録の処理を示すフローチャートである。この処理は、一般使用者がスマートフォン(端末30)にインストールされているアプリを起動することで表示されたペット登録ボタンを押すことで開始される。
【0096】
ステップS351において、端末30は、ペット登録画面を表示して、ドッグフードが必要か否かを尋ねるコメントを表示する。端末30への入力情報が否であればステップS352に処理を移行し、肯であればステップS353に処理を移行する。
【0097】
ステップS352において、端末30は、画面に、キャットフードが必要か否かを尋ねるコメントを表示する。端末30への入力情報が肯であればステップS354に処理を移行し、否であればステップS355に処理を移行する。
【0098】
ステップS353〜ステップS355において、端末30は、ペットの名前の入力画面を表示する。端末30の使用者が、ペットの名前を入力し、画面に表示されている登録ボタンを押したら、端末30は、ステップS356において、その情報を、所有者情報に追加登録する。
【0099】
図22は、家族登録抹消の処理を示すフローチャートである。この処理は、一般使用者がスマートフォン(端末30)にインストールされているアプリを起動することで表示された家族登録抹消ボタンを押すことで開始される。ここでは、
図19において家族登録した端末30−2の使用者が、端末30−1との家族登録を抹消したい場合を例示して説明する。
【0100】
ステップS361において、端末30−2は、「家族登録を抹消したい携帯電話番号を入力してください」というコメントを表示する。端末30−2の使用者が、家族登録を抹消したい携帯電話番号(端末30−1の携帯電話番号)を入力し、抹消ボタンを押したら、端末30−2は、入力された携帯電話番号(端末30−1の携帯電話番号)の家族登録を所有者情報から抹消する(ステップS362)。
【0101】
図23は、情報修正確認処理を示すフローチャートである。この処理は、災害の発生をトリガーとして開始される。
【0102】
ステップS111において、サーバー10は、災害エリアとして想定されるエリアの端末30に対して、災害エリアメールを送信する。
【0103】
この情報を受けて、ステップS3711において、端末30−1は、登録してある所有者情報を表示する。
【0104】
ステップS3712において、端末30−1は、「登録情報の修正がありますか?」というコメントを表示する。端末30−1の使用者が修正ありを入力したら、端末30−1はステップS3713に処理を移行し、修正なしを入力したら、端末30−1はステップS3713をスキップする。
【0105】
ステップS3713において、端末30−1は、修正された情報を登録する。なお端末30−1の使用者が、端末30−2の使用者との家族登録の抹消を希望する場合は、
図22に示された家族登録抹消の処理を実行する。
【0106】
一方、ステップS111においてサーバー10から送信された情報を受けた端末30−2は、ステップS3721において、登録してある所有者情報を表示する。
【0107】
ステップS3722において、端末30−2は、「登録情報の修正がありますか?」というコメントを表示する。端末30−2の使用者が修正ありを入力したら、端末30−1はステップS3723に処理を移行し、修正なしを入力したら、端末30−2はステップS3723をスキップする。
【0108】
ステップS3723において、端末30−2は、修正された情報を登録する。なお端末30−2の使用者が、端末30−1の使用者との家族登録の抹消を希望する場合は、
図22に示された家族登録抹消の処理を実行する。
【0109】
災害が発生する前に一般使用者が自分の情報を登録しておけば、災害が発生していろいろと混乱している状況での登録作業を回避できるので便利である。しかしながら、情報を登録してから災害が発生するまでに長期間が経過していることも考えられる。この間に情報が変わっていることも十分想定されるので、災害が発生したタイミングで、この情報修正処理で登録情報の確認修正を行うのである。
【0110】
なお予め情報登録されていない場合は、被災者が避難所(一次避難所又は二次避難所)に到着して初めて情報を登録する。この場合は、ステップS3711,ステップS3721で表示される情報がない。この場合、被災者が、ステップS3713,ステップS3723で最初から情報を入力する。
【0111】
図24は、避難所情報処理を示すフローチャートである。この処理は、
図23のアプリ起動処理が完了した後、実行される。
【0112】
ステップS3811において、端末30−1は、避難所情報が必要か否かを尋ねるコメントを表示する。端末30−1への入力情報が肯であれば、端末30−1は、ステップS3812に処理を移行してその情報をサーバー10に送信する。一方、端末30−1への入力情報が否であれば、端末30−1は、ステップS3812以下をスキップする。
【0113】
ステップS3812において送信された情報を受けて、ステップS181において、サーバー10は、避難所に関する情報を端末30−1に送信する。
【0114】
この情報を受けて、ステップS3813において、端末30−1は、避難所に関する情報を表示する。避難所に関する情報としては、たとえば現在地からの距離,収容規模,現在の収容人数(男女別/大人小人別),今後の避難予測人数,ペット受入の可不可などである。
【0115】
端末30−1の使用者がこれらの情報を確認して希望する避難所を選択すると、端末30−1は、ステップS3814において、画面に回避エリア情報を反映した避難所までの経路を表示するとともに、ステップS3815において、端末30−1の使用者が選択した避難所の情報を、端末30−1に登録されている所有者情報ととともにサーバー10に送信する。なお、送信に先立って、家族登録されているメンバーに情報が連絡されることが表示され、必要であれば家族登録を抹消しておくことの注意書きが表示される。
【0116】
ステップS3815において送信された情報を受けて、ステップS182において、サーバー10は、受信した情報を登録するとともに、上述の「今後の避難予測人数」を算出する。また、端末30−1に登録されている家族の端末(端末30−2)に情報を送信する。
【0117】
ステップS182において送信された情報を受けて、ステップS3821において、端末30−2は、家族登録された情報であるか否かを判定し、判定結果が肯であれば、端末30−2は、ステップS3822に処理を移行してその情報をサーバー10に送信する。一方、判定結果が否であれば、端末30−2は、ステップS3822以下をスキップする。
【0118】
ステップS3822において送信された情報を受けて、ステップS183において、サーバー10は、端末30−1から受信した「選択された避難所」の情報を、端末30−2に送信する。
【0119】
ステップS183において送信された情報を受けて、ステップS3823において、端末30−2は、家族が選択した避難所を表示する。
【0120】
以上説明した実施形態によれば、家族がどこの避難所を選択したのが分かるので、家族の他のメンバーもその避難所を目指して避難することができる。また、避難所に関する情報(現在の収容人数(男女別/大人小人別),ペット受入の可不可など)が表示されるので、妊婦や子連れあるいはペットを飼っているなどのような境遇が同じ人が同一の避難所に集まりやすくなる。また、そのような境遇が同じ人を同一の避難所に案内するようにルート表示してもよい。なおルートは、第1実施形態で説明した通り、回避エリアを避けて設定される。
【0121】
過去に家族情報を登録してから災害が発生するまでに長期間が経過していることもあり得る。この間に情報が変わっていることも考えられ、このような場合に自分が向かう避難所の情報を知らせたくないことも想定される。災害が発生したタイミングで、家族情報などを修正するので、不必要な情報開示を回避することが可能になり、家族関係に変化があった場合のトラブルを防止することができる。
【0122】
また、家族登録を要望する端末所有者の端末に入力された、家族登録したい端末番号の情報を受信した場合に、その端末番号に対して認証コードを送信する。そして、その認証コードが、家族登録を要望する端末所有者の端末に入力された場合に、家族登録が要望された端末を、家族登録を要望する端末所有者の端末に家族登録するようにした。このようにしたので、誤登録を防止することができる。
【0123】
さらに、子供の情報の登録を要望する端末所有者からの情報を受信した場合に、その子供情報を、要望する端末所有者の所有者情報に追加して保存するようにした。このようにしたので、携帯通信端末を所有していない子供の情報であっても、登録することができる。
【0124】
さらにまた、ペットの情報の登録を要望する端末所有者からの情報を受信した場合に、そのペット情報を、要望する端末所有者の所有者情報に追加して保存するようにした。このようにしたので、ペット情報であっても、登録することができ、避難所でのドッグフード・キャットフード等の物資管理が容易になる。
【0125】
(第3実施形態)
図25は、本発明に係る災害ネットワークシステムの第3実施形態の構成について説明する図である。
【0126】
図25に示すように、災害ネットワークシステム1は、
図1に示されている第1実施形態の構成に加えて、さらにウェアラブル端末50を含む。
【0127】
ウェアラブル端末50は、個人ごとに所有されて所有者の心拍数や血圧などの生体情報を検出する端末であり、腕時計型のスマートウォッチや、心拍数等を検出するセンサーが組み込まれているスマートシャツなどを例示することができる。ウェアラブル端末50は、検出した生体情報を携帯通信端末30に送信する。なお、被災者端末30がたとえば腕時計型に構成されて、さらに所有者の心拍数や血圧などの生体情報を検出する機能が組み込まれることで、ウェアラブル端末50が被災者端末30によって兼用されるタイプであってもよい。
【0128】
図26は、第3実施形態の被災状況入力処理を示すフローチャートである。
【0129】
基本的には、
図3に示されている第1実施形態と同様であるが、第1実施形態の構成に加えて、さらにステップS31101を含む。
【0130】
ステップS31101において、端末30は、被災状況が入力されないまま所定時間が経過した場合に(ステップS3113でYes)、所有者の心拍数や血圧などの生体情報(ウェアラブル端末の情報)を個人状況情報とする。なお、所定時間は、端末30の所有者が意識を失っているなどして端末30を操作することができないと推定される時間であり、たとえば30分程度である。この所定時間が経過するまでは、一定時間ごとに端末30やウェアラブル端末50のアラームを鳴らしたり、バイブレーターを作動させることで被災状況の入力を促すことで、被災状況の入力忘れを防止できる。
【0131】
図27は、第3実施形態の個人状況入力処理を示すフローチャートである。
【0132】
基本的には、
図5に示されている第1実施形態と同様であるが、第1実施形態の構成に加えて、さらにステップS311601を含む。
【0133】
ステップS311601において、端末30は、被災状況が入力されないまま所定時間が経過した場合に(ステップS31163でYes)、所有者の心拍数や血圧などの生体情報を個人状況情報とする。なお、所定時間は、端末30の所有者が意識を失っているなどして端末30を操作することができないと推定される時間であり、たとえば30分程度である。この所定時間が経過するまでは、一定時間ごとに端末30やウェアラブル端末50のアラームを鳴らしたり、バイブレーターを作動させることで被災状況の入力を促すことで、被災状況の入力忘れを防止できる。
【0134】
図28は、第3実施形態の周囲状況入力処理を示すフローチャートである。
【0135】
基本的には、
図8に示されている第1実施形態と同様であるが、第1実施形態の構成に加えて、さらにステップS311701を含む。
【0136】
ステップS311701において、端末30は、被災状況が入力されないまま所定時間が経過した場合に(ステップS31173でYes)、所有者の心拍数や血圧などの生体情報を個人状況情報とする。なお、所定時間は、端末30の所有者が意識を失っているなどして端末30を操作することができないと推定される時間であり、たとえば30分程度である。この所定時間が経過するまでは、一定時間ごとに端末30やウェアラブル端末50のアラームを鳴らしたり、バイブレーターを作動させることで被災状況の入力を促すことで、被災状況の入力忘れを防止できる。
【0137】
本実施形態によれば、端末30の所有者が意識を失っているなどして端末30を操作することができない場合に、心拍数や血圧などの生体情報から緊急性を要すると判断されるときに、救助を優先するというトリアージに役立てることができる。
【0138】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0139】
たとえば、所有者情報として登録する内容は、上記に限られない。
【0140】
上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。
【0141】
一般使用者が操作する端末(たとえばスマホ)に、本システム用のアプリをデフォルトでインストールしておけば、端末使用者が情報を入力しやすいので好ましい。
【0142】
なお特許請求の範囲における「被災状況の情報」とは、救助要否画面で入力される「救助要否の情報」,個人状況入力画面で入力される「個人状況の情報」,周囲状況入力画面で入力される「周囲状況の情報」などである。
【解決手段】災害ネットワークシステムにおいて、災害発生時に、被災者の端末の画面に被災状況の情報が入力された場合はその情報を被災者端末の識別情報及び位置情報とともにサーバーに送信する被災状況入力処理S311と、被災状況入力処理S311から受信した情報に対して、最優先カテゴリー/準優先カテゴリー/非優先カテゴリー/保留カテゴリーのいずれかのトリアージカテゴリーを設定し、トリアージカテゴリーを、対応する被災者端末の位置情報とともに救助員が操作する救助員端末に送信する状況整理処理S112と、救助員端末の表示部に地図を表示するとともに状況整理処理S112から受信した位置情報の場所にトリアージカテゴリーを表示するトリアージ処理S411とを実施する。