(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
取り囲んだ前記長尺体の外面に係止して、該長尺体に対する自身の位置を定める位置決め部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の化粧プレート。
前記一対の半体は、前記環状内に前記長尺体が配置されていない状態で、互いに仮組み付け可能な仮組付け部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の化粧プレート。
前記長尺体が前記環状部内に配置されていない状態で、前記仮組付け部により組み付けられた際に、前記弾性片の掛合部は、前記掛合位置と前記非掛合位置との中間に位置することを特徴とする請求項8に記載の環状部形成部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の化粧プレートは、一対の半体で長尺体を挟んだ状態で組み付けられ、両側から長尺体を挟圧して取り付けられるから、長尺体には反発力が発生し、一対の半体を離間させる方向の反力が生ずる。これにより、化粧プレートの接合面には隙間が生じ易く、また、水道管のウォーターハンマー現象等による振動や衝撃が加わることによって連結ピンと連結孔との係合が外れてしまうおそれもある。このため、両半体同士の組み付けを強固なものにしようとすると、組付け構造、機構が複雑化するために、化粧プレートの取付時の作業性は低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、一対の半体が組み付けられて環状に形成されるものにおいて、簡易な構造で作業性良く長尺体に取り付けることができるとともに、長尺体に取り付け後、一対の半体間に隙間が生じたり両半体の組み付けが外れてしまうのを防止できる化粧プレート及び環状部形成部材の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の化粧プレートは、一対の半体からなり、組付け部により互いに組み付けられて環状に形成され、壁穴から引き出された長尺体の周りを取り囲んで該壁穴を覆い隠すものであって、前記半体の組付け部は、掛合部を有する弾性片と、該弾性片の掛合部が掛合する被掛合部と、により構成され、前記弾性片には、前記環状内に突出し、前記長尺体の外面に押圧されて前記掛合部が前記被掛合部側に向かうように前記弾性片を傾動させる被押圧部が設けられている。
請求項2の化粧プレートは、請求項1の化粧プレートと同様のものであって、一方の半体には、他方の半体の被掛合部に掛合する掛合部を有し、前記他方の半体に向けて突出する弾性片が設けられ、前記弾性片は、前記環状内へと撓み変形することで、前記被掛合部に対する掛合が解除されるものであり、かつ、前記長尺体の外面に当接することにより、前記弾性片の前記環状内への撓み変形が規制されて、前記被掛合部に対する掛合が維持されるべく、前記環状内に突出する被押圧部を有する。
【0008】
請求項3の化粧プレートは、特に、被押圧部が、弾性片において前記掛合部より基端側に設けられている。
請求項4の化粧プレートは、特に、一対の半体の弾性片が、環状内に配置される長尺体を挟む両側に設けられている。
【0009】
請求項5の化粧プレートは、特に、取り囲んだ前記長尺体の外面に係止して、該長尺体に対する自身の位置を定める位置決め部を有する。
請求項6の化粧プレートは、特に、長尺体が、外面が平滑な中空筒体からなり、位置決め部が、基部と、該基部から屈曲されて前記環状内に突出する爪部と、からなり、係止した状態で、該長尺体の長手方向に沿ってその一側には移動可能であり他側には移動が規制される係止爪により形成されている。
請求項7の化粧プレートは、特に、一対の半体が、環状内に前記長尺体が配置されていない状態で、互いに仮組み付け可能な仮組付け部を有している。
【0010】
請求項8の環状部形成部材は、一対の半体からなり、互いに組み付けられて内側に長尺体が貫通状態に配置される環状部を形成するものであって、前記長尺体が前記環状部内に配置されていない状態で、前記環状部を形成すべく互いに係合して組み付けられる仮組付け部と、該仮組付け部とは別の箇所に設けられ、前記長尺体が前記環状部内に配置された状態で、環状態を維持すべく互いに係合して組み付けられる本組付け部と、を備えている。そして、前記仮組付け部は、前記両半体を前記環状部の径方向に離間させることで前記係合が解除され、前記本組付け部は、一方の前記半体から延出された弾性片と、該弾性片の掛合部が掛合する他方の前記半体の被掛合部と、からなる。更に、前記本組付け部の弾性片は、前記環状部の内外方向に撓み変形して、前記掛合部が前記他方の半体の被掛合部に対して掛合する掛合位置と、該掛合が解除された非掛合位置とに変位可能であるとともに、前記環状部内に配置された前記長尺体の外面に当接することにより、前記掛合部が前記掛合位置から前記環状部の内側に撓み変形して前記非掛合位置へと変位するのを規制する被押圧部を有する。
請求項9の化粧プレートは、特に、長尺体が環状部内に配置されていない状態で、仮組付け部により環状態に組み付けられた際に、前記弾性片の掛合部は、前記掛合位置と前記被掛合位置との中間に位置する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、2、6、8、9の発明は、長尺体が環状内に配置された状態で、弾性片の被押圧部が長尺体の外面に当接することにより、弾性片の掛合部が環状内に移動するのが規制されるから、一対の半体を組み付けて化粧プレートあるいは環状部形成部材を長尺体に取り付けた後に、弾性片の掛合部と被掛合部との掛合が外れてしまうのが防止され、一対の半体間に隙間が生じたり両半体の組み付けが外れてしまうのを防止できる。
また、長尺体を両側から一対の半体で挟むことにより、弾性片の被押圧部が長尺体の外面に当接して掛合部が被掛合部と掛合し、一対の半体が組み付けられる構成となっているから、簡易な構造で化粧プレートあるいは環状部形成部材を作業性良く長尺体に取り付けることができる。
【0012】
請求項1、3の発明は、特に、被押圧部が、弾性片において掛合部より基端側に設けられているから、基端部を中心とするてこの作用により、掛合部は、被押圧部が長尺体と当接して受ける押圧力より大きい力に増強されて他方の半体の被掛合部側に押し付けられる。これにより、弾性片の掛合部は他方の半体の被掛合部により強固に掛合する。
請求項4の発明は、特に、一対の半体の弾性片が、環状内に配置される長尺体を挟む両側に設けられているから、化粧プレートは安定して長尺体に取り付けられる。
【0013】
請求項5、6の発明は、特に、長尺体に対する自身の位置を定める位置決め部を有するから、長尺体に対して化粧プレートが長尺体の長手方向に沿って移動して壁穴から離間するのが防止され、それにより、壁穴が露出するのが確実に防止されて壁穴周辺の外観を良好に保つことができる。
【0014】
請求項7〜9の発明は、一対の半体が仮組付け部を有するので、本組み付けまでの間、仮組み付け状態とし、環状部形成部材を長尺体に取り付ける際に、一旦両半体を分離させ、一対の半体で長尺体を両側から挟んだ後、本組み付けすることができる。したがって、本組み付けまでの間における両半体の取り扱いや持ち運びの作業性が良く、また、いずれかの半体を落下させたり、紛失したりするのを防止することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〈第一実施形態〉
まず、本発明の第一実施形態の化粧プレートを
図1乃至
図3に基づいて説明する。
第一実施形態の化粧プレートは、一対の半体からなり、組付け部により互いに組み付けられて環状に形成され、天井壁や間仕切り壁等の壁面に設けられた壁穴から引き出された長尺体の周りを取り囲んで該壁穴を覆い隠すものである。ここで、本実施形態では、長尺体として、内部にケーブル等の配線材などが挿通される塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる外面平滑な中空筒体からなる樹脂管を例示する。
【0017】
図1において、化粧プレート1Aは、一対の半体11,11の半割面12,12相互を当接させて組み付けることにより、環状に形成され、中央部に長尺体51である樹脂管52が貫通する貫通孔13が形成され、偏平な円盤形状に形成される。化粧プレート1Aにおいて樹脂管52が貫通する貫通孔13は同心円状に形成されている。
【0018】
一対の半体11,11は、同一に形成され、すなわち合成樹脂材等により同大、同一形状に形成されている。半体11は、樹脂管52が貫通する半円状の貫通空間14が設けられた半円板状に形成され、半円板状の基板15の周縁には貫通空間14の部分を除いて一定高さの外枠壁16が立設されている。ここで、貫通空間14は、一対の半体11,11が組み付けられて貫通孔13となり、また、環状内17ともなる。
【0019】
貫通空間14の周縁における半割面12の近傍には、相対向する他方の半体11の半割面12に向けて弾性片18が突設されている。弾性片18は半割面12から内部側に離間した位置に固定された基端19を軸に基板15の平面に沿って撓み変形し弾性的に傾動するようになっており、通常は他方の半体11の半割面12と直交する方向に突出している。弾性片18の突出先端部には、側方に鈎状に膨出する膨出部21を有する掛合部20が形成され、掛合部20は半割面12から突出して他方の半体11に設けられた被掛合部23に掛合するようになっている。更に、弾性片18の基端19と掛合部20との略中間には貫通空間14側に膨出する被押圧部22が形成されている。被押圧部22は段部に形成され、貫通空間14側の面は樹脂管52の外面と当接するようになっている。
【0020】
半割面12における貫通空間14を挟んだ弾性片18とは反対側の箇所には、他方の半体11の弾性片18の掛合部20が挿入可能な挿入空間24が形成され、更に、半割面12の外枠壁16における挿入空間24と隣接する外周側の部分には、弾性片18の掛合部20の鈎状の膨出部21が掛合する被掛合部23が形成されている。すなわち、一対の半体11,11は、互いに弾性片18の掛合部20と被掛合部23とが掛合し互いに組付けられて化粧プレート1Aとなる。これら弾性片18の掛合部20と被掛合部23とは、組付け部を構成し、これらによって構成された組付け部は本組付け部25を構成するものでもある。なお、弾性片18は基端19を軸に環状内17側に撓み変形することで被掛合部23に対する掛合部20の掛合は解除され、両半体11の組み付けは解除される。
【0021】
次に、このように形成された化粧プレート1Aを壁面61の壁穴62から引き出された樹脂管52に取り付ける方法を
図2及び
図3に基づいて説明する。
最初に、
図2(a)及び
図3(a)に示すように、一対の半体11,11を壁穴62から引き出された樹脂管52にこれを両側から挟むようにして近接させる。このとき、弾性片18は、互いに他方の半体11の半割面12と直交する方向に突出し、また、被押圧部22の一部は貫通空間14内に突出している。この状態で、両半体11を近接させていけば、
図2(b)に示すように、弾性片18は、掛合部20が半割面12の挿入空間24内に挿入されつつ、被押圧部22は樹脂管52の外面に押圧されて、掛合部20は基端19を軸に他方の半体11の被掛合部23側に撓み変形して傾動し、鈎状の膨出部21の斜面が被掛合部23の半割面12側の角部と当接する。
【0022】
そこで、更に弾性片18を挿入空間24内に押し進めていくと、弾性片18は、
図2(c)に示すように、掛合部20の膨出部21の頂部が挿入空間24の端面すなわち被掛合部23の側端面23aに乗り上げ面当接状態となる。このとき、掛合部20は被掛合部23の側端面23aに押圧されて一部は環状内17に突出しようとし、その一方で、被押圧部22は被掛合部23との反対側から樹脂管52の外面によって押圧される。したがって、弾性片18は僅かに環状内17とは反対側に凸となって湾曲する状態に更に撓み変形する。
【0023】
その後、更に、弾性片18を押し込んでいくと、掛合部20の膨出部21の頂部は他方の半体11の被掛合部23の側端面23aを乗り越え、一方で、被押圧部22は樹脂管52の外面によって被掛合部23側に押圧されているので、弾性片18の湾曲状態の撓み変形は減少して緩やかになりつつ、掛合部20は被掛合部23の裏面側すなわち内面側に落ち込み、
図2(d)の状態になる。
図2(d)は、弾性片18の掛合部20と他方の半体11の被掛合部23との掛合が完了した状態を示す。
図3(b)は、樹脂管52に化粧プレート1Aを取り付けて壁穴62を覆い隠した状態を示す。
【0024】
この一連の組み付けにおいて、弾性片18は撓み変形して基端19を軸に傾動し、掛合部20は、
図2(c)に示す、最も環状内17まで突出した位置と、
図2(d)に示す、他方の半体11の被掛合部23に掛合した位置との間で移動する。これを
図2で示せば、掛合部20は前記両位置間を上下方向に移動することになる。そして、弾性片18の掛合部20は、一対の半体11,11の組み付け前の、弾性片18の被押圧部22が樹脂管52の外面と当接する前においては、
図2(a)に示す位置、すなわち、前述の
図2(c)に示す位置と
図2(d)に示す位置との中間に位置する。
【0025】
そして、一旦、
図2(d)に示すように掛合した後は、弾性片18の被押圧部22が樹脂管52の外面に当接していることにより、弾性片18の環状内17への撓み変形は規制され、係合部20と被掛合部23との掛合は緩むこともなく安定して維持される。
【0026】
次に、第一実施形態の化粧プレート1Aの作用を説明する。
化粧プレート1Aは、樹脂管52が環状内17に配置された状態で、弾性片18の被押圧部22が樹脂管52の外面に当接することで、弾性片18の掛合部20が環状内17側に移動するのが規制されるから、一旦一対の半体11,11を組み付けて化粧プレート1Aを樹脂管52に取り付けた後は、弾性片18の掛合部20が他方の半体11の被掛合部23との掛合が外れてしまうのが防止される。すなわち、従来は、一対の半体は、環状内17に配置されている樹脂管52によって径方向の反力が発生し外方向に押圧されるため掛合が外れ易くなるところ、本実施形態の化粧プレート1Aは、樹脂管52の外面からの前記反力を逆に利用して弾性片18の掛合部20と他方の半体11の被掛合部23との掛合を強めている。このように、一対の半体11,11の環状内17に樹脂管52が存在することにより、弾性片18の掛合部20と被掛合部23とは非常に強固に掛合し、一対の半体11,11間に隙間が生じたり両半体11の組み付けが外れてしまうのが確実に防止される。
【0027】
また、化粧プレート1Aは、単に樹脂管52を両側から一対の半体11,11で挟むだけで、弾性片18の被押圧部22は樹脂管52の外面に当接して掛合部20が被掛合部23と掛合し、一対の半体11,11が組み付けられるから、簡易な構成で化粧プレート1Aを作業性良く簡単かつ安価に樹脂管52に取り付けることができる。
【0028】
更に、弾性片18の被押圧部22は掛合部20より基端19側に設けられているから、基端部28を中心とするてこの作用により、掛合部20は被押圧部22が樹脂管52と当接して受ける押圧力より大きい力に増強されて他方の半体11の被掛合部23側に押し付けられる。このため、弾性片18の掛合部20は他方の半体11の被掛合部23により強固に掛合する。
【0029】
そして、化粧プレート1Aは、一対の半体11,11の弾性片18が、環状内17に配置される樹脂管52を挟む両側に設けられているから、化粧プレート1Aは安定して樹脂管52に取り付けられる。
【0030】
〈第二実施形態〉
次に、本発明の第二実施形態の化粧プレート1B及び環状部形成部材を
図4乃至
図8に基づいて説明する。ここで、第二実施形態の化粧プレート1Bは、壁穴62から引き出された長尺体51の周りに取り付けられるものであるのに対し、環状部形成部材は、化粧プレート1Bに限定されず、広く、内側に長尺体51が貫通する環状部32を形成する部材をいう。しかし、環状部形成部材は実質的には化粧プレート1Bと同様に構成されているので、ここでは、代表して化粧プレート1Bについて説明する。なお、第二実施形態の化粧プレート1Bは、第一実施形態の化粧プレート1Aとは、後述する、環状内17に長尺体51が配置されていない状態で一対の半体11,11を互いに仮組み付け可能な仮組付け部26、及び長尺体51に対する位置決め部33を更に備えている点において相違する。したがって、ここでは、第一実施形態の化粧プレート1Aと相違する点を中心に説明する。
【0031】
図4乃至
図6において、化粧プレート1Bは、第一実施形態の化粧プレート1Aの弾性片18及び被掛合部23を備えていることに加え、各半体11に、係合突起27と係合孔31とからなる仮組付け部26、及び係止爪34からなる位置決め部33を備えている。一対の半体11,11は、同一に形成されている、すなわち合成樹脂材等により同大、同一形状、同一構造に形成されている。この一対の半体11,11が組み付けられると、内側すなわち中央部に樹脂管52が貫通する環状部32が形成される。
【0032】
まず、仮組付け部26を構成する係合突起27は、半割面12において弾性片18の掛合部20から離間した別の箇所である外周側の部分に一体に突設されている。係合突起27は、
図4(a)、
図7(a)等に示すように、半割面12に接合されている基端部28と先端側の係合部29とからなり、係合部29は側方になだらかに膨出し、その膨出部30の先端側及び基端19側の傾斜面は緩やかに傾斜している。すなわち、本組付け部25を構成している弾性片18の掛合部20の膨出部21は側方に鈎状に膨出しているのに対し、係合突起27の膨出部30はなだらかに膨出している。係合突起27は、反対称の一対が僅かな間隔をおいて並設され、対向する半体11の半割面12に対して直交する方向に突出するとともに、基端部28を軸に側方に撓み変形可能となっている。
【0033】
半割面12において貫通空間14を挟んだ係合突起27とは反対側には、他方の半体11の係合突起27と対向する位置にその係合突起27が挿入可能な四角孔からなる係合孔31が形成されており、係合突起27の膨出部30は係合孔31に係合可能となっている。なお、係合孔31の半割面12側の周縁は、係合突起27の挿入を容易とすべく角部が面取りされている。すなわち、一対の半体11,11は、互いに係合突起27の係合部29と係合孔31とが係合して組み付けられるようになっている。これら係合突起27と係合孔31とにより構成された仮組付け部26は、一時的に半体11同士を組付け状態にするとともに、係合部29の膨出部30はなだらかに傾斜して膨出し他方の半体11の係合孔31とはその周縁角部との摩擦力により係合しているので、一対の半体11,11を左右両外方向に引張れば、係合突起27と係合孔31との係合は容易に解除できるようになっている。但し、前記係合は、容易に解除できるものではあっても、少なくとも仮組み付けにおける取り扱い時や持ち運び時などにおいて外れてしまわない係合力は備えている。
【0034】
次に、位置決め部33は、各半体11の中間部に取り付けられ、
図4に示すように、薄い金属片からなる四角枠状の係止爪34により形成され、基部35と、基部35から屈曲されて先端部が環状内17に突出する爪部36と、からなる。係止爪34の基部35は、半体11の基板15上に立設された一対の取付ブロック体37,37の取付溝38,38内に圧入して取り付けられる。係止爪34の爪部36は、
図4(a)及び
図6(b)に示すように、基部35から僅かに斜め下方に傾斜して屈曲されているとともに、環状内17側の辺39が略く字状に切欠されている。そして、爪部36の切欠された辺39は僅かに環状内17に突出して樹脂管52の外面に食い込み係止するようになっている。
【0035】
次に、このように形成された化粧プレート1Bを仮組み付けする状況を
図7に基づいて説明する。仮組み付けは、環状内17に樹脂管52が配置されていない状態で、一対の半体11,11が組み付けられる。
【0036】
最初に、
図7(a)に示すように、一対の半体11,11を、壁穴62から引き出された樹脂管52を両側から挟むようにして近接させる。このとき、弾性片18は、互いに他方の半体11の半割面12と直交する方向に突出し、被押圧部22の一部は貫通空間14内に突出している。また、係合突起27は、互いに他方の半体11の半割面12と直交する方向に突出している。この状態で、両半体11を近接させていけば、
図7(b)に示すように、弾性片18は
図7(a)と同じ姿勢で他方の半体11の被掛合部23に接近し、係合突起27の係合部29は他方の半体11の係合孔31内に挿入される。
【0037】
そこで、更に両半体11を近接させていくと、
図7(c)に示すように、弾性片18の掛合部20の膨出部21の頂部が挿入空間24の端面すなわち被掛合部23の側端面23aに乗り上げ面当接状態となり、弾性片18は基端19を軸に僅かに環状内17側に傾動する。また、一対の係合突起27,27は、係合部29が基端部28を軸に互いに近接する方向に撓みつつ係合孔31内に挿入される。
【0038】
その後、更に、両半体11を近接させて両半体11の半割面12同士が当接すると、
図7(d)に示すように、弾性片18は、掛合部20の膨出部21の頂部が他方の半体11の被掛合部23の側端面23aを乗り越え、掛合部20は被掛合部23の裏面側すなわち内面側に落ち込み、
図7(a)と同じ突出姿勢となる。また、係合突起27は、係合部29の膨出部30が係合孔31を貫通し、係合孔31と係合する。ここで、係合突起27は、係合部29の膨出部30がなだらかに傾斜して膨出しており、他方の半体11の係合孔31とはその周縁角部との摩擦力により係合する。これにより、一対の半体11,11の仮組み付けが完了する。なお、
図4(b)、
図5、
図6は、仮組み付けが完了した後の状態を表わしている。
【0039】
この後、環状内17に樹脂管52が配置されていない状態で仮組み付けされた化粧プレート1Bは、係合突起27の膨出部30が側方になだらかに膨出するものであり、また、掛合部20は被掛合部23と掛合していないので、両半体11を互いに離間する方向に引張れば、係合突起27と係合孔31との係合は容易に解除されて仮組み付けは解除され、両半体11を分離することができる。
【0040】
次に、第二実施形態の化粧プレート1Bの樹脂管52への取り付けについて説明する。
壁穴62から引き出された樹脂管52に化粧プレート1Bを取り付けるのは高所作業となることも多い。このような場合には、予め、一対の半体11,11を仮組み付けしておくと作業し易い。そこで、最初に、一対の半体11,11を仮組付け部26により仮組み付けする。次に、仮組み付けした化粧プレート1Bを高所等の取付現場まで持ち込んだら、一旦仮組み付けされた一対の半体11,11を両方に引張って分離させ仮組み付けを解除する。以降は、第一実施形態と同様にして、樹脂管52を両側から挟むようにして一対の半体11,11を近接させ、弾性片18の掛合部20と被掛合部23とで構成された本組付け部25により一対の半体11,11を組み付け、樹脂管52に化粧プレート1Bを取り付ける。
【0041】
化粧プレート1Bを樹脂管52に取り付けた後は、本組付け部25において、弾性片18の被押圧部22が樹脂管52の外面に当接しているから、弾性片18の環状内17への撓み変形は規制され、弾性片18の掛合部20と被掛合部23とは非常に強固に掛合し、その掛合は安定して維持される。更に、本組み付けによる弾性片18の掛合部20と被掛合部23との掛合に加え、係合突起27と係合孔31とが係合することによっても組み付けられる。但し、実質的には、化粧プレート1Bは本組付け部25によって組み付けられる。
【0042】
次に、位置決め部33の作用について説明する。
位置決め部33は、基部35と、基部35から屈曲されて環状内17に突出する爪部36と、からなる係止爪34で形成されているので、化粧プレート1Bを樹脂管52に組み付けると、爪部36の先端部が樹脂管52の外面に食い込んで係止する。また、爪部36は、基部35から僅かに斜め下方に屈曲しているので、樹脂管52の外面に係止した状態で、樹脂管52の長手方向に沿ってその一側には移動可能であるが、他側には移動が規制される。
【0043】
すなわち、
図8に示すように、係止爪34の爪部36の先端部は樹脂管52の外面に僅かに食い込むとともに、爪部36は基部35から
図8の左方向に屈曲した状態で取り付けられる。このため、化粧プレート1Bは、
図8の二点鎖線で示す右方向には比較的抵抗は少なく移動可能であるが、
図8の実線で示す左方向に移動させようとしたときには、爪部36が撓むことによる反力が生じ、大きな抵抗を受けるので、移動不能または移動困難となる。なお、化粧プレート1Bは、樹脂管52に対して
図8の右方向には移動可能であるが、壁面61によってその移動は阻止される。したがって、化粧プレート1Bを樹脂管52に取り付けた際、壁面61との間に隙間が生じている場合は、化粧プレート1Bを壁面61側に移動させて外枠壁16と密接させることができる。これにより、化粧プレート1Bは、壁面61と密接した状態で樹脂管52の一定位置に固定することができる。その結果、例えば、化粧プレート1Bを天井の壁面61の壁穴62に取り付けた場合は、化粧プレート1Bが自重で樹脂管52に沿って落下するのを防止することもできる。
【0044】
ここで、各半体11の基板15には半割面12と平行する円の弦となる部分に、直線状の細溝からなる折取り溝40が設けられており、折取り溝40の部分は薄肉になっていて手で折り取り可能となっている。折取り溝40は樹脂管52が貫通する壁穴62が壁際に設けられていて化粧プレート1Bを取付けるスペースが小さいために一部が壁面61と干渉して取り付けることができないときに利用され、基板15を折取り溝40で折り取ることによって、
図9に示すように、化粧プレート1Bを取り付けることができる。
【0045】
次に、第二実施形態の化粧プレート1Bの作用を説明する。
第二実施形態の化粧プレート1Bは、各半体11が弾性片18及び被掛合部23を備えているので、第一実施形態の化粧プレート1Bと同様に作用する。加えて、第二実施形態の化粧プレート1Bは、一対の半体11,11が係合突起27と係合孔31とからなる仮組付け部26を有するので、取付現場が高所にある場合などで、本組み付けまでの間、仮組み付け状態にして取り扱い、持ち運びすることができる。このため、分離した2個の半体11を持ち運ぶより取り扱い易く、作業性が向上する。また、持ち運び中に半体11を落下させることも少なくなり、運搬中や取り扱い中あるいは保管中に半体11を紛失することも少なくなる。
【0046】
そして、第二実施形態の化粧プレート1Bは、樹脂管52に対して自身の位置を定める位置決め部33を有するから、化粧プレート1Bが壁穴62から離間するのを防止して壁穴62が露出するのを確実に防止でき、壁穴62周辺の外観を良好に保つことができる。
【0047】
ところで、上記各実施形態の化粧プレートでは、一対の半体11,11は、互いに同一のものであるが、互いに異なるものとしてもよい。例えば、化粧プレート1Bは、弾性片18及び被掛合部23、並びに係合突起27及び係合孔31は、いずれも両半体11それぞれに設けられているが、
図10に示すように、一方の半体11に、2つの弾性片18及び2対の係合突起27を設け、他方の半体11に、弾性片18の掛合部20と掛合する被掛合部23、及び係合突起27と係合する係合孔31をそれぞれ2つ設けたものとしてもよい。
【0048】
また、上記各実施形態の化粧プレートでは、一対の半体11,11は、互いに分離したものであるが、
図11に示すように、半体11の半割面12の一端同士をヒンジ41で連結した構造のものとすることもできる。この場合、本組付け部25を構成する弾性片18及びこれと掛合する被掛合部23は、
図11(a)に示すように、各半体11に1つずつ設けてもよいし、
図11(b)に示すように、いずれか一方の半体11のみに弾性片18を設け、他方の半体11のみに被掛合部23を設けてもよい。
【0049】
このヒンジ41構造の場合、一対の半体11,11はヒンジ41で連結され一体化されているので、係合突起27及びこれと係合する係合孔31からなる仮組付け部26は不要とすることができるが、この仮組付け部26も併せて設けてもよい。
【0050】
更に、第二実施形態の仮組付け部26は、係合突起27が、なだらかな膨出部30を有し、その膨出部30と他方の半体11の係合孔31の周縁角部との摩擦力により係合孔31と係合しているが、必ずしもこれに限られるものではなく、係合突起27の係合部29を鈎状に形成し、係合孔31との係合後、一対の半体11,11を左右両外方向に強く引張ることによって係合を解除させて分離させるものとすることを妨げるものではない。
【0051】
加えて、第二実施形態の位置決め部33は、係止爪34で形成されて樹脂管52の外面に係止するものとしているが、これに限られるものではなく、単に摩擦力によって樹脂管52の外面に係止するものとしてもよく、また、弾性片18の被押圧部22が位置決め部33を兼ねるものとしてもよい。後者の場合では、化粧プレート1Bは、例えば、被押圧部22が、被掛合部23の側端面23aと樹脂管52の外面との間でくさびとなって樹脂管52の外面に圧接したり、長尺体51が吊りボルトである場合にはその外面のねじ溝内に掛合するなどによって、樹脂管52の一定位置に係止されるようにすることが考えられる。
【0052】
なお、第二実施形態において、位置決め部33は、必ずしも設けることを要しない。一方で、第一実施形態では、位置決め部33は、化粧プレート1Aに設けられてはいないが、この化粧プレート1Aにも設けてもよい。
【0053】
同様に、上記第二実施形態における壁際に化粧プレート1Bを設置するための折取り溝40は、必ずしも設けることを要しない。一方で、折取り溝40は、第一実施形態の化粧プレート1Aにも設けてもよい。
【0054】
加えて、上記各実施形態の化粧プレートは、環状部32が円形であるドーナツ形状に形成されているが、この形状に限られるものではなく、環状部32を長尺体51や壁穴62周辺の状況等に対応させて四角形状、六角形状等の多角形状や楕円形状などに形成してもよい。
【0055】
ところで、上記第一、第二実施形態では、化粧プレートについて説明しているが、本発明は、更に広く長尺体51が貫通する環状部32を形成する環状部形成部材としても適用できるものである。環状部形成部材としては、化粧プレートの他、化粧目的でない蓋などの閉塞部材であって長尺体51の貫通孔を有するものや、長尺体51を両側から挟んで所定位置に固定するもの等を挙げることもでき、例えば、長尺体51が貫通する壁穴62内に充填した洩れ防止用のコーキング剤が壁穴62から落下するのを防止するための壁穴62を閉塞する蓋を挙げることができる。
【0056】
更に、上記各実施形態では、長尺体51として、塩化ビニル等からなる外面平滑な中空筒体からなる樹脂管52を例示しているが、本発明が適用される長尺体51としては、他に、合成樹脂製の波付管、金属管、保護ダクト等の中空筒体を挙げることができ、また、ケーブル、吊りボルトなど、各種の長尺体を挙げることができる。