(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2当接面には、前記第2シール部材を保持する第2シール部材保持溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインバータ一体型回転電機。
前記第1挿通孔の内周面及び前記第3挿通孔の内周面の少なくとも一方は、前記モータ配線を前記インバータにおける前記モータ配線との電気的接続部に向けて案内する案内面になっていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のインバータ一体型回転電機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなインバータ一体型回転電機においては、ハウジングとインバータケースはそれぞれの内部をシールするためのシール構造が必要である。しかしながら、シール構造が複雑化すると、インバータ一体型回転電機の組み付けが煩雑なものとなる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ハウジングとインバータケースそれぞれの内部をシールするためのシール構造を簡素化し、組み付けを容易なものとすることができるインバータ一体型回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するインバータ一体型回転電機は、回転軸を回転可能に支持する筒状のハウジングと、前記回転軸と一体的に回転するロータと、前記ハウジングの内周面に固定されるステータと、前記回転軸の軸方向で前記ハウジングに連結されるとともにインバータを収容するインバータケースと、前記ステータのコイルから引き出されるとともに前記インバータに電気的に接続されるモータ配線と、前記回転軸の軸方向における前記ハウジングと前記インバータケースとの間で前記インバータケースに設けられ、前記インバータと熱的に結合されるヒートシンクと、前記回転軸の軸方向における前記ヒートシンクと前記ハウジングとの間で前記回転軸に固定され、前記回転軸の回転に伴い回転して空気を吸気可能な冷却ファンと、前記回転軸の軸方向における前記ヒートシンクと前記冷却ファンとの間に配置され、前記ヒートシンクと前記冷却ファンとの間で空気を整流する整流孔を有する整流部材と、を備えたインバータ一体型回転電機であって、前記ハウジングは、前記回転軸の軸方向で前記モータ配線が挿通される第1挿通孔が形成された第1端面を有し、前記インバータケースは、前記回転軸の軸方向で前記モータ配線が挿通される第2挿通孔が形成された第2端面を有し、前記整流部材は、前記回転軸の軸方向で前記モータ配線が挿通される第3挿通孔と、前記第3挿通孔の周囲で前記第1端面に当接する第1当接面と、前記第3挿通孔の周囲で前記第2端面に当接する第2当接面と、を有し、前記第1端面と前記第1当接面との間に設けられる第1シール部材と、前記第2端面と前記第2当接面との間に設けられる第2シール部材と、を備えている。
【0008】
これによれば、ハウジングに対して、整流部材及びインバータケースを回転軸の軸方向で順に組み付けていくと同時に、ハウジングとインバータケースとの間が、第1シール部材、整流部材、及び第2シール部材を介してシールされることになる。よって、回転軸の軸方向におけるヒートシンクと冷却ファンとの間に整流部材が配置されている構成のインバータ一体型回転電機であっても、ハウジングとインバータケースとの間をシールするためのシール構造を簡素化し、インバータ一体型回転電機の組み付けを容易なものとすることができる。
【0009】
上記インバータ一体型回転電機において、前記第1当接面には、前記第1シール部材を保持する第1シール部材保持溝が形成されているとよい。
これによれば、第1シール部材保持溝に第1シール部材を保持した状態で、ハウジングに対して、整流部材及びインバータケースを回転軸の軸方向で順に組み付けていくことができるため、インバータ一体型回転電機の組み付けをさらに容易なものとすることができる。
【0010】
上記インバータ一体型回転電機において、前記第2当接面には、前記第2シール部材を保持する第2シール部材保持溝が形成されているとよい。
これによれば、第2シール部材保持溝に第2シール部材を保持した状態で、ハウジングに対して、整流部材及びインバータケースを回転軸の軸方向で順に組み付けていくことができるため、インバータ一体型回転電機の組み付けをさらに容易なものとすることができる。
【0011】
上記インバータ一体型回転電機において、前記第1挿通孔の内周面及び前記第3挿通孔の内周面の少なくとも一方は、前記モータ配線を前記インバータにおける前記モータ配線との電気的接続部に向けて案内する案内面になっているとよい。
【0012】
これによれば、ハウジングに対して、整流部材及びインバータケースを回転軸の軸方向で順に組み付けていく際に、モータ配線が案内面によってインバータの電気的接続部に案内され易くなるため、インバータ一体型回転電機の組み付けをさらに容易なものとすることができる。
【0013】
上記インバータ一体型回転電機において、前記案内面は、前記第3挿通孔の内周面であるとよい。
これによれば、第1挿通孔からハウジングの外部に延びているモータ配線を、第3挿通孔の内周面によってインバータの電気的接続部に案内しながら、ハウジングに対して、整流部材及びインバータケースを回転軸の軸方向で順に組み付けていくことができるため、インバータ一体型回転電機の組み付けをさらに容易なものとすることができる。
【0014】
上記インバータ一体型回転電機において、前記案内面は、前記電気的接続部に近づくにつれて先細りしているとよい。
これによれば、例えば、案内面が、回転軸の軸方向に直線状に延びている場合に比べると、モータ配線をインバータの電気的接続部に案内し易くなるため、インバータ一体型回転電機の組み付けをさらに容易なものとすることができる。
【0015】
上記インバータ一体型回転電機において、前記整流部材は樹脂製であるとともに、前記ハウジングは金属製であり、前記整流部材は、前記第1挿通孔に挿入される筒状の挿入部を有しているとよい。
【0016】
これによれば、第1挿通孔の内側に位置するモータ配線の部分とハウジングとの間の絶縁を挿入部によって確保することができる。よって、第1挿通孔の内側に位置するモータ配線の部分とハウジングとの間の絶縁を確保する絶縁部材を、ハウジングの内側に別途設ける必要が無くなり、インバータ一体型回転電機の構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、ハウジングとインバータケースそれぞれの内部をシールするためのシール構造を簡素化し、組み付けを容易なものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、インバータ一体型回転電機を具体化した一実施形態を
図1〜
図5にしたがって説明する。なお、本実施形態のインバータ一体型回転電機は、車両に搭載されている。
図1及び
図2に示すように、インバータ一体型回転電機10は、ハウジング11と、インバータ20を収容するインバータケース21と、ヒートシンク30と、冷却ファン40と、整流部材50と、を備えている。
【0020】
ハウジング11は、有底円筒状の第1モータブラケット12と、有底円筒状の第2モータブラケット13とから構成されている。第1モータブラケット12及び第2モータブラケット13は、アルミニウム製である。よって、ハウジング11は金属製である。
【0021】
図1に示すように、第1モータブラケット12は、円板状の底部12aと、底部12aの外周縁に連続する円筒状の筒部12bと、を有している。底部12aには、貫通孔12hが形成されている。
図2に示すように、筒部12bの外周面には、複数の取付部12cが筒部12bの周方向に所定の間隔を置いてそれぞれ突設されている。
【0022】
図1に示すように、第2モータブラケット13は、円板状の底部13aと、底部13aの外周縁に連続する円筒状の筒部13bと、を有している。底部13aには、貫通孔13hが形成されている。
図2に示すように、筒部13bの外周面には、複数の取付部13cが筒部13bの周方向に所定の間隔を置いてそれぞれ突設されている。さらに、第2モータブラケット13は、インバータケース21を第2モータブラケット13に対して取り付けるために用いられる取付用脚部13kを複数有している。
【0023】
第1モータブラケット12及び第2モータブラケット13は、各筒部12bの開口端同士が各筒部12b,13bの軸方向で互いに向き合うとともに、第1モータブラケット12の各取付部12cと第2モータブラケット13の各取付部13cとが各筒部12b,13bの軸方向で互いに対向するように配置されている。各筒部12b,13bの軸方向で互いに対向した第1モータブラケット12の各取付部12cと第2モータブラケット13の各取付部13cとは、第1モータブラケット12の取付部12cを貫通して第2モータブラケット13の取付部13cにねじ込まれた螺子14aと、螺子14aに螺合された図示しないナットとによって締結されている。これにより、第1モータブラケット12と第2モータブラケット13とが各筒部12b,13bの軸方向で所定の間隔を置いた状態で連結されている。
【0024】
図1に示すように、インバータ一体型回転電機10は、回転軸15を備えている。回転軸15の一端部は、貫通孔12hに挿入されるとともに、ベアリング16aを介して第1モータブラケット12に回転可能に支持されている。回転軸15の他端部は、貫通孔13hに挿入されるとともにベアリング16bを介して第2モータブラケット13に回転可能に支持されている。よって、ハウジング11は、回転軸15を回転可能に支持する。回転軸15の他端は、貫通孔13hを通過して第2モータブラケット13の外端面よりも突出している。回転軸15の軸線Lが延びる方向(回転軸15の軸方向)は、各筒部12b,13bの軸方向に一致している。
【0025】
インバータ一体型回転電機10は、ロータ17及びステータ18を備えている。ロータ17は、回転軸15と一体的に回転する。ロータ17は、複数の電磁鋼板が積層されることにより構成されるロータコア17aを有している。また、ロータ17は、複数のロータバー17b、第1エンドリング17c、及び第2エンドリング17dを有している。複数のロータバー17bは、ロータコア17aの周方向に間隔を置いた状態でロータコア17aを回転軸15の軸方向に貫通している。第1エンドリング17cは、ロータコア17aの一端面に配置されている。第2エンドリング17dは、ロータコア17aの他端面に配置されている。複数のロータバー17bの一端は、第1エンドリング17cにそれぞれ連結されるとともに、複数のロータバー17bの他端は、第2エンドリング17dにそれぞれ連結されている。
【0026】
ステータ18は、ハウジング11の内周面に固定されている。ステータ18は、複数の電磁鋼板が積層されることにより構成される円筒状のステータコア18aを有している。ステータコア18aの軸方向一端部は、ステータコア18aの外周面におけるステータコア18aの軸方向一端部が、筒部12bの内周面の開口端部に圧入されることにより、筒部12bの内周面に固定されている。ステータコア18aの軸方向他端部は、ステータコア18aの外周面におけるステータコア18aの軸方向他端部が、筒部13bの内周面の開口端部に圧入されることにより、筒部13bの内周面に固定されている。ステータコア18aは、ステータコア18aの軸方向における両筒部12b,13bの間に位置する外周面がハウジング11に覆われておらず外部に露出している。
【0027】
ステータ18は、コイル18bを有している。コイル18bは、ステータコア18aの図示しないティースに捲回されている。そして、ステータコア18aにおける軸方向一端側に位置する一端面181aからは、コイル18bの一部である環状の第1コイルエンド181bが突出するとともに、ステータコア18aにおける軸方向他端側に位置する他端面182aからは、コイル18bの一部である環状の第2コイルエンド182bが突出している。
【0028】
第1コイルエンド181bは、第1モータブラケット12の筒部12bによって覆われている。第2コイルエンド182bは、第2モータブラケット13の筒部13bによって覆われている。第2コイルエンド182bからは、U相、V相及びW相のコイル18bに対応して3つのモータ配線19が引き出されている。よって、ステータ18のコイル18bからはモータ配線19が引き出されている。
【0029】
ハウジング11、整流部材50、及びインバータケース21は、回転軸15の軸方向においてこの順序に並んで配置されている。回転軸15の軸方向において、第2モータブラケット13は、第1モータブラケット12よりも整流部材50側に配置されている。
【0030】
第2モータブラケット13は、筒部13bの外周面から回転軸15の径方向外側に膨出する膨出壁13dを有している。膨出壁13dの内側の空間における回転軸15の軸方向両側は、一対の閉塞壁13e,13fにより閉塞されている。
図1及び
図2に示すように、一対の閉塞壁13e,13fのうち、第1モータブラケット12とは反対側の閉塞壁13fには、回転軸15の軸方向でモータ配線19が挿通される第1挿通孔11hが3つ形成されている。閉塞壁13fの外端面は、第1挿通孔11hが形成された第1端面11aである。よって、ハウジング11は、回転軸15の軸方向でモータ配線19が挿通される第1挿通孔11hが形成された第1端面11aを有している。第1端面11aは、平坦面状である。
【0031】
図1に示すように、3つのモータ配線19は、第2コイルエンド182bの外周部から回転軸15の径方向外側へ膨出壁13dに向けて延びるとともに、膨出壁13dの内側で、ステータコア18aの他端面182aとは反対側に向けて折り曲げられた後、回転軸15の軸方向に延びて各第1挿通孔11hに挿通されている。
【0032】
膨出壁13dの内面には、樹脂製である筒状の絶縁部材11gが設けられている。3つのモータ配線19は、絶縁部材11gの内側を通過している。絶縁部材11gは、第2モータブラケット13と各モータ配線19との間を絶縁している。
【0033】
図2に示すように、インバータケース21は、四角筒状のケース本体22を有している。
図1に示すように、ケース本体22における整流部材50とは反対側の一面は開口している。ケース本体22における整流部材50側の一部分には、ヒートシンク30が取り付けられる取付孔22aが形成されている。
【0034】
図3に示すように、ケース本体22は、回転軸15の軸方向で第1端面11aと整流部材50を介して対向配置される端面22eを有している。端面22eには、3つの円孔状の凹部22bが形成されている。各凹部22bの底面には、回転軸15の軸方向で各モータ配線19が挿通される円孔状の第2挿通孔24hがそれぞれ形成されている。各凹部22bの底面は、各第2挿通孔24hが形成された第2端面24である。
【0035】
図1に示すように、ケース本体22の内側は、ケース本体22の内面に設けられる平板状の区画壁22cによって、取付孔22aに連通する第1空間221と、3つの第2挿通孔24hに連通する第2空間222とに区画されている。
【0036】
インバータケース21は、ケース本体22の開口を閉塞する第1カバー部材23a及び第2カバー部材23bを有している。
図2に示すように、第1カバー部材23a及び第2カバー部材23bは、ケース本体22の開口縁に設けられたガスケット23cを介して複数の螺子23d,23eによりケース本体22に取り付けられている。ケース本体22の開口縁と、第1カバー部材23a及び第2カバー部材23bとの間は、ガスケット23cによってシールされている。第1カバー部材23aは、ケース本体22における第1空間221の開口を閉塞する。第2カバー部材23bは、ケース本体22における第2空間222の開口を閉塞する。
【0037】
図1に示すように、ヒートシンク30は、平板状の基部31と、基部31の一面31aに設けられるフィン32とから構成されている。
図3に示すように、フィン32は、薄板をつづら折りすることにより形成されたコルゲートフィンである。ヒートシンク30は、基部31が取付孔22aに嵌め込まれた状態でケース本体22に取り付けられている。よって、ヒートシンク30は、回転軸15の軸方向における第2モータブラケット13とインバータケース21との間でインバータケース21に設けられている。
【0038】
図1に示すように、インバータ20は、ヒートシンク30の基部31におけるフィン32とは反対側の面31bに取り付けられている。よって、ヒートシンク30は、インバータ20と熱的に結合されている。インバータ20は、第1空間221に配置されている。
【0039】
インバータ20は、基板20aと、基板20aに実装された複数のスイッチング素子20bと、を有している。複数のスイッチング素子20bは、U相、V相及びW相のコイル18bにそれぞれ対応した各相の上アーム及び下アームを構成している。インバータ20は、上アーム及び下アームを構成するスイッチング素子20bのスイッチング動作により、車載バッテリ等の直流電源からの直流を交流に変換する。
【0040】
図1及び
図2に示すように、基板20aからは、U相、V相及びW相のコイル18bに対応して3つのインバータ端子25が回転軸15の径方向に延設されている。各インバータ端子25は、細長板状のバスバーである。各インバータ端子25の一端は、介在部材20cを介して基板20aに電気的に接続されている。各インバータ端子25の他端は、区画壁22cを貫通して第2空間222に突出している。各インバータ端子25の他端部には接続孔25aがそれぞれ形成されている。接続孔25aは、インバータ端子25の他端部を回転軸15の軸方向に貫通している。各インバータ端子25と区画壁22cとの間は、ガスケット23cの一部分であるシール部231cによってシールされている。
【0041】
図3に示すように、回転軸15の径方向において、ケース本体22におけるヒートシンク30に対して各第2挿通孔24hとは反対側の部位には、放熱フィン26が設けられている。放熱フィン26は、薄板をつづら折りすることにより形成されたコルゲートフィンである。放熱フィン26は、回転軸15の径方向でヒートシンク30のフィン32と重なる位置に配置されている。
【0042】
図2及び
図3に示すように、ケース本体22の外面には、複数の取付用脚部27が突設されている。複数の取付用脚部27は、第2モータブラケット13に対してインバータケース21を取り付けるために用いられる。各取付用脚部27は、第2モータブラケット13の各取付用脚部13kと回転軸15の軸方向で対向している。
【0043】
図1及び
図2に示すように、冷却ファン40は、回転軸15の軸方向におけるヒートシンク30とハウジング11(第2モータブラケット13)との間で回転軸15の他端に固定されている。そして、冷却ファン40は、回転軸15の回転に伴い回転して空気を吸気可能である。
【0044】
整流部材50は樹脂製である。整流部材50は、回転軸15の軸方向におけるヒートシンク30と冷却ファン40との間に配置され、ヒートシンク30と冷却ファン40との間で空気を整流する整流孔51を複数有している。複数の整流孔51は四角孔形状である。複数の整流孔51は、回転軸15の軸方向で冷却ファン40及びヒートシンク30にそれぞれ対向している。
【0045】
図2及び
図3に示すように、整流部材50は、複数の整流孔51が形成される略円板状の本体部52と、本体部52の外縁部から第2モータブラケット13に向けて延びる排気案内筒部53と、を有している。また、排気案内筒部53は、回転軸15の径方向外側に突出する突出部53fを複数有している。各突出部53fの内方は、各取付用脚部13kと回転軸15の軸方向で対向している。また、排気案内筒部53には、第2モータブラケット13の膨出壁13dとの干渉を避けるための切欠53kが形成されている。本体部52におけるインバータケース21側の端面52aには、円筒状の挿通筒54が3つ突出形成されている。
【0046】
図4に示すように、各挿通筒54は、大径筒54a、段差54b、小径筒54c、及びテーパ筒54dを有している。大径筒54aは、本体部52の端面52aに連続するとともに回転軸15の軸方向に延びている。段差54bは、回転軸15の径方向に延びる円環状であるとともに大径筒54aにおける本体部52とは反対側の端部に連続している。小径筒54cは、段差54bの内周部に連続するとともに回転軸15の軸方向に延びている。小径筒54cは、大径筒54aよりも外径が小径である。テーパ筒54dは、小径筒54cにおける段差54bとは反対側の端部に連続するとともに小径筒54cから離れるにつれて外径が徐々に小さくなっている。
【0047】
各挿通筒54の内側は、回転軸15の軸方向で各モータ配線19が挿通される円孔状の第3挿通孔54hになっている。よって、整流部材50は、第3挿通孔54hを3つ有している。
図3に示すように、各第3挿通孔54hは、本体部52における第2モータブラケット13側の端面に開口している。
【0048】
図4及び
図5に示すように、第3挿通孔54hの内周面は、本体部52における第2モータブラケット13側の端面から挿通筒54の段差54bまでの間で本体部52における第2モータブラケット13側の端面から挿通筒54の先端に向かうにつれて先細りしている。
図5に示すように、各挿通筒54の小径筒54c及びテーパ筒54dは、各第2挿通孔24hに挿入され、インバータケース21内の第2空間222に突出している。各挿通筒54のテーパ筒54dの内側は、回転軸15の軸方向で各インバータ端子25の接続孔25aに対向している。
【0049】
図3及び
図5に示すように、本体部52における第2モータブラケット13側の端面は、3つの第3挿通孔54hの周囲で第1端面11aに当接する第1当接面55になっている。よって、整流部材50は、3つの第3挿通孔54hの周囲で第1端面11aに当接する第1当接面55を有している。第1当接面55は、回転軸15の軸方向で第1端面11aに対向している。
図3に示すように、第1当接面55は、切欠53kに連続している。
【0050】
第1端面11aと第1当接面55との間には第1シール部材61が設けられている。第1シール部材61は、長四角枠状であるゴム製のガスケットである。第1シール部材61には、各モータ配線19が挿通される枠状の挿通部61aがそれぞれ形成されている。各挿通部61aは、第1端面11aにおける各第1挿通孔11hの周囲、及び第1当接面55における第3挿通孔54hの周囲にそれぞれ配置されている。
【0051】
第1当接面55には、第1シール部材61を保持する第1シール部材保持溝55aが形成されている。第1シール部材保持溝55aは、第1当接面55において、各第3挿通孔54hを囲むように形成されている。
【0052】
図5に示すように、第1シール部材61は、第1シール部材保持溝55aに装着されることにより第1シール部材保持溝55aに保持されるとともに、第1シール部材保持溝55aに密着している。第1シール部材61は、第1端面11aと第1当接面55とが当接することにより、第1端面11aと第1シール部材保持溝55aとの間で押し潰された状態で第1端面11aに密着している。そして、第1シール部材61は、第1端面11aと第1当接面55との間を介した各第1挿通孔11hへの水や異物等の侵入、及び第1端面11aと第1当接面55との間を介した各第3挿通孔54hへの水や異物等の侵入を抑制している。
【0053】
図2及び
図5に示すように、各挿通筒54の段差54bの端面は、各第3挿通孔54hの周囲で第2端面24に当接する第2当接面56になっている。よって、整流部材50は、各第3挿通孔54hの周囲で第2端面24に当接する第2当接面56を有している。各第2当接面56は、回転軸15の軸方向で第2端面24に対向している。
【0054】
各第2端面24と各第2当接面56との間には第2シール部材62がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、各第2シール部材62は、円環状であるゴム製のシール部材である。各第2当接面56には、各第2シール部材62を保持する第2シール部材保持溝56aがそれぞれ形成されている。各第2シール部材保持溝56aは、第2当接面56において、各第3挿通孔54hを囲むように形成されている。
【0055】
図5に示すように、各第2シール部材62は、各第2シール部材保持溝56aに装着されることにより各第2シール部材保持溝56aに保持されるとともに、各第2シール部材保持溝56aにそれぞれ密着している。各第2シール部材62は、各第2端面24と各第2当接面56とが当接することにより、各第2端面24と各第2シール部材保持溝56aとの間で押し潰された状態で各第2端面24に密着している。そして、各第2シール部材62は、各第2端面24と各第2当接面56との間を介した各第2挿通孔24hへの水や異物等の侵入を抑制している。
【0056】
図2に示すように、本実施形態のインバータ一体型回転電機10は、第2モータブラケット13に対して、整流部材50及びインバータケース21を回転軸15の軸方向に順に組み付けていくことにより構成されている。インバータケース21及び整流部材50は、インバータケース21の複数の取付用脚部27及び整流部材50を貫通して複数の取付用脚部13kにねじ込まれる螺子57によって第2モータブラケット13に組み付けられている。よって、インバータケース21及び整流部材50は、回転軸15の軸方向でハウジング11に連結されている。
【0057】
図1に示すように、整流部材50の排気案内筒部53は、第2モータブラケット13の筒部13bの外周面を覆っている。そして、排気案内筒部53の内周面と第2モータブラケット13の筒部13bの外周面との間に排気通路58が形成されている。排気通路58は、複数の整流孔51に連通している。
【0058】
図5に示すように、各モータ配線19における第2コイルエンド182bとは反対側の端部は、絶縁部材11gの内側、各第1挿通孔11h、及び各第3挿通孔54hを通過してインバータケース21の第2空間222に突出し、各インバータ端子25の接続孔25aにそれぞれ挿通されている。ここで、各第3挿通孔54hを形成する各挿通筒54の小径筒54c及びテーパ筒54dは、各第2挿通孔24hに挿通されている。つまり、各第3挿通孔54hを通過する各モータ配線19は、各第2挿通孔24hを通過しているとも言える。
【0059】
そして、各接続孔25aに挿通された各モータ配線19の端部と各インバータ端子25の他端とが各ナット25bによって回転軸15の軸方向から締結されることにより、各モータ配線19と各インバータ端子25とが電気的に接続されている。これにより、各モータ配線19とインバータ20とが各インバータ端子25を介して電気的に接続されている。よって、各モータ配線19はインバータ20に電気的に接続されている。そして、各インバータ端子25の接続孔25aは、インバータ20における各モータ配線19との電気的接続部である。
【0060】
各第3挿通孔54hの内周面は、各モータ配線19を各インバータ端子25の接続孔25aに向けて案内する案内面59になっている。具体的には、各第3挿通孔54hの内周面、すなわち、各案内面59は、本体部52の端面52bから挿通筒54の段差54bまでの間で本体部52の端面52bから挿通筒54の先端に向かうにつれて先細りなっている。したがって、各案内面59は、各インバータ端子25の接続孔25aに近づくにつれて先細りしているため、各案内面59が、回転軸15の軸方向に直線状に延びている場合に比べると、各モータ配線19が各インバータ端子25の接続孔25aに案内され易くなっている。
【0061】
図2に示すように、第2モータブラケット13に対して、整流部材50及びインバータケース21を組み付ける際には、第1カバー部材23aは、ガスケット23cによって第1空間221への異物の侵入が防止された状態で、ケース本体22に予め取り付けられている。第2カバー部材23bは、第2モータブラケット13に対して、整流部材50及びインバータケース21を組み付ける際には、ケース本体22に取り付けられておらず、ケース本体22における第2空間222の開口は開放された状態にある。第2カバー部材23bは、各ナット25bにおける各モータ配線19の端部と各インバータ端子25との締結後に、ケース本体22に取り付けられる。
【0062】
また、第2モータブラケット13に対して、整流部材50及びインバータケース21を組み付ける際には、第1シール部材61は第1シール部材保持溝55aに保持されているとともに、第2シール部材62は第2シール部材保持溝56aに保持されている。よって、第2モータブラケット13に対して、整流部材50及びインバータケース21を回転軸15の軸方向で順に組み付けていくと同時に、第2モータブラケット13とインバータケース21との間が、第1シール部材61、整流部材50、及び第2シール部材62を介してシールされる。
【0063】
次に、本実施形態の作用について説明する。
インバータ20から各インバータ端子25及び各モータ配線19を介してU相、V相及びW相のコイル18bに電力が供給されると、ステータ18において回転磁界が発生し、ロータ17が回転する。これにより、回転軸15がロータ17と一体的に回転する。そして、回転軸15に固定された冷却ファン40が回転軸15の回転に伴い回転し、冷却ファン40の回転により、
図1において二点鎖線R1で示すように、空気が回転軸15の径方向外側から回転軸15の軸線Lに向けて導入される。このとき、空気とヒートシンク30のフィン32との熱交換が行われる。そして、インバータ20で発生した熱が、ヒートシンク30を介して空気に放出され、インバータ20が冷却される。フィン32において熱交換が行われた空気は、複数の整流孔51を介して冷却ファン40に向かって流れ、排気通路58を介して外部へ排出される。
【0064】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)インバータ一体型回転電機10では、ハウジング11に対して、整流部材50及びインバータケース21を回転軸15の軸方向で順に組み付けていくと同時に、ハウジング11とインバータケース21との間が、第1シール部材61、整流部材50、及び第2シール部材62を介してシールされることになる。よって、回転軸15の軸方向におけるヒートシンク30と冷却ファン40との間に整流部材50が配置されている構成のインバータ一体型回転電機10であっても、ハウジング11とインバータケース21それぞれの内部をシールするためのシール構造を簡素化し、インバータ一体型回転電機10の組み付けを容易なものとすることができる。
【0065】
(2)第1当接面55には、第1シール部材61を保持する第1シール部材保持溝55aが形成されている。これによれば、第1シール部材保持溝55aに第1シール部材61を保持した状態で、ハウジング11に対して、整流部材50及びインバータケース21を回転軸15の軸方向で順に組み付けていくことができるため、インバータ一体型回転電機10の組み付けをさらに容易なものとすることができる。
【0066】
(3)第2当接面56には、第2シール部材62を保持する第2シール部材保持溝56aが形成されている。これによれば、第2シール部材保持溝56aに第2シール部材62を保持した状態で、ハウジング11に対して、整流部材50及びインバータケース21を回転軸15の軸方向で順に組み付けていくことができるため、インバータ一体型回転電機10の組み付けをさらに容易なものとすることができる。
【0067】
(4)各第3挿通孔54hの内周面は、各モータ配線19を各インバータ端子25の接続孔25aに向けて案内する案内面59になっている。これによれば、ハウジング11に対して、整流部材50及びインバータケース21を回転軸15の軸方向で順に組み付けていく際に、各モータ配線19が各案内面59によって各インバータ端子25の接続孔25aに案内され易くなるため、インバータ一体型回転電機10の組み付けをさらに容易なものとすることができる。
【0068】
(5)案内面59は、第3挿通孔54hの内周面である。これによれば、各第1挿通孔11hからハウジング11の外部に延びている各モータ配線19を、各第3挿通孔54hの内周面によって各インバータ端子25の接続孔25aに案内しながら、ハウジング11に対して、整流部材50及びインバータケース21を回転軸15の軸方向で順に組み付けていくことができる。したがって、インバータ一体型回転電機10の組み付けをさらに容易なものとすることができる。
【0069】
(6)案内面59は、インバータ端子25の接続孔25aに近づくにつれて先細りしている。これによれば、例えば、案内面59が、回転軸15の軸方向に直線状に延びている場合に比べると、モータ配線19をインバータ端子25の接続孔25aに案内し易くなるため、インバータ一体型回転電機10の組み付けをさらに容易なものとすることができる。
【0070】
(7)第2モータブラケット13に対して、整流部材50及びインバータケース21を組み付ける際には、第1カバー部材23aはガスケット23cを介してケース本体22に予め取り付けられている。よって、第2モータブラケット13に対して、整流部材50及びインバータケース21を組み付ける際に、インバータ20が収容された第1空間221に異物が侵入することがガスケット23cによって防止されているため、クリーンルーム環境内での組み付け作業を行う必要が無い。したがって、インバータ一体型回転電機10の組み付け作業のコストを抑えることができる。
【0071】
(8)各ナット25bにおける各モータ配線19の端部と各インバータ端子25との締結は、各ナット25bによって回転軸15の軸方向にてなされる。このため、各モータ配線19の端部と各インバータ端子25との締結が回転軸15の径方向にてなされる構成に比べると、インバータ一体型回転電機10の回転軸15の径方向の体格を小型化することができる。
【0072】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○
図6に示すように、整流部材50に挿通筒54が設けられておらず、第2モータブラケット13に、整流部材50に向けて突出する挿通筒13pが形成されていてもよい。整流部材50の本体部52には第3挿通孔54hが貫通形成されている。挿通筒13pは、第3挿通孔54hに向けて延びている。第2モータブラケット13は、挿通筒13pの内側に設けられる絶縁部材11gを有している。そして、絶縁部材11gの内側が第1挿通孔11hとして機能している。さらに、第1挿通孔11hの内周面が案内面59として機能しており、案内面59が、インバータ端子25の接続孔25aに近づくにつれて先細りしていてもよい。
【0073】
また、第1挿通孔11hの内周面及び第3挿通孔54hの内周面によって、案内面59が形成されていてもよい。要は、第1挿通孔11hの内周面及び第3挿通孔54hの内周面の少なくとも一方が、モータ配線19をインバータ端子25の接続孔25aに向けて案内する案内面になっていればよい。
【0074】
○
図7に示すように、整流部材50は、第1挿通孔11hに挿入される筒状の挿入部50Aを有していてもよい。これによれば、第1挿通孔11hの内側に位置するモータ配線19の部分と第2モータブラケット13との間の絶縁を挿入部50Aによって確保することができる。よって、第1挿通孔11hの内側に位置するモータ配線19の部分と第2モータブラケット13との間の絶縁を確保する絶縁部材を、第2モータブラケット13の内側に別途設ける必要が無くなり、インバータ一体型回転電機10の構成を簡素化することができる。
【0075】
○ 実施形態において、第1シール部材保持溝55aが、第1当接面55に形成されておらず、第1端面11aに形成されていてもよい。
○ 実施形態において、第1当接面55に、第1シール部材保持溝55aが形成されていなくてもよい。
【0076】
○ 実施形態において、第2シール部材保持溝56aが、第2当接面56に形成されておらず、第2端面24に形成されていてもよい。
○ 実施形態において、第2当接面56に、第2シール部材保持溝56aが形成されていなくてもよい。
【0077】
○ 実施形態において、整流部材50に挿通筒54が設けられておらず、例えば、本体部52に第3挿通孔54hが貫通形成された整流部材50であってもよく、第3挿通孔54hの内周面が案内面59として機能していなくてもよい。
【0078】
○ 実施形態において、案内面59が、例えば、回転軸15の軸方向に直線状に延びていてもよい。
○ 実施形態において、ケース本体22の内側が、区画壁22cによって第1空間221と第2空間222とに区画されていないインバータケース21であってもよい。
【0079】
○ 実施形態において、整流孔51の形状は特に限定されるものではなく、扇形孔形状や三角孔形状、円孔形状であってもよい。
○ 実施形態において、閉塞壁13fに、第1挿通孔11hが3つ形成されておらず、3つのモータ配線19が挿通可能な大きさの第1挿通孔11hが一つだけ形成されていてもよい。
【0080】
○ 実施形態において、整流部材50に、第3挿通孔54hが3つ形成されておらず、3つのモータ配線19が挿通可能な大きさの第3挿通孔が一つだけ形成されていてもよい。
【0081】
○ 実施形態において、各モータ配線19の端部と各インバータ端子25との締結が回転軸15の径方向にてなされる構成であってもよい。例えば、インバータケース21の外周面にモータ配線19をインバータ20に接続する端子台が設けられており、端子台に設置されたインバータ端子とモータ配線19との締結を回転軸15の径方向で行う構成であってもよい。
【0082】
○ 実施形態において、インバータケース21とヒートシンク30とが、例えば、アルミダイカストにより一体形成されていてもよい。