特許第6717440号(P6717440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6717440
(24)【登録日】2020年6月15日
(45)【発行日】2020年7月1日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20200622BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20200622BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20200622BHJP
   G03G 15/06 20060101ALI20200622BHJP
【FI】
   G03G15/00 303
   G03G21/00 398
   G03G21/00 386
   G03G15/08 235
   G03G15/06 101
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-556754(P2019-556754)
(86)(22)【出願日】2018年11月30日
(86)【国際出願番号】JP2018044225
(87)【国際公開番号】WO2019107551
(87)【国際公開日】20190606
【審査請求日】2019年12月6日
(31)【優先権主張番号】特願2017-230565(P2017-230565)
(32)【優先日】2017年11月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃史
(72)【発明者】
【氏名】清水 保
(72)【発明者】
【氏名】末浪 浩二
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−345075(JP,A)
【文献】 特開2012−208199(JP,A)
【文献】 特開2005−189790(JP,A)
【文献】 特開2012−108196(JP,A)
【文献】 特開2000−147877(JP,A)
【文献】 特開2011−013670(JP,A)
【文献】 特開平06−214451(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0098995(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/06
G03G 15/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される感光体ドラムと、
前記静電潜像にトナーを供給し、トナー像を形成する現像ローラーと、
前記感光体ドラムと前記現像ローラーとの間に交流電圧を印加する電圧印加部と、
前記トナー像の厚みを検出するセンサーと、
前記センサーの検出結果に基づき、前記交流電圧の値を調整する第1調整部と
を備え、
前記トナー像は、所定領域の画像に対応し、
前記所定領域の画像の印字率は、一定値を有し、
前記センサーは、前記トナー像の前記所定領域における厚みの変化を検出し、
前記第1調整部は、前記センサーの検出結果に基づき、前記交流電圧の値を調整し、
第1厚みの第2厚みに対する比が所定値以上であるか否かを判定する第1判定部を更に備え、
前記第1厚みは、前記所定領域における前記トナー像の厚みの最大値を示し、
前記第2厚みは、前記所定領域における前記トナー像の厚みの最小値を示し、
前記第1調整部は、前記第1判定部の判定結果に応じて、前記交流電圧の値を調整する、画像形成装置。
【請求項2】
前記比が前記所定値以上であると前記第1判定部が判定した場合に、前記第1調整部は、前記比が前記所定値未満となるまで、前記交流電圧の値を増加する、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電圧印加部は、前記感光体ドラムと前記現像ローラーとの間に直流電圧を印加し、
前記直流電圧の値を調整する第2調整部を更に備え、
前記第2調整部は、前記第2厚みに基づいて、前記直流電圧の値を調整する、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記感光体ドラム及び前記現像ローラーを含み、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記センサーを介して、前記トナー像のトナー量を検出する第1検出部と、
前記感光体ドラムと前記現像ローラーとの間に流れる電流の電流値を検出する第2検出部と、
前記第2検出部が検出した前記電流値に基づき、前記トナー像の電荷量を算出する第1算出部と
前記記録媒体の上限枚数に到達したか否かを判定する第2判定部と
を更に備え、
前記上限枚数は、前記画像形成部が前記記録媒体に画像を形成することが可能な最大の前記記録媒体の枚数を示し、
前記第2判定部は、前記電荷量と前記トナー量とに基づいて、前記上限枚数に到達したか否かを判定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
曲線の近似式を算出する第2算出部を更に備え、
前記曲線は、前記電荷量を前記トナー量で除した商の前記記録媒体の枚数に対する推移を示し、
前記第2判定部は、前記曲線に基づいて、前記上限枚数に到達したか否かを判定する、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記上限枚数に到達したと前記第2判定部が判定した場合に、警報を報知する報知部を更に備える、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記センサーはレーザー変位センサーを含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記所定領域は矩形状である、請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置は、基準コンデンサと、表面電位計と、濃度センサー(光反射センサー)とを備える。表面電位計が、基準コンデンサの端子部の電位を検出することによって、濃度センサーがトナーの付着量を検出し、トナーの重量を検出する。そして、トナーの帯電量とトナーの重量とを用いてトナーの比電荷を求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−43925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置によれば、トナーの比電荷に基づき現像条件を設定できるため、画像の品質を向上できる。しかしながら、トナーの付着量は均一ではないため、画像の品質が安定しない可能性がある。
【0005】
具体的には、上記画像形成装置では、トナーの付着量を濃度センサーによって検出するため、トナーの付着量の平均値が測定される。しかしながら、トナーの付着量は、画像が形成された領域において均一ではない。したがって、トナーの比電荷に基づき現像条件を設定した場合には、画像の品質が安定しない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、画像の品質を安定化することが可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、感光体ドラムと、現像ローラーと、電圧印加部と、センサーと、第1調整部とを備える。前記感光体ドラムは、静電潜像が形成される。前記現像ローラーは、前記静電潜像にトナーを供給し、トナー像を形成する。前記電圧印加部は、前記感光体ドラムと前記現像ローラーとの間に交流電圧を印加する。前記センサーは、前記トナー像の厚みを検出する。前記第1調整部は、前記センサーの検出結果に基づき、前記交流電圧の値を調整する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置によれば、画像の品質を安定化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像形成部の構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る電圧印加部及び電流計の配置を示す図である。
図4A】トナー像の厚みの検出方法の一例を示す図である。
図4B】トナー像の厚みの検出結果の一例を示すグラフである。
図5】本発明の実施形態に係る制御部の構成を示す図である。
図6】帯電量の印刷枚数に対する推移の一例を示すグラフである。
図7】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図8】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図9A】キャリアの粒径が32μmである場合の実験結果の一例を示す図であり、比較例の画像濃度の変化の一例を示す図である。
図9B】キャリアの粒径が32μmである場合の実験結果の一例を示す図であり、実施例における画像濃度の変化の一例を示す図である。
図10A】キャリアの粒径が35μmである場合の実験結果の一例を示す図であり、比較例の画像濃度の変化の一例を示す図である。
図10B】キャリアの粒径が35μmである場合の実験結果の一例を示す図であり、実施例における画像濃度の変化の一例を示す図である。
図11A】キャリアの粒径が38μmである場合の実験結果の一例を示す図であり、比較例の画像濃度の変化の一例を示す図である。
図11B】キャリアの粒径が38μmである場合の実験結果の一例を示す図であり、実施例における画像濃度の変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面(図1図11B)を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。図1は、画像形成装置100の構成を示す図である。画像形成装置100は、カラー複合機である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成ユニット1、画像読取ユニット2、原稿搬送ユニット3、制御部6及び操作表示部7を備える。画像形成ユニット1は、用紙Pに画像を形成する。画像読取ユニット2は、原稿Rに形成された画像を読み取り、画像情報を生成する。原稿搬送ユニット3は、原稿Rを画像読取ユニット2に搬送する。制御部6は、画像形成装置100の動作を制御する。操作表示部7は、ユーザーの操作を受け付ける。
【0013】
画像形成ユニット1は、給送部12、搬送部L、トナー供給部13、画像形成部4、定着部16及び排出部17を備える。画像形成部4は、転写部5を含む。
【0014】
給送部12は、用紙Pを搬送部Lへ供給する。搬送部Lは、用紙Pを転写部5及び定着部16を経由して排出部17まで搬送する。用紙Pは、「記録媒体」の一例に相当する。
【0015】
トナー供給部13には、トナーコンテナ131、トナーコンテナ132、トナーコンテナ133及びトナーコンテナ134が装着される。トナーコンテナ131には、シアン色のトナーTN1が収納される。トナーコンテナ132には、マゼンタ色のトナーTN2が収納される。トナーコンテナ133には、イエロー色のトナーTN3が収納される。トナーコンテナ134には、黒色のトナーTN4が収納される。以下の説明において、トナーコンテナ131〜トナーコンテナ134の各々を、トナーコンテナ130と総称する場合がある。また、トナーTN1〜トナーTN4の各々を、トナーTNと総称する場合がある。トナーコンテナ130は、画像形成部4にトナーTNを供給する。画像形成部4は、用紙Pに画像を形成する。画像形成部4の構成については、後述にて図2を参照して詳細に説明する。
【0016】
転写部5は、中間転写ベルト54を備える。画像形成部4が、中間転写ベルト54上にシアン色、マゼンタ色、イエロー色、及び黒色のトナー像を転写する。複数色のトナー像が中間転写ベルト54上で重畳され、中間転写ベルト54上に画像が形成される。転写部5は、中間転写ベルト54上に形成された画像を用紙P上に転写する。その結果、用紙Pに画像が形成される。
【0017】
定着部16は、用紙Pを加熱及び加圧し、用紙Pに形成された画像を用紙Pに定着する。排出部17は、用紙Pを画像形成装置100の外部へ排出する。
【0018】
制御部6は、プロセッサー61及び記憶部62を備える。プロセッサー61は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備える。記憶部62は、半導体メモリーのようなメモリーを備え、HDD(Hard Disk Drive)を備えてもよい。記憶部62は、制御プログラムを記憶している。
【0019】
操作表示部7は、タッチパネル71を備える。タッチパネル71は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)を備え、種々の画像を表示する。また、タッチパネル71は、タッチセンサーを備え、ユーザーからの操作を受け付ける。
【0020】
次に、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成部4の構成について説明する。図2は、画像形成部4の構成の一例を示す図である。図2に示すように、画像形成部4は、画像形成部4c、画像形成部4m、画像形成部4y及び画像形成部4kを備える。
【0021】
画像形成部4c、画像形成部4m、画像形成部4y及び画像形成部4kの各々は、露光部41、感光体ドラム42、現像部43、帯電ローラー44、クリーニングブレード45及びセンサー48を備える。現像部43は、現像ローラー431を有する。画像形成部4c、画像形成部4m、画像形成部4y及び画像形成部4kの各々の構成は、供給されるトナーTNの色が異なるのみで、その他の構成は略同一である。したがって、以下の説明では、シアン色のトナーTN1が供給される画像形成部4cの構成について説明し、画像形成部4c以外の画像形成部4m、画像形成部4y及び画像形成部4kの構成についての説明は省略する。
【0022】
画像形成部4cは、露光部41c(41)、感光体ドラム42c(42)、現像部43c(43)、帯電ローラー44c(44)、クリーニングブレード45c(45)及びセンサー48c(48)を有する。
【0023】
帯電ローラー44cは、感光体ドラム42cを所定の電位に帯電させる。露光部41cは、感光体ドラム42cにレーザー光を照射して露光し、感光体ドラム42cに静電潜像を形成する。現像部43cは、現像ローラー431c(431)を有する。現像ローラー431cは、感光体ドラム42cにシアン色のトナーTN1を供給し、静電潜像を現像してトナー像を形成する。このようにして、感光体ドラム42cの周面にシアン色のトナー像が形成される。
【0024】
センサー48cは、トナー像の厚みHTを検出する。具体的には、センサー48cは、トナー像との間の距離LTを測定して、トナー像の厚みHTを検出する。更に具体的には、センサー48cは、次の(1)式を用いてトナー像の厚みHTを検出する。
(厚みHT)=(基準距離LTA)−(距離LT) (1)
なお、基準距離LTAは、センサー48cと感光体ドラム42cの表面との間の距離を示す。
【0025】
センサー48cは、例えば、レーザー変位センサーである。レーザー変位センサーは、半導体レーザーとリニアイメージセンサー(Linear Image Sensor)とを備え、三角測量を用いて距離LTを測定する。
【0026】
クリーニングブレード45cは、その先端(図2では上端)が、感光体ドラム42cの周面と摺接する。感光体ドラム42cの周面とクリーニングブレード45cの先端とが摺接することで、感光体ドラム42cの周面に残留するシアン色のトナーTN1が除去される。
【0027】
転写部5は、用紙Pにトナー像を転写する。転写部5は、一次転写ローラー51、二次転写ローラー52、駆動ローラー53、中間転写ベルト54及び従動ローラー55を備える。一次転写ローラー51は、感光体ドラム42からシアン色、マゼンタ色、イエロー色、及び黒色のトナー像を中間転写ベルト54に転写する。一次転写ローラー51は、一次転写ローラー51c、一次転写ローラー51m、一次転写ローラー51y及び一次転写ローラー51kを含む。
【0028】
駆動ローラー53は、中間転写ベルト54を駆動する。中間転写ベルト54は、一次転写ローラー51、駆動ローラー53及び従動ローラー55に張架された無端ベルトである。中間転写ベルト54は、駆動ローラー53によって、矢印DR1及び矢印DR2に示すように、反時計回りに回転駆動される。従動ローラー55は、中間転写ベルト54の回転に伴って回転駆動される。ブレード56は、中間転写ベルト54の表面に残留しているトナーTNを除去する。
【0029】
二次転写ローラー52は、駆動ローラー53に押圧され、二次転写ローラー52と駆動ローラー53との間にニップ部NQが形成される。二次転写ローラー52は、用紙Pがニップ部NQを通過する際に、中間転写ベルト54上のトナー像を用紙Pに転写する。
【0030】
次に、図1図3を参照して、本発明の実施形態に係る電圧印加部46及び電流計47について説明する。図3は、電圧印加部46及び電流計47の配置を示す図である。画像形成部4は、電圧印加部46及び電流計47を更に備える。
【0031】
電圧印加部46は、感光体ドラム42と現像ローラー431との間に電圧を印加する。電圧印加部46は、例えば、感光体ドラム42kと現像ローラー431kとの間に電圧を印加する。電圧印加部46は、直流電圧印加部461及び交流電圧印加部462を備える。
【0032】
直流電圧印加部461は、感光体ドラム42と現像ローラー431との間に直流電圧V1を印加する。直流電圧印加部461は、例えば、感光体ドラム42kと現像ローラー431kとの間に直流電圧V1を印加する。
【0033】
交流電圧印加部462は、感光体ドラム42と現像ローラー431との間に交流電圧V2を印加する。交流電圧印加部462は、例えば、感光体ドラム42kと現像ローラー431kとの間に交流電圧V2を印加する。交流電圧V2は、例えば、デューティー比が50%の矩形波である。以下の説明において、交流電圧V2の周波数を周波数Fと記載し、交流電圧V2の電圧値(振幅)を値VPと記載する。
【0034】
感光体ドラム42は、電流計47及び抵抗RSを経由して接地されている。すなわち、電流計47は、感光体ドラム42と抵抗RSとの間に配置されている。電流計47は、感光体ドラム42と現像ローラー431との間に流れる電流Jの電流値JAを検出する。例えば、正に帯電したトナーTNが現像ローラー431から感光体ドラム42に飛翔することによって、電流Jが現像ローラー431から感光体ドラム42に向けて流れる。そして、電流Jは、電流計47及び抵抗RSを経由して感光体ドラム42からアースに向けて流れる。
【0035】
本発明の実施形態では、画像形成部4が用紙Pにモノクロ画像を形成する場合について説明する。すなわち、図3に示すトナーTNは、黒色のトナーTN4を示す。トナーTN4は、トナーコンテナ134に収納される。また、図3に示す感光体ドラム42は、感光体ドラム42kを示し、現像ローラー431は、現像ローラー431kを示す。
【0036】
次に、図1図4Bを参照して、トナー像の厚みHTの検出方法及び測定結果について説明する。図4Aは、トナー像の厚みHTの検出方法の一例を示す図である。図4Aに示すように、感光体ドラム42の周面には、トナー像PTが形成されている。トナー像PTは、矩形状の領域RGに形成される。領域RGは、「所定領域」の一例に相当する。また、領域RGの画像は、一定の印字率PRAで形成される。
【0037】
「印字率」とは、用紙Pに形成される画像の積算面積SR1の、用紙Pの面積SR2に対する比率(SR1/SR2)のことである。具体的には、積算面積SR1は、用紙Pに形成されるシアン色のトナーTN1の画像の積算面積と、用紙Pに形成されるマゼンタ色のトナーTN2の画像の積算面積と、用紙Pに形成されるイエロー色のトナーTN3の画像の積算面積と、用紙Pに形成される黒色のトナーTN4の画像の積算面積との和を示す。本発明の実施形態では、モノクロ画像を形成するため、「印字率」は、用紙Pに形成される黒色のトナーTN4の画像の積算面積SR1の、用紙Pの面積SR2に対する比率(SR1/SR2)のことである。
【0038】
感光体ドラム42は、感光体ドラム42の中心軸LC1を中心として回転方向R1に回転する。回転方向R1は、感光体ドラム42の回転方向を示す。センサー48kは、例えば、感光体ドラム42の長手方向(中心軸LC1と平行な方向)の中央位置における感光体ドラム42の周面との距離LTを検出する。
【0039】
センサー48kは、感光体ドラム42が回転しながら、距離LTを検出するため、中心線LC2に沿って、距離LTを検出する。中心線LC2は、感光体ドラム42の周面における感光体ドラム42の長手方向(中心軸LC1と平行な方向)の中央位置を示す。その結果、センサー48kは、トナー像PTの第1位置P1から第2位置P2までのトナー像PTの厚みHTを検出する。第1位置P1は、トナー像PTにおける感光体ドラム42の回転方向R1の下流端に対応する。第2位置P2は、トナー像PTにおける感光体ドラム42の回転方向R1の上流端に対応する。中央位置PCは、感光体ドラム42の周面に沿って第1位置P1と第2位置P2とを結ぶ円弧の中央の位置を示す。
【0040】
図4Bは、トナー像PTの厚みHTの検出結果の一例を示すグラフである。図4Bに示すグラフの横軸は、第1位置P1と第2位置P2とを結ぶ円弧上における第1位置P1からの距離LPを示す。グラフの縦軸は、厚みHTを示す。グラフG1は、距離LPと厚みHTとの関係を示す。
【0041】
グラフG1に示すように、第1位置P1から第1最大位置PE1までは、距離LPが増加する程、厚みHTが急激に増加する。第1最大位置PE1は、厚みHTが最大値HTEとなる位置を示す。第1最大位置PE1から中央位置PCまでは、距離LPが増加する程、厚みHTが徐々に減少する。中央位置PCから第2最大位置PE2までは、距離LPが増加する程、厚みHTが徐々に増加する。すなわち、中央位置PCにおいて厚みHTが最小値HTCとなる。第2最大位置PE2から第2位置P2までは、距離LPが増加する程、厚みHTが急激に減少する。
【0042】
このように、第1最大位置PE1と第2最大位置PE2とにおいて、厚みHTが最大値HTEとなり、中央位置PCにおいて厚みHTが最小値HTCとなる。このような厚みHTの変化は、いわゆる「エッジ効果」によって発生する。「エッジ効果」は、静電潜像の周辺部分では強い電界(縁端電界という)が生じるために現像され易く、静電潜像の中央部では電界が弱く現像され難いために発生する。以下の説明において、第1最大位置PE1及び第2最大位置PE2の各々をエッジ位置PEと総称する場合がある。最大値HTEは、「第1厚み」に相当し、最小値HTCは、「第2厚み」に相当する。
【0043】
次に、図1図5を参照して、本発明の実施形態に係る制御部6の構成について説明する。図5は、制御部6の構成を示す図である。図5に示すように、制御部6は、第1検出部601、第1判定部602、第1調整部603、第2調整部604、第2検出部605、第1算出部606、第2算出部607、第2判定部608及び報知部609を備える。具体的には、制御部6のプロセッサー61が制御プログラムを実行することによって、第1検出部601、第1判定部602、第1調整部603、第2調整部604、第2検出部605、第1算出部606、第2算出部607、第2判定部608及び報知部609として機能する。なお、第2検出部605、第1算出部606、第2算出部607、第2判定部608及び報知部609については、後述にて図6を参照して詳細に説明する。
【0044】
第1検出部601は、センサー48kを介して、矩形状の領域RGにおけるトナー像PTの厚みHTの変化を検出する。具体的には、第1検出部601は、トナー像PTの厚みHTの最大値HTEと、トナー像PTの厚みHTの最小値HTCとを検出する。
【0045】
第1判定部602は、最大値HTEの最小値HTCに対する比αが所定値α1以上であるか否かを判定する。比αは、最大値HTEを最小値HTCで除した商を示す。所定値α1は、例えば、「1.2」である。
【0046】
第1調整部603は、第1判定部602の判定結果に応じて、値VPを調整する。具体的には、比αが所定値α1以上であると第1判定部602が判定した場合に、第1調整部603は、比αが所定値α1未満となるまで、値VPを増加する。
【0047】
第2調整部604は、最小値HTCに基づいて、直流電圧V1の電圧値である値VDを調整する。
【0048】
以上、図1図5を参照して説明したように、本発明の実施形態では、センサー48kがトナー像PTの厚みHTを検出し、センサー48kの検出結果に基づき、値VPを調整する。「エッジ効果」によって、トナー像PTの中央部における厚みHTよりも、トナー像PTのエッジ部における厚みHTの方が大きくなる。値VPを大きくすることによって、両者の差を小さくできる。よって、トナー像PTの厚みHTを均一化できる。したがって、画像の品質を安定化できる。
【0049】
また、センサー48kは、矩形状の領域RGにおけるトナー像PTの厚みHTの変化を検出する。すなわち、トナー像PTのエッジ部における厚みHTとトナー像PTの中央部における厚みHTとを検出できる。値VPを大きくすることによって、両者の差を小さくできる。よって、トナー像PTの厚みHTを均一化できる。したがって、画像の品質を安定化できる。
【0050】
更に、最大値HTEの最小値HTCに対する比α(=最大値HTE/最小値HTC)が所定値α1以上である場合に、第1調整部603は値VPを増加する。よって、トナー像PTの厚みHTを更に均一化できる。したがって、画像の品質を更に安定化できる。
【0051】
また、比αが所定値α1以上である場合に、第1調整部603は、比αが所定値α1未満となるまで、値VPを増加する。よって、トナー像PTの厚みHTを更に均一化にできる。したがって、画像の品質を更に安定化できる。
【0052】
次に、図5及び図6を参照して、制御部6の構成について更に説明する。図6は、帯電量QPMの印刷枚数Nに対する推移の一例を示すグラフである。図6に示すグラフの横軸は、印刷枚数Nを示し、縦軸は帯電量QPMを示す。印刷枚数Nは、現像部43を新品に更新した時点、又は、新品の現像部43を含む画像形成装置100が設置された時点以降に、画像が形成された用紙Pの積算枚数を示す。帯電量QPMは、電荷量Qをトナー量Mで除した商を示す。
【0053】
なお、以下の説明では、現像剤が2成分現像剤であり、現像部43におけるトナーTNの質量TWをキャリアの質量CWで除した商TPCが一定値である場合について説明する。一定値は、例えば、8%である。
【0054】
図6のグラフG2に示すように、帯電量QPMの初期値は帯電量QPM1である。図6に示す点PSは、帯電量QPMの実測値を示す。また、印刷枚数Nが増加する程、帯電量QPMは減少する。そして、印刷枚数Nが上限枚数NAに到達したときに、帯電量QPMは帯電量QPM2になる。帯電量QPM2は、用紙Pに良好な品質の画像を形成可能な最小の帯電量QPMを示す。帯電量QPM2は、例えば、12.5μC/gである。そこで、印刷枚数Nが上限枚数NAに到達したときに、報知部609は、警報を報知する。
【0055】
図5に示す第1検出部601は、センサー48kを介して、トナー像PTのトナー量Mを検出する。トナー量Mは、トナー像PTを構成するトナーTN4の質量を示す。
【0056】
第2検出部605は、電流計47を介して、感光体ドラム42と現像ローラー431との間に流れる電流Jの電流値JAを検出する。
【0057】
第1算出部606は、第2検出部605が検出した電流値JAに基づき、トナー像PTの電荷量Qを算出する。
【0058】
第2算出部607は、曲線CVの近似式を算出する。曲線CVは、帯電量QPMと印刷枚数Nとの関係を示す。曲線CVは、図6のグラフG2を示す。具体的には、曲線CVは、次の式(2)で規定される。
(帯電量QPM)=QPM1×EXP(−N0.5/τ) (2)
ここで、帯電量QPM1は、帯電量QPMの初期値を示す。第2算出部607は、曲線CVが帯電量QPMの実測値(点PS)を近似する曲線になるように定数τを決定する。
【0059】
第2判定部608は、電荷量Qとトナー量Mとに基づいて、印刷枚数Nが上限枚数NAに到達したか否かを判定する。印刷枚数Nは、画像を形成した用紙Pの枚数を示す。具体的には、第2判定部608は、曲線CVに基づいて、印刷枚数Nの上限枚数NAに到達したか否かを判定する。
【0060】
報知部609は、印刷枚数Nが上限枚数NAに到達したと第2判定部608が判定した場合に、警報を報知する。具体的には、報知部609は、印刷枚数Nが上限枚数NAに到達したことをタッチパネル71に表示する。
【0061】
以上、図5及び図6を参照して説明したように、本発明の実施形態では、用紙Pの印刷枚数Nが増加する程、トナーが帯電し難くなる。すなわち、電荷量Qをトナー量Mで除した商(帯電量QPM)が減少する。電荷量Qとトナー量Mとに基づいて、画像を形成可能な用紙Pの上限枚数NAに到達したか否かを判定する。したがって、印刷枚数Nが上限枚数NAに到達したか否かを適正に判定できる。
【0062】
また、曲線CVの近似式を算出し、曲線CVの近似式に基づいて、印刷枚数Nが上限枚数NAに到達したか否かを判定する。曲線CVは、帯電量QPMと印刷枚数Nとの関係を示す。したがって、印刷枚数Nが上限枚数NAに到達したか否かを更に適正に判定できる。
【0063】
更に、印刷枚数Nが上限枚数NAに到達したと判定した場合に、報知部609が警報を報知する。したがって、ユーザーは、上限枚数NAに到達したことを確認できる。
【0064】
なお、本発明の実施形態では、トナーTNの質量TWをキャリアの質量CWで除した商TPCが一定値であるが、本発明はこれに限定されない。商TPCが一定値でなくてもよい。この場合には、曲線CVは、次の式(3)で規定される。
(帯電量QPM)×TPC=QPM1×EXP(−N0.5/τ) (3)
すなわち、図6に示す縦軸を帯電量QPMから、(帯電量QPM)×TPCに変更すればよい。換言すれば、図6に示す点PSを、(帯電量QPM)×TPCの実測値にすればよい。この場合には、商TPCが一定値でない場合にも、印刷枚数Nが上限枚数NAに到達したか否かを更に適正に判定できる。
【0065】
次に、図5図8を参照して、制御部6の処理について説明する。図7及び図8は、制御部6の処理の一例を示すフローチャートである。
まず、図7に示すように、ステップS101において、第1検出部601が、トナー像PTの厚みHTを検出する。
次に、ステップS103において、第1検出部601が、トナー像PTの厚みHTの最大値HTEと、トナー像PTの厚みHTの最小値HTCとを検出する。
次に、ステップS105において、第1判定部602が、比αが所定値α1以上であるか否かを判定する。比αは、最大値HTEを最小値HTCで除した商を示す。
比αが所定値α1以上ではないと第1判定部602が判定した場合(ステップS105でNO)には、処理がステップS109に進む。比αが所定値α1以上であると第1判定部602が判定した場合(ステップS105でYES)には、処理がステップS107に進む。
そして、ステップS107において、第1調整部603は、値VPを増加する。具体的には、第1調整部603は、値VPが第1所定値ΔV1だけ増加するように値VPを更新する。そして、処理がステップS101に戻る。
【0066】
ステップS105でNOの場合には、ステップS109において、第2調整部604は、最小値HTCが上限値HT1より大であるか否かを判定する。上限値HT1は、最小値HTCの上限値を示す。
最小値HTCが上限値HT1以上より大ではないと第2調整部604が判定した場合(ステップS109でNO)には、処理がステップS113に進む。最小値HTCが上限値HT1以上より大であると第2調整部604が判定した場合(ステップS109でYES)には、処理がステップS111に進む。
そして、ステップS111において、第2調整部604は、値VDを減少する。具体的には、第2調整部604は、値VDが、第2所定値ΔV2だけ減少するように値VDを更新する。そして、処理がステップS101に戻る。
ステップS109でNOの場合には、ステップS113において、第2調整部604は、最小値HTCが下限値HT2より小であるか否かを判定する。下限値HT2は、最小値HTCの下限値を示す。
最小値HTCが下限値HT2より小ではないと第2調整部604が判定した場合(ステップS113でNO)には、処理が図8のステップS117に進む。最小値HTCが下限値HT2より小であると第2調整部604が判定した場合(ステップS113でYES)には、処理がステップS115に進む。
そして、ステップS115において、第2調整部604は、値VDを増加する。具体的には、第2調整部604は、値VDが、第2所定値ΔV2だけ増加するように値VDを更新する。そして、処理がステップS101に戻る。
【0067】
ステップS113でNOの場合には、図8に示すように、ステップS117において、第2検出部605は、感光体ドラム42と現像ローラー431との間に流れる電流Jの電流値JAを検出する。
次に、ステップS119において、第1算出部606は、電流値JAに基づき、トナー像PTの電荷量Qを算出する。
次に、ステップS121において、第1検出部601は、トナー像PTのトナー量Mを検出する。
次に、ステップS123において、第2算出部607は、曲線CVの近似式を算出する。曲線CVは、帯電量QPMと印刷枚数Nとの関係を示す。
次に、ステップS125において、第2判定部608は、上限枚数NAを算出する。
次に、ステップS127において、第2判定部608は、印刷枚数Nが上限枚数NA以上であるか否かを判定する。
印刷枚数Nが上限枚数NA以上ではないと第2判定部608が判定した場合(ステップS127でNO)には、処理がステップS117に戻る。印刷枚数Nが上限枚数NA以上であると第2判定部608が判定した場合(ステップS127でYES)には、処理がステップS129に進む。
そして、ステップS129において、報知部609が、警報を報知して、処理が終了する。
【0068】
以上、図5図8を参照して説明したように、本発明の実施形態では、最小値HTCに基づいて値VDを調整する。例えば、最小値HTCが下限値HT2以上であり、且つ上限値HT1以下になるように値VDを調整する。よって、トナー像PTの最小値HTCを下限値HT2以上、且つ上限値HT1以下に調整できる。したがって、画像の品質を更に安定化できる。
【0069】
<実験方法>
次に、本発明の効果を検証する実験方法について説明する。実験では、下記の2つの制御方法(制御方法A及び制御方法B)で現像条件を設定した後、印刷枚数Nの増加に伴う画像濃度IDの推移を測定した。
制御方法A(比較例):中間転写ベルト54上のトナーTN4の画像濃度IDが基準範囲に入るように直流電圧印加部461の値VDを調整した。
制御方法B(実施例):最大値HTEを最小値HTCで除した比αが所定値α1未満になるように、値VPを調整した。その後、最小値HTCが下限値HT2以上、且つ上限値HT1以下になるように直流電圧印加部461の値VDを調整した。
【0070】
(現像剤)
現像剤としては、2成分現像剤を用いた。2成分現像剤を構成するトナーTN4の平均粒径は6.8μmであった。また、トナーTN4は、正帯電性であった。2成分現像剤を構成するキャリアの粒径が32μmの場合、キャリアの粒径が35μmの場合、及びキャリアの粒径が38μmの場合で、それぞれ実験を行った。
【0071】
(耐刷条件)
環境温度25℃、環境湿度50%において、ソリッド部と空白部とを含むサンプル画像を300000枚連続印刷する耐刷試験を行った。現像ローラー431と感光体ドラム42との間隔は、0.3mmであった。プリント速度は、30ppm(枚/分)であり、感光体ドラム42の線速は、180mm/秒であった。直流電圧印加部461は、感光体ドラム42と現像ローラー431との間に直流電圧V1として190Vを印加した。交流電圧印加部462は、感光体ドラム42と現像ローラー431との間に交流電圧V2を印加した。交流電圧V2の周波数は3.7kHzであり、デューティー比が50%の矩形波であった。
【0072】
(測定方法)
300000枚連続印刷中の20000枚印刷毎に、用紙Pに形成された画像のソリッド部の中央位置PCの画像濃度IDと、画像のソリッド部のエッジ位置PEの画像濃度IDとを、反射濃度計(SDG株式会社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて測定した。
【0073】
(評価方法)
画像濃度IDが1.20以上且つ1.4未満であれば○(良い)と判断し、画像濃度IDが1.20未満又は1.4以上であれば×(良くない)と判断した。
【0074】
<実験結果>
図9A図11Bに実験結果を示す。図9は、キャリアの粒径が32μmである場合の実験結果の一例を示す図である。図9Aは、比較例の画像濃度IDの変化の一例を示す図である。図9Bは、実施例における画像濃度IDの変化の一例を示す図である。図9A及び図9Bの各々の横軸は、印刷枚数Nを示し、縦軸は中央位置PCの画像濃度IDとエッジ位置PEの画像濃度IDとを示す。黒丸は、中央位置PCの画像濃度IDの測定結果を示し、白丸は、エッジ位置PEの画像濃度IDの測定結果を示す。
【0075】
図9Aに示すように、制御方法A(比較例)では、中央位置PCの画像濃度IDは、全ての測定点で1.20以上且つ1.4未満であり良好であった。エッジ位置PEの画像濃度IDは、印刷枚数Nが140000枚までは、1.20以上且つ1.4未満であり良好であったが、印刷枚数Nが160000枚以降において1.4以上となり、不良となった。
【0076】
一方、図9Bに示すように、制御方法B(実施例)では、中央位置PCの画像濃度IDは、全ての測定点で1.20以上且つ1.4未満であり良好であった。また、エッジ位置PEの画像濃度IDは、全ての測定点で1.20以上且つ1.4未満であり良好であった。
【0077】
図10A及び図10Bは、キャリアの粒径が35μmである場合の実験結果の一例を示す図である。図10Aは、比較例の画像濃度IDの変化の一例を示す図である。図10Bは、実施例における画像濃度IDの変化の一例を示す図である。図10A及び図10Bの各々の横軸は、印刷枚数Nを示し、縦軸は中央位置PCの画像濃度IDとエッジ位置PEの画像濃度IDとを示す。黒丸は、中央位置PCの画像濃度IDの測定結果を示し、白丸は、エッジ位置PEの画像濃度IDの測定結果を示す。
【0078】
図10Aに示すように、制御方法A(比較例)では、中央位置PCの画像濃度IDは、全ての測定点で1.20以上且つ1.4未満であり良好であった。エッジ位置PEの画像濃度IDは、印刷枚数Nが100000枚までは、1.20以上且つ1.4未満であり良好であったが、印刷枚数Nが120000枚以降において1.4以上となり、不良となった。
【0079】
一方、図10Bに示すように、制御方法B(実施例)では、中央位置PCの画像濃度IDは、全ての測定点で1.20以上且つ1.4未満であり良好であった。また、エッジ位置PEの画像濃度IDは、全ての測定点で1.20以上且つ1.4未満であり良好であった。
【0080】
図11A及び図11Bは、キャリアの粒径が38μmである場合の実験結果の一例を示す図である。図11Aは、比較例の画像濃度IDの変化の一例を示す図である。図11Bは、実施例における画像濃度IDの変化の一例を示す図である。図11A及び図11Bの各々の横軸は、印刷枚数Nを示し、縦軸は中央位置PCの画像濃度IDとエッジ位置PEの画像濃度IDとを示す。黒丸は、中央位置PCの画像濃度IDの測定結果を示し、白丸は、エッジ位置PEの画像濃度IDの測定結果を示す。
【0081】
図11Aに示すように、制御方法A(比較例)では、中央位置PCの画像濃度IDは、全ての測定点で1.20以上且つ1.4未満であり良好であった。エッジ位置PEの画像濃度IDは、印刷枚数Nが100000枚までは、1.20以上且つ1.4未満であり良好であったが、印刷枚数Nが120000枚以降において1.4以上となり、不良となった。
【0082】
一方、図11Bに示すように、制御方法B(実施例)では、中央位置PCの画像濃度IDは、全ての測定点で1.20以上且つ1.4未満であり良好であった。また、エッジ位置PEの画像濃度IDは、全ての測定点で1.20以上且つ1.4未満であり良好であった。
【0083】
以上、図9A図11Bを参照して説明したように、制御方法B(実施例)は、制御方法A(比較例)と比較して、エッジ位置PEの画像濃度IDにおいて顕著な効果があった。すなわち、本発明の実施形態に係る画像形成装置100では、画像の品質を安定化できることが判った。具体的には、本発明の実施形態に係る画像形成装置100では、エッジ位置PEの画像濃度IDを安定化できることが判った。
【0084】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)〜(4))。図面は、理解し易くするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0085】
(1)図1図3を参照して説明したように、本発明の実施形態では、画像形成装置100がカラー複合機であるが、本発明はこれに限定されない。画像形成装置が用紙Pに画像を形成すればよい。画像形成装置が、例えば、カラープリンターでもよい。また、画像形成装置が、例えば、モノクロ複写機でもよい。
【0086】
(2)図1図5を参照して説明したように、報知部609が上限枚数NAに到達したことをタッチパネル71に表示するが、本発明はこれに限定されない。報知部609は上限枚数NAに到達したことを報知すればよい。例えば、報知部609が、スピーカーを介して、上限枚数NAに到達したことを音声で出力してもよい。
【0087】
(3)図1図5を参照して説明したように、本発明の実施形態では、トナー像PTがトナーTN4で構成されるが、本発明はこれに限定されない。トナー像PTがトナーTNで構成されればよい。例えば、トナー像PTがトナーTN1〜トナーTN3のうちのいずれか1つのトナーTNで構成されてもよい。
【0088】
(4)図5図9A図9B図11A及び図11Bを参照して説明したように、本発明の実施形態では、帯電量QPMが、トナーTN4の1個当たりの電荷量QをトナーTN4のトナー量Mで除した商を示すが、本発明はこれに限定されない。帯電量QPMが、トナーTN4の1個当たりの電荷量Qに比例すればよい。例えば、帯電量QPMが、トナーTN4の1個当たりの電荷量QをトナーTN4の1個当たりの直径で除した商を示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、画像形成装置の分野に利用可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B