(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1および第2の撓み要素のそれぞれが、第1および第2のエンドプレート基部壁のうちの対応するものの基部壁貫通穴内に環状撓みボスが締り嵌めで設置されるように環状撓みボスの外径の寸法決めがなされ、それぞれのチューブスタブの外径が、第1または第2の撓み要素のうちのひとつの対応する撓み貫通穴に契合するように形成されている、請求項1に記載の、固体酸化物燃料電池。
第1のエンドプレート基部壁、第2のエンドプレート基部壁、第1の撓み要素および第2の撓み要素のそれぞれが、同一の高温低クロム合金材料を含むものである、および/または、燃料ロッドがセラミック電解質を含むものである、請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
請求項1に記載の固体酸化物燃料電池の燃料ロッド組立体であって、第1のエンドプレート基部壁および第2のエンドプレート基部壁のそれぞれ、および第1のおよび第2の撓み要素のそれぞれが、ニッケル銅合金から形成されている前記燃料ロッド組立体。
撓み組立体が、撓みボスを囲む環状外上壁をさらに含み、該環状外上壁は上壁を取り囲み、エンドプレートと対合して撓み組立体が穴を通りぬけることを防止する表面を形成するものである、請求項9に記載の、固体酸化物燃料電池。
ニッケル銅合金が、63%以上のニッケル、28〜34%の銅、2.5%以下の鉄、および2%以下のマンガンを含み、13.9ミクロン毎メートル毎ケルビンの線熱膨張係数を有する、請求項5に記載の固体酸化物燃料電池。
複数の燃料ロッドのぞれぞれの気体入力端における第1のエンドプレート基部壁と、前記複数の燃料ロッドのそれぞれの気体出力端における第2のエンドプレート基部壁との間に、前記複数の燃料ロッドを支持することであって、ここで、各燃料ロッドは、中空の縦方向ロッド導管路を囲む外壁を含み、ここで、前記ロッド導管路は気体入力端と気体出力端とを有すること、
前記気体入力端において各燃料ロッドの外壁に取り付けられた第1のエンドキャップを設けることであって、ここで、各第1のエンドキャップは、前記ロッド導管路と流体連通する縦方向気体導管路を含むこと、
前記気体出力端において各燃料ロッドの外壁に取り付けられた第2のエンドキャップを設けることであって、ここで、各第2のエンドキャップは、前記ロッド導管路と流体連通する縦方向気体導管路を含むこと、
第1の係合方法で、第1の環状撓み要素を通して、各第1のエンドキャップを第1のエンドプレート基部壁と係合させることであって、ここで、前記第1の係合方法は、500℃から1000℃の動作温度範囲にわたって燃料ロッドと第1の基部プレートとの間に実質的に液密/気密シールを形成すること、
第2の係合方法で、第2の環状撓み要素を通して各第2のエンドキャップを第2のエンドプレート基部壁と係合させることであって、ここで、前記第2の係合方法は、500℃から1000℃の動作温度範囲にわたって第2の基部プレートに対して前記第2のエンドキャップの縦方向移動を許容すること、
を含む、方法。
各第1のエンドキャップを第1のエンドプレート基部壁から電気的に隔離するとともに、各第2のエンドキャップを第2のエンドプレート基部壁から電気的に隔離するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【背景技術】
【0004】
1.2 関連する技術
燃料電池は、電気化学プロセスによって電力を発生させるのに使用される。電力を発生させる構成要素は、一般に「セル」と呼ばれる。個々の電池の電圧が比較的に低いので、所望の動作電圧を有する装置に電力を供給するために、複数のセルを、並列または直列に、接続することがしばしば必要である。そのような電池のアレイは、一般に、「スタック」または「バンドル」と呼ばれる。
【0005】
個体酸化物形燃料電池(SOFCs)は、特に有用なタイプの燃料電池であり、その理由は、それらが、純粋水素を含むが、プロパン、ガソリン、ディーゼル、灯油(JP−8軍用燃料(JP-8 military fuel))、およびその他のバイオ燃料などの炭化水素燃料も含む、多数の燃料で動作することができるからである。SOFCsは、セラミック電解質を使用して、酸素イオンがこの電解質を横切るときに電流を発生させる。しかしながら、SOFCsの1つの欠点は、燃料を処理するのに、燃料電池を高温(例えば、500℃より高い)で動作させる必要性にある。高温動作は、熱クリープおよび腐食に対する感受性の増大を含む、様々な問題につながり、このことから、燃料電池スタック、燃料電池スタックを支持する構造要素、および様々な気体シールなどの構成要素に対して、熱耐性のある材料(例えば、セラミックス、インコネル(Inconel)、およびその他の高温金属合金)を選択する必要が生じる。
【0006】
次に
図1Aおよび1Bを参照すると、例示的な従来型SOFCスタック(100)は、カップ形の対向するエンドプレート(110)を備え、複数の電解質ロッド(150)が対向するエンドプレートの間に支持されている。各ロッドは、ニッケル酸化物などで形成された、セラミック電極を備え、各ロッドは、複数のロッドを備える燃料電池スタック(100)において単一の燃料電池として作用する。各ロッド(150)は、外壁(154)に包囲された中空
導管路(152)を含み、この
導管路は、対向する開口端(156)を有する。各
導管路は、入力端から出力端まで気体燃料または蒸発燃料を移送する。各ロッドの外部表面(158)は、カソード材料で被覆されており、各ロッドの内部表面(159)はアノード材料で被覆されている。1つの例示的な従来型SOFC装置が、共通に譲渡された米国特許出願第12/367168号、現在では、本明細書にその全文が参照により組み入れられている、2009年2月6日付けで出願された、「Solid oxide fuel cell system with hot zones having improved reactant distribution」という名称の、Poshustaらへの米国特許第8304122号に開示されている。
【0007】
燃料は、酸化剤が(例えば、ファン、ブロワ(blower)、自然対流、その他によって)外側表面(158)の上に流されるときに、中空
導管路(152)のそれぞれを通して同時に流される。
【0008】
代替的に、従来型固体酸化物形燃料電池は、セルの内部へのカソード被覆(159)と、セルの外部へのアノード被覆(158)とで製作される。これらのセルは、燃料が外側表面の上を通過する間に、ロッドの内部を通して流れる酸化剤で動作する。
【0009】
動作において、ロッドは、(例えば、
導管路を通って)アノード(152)の上を流れる燃料、およびカソード(158)(例えば、ロッドの外表面)の上を通過した酸化剤と、電気化学的に反応する。電気化学反応は、各ロッドの縦方向表面に沿った電流の流れを発生させる。それぞれのロッドにおいて発生した電流の流れを燃料電池の外に配送するために必要とされるので、ロッドのそれぞれは、第1端においてアノード端子に、対向端(図示せず)においてカソード端子に接続されている。
【0010】
いくつかの従来型SOFCシステムにおいては、所望の電気化学的反応を開始させるために、ロッドへ配送されているのと同じ燃料を燃やす、電気ヒータまたはバーナーが配置されて、最初に、ロッドを大気温度から650〜1000℃の動作温度範囲へと加熱する。電気化学的反応が発熱性であり、その後の反応を起動して維持するのに十分な熱を生成するので、その後に、ヒータまたはバーナーは、必要でないこともある。
【0011】
従来型SOFCシステムにおいては、ロッドは、対向するエンドプレート(110)の間に捕捉されており、エンドプレートは、バンドル内でロッドが互いに平行に配向されるように、ロッドを動作位置に支持する。エンドプレートはまた、エンドプレート間の円筒形体積を囲いこむ、円筒形カソードチャンバ缶のエンドプレートとして機能する、入力マニホルドおよび出力マニホルドとしての役割も果たす。さらに、フィード缶(図示せず)が、ロッドスタックの入口側に配置されており、入力エンドプレートは、フィード缶とカソードチャンバの間のマニホルドとして作用し、燃料がカソードチャンバに進入するのを防止する。特に、入力エンドプレートは、燃料を各ロッドの中空部分を通して誘導し、そこで燃料は、ロッドの内側表面(159)上に配置された、アノード材料と反応する。一方で、酸化剤は、カソードチャンバロッドを通して流れ、そこで、酸化剤は、ロッドの外側表面(158)上に配置されたカソード材料と反応する。
【0012】
したがって、酸化剤がカソード缶から脱出するのを防止するとともに、燃料がカソード缶に進入するのを防止するために、各ロッド/エンドプレート界面において流れ缶をシールする必要がある。エンドプレート(110)は、各燃料電池ロッドから適当な電気端子へ電流を導く(例えば、接続された電気負荷に給電する)役割も果たす。特に、対向するエンドプレート(110)は、それぞれ、アノード導体およびカソード導体を備える。さらに、各ロッドのアノードとカソードとを直列に電気的に接続するのが望ましく、そのため、各ロッド端とエンドプレートの間の界面において、ロッド外側表面をロッド内側表面から電気的に隔離することがさらに必要である。したがって、ロッドアノード表面とロッドカソード表面の間の電気的な短絡を防止するために、ロッド/エンドプレート界面を電気的に隔離する必要がある。
【0013】
従来型SOFC設計についての1つの問題は、システムが定常状態動作温度(例えば、650〜1000℃)に達した後に、ロッド/エンドプレート界面で発達する気体漏洩なしに、セラミックロッド(150)を金属エンドプレート(110)に取り付けるのが難しいことである。このことは、金属エンドプレートとセラミックロッドが、異なる熱膨張特性を有し、したがって、温度上昇とともに、異なる速度で膨張するからである。この不均一熱膨張は、ロッドとエンドプレートの間の界面において発達する間隙につながり、特にシステムがその動作温度に達した後に、気体漏洩を引き起こす。
【0014】
ロッド/プレート界面についての別の問題は、関係する応力が材料の降伏強度より低い場合でも、長期の高温動作の後に発生する可能性のある、熱クリープの結果として、材料が時間とともに永久的に変形する傾向にあることである。熱クリープは、長期にわたり高温環境に露出される材料において、特に過酷である。さらに、セラミックロッドおよび金属エンドプレートは、異なるクリープ特性を有する。従来型ロッド/エンドプレート界面の例において、金属エンドプレート(110)は、動作温度において、セラミックロッドよりも永久的に変形し易く、その理由は、金属エンドプレートにおけるクリープは、セラミックロッドにおけるクリープよりも低い温度で発生するためである。
【0015】
従来型SOFCについての別の問題は、酸化剤に常時、露出される結果として、高温動作が金属エンドプレートの過剰な酸化につながることである。長期の使用にわたって、酸化の蓄積は、エンドプレート間にわたる電気伝導性を劣化させて、さらなる気体漏洩につながることがある。
【0016】
ロッド/エンドプレート界面の問題は、従来型SOFC燃料電池においては、Aremco社のCeramabond(登録商標)552および668などのような高温セラミックポッティング材料を使用して、ロッドを所定位置にポッティングすることによって対処されてきた。より具体的には、各エンドプレート(110)は、円形基部壁(111)と、対向するエンドプレートに向かって延びる環状側壁(112)とを有する、カップ形に形成されている。各基部壁(111)は、複数の貫通穴(115)を含み、各貫通穴は、それを通してロッド端を受け入れるように寸法決めされている。すなわち、ロッド(150)は、各端においてわずかな突起を有して、基部壁(111)を通して設置されており、環状側壁の高さは約0.1〜0.2インチである。従来から、ロッド端は、エンドプレートを通過する穴に対して隙間嵌めされている。
【0017】
設置されたロッド端を備えるエンドプレートは、液体セラミックポッティング材料(160)で充填され、次いで、これが硬化される。別の態様においては、各エンドプレートには、各ロッドの外径に適合するとともに、環状側壁と対合する、円形セラミックプレートを含めて、液体セラミックポッティング材料がエンドプレートと円形セラミックプレートの間に注入され、硬化されてシールを生成するようにしてもよい。硬化されたポッティング材料(160)は、ロッドと基部壁の間のすべての間隙をシールして、各ロッドを所望の動作位置に支持する。すなわち、ポッティング材料(160)は、セラミックロッドの各端を約0.1から0.2インチの長さにわたってシールすることによって、金属エンドプレートにおける膨張とクリープに関連する問題を克服する。
【0018】
ロッドを所定位置にポッティングする上での1つの問題は、エンドプレートをポッティングする労働のコストと、ポッティング材料のコストである。
【0019】
ロッドを所定位置にポッティングする上での第2の問題は、硬化されたポッティング材料は、非常に剛性が高く、またニッケル酸化物などの脆く、不撓性のセラミック材料で製作されているロッドは、ロッド組立体をそのハウジング中に挿入する間に、ロッド組立体が曲げられたり、捩じられたりするときに壊れたり、亀裂を生じる可能性があることである。ロッドに亀裂が生じると、燃料漏洩を生ずることになる。さらに、ポッティングによって、エンドプレートをロッドに永久的に取り付けることから、1つのロッドだけに亀裂が生じた場合でも、ロッド組立体全体が使用不能となり、交換しなければならない。
【0020】
各ロッドの端をポッティングする上での第3の問題は、ポッティングされた端が、電気化学的反応に参加しないことであり、これによって、各ロッドの有効長さが減少する。このことは、ロッド組立体の各ロッドの電流生成能力の全体的な低下につながる。
【0021】
したがって、ロッド端とエンドプレートの間の強固で頑強な機械的接続、および組立ておよび取扱い中にロッドにかけられる曲げ力および捩り力によるロッド損傷を受け難い機械的接続、を確保するSOFCエンドプレートシールが必要とされている。一方で、動作温度において(例えば、650〜1000℃の間、例えば、約750℃において)、ロッド/エンドプレート界面を確実に気体シールして、アノード表面とカソード表面の間の電気的短絡を防止するとともに、各ロッド端において良好な電気端子接触を与えて、各ロッドにおいて生成された電流を完全に利用することがさらに必要である。さらに、金属エンドプレートとセラミックロッド端に関連する異なる熱クリープによって引き起こされるか、および/または過剰な酸化によって引き起こされるなど、長期の使用の後に、気体漏洩が発生することを避ける必要がある。さらに、望ましいエンドプレートシールは、コストを低減するとともに、個々のロッドの分解および再組立を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の特徴は、本発明の詳細な説明、および例証の目的で選択されて添付の図面に示された、その例示的態様から、最もよく理解されるであろう。
【
図1A】
図1Aは、例示的な従来型SOFCロッド組立体の等角図である。
【
図1C】
図1Cは、例示的な従来型SOFCスタックのエンドプレートおよびロッドの分解等角図である。
【
図2】
図2は、例示的な従来型のロッド/エンドプレート界面の横断面図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明による例示的ロッド組立体の等角側正面図である。
【
図3B】
図3Bは、例示的なロッド組立体の等角横断面詳細図と、本発明による第1の例示的なエンドプレート/ロッド界面の分解等角横断面詳細図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明により形成された、例示的なエンドプレートの等角横断面図である。
【
図4】
図4は、本発明による第2の例示的なロッド/エンドプレート界面の切欠き断面図である。
【
図5A-5D】
図5A―5Dは、本発明によるロッド端を受け入れるための環状撓み部プロフィールを含む、例示的なエンドプレート穴構造の横断面図である。
【
図6】
図6は、本発明による、第3の例示的なロッド/エンドプレート界面の側面横断面図である。
【0032】
【
図7A】
図7Aは、本発明による、第4の例示的なロッド/エンドプレート界面の側面横断面図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明による例示的な2部品環状撓み部およびロッド端構成の側面断面図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明による第5の例示的なロッド端界面の等角断面図である。
【
図8B】
図8Bは、本発明による第5の例示的なロッド端界面の等角断面図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明による第6の例示的なロッド端界面の正面断面図である。
【
図9B】
図9Bは、本発明による第7の例示的なロッド端界面の正面断面図である。
【
図11A】
図11Aは、本発明による2部品エンドプレートの例示的な態様を示す図である。
【
図11B】
図11Bは、本発明による2部品エンドプレートの例示的な態様を示す図である。
【
図12A-12C】
図12A、12B、および12Cは、本発明による、ロッド/エンドプレート界面に関連する環状撓み部を含む、エンドプレートの例示的な態様を示す図である。
【
図13】
図13は、例示的なロッド組立体の等角横断面詳細図と、本発明による例示的なエンドプレート/ロッド界面の分解等角横断面詳細図である。
【0033】
発明の実施態様の説明
1.3 概要
本発明の一態様において、SOFCスタックは、ロッド端をその中に受け入れるための複数の貫通穴がそれを貫通して形成された、少なくとも1つのエンドプレートを含む。様々な態様において、各貫通穴は、ロッド端をその中に受け入れるための環状撓み部を含むように形成される。環状撓み部は、ロッド端と係合して、ロッド端をエンドプレートに機械的に固定するとともに、気密/液密シールを用いてロッド端と係合するのに適した機械的な界面をもたらす。各ロッドの第2の端は、好ましくは、各ロッド端の第2の端をその中に受け入れるための、それを貫通する複数の貫通穴が形成された、第2のエンドプレートと界面接続されている。第2のエンドプレートの各貫通穴は、第2のロッド端をその中に受け入れるための環状撓み部を含むように形成される。第2のロッド端は、好ましくは、それと界面接続されている環状撓み部に対して縦方向に移動可能であり、熱膨張によるロッド長さの伸びを許容する。
【0034】
以下に記述される、いくつかの非限定の例示的な態様において、貫通穴と関連する各環状撓み部は、エンドプレートと一体に形成されている。別の非限定の例示的な態様において、ロッド端が、撓みプレートによって形成された環状撓み部中に受け入れられるとともに、撓みプレートと主エンドプレートとが互いに結合されるように、各エンドプレートは、主エンドプレートの貫通穴と位置合わせされた環状撓み部を含む、別個の撓みプレートと対合する。さらなる非限定の例示態様においては、各貫通穴は、貫通穴と対合するように形成された撓みインサートと対合し、撓みインサートは、それを通してロッド端を受け入れる貫通穴と、ロッド端と係合し、エンドプレートに対するロッド端の移動を可能にする、撓み要素とを含む。
【0035】
以下に記述する態様のそれぞれにおいて、ロッド端は、ロッド端を環状撓み部の貫通穴に係合させることによって、環状撓み部の中に組み付けられる。好ましくは、各態様において、環状撓み部は、対合部品のいずれをも加熱することなしに、ロッド端の環状撓み部との組立てを可能にするように構成されている。第1の態様において、各環状撓み部は、ロッド端と環状撓み部の間に締り嵌めをもたらすように構成されている。特に、この組立方法は、燃料成分がロッド端に進入するとともに、気体入力側において主エンドプレートを通過するのが防止されることを確実にするために、液体/気体シールが好ましい、ロッド入力端において使用される。さらに、締り嵌めは、ロッド端と環状撓み部を弾性変形させ、この変形は、ロッド端を所定位置に保持し、同時に、大気温度だけでなく、所望の動作温度(例えば、500℃から1000℃の範囲)において、気密/液密シールを生成する、機械的な保持力を発生させる。
【0036】
すなわち、本発明の環状撓み部は、ロッド端のポッティングを不要にし、それによって、組立労働を低減し、信頼性を向上させ、また清浄化および/または交換のためのロッドの取り外しを可能にする。好ましくは、本発明の環状撓み部は、SOFCの動作温度における広範囲の熱サイクルおよび長期間の後でも、熱クリープに関連する気体漏洩が防止され、およびクリープに対する耐性がある、十分に緊密な締り嵌めを備えて構成される。代替的な一態様においては、ロッド端は、入力端において環状撓み部にろう付けされて、所望の機械的な保持力および液体/気体シールをもたらす。
【0037】
本発明のさらに別の態様において、SOFCスタックは、2つのエンドプレートを含み、それぞれが、ロッド端を受け入れるための貫通穴を含むとともに、それぞれに、各ロッドの両端が環状撓み部と係合されるように、環状撓み部が形成されるか、またはそれと界面接続されている。しかしながら、1つのロッド端、例えば燃料入力端だけが、機械的に保持されて、環状撓み部との界面において液体/気体シールされている。反対端または気体出力端において、ロッド端は、第2のエンドプレートと界面接続しており、このエンドプレートは、好ましくは、環状撓み部を含むが、SOFCの全動作温度範囲にわたり環状撓み部に対して、ロッド端の縦方向移動を許容する。すなわち、各ロッド端は、環状撓み部によって所定位置に保持され、この環状撓み部は、ロッドに無理に応力を与えることなく、組立および取扱い中のロッド端の捩じり、曲げおよび横移動を吸収するように撓む。
【0038】
本発明の別の観点において、SOFCスタックを組み立てる方法は、複数の燃料電池ロッドの第1のロッド端を、第1のエンドプレートの貫通穴中に組み付けることを含み、各貫通穴は環状撓み部として形成され、ロッド端が環状撓み部中に挿入されるときに、環状撓み部がロッドと機械的に係合して、液密/気密シールをもたらすようにされている。
【0039】
本発明のさらに別の観点においては、SOFCスタックを組み立てる方法は、
複数の燃料電池ロッドの第2の端を、第2のエンドプレートを貫通して形成された貫通穴中に組み付けることを含み、各貫通穴は、環状撓み部として構成されるとともに、第2のロッド端が環状撓み部中に挿入されるときに、環状撓み部は、気密/液密シールをもたらすように、第2のロッド端と機械的に係合する。
【0040】
本発明のさらに別の観点において、SOFCスタックを組み立てる方法は、複数の燃料電池ロッドの第2の端を、第2のエンドプレートを貫通して形成された貫通穴中に組み付けることを含み、各貫通穴は環状撓み部として構成されているとともに、第2のロッド端が環状撓み部中に挿入されるときに、第2のロッド端は、環状撓み部に対して縦方向に移動可能である。
【0041】
本発明のさらに別の観点において、各環状撓み部は、ロッド端に対して有害な損傷を引き起こすことなく、ロッド端からの分解用に構成される。すなわち、本発明は、SOFCスタックを組み立て、次いで、SOFCスタックを分解して、1つまたは2つ以上のロッドを取り外し、任意選択で、取り外したロッドをその他のロッドまたは同じロッドと(例えば、清浄化の後に)交換する方法を含む。好ましくは、本発明の環状撓み構成は、ポッティング材料、シール要素、または接着剤を塗布および除去することなしに、ロッドの組立ておよび分解を可能にする。すなわち本発明のSOFCスタックは、ロッドが交換または再使用できるように構成されるとともに、ロッドを取り外し、清浄化して、かつ再設置できるように構成される。
【0042】
本発明の一態様において、SOFCスタックには、環状撓み部によって発生する締付け力または保持力によって、組み立てられたロッド端およびエンドプレートが所定位置に保持されることを可能にするように形成された、ロッド端/環状撓み部構成が設けられており、環状撓み部の可撓性によって、ロッドを破壊または亀裂発生させることなく、組立体の曲げおよび捩じりが可能になる。より具体的には、本発明のロッド端および環状撓み部は、ロッドの機械的変形を実質的に回避または最小化するために、加えられた機械的応力に関連する実質的にすべての材料変形が環状撓み部へ伝達されるように、ロッドに加えられた機械的応力を、環状撓み部に伝達するように構成されている。
【0043】
1.4 項目番号リスト
以下の項目番号を、特に断らない限り、全体を通して使用する。
【表1-1】
【表1-2】
【0044】
【表1-1】
【0045】
【表1-2】
【0046】
【表1-3】
【0047】
1.5 例示的システムアーキテクチャ
次に
図3A〜4を参照すると、本発明の第1の非限定の例示態様は、それを通してSOFCロッド端(251)を受け入れるように位置決めされた複数の貫通穴(215)をそれぞれ含む、一対の対向するディスク形エンドプレート(210)を含む、SOFCスタック(200)を備え、各貫通穴は、以下に述べる環状撓み部と関連付けられている。各エンドプレートは、酸化およびその他の熱触媒化学反応を起こし難いが、環状撓み部として作用するか、または環状撓み部を支持するのに適した弾性変形特性および剛性特性も有し、またSOFC動作温度において低い熱クリープももたらす材料を含む、ディスク形基部壁(211)を備える。好ましくは、エンドプレートは、クロムを含有しない高温合金を含み、クロムがないことによって、カソードの被毒の可能性が無くなる。本例示態様においては、モネル(Monel)400などのニッケル銅合金が特に好ましく、それは、一例においては、63%以上のニッケル、28〜34%の銅、2.5%以下の鉄、および2%以下のマンガンを含み、13.9ミクロン毎メートル毎ケルビン(microns per meter per Kelvin)の線熱膨張係数を有する。
【0048】
エンドプレート貫通穴(215)のそれぞれは、エンドプレートを貫通して延びるとともに、貫通穴を包囲する環状撓み部(220)を含む。本態様(200)においては、環状撓み部は、
図3Bおよび3Cに示されるように、エンドプレートと一体的に形成されている。環状撓み部(220)は、エンドプレート基部壁(211)から実質的に直交して延びる環状壁を備える撓みボス(213)と、撓みボスからエンドプレート基部壁(211)と実質的に平行に延びる環状上壁(214)とを含み、環状上壁(214)は、エンドプレート基部壁(211)の機械的剛性と比較して、またロッド(250a、250b)の機械的剛性と比較して低い機械的剛性を有する、可撓性部分を含み、それによって、可撓性部分(214)が、ロッドまたはエンドプレート基部壁に付与された曲げ力または捩り力に応じて弾性変形して、ロッドの永久的変形または破損を防止する。さらに、環状撓み部(220)は、環状上壁(214)から実質的に直交して延びるスリーブ壁(216)を含む。
【0049】
スリーブ壁(216)は、エンドプレート貫通穴(215)の境界を定め、ロッド端と係合する。特に、液体/気体シールが望ましい場合に、スリーブ壁とロッド端とは、ロッド端外部直径とスリーブ壁(216)の内部直径との間の締り嵌めをもたらすように構成されている。代替的に、液体/気体シールを、ロッド端外部直径とスリーブ壁(216)の内部直径との間のろう付け接合によって設けてもよい。好ましくは、スリーブ壁(216)の内部直径は、ロッド端を受け入れる端における大径から、ロッド端が、所望の係合長においてスリーブ壁と係合される端における小径へと、テーパがつけられている。特に、スリーブ壁は、その中にロッド端を受け入れるための、ロッドの外径よりも大きい初期直径を有するとともに、ロッド端をその中に捕捉するための、ロッド端の外径よりも小さい小径へと、テーパがつけられている。代替的または追加的に、ロッド端直径にテーパをつけて、ロッド端がスリーブ壁(216)中に挿入される一端において隙間嵌めをさせて、ロッド端が所望の係合深さまでスリーブ壁と係合するときに、他端において締り嵌めをさせてもよい。
【0050】
ロッド(250)のそれぞれは、内壁表面(259)と外壁表面(258)とを有する、環状チューブ壁を含む。内壁表面(259)は、端から端までロッドの全縦方向長さを縦方向に貫通する、中空空洞または
導管路(252)の境界を定める。ロッド(250)の内部表面(259)は、例えば、中空空洞を通過する燃料に露出されるアノード材料層によってロッドの内側表面を被覆することによって形成してもよい、アノード領域を含む。ロッドの外部表面(258)は、例えば、外部表面を横切って流れる酸化剤に露出されるカソード材料層によってロッドの外側表面を被覆することによって形成してもよい、カソード領域を含む。いくつかの態様においては、カソード領域およびアノード領域は、それぞれ、実質的に内部ロッド表面全体および外部ロッド表面全体を含む。さらなる代替的態様において、SOFCロッドは、ロッドの内部表面上のカソード領域、およびロッドの外部上のアノード領域が構成されている。これらのロッドの内部は酸化剤に露出され、これに対して、外部は燃料に露出される。
【0051】
本発明の特定の例示態様においては、燃料は、ロッド入力端において各ロッド中に配送されて、ロッド出力端において各ロッドを出て、
導管路の内側表面上のアノード層と反応する。当業者には理解されるように、ロッド入力端とエンドプレートとの間の界面を液体/気体シールして、燃料成分が、各ロッドの内部の中空
導管路を通過する以外に、エンドプレートを通過するのを防止することが望ましい。逆に、液体/気体シールは、ロッド出力端において必要ではないが、いくつかの態様において望ましいことがある。その代りに、ロッド出力端が、エンドプレートに対して、またはロッド出力端を支持する環状撓み部に対して、縦方向に移動することを許容するのが好ましいことがある。特に、出力端における縦方向移動は、ロッドに縦方向応力を誘発することなく、ロッド温度が上昇するとともに、ロッドの縦方向長さが伸びることを許容する。いくぶんかのロッド長さの伸びは、環状撓み部および/またはエンドプレートの変形によって吸収することができるが、好ましい態様においては、ロッド出力端と、エンドプレートを通過するか、環状撓み部を通過するかにかかわらず、ロッド出力端を受け入れる貫通穴との界面が、貫通穴に対するロッド端の移動を許容するのに十分な公差を有する、わずかな隙間嵌めをもたらす。
【0052】
ロッド(250)のそれぞれは、内壁表面(259)と外壁表面(258)とを有する、環状チューブ壁を含む。内壁表面(259)は、端から端までロッドの全縦方向長さを縦方向に貫通する、中空空洞または導管(252)の境界を定める。ロッド(250)の内部表面(259)は、例えば、中空空洞を通過する燃料に露出されるアノード材料層によってロッドの内側表面を被覆することによって形成してもよい、アノード領域を含む。ロッドの外部表面(258)は、例えば、外部表面を横切って流れる酸化剤に露出されるカソード材料層によってロッドの外側表面を被覆することによって形成してもよい、カソード領域を含む。いくつかの態様においては、カソード領域およびアノード領域は、それぞれ、実質的に内部ロッド表面全体および外部ロッド表面全体を含む。さらなる代替的態様において、SOFCロッドは、ロッドの内部表面上のカソード領域、およびロッドの外部上のアノード領域が構成されている。これらのロッドの内部は酸化剤に露出され、これに対して、外部は燃料に露出される。
【0053】
ロッド(250)自体は、金属セラミック混合物のような低熱膨張の材料で製作されている。一態様において、ロッドは、25℃において9〜12ミクロン毎メートル毎ケルビンの熱膨張の線形係数を有する、ニッケル酸化物セラミックで製作されている。燃料または酸化剤と不利な化学反応をすることのない、低熱膨張を有する任意のセラミックは、ロッドでの使用に十分である。本例示態様において、ロッド(250)は、外径が10mm、壁厚が1mm、長さが120mmである、実質的に円筒形チューブである。本例示態様において、ロッド端(251)はチューブスタブ(253)を含み、このチューブスタブは、ロッド(250)の本体よりも小さい直径を有し、例えば、10mmのロッド本体外径に対して、3mmのロッドスタブ外径を有する。各チューブ端(253)は、貫通
導管路を包囲する環状壁を含む。好ましい態様においては、各チューブスタブ(253)は、
図13に示されるもののような、金属エンドキャップ(1352)によって形成され、この金属エンドキャップは、圧入またはハンダ接合などによってロッド端に取り付けられて、ロッド端を損傷から保護する。
【0054】
このように本発明の環状撓み部(220)は、ロッドが内部または外部のアノード表面のいずれを含むかに無関係に、各ロッド入力端に対して、気密/液密シール、および保持力を与える。さらに、各ロッド出力端における本発明の環状撓み部(220)は、熱膨張によるロッド出力端の縦方向の移動を許容しながら、ロッド出力端の横方向移動を実質的に防止する拘束力を与える。しかしながら、両端における環状撓み部は変形して、SOFCスタックの組立ておよび取扱い中のロッドの曲げおよび捩じりによる、ロッドの横方向移動を吸収する。本発明の環状撓み部は、全ロッド長未満を含む、アノードおよびカソード表面積適用範囲のロッドを含む、SOFCsに対しても有用である。
【0055】
ロッド(250)自体は、金属セラミック混合物のような低熱膨張の材料で製作されている。一態様において、ロッドは、25℃において9から12ミクロン毎メートル毎ケルビンの熱膨張の線形係数を有する、ニッケル酸化物セラミックで製作されている。燃料または酸化剤と不利な化学反応をすることのない、低熱膨張を有する任意のセラミックは、ロッドでの使用に十分である。本例示態様において、ロッド(250)は、外径が10mm、壁厚が1mm、長さが120mmである、実質的に円筒形チューブである。本例示態様において、ロッド端(251)はチューブスタブ(253)を含み、このチューブスタブは、ロッド(250)の本体よりも小さい直径を有し、例えば、10mmのロッド本体外径に対して、3mmのロッドスタブ外径を有する。各チューブ端(253)は、貫通導管を包囲する環状壁を含む。好ましい態様においては、各チューブスタブ(253)は、
図13に示されるもののような、金属エンドキャップ(1352)によって形成され、この金属エンドキャップは、圧入またはハンダ接合などによってロッド端に取り付けられて、ロッド端を損傷から保護する。
【0056】
第1の例示態様においては、各ロッド端は、金属エンドキャップ(1352)と界面接続しており、この金属エンドキャップは、チューブスタブ(253)と組み立てられた電気絶縁体(260、1360)と界面接続して、その結果として、組み立てられた時に、電気絶縁体(260)が、チューブスタブと環状撓み部(220)の間に位置決めされる。絶縁体(260)は、ロッド(250)または金属エンドキャップ(1352)の表面と、金属エンドプレート(210)または環状撓み部(220)の表面との間の電気接続を防止する役割を果たす。すなわち、本例示態様においては、エンドプレート貫通穴(215)の内部直径および電気絶縁体(260)の外部直径が、上述のように、入力側において締り嵌めを行い、出力側においてわずかな隙間嵌めを行うように寸法決めされている。電気絶縁体とスリーブ壁(216)の間の締り嵌めの場合には、半径方向内向きの係合締付け力が、電気絶縁体(260)がスリーブ壁(216)によって捕捉されるように、電気絶縁体を係合する。わずかな隙間嵌めの場合には、電気絶縁体および取り付けられたロッド端は、熱膨張に応じた縦方向移動を許容しながら、所望の軸位置に維持される。
【0057】
電気絶縁体(260)は、電気絶縁性であって、燃料電池の動作温度に耐えることのできる、任意の材料を使用して形成してもよい。本例示態様においては、絶縁体は、アルミナ、ジルコニア、および/またはシリカを含む、高温セラミック絶縁体材料のような、非導電性セラミック材料で製作される。その他の非限定の例示態様においては、電気絶縁体は、電気絶縁性の高温ガラスで製作される。本例示態様においては、絶縁体(260)は、外径が0.182インチであり、内径は約3mmであって、チューブスタブ(253)に適合するように寸法決めされている。さらに別の態様においては、チューブスタブ(253)は、電気絶縁性のセラミック材料で製作されて、ロッド端と一体的に形成されるか、またはそれに取り付けられている。そのような態様の一例において、チューブスタブの外径は0.182インチである。
【0058】
本例示態様においては、
図3Bに示されるように、絶縁体先端(261)は、チューブスタブ先端(251)に面合わせして組み付けられる。その他の非限定の例示態様においては、ロッド端(251)の部分が、絶縁体(260)から突出して、絶縁体およびエンドプレートの下方のチューブスタブ(253)の表面を露出させて、電気コネクタをロッドチューブスタブ(253)に取り付けるための終端を与える。
【0059】
次に
図4を参照すると、側断面図が、ロッド端チューブスタブ(253a、253b)の、電気絶縁体(260a、260b)を通って延びる対合貫通穴への挿入を示しており、各電気絶縁体は、環状撓み部(220a、220b)によって形成される貫通穴中に挿入するように寸法決めされた外部直径を有し、本例示態様における、スリーブ壁(216a)の変形と、締付け力の生成とを図示している。この態様においては、各チューブスタブ(253a、253b)は、絶縁体(260a、260b)によって包囲されている。絶縁体(260a、260b)は、絶縁性セラミック材料を含み、各ロッド(250a、250b)を金属プレート(210)から電気的に絶縁する機能を果たす。絶縁体は、ろう付けして、液体セラミック材料でポッティングすることによって、締り嵌めによって、またはその他の好適な取付け工程によって、チューブスタブ(253)に取り付けてもよい。その他の態様においては、ロッドチューブスタブは、そうではなく、ロッド(250)の一部分として、または別個のエンドキャップ(1352)として形成された、電気絶縁体(260)を含む。
【0060】
第1の燃料ロッドまたはチューブ(250a)が、スリーブ壁(216a)によって形成されるエンドプレート貫通穴中に部分的に組み付けられて示されている。この態様においては、スリーブ壁(216a)には、テーパ化された貫通穴直径が形成されており、この場合には、テーパ(217a)の始まりにおいてはスリーブ壁の内径は、絶縁体(260a)の外径に対して過大寸法にされている。絶縁体の外径がスリーブ壁の内径と同心となるように組み立てられる場合には、絶縁体(261a)の前縁に近接する絶縁体の外表面は、スリーブ壁長に沿ってほぼ中間にある係合部(218a)においてスリーブ壁の内表面と接触する。係合部(218a)において、スリーブ壁(216a)の内径は、絶縁体(260a)またはロッド端の外径とほぼ等しい。テーパ(219a)の終点において、無変形の、構築のままの状態にある、スリーブ壁(216a)の内径は、絶縁体(260a)の外径に対して過小寸法にされている。特定の態様において、スリーブ壁(216a)は、場合によって、絶縁体(260)またはロッドチューブスタブの外径に対して相対的に、撓み部の端(219a)において0.005インチ締り嵌めで製造される。
【0061】
第2の燃料ロッドまたはチューブ(250b)が、スリーブ壁(216b)に完全に組み付けられて示されている。ロッド(250b)のスリーブ壁(216b)への組み付けによって、撓み部を変形させて、それによって、撓み部テーパ端(219b)の内径は、絶縁体(216b)の外径によって画定される。スリーブ壁(216b)に完全に組み付けられている場合には、絶縁体(260b)の前縁(261b)は、スリーブ壁の端(219b)から突出して、その結果、電気コネクタと接触させてもよい。絶縁体(260a)の外径に対して過小寸法にされた内径を有して構築されたスリーブ壁(216a)の部分は、絶縁体(260a)(または、チューブスタブ端)の貫通穴(215)への挿入によって変形させられている。このスリーブ壁(216b)の部分は、絶縁体の外径に実質的に等しい内径まで、撓まされるか、または弾性変形させられている。このスリーブ壁(216a)の変形は、撓み部材料を焼鈍することなく(例えば、締り嵌め組立体を組み立てるときに行われることがあるように、ロッドを差し込むために、エンドプレートを加熱することなく)、絶縁体またはチューブスタブ端に対する締付け力を生成するのに十分である。締付け力は、液密/気密シールを生成し、材料が動作温度まで循環させられてその後に冷却されるときに、締り嵌めが対合材料の熱膨張および収縮によって維持される。いくつかの態様において、チューブスタブ(253)の部分が、電気コネクタと界面接続するために、絶縁体(260)から突出して、絶縁体前縁(261)を超えて延びる。さらに、スリーブ壁(216a)の厚さ、係合長、表面仕上げ、締り嵌め寸法、および材料組成はそれぞれ、ロッド端との係合によって得られる締付け力を修正するように調節することのできる変数であること、およびこれらのパラメータのそれぞれを、本発明から逸脱することなく変更可能としてもよいことに留意されたい。
【0062】
本発明のさらに別の観点において、撓み部環状上壁(214)は貫通穴を包囲する可撓性部分を含み、この可撓性部分は、SOFCロッド(250)に作用する曲げ力または捩り力が環状上壁(214)に伝達されるときに、撓まされるか、または弾性変形させられる。特に、上部環状壁(214)は、エンドプレート(211)の材料厚さと比較して、小さい材料厚さで形成されて、環状上壁(214)または可撓性部分は、より厚い基部壁(211)を有するエンドプレートよりも機械的剛性が低くなるようにされている。好ましくは、環状上壁(214)も、ロッドエンドキャップまたはSOFCロッドよりも剛性が低く、ロッドまたはエンドキャップに作用する力が、脆いロッドまたはロッドエンドキャップを変形するよりも、環状上壁(214)を撓ませるか、または弾性変形させやすいようにされている。特に、本発明は、ロッドがエンドプレートに組み付けられている間、およびエンドプレートが燃料電池として組み立てられている間に、SOFCロッドに付与される曲げ力または捩り力に応じて弾性変形させるための、エンドプレート貫通穴(215)のそれぞれを包囲する、低剛性環状可撓性領域を含む。
【0063】
低剛性環状領域は、各貫通穴(215)に近接するエンドプレート基部壁(211)の厚さを低減して、各貫通穴を包囲するエンドプレートの剛性を低減することによって形成される。材料厚さは、エンドプレートの片側または両側から、特に、図(3C、4および5〜9)に示されているパターンで、材料厚さを機械加工することによって低減してもよい。1つの非限定の実施例において、環状上壁(214)およびスリーブ壁(216a)は、エンドプレート基部壁よりも、25〜50%薄い材料厚さで形成される。さらに、少なくとも環状撓み部の厚さ、面積および材料組成が、それぞれ、環状撓み部の機械的剛性を修正するように調節することのできる変数であること、およびこれらのパラメータのいずれもが、本発明から逸脱することなく変更可能であることに留意されたい。
【0064】
例示的、非限定の本態様においては、環状撓み部および対応する貫通穴は、モネル400で形成されるエンドプレート中に、機械加工される。好ましい態様において、エンドプレート基部壁(211)は、約0.068インチの厚さを有する。各貫通穴(215)は、プレート(210)の上面から延びる、円形撓みボス(213)によって包囲されている。基部壁にボス(213)を加えた全プレート厚さは、ボス(213)において、約0.140インチである。スリーブ壁(216)および環状上壁(214)は、機械加工によって壁厚を低減することによって形成される。好ましい一態様においては、スリーブ壁(216)および環状上壁(214)のそれぞれは、約0.02インチの材料厚さを有する。代替的態様において、プレート寸法および撓み部寸法は、当業者には容易に理解されるように、例えば、動作温度、設計締付け力、およびチューブまたは絶縁体の材料特性などの、設計パラメータに基づいて調節される。
【0065】
追加の態様において、環状撓み部は、丸くないエンドプレートに形成される。例示的な一態様においては、1列または2列以上の貫通穴が、長方形に形成されたプレートに形成されている。貫通穴の少なくとも1つ、およびいくつかの態様においては、貫通穴のすべてが、それぞれ、環状撓み部によって包囲されている。一態様においては、プレートは、環状撓み部によって包囲された、単一の貫通穴を備えて構成されている。
【0066】
さらに別の態様において、エンドプレート(210)は、モネル400以外の材料で形成してもよい。例えば、代替的な高温低クロム合金を使用してもよい。一態様において、エンドプレート(210)は、インコネル材料で形成される。エンドプレートの厚さ、および撓み部の厚さは、撓み部のテーパのような、その他の寸法と同様に、代替的態様においては、代替的材料の特性に適応させるために変更してもよい。例えば、エンドプレート材料がモネル400よりも剛性が高いときには、撓み部は厚さを低減して形成される。
【0067】
機械加工以外の製造工程を使用して、エンドプレートを形成してもよい。例えば、エンドプレートおよびエンドプレート機構は、鋳造、機械加工、EDM、レーザ加工、スタンピング、成形、その他のような、1つまたは2つ以上の工程によって、または工程の組合せによって形成してもよい。
【0068】
図5A、5B、5Cおよび5Dに示されている、さらに別の例示態様において、エンドプレート(510)は、ロッド端スタブをその中に受け入れるように位置決めされた、複数のエンドプレート穴(515)を含む。各エンドプレート貫通穴(515)は可撓性領域によって包囲されており、この可撓性領域は、本例においては、エンドプレート(510)の片側または両側から貫通穴を包囲する環状パターンに金属を除去することによって、エンドプレート(510)に形成された、環状撓み部(516a〜d)である。環状パターンの低減された材料厚さは、周囲のエンドプレートの機械的剛性と比較して、環状パターンの機械的剛性を低減する。特に、これによって、環状撓み部に作用する力に応じて、環状撓み部の厚さ低減材料を撓ませるか、または実質的に弾性変形させることができる。さらに、撓み部材料および撓み部材料厚さを適切に選択することによって、環状撓み部またはロッドもしくはエンドプレートのいずれかを塑性的に、または永久的に変形させることなしに、ロッド端またはエンドプレートに付与された典型的な組み付け力に応じて、撓み部材料を撓ませるか、または弾性変形させることができる。
【0069】
環状撓み部(516)のそれぞれは、それを通してロッド端を設置するために、貫通穴(515)を包囲している。貫通穴(515)は、それを通して設置されるロッド端の外径に対して過小寸法にされた、有効内径を有して構成されている。
図6に示されるように、ロッド(650)はエンドプレート(510)内に設置され、このエンドプレートは、周囲のエンドプレートと比較して低減された材料厚さを有する、環状撓み部(516a)を含む。ロッド端(例えば、651)が、貫通穴(515)中に挿入されると、環状撓み部(516a)は、ロッド端挿入力に応じて、撓むか、または弾性変形して、ロッド端が貫通穴中に挿入されるのを可能にする程度まで変形する。撓み部の変形によって、ロッド端に対して締付け力が与えられ、撓み部とロッド端の間に気密/液密シールが生成される。さらに、材料ばね定数を変更して、良好なシールまたは締付けを防止する可能性のある、撓み部材料の焼鈍を回避するために、貫通穴(515)の直径およびロッド端は、いずれの部品も加熱することなく挿入することを可能にするように寸法決めされている。同様に、撓み部(516b、516c、または516d)のいずれもが、実質的に同様に動作する。
【0070】
次に
図13を参照すると、等角断面図が、ロッドエンドキャップ(1352)中へのロッド端(1350)の挿入を示しており、このロッドエンドキャップは、そこから延びるチューブスタブ(1353)を含む。チューブスタブには、そこを通して延びる、縦方向流体
導管路(1320)が形成されている。
導管路(1320)はロッド(1350)を通して延びる流体
導管路と流体連通して、燃料が、流体
導管路(1320)を通り、ロッド
導管路に入るか、またはそこから出るようにされている。環状電気絶縁体(1360)が、チューブスタブ(1353)を包囲している。電気絶縁体は、それを通過してロッドスタブを受け入れるための貫通ボアを含むとともに、エンドプレート(1310)に形成された環状撓み部(1316)を貫通する環状撓み部貫通穴(1315)と機械的に界面接続するように寸法決めされた、外部直径を備えて形成されている。ロッド端は、3つの接合部または機械的な界面を含み、1つはロッドエンドキャップをロッド端に取り付けるのに使用され、2番目(1375)は電気絶縁体(1360)をチューブスタブ(1353)に取り付けるのに使用され、3番目(1370)は電気絶縁体(1360)を環状撓み部(1316)に取り付けるのに使用される。
【0071】
気体入力側において、3つの接合部のそれぞれは、好ましくは液体/気体シールである。本発明によれば、これらの3つの接合部のすべては、ろう付けまたは圧入して、所望の機械的取付けおよび液体/気体シールをもたらしてもよい。気体出力側においては、いくつかの態様においては、液密/気密シールが望ましいが、好ましい態様は、圧入またはハンダ接合を使用して、第1および第2の接合部を液体/気体シールして、第3の接合部(1370)において隙間嵌めを行い、動作中にロッドが加熱されるのに伴うロッドの伸長を吸収するものである。特に、隙間嵌めは、電気絶縁体と環状撓み部貫通穴の間の第3の接合部においてであり、これによって、撓み部貫通穴の直径に対して、電気絶縁体外部直径の移動が可能になる。
【0072】
非限定の一例示態様において、チューブスタブ(1353)を含むロッドエンドキャップ(1352)は、熱クリープ、腐食を回避するのに使用される、耐食性高温鋼合金、例えば、インコネルを含み、電気絶縁体は、高温セラミック材料を含む。別の非限定の例示態様においては、チューブスタブを含むロッドエンドキャップは、高温セラミック材料のような電気絶縁材料を含み、その場合には、電気絶縁体(1360)は、チューブスタブと環状撓み部の間には必要とされない。
【0073】
各ろう付け界面接合部は、好ましくは、銀またはパラジウムを含有するろう付け材料を始めとする、高温金属ろうを含む。好ましくは、ろう付け材料は、室温とSOFCシステムの動作温度、例えば500〜1000℃の間で、その機械的特性およびシーリング特性を維持する。当業者には認識されるように、金属をセラミックに、セラミックをセラミックに、およびセラミックを金属にろう付けするのに、異なるろう付け材料および技術が、使用されることになる。一般に、ろう付け化合物には、以下の元素:Ni、Cu、Ti、Zr、Y、La、Ag、Au、V、Si、Sn、および/またはそれらの酸化物または窒化物、の内の1種または2種以上を含む、金属合金を含めてもよい。一例示態様において、ろう付け材料には、酸化物相もしくは非酸化物相、または全体的に分散されたセラミック粒子を含む。
【0074】
締付け力を与えるのに加えて、本発明の環状撓み部は、ロッド(例えば、ロッド250)にかけられた、またはロッド組立体(例えば、200)全体に作用する力によってロッドに伝達された、曲げ力または捩り力に応じて、撓むか、または弾性変形する。すなわち、本発明の環状撓み部は、曲げ力および捩り力をロッドから環状撓み部へと伝達することによって、燃料電池ロッド組立体の組立て中、または分解中のロッド損傷を防止する傾向がある。特に、本発明によれば、環状撓み部は、ロッドまたはエンドプレートのいずれよりも機械的剛性がより低く、とりわけ、ロッドまたはロッド組立体を曲げるか、または捩じる傾向のある何らかの力を環状撓み部へと伝達する。さらに、ロッド端にかけられるか、または伝達される力は、環状撓み部へと伝達されて、環状撓み部は、伝達された力に応じて撓むか、または弾性変形する。このことは従来のロッド組立体と対照的であり、従来のロッド組立体は、ロッドまたはロッド組立体にかけられた曲げ力または捩り力を可撓性要素に伝達しない傾向があり、それによってロッドにかけられた曲げ力または捩り力が、ロッドに作用することを許容し、その結果、ロッドの亀裂および/または破壊が生じる。
【0075】
本発明のさらに別の観点によれば、各ロッド端は、環状撓み部から取り外し可能である。この場合に、ロッド端を環状撓み部との係合から引き出す傾向のある、縦方向の力が、ロッドへとかけられる。縦方向の力は、ロッド端挿入力に応じて、環状撓み部を撓ませるか、または弾性変形させて、環状撓み部を、ロッド端が係合から引き出されるのを許容する程度まで変形させる。その後に、ロッドのいずれか、または全部を、各エンドプレートから分解して、エンドプレートおよび/またはロッドを再使用して別のロッド組立体を構築することができるように、別のロッド端または同一のロッド端を、撓み部またはロッドに望ましくない損傷を生じることなく、撓み部中に再挿入することができる。
【0076】
図7Aおよび7Bに示されている別の例示態様においては、各ロッド端(751a、751b)には、ロッド端が設置されるときにエンドプレート(710a、710b)の環状撓み部(716a、716b)と係合するように設けられた、凹形捕捉リング(755a、755b)が形成されている。環状撓み部(716b)は、ロッド端(751b)が設置されるときに、凹形捕捉リング(755b)と対合する、対合機構(717)を含む。捕捉リング(755a、755b)は、ロッド端に機械加工または成形されて、便宜的にロッド端の係合長を画定する。環状撓み部(716b)には、ロッド端対合機構(755b)と係合するとともに、ロッド端(751b)の係合長を画定するために、エンドプレート貫通穴の内側に形成される、対合機構(717)がさらに形成される。さらに、係合された機構(717)および(755b)は、環状撓み部表面(717)によって形成される気密/液密シールを改善する、部分ラビリンスシール(partial labyrinth seal)または蛇行性経路(tortuous path)を与える。上述のように、ロッド端とは、
図13に示されるロッドエンドキャップ(1352)によって与えられるような、金属ロッドスタブの端である。
【0077】
図8Aおよび8Bに示された態様において、各ロッド端(851a、851b)は、ロッド端の外径よりも大きい外径を有する、1つまたは2つ以上の対合表面機構(856、857)を示す。
図8Aに示されるように、ロッド端(851a)は、ロッド端(851a)が設置されるときに、エンドプレート(810)の第1の表面(817)に接触するように構成された、対合表面機構(856)を含む。対合表面(856)とプレート表面(817)との接触は、ロッド端の係合長を画定するとともに、撓み部表面(817)によって形成される気密/液密シールを改善する、部分ラビリンスシール蛇行性経路を提供する。
【0078】
図8Bに示されるように、ロッド端(851b)は、エンドプレート(810)の表面(817)と対合するように構成された、第1の対合表面(856)を含むとともに、第2の対合表面(857)をさらに含む。第2の対合表面(857)は、環状撓み部(816)によって包囲された、円形の貫通穴(815)を通過するように構成されている。ロッド端(851b)が設置されると、第2の対合表面(857)は、撓み部(816)の上面(818)と接触して位置決めされ、同時に、第1の対合表面(856)は、エンドプレート表面(817)と接触している。第2の対合表面(857)および第1の対合表面(856)は、ロッド端(851b)の係合長をさらに画定する。対合表面(857)は、撓み部表面(818)によって形成される気密/液密シールを改善する部分ラビリンスシール蛇行性経路をもたらすようにさらに構成されている。
【0079】
さらに別の態様においては、一方または両方の対合表面(856、857)は、ロッド端(851a、851b)が撓み部(816)と組み立てられるときに、塑性的または弾性的に変形し、変形した対合表面は、撓み部(816)の形状に適合する。それぞれの場合に、表面機構(856、857)には、ロッド端をエンドプレートから電気的に隔離する、電気絶縁材料を含めてもよい。それぞれの場合に、表面機構(856、857)は、ロッド端スタブに取り付けられた電気絶縁体上のロッド端スタブ上に一体的に形成するか、またはロッド端スタブに別個に取り付けてもよい。
【0080】
図9Aおよび9Bに示される態様においては、各ロッド端(951a、951b)は、1つまたは2つ以上の対合突起(956、957)を含む。
図9Aに示されるように、ロッド端(951a)は対合突起(956)を含み、この対合突起は、ロッド端(910a)が撓み部(916)に包囲されている貫通穴(915)中に組み付けられるときに、撓み部(916)の底面(917)と接触するように構成されている。対合突起(956)は、ロッド端(951a)の係合深さを画定するとともに、撓み部表面(917)によって形成される気密/液密シールを改善する、部分ラビリンスシール蛇行性経路をもたらす。
【0081】
図9Bに示されるように、ロッド端(951b)は、ロッド端(951b)と撓み部(916)が組み付けられるときに第1の表面(917)と接触する、第1の対合突起(956)を含む。ロッド端(951b)は、ロッド端(951b)と撓み部(916)が組み立てられるときに、撓み部(916)を通過して第2の表面(918)と対合する、第2の対合突起(957)をさらに含む。第2の対合突起(957)は、ロッド端(951b)の係合長をさらに画定し、撓み部(916)および撓み部表面(918、917)と接触して設置されるときに、気密/液密シールを改善する、部分ラビリンスシール蛇行性経路をもたらす。
【0082】
上記の態様のそれぞれにおいて、エンドプレート貫通穴と係合するように設けられた、ロッド外部直径は、ロッド端スタブをその中に受け入れるように設けられた環状撓み部のエンドプレート貫通穴直径よりも大きく、捕捉リングの場合には、捕捉のリングのベース直径は、環状撓み部の内部直径よりも大きい。ロッド端は、ロッド端を環状撓み部の内部直径を通り挿入するように方向づけられた、縦方向の力をロッドにかけることによって、環状撓み部中に挿入される。縦方向力は、環状撓み部を十分に曲げるか、撓ませて、ロッド端との係合を許容するのに十分である。係合の深さは、深さゲージ工具によるか、または捕捉リング(例えば、755a、755b)もしくはその他の定位機構(例えば、856、857、956、または957)との係合によって、画定してもよい。
【0083】
さらに別の燃料電池設計において、SOFCチューブスタック(例えば、200)は、入口チューブシートおよび出口チューブシートを含み、これらは、燃料電池ロッドの入口端、および燃料電池ロッドの出口端における、エンドプレートである。そのような態様においては、燃料と酸化剤の混合を防止するために、燃料電池スタックの入口端において、気密シールが必要とされる。しかしながら、気密シールは、スタックの出口端においては必要でないことがあり、出口端の下流では、入口燃料と酸化剤流が、出口チューブシートに隣接して、かつ下流にある排出チャンバにおいて混合する。
【0084】
一態様において、入口チューブシートは、環状撓み部を含み、各ロッドの一端(すなわち、入口端)を緊密に係合し、これに対して、出口ロッド端は、気体シールが必要ではない出口チューブシートでは、より緩く装着されている。そのような態様において、入口チューブシートは、環状撓み部を含み、これに対して、出口チューブシートには、燃料電池ロッドに対してわずかに過大寸法にされた貫通穴を含めて、組立てを容易化するとともに、チューブシート材料および燃料電池ロッド材料の膨張および収縮を許容してもよい。この例示態様において、各ロッドは、実質的に、ロッドの一端と係合した単一の環状撓み部によって支持されている。さらに別の態様において、出口チューブシートロッド端は、入口チューブシートにおいて撓み部によって与えられる締付け力に対して、締付け力を低減する、環状撓み部によって所定位置に保持されている。
【0085】
図10Aおよび10Bを参照すると、本発明による代替的なロッド(1050)は、ロッド全体を端から端まで縦方向に貫通する、中空の空隙または
導管路(1052)と、ロッド長の大部分に対して六角形横断面を有するロッド本体(1055)と、本発明のエンドプレートの環状撓み部中に嵌るように構成された、円形横断面を有するロッド端チューブスタブ(1053)とを含む。特定の態様において、ロッドには、多角形横断面が形成され、ロッド端またはチューブスタブには、円形横断面形状が形成されている。さらに別の態様においては、ロッド端またはチューブスタブには、多角形横断面が形成され、環状撓み部には、多角形設計の撓みが形成されるとともに、ロッド端が撓み部中に組み付けられると、気密/液密シールを形成する。本発明のロッドは、ロッドの長さに沿って縦方向に延びる、2つ以上の空隙または中空通路を備える、丸型および非丸型ロッドを含み、様々な管腔(lumen)が形成された、内部空隙を有するロッドを含む。
【0086】
図11Aおよび11Bに示されるように、貫通穴を包囲する環状撓み部を含む、エンドプレートの代替的態様は、2プレート組立体(two plate assembly)(1100)を含む。特に、バッキングプレート(1130)および撓みプレート(1120)は、互いに組み付けられて、複合エンドプレート(1100)を形成する。バッキングプレート(1130)は、ロッド端位置に対応する場所で、そこを貫通する貫通穴(1135)が形成された、比較的に剛性の高いディスク形プレート本体(1131)を含む。
【0087】
撓みプレート(1120)は、相対的に剛性の低いディスク形プレート本体(1120)を備え、プレート本体には、それを貫通する貫通穴(1125)であって、その中にロッド端を受け入れるように寸法決めされた貫通穴(1125)と、各貫通穴(1125)を包囲する環状撓み部(1126)とが形成されている。撓みプレート(1120)は、バッキングプレート(1130)と対合されて、複合支持プレート(1100)を形成し、撓みプレートの環状撓み部(1126)は、バッキングプレート(1130)の貫通穴(1135)と同心的に位置合わせされるとともに、その中に位置決めされている。2つのプレートは、例えば、機械的な締結具、ろう付け、溶接、またはプレートの使用環境における高温に適する、その他の接合工程によって、互いに結合される。
【0088】
バッキングプレート(1130)および撓みプレート(1120)はそれぞれ、モネル400のような、高温、低クロム合金材料で製作される。さらに別の態様において、撓みプレート(1120)は、モネル(Monel)400で製作され、バッキングプレート(1130)は、異なる高温、低クロム合金またはセラミック材料などの、別の材料で製作される。バッキングプレート(1130)は、第1の機械加工工程を使用して形成してもよく、同時に、撓みプレート(1120)は、第2の機械加工工程を使用して形成される。例えば、バッキングプレート(1130)は、プレート内に貫通穴をドリル加工、機械加工、またはレーザ切断することによって形成され、これに対して撓みプレート(1120)は、スタンピング工程を使用して形成される。その他の機械加工工程を、バッキングプレート、撓みプレート、または両者に使用してもよい。動作に際して、ロッド端は、上述のように、貫通穴(1125)と係合し、環状撓み部(1126)によって保持される。
【0089】
さらに別の態様においては、
図12A、12Bおよび12Cに示されるように、貫通穴を包囲する環状撓み部を含むエンドプレート(1200)は、ロッド端位置に対応する場所に、それを貫通する複数の貫通穴(1235)を有するバッキングプレート(1230)と、貫通穴(1235)のそれぞれに設置される撓みインサート(1220)とを備える。撓みインサート(1220)のそれぞれは、それを貫通するエンドプレート貫通穴(1225)を含み、エンドプレート貫通穴は、その中にロッド端を受け入れるように寸法決めされて、環状スリーブ壁(1226)によって包囲されている。各撓みインサート(1220)は、可撓性部分を含む、上部環状壁(1222)を備える。上部環状壁(1222)は、バッキングプレート表面(1231)と対合して、撓みインサートがバッキングプレート穴(1235)を通過するのを防止する、表面(1221)を含む。
【0090】
上部環状壁(1222)から延びる側壁(1228)は、ロッド組立体の動作温度において維持される締り嵌めで、バッキングプレート貫通穴(1235)中に設置されるように寸法決めされた、外部直径を有する。代替的に、撓みインサートは、所定位置に接着またはろう付けしてもよい。スリーブ壁(1226)は、上部環状壁(1222)から延びて、その中にロッド端を受け入れて、上述のような締付け力でロッド端を係合する。さらに、上部環状壁(1222)は、ロッドにかかる曲げ力または捩り力が環状撓み部へ伝達されるときのチューブ損傷を防止するために、望ましい弾性変形または撓み振幅に調和する、材料厚さで形成される。
【0091】
個々の撓みインサート(1220)は、大量生産方法を使用して製造して、次いで、バッキングプレート(1230)上の貫通穴(1235)中に組み付けてもよく、バッキングプレートは、異なる製造方法によって製造してもよい。一態様においては、撓みインサート(1220)は、例えば、ろう付けによって、バッキングプレート(1230)に結合される。別の態様においては、撓みインサートは、バッキングプレートの貫通穴中に圧入される。バッキングプレートは、撓みインサートと同材料で製作するか、または異なる材料で製作してもよい。一態様においては、撓みインサートとバッキングプレートの両方が、モネル400材料で製作されて、熱膨張係数が一致させられる。さらに別の態様においては、撓みインサートは、モネル400で製作されるのに対して、バッキングプレートは、異なる高温、低クロム合金のような異なる材料で製作される。
【0092】
さらに別の態様においては、バッキングプレートは、セラミック材料、例えば、アルミナ/ジルコニア/シリカセラミック絶縁体高温材料などの、電気絶縁性のセラミック材料で製作されるのに対して、インサートは、モネル400などの高温金属合金で製作される。そのような態様において、セラミックバッキングプレートは、各燃料電池ロッドを電気的に隔離し、各ロッド用の別個のセラミック絶縁体は必要ではない。さらに別の態様においては、撓みインサート(1220)は、インサートとバッキングプレートの間に配置された電気絶縁材料によって、バッキングプレート(1230)に結合される。例えば、撓みインサート(1220)は、対合表面(1228、1221)のそれぞれと、バッキングプレートの対合表面(1238、1231)の間に配置される電気絶縁性ポッティング材料で、バッキングプレート(1230)の貫通穴(1235)内にポッティングされる。
【0093】
本発明は、SOFC用の任意好適な燃料に使用可能である。燃料は、水素、エタノール、軽質炭化水素燃料―例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、もしくはヘキサンとするか、または燃料は重質炭化水素―例えば、ガソリン、ディーゼル燃料、灯油、JP−8軍用燃料、ジェット燃料、またはバイオ燃料とすることができる。灯油は好ましい燃料である。
【0094】
本発明を好ましい態様の観点で説明したが、本発明は、それらに限定されないことが、当業者には認識されるであろう。上記の発明の様々な特徴および観点は、個別に、または合わせて使用してもよい。さらに、本発明を、特定の環境における、また特定の用途に対しての実現(例えば、円筒形状を有するSOFCスタックを備える、固体酸化物燃料電池内部)の文脈において説明したが、当業者は、その有用性はそれらに限定されないこと、および本発明は、材料をポッティングすることなくチューブを装着するのが望ましい、また一般に、チューブ用、特に、セラミック材料などの脆弱材料製のチューブ用の、可撓性の装着配設を提供することが望ましい、任意の数の環境および実現形態において有益に使用できることを認識するであろう。さらに、本発明は、高温環境において使用可能な気体シールに対する代替物を提供する。したがって、以下に記載する特許請求の範囲は、本明細書において開示される本発明の全範囲と趣旨の観点で解釈されるべきである。