特許第6717355号(P6717355)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6717355
(24)【登録日】2020年6月15日
(45)【発行日】2020年7月1日
(54)【発明の名称】移動体
(51)【国際特許分類】
   B60L 13/03 20060101AFI20200622BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20200622BHJP
   H02K 41/02 20060101ALI20200622BHJP
   H02K 41/03 20060101ALI20200622BHJP
   H02P 25/064 20160101ALI20200622BHJP
   H02P 5/46 20060101ALI20200622BHJP
【FI】
   B60L13/03 J
   G01D5/245 110A
   H02K41/02 Z
   H02K41/03 A
   H02P25/064
   H02P5/46 J
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-208401(P2018-208401)
(22)【出願日】2018年11月5日
(62)【分割の表示】特願2017-536661(P2017-536661)の分割
【原出願日】2016年7月4日
(65)【公開番号】特開2019-58060(P2019-58060A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2018年11月29日
(31)【優先権主張番号】特願2015-163940(P2015-163940)
(32)【優先日】2015年8月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】花香 敏
(72)【発明者】
【氏名】山田 康武
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−217076(JP,A)
【文献】 特開2003−289692(JP,A)
【文献】 特開2001−057713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 13/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N極とS極とからなる一対の磁極が複数配列された磁極区間と、磁極が欠損した磁極欠損区間とを有する磁極経路に沿って移動する移動体であって、
前記磁極経路の磁束との磁気相互作用により駆動する第1のリニアモータと、
前記磁極経路の磁束との磁気相互作用により駆動する第2のリニアモータと、
前記移動体の位置を検出するための位置検出センサと、
前記第1のリニアモータの電気角を検出するための第1の電気角検出センサと、
前記第2のリニアモータの電気角を検出するための第2の電気角検出センサと、
を備え、
前記位置検出センサは、前記第1の電気角検出センサと前記第2の電気角検出センサとに挟まれる位置に設けられており、
第1の電気角検出センサが設けられる第1のボギー台車と、
前記第2のリニアモータ及び前記第2の電気角検出センサが設けられる第2のボギー台車と、
前記第1のボギー台車と前記第2のボギー台車との間に連結部材を介して配置されると共に、前記位置検出センサが設けられる中間体と、を更に備える、移動体
【請求項2】
N極とS極とからなる一対の磁極が複数配列された磁極区間と、磁極が欠損した磁極欠損区間とを有する磁極経路に沿って移動する移動体であって、
前記磁極経路の磁束との磁気相互作用により駆動する第1のリニアモータと、
前記磁極経路の磁束との磁気相互作用により駆動する第2のリニアモータと、
前記第1のリニアモータの電気角を検出するための第1の磁極センサと、
前記第2のリニアモータの電気角を検出するための第2の磁極センサと、
前記移動体の位置を検出するための第3の磁極センサと、
を備え、
前記第3の磁極センサは、前記第1の磁極センサと前記第2の磁極センサとに挟まれる位置に設けられており、
前記第1のリニアモータ及び前記第1の磁極センサが設けられる第1のボギー台車と、
前記第2のリニアモータ及び前記第2の磁極センサが設けられる第2のボギー台車と、
前記第1のボギー台車と前記第2のボギー台車との間に連結部材を介して配置されると共に、前記第3の磁極センサが設けられる中間体と、を更に備える、移動体
【請求項3】
前記中間体に設けられ、物品を支持する支持部をさらに備える、請求項またはに記載の移動体。
【請求項4】
前記磁極経路は、直線経路とカーブ経路とを有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の移動体。
【請求項5】
前記第1のボギー台車と前記第2のボギー台車とは、ボギー中心軸を介して回転可能に構成されている、請求項またはに記載の移動体。
【請求項6】
前記各ボギー台車と前記中間体とを、相対的に回転可能かつ直動可能に連結する連結器をさらに含む、請求項またはに記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータを利用して、N極とS極とからなる一対の磁極が複数配列された磁極経路に沿って移動する移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
N極とS極とからなる一対の磁極が複数配列された磁極経路と、リニアモータを有する移動体と、を備える移動体システムが知られている。この種の移動体システムでは、磁極経路の磁束との磁気相互作用によりリニアモータが駆動されることによって、磁極経路に沿って移動体が移動する。特許文献1には、この種の移動体システムが開示されている。
【0003】
この種の移動体システムでは、磁極経路中に、磁極が欠損している磁極欠損区間が存在することがある。
【0004】
この点に関し、特許文献1に記載の移動体システムでは、移動体は、2つのリニアモータと、2つのリニアモータにそれぞれ対応する2つの磁石無検出センサ(例えば、フォトセンサ)と、2つのリニアモータにそれぞれ対応する2つの位置検出センサ(例えば、ホール素子)と、を備える。この移動体は、一方の磁石無検出センサによって一方のリニアモータが磁極欠損区間に位置していることを検出した場合には、他方のリニアモータに切り替えることによって連続駆動を可能にする。また、この移動体は、一方の位置検出センサが磁極欠損区間に位置していることを検出した場合には、他方の位置検出センサに切り替えることによって移動体の位置検出を継続することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−217077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
移動体では、位置検出センサが移動体の位置を精度良く検出できることが望まれる。
【0007】
本発明は、移動体の位置を精度良く検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る移動体は、N極とS極とからなる一対の磁極が複数配列された磁極区間と、磁極が欠損した磁極欠損区間とを有する磁極経路に沿って移動する移動体であって、磁極経路の磁束との磁気相互作用により駆動する第1のリニアモータと、磁極経路の磁束との磁気相互作用により駆動する第2のリニアモータと、移動体の位置を検出するための位置検出センサと、第1のリニアモータの電気角を検出するための第1の電気角検出センサと、第2のリニアモータの電気角を検出するための第2の電気角検出センサと、を備える。
【0009】
この移動体では、例えば2台のボギー台車と2台のボギー台車間に連結器を介して配置される中間体とを備える場合において、中間体に位置検出センサを設けることで、磁極経路における直線経路の走行時だけでなくカーブ経路の走行時でも、磁極経路の中心(磁極経路の幅方向の中心)を保って、位置検出センサが移動体の位置を精度良く検出することが可能となる。
【0010】
本発明の一側面に係る移動体は、第1のリニアモータ及び第1の電気角検出センサが設けられる第1のボギー台車と、第2のリニアモータ及び第2の電気角検出センサが設けられる第2のボギー台車と、第1のボギー台車と第2のボギー台車との間に連結部材を介して配置されると共に、位置検出センサが設けられる中間体と、を更に備えていてもよい。
【0011】
本発明の一側面に係る移動体は、N極とS極とからなる一対の磁極が複数配列された磁極区間と、磁極が欠損した磁極欠損区間とを有する磁極経路に沿って移動する移動体であって、磁極経路の磁束との磁気相互作用により駆動する第1のリニアモータと、磁極経路の磁束との磁気相互作用により駆動する第2のリニアモータと、第1のリニアモータの電気角を検出するための第1の磁極センサと、第2のリニアモータの電気角を検出するための第2の磁極センサと、移動体の位置を検出するための第3の磁極センサと、を備える。
【0012】
この移動体では、例えば2台のボギー台車と2台のボギー台車間に連結器を介して配置される中間体とを備える場合において、中間体に第3の磁極センサを設けることで、磁極経路における直線経路の走行時だけでなくカーブ経路の走行時でも、磁極経路の中心(磁極経路の幅方向の中心)を保って、第3の磁極センサが移動体の位置を精度良く検出することが可能となる。
【0013】
本発明の一側面に係る移動体は、第1のリニアモータ及び第1の磁極センサが設けられる第1のボギー台車と、第2のリニアモータ及び第2の磁極センサが設けられる第2のボギー台車と、第1のボギー台車と第2のボギー台車との間に連結部材を介して配置されると共に、第3の磁極センサが設けられる中間体と、を更に備えていてもよい。
【0014】
本発明の一側面に係る移動体は、中間体に設けられ、物品を支持する支持部をさらに備えていてもよい。
【0015】
本発明の一側面に係る移動体では、磁極経路は、直線経路とカーブ経路とを有していてもよい。
【0016】
本発明の一側面に係る移動体では、第1のボギー台車と第2のボギー台車とは、ボギー中心軸を介して回転可能に構成されていてもよい。
【0021】
本発明の一側面に係る移動体は、各ボギー台車と中間体とを、相対的に回転可能かつ直動可能に連結する連結器をさらに含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、移動体の位置を精度良く検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態に係る移動体システムを示す図である。
図2図1に示す移動体システムにおける移動体を示す図である。
図3図2に示す磁極コンバータ(変換部、制御部、スムージング部)の動作であって、第1の電気角検出センサが磁極欠損区間に位置していないときの磁極コンバータの動作を示す図である。
図4図2に示す磁極コンバータ(変換部、制御部、スムージング部)の動作であって、第1の電気角検出センサが磁極欠損区間に位置しているときの磁極コンバータの動作を示す図である。
図5図2に示す位置コンバータ(変換部、制御部)の動作であって、位置検出センサが磁極欠損区間に位置していないときの位置コンバータの動作を示す図である。
図6図2に示す位置コンバータ(変換部、制御部)の動作であって、位置検出センサが磁極欠損区間に位置しているときの位置コンバータの動作を示す図である。
図7】第1の電気角検出センサから磁極欠損区間に侵入する場合の電気角補間処理を示す図である。
図8】位置検出センサから磁極欠損区間に侵入する場合の電気角補間処理を示す図である。
図9】変形例に係る移動体システムの主要部を示す図である。
図10図9に示す磁極欠損区間検出部におけるフォトセンサのタイミングチャートを示す図である。
図11】変形例に係る移動体システムの主要部を示す図である。
図12図11に示す磁極欠損区間検出部におけるフォトセンサのタイミングチャートを示す図である。
図13】変形例に係る移動体システムの主要部を示す図である。
図14】変形例に係る移動体システムの主要部を示す図である。
図15図14に示す連結器の周辺構造を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0025】
図1は、一実施形態に係る移動体システム及び一実施形態に係る移動体を示す図である。図1に示す移動体システム1は、移動体100と、磁極経路200とを備える。
【0026】
磁極経路200には、N極の磁石211とS極の磁石212とが交互に所定のピッチ(例えば、33mm)で一列に配置されている。換言すれば、磁極経路200には、N極とS極とからなる一対の磁極213が複数配列されている。移動体100は、リニアモータを利用することによって、磁極経路200に沿って移動する。
【0027】
移動体システム1の一例としては、天井に設置された軌道(磁極経路)200に沿って搬送台車(移動体)100が走行する天井走行車のシステムがある。この種の移動体システム1では、軌道200が数kmであり、搬送台車100が300台〜400台であることがある。なお、移動体は、地上を走行する搬送台車でも良く、或いは、搬送台車でなくても良い。例えば、移動体は、搬送台車以外の他の台車や、ロボットアーム等であってもよい。
【0028】
この種の移動体システムでは、磁極経路の長さは、例えば工場のレイアウトによって様々に変化し、上記した所定のピッチ(例えば、33mm)の整数倍とは限らない。また、磁極経路における直線経路とカーブ経路との連結部では、上記した所定のピッチ(例えば、33mm)で磁石を配列することが困難である。このような理由により、図3図6に示すように、磁極経路200は、一対の磁極213が所定のピッチ(例えば、66mm)で複数配列された磁極区間210と、磁極が欠損した磁極欠損区間220と、を有する。
【0029】
図2は、図1に示す移動体システムにおける移動体を示す図である。図1及び図2に示す移動体100は、第1及び第2のリニアモータ11,12と、第1及び第2の電気角検出センサ21,23と、位置検出センサ22と、センサインターフェース30と、コントローラ40と、第1及び第2のサーボアンプ50,60と、を備える。本実施形態では、移動体の移動方向Xの前側から順に、第1の電気角検出センサ21、第1のリニアモータ11、位置検出センサ22、第2のリニアモータ12、及び、第2の電気角検出センサ23が配置されている。
【0030】
第1及び第2のリニアモータ11,12は、例えば3相リニアモータであり、磁極経路200の磁束との磁気相互作用により駆動する。第1のリニアモータ11の磁界は、第1のサーボアンプ50からの交流の駆動電流によって制御される。第2のリニアモータ12の磁界は、第2のサーボアンプ60からの交流の駆動電流によって制御される。第1のリニアモータ11と第2のリニアモータ12とは、移動体100の移動方向(磁極経路200の経路方向)Xにおいて異なる位置に配置されている。
【0031】
第1の電気角検出センサ21は、磁極経路200の磁極を検出する磁極センサ(MagneticPole Sensor:MPS)であり、例えばホール素子を含む。このような構成により、第1の電気角検出センサ21は、N極とS極とからなる一対の磁極213を1周期とする磁極経路200の磁束に応じた位相角を出力する。なお、後述するように、この磁極センサが出力する位相角は主に第1のリニアモータ11の電気角のために用いられるため、この磁極センサを第1の電気角検出センサと称する。
【0032】
同様に、第2の電気角検出センサ23は、磁極経路200の磁極を検出する磁極センサ(MagneticPole Sensor:MPS)であり、例えばホール素子を含む。このような構成により、第2の電気角検出センサ23は、N極とS極とからなる一対の磁極213を1周期とする磁極経路200の磁束に応じた位相角を出力する。なお、後述するように、この磁極センサが出力する位相角は主に第2のリニアモータ12の電気角のために用いられるため、この磁極センサを第2の電気角検出センサと称する。
【0033】
位置検出センサ22は、磁極経路200の磁極を検出する磁極センサ(MagneticPole Sensor:MPS)であり、例えばホール素子を含む。このような構成により、位置検出センサ22は、N極とS極とからなる一対の磁極213を1周期とする磁極経路200の磁束に応じた位相角を出力する。なお、後述するように、この磁極センサが出力する位相角は主に移動体100の位置検出のために用いられるため、この磁極センサを位置検出センサと称する。
【0034】
第1及び第2の電気角検出センサ21,23、及び、位置検出センサ22は、検出する磁極経路200の磁束に基づいて、磁極欠損区間220に位置しているか否かの判定を行う機能を有している。第1及び第2の電気角検出センサ21,23、及び、位置検出センサ22は、磁極欠損区間220に位置していないときには、出力が有効状態であることを示す信号(Validation)を出力し、磁極欠損区間に位置しているときには、出力が無効状態であることを示す信号(Validation)を出力する。
【0035】
第1の電気角検出センサ21と位置検出センサ22と第2の電気角検出センサ23とは、移動体100の移動方向(磁極経路200の経路方向)Xにおいて異なる位置に配置されている。第1の電気角検出センサ21と第2の電気角検出センサ23とは、協働して、移動体100の移動方向(磁極経路200の経路方向)Xにおいて位置検出センサ22を挟み込むように配置される。換言すると、第2の電気角検出センサ23は、移動体100の移動方向Xにおいて、第1の電気角検出センサ21と共に位置検出センサ22を挟み込むように配置される。
【0036】
このように、本実施形態では、リニアモータの電気角を検出するためのセンサが1つのリニアモータに対して1つずつ設けられており、移動体の位置を検出するためのセンサが移動体に対して1つ設けられている。
【0037】
センサインターフェース30は、磁極コンバータ(Magnetic PoleConverter)31と、位置コンバータ(Position Converter)32と、移動距離計測部34と、区間長推定部35と、を有する。なお、磁極コンバータ31及び位置コンバータ32が、特許請求の範囲に記載の変換部及び制御部として機能する。磁極コンバータ31が、特許請求の範囲に記載のスムージング部として機能する。
【0038】
図3は、図2に示す磁極コンバータ(変換部、制御部、スムージング部)の動作であって、第1の電気角検出センサが磁極欠損区間に位置していないときの磁極コンバータの動作を示す図である。図4は、図2に示す磁極コンバータ(変換部、制御部、スムージング部)の動作であって、第1の電気角検出センサが磁極欠損区間に位置しているときの磁極コンバータの動作を示す図である。
【0039】
磁極コンバータ31は、以下に示すように変換部として機能する。図3(a)に示すように、第1の電気角検出センサ21が磁極欠損区間220に位置していない場合、磁極コンバータ31は、第1の電気角検出センサ21から有効状態信号(Validation)を受けて、図3(b)に示すように、第1の電気角検出センサ21が出力する位相角に基づいて、磁気相互作用により推力を得るための第1のリニアモータ11の磁界の電気角(Magnetic Pole)、すなわち、第1のリニアモータ11の駆動電流の電気角を導出する。具体的には、磁極コンバータ31は、第1の電気角検出センサ21が出力する位相角に、第1のリニアモータ11と第1の電気角検出センサ21との距離に応じたオフセット角を加算して、第1のリニアモータ11の電気角とする。磁極コンバータ31は、導出した第1のリニアモータ11の電気角(Magnetic Pole)を第1のサーボアンプ50へ供給する。
【0040】
磁極コンバータ31は、以下に示すように制御部(セレクタ)として機能する。図4(a)に示すように、第1の電気角検出センサ21が磁極欠損区間220に位置している場合、磁極コンバータ31は、第1の電気角検出センサ21から無効状態信号(Validation)を受けて、図4(b)に示すように、第1の電気角検出センサ21の出力から位置検出センサ22の出力に切り替えて、第1のリニアモータ11の電気角の補間を行う。本実施形態では、磁極コンバータ31は、以下に示すように2種の電気角補間処理を行う。
【0041】
(第1の電気角補間処理)
磁極コンバータ31は、定期的に、電気角検出センサから位相角を取り込み、リニアモータの電気角を導出する。そのため、第1の電気角補間処理では、切替前の電気角(第1の電気角検出センサ21が検出した位相角に基づき導出される電気角)に、切替後の位置検出センサ22が検出する位相角の変位量を加算することにより、第1のリニアモータ11の現在の電気角とする。この第1の電気角補間処理は、リニアモータとその電気角検出センサとのうちの電気角検出センサから磁極欠損区間に侵入する場合、換言すれば、リニアモータが駆動しているときに、その電気角検出センサが磁極欠損区間に侵入する場合に用いられる。
【0042】
(第2の電気角補間処理)
第2の電気角補間処理では、位置検出センサ22が出力する位相角に基づいて第1のリニアモータ11の電気角を直接導出する。具体的には、磁極コンバータ31は、位置検出センサ22が出力する位相角に、位置検出センサ22と第1のリニアモータ11との距離に応じたオフセット角を加算して、第1のリニアモータ11の電気角を導出する。この第2の電気角補間処理は、リニアモータとその電気角検出センサとのうちのリニアモータから磁極欠損区間に侵入する場合、換言すれば、リニアモータが駆動停止した後に、その電気角検出センサが磁極欠損区間に侵入する場合に用いられる。
【0043】
磁極コンバータ31は、スムージング部として機能し、第1の電気角検出センサ21が磁極欠損区間220から抜けるときに、位置検出センサ22の出力に対する第1の電気角検出センサ21の出力の合成比率を次第に高めるように、位置検出センサ22の出力と第1の電気角検出センサ21の出力とを合成する。このスムージング処理は、後述するように、第1の電気角検出センサ21が無効状態から有効状態に復帰した直後に第1の電気角検出センサ21の出力を使用する場合に用いられ、第2の電気角補間処理と組み合わせて用いられる。
【0044】
同様に、磁極コンバータ31は、変換部として機能し、図3(a)に示すように、第2の電気角検出センサ23が磁極欠損区間220に位置していない場合、第2の電気角検出センサ23から有効状態信号(Validation)を受けて、図3(c)に示すように、第2の電気角検出センサ23が出力する位相角に基づいて、磁気相互作用により推力を得るための第2のリニアモータ12の磁界の電気角(Magnetic Pole)、すなわち、第2のリニアモータ12の駆動電流の電気角を導出する。具体的には、磁極コンバータ31は、第2の電気角検出センサ23が出力する位相角に、第2のリニアモータ12と第2の電気角検出センサ23との距離に応じたオフセット角を加算して、第2のリニアモータ12の電気角とする。磁極コンバータ31は、導出した第2のリニアモータ12の電気角(Magnetic Pole)を第2のサーボアンプ60へ供給する。
【0045】
磁極コンバータ31は、制御部(セレクタ)として機能し、第2の電気角検出センサ23が磁極欠損区間220に位置している場合、第2の電気角検出センサ23から無効状態信号(Validation)を受けて、第2の電気角検出センサ23の出力から位置検出センサ22の出力に切り替えて、第2のリニアモータ12の電気角の補間を行う。本実施形態では、磁極コンバータ31は、以下に示すように2種の電気角補間処理を行う。
【0046】
(第1の電気角補間処理)
磁極コンバータ31は、定期的に、電気角検出センサから位相角を取り込み、リニアモータの電気角を導出する。そのため、第1の電気角補間処理では、切替前の電気角(第2の電気角検出センサ23が検出した位相角に基づき導出される電気角)に、切替後の位置検出センサ22が検出する位相角の変位量を加算することにより、第2のリニアモータ12の現在の電気角とする。この第1の電気角補間処理は、リニアモータとその電気角検出センサとのうちの電気角検出センサから磁極欠損区間に侵入する場合、換言すれば、リニアモータが駆動しているときに、その電気角検出センサが磁極欠損区間に侵入する場合に用いられる。
【0047】
(第2の電気角補間処理)
第2の電気角補間処理では、位置検出センサ22が出力する位相角に基づいて第2のリニアモータ12の電気角を直接導出する。具体的には、磁極コンバータ31は、位置検出センサ22が出力する位相角に、位置検出センサ22と第2のリニアモータ12との距離に応じたオフセット角を加算して、第2のリニアモータ12の電気角を導出する。この第2の電気角補間処理は、リニアモータとその電気角検出センサとのうちのリニアモータから磁極欠損区間に侵入する場合、換言すれば、リニアモータが駆動停止した後に、その電気角検出センサが磁極欠損区間に侵入する場合に用いられる。
【0048】
磁極コンバータ31は、スムージング部として機能し、第2の電気角検出センサ23が磁極欠損区間220から抜けるときに、位置検出センサ22の出力に対する第2の電気角検出センサ23の出力の合成比率を次第に高めるように、位置検出センサ22の出力と第2の電気角検出センサ23の出力とを合成する。このスムージング処理は、後述するように、第2の電気角検出センサ23が無効状態から有効状態に復帰した直後に第2の電気角検出センサ23の出力を使用する場合に用いられ、第2の電気角補間処理と組み合わせて用いられる。
【0049】
このように、磁極コンバータ31は、制御部として機能し、位置検出センサ22を、後述する移動体100の位置検出と第1又は第2のリニアモータ11,12の電気角検出とを行うために兼用する。これにより、第1又は第2の電気角検出センサ21,23が磁極欠損区間220に位置して無効な状態でも、位置検出センサ22によって電気角を補間し、対応の第1又は第2のリニアモータの駆動を継続することが可能となる。
【0050】
図5は、図2に示す位置コンバータ(変換部、制御部)の動作であって、位置検出センサが磁極欠損区間に位置していないときの位置コンバータの動作を示す図である。図6は、図2に示す位置コンバータ(変換部、制御部)の動作であって、位置検出センサが磁極欠損区間に位置しているときの位置コンバータの動作を示す図である。
【0051】
位置コンバータ32は、以下に示すように変換部として機能する。図5(a)に示すように、位置検出センサ22が磁極欠損区間220に位置していない場合、位置コンバータ32は、位置検出センサ22から有効状態信号(Validation)を受けて、図5(b)に示すように、位置検出センサ22が出力する位相角と、一対の磁極213の所定のピッチ長(例えば66mm)とに基づいて、移動体100の位置(Position)を導出する。位置コンバータ32は、導出した移動体100の位置(Position)をコントローラ40、第1及び第2のサーボアンプ50,60へ供給する。位置コンバータ32は、第1及び第2の電気角検出センサ21,23、及び、位置検出センサ22からの有効状態/無効状態を示す信号(Validation)をコントローラ40へ供給する。
【0052】
位置コンバータ32は、以下に示すように制御部(セレクタ)として機能する。図6(a)に示すように、位置検出センサ22が磁極欠損区間220に位置している場合、位置コンバータ32は、位置検出センサ22から無効状態信号(Validation)を受けて、図6(b)に示すように位置検出センサ22の出力から第2の電気角検出センサ23の出力に切り替えて、移動体100の位置(Position)の補間を行う。この位置補間処理では、第2の電気角検出センサ23が出力する位相角に基づいて移動体100の位置を直接導出する。具体的には、位置コンバータ32は、第2の電気角検出センサ23が出力する位相角と、一対の磁極213の所定のピッチ長(例えば66mm)とに加え、位置検出センサ22と第2の電気角検出センサ23との距離に応じたオフセット角に基づいて、移動体100の位置を導出する。
【0053】
なお、位置コンバータ32は、切替前の位置情報(位置検出センサによって検出した位相角の変位量)に、切替後の電気角検出センサが検出する位相角の変位量を加算して、現在の位置情報としてもよい。これによれば、センサの切り替えがあっても、より連続性が高い位置を導出することができる。
【0054】
このように、位置コンバータ32は、制御部として機能し、第1又は第2の電気角検出センサ21,23を、第1又は第2のリニアモータ11,12の電気角検出と移動体100の位置検出とを行うために兼用する。これより、位置検出センサ22が磁極欠損区間220に位置して無効な状態でも、第1又は第2の電気角検出センサ21,23によって位置を補間し、位置情報を途切れなく出力することが可能となる。
【0055】
ここで、磁極経路には直線経路とカーブ経路とが存在し、磁極欠損区間は直線経路とカーブ経路との連結部の近傍(連結部の周辺、又は、連結部に近接した位置)に配置されることがある。この形態では、移動体100が直線経路からカーブ経路へ向けて移動するときに、位置検出センサ22が磁極欠損区間220に位置する場合、移動体100の移動方向Xの後方側に位置する第2の電気角検出センサ23、すなわち直線経路上に位置する第2の電気角検出センサ23によって位置を補間してもよい。なお、リニアモータの駆動方法、移動体構造の特性によっては、第1の電気角検出センサ21によって位置を補間してもよい。
【0056】
移動距離計測部34は、第1の電気角検出センサ21が磁極欠損区間220に位置するとき、すなわち、第1の電気角検出センサ21から無効状態信号(Validation)を受けるときに、更に言い換えれば、磁極コンバータ(制御部)31が第1の電気角検出センサ21から位置検出センサ22に切り替えた後、位置検出センサ22の出力(位相角)に基づいて、移動体100の移動距離の計測を開始し、計測した移動体100の移動距離を区間長推定部35及びコントローラ40へ供給する。
【0057】
同様に、移動距離計測部34は、第2の電気角検出センサ23が磁極欠損区間220に位置するとき、すなわち、第2の電気角検出センサ23から無効状態信号(Validation)を受けるときに、更に言い換えれば、磁極コンバータ(制御部)31が第2の電気角検出センサ23から位置検出センサ22に切り替えた後、位置検出センサ22の出力(位相角)に基づいて、移動体100の移動距離の計測を開始し、計測した移動体100の移動距離を区間長推定部35及びコントローラ40へ供給する。
【0058】
位置検出センサ22が磁極欠損区間220に位置するとき、すなわち、位置検出センサ22から無効状態信号(Validation)を受けるときに、位置コンバータ(制御部)32によって位置検出センサ22から第2の電気角検出センサ23に切り替えた後、移動距離計測部34は、第1又は第2の電気角検出センサ21,23の出力(位相角)に基づいて、移動体100の移動距離の計測を開始し、計測した移動体100の移動距離を区間長推定部35及びコントローラ40へ供給する。
【0059】
区間長推定部35は、移動距離計測部34によって計測した移動体100の移動距離に基づいて、磁極欠損区間の区間長を推定する。具体的には、第1及び第2の電気角検出センサ21,23、及び、位置検出センサ22から無効状態信号(Validation)を受けてから有効状態信号(Validation)を受けるまでの、すなわち、第1及び第2の電気角検出センサ21,23、及び、位置検出センサ22が磁極欠損区間220に位置している間の移動体100の移動距離に基づいて、磁極欠損区間の区間長を推定する。なお、区間長推定部35は、移動距離計測部34によって計測した移動体の移動距離をそのまま磁極欠損区間の区間長にしても良い。
【0060】
コントローラ40は、ビークルコントローラ(Vehicle Controller)41と、モーションコントローラ(Motion Controller)43とを有する。
【0061】
ビークルコントローラ41は、目標位置(Target Position)、目標速度(Target Velocity)、目標停止距離(Target Stop-distance)等の、移動体の駆動制御情報を、上位コントローラ(図示せず)から取得し、予め記憶している。ビークルコントローラ41は、これらの情報をモーションコントローラ43へ供給する。
【0062】
モーションコントローラ43は、位置コンバータ32から第1の電気角検出センサ21の有効状態信号(Validation)を受けると、位置コンバータ32からの現在位置情報(Position)に基づいて、指令位置に到達するための位置指令(Command Position)を第1のサーボアンプ50へ供給する。一方、位置コンバータ32から第1の電気角検出センサ21の無効状態信号(Validation)を受けると、モーションコントローラ43は、第1のリニアモータ11が磁極欠損区間220に位置するまで、具体的には、例えば移動距離計測部34によって計測した移動距離が所定距離に達するまで(一定時間経過するまで)、位置コンバータ32からの現在位置情報(Position)に基づいて、指令位置に到達するための位置指令(CommandPosition)を第1のサーボアンプ50へ供給し続ける。そして、第1のリニアモータ11が磁極欠損区間220に位置すると、具体的には、例えば移動距離計測部34によって計測した移動距離が所定距離に達したら(一定時間経過後)、モーションコントローラ43は、位置指令(Command Position)を第1のサーボアンプ50へ供給することを停止する。なお、上記所定距離(一定時間)は、第1の電気角検出センサ21と第1のリニアモータ11との距離に基づいて予め設定されればよい。
【0063】
同様に、モーションコントローラ43は、位置コンバータ32から第2の電気角検出センサ23の有効状態信号(Validation)を受けると、位置コンバータ32からの現在位置情報(Position)に基づいて、指令位置に到達するための位置指令(Command Position)を第2のサーボアンプ60へ供給する。一方、位置コンバータ32から第2の電気角検出センサ23の無効状態信号(Validation)を受けると、モーションコントローラ43は、第2のリニアモータ12が磁極欠損区間220に位置するまで、具体的には、例えば移動距離計測部34によって計測した移動距離が所定距離に達するまで(一定時間経過するまで)、位置コンバータ32からの現在位置情報(Position)に基づいて、指令位置に到達するための位置指令(CommandPosition)を第2のサーボアンプ60へ供給し続ける。そして、第2のリニアモータ12が磁極欠損区間220に位置すると、具体的には、例えば移動距離計測部34によって計測した移動距離が所定距離に達したら(一定時間経過後)、モーションコントローラ43は、位置指令(Command Position)を第2のサーボアンプ60へ供給することを停止する。なお、上記所定距離(一定時間)は、第2の電気角検出センサ23と第2のリニアモータ12との距離に基づいて予め設定されればよい。
【0064】
第1のサーボアンプ(駆動制御部)50は、位置コントローラ(PositionController)51と、速度コントローラ(Velocity Controller)52と、電流コントローラ(Current Controller)53と、減算器54A,54B,54Cと、微分器55と、インバータ(Inverter)56と、電流センサ57と、を有する。
【0065】
位置コントローラ51には、減算器54Aによって、モーションコントローラ43からの位置指令が示す目標位置と位置コンバータ32からの位置情報が示す現在位置との差分を求めたデータ(差分位置データ)が入力される。位置コントローラ51は、この差分位置データに応じた速度データを出力する。
【0066】
速度コントローラ52には、微分器55によって位置コンバータ32からの位置情報を微分し、減算器54Bによって、この微分データと位置コントローラ51からの速度データとの差分を求めたデータ(差分速度データ)が入力される。速度コントローラ52は、この差分速度データに応じた電流値データを出力する。
【0067】
電流コントローラ53には、電流センサ57によって第1のリニアモータ11の現在の電流値を検出し、減算器54Cによって、速度コントローラ52からの電流値データと電流センサ57からの現在の電流値(実電流値)に応じたフィードバックデータとの差分を求めたデータ(差分電流値データ)が入力される。電流コントローラ53は、この差分電流値データに応じた直流の駆動電流を出力する。
【0068】
インバータ56は、磁極コンバータ31からの第1のリニアモータ11の電気角に基づいて、電流コントローラ53からの直流の駆動電流を交流の駆動電流に変換し、第1のリニアモータ11を駆動するための駆動電流を生成する。インバータ56の一例は、IPM(Intelligent Power Module)を使用する3相インバータである。
【0069】
同様に、第2のサーボアンプ(駆動制御部)60は、位置コントローラ(PositionController)61と、速度コントローラ(Velocity Controller)62と、電流コントローラ(Current Controller)63と、減算器64A,64B,64Cと、微分器65と、インバータ(Inverter)66と、電流センサ67と、を有する。
【0070】
位置コントローラ61には、減算器64Aによって、モーションコントローラ43からの位置指令が示す目標位置と位置コンバータ32からの位置情報が示す現在位置との差分を求めたデータ(差分位置データ)が入力される。位置コントローラ61は、この差分位置データに応じた速度データを出力する。
【0071】
速度コントローラ62には、微分器65によって位置コンバータ32からの位置情報を微分し、減算器64Bによって、この微分データと位置コントローラ61からの速度データとの差分を求めたデータ(差分速度データ)が入力される。速度コントローラ62は、この差分速度データに応じた電流値データを出力する。
【0072】
電流コントローラ63には、電流センサ67によって第2のリニアモータ12の現在の電流値を検出し、減算器64Cによって、速度コントローラ62からの電流値データと電流センサ67からの現在の電流値(実電流値)に応じたフィードバックデータとの差分を求めたデータ(差分電流値データ)が入力される。電流コントローラ63は、この差分電流値データに応じた直流の駆動電流を出力する。
【0073】
インバータ66は、磁極コンバータ31からの第2のリニアモータ12の電気角に基づいて、電流コントローラ63からの直流の駆動電流を交流の駆動電流に変換し、第2のリニアモータ12を駆動するための駆動電流を生成する。インバータ66の一例は、IPM(Intelligent Power Module)を使用する3相インバータである。
【0074】
次に、本実施形態の移動体100の動作について説明する。図7は、第1の電気角検出センサから磁極欠損区間に侵入する場合の電気角補間処理を示す図である。図8は、位置検出センサから磁極欠損区間に侵入する場合の電気角補間処理を示す図である。なお、移動体100は、第1のリニアモータ11及び第2のリニアモータ12の2モータ駆動で移動することを前提とし、第1のリニアモータ11及び第2のリニアモータ12のうち一方のリニアモータが磁極欠損区間に位置する場合に、他方のリニアモータのみ駆動し、磁極経路200に沿って移動する。
【0075】
(1)第1の電気角検出センサ21から磁極欠損区間220に侵入する場合
まず、図7(a)に示すように、第1の電気角検出センサ21及び位置検出センサ22が磁極欠損区間220に位置しておらず、第1の電気角検出センサ21及び位置検出センサ22が有効状態信号(Validation)を出力する場合、磁極コンバータ31が、第1の電気角検出センサ21からの位相角に基づいて第1のリニアモータ11の電気角を導出し、位置コンバータ32が、位置検出センサ22からの位相角に基づいて移動体100の位置(Position)を導出する。すると、モーションコントローラ43及び第1のサーボアンプ50によって、第1のリニアモータ11が駆動される。
【0076】
その後、図7(b)に示すように、第1の電気角検出センサ21が磁極欠損区間220に位置し、第1の電気角検出センサ21が無効状態信号(Validation)を出力すると、磁極コンバータ31による上記第1の電気角補間処理によって、前回導出した電気角に、前回から今回までの位置検出センサ22からの位相角の変位量(移動量)を加算して、第1のリニアモータ11の電気角を補間する。この際、モーションコントローラ43及び第1のサーボアンプ50によって第1のリニアモータ11の駆動が継続される。
【0077】
移動距離計測部34によって、第1の電気角検出センサ21から無効状態信号(Validation)を受けてからの移動体の移動距離を位置検出センサ22の出力に基づいて計測する。計測した移動距離が予め記憶した所定距離(第1の電気角検出センサ21と第1のリニアモータ11との間隔に相当する移動量)になったら(一定時間経過後)、図7(c)に示すように第1のリニアモータ11が磁極欠損区間220に位置するため、モーションコントローラ43及び第1のサーボアンプ50によって第1のリニアモータ11の駆動が停止される。このときには、第2のリニアモータ12は、磁極欠損区間220に位置しておらず、モーションコントローラ43及び第2のサーボアンプ60によって、磁極コンバータ31が導出した電気角に基づき駆動を継続している。上記の電気角は、第2の電気角検出センサ23が検出する位相角に基づき磁極コンバータ31によって導出される。なお、第1の電気角検出センサ21は、磁極欠損区間220を抜けているため有効状態に復帰している。
【0078】
第1の電気角検出センサ21から無効状態信号(Validation)を受けてから有効状態信号(Validation)を受けるまでの移動距離計測部34によって計測した移動距離に基づいて、区間長推定部35によって、磁極欠損区間220の距離を算出する(磁極欠損区間長の算出)。
【0079】
その後、移動距離計測部34によって計測した移動距離が予め記憶した所定距離(第1のリニアモータ11のモータ長に相当する移動量)に達したら(一定時間経過後)、図7(d)に示すように第1のリニアモータ11が磁極欠損区間220から抜けるため、磁極コンバータ31が導出する電気角に基づいて、モーションコントローラ43及び第1のサーボアンプ50によって第1のリニアモータ11の駆動が再開される。このとき、磁極コンバータ31は、位置検出センサ22から第1の電気角検出センサ21に切り替え、第1の電気角検出センサ21が検出する位相角に基づいて第1のリニアモータ11の電気角を導出する。
【0080】
図7(d)に示すように、位置検出センサ22が磁極欠損区間220に位置し、位置検出センサ22が無効状態信号(Validation)を出力すると、位置コンバータ32による位置補間処理によって、位置検出センサ22の出力(位相角)から第2の電気角検出センサ23の出力(位相角)に切り替えて、移動体100の位置を補間する。
【0081】
その後、図7(e)に示すように、位置検出センサ22が磁極欠損区間220から抜けて、位置検出センサ22が有効状態信号(Validation)を出力すると、位置コンバータ32が、第2の電気角検出センサ23の出力(位相角)から位置検出センサ22の出力(位相角)に切り替え戻して、移動体100の位置を導出する。
【0082】
以上、第1のリニアモータ11による駆動にて移動体100の移動方向Xに前進するときに第1の電気角検出センサ21から磁極欠損区間220に侵入する場合、すなわち、第1のリニアモータ11とその電気角検出用の第1の電気角検出センサ21のうちの第1の電気角検出センサ21から磁極欠損区間220に侵入する場合の動作を説明したが、第2のリニアモータ12による駆動にて移動体100の移動方向Xに後進するとき(移動方向Xの逆方向に移動するとき)に第2の電気角検出センサ23から磁極欠損区間220に侵入する場合、すなわち、第2のリニアモータ12とその電気角検出用の第2の電気角検出センサ23のうちの第2の電気角検出センサ23から磁極欠損区間220に侵入する場合の動作も同様である。
【0083】
(2)位置検出センサ22から磁極欠損区間220に侵入する場合
まず、図8(a)に示すように、第1のリニアモータ11が磁極欠損区間220に位置し、位置検出センサ22及び第2の電気角検出センサ23が有効状態信号(Validation)を出力する場合、磁極コンバータ31が、第2の電気角検出センサ23からの位相角に基づいて第2のリニアモータ12の電気角を導出し、位置コンバータ32が、位置検出センサ22からの位相角に基づいて移動体100の位置(Position)を導出する。すると、モーションコントローラ43及び第2のサーボアンプ60によって、第2のリニアモータ12が駆動される。
【0084】
その後、図8(b)に示すように、位置検出センサ22が磁極欠損区間220に位置し、位置検出センサ22が無効状態信号(Validation)を出力すると、位置コンバータ32による位置補間処理によって、位置検出センサ22の出力(位相角)から第2の電気角検出センサ23の出力(位相角)に切り替えて、移動体100の位置を補間する。
【0085】
移動距離計測部34によって、位置検出センサ22から無効状態信号(Validation)を受けてからの移動体の移動距離を第2の電気角検出センサ23の出力に基づいて計測する。計測した移動距離が予め記憶した所定距離(位置検出センサ22と第2のリニアモータ12との間隔に相当する移動量)になったら(一定時間経過後)、図8(c)に示すように第2のリニアモータ12が磁極欠損区間220に位置するため、モーションコントローラ43及び第2のサーボアンプ60によって第2のリニアモータ12の駆動が停止される。このときには、第1のリニアモータ11は、磁極欠損区間220に位置しておらず、モーションコントローラ43及び第1のサーボアンプ50によって、磁極コンバータ31が導出した電気角に基づき駆動を継続している。上記の電気角は、第1の電気角検出センサ21が検出する位相角に基づき磁極コンバータ31によって導出される。また、このときには、位置検出センサ22は、磁極欠損区間220を抜けているため、有効状態に復帰しており、位置コンバータ32によって、第2の電気角検出センサ23の出力(位相角)から位置検出センサ22の出力(位相角)に切り替え戻して、移動体100の位置を導出する。
【0086】
位置検出センサ22から無効状態信号(Validation)を受けてから有効状態信号(Validation)を受けるまでの移動距離計測部34によって計測した移動距離に基づいて、区間長推定部35によって、磁極欠損区間220の距離を算出する(磁極欠損区間長の算出)。
【0087】
その後、移動距離計測部34によって計測した移動距離が予め記憶した所定距離(第2のリニアモータ12のモータ長、及び、第2のリニアモータ12と第2の電気角検出センサ23との間隔に相当する移動量)に達したら(一定時間経過後)、図8(d)に示すように第2のリニアモータ12が磁極欠損区間220から抜け、第2の電気角検出センサ23が磁極欠損区間220に位置する。よって、第2の電気角検出センサ23が無効状態信号(Validation)を出力するため、磁極コンバータ31による上記第2の電気角補間処理によって、位置検出センサ22が出力する位相角に基づいて第2のリニアモータ12の電気角を直接導出し、第2のリニアモータ12の電気角を補間する。この際、モーションコントローラ43及び第2のサーボアンプ60によって第2のリニアモータの駆動が再開される。
【0088】
その後、図8(e)に示すように、第2の電気角検出センサ23が磁極欠損区間220から抜けて、第2の電気角検出センサ23が有効状態信号(Validation)を出力すると、磁極コンバータ31によるスムージング機能によって、位置検出センサ22の出力に対する第2の電気角検出センサ23の出力の合成比率を次第に高めるように、位置検出センサ22の出力と第2の電気角検出センサ23の出力とを合成する。このようにして、例えば一対の磁極のピッチ長(66mm)の範囲で移動距離に応じて、位置検出センサ22の出力から復帰直後の第2の電気角検出センサ23の出力に次第に切り替える。これにより、位置検出センサ22及び第2の電気角検出センサ23の検出点は互いに異なるため、位置検出センサ22から第2の電気角検出センサ23にいきなり切り替えることで電気角が不連続となってしまう問題を抑制し、切替前後であってもスムーズな電気角検出を行える。
【0089】
以上、第2のリニアモータ12による駆動にて移動体の移動方向Xに前進するときに位置検出センサ22から磁極欠損区間220に侵入する場合、すなわち、第2のリニアモータ12とその電気角検出用の第2の電気角検出センサ23とのうちの第2のリニアモータ12から磁極欠損区間220に侵入する場合の動作を説明したが、第1のリニアモータ11による駆動にて移動体の移動方向Xに後進するときに位置検出センサ22から磁極欠損区間220に侵入する場合、すなわち、第1のリニアモータ11とその電気角検出用の第1の電気角検出センサ21とのうちの第1の電気角検出センサ21から磁極欠損区間220に侵入する場合の動作も同様である。なお、この形態が請求項7に記載の形態に相当する。
【0090】
以上説明したように、本実施形態の移動体100によれば、位置検出センサと電気角検出センサとで移動体の位置検出とリニアモータの電気角検出との役割を分担させる構成において、磁極欠損区間に位置検出センサ及び電気角検出センサの一方のセンサが磁極欠損区間に位置しても、他方のセンサによって、一方のセンサによる移動体の位置検出又はリニアモータの電気角検出との役割を補間することができる。また、磁極欠損区間中の検出のために、別途で代替のセンサを用意する必要がない。
【0091】
本実施形態の移動体100によれば、電気角検出センサが磁極欠損区間に入って、制御部が位置検出センサに切り替えたときに、リニアモータの駆動をOFFにするのではなく、そこから更に一定距離移動した後に、リニアモータの駆動をOFFにする。そのため、リニアモータの推力低下をぎりぎりまで抑制できる。
【0092】
本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、磁極センサ(第1及び第2の電気角検出センサ、及び、位置検出センサ)によって検出した位相角を位置情報(Position)としたが、磁極センサによって検出した位相角の変位量を位置情報(Position)としてもよい。例えば、任意の基準位置からの位相角の変位量、すなわち移動量を位置情報(Position)としてもよい。より具体的には、位置コンバータ32によって、位置検出センサ(補間時は電気角検出センサ)が検出した位相角を定期的に取得して位相角の変位量を求め、これを位置情報としてコントローラ40及びサーボアンプ50,60に出力してもよい。なお、基準位置は、移動体の移動開始位置であってもよく、或いは、レールに離散的に配置したバーコードを移動体に設けられたリーダで読み取ることにより取得した座標情報であってもよい。
【0093】
この場合、コントローラ40及びサーボアンプ50,60は、現在位置情報(Position)として、任意の基準位置からの位相角の変位量、すなわち移動量を利用する。具体的には、モーションコントローラ43は、位置指令(Command Position)として移動量を示す情報をサーボアンプ50,60へ供給する。サーボアンプ50,60は、モーションコントローラ43からの位置指令が示す目標位置、位置コンバータ32からの位置情報としての移動量が示す現在位置、及び、電流センサによって検出したリニアモータの実電流値に応じたフィードバックデータから、リニアモータを駆動するための駆動電流を生成する。
【0094】
本実施形態の構成に加えて、以下のような構成(図9図11)を更に備えてもよい。
【0095】
図9は、本実施形態の変形例に係る移動体システムの主要部を示す図である。図9に示すように、移動体100Aは、移動体100において磁極欠損区間検出部71,72を更に備える。磁極経路200Aの磁極欠損区間220には、反射抑制テープ230が貼付されていてもよい。
【0096】
磁極欠損区間検出部71は、第1のリニアモータ11の横において移動方向に配列された9個の反射型フォトセンサを含む。反射型フォトセンサは、例えば、投光部と受光部とを有し、レール、磁石プレートのバックヨーク又は磁石カバー等の金属性の反射強度が高い部分に光を投光し、その反射光を受光する反射型のフォトセンサである。これらのフォトセンサは、磁極区間210では、反射強度が高い金属性の磁石プレートのバックヨークからの反射光を受光してオン状態となり、磁極欠損区間220では、反射抑制テープ230からの比較的に弱い反射光を受光してオフ状態となる。
【0097】
図10に、これらのフォトセンサのタイミングチャートを示す。図10では、移動方向の前側から順にフォトセンサ1〜9としている。なお、磁極ユニットの継ぎ目等で反射光がない状態を検出してしまうことを回避するために、例えば、2つ以上のフォトセンサがオフ状態のときに、磁極欠損区間検出部71が磁極欠損区間220上に位置することを判定するようにしてもよい。
【0098】
図11は、本実施形態の他の変形例に係る移動体システムの主要部を示す図である。図11に示すように、磁極経路の磁極欠損区間に代えて、磁極経路200Bの磁極欠損区間220の前後に、反射抑制テープ230が貼付されていてもよい。
【0099】
図12に、フォトセンサのタイミングチャートを示す。図12でも、移動方向の前側から順にフォトセンサ1〜9としている。なお、磁極経路における留め具のネジでの光の乱反射、又は、分岐もしくはカーブ軌道で磁石カバー上を通過する際の汚れもしくは凹凸に起因して誤検出されることを回避するために、以下のパターンを除外した残りのパターンを検出したときに、磁極欠損区間検出部71が磁極欠損区間220上に位置することを判定するようにしてもよい。
フォトセンサ1オフ、及び、フォトセンサ2オフ
フォトセンサ1オフ、及び、フォトセンサ2オフ、及び、フォトセンサ3オフ
フォトセンサ1オフ、及び、フォトセンサ2オフ、及び、フォトセンサ3オフ、及び、フォトセンサ4オフ
フォトセンサ6オフ、及び、フォトセンサ7オフ、及び、フォトセンサ8オフ、及び、フォトセンサ9オフ
フォトセンサ7オフ、及び、フォトセンサ8オフ、及び、フォトセンサ9オフ
フォトセンサ8オフ、及び、フォトセンサ9オフ
【0100】
ここで、例えば一対の磁極を4つ配列する磁極ユニット単位で工場等の磁極経路に施工する場合、これらの磁極ユニットの間に磁極欠損区間が存在する。図9のように磁極欠損区間に反射抑制テープを貼付する場合、施工後にテープを貼付するのに対して、図11に示すように磁極欠損区間の前後に反射抑制テープを貼付する場合、施工前の磁極ユニット単位でテープを貼付することができ、工事の作業性が比較的によいという利点を有する。一方、図11に示すように磁極欠損区間の前後に反射抑制テープを貼付する場合、テープ貼付箇所が2か所であるのに対して、図9に示すように磁極欠損区間に反射抑制テープを貼付する場合、テープ貼付箇所が1か所であり、テープの長さを短くすることができる。
【0101】
上記した変形例では、磁極経路の磁極欠損区間、又は、磁極欠損区間の前後に反射抑制テープを貼付したが、反射抑制テープに代えて反射テープが貼付されてもよい。
【0102】
上記した変形例では、磁極欠損区間検出部として複数の反射型フォトセンサを用いたが、複数の反射型フォトセンサに代えて複数のホール素子を用いてもよい。この場合、複数のホール素子は、リニアモータ内部に配置されてもよい。磁極センサ内部に、磁極欠損区間検出部としてホール素子を別途設けても良い。
【0103】
本実施形態では、第1及び第2の電気角検出センサの分解能と位置検出センサの分解能とが同じ場合を想定したが、第1及び第2の電気角検出センサの分解能と位置検出センサの分解能とが異なる場合、すなわち分解能が異なるセンサ間で補間を行う場合、補間する側のセンサの出力を補間される側のセンサの分解能に合わせる補正を行えばよい。
【0104】
また、本実施形態では、位置検出センサ22としてホール素子を例示したが、図13に示すように、位置検出センサとしてロータリーエンコーダ22Aを用いてもよい。この場合、ロータリーエンコーダの1回転を電気角検出用のホール素子の1周期と対応させればよい。
【0105】
本実施形態では、2つのリニアモータを有する移動体を例示したが、移動体は3つ以上のリニアモータを備えてもよい。
【0106】
本実施形態は、以下のような構成(図14及び図15参照)を更に備えてもよい。
【0107】
図14は、変形例に係る移動体システムの主要部を示す図である。図14は、天井に敷設された軌道(磁極経路)200を下方から見た場合における移動体100の概略図である。図14(a)は、移動体100が直線経路201を走行する直線経路走行時を示す。図14(b)は、移動体100がカーブ経路202を走行するカーブ経路走行時を示す。図15は、図14に示す連結器86の周辺構造を拡大して示す図である。
【0108】
図14(a)及び図14(b)に示すように、移動体100は、2台のボギー台車(第1のボギー台車及び第2のボギー台車)81と、これらのボギー台車81間に位置する中間体82と、を備えている。各ボギー台車81は、ボギー中心軸83を介して回転可能に構成されている。各ボギー台車81と中間体82とは、連結器86を介して連結されている。
【0109】
連結器86は、各ボギー台車81の車体における移動方向の一端部に接続されたリンク84と、中間体82の車体における移動方向の両端部に接続されたリンク85と、各ボギー台車81のリンク84に設けられた軸受87と、を含む。図15に示すように、中間体82のリンク85には、その延在方向を長手方向とする長孔88が形成されている。連結器86では、リンク85の長孔88にリンク84の軸受87が挿入されることで、リンク84とリンク85とが連結される。
【0110】
このような連結器86は、各ボギー台車81と中間体82とを連結し、各ボギー台車81と中間体82とを一体として構成する。連結器86は、リンク84とリンク85とを回転可能かつ直動可能に連結する。換言すると、連結器86では、長孔88内の軸受87を起点に、リンク84とリンク85とを相対的に回転可能かつ直動可能とする。
【0111】
2台のボギー台車81の一方には、上記第1のリニアモータ11及び上記第1の電気角検出センサ21が設けられている。2台のボギー台車81の他方には、上記第2のリニアモータ12及び上記第2の電気角検出センサ23が設けられている。中間体82には、上記位置検出センサ22が設けられている。
【0112】
以上、移動体100において、位置検出センサ22は、2台のボギー台車81間に連結器86を介して回転可能かつ直動可能に配置される中間体82に設けられる。よって、直線経路201の走行時(図14(a)参照)だけでなくカーブ経路202の走行時(図14(b)参照)でも、移動体100の各車体の姿勢変化に追従してリンク84及びリンク85間が回転かつ直動し、磁極経路200の中心(磁極経路200の幅方向の中心)を保って、位置検出センサ22が移動体100の位置を精度良く検出できる。更に、各ボギー台車81には、リニアモータと電気角センサが対としてそれぞれ配置される。そのため、移動体100では、ボギー台車81ごとに独立して駆動することができ、リニアモータの電気角の検出にも支障がない。
【0113】
また、移動体100が搬送台車である場合、搬送対象である物品を支持する支持部(不図示)を、位置検出センサ22と同様に、中間体82に設置してもよい。これにより、当該搬送台車において、位置検出センサ22の位置と、上記支持部(搬送対象の物品)の位置とが対応する(例えば、同一又は近接の位置となる)。そのため、搬送対象の物品を安定して搬送制御できる。特に、半導体ウエハー等のデリケートな物品を搬送する場合には(例えば、当該搬送台車が半導体搬送台車である場合には)、中間体82に位置検出センサ22及び上記支持部を配置する構成が有効である。
【0114】
以上に説明したように、移動体は、次のように構成されていてもよい。すなわち、N極及びS極からなる一対の磁極が複数配列された磁極区間と磁極が欠損した磁極欠損区間とを有する磁極経路であって直線経路とカーブ経路とを有する前記磁極経路に沿って移動する移動体において、前記磁極経路の磁束との磁気相互作用により駆動する第1のリニアモータと、前記磁極経路の磁束との磁気相互作用により駆動する第2のリニアモータと、前記移動体の位置を検出するための位置検出センサと、前記第1のリニアモータの電気角を検出するための第1の電気角検出センサと、前記第2のリニアモータの電気角を検出するための第2の電気角検出センサと、前記第1のリニアモータ及び前記第1の電気角検出センサが設けられる第1のボギー台車と、前記第2のリニアモータ及び前記第2の電気角検出センサが設けられる第2のボギー台車と、前記第1のボギー台車と前記第2のボギー台車との間に連結部材を介して配置されると共に、前記位置検出センサが設けられる中間体と、を含んでいてもよい。
【0115】
移動体は、N極とS極とからなる一対の磁極が複数配列された磁極区間と、磁極が欠損した磁極欠損区間とを有する磁極経路に沿って移動する移動体であって、磁極経路の磁束との磁気相互作用により駆動する第1のリニアモータを含む複数のリニアモータと、移動体の位置を検出するための位置検出センサと、磁極経路の経路方向において位置検出センサとは異なる位置に配置され、第1のリニアモータの電気角を検出するための第1の電気角検出センサと、位置検出センサ及び第1の電気角検出センサの一方のセンサが磁極欠損区間に位置する場合に、移動体の位置検出及び第1のリニアモータの電気角検出を他方のセンサに兼用させる制御部と、を備えていてもよい。
【0116】
移動体は、複数のリニアモータは、磁極経路の経路方向において第1のリニアモータとは異なる位置に配置される第2のリニアモータを含み、移動体は、経路方向において第1の電気角検出センサと協働して位置検出センサを挟み込むように配置され、第2のリニアモータの電気角を検出するための第2の電気角検出センサを更に含み、制御部は、位置検出センサが磁極欠損区間に位置する場合に、位置検出センサから第1の電気角検出センサ及び第2の電気角検出センサのいずれかに切り替えることにより、切り替えたセンサに移動体の位置検出及び第1のリニアモータの電気角検出を兼用させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の一側面によれば、位置検出センサ及び電気角検出センサのうちの何れかのセンサが磁極欠損区間に位置する場合にも、移動体の位置、又は、対応のリニアモータの電気角を検出することができる。
【符号の説明】
【0118】
1…移動体システム、11…第1のリニアモータ、12…第2のリニアモータ、21…第1の電気角検出センサ、22…位置検出センサ、22A…ロータリーエンコーダ(位置検出センサ)、23…第2の電気角検出センサ、30…センサインターフェース、31…磁極コンバータ、32…位置コンバータ、34…移動距離計測部、35…区間長推定部、40…コントローラ、41…ビークルコントローラ、43…モーションコントローラ、50…第1のサーボアンプ、51…位置コントローラ、52…速度コントローラ、53…電流コントローラ、54A,54B,54C…減算器、55…微分器、56…インバータ、57…電流センサ、60…第2のサーボアンプ、61…位置コントローラ、62…速度コントローラ、63…電流コントローラ、64A,64B,64C…減算器、65…微分器、66…インバータ、67…電流センサ、71,72…磁極欠損区間検出部、81…ボギー台車(第1のボギー台車及び第2のボギー台車)、82…中間体、84…リンク、85…リンク、86…連結器(連結部材)、100,100A…移動体、200,200A,200B…磁極経路、210…磁極区間、211…N極の磁石、212…S極の磁石、213…一対の磁極、220…磁極欠損区間、230…反射抑制テープ。
図1
図2
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図7
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図10
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