(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
以下の説明においては、中心軸Jの延びる方向を上下方向とする。ただし、本明細書における上下方向は、単に説明のために用いられる名称であって、実際のモータの位置関係や方向などを限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向(中心軸Jの軸周り)を単に「周方向」と呼ぶ。
【0009】
なお、本明細書において「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0010】
図1は、本実施形態のモータ10を示す断面図である。
図2は、ワイヤー支持部材およびステータを示す斜視図である。
図3は、ベアリングホルダおよびステータユニットを示す斜視図である。
図4は、バスバーユニットおよびステータユニットを示す斜視図である。
【0011】
モータ10は、ハウジング20と、ロータ30と、ステータ40と、ワイヤー支持部材70と、ベアリングホルダ55と、ベアリングと、バスバーユニット60と、を備える。ベアリングは、上側ベアリング51と、下側ベアリング52と、を含む。モータ10では、バスバーユニット60と、ベアリングホルダ55と、ワイヤー支持部材70と、ステータ40とが、上側から下側に向かってこの順に配置される。モータ10は、バスバーユニット60の上側に、制御装置100の少なくとも一部を収容可能な制御装置収容領域20Aを有する。本実施形態において、モータ10は、U相、V相、およびW相を有する三相モータである。
【0012】
ハウジング20は、上下方向に延びる筒部21と、筒部21の下端に位置する底壁部23と、上側に開口する開口部20aと、を有する。ハウジング20の内面には、下側から順に、ステータ40と、ベアリングホルダ55とが固定される。
【0013】
筒部21は、中心軸Jを中心とする円筒状である。筒部21は、ステータ40を保持する内周面20bと、ベアリングホルダ55を保持する内周面20cと、制御装置100の一部を収容する制御装置収容領域20Aの内周面20dとを有する。内周面20dの内径は、内周面20cの内径よりも大きい。内周面20cの内径は、内周面20bの内径よりも大きい。すなわち、ハウジング20は、開口部20aから奥側(底壁部23側)へ行くに従って内径が小さくなる内面形状を有する。
【0014】
内周面20cの内径は、内周面20dの内径と異なる。ハウジング20は、内周面20cと内周面20dとを接続する傾斜面20e、を有する。傾斜面20eの表面形状は、軸方向下側へ行くに従って内径が小さくなる。すなわち、中心軸Jと傾斜面20eとの間の径方向における距離は、軸方向下側へ向うにつれて徐々に小さくなる。傾斜面20eの断面形状は、直線状または湾曲形状が望ましい。これにより、作業者等(モータの組み立て作業者または組み立て装置など)は、開口部20aから挿入されたベアリングホルダ55を、内周面20cにおける取り付け位置へ円滑に配置することができる。
【0015】
なお、ハウジング20は、必ずしも傾斜面20eを有さなくてもよい。例えば、ハウジング20では、内周面20cと内周面20dとが段差部を介して軸方向に接続されてもよい。
【0016】
ハウジング20は、棚面20fを有する。棚面20fは、内周面20bと内周面20cとの間に配置され、開口部20aに面して周方向に延びる。棚面20fは、ベアリングホルダ55を軸方向に支持する受け面である。この構成により、ハウジング20は、ベアリングホルダ55を、軸方向において高い精度で所定の位置に保持することができる。
【0017】
筒部21の形状は、円筒状に限られない。筒部21の内周面がステータ40とベアリングホルダ55とを保持可能な形状であれば、筒部21の外形は、例えば箱形であってもよい。また、筒部21の外形は、円筒形と箱形とを組み合わせた形状であってもよい。ステータ40またはベアリングホルダ55は、筒部21における内面の周方向の一部で保持されてもよい。
【0018】
底壁部23は、ステータ40の下側に配置される。底壁部23は、ベアリング保持部23aと、出力軸孔22と、を有する。ベアリング保持部23aは、下側ベアリング52を保持する。出力軸孔22は、底壁部23を軸方向に貫通する。
【0019】
ロータ30は、シャフト31を有する。シャフト31は、上下方向に延びる中心軸Jに沿って伸びる。ロータ30は、シャフト31とともに中心軸Jを中心として周方向に回転する。シャフト31の下側の端部は、出力軸孔22を介してハウジング20の下側へ突出する。
【0020】
上側ベアリング51および下側ベアリング52は、シャフト31を、中心軸J周りに回転可能に支持する。ベアリング保持部23aは、ステータ40の下側において、下側ベアリング52を保持する。ベアリングホルダ55は、ステータ40の上側において、上側ベアリング51を保持する。
【0021】
ステータ40は、ロータ30の径方向外側に位置する。ステータ40は、ステータコア41と、インシュレータ42と、コイル43と、を有する。ステータコア41は、中心軸Jを中心とする円環状である。ステータコア41は、複数のティース41aを有する。インシュレータ42は、ティース41aに取り付けられる。コイル43は、インシュレータ42に巻き回される導線により構成される。コイル43は、各ティース41aに配置される。ステータ40の外周面は、ハウジング20の内周面20bに固定される。
【0022】
図1および
図2に示すように、ワイヤー支持部材70は、第1導通部材71と、第2導通部材72と、複数のワイヤー保持部75と、本体部73とを有する。本実施形態において、ワイヤー保持部の数は、6個である。ワイヤー支持部材70は、ステータ40上に配置される。第1導通部材71および第2導電部材72には、コイルの中性点が接続する。以下の説明では、第1導通部材71を第1中性点バスバー71と呼び、第2導通部材72を第2中性点バスバー72と呼ぶ。
【0023】
本体部73は、環状であって、ステータ40の上側に配置される。本体部73は、軸方向の下側へ延びる複数の脚部73aを有する。脚部73aがインシュレータ42の取付溝42aに嵌め込まれることにより、ワイヤー支持部材70は、ステータ40上に支持される。本体部73は、樹脂等の絶縁材料からなる。
【0024】
ワイヤー保持部75は、本体部73の内周縁に配置される。ワイヤー保持部75は、支持壁部75aと、凹部75bと、を有する。支持壁部75aは、本体部73から上方へ突出する。凹部75bは、支持壁部75aの径方向内側に開口する。6つのワイヤー保持部75は、周方向120°おきの3箇所に2つずつ配置される。なお、ワイヤー保持部75は、本体部73の外周縁に配置することもできる。ワイヤー保持部75の配置や個数などは、後述するコイル引出線の本数やコイル引出線の引出位置等を考慮して、適宜変更可能である。
【0025】
本体部73は、平面視で扇形の外形を有する切欠部73b、73cを、有する。切欠部73b,73cは、本体部73の外周部の2箇所に配置される。第1中性点バスバー71および第2中性点バスバー72は、それぞれ、3つのU形の接続端子71a,72aと、1つの貫通孔71b,72bを有する。第1中性点バスバー71および第2中性点バスバー72は、ワイヤー保持部75よりも、本体部73の外周側に配置される。軸方向から見たときに、第1中性点バスバー71および第2中性点バスバー72は、切欠部73b,73cから露出する。本体部73は、軸方向に突出する突起部73d,73eを有する。突起部73d,73eは、本体部73の外周側に配置される。突起部73d,73eの周方向位置は、切欠部73b,73cの周方向の位置と同じである。突起部73d,73eは、第1中性点バスバー71および第2中性点バスバー72の貫通孔71b,72bに嵌めこまれた後、加熱されて、溶融固化する。これにより、第1中性点バスバー71および第2中性点バスバー72は、本体部73に固定される。なお、第1中性点バスバー71および第2中性点バスバー72は、切欠部73b,73cとともに、本体部73の内周部に配置されてもよい。
【0026】
ステータ40は、複数のコイル43から延びる12本のコイル引出線91A〜91C,91a〜91c,92A〜92C,92a〜92cを有する。コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cは、ステータ40の上側を引き回されて、ワイヤー保持部75の凹部75bを起点に軸方向上側に折り曲げられて、ワイヤー保持部75に保持される。凹部75bの径方向内側の開口部における周方向の幅は、コイル43の線径より小さい。凹部75bの径方向外側の部位における内径は、コイル43の線径と、ほぼ同じである。よって、コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cが凹部75bの開口部から奥側へ押し込まれる際には、開口部が弾性変形により広がり、コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cが凹部75b内に収容された後、開口部は元に戻る。このようにしてコイル43はワイヤー保持部75に保持される。ワイヤー保持部75に保持されたコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cは、凹部75bから軸方向上側に突出する。なお、コイル43は一定の剛性を有する。そのため、ワイヤー保持部75から突出するコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cfが倒れたり、大きくずれることはない。
【0027】
コイル引出線91a〜91cは、第1中性点バスバー71の接続端子71aに接続される。コイル引出線92a〜92cは、第2中性点バスバー72の接続端子72aに接続される。
【0028】
コイル引出線91A〜91Cは各相(U相、V相、W相)の給電用の配線である。コイル引出線91a〜91cは、コイル引出線91A〜91Cに対応する中性点接続用の配線である。コイル引出線92A〜92Cは、各相の給電用の配線である。コイル引出線92a〜92cは、コイル引出線92A〜92Cに対応する中性点接続用の配線である。
【0029】
コイル43から引き出されたコイル引出線には、絶縁部材である絶縁チューブ98が取り付けられる。絶縁チューブ98は、ワイヤー支持部材70の下面に沿って延びるコイル引出線91A〜91C、91a〜91c、92A〜92C、92a〜92c同士、およびコイル引出線91A〜91C、91a〜91c、92A〜92C、92a〜92cとコイル43とを、それぞれ電気的に絶縁する。。なお、コイル43から引き出されたコイル引出線は、絶縁チューブ98以外の絶縁部材等により、電気的に絶縁されてもよい。
【0030】
ベアリングホルダ55は、略円板状であり、ステータ40の上側に配置される。ベアリングホルダ55は、上側ベアリング51を保持する。ベアリングホルダ55は、ハウジング20の内周面20cに、締まり嵌めにより保持される。本実施形態の場合、ベアリングホルダ55は、内周面20bに焼き嵌めによって固定される。焼き嵌めは、締まり嵌めに含まれる嵌め合い方法である。なお、ベアリングホルダ55は、ハウジング20の内周面20bに圧入等の他の方法により固定されてもよい。
【0031】
これにより、Cリング等の固定部材を用いることなく、ベアリングホルダ55をハウジング20に固定することができ、モータ10の部品点数を削減することができる。仮に、Cリングを用いてベアリングホルダ55をハウジング20に固定する場合には、ハウジング20の内周面20bに、Cリングを保持する溝を設ける必要がある。しかしながら、上記構成により、当該溝を設ける必要がないため、ハウジング20の肉厚を薄くすることができる。その結果、ステータ40やベアリングホルダ55などを保持するために必要な内径を保ちつつ、ハウジング20の外径を小さくできる。よって、モータ10の小型化を図ることができる。
【0032】
図1および
図3に示すように、ベアリングホルダ55は、内側筒部55aと、外側筒部55bと、連結部55cとを有する。内側筒部55aは、上側ベアリング51を保持する。外側筒部55bは、内側筒部55aと、ハウジング20の内周面20bに嵌合する。連結部55cは、内側筒部55aと外側筒部55bとを連結する。
【0033】
連結部55cは、中間筒部55dと、内側連結部55eと、外側連結部55fと、を有する。中間筒部55dは、円筒状であり、内側筒部55aと外側筒部55bとの間に位置する。平面視において、内側連結部55eの形状は円環状である。内側連結部55eは、中間筒部55dの下端と内側筒部55aの外周面とを接続する。平面視において、外側連結部55fは円環状である。外側連結部55fは、内側連結部55eの上端と外側筒部55bの上端とを接続する。
【0034】
図1において、連結部55cの径方向内側の端部は、軸方向下側に屈曲し、径方向内側に向かって延び、内側筒部55aと接続される。内側筒部55aと連結部55cの間には、間隙が構成される。そのため、内側筒部55aおよび連結部55cは、径方向において弾性変形が可能である。したがって、モータ10の組立時またはモータ10の使用時の温度変化によりベアリングホルダ55およびハウジング20が膨張収縮し、ベアリングホルダ55とハウジング20との嵌合部や、上側ベアリング51などに、過大な押圧力が作用した場合であっても、内側筒部55aおよび連結部55cの弾性変形により、その押圧力は吸収される。そのため、ベアリングホルダ55とハウジング20との固定強度の低下を抑制することができ、上側ベアリング51がシャフト31を滑らかに回転可能に支持することができる。
【0035】
ベアリングホルダ55は、ベアリングホルダ55を軸方向に貫通する複数の貫通孔56a〜56c,57a〜57cを有する。複数の貫通孔56a〜56c,57a〜57cは、外側連結部55fに配置される。
【0036】
コイル引出線91A,91B,91Cは、それぞれ対応する貫通孔56a,56b,56cを通過して、ベアリングホルダ55の上側へと延びる。コイル引出線92A,92B,92Cは、それぞれ対応する貫通孔57a,57b,57cを通過してベアリングホルダ55の上側へ延びる。貫通孔56a,56cの開口の内径は、ワイヤー保持部75の外径よりも大きい。これにより、中性点接続用のコイル引出線91a,91b,92cと接続端子71a,72aとの接続部が、ベアリングホルダ55と電気的に絶縁を保つことができる。ベアリングホルダ55に配置された貫通孔56d,56eの構成についても、貫通孔56a,56cと同じであるため、その説明を省略する。
【0037】
ベアリングホルダ55は、好ましくは、金属材料からなる。ベアリングホルダ55は、ベアリングホルダ55の外縁部の上面に3つの凹部58を有する。凹部58は、ベアリングホルダ55の上面に、ピン等による加圧加工(例えば、カシメ加工等)などが行われることにより、設けられる。加圧加工がベアリングホルダ55に対して行われると、ベアリングホルダ55の上面の加圧された箇所が塑性変形し、凹部58が形成され、ベアリングホルダ55の外側面から径方向外側に突出する押圧部59が形成される。ベアリングホルダ55がハウジング20内に配置される際に、押圧部59によって、ハウジング20の内周面20cを局所的に押圧することができる。ベアリングホルダ55は、焼き嵌めとカシメにより、内周面20cに固定される。
【0038】
ベアリングホルダ55のハウジング20に締まり嵌めされている部分について押圧部59が配置されることにより、ハウジング20とベアリングホルダ55との押圧力が局所的に増加し、両部材の締結強度をより一層高めることができる。
【0039】
凹部58のうち少なくとも1つは、貫通孔56a〜56cの近傍に配置される。本実施形態では、
図3に示すように、貫通孔56aの近傍および貫通孔56bの近傍に、凹部58が配置される。貫通孔56a,56bと近傍の凹部58との距離は、中心軸Jを基準とする周方向の角度で15°以内である。凹部58は、塑性変形により形成される。そのため、凹部58が形成される位置における部材の強度が向上する。貫通孔56a〜56cの近傍ではベアリングホルダ55の強度が低下しやすい。しかし、貫通孔56a〜56cの近傍に凹部58が配置されるため、貫通孔56a〜56cの近傍の強度を確保することができる。
【0040】
ベアリングホルダ55を構成する材料の線膨張係数は、ハウジング20を構成する材料の線膨張係数と同等である。この構成により、ハウジング20にベアリングホルダ55を組み付けた後の温度変化に対して、ハウジング20とベアリングホルダ55の膨張量および収縮量が同じになる。そのため、ベアリングホルダ55のハウジング20への取り付けが弛みにくくなる。本実施形態の場合、ベアリングホルダ55の材料は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金である。ハウジング20の材料は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金である。ベアリングホルダ55およびハウジング20の材料は、他の種類の材料であってもよい。
【0041】
バスバーユニット60は、相用バスバー61a〜61c,62a〜62cと、バスバーホルダ65とを有する。バスバーホルダ65は、相用バスバー61a〜61c,62a〜62cを保持する。バスバーホルダ65は、バスバーホルダ65を軸方向に貫通する3つの貫通孔65A,65B,65Cを有する。
【0042】
バスバーホルダ65は、ベアリングホルダ55の上面に固定される。ベアリングホルダ55の貫通孔56a〜56c,57a〜57cから上側へ延びるコイル引出線91A〜91C、92A〜92Cは、バスバーホルダ65の貫通孔65A〜65Cを通ってバスバーホルダ65の上側へ延びる。コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cは、バスバーホルダ65の上面において、それぞれ相用バスバー61a〜61c,62a〜62cに接続される。
【0043】
相用バスバー61a〜61c,62a〜62cは、制御装置100と接続する端子となる。バスバーユニット60は、ハウジング20に固定されたベアリングホルダ55の上面に固定される。そのため、相用バスバー61a〜61c,62a〜62cは、制御装置収容領域20A内において、軸方向に高い精度で位置決めされる。この構成により、モータ10と制御装置100とを容易に接続することが可能となる。
【0044】
本実施形態において、モータ10は、ワイヤー支持部材70を有する。そのため、周辺部材との電気的絶縁を確保しつつ、コイル引出線を接続先へ引き回すことができる。
【0045】
前述のように、モータ10におけるステータ40のコイル43は、所定の巻線方法により、各相の給電用のコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cと、中性点接続用のコイル引出線91a〜91c,92a〜92cとを有する。各相の給電用のコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cは、ベアリングホルダ55の上側に配置されたバスバーユニット60に接続する。中性点接続用のコイル引出線91a〜91c,92a〜92cは、互いに接続される。
【0046】
ワイヤー支持部材70は、ワイヤー保持部75により、ステータ40の上側を引き回されたコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cを、特定の位置に位置決めして、軸方向に沿わせて支持することができる。つまり、ワイヤー支持部材70によって、コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cを、接続先であるバスバーユニット60の相用バスバー61a〜61c,62a〜62cに対して、精度良く位置決めして引き出すことができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、ワイヤー保持部75の支持壁部75aがベアリングホルダ55の貫通孔56a〜56c,57a〜57cの内側まで延びる。これにより、モータ10では、コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cを、ベアリングホルダ55との電気的絶縁を図りつつ、ベアリングホルダ55の上側へ引き回すことができる。
【0048】
よって、ステータ40とワイヤー支持部材70とを組み合わせた組立体に、ベアリングホルダ55を配置すると、各相の給電用のコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cを、ベアリングホルダ55の貫通孔56a〜56c,57a〜57cを介して、容易に引き出すことができる。各コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cが精度良く位置決めされている。そのため、バスバーユニット60をベアリングホルダ55の所定位置に配置する場合に、相用バスバー61a〜61c,62a〜62cと容易に接続できる。
【0049】
また、ワイヤー支持部材70は、コイル引出線を特定の位置に位置決めして軸方向に沿わせて保持できれば、ワイヤー保持部75が本体部73から突出していなくてもよい。例えば、本体部73の内周縁付近にV字状などの切りかきや孔などを設け、この切りかきや孔などにコイル引出線が保持されてもよい。この構成では、コイル引出線を精度良く保持することができる。そのため、保持されたコイル引出線がベアリングホルダ55の貫通孔に通されるときに、ワイヤー保持部が貫通孔内に配置されなくても、その貫通孔の孔径を大きくすれば、コイル引出線が貫通孔の内周面と接触しづらくなり、コイル引出線とベアリングホルダ55との電気的絶縁を確保できる。
【0050】
モータ10では、ワイヤー支持部材70が、第1中性点バスバー71および第2中性点バスバー72を介してコイル引出線91a〜91c,92a〜92cを保持する。これにより、中性点接続用のコイル引出線91a〜91c,92a〜92cは、ステータ40の上方にあるワイヤー支持部材70において接続がなされる。そのため、コイルの引出長を長くすることなく、コイル引出線91a〜91c,92a〜92cを互いに接続することができる。その結果、コイル引出線91a〜91c,92a〜92cが短絡することを抑制できる。
【0051】
また、ステータ40の中性点接続用のコイル引出線91a〜91c、92a〜92cをワイヤー支持部材70に設けた第1中性点バスバー71および第2中性点バスバー72に接続することで、給電用のコイル引出線91A〜91C、92A〜92Cが接続されるバスバーユニット60の構成を単純にできる。これにより、例えば、ハウジング20における制御装置100が配置されるスペースを容易に確保することができる。
【0052】
中性点接続用のコイル引出線91a〜91c,92a〜92cは、巻線方法の種類により、一か所に接続する場合がある。この場合、中性点用バスバーの枚数を1枚にすることができる。
【0053】
モータ10では、給電用および中性点接続用のコイル引出線91A〜91C,92A〜92C,91a〜91c,92a〜92cが、ステータ40の上側へ引き出される。すなわち、ステータ40の全てのコイル引出線が、ステータ40の上側に引き出される。これにより、ステータ40と底壁部23との間に、コイル引出線を引き回すスペースを設ける必要がない。そのため、ステータ40を底壁部23に近づけて配置することができる。モータ10では、全重量のうちステータ40の重量が占める割合が大きいため、ステータ40の軸方向の位置を変えることにより、モータの重心位置を大きくずらすことができる。
図1に示すように、ステータ40がモータ10の軸方向下側に配置された状態でモータ10が外部装置に取り付けられる場合、その外部装置側にモータ10の重心が位置する。その結果、モータ10の駆動時において、モータ10から発生する振動を抑制することができる。
【0054】
ベアリングホルダ55の上側に引き出されたコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cは、相用バスバー61a〜61c,62a〜62cに接続される。制御装置100には、相用バスバー61a〜61c,62a〜62cが接続される。バスバーユニット60がベアリングホルダ55の上面に固定されているため、バスバーユニット60がステータ40に固定される場合に比べて、相用バスバー61a〜61c,62a〜62cの軸方向の位置精度は高い。そのため、バスバーユニット60を所定の位置に精度よく取り付けることができ、バスバーユニット60と制御装置100との電気的接続を良好にできる。
【0055】
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、後述するような他の実施形態および変形例を採用することもできる。以下の説明において上記説明と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0056】
図5は、ワイヤー保持部の他の態様を示す部分斜視図である。
図5に示すように、ワイヤー保持部175は、円筒状の支持壁部175aを有する。支持壁部175aは軸方向に貫通する貫通孔を有する。ステータ40から延びるコイル引出線91Aは、支持壁部175aの貫通孔を通ってワイヤー支持部材70の上側へ引き出される。
【0057】
図2に示したワイヤー保持部75では、凹部75bが径方向内側に開口する。そのため、凹部75bへコイル引出線91A〜91C、92A〜92Cを容易に嵌め込み、位置決め等の作業を行うことができる。一方、
図5に示す円筒状のワイヤー保持部175では、支持壁部175aによってコイル引出線の全周を保持する。そのため、コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cが傾いたり、支持壁部175aから外れたりすることを抑制することができ、コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cと他の部材との絶縁性も高めることができる。
【0058】
(変形例1)
図6は、本実施形態の変形例1にかかるワイヤー支持部材270を示す斜視図である。
図7は、
図6に示すワイヤー支持部材270の上側支持部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【0059】
図6および
図7では、
図1または
図2に示したワイヤー支持部材70に代えて、
図6に示すワイヤー支持部材270がモータ10に取り付けられている。ワイヤー支持部材270は、複数のワイヤー保持部75と、第1中性点バスバー71および第2中性点バスバー72と、本体部273と、を有する。
図6では、ワイヤー保持部75の数は、6つである。本体部273は、
図6に示す上側支持部材273aと、
図7に示す下側支持部材273bとを有する。
【0060】
上側支持部材273aおよび下側支持部材273bは、絶縁部材であり、平面視において概ね円環状である。6つのワイヤー保持部75は、上側支持部材273aの内周縁に配置される。下側支持部材273bの外周部には、第1中性点バスバー71と第2中性点バスバー72とが取り付けられる。下側支持部材273bは、複数の脚部273cを有する。
図6および
図7では、脚部273cの数は、3本である。脚部273cは、下側支持部材273bの外縁端から軸方向下側へ延びる。脚部273cは、インシュレータ42の取付溝42aで支持される。なお、平面視における上側支持部材273aの外形および下側支持部材273bの外形は、円環状に限らず、例えば、楕円状や円弧状などであってもよい。
【0061】
ステータ40から延びるコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cは、下側支持部材273bの外周側から上面へ回り込み、下側支持部材273bの上面の凹部274に収容される。コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cは、下側支持部材273bの内周縁において、軸方向上側へ屈曲される。上側支持部材273aは下側支持部材273bの上面に取り付けられる。上側支持部材273aは、凹部274内に配置されるコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cの一部を覆う。コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cは、上側支持部材273aと下側支持部材273bとの間を通って、上側支持部材273aのワイヤー保持部75へ延びる。コイル引出線91A〜91C、92A〜92Cは、ワイヤー保持部75に保持される。
【0062】
上記構成では、上側支持部材273aと下側支持部材273bとが、コイル引出線を挟み込む。コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cとステータ40との間に下側支持部材273bが配置されることにより、ステータ40とコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cとを絶縁することができる。コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cとベアリングホルダ55との間に上側支持部材273aが配置されることにより、コイル引出線とベアリングホルダ55との絶縁を確保することができる。つまり、上記構成では、
図1に示すコイル引出線の絶縁チューブ98を設ける必要がない。
【0063】
上側支持部材273aは、軸方向に貫通する貫通孔273a1を有する。下側支持部材273bは、軸方向に伸びる突起部273b1を有する。貫通孔273a1には突起部273b1が挿入され、突起部273b1が加熱等により溶融して固化する。これにより、上側支持部材273aは、下側支持部材273bと、固定される。
【0064】
なお、上側支持部材273aと下側支持部材273bとは、圧入、接着、スナップフィット等により固定することも可能である。ワイヤー保持部75は、上側支持部材273aではなく、下側支持部材273bに設けられていてもよい。
【0065】
(変形例2)
図8は、本実施形態の変形例2のワイヤー支持部材370を示す斜視図である。
図8では、
図1または
図2に示したワイヤー支持部材70に代えて、ワイヤー支持部材370は、モータ10に取り付けられている。ワイヤー支持部材370は、複数のワイヤー保持部75と、第1中性点バスバー71および第2中性点バスバー72と、本体部373と、を有する。
図8では、ワイヤー保持部75の数は、6つである。
【0066】
本体部373は、平面視で円環状の部材である。6つのワイヤー保持部75は、本体部373の内周縁に設けられる。第1中性点バスバー71および第2中性点バスバー72は、本体部373の外周部に取り付けられる。
【0067】
本体部373の上面には、凹部374が配置される。ステータ40から延びるコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cは、本体部373の外周から上面へ回り込み、凹部374に収容される。コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cは、本体部373の上面に沿って内周縁のワイヤー保持部75へ延びる。コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cは、ワイヤー保持部75に保持される。
【0068】
本体部373は、コイル引出線92B,92を本体部の上面に固定する固定部76を有する。より詳細には、凹部374には、軸方向に伸びる固定部76が配置される。変形例2では、固定部76は略L字形状である。固定部部76の先端は、径方向内側から径方向外側に向かって伸びる。コイル引出線92B,92Cは、固定部76と本体部373の上面との間に配置される。好ましくは、固定部76は、コイル引出線92B,92Cと軸方向および径方向に接触する。これにより、コイル引出線92B,92Cが本体部373の上面から軸方向上側に浮き上がることを抑制することができる。また、モータ10に外力等が加わってコイル引出線92B,92Cが本体部373の上面上を移動しようとしても固定部76に当たるため、コイル引出線92B,92Cの径方向への移動を抑えることができる。なお、固定部76は、複数の凹部374の全部に設けられていてもよく、一部の凹部374にのみ設けられていてもよい。また、固定部76の形状は、上述の形状に限られず、他の形状であってもよい。固定部76がコイル引出線92B,92Cの一部を挟みこんでもよい。
【0069】
変形例2の構成では、コイル引出線91A〜91C、92A〜92Cが本体部373の上面で引き回される。すなわち、ステータ40とコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cとの間に本体部373が配置される。これにより、ステータ40とコイル引出線91A〜91C,92A〜92Cとを絶縁することができる。また、固定部76は、本体部373の上面におけるコイル引出線92B,92C等の移動を抑制する。本体部373は、コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cとベアリングホルダ55との間に、配置される。これにより、コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cとベアリングホルダ55との絶縁を確保することができる。変形例1の構成とは異なり、変形例2では、コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cとベアリングホルダ55との間に、上側支持部材273a(
図6参照)が配置されていない。すなわち、コイル引出線91A〜91C、92A〜92Cが、凹部374の外部に露出する。そのため、絶縁の観点から、コイル引出線91A〜91C、92A〜92Cは、ベアリングホルダ55と離れて配置されることが望ましい。なお、コイル引出線91A〜91C、92A〜92Cに絶縁チューブなどの絶縁部材が取り付けられてもよい。
【0070】
(変形例3)
図9は、本実施形態の変形例3のモータ410を示す部分断面図である。
図1に示したモータ10では、バスバーユニット60はベアリングホルダ55の上面に固定される。それに対して、
図9に示すモータ410は、ベアリングホルダ55の下面に固定されるバスバーユニット460を備える。バスバーユニット460は、バスバー461と、バスバー461を保持するバスバーホルダ465と、を有する。バスバー461は、ワイヤー保持部75に保持されるコイル引出線91Aと、接続される。バスバー461は、ベアリングホルダ55の貫通孔を通ってベアリングホルダ55の上側へ延び、制御装置100と接続される。
【0071】
バスバーユニット460は、コイル引出線91A〜91C,92A〜92Cと接続されるバスバーを有する。
図9では、コイル引出線91Aと接続されるバスバー461のみを図示し、他のコイル引出線91B,91C,92A〜92Cと接続されるバスバーについては図示を省略している。
【0072】
変形例3の構成では、バスバーユニット460がベアリングホルダ55の下面に固定される。そのため、ステータ40やワイヤー支持部材70などが所定の位置から軸方向にずれたとしても、バスバー461の上端をハウジング20に対して正確に位置決めすることができる。したがって、バスバー461と制御装置100とを安定して接続することができる。
【0073】
バスバー461におけるコイル引出線91Aと接続する部位は、ベアリングホルダ55に設けられる貫通孔551内に位置する。これにより、当該部位とベアリングホルダ55との軸方向寸法を小さくできる。
【0074】
(変形例4)
図10は、変形例4のモータ510を示す部分断面図である。
図10に示すように、モータ510は、ワイヤー支持部材570を有する。ワイヤー支持部材570は、
図1および
図2に示したワイヤー支持部材70に、接続端子571が設けられた構成である。接続端子571は、ワイヤー支持部材570の本体部73に固定される。接続端子571の一方の端部は、ワイヤー保持部75に保持されたコイル引出線91Aに接続される。接続端子571の他方の端部は、ベアリングホルダ55の貫通孔56aを通ってベアリングホルダ55の上側へ延び、制御装置100と接続される。
【0075】
ワイヤー支持部材570は、端子保持部572を有する。端子保持部572は、接続端子571における貫通孔56aを通る部分を覆う。端子保持部572は絶縁材料であり、接続端子571とベアリングホルダ55とを電気的に絶縁することができる。なお、ワイヤー支持部材570は、コイル引出線91A〜91C、92A〜92Cと接続される接続端子を有する。
図10では、コイル引出線91Aと接続される接続端子571のみを図示し、他のコイル引出線91B、91C、92A〜92Cと接続される接続端子については図示を省略している。
【0076】
変形例4では、ワイヤー支持部材570が接続端子571を備える。そのため、モータ510では、制御装置100と接続するバスバーユニットが不要になる。これにより、部品点数を削減でき、またモータ510を軸方向に小型化することができる。
【0077】
(変形例5)
図11は、変形例5のモータ10を示す部分断面図である。
図1および
図2に示したモータ10の構造とは異なり、変形例5のモータ10は、バスバーユニット60が設けられておらず、コイル引出線91Aと制御装置100とが直接接続される。この構造では、バスバーユニット60が不要であるため、部品点数を削減でき、またモータを軸方向に小型化することができる。
【0078】
(変形例6)
本変形例のモータ610において、複数のコイルは、複数の接続系統を構成する。より詳細には、
図12から
図15に示すように、複数のコイルは、第1コイル群43Aからなる第1接続系統Aと、第2コイル群43Bからなる第2接続系統Bと、を構成する。これにより、第1接続系統Aと第2接続系統Bのいずれか一方の接続系統に不具合が生じた場合であっても、他方の接続系統を介してモータ610に電流を供給することができる。
図14に示すように、第1接続系統Aおよび第2接続系統Bは、それぞれに含まれるコイルがスター結線によって接続された三相回路によって構成される。なお、複数の接続系統とは、電気的に接続される外部電源がそれぞれ異なり、接続系統ごとに独立して電流が供給される複数の回路である。
【0079】
第1コイル群43Aは、給電側コイル43Aa,43Ac,43Aeと、中性点側コイル43Ab,43Ad,43Afと、を含む。給電側コイル43Aaと中性点側コイル43Abとは、直列に接続されたU相のコイル群である。給電側コイル43Acと中性点側コイル43Adとは、直列に接続されたV相のコイル群である。給電側コイル43Aeと中性点側コイル43Afとは、直列に接続されたW相のコイル群である。
【0080】
第2コイル群43Bは、給電側コイル43Ba,43Bc,43Beと、中性点側コイル43Bb,43Bd,43Bfと、を含む。給電側コイル43Baと中性点側コイル43Bbとは、直列に接続されたU相のコイル群である。給電側コイル43Bcと中性点側コイル43Bdとは、直列に接続されたV相のコイル群である。給電側コイル43Beと中性点側コイル43Bfとは、直列に接続されたW相のコイル群である。
【0081】
図12に示すように、ベアリングホルダ655は、貫通孔656を有する。給電側コイル43Aa〜43Beから引き出された引出線は、それぞれ、貫通孔656に通される。平面視における貫通孔656の開口の形状は、略矩形状である。
図12では、2本のコイル引出線が、各貫通孔656を通る。3つの貫通孔656は、周方向に沿って配置される。すなわち、本変形例において、複数のコイルは、コイル引出線が貫通孔656に通される複数の給電側コイル43Aa〜43Beを含む。給電側コイル43Aa〜43Beは、各コイル引出線を介して制御装置100に接続される。なお、コイル引出線は、ティース41aに巻かれたコイル本体から引き出された部分であり、軸方向と交差する方向に延びる部分および軸方向に延びる部分を含む。
【0082】
図14に示すように、中性点側コイル43Ab〜43Bfから引き出されるコイル引出線の一方の端部は、中性点Nとなる。中性点側コイル43Ab,43Ad,43Afのコイル引出線の一方の端部が、後述する第1中性点バスバー671に接続される。すなわち、中性点側コイル43Ab,43Ad,43Afの引出線における中性点Nとなる部位が、後述する第1中性点バスバー671に接続される。中性点側コイル43Bb,43Bd,43Bfの各コイル引出線の一方の端部が、後述する第2中性点バスバー672に接続される。すなわち、中性点側コイル43Bb,43Bd,43Bfの各コイル引出線の中性点Nとなる部位は、後述する第2中性点バスバー672に接続される。
【0083】
図15に示すように、複数のコイルは、接続系統ごとに分けて配置される。具体的には、第1接続系統Aの第1コイル群43Aと第2接続系統Bの第2コイル群43Bとは、平面視において、仮想線L1を挟んでそれぞれ反対側にまとめて配置される。仮想線L1は、中心軸Jと直交し、中心軸Jを通る直線である。
【0084】
各接続系統の給電側コイル43Aa〜43Beと中性点側コイル43Ab〜43Bfとは、それぞれまとめて配置される。具体的には、給電側コイル43Aa〜43Beと中性点側コイル43Ab〜43Bfとは、平面視において、仮想線L2を挟んでそれぞれ反対側にまとめて配置される。すなわち、複数の給電側コイル43Aa〜43Beは、隣り合って配置され、複数の中性点側コイル43Ab〜43Bfは、隣り合って配置される。仮想線L2は、中心軸Jおよび仮想線L1の両方と直交し、中心軸Jを通る直線である。なお、「複数のコイルが隣り合って配置される」とは、隣り合うティース41aに複数のコ
イルがそれぞれ装着されることを含む。
【0085】
図12に示すように、ワイヤー支持部材670は、導通部材と、本体部673と、ワイヤー保持部675と、を有する。導通部材は、第1導通部材671と、第2導通部材672と、を含む。以下の説明では、第1導通部材671を第1中性点バスバー671と呼び、第2導通部材672を第2中性点バスバー672と呼ぶ。第1中性点バスバー671は、第1接続系統Aの各コイル引出線を接続する。第2中性点バスバー672は、第2接続系統Bの各コイル引出線を接続する。第1中性点バスバー671および第2中性点バスバー672は、本体部673に保持される。
【0086】
図12および
図15に示すように、第1中性点バスバー671および第2中性点バスバー672は、板状部材であり、略周方向に沿って延びる。より詳細には、第1中性点バスバー671および第2中性点バスバー672は、略周方向に沿って折れ線状に伸びる。第1中性点バスバー671の板面および第2中性点バスバー672の板面は、好ましくは、軸方向と平行である。
【0087】
図15に示すように、第1中性点バスバー671は、中性点側コイル43Ab,43Ad,43Afと平面視において重なる。第2中性点バスバー672は、中性点側コイル43Bb,43Bd,43Bfと平面視において重なる。
【0088】
図12に示すように、本体部673は、中心軸Jを中心とする円環状である。本体部673は、下側の面から上側に窪む凹部673aを有する。
図15に示すように、平面視における凹部673aの外形は、周方向に延びる略半円弧状である。凹部673aは、給電側コイル43Aa〜43Beと平面視において重なる。凹部673aは、貫通孔656に通されるコイル引出線91Aa〜91Beの少なくとも一部と、軸方向に隙間を介して対向する。
【0089】
図15では、凹部673aの内側面は、給電側コイル43Aaのコイル引出線91Aa、給電側コイル43Acのコイル引出線91Ac、および給電側コイル43Aeのコイル引出線91Aeと、軸方向に隙間を介して対向する。凹部673aはステータ40の上側に配置される。そのため、給電側コイル43Aa,43Ac,43Aeのコイル引出線91Aa,91Ac,91Aeをステータ40の上側において這い回すことが可能となる。その結果、モータの組み立て時においてコイル引出線91Aa,91Ac,91Aeを容易に這い回すことができ、後述する各給電側コイルのコイル引出線を所定領域にまとめて配置することができる。
【0090】
また、例えば、給電側コイル43Aa〜43Beを周方向に分散して配置し、各給電側コイル43Aa〜43Beのコイル引出線を所定領域にまとめて配置する場合、コイル引出線が這い回される領域が大きくなりやすい。そのため、コイル引出線を這い回すための空間を確保するには、凹部673aを設ける領域を大きくする、あるいは凹部673aを複数設ける等の必要がある。この場合、本体部673の構造が複雑化する場合がある。
【0091】
これに対して、本変形例では、上述したように複数の給電側コイル43Aa〜43Beが隣り合って配置される。そのため、各給電側コイル43Aa〜43Beのコイル引出線91Aa〜91Beを所定領域にまとめて配置する際に、コイル引出線91Aa〜91Beが這い回される領域を最小限にすることができる。これにより、1つの凹部673aを最小限の領域に設けることで、コイル引出線91Aa〜91Beが這い回される空間を好適に確保することができる。
【0092】
図16に示すように、本体部673は、溝部673bと、突起部674と、孔673cと、を有する。溝部673bは、下側に窪み、周方向に沿って延びる。
図12に示すように、本体部673は、第1中性点バスバー671を保持する溝部673bと、第2中性点バスバー672を保持する溝部673bと、をそれぞれ有する。第1中性点バスバー671および第2中性点バスバー672は、溝部673bに圧入される。これにより、第1中性点バスバー671および第2中性点バスバー672は、溝部673bに上側から嵌め込まれて保持される。
【0093】
各溝部673bは、周方向に沿って不連続に設けられる。
図12では、溝部673bは、4つの分割溝部673dによって構成される。分割溝部673dは、周方向に沿って間隔をあけて配置される。隣り合う分割溝部673dと分割溝部673dとの周方向の間には、第1凹部673eが配置される。第1凹部673eは、分割溝部673dが設けられた本体部673の部分よりも下側に窪み、本体部673を径方向に貫通する。
【0094】
図16に示すように、第1凹部673eの底面には、径方向内側に窪む切り欠き673e1が配置される。切り欠き673e1には、中性点側コイル43Ab〜43Bfのコイル引出線91Ab〜91Bfが通される。
図12に示すように、各コイル引出線91Ab〜91Bfにおける切り欠き673e1から上側に突出した部分は、第1中性点バスバー671または第2中性点バスバー672と、例えば、溶接によって固定される。
【0095】
このように、第1凹部673eを設けて、第1凹部673eの内部でコイル引出線91Ab〜91Bfと各中性点バスバーとを固定することにより、溶接作業時において溶接治具を溶接部分に近づけやすく、溶接作業を行いやすい。また、コイル引出線91Ab〜91Bfと各中性点バスバーとの溶接する部分自体を、径方向に逃がすことができる。
【0096】
図16に示すように、突起部674は、溝部673bにおける内側面の上側から軸方向と直交する方向に突出する。突起部674は、各分割溝部673dに、1つあるいは2つずつ配置される。突起部674は、溝部673bの径方向外側の内側面から径方向内側に突出する突起部674と、溝部673bの径方向内側の内側面から径方向外側に突出する突起部674と、を含む。溝部673bの径方向外側の内側面から径方向内側に突出する。突起部674は、溝部673bにおける対向する内側面にそれぞれ配置される。しかしながら、突起部674は、一方の内側面にのみ配置されてもよい。両方の内側面の突起部674は、互いに対向してもよいし、対向しなくてもよい。
【0097】
一方の内側面に配置された突起部674の先端と、他方の内側面または突起部674の先端と間の距離は、第1中性点バスバーおよび第2中性点バスバーの厚みよりも小さい。これにより、溝部673bに第1中性点バスバー671が嵌め込まれたときに、突起部674は、第1中性点バスバー671を押圧する。第2中性点バスバー672についても同様である。すなわち、溝部673bに第2中性点バスバー672が嵌め込まれたときに、突起部674は、第2中性点バスバー672を押圧する。そのため、第1中性点バスバー671および第2中性点バスバー672を、溝部673b内において容易に取り付けることができ、強固に保持することができる。これにより、本体部673が第1中性点バスバー671および第2中性点バスバー672を安定して保持することができる。
【0098】
孔673cは、本体部673を軸方向に貫通する。孔673cは、溝部673bの底面に設けられる。孔673cの少なくとも一部は、平面視において突起部674と重なる。そのため、例えば、金型を用いてワイヤー支持部材670を成型する際に、金型における突起部674を成型する部分を、孔673cを介して抜くことができる。これにより、ワイヤー支持部材670を成型する金型の構造を簡単にでき、かつ、金型を用いたワイヤー支持部材670の成型を容易にできる。
【0099】
図12および
図13に示すように、ワイヤー保持部675は、本体部673から上側に突出する。ワイヤー保持部675に保持されるコイル引出線は、給電側コイル43Aa〜43Beのコイル引出線91Aa〜91Beである。ワイヤー保持部675は、支持壁部675aと、凹部675bと、保持凹部675dと、を有する。支持壁部675aは、本体部673から上側に突出する。支持壁部675aの上端には、蓋部675cが設けられる。本体部673におけるワイヤー保持部675が設けられる部分には、第2凹部673fが設けられる。第2凹部673fは、本体部673の外周面から径方向内側に窪み、軸方向両側に開口する。凹部675bは、径方向外側に開口する。凹部675bは、下側に開口し、第2凹部673fと連通する。
【0100】
保持凹部675dは、蓋部675cに設けられる。保持凹部675dには、コイル引出線91Aa〜91Beが保持される。ステータ40の上側を這うコイル引出線91Aa〜91Beは、第2凹部673f付近で、軸方向の上側に屈曲し、第2凹部673fおよび凹部675bを介して、保持凹部675dに保持され、蓋部675cの上側へ引き出される。
【0101】
保持凹部675dは、径方向に開口する。径方向に延びるティース41aに巻かれた給電側コイルのコイル引出線は、ステータ40の上側に径方向に引き出され、保持凹部675dの開口を介して軸方向に屈曲し、保持凹部675dに保持される。これにより、保持凹部675dにコイル引出線を容易に保持させることができる。保持凹部675dの開口端の開口幅は、保持凹部675dの奥側の幅よりも狭く、かつ、コイル引出線の線径よりも小さい。そのため、保持凹部675dに収容されたコイル引出線が容易に外れることを抑制することができる。
【0102】
図12および
図13では、保持凹部675dは、径方向外側に開口する。そのため、給電側コイルから引き出され、ステータ40の上側を這うコイル引出線の先端を、径方向外側から軸方向の上側に屈曲させ、保持凹部675dに保持させることができる。保持凹部675dの径方向外側には、モータを構成する他の部材が配置されない。そのため、コイル引出線を屈曲させる等の取り扱いが行いやすく、より保持凹部675dに保持させやすい。保持凹部675dは、蓋部675cの径方向外側の端部から径方向内側に窪む。保持凹部675dは、ワイヤー保持部675ごとに複数(例えば、2つずつ)設けられる。これにより、ワイヤー保持部675に複数(例えば、2本)のコイル引出線を保持させることができる。なお、保持凹部675dは、径方向内側に開口してもよい。
【0103】
このように、ワイヤー保持部675は、保持凹部675dを介して、複数のコイル引出線をまとめて保持する。
図12および
図13では、ワイヤー保持部675は、3つ設けられ、それぞれ2つの保持凹部675dによって2本ずつコイル引出線を保持する。3つのワイヤー保持部675は、周方向において、給電側コイル43Ba,43Bc,43Beのそれぞれと略同じ位置にある。
【0104】
給電側コイル43Baと周方向において略同じ位置にあるワイヤー保持部675は、コイル引出線91Aa,91Baを保持する。給電側コイル43Bcと周方向において略同じ位置にあるワイヤー保持部675は、コイル引出線91Ac,91Bcを保持する。給電側コイル43Beと周方向において略同じ位置にあるワイヤー保持部675は、コイル引出線91Ae,91Beを保持する。すなわち、各ワイヤー保持部675がまとめて保持する複数のコイル引出線は、互いに接続系統が異なり、かつ、互いに同相の複数の給電側コイルのコイル引出線である。
【0105】
そのため、第1接続系統Aと第2接続系統Bとにおける同相の給電側コイルのコイル引出線を、ワイヤー保持部675によって、略同じ位置でまとめて保持できる。これにより、同相の電流が供給されるコイル引出線同士を制御装置100に容易に接続することができる。なお、「ワイヤー保持部がコイル引出線をまとめて保持する」とは、1つのワイヤー保持部に複数のコイル引出線が保持されることを含む。
【0106】
各ワイヤー保持部675に保持される6つのコイル引出線91Aa〜91Be、所定領域にまとめて配置される。すなわち、ベアリングホルダ655の貫通孔656に通されるコイル引出線は、所定領域にまとめて配置される。本変形例において所定領域は、
図15に示す仮想線L1と仮想線L2とによって区切られた4つの領域のうちの一つの(図では左下の)領域ARである。軸方向に伸びる各コイル引出線91Aa〜91Beの延長線上に、制御装置100の接続部を配置することができる。そのため、コイル引出線91Aa〜91Beを制御装置100に容易に接続することができる。また、制御装置100にロータ30の回転位置を検出する回転センサが設けられる場合に、コイル引出線が分散して配置される構成に比べて、回転センサによるセンシングに与える影響を低減することができる。なお、「ある対象が所定領域にまとめて配置される」とは、例えば、平面視において周方向の角度が180度以下となる領域内に、ある対象が配置されることを含む。
【0107】
図12および
図13に示すように、モータ610は、絶縁部680を備える。絶縁部680は、プラスチックまたはエラストマー等の絶縁材料からなり、周方向に沿って延びる。絶縁部680は、ベアリングホルダ655に保持される。より詳細には、絶縁部680は、ベアリングホルダ655の3つの貫通孔656の内側に嵌め合わされて保持される。絶縁部680は、貫通孔656の内側において、コイル引出線91Aa〜91Beを囲む。これにより、貫通孔656を通るコイル引出線91Aa〜91Beとベアリングホルダ655との絶縁を確保することができる。
【0108】
また、貫通孔656の内径は、コイル引出線91Aa〜91Beの線径よりも大きい。そのため、モータの組み立て時において、コイル引出線91Aa〜91Beを貫通孔656に容易に通すことができる。また、コイル引出線と貫通孔内周面とが離れて位置するため、コイル引出線とベアリングホルダ655との絶縁を容易に確保することができる。
【0109】
また、コイル引出線91Aa〜91Beは、そのような貫通孔656を通るだけであると、先端側が拘束されないため、外力を受けると倒れ、位置がずれる恐れがある。しかしながら、本変形例では、絶縁部680がコイル引出線91Aa〜91Beと貫通孔656の間に介在し、ベアリングホルダ655に保持される。そのため、コイル引出線91Aa〜91Beを、ベアリングホルダ655に対して精度よく保持することができる。つまり、絶縁部680は、コイル引出線91Aa〜91Beの位置ずれを抑制することができる。また、コイル引出線91Aa〜91Beが所定の位置からずれた場合であっても、絶縁部680の位置を調整することにより、コイル引出線91Aa〜91Beを所定の位置へ移動させることができる。これにより、モータ610の組み立て時において、コイル引出線91Aa〜91Beを制御装置100に容易に接続することができる。
【0110】
絶縁部680は、複数の孔680aを有する。
図12では、孔680aの数は6個である。孔680aは、絶縁部680を軸方向に貫通する。孔680aには、コイル引出線91Aa〜91Beがそれぞれ通される。コイル引出線91Aa〜91Beにおける絶縁部680から上側に突出した部分が、制御装置100に接続される。本変形例において、絶縁部680は、ワイヤー支持部材670と別部材である。
【0111】
ベアリングホルダ655が組み付けられ、コイル引出線91Aa〜91Beが貫通孔656を通された状態において、絶縁部680は、貫通孔656に上側から嵌め合わされる。この場合、絶縁部680にコイル引出線91Aa〜91Beを通してからベアリングホルダ655を組み付ける場合に比べて、コイル引出線91Aa〜91Beが折れ曲がることを抑制できる。
【0112】
また、絶縁部680が貫通孔656に嵌め合わせられることにより、コイル引出線と貫通孔656との間の隙間が無くなり、貫通孔656が絶縁部680により封止される。そのため、モータ610の外部から粉塵等がモータ内部へ流入することが防止できる。なお、絶縁部680と貫通孔656の内側面との間には隙間があってもよい。
【0113】
なお、ワイヤー保持部675は、保持凹部675dの代わりに、コイル引出線を保持し軸方向に貫通する貫通孔を有してもよい。
【0114】
(変形例7)
本変形例のモータ710は、複数の絶縁部780を有する。
図17では、絶縁部780の数は、3つである。絶縁部780は、変形例6のモータ610の絶縁部680とは異なる。
図17に示すように、絶縁部780は、軸方向に延びる直方体状である。絶縁部780は、ワイヤー支持部材770に保持される。絶縁部680の上端は、貫通孔656の上側に位置する(図示省略)。なお、絶縁部680の上端は、貫通孔656内に位置してもよい。絶縁部780は、本体部673の複数の第2凹部673fに配置される。すなわち、各絶縁部780は、各第2凹部673fにそれぞれ嵌め合わされて、ワイヤー支持部材770に保持される。絶縁部780は、ワイヤー支持部材770と別部材である。
【0115】
絶縁部780は、複数の保持孔780aをそれぞれ有する。保持孔780aは、絶縁部780を軸方向に貫通し、コイル引出線91Aa〜91Beが通される。
図17では、各絶縁部780が有する保持孔780aの数は、それぞれ2つである。このような構成により、ベアリングホルダ655を組み付ける前に、絶縁部780をワイヤー支持部材770に取り付けることができるため、絶縁部780を容易にモータ710に取り付けることが可能である。
【0116】
コイル引出線91Aa〜91Beは絶縁部780の保持孔780aに通されるため、ワイヤー保持部675に保持されたコイル引出線91Aa〜91Beがより一層外れにくい。また、コイル引出線91Aa〜91Beのより先端側まで絶縁部780が覆うため、コイル引出線91Aa〜91Beの位置ずれが生じにくい。
【0117】
なお、この変形例では複数の絶縁部780は、複数の保持孔780aを有する一つの部材から構成されてもよい。
【0118】
(変形例8)
本変形例のモータ810は、変形例6のモータ610の絶縁部680およびワイヤー保持部675を変更したものである。
図18に示すように、本変形例のモータ810においてワイヤー保持部875は、
図12および
図13に示すワイヤー保持部675よりも、上側に延びる。ワイヤー保持部875の上端は、ベアリングホルダ655の貫通孔656の内側または貫通孔656の上側に、位置する。ワイヤー保持部875は、貫通孔656の内側において、コイル引出線91Aa〜91Beを囲む。ワイヤー保持部875は、コイル引出線91Aa〜91Beとベアリングホルダ655とを電気的に絶縁する。すなわち、ワイヤー保持部875は、上述の変形例における絶縁部としての機能を有する。言い換えれば、本変形例において、絶縁部は、ワイヤー保持部875である。
【0119】
本変形例においては、ワイヤー支持部材870は単一の部材である。ワイヤー保持部875と本体部673とは、単一の部材の部分である。このように、単一の部材であるワイヤー支持部材870の一部であるワイヤー保持部875が、絶縁部として機能することで、別途絶縁部を設ける必要がなく、モータ810の部品点数を削減することができる。コイル引出線91Aa〜91Beのより先端側がワイヤー保持部875で保持されるため、コイル引出線91Aa〜91Beの位置ずれが生じにくい。
【0120】
(変形例9)
本変形例のモータ910は、変形例6のモータ610の絶縁部680を変更したものである。モータ910は、絶縁部980を有する。
図19に示すように、絶縁部980は、複数の第1絶縁部材981と、第2絶縁部材982と、を有する。第1絶縁部材981は、ワイヤー支持部材970に保持される。第1絶縁部材981は、ワイヤー保持部675における第2凹部673fの周方向両端部の上面に設けられる。第1絶縁部材981は、上下方向に延びる略直方体状の部材である。第1絶縁部材981は、下側から上側に向かって径方向の寸法および周方向の寸法が小さくなる段差を有する。
【0121】
図19では、第1絶縁部材981は、3つ設けられる。各第1絶縁部材981は、第1絶縁部材981を上下方向に貫通し、コイル引出線91Aa〜91Beが通される孔981aを2つずつ有する。コイル引出線91Aa〜91Beは第1絶縁部材981で覆われる。そのため、ワイヤー保持部675に保持されたコイル引出線91Aa〜91Beがより一層外れにくい。なお、3つの第1絶縁部材981は、単一部材であってもよい。
【0122】
第2絶縁部材982は、周方向に沿って延びる部材である。第2絶縁部材982は、ベアリングホルダ655の貫通孔656に保持され、第1絶縁部材981に取り付けられる。第2絶縁部材982は、径方向内側から径方向外側に窪む嵌合部982aを3つ有する。嵌合部982aには、第1絶縁部材981の上部が嵌め合わされる。第2絶縁部材982の下端は、第1絶縁部材981の段差における軸方向と直交する段差面に、上側から接触する。これにより、第2絶縁部材982は、各第1絶縁部材981に取り付けられ、複数の第1絶縁部材981を連結する。第2絶縁部材982は、第1絶縁部材981と別部材である。
【0123】
これにより、第1絶縁部材981と第2絶縁部材982との相対位置を微調整することができる。即ち、各部に生じた位置ずれは、第1絶縁部材981と第2絶縁部材982との相対位置を調整することで吸収され、コイル引出線91Aa〜91Beの配置精度を向上させることができる。各コイル引出線91Aa〜91Beの相対位置がずれていても、連結された第1絶縁部材981と第2絶縁部材982tの相対位置を調整することにより、各コイル引出線91Aa〜91Beの位置ずれを矯正することができる。また、各コイル引出線91Aa〜91Beに外力が加わる等した場合であっても、第1絶縁部材981と第2絶縁部材982とが連結しているため、各コイル引出線91Aa〜91Beの位置がずれることを防止できる。そのため、コイル引出線91Aa〜91Beの位置精度を高くした状態において、ベアリングホルダ655の貫通孔656から上側に突出させることができる。したがって、コイル引出線91Aa〜91Beを制御装置100に精度よく接続することができる。
【0124】
第2絶縁部材982が貫通孔656に保持されるため、第1絶縁部材981と第2絶縁部材982により、貫通孔656が封止される。しかしながら、変形例6と同様に、第1絶縁部材981と貫通孔656の内側面との間に隙間があってもよく、第2絶縁部材982と貫通孔656の内側面との間に隙間があってもよい。
【0125】
(変形例10)
本変形例のモータは、変形例9のモータ910の絶縁部980を変更したものであるが、変更が小幅であるため、
図19を参照して説明する。変形例9のモータ910においては、第1絶縁部材981がワイヤー保持部675に取り付けられる。それに対して、本変形例では、ワイヤー保持部675をワイヤー支持部材970と別部材とし、ワイヤー保持部675の機能を第1絶縁部材981に兼用させる。即ち、本変形例は、ワイヤー支持部材970において、本体部673の一部に軸方向に貫通する開口が設けられる。本体部673の開口から、コイル引出線91Aa〜91Beが軸方向に引き出される。引き出されたコイル引出線91Aa〜91Beは、第1絶縁部材981の孔981aに通される。第1絶縁部材981と本体部673とは、それぞれに設けた締結手段によって固定される。第2絶縁部材982は、嵌合部982aが第1絶縁部材981に嵌め合わされる。第1絶縁部材981が取り付けられることにより、コイル引出線91Aa〜91Beは第1絶縁部材981に保持され、所定の位置に調整することができる。さらに、第2絶縁部材982の位置を調整することにより、コイル引出線91Aa〜91Beの位置を、各第1絶縁部材981を介して、さらに調整することができる。なお、3つの第1絶縁部材は、単一の部材であってもよい。
【0126】
なお、上述したワイヤー支持部材による作用効果は、導通部材に係る作用効果を除いて、導通部材が設けられない場合であっても得られる作用効果である。
また、上述した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。