(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のガス及び第2のガスの少なくとも一方を含む燃料ガスを生成する生成装置であって、前記燃料ガスにおける前記第1のガス及び前記第2のガスの比率を変化させることが可能な生成装置と、
前記生成装置により生成される前記燃料ガスを利用して、発電を行う発電装置と、
前記生成装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1のガスを利用して発電される第1の電力、及び前記第2のガスを利用して発電される第2の電力の売電単価を予測する予測部と、
前記予測部により予測された前記第1の電力及び前記第2の電力の売電単価に基づき、前記燃料ガスにおける前記第1のガス及び前記第2のガスの比率を制御する制御部と、を含む、
制御システム。
前記予測部は、前記第1の電力並びに前記第2の電力の売電単価に関する情報、電力需要に関する情報、及び前記第1のガス並びに前記第2のガスの少なくとも一方の価格情報のうち、少なくとも1つの情報に基づき、前記第1の電力及び前記第2の電力の売電単価を予測する、
請求項1に記載の制御システム。
発電装置で発電を行うために利用される、第1のガス及び第2のガスの少なくとも一方を含む燃料ガスを生成すると共に、前記燃料ガスにおける前記第1のガス及び前記第2のガスの比率を変化させることが可能な生成装置を制御する制御装置であって、
前記第1のガスを利用して発電される第1の電力、及び前記第2のガスを利用して発電される第2の電力の売電単価を予測する予測部と、
前記予測部により予測された前記第1の電力及び前記第2の電力の売電単価に基づき、前記燃料ガスにおける前記第1のガス及び前記第2のガスの比率を制御する制御部と、を含む、
制御装置。
制御装置が、発電装置で発電を行うために利用される、第1のガス及び第2のガスの少なくとも一方を含む燃料ガスを生成すると共に、前記燃料ガスにおける前記第1のガス及び前記第2のガスの比率を変化させることが可能な生成装置を制御する制御方法であって、
前記第1のガスを利用して発電される第1の電力、及び前記第2のガスを利用して発電される第2の電力の売電単価を予測する予測ステップと、
前記予測ステップで予測された前記第1の電力及び前記第2の電力の売電単価に基づき、前記燃料ガスにおける前記第1のガス及び前記第2のガスの比率を制御する制御ステップと、を含む、
制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、燃料として利用されるガスの種類に依って、発電される電力の売電単価が異なる場合が有り得る。例えば、バイオガスは、再生可能エネルギに該当し、バイオガスを利用して発電される電力は、再生可能エネルギ固定価格買取制度(Feed-In Tariff:FIT)の対象であるため、売電単価は固定価格である。一方、化石燃料から精製される都市ガスを利用して発電される電力の売電単価は、電力の需要や燃料費等に応じて、市場価格として変動する。そのため、バイオガスと都市ガスとを混合した燃料ガスを利用して発電を行う場合、燃料ガス内のバイオガスと都市ガスの比率に応じて、発電される電力の売電単価が変動する。よって、例えば、2種類のガスを予め規定された混合比で固定して混合した燃料ガスを利用して発電を行うだけでは、発電される電力の売電による収益を高めることができない可能性がある。
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、燃料としての利用に基づき発電される電力の売電単価が各々で異なる2種類のガスを含む燃料ガスを利用して発電を行う場合に、発電される電力の売電による収益を高めることが可能な制御システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態では、
第1のガス及び第2のガスの少なくとも一方を含む燃料ガスを生成する生成装置であって、前記燃料ガスにおける前記第1のガス及び前記第2のガスの比率を変化させることが可能な生成装置と、
前記生成装置により生成される前記燃料ガスを利用して、発電を行う発電装置と、
前記生成装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記第1のガスを利用して発電される第1の電力、及び前記第2のガスを利用して発電される第2の電力の売電単価を予測する予測部と、
前記予測部により予測された前記第1の電力及び前記第2の電力の売電単価に基づき、前記燃料ガスにおける前記第1のガス及び前記第2のガスの比率を制御する制御部と、を含む、
発電制御システムが提供される。
【0008】
また、本発明の他の実施形態では、
発電装置で発電を行うために利用される、第1のガス及び第2のガスの少なくとも一方を含む燃料ガスを生成すると共に、前記燃料ガスにおける前記第1のガス及び前記第2のガスの比率を変化させることが可能な生成装置を制御する制御装置であって、
前記第1のガスを利用して発電される第1の電力、及び前記第2のガスを利用して発電される第2の電力の売電単価を予測する予測部と、
前記予測部により予測された前記第1の電力及び前記第2の電力の売電単価に基づき、前記燃料ガスにおける前記第1のガス及び前記第2のガスの比率を制御する制御部と、を含む、
制御装置が提供される。
【0009】
また、本発明の更に他の実施形態では、
制御装置が、発電装置で発電を行うために利用される、第1のガス及び第2のガスの少なくとも一方を含む燃料ガスを生成すると共に、前記燃料ガスにおける前記第1のガス及び前記第2のガスの比率を変化させることが可能な生成装置を制御する制御方法であって、
前記第1のガスを利用して発電される第1の電力、及び前記第2のガスを利用して発電される第2の電力の売電単価を予測する予測ステップと、
前記予測ステップで予測された前記第1の電力及び前記第2の電力の売電単価に基づき、前記燃料ガスにおける前記第1のガス及び前記第2のガスの比率を制御する制御ステップと、を含む、
制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態によれば、燃料としての利用に基づき発電される電力の売電単価が各々で異なる2種類のガスを含む燃料ガスを利用して発電を行う場合に、発電される電力の売電による収益を高めることが可能な制御システム等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る制御システム1の構成の一例を示す図である。制御システム1は、需要家100に供給する電力の発電制御を行う。制御システム1は、バイオガス供給装置10、都市ガス供給装置20、燃料ガス生成装置30、発電装置40、制御装置50を含む。また、制御システム1に関連する構成要素には、卸電力取引所110、調整電源120がある。
【0014】
尚、図中、三重線は、ガス供給系統を表し、太い実線は、電力供給系統を表し、細い実線は、情報系統を表し、点線は、制御系統を表す。また、制御システム1は、特定の発電事業者により管理され、送電網PLは、特定の電力送配電事業者により管理される。また、制御システム1のうち、バイオガス供給装置10及び都市ガス供給装置20のうちの少なくとも一方は、上記発電事業者以外の事業者により管理されてもよい。
【0015】
バイオガス供給装置10は、燃料ガス生成装置30に再生可能エネルギであるバイオガスを供給する。バイオガスは、例えば、下水処理場の下水汚泥処理工程で発生する下水汚泥や食品工場等で発生する食品残渣等を嫌気性発酵させることにより生成されてよい。また、バイオガスは、メタン(CH
4)と二酸化炭素(CO
2)を主成分とし、燃焼成分であるメタンの濃度は、約60%である。また、バイオガス供給装置10は、専用線或いは所定のネットワーク(例えば、携帯電話網やインターネット網等)を通じて制御装置50と通信可能に接続され、バイオガスの供給量に関する情報(バイオガス供給量情報)を制御装置50に送信する。バイオガス供給量情報には、例えば、所定の単位時間(例えば、1週間、1か月等)毎のバイオガスの供給量(予定量)が含まれてよい。
【0016】
都市ガス供給装置20は、都市ガスパイプライン等から構成される都市ガス供給システムに含まれ、化石燃料由来の非再生可能エネルギである都市ガスを燃料ガス生成装置30に供給する。都市ガスは、メタンを主成分とし、非常に高い熱量(例えば、45MJ/Nm
3)を有する。また、都市ガス供給装置20は、専用線或いは所定のネットワークを通じて制御装置50と通信可能に接続され、都市ガスの価格(例えば、単位体積当たりの単価)に関する情報(都市ガス価格情報)を制御装置50に送信する。
【0017】
燃料ガス生成装置30は、後述する精製バイオガス(第1のガスの一例)及び都市ガス(第2のガスの一例)のうちの少なくとも一方を含む燃料ガスを生成する。燃料ガス生成装置30は、精製部31、混合部32を含む。
【0018】
精製部31は、バイオガス供給装置10から供給されるバイオガスのメタン濃度を高める処理を行い、メタン濃度を高めたバイオガス(以下、精製バイオガスと称する)を生成する。上述の如く、バイオガス供給装置10から供給されるバイオガスのメタン濃度は、約60%であるため、都市ガスの半分以下の熱量しかないからである。精製バイオガスは、例えば、98%までメタンの濃度が高められており、都市ガスの80%〜90%の熱量(例えば、39MJ/Nm
3)を有する。これにより、バイオガス専用の発電機(ガスエンジン)を利用することなく、バイオガスのみを含む燃料ガスで後述するガスエンジン41を定常運転させることができる。精製部31は、例えば、PSA(Pressure Swing Adsorption)方式、膜分離方式、高圧水吸収方式等の任意の方法を用いて、バイオガス供給装置10から供給されるバイオガスのメタン濃度を高め、精製バイオガスを生成してよい。精製部31は、精製バイオガスを混合部32に供給する。
【0019】
混合部32は、制御装置50(後述する制御部53)による制御の下、精製部31から供給される精製バイオガス及び都市ガス供給装置20から供給される都市ガスのうちの少なくとも一方を含む燃料ガスを生成する。また、混合部32は、制御装置50(制御部53)による制御の下、燃料ガスにおける精製バイオガス及び都市ガスの比率(混合比率)を変化させることができる。例えば、混合部32は、精製バイオガスの供給経路と都市ガスの供給経路とを合流させる合流部と、精製バイオガスの供給経路に設けられ、精製バイオガスの流量を調整する第1制御弁と、都市ガスの供給経路に設けられ、都市ガスの流量を調整する第2制御弁とを含んでよい。また、例えば、燃料ガスがバイオガス及び都市ガスの何れか一方を必ず含む構成にする場合、第1制御弁及び第2制御弁のうちの必ず含まれるガスの流量を調整する一方の制御弁は省略されてよい。混合部32は、生成された燃料ガスを発電装置40に供給する。
【0020】
発電装置40は、燃料ガス生成装置30から供給される燃料ガスを利用して、発電を行い、送電網PLを通じて、発電された電力を需要家100に供給する。発電装置40は、燃料ガスを利用して発電を行う発電手段の一例である、1又は複数のガスエンジン41を含む。
【0021】
尚、発電装置40は、ガスエンジン41の代わりに、或いは、加えて、燃料ガスを利用して発電を行う他の発電手段、例えば、ガスタービン、燃料電池等を含んでもよい。
【0022】
ガスエンジン41は、制御装置50から入力される発電指令に応じて、予め設定される設定回転数で一定に回転することにより、出力軸に接続される発電機を駆動し、発電を行う。ガスエンジン41には、定格出力が予め設けられ、定格出力以下の所定範囲内(例えば、定格出力の80%以上)で運転される。ガスエンジン41に供給される燃料ガスには、上述の如く、精製バイオガス及び都市ガスのうちの少なくとも一方が含まれる。そのため、ガスエンジン41により発電される電力には、概念的に、再生可能エネルギである精製バイオガスを利用して発電される電力(以下、第1の電力と称する)と、非再生可能エネルギである都市ガスを利用して発電される電力(以下、第2の電力と称する)とが含まれうる。第1の電力は、再生可能エネルギに由来し、FITの対象であるため、売電単価は、電力需要に依らず、固定価格とされる。一方、第2の電力は、化石燃料から精製される都市ガスを利用して発電されるため、電力の需要や燃料費(原油価格)等に応じて、市場価格(即ち、卸電力取引所110における取引により決定される市場価格)として変動する。そのため、発電装置40から需要家100に供給される電力の売電による発電事業者の収益は、燃料ガスにおける精製バイオガス及び都市ガスの比率に応じて、変化する。
【0023】
制御装置50は、燃料ガス生成装置30に制御指令を送信することにより、燃料ガス生成装置30により精製される燃料ガスに含まれる精製バイオガス及び都市ガスの比率を制御する(混合比率制御)。また、制御装置50は、発電量に関する制御パラメータ(例えば、稼働させるガスエンジンの個数等)を含む発電指令を発電装置40に送信し、発電装置40による発電の制御を行う(発電制御)。また、制御装置50は、需要家100からの想定を超える電力需要や発電装置40の異常等により、需要家100の電力需要に対応できない場合、卸電力取引所110に対する電力の買い注文や調整電源120に対する調整要求を行い、不足分の電力を調達する(補填制御)。制御装置50は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせにより実現されてよく、例えば、CPU,RAM,ROM,I/O等を含む、コンピュータを中心に構成されてよい。制御装置50は、例えば、ROMに格納される1つ以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、取得部51、予測部52、制御部53を含む。
【0024】
取得部51は、各種制御(混合比率制御、発電制御、補填制御等)を行うための各種情報を取得する。例えば、取得部51は、バイオガス供給装置10から受信するバイオガス供給量情報を取得する。また、取得部51は、都市ガス供給装置20から受信する都市ガス価格情報を取得する。また、取得部51は、需要家100から受信する電力需要に関する情報(例えば、スマートメータによる電力使用量の情報等)を取得する。また、取得部51は、制御装置50の内部メモリ或いは外部の記憶装置等に予め格納されるFITを利用する場合の電力価格(固定価格)に関する情報、即ち、第1の電力の売電単価に関する情報を取得する。また、取得部51は、卸電力取引所110から市場価格としての電力価格に関する情報(市場価格情報)、即ち、第2の電力の売電単価に関する情報を取得する。
【0025】
尚、FITによる電力価格が定期的に或いは電力の市場価格等に応じて更新される場合、取得部51は、第1の電力の売電価格としてのFITによる電力価格を外部(例えば、担当官庁のサーバ等)から取得してもよい。
【0026】
予測部52は、取得部51により取得される各種情報に基づき、比較的短い第1の期間(例えば、翌日の24時間或いは所定の基準日からの1週間等)及び比較的長い第2の期間(例えば、所定の基準日からの1か月間或いは1年間)における電力需要(例えば、電力需要量、電力需要の時間変化等)を予測する。また、予測部52は、取得部51により取得される各種情報に基づき、第1の期間における第1の電力及び第2の電力の売電単価(例えば、第2の電力の売電単価の時間変化)を予測する。例えば、
図2は、卸電力取引所110における1日の電力市場価格(具体的には、30分1コマを取引単位とする0時〜24時の電力市場価格)の変動の一例を示す図である。
図2に示すように、電力市場価格は、0時〜9時及び18時〜24時の電力需要が比較的低い時間帯で比較的低い値付けとなり、9時〜18時の日中の需要が比較的高い時間帯で比較高い値付けとなる。特に、電力市場価格は、電力需要がピークとなる14時〜17時の時間帯で非常に高い値付けとなる。例えば、予測部52は、このような一般的な電力市場価格の変動傾向と、第1の期間で予測される電力需要とに基づき、第1の期間における第2の電力の売電単価(の時間変化)を予測してよい。電力市場価格、即ち、第2の電力の売電単価には、電力需要が影響するからである。また、予測部52は、一般的な電力市場価格の変動傾向と、都市ガス価格情報とに基づき、第1の期間における第2の電力の売電単価(の時間変化)を予測してもよい。電力市場価格、即ち、第2の電力の売電単価には、発電に必要な燃料(都市ガス)の価格が影響するからである。また、予測部52は、具体的な直近(本日或いは過去1週間等)の電力市場価格の変動傾向に基づき、第1の期間における第2の電力の売電単価(の時間変化)を予測してもよい。また、予測部52は、具体的な直近の電力市場価格の変動傾向と、電力需要及び都市ガス価格の少なくとも一方との相関関係を算出すると共に、当該相関関係と、第1の期間における電力需要の予測及び都市ガス価格(の予測)の少なくとも一方とに基づき、第2の電力の売電単価(の時間変化)を予測してもよい。即ち、予測部52は、市場価格情報、電力需要に関する情報、及び都市ガス価格情報のうちの少なくとも1つの情報に基づき、第1の期間における第2の電力の売電単価を予測してよい。
【0027】
制御部53は、具体的に、上述の混合比率制御、発電制御、補填制御等に関する各種制御処理を行う。以下、混合比率制御を中心に説明を行う。
【0028】
制御部53は、予測部52により予測される第1の期間における電力需要及び第2の電力の売電価格に基づき、第1の期間での燃料ガスにおける精製バイオガス及び都市ガスの比率(混合比率)の制御仕様(即ち、混合比率の時間経過に対する変化のさせ方)を決定する。そして、制御部53は、燃料ガス生成装置30(混合部32)に制御指令を出力することにより、決定した制御仕様に基づき、第1の期間での燃料ガスにおける精製バイオガス及び都市ガスの比率を制御する。以下、
図3を参照して、制御部53による混合比率を決定する処理の一例を説明する。
【0029】
図3は、制御装置50(制御部53)による処理の一例を説明する図であり、具体的には、制御部53により決定される、翌日の0時から24時までの燃料ガスにおける精製バイオガス及び都市ガスの燃料比率を概念的に示す図である。
【0030】
尚、
図3の縦軸は、ガスエンジン41の出力を概念的に示しており、精製バイオガスのみを含む燃料ガスの場合、精製バイオガスの熱量が都市ガス等と比較的して低いため、ガスエンジン41の出力は、定格出力よりも低くなる。
【0031】
例えば、電力市場価格、即ち、第2の電力の売電単価は、9時〜18時の電力需要が高い時間帯の値付けが比較的高く、予測部52により予測される第2の電力の第1の期間における売電単価も同じような傾向になる場合がある。そのため、
図3に示すように、制御部53は、例えば、0時〜9時及び18時〜24時の時間帯よりも、9時〜18時の時間帯の燃料ガスにおける都市ガスの比率を高くする。即ち、制御部53は、予測部52により予測された第1の期間における第2の電力の売電単価(の時間変化)に基づき、予測された第2の電力の売電単価が高くなるほど、都市ガスの混合比率を高くしてよい。これにより、第1の電力の売電単価は、需要に依らず、固定価格であるところ、需要に応じて変動する第2の電力の売電単価が比較的高いときに、都市ガスの混合比率を高めるため、第1の期間の発電電力の売電収益を高めることができる。
【0032】
また、例えば、0時〜9時及び18時〜24時の時間帯は、上述の如く、電力市場価格も低い上、電力需要も低いため、第2の電力の買い手が付きにくい。これに対して、第1の電力は、FITの対象であるため、需要に依らず、固定価格であり、且つ、電力小売業者に買い取り義務がある。そのため、
図3に示すように、制御部53は、例えば、0時〜9時及び18時〜24時の時間帯の燃料ガスにおける精製バイオガスの比率を100%にする。即ち、制御部53は、予測部52により予測された電力需要が所定基準より低い場合、燃料ガスにおける精製バイオガスの比率を100%にする。これにより、電力需要が低い時間帯であっても、需要に依らず、精製バイオガスの利用に基づく第1の電力を固定価格で売ることができ、発電事業者の収益を高めることができる。
【0033】
このように、制御部53は、予測部52により予測された第2の電力の売電単価に基づき、燃料ガスにおけるバイオガス及び都市ガスの比率を制御することにより、発電事業者の収益を高めることができる。
【0034】
尚、バイオガス供給装置10から燃料ガス生成装置30へのバイオガスの1日の供給量が予め決められているため、制御部53は、バイオガスの1日の供給量、第1の期間の電力需要等に応じて、具体的な都市ガスの混合比率を適宜決定してよい。例えば、制御部53は、予測部52により予測された第2の電力の売電単価が非常に高い時間帯において、燃料ガスにおける都市ガスの比率を100%にしてもよい。即ち、制御部53は、燃料ガス生成装置30に精製バイオガス及び都市ガスのうちの都市ガスのみを含む燃料ガスを生成させてもよい。
【0035】
また、制御部53は、予測部52により予測された第2の期間の電力需要、及び取得部51が取得したバイオガス供給量情報等に基づき、第2の期間の燃料ガスにおける都市ガス使用量を算出する。以下、
図4を参照して、制御部53による第2の期間における都市ガス使用量を算出する処理について説明をする。
【0036】
尚、制御部53は、算出する第2の期間における都市ガスの使用量と、取得部51により取得されたバイオガス供給量情報に含まれる第2の期間におけるバイオガスの供給量とを前提として、上述した第1の期間での燃料ガスにおけるバイオガス及び都市ガスの比率を決定する。
【0037】
図4は、制御装置50(制御部53)による処理の他の例を説明する図である。具体的には、
図4(a)は、バイオガス供給装置10から燃料ガス生成装置30へのバイオガスの第2の期間(1年間)の供給量(予定量)の変化を示す図であり、
図4(b)は、
図4(a)の状況を前提として決定される都市ガスの使用量の変化を概念的に示す図である。
【0038】
比較的長い第2の期間(1年間)におけるバイオガスの生成量(発生量)は、環境条件(温度条件等)に依って、変動が生じ得る。そのため、第2の期間におけるバイオガス供給装置10から燃料ガス生成装置30に供給されるバイオガスの供給量も生成量の変動に伴い、変動する。例えば、
図4(a)に示すように、本例のバイオガスは、6月〜9月の夏の期間に供給量が最大供給量(2月)に対して40%以上減少している。そのため、例えば、第2の期間(1年間)の電力需要をバイオガスのみを含む燃料ガスを利用して発電される電力で賄おうとすると、比較的少ない6月〜9月のバイオガスの供給量でも電力需要に対応する必要がある。その結果、6月〜9月以外の期間(1月〜5月、10月〜12月)では、生成量過多になるため、バイオガスを別途処理する必要がある等の無駄が生じる可能性がある。
【0039】
これに対して、本実施形態では、燃料ガス生成装置30は、バイオガス及び都市ガスのうちの少なくとも一方を含む燃料ガスを生成し、発電装置40に供給する。例えば、
図4(b)に示すように、制御部53は、バイオガス供給量が比較的多い時期(1月〜5月、10月〜12月)では、都市ガスの使用量を比較的少なくする。一方、制御部53は、バイオガス供給量が比較的少ない時期(6月〜9月)では、都市ガスの使用量を比較的多くする。即ち、制御部53は、第2の期間において、バイオガス供給量が少なくなるほど、燃料ガスにおける都市ガスの使用量を多くしてよい。
【0040】
このように、制御装置50(制御部53)は、第2の期間におけるバイオガスの供給量の変動及び電力需要に合わせて、都市ガスの使用量を変動させることにより、バイオガス及び都市ガスのうちの少なくとも一方を含む燃料ガスを利用して、電力需要を賄うことができる。また、都市ガスの使用量の変動により、バイオガスの供給量の変動を吸収できるため、電力需要を賄いつつ、生成されるバイオガスを100%使い切ることができる。
【0041】
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0042】
例えば、上述した実施形態では、第1のガスとしてのバイオガス及び第2のガスとしての都市ガスのうちの少なくとも一方を含む燃料ガスを利用して発電が行われるが、当該態様には限定されない。即ち、燃料としての利用に基づき発電される電力の売電価格が異なる2種類のガスであれば、第1のガス及び第2のガスとして任意のガスが採用されてよい。
【0043】
また、例えば、第1のガスを利用して発電される第1の電力、及び第2のガスを利用して発電される第2の電力の売電価格は、それぞれ、異なる市場価格として変動する態様であってもよい。この場合、取得部51は、卸電力取引所110から第1の電力及び第2の電力の市場価格情報を取得し、予測部52は、比較的短い第1の期間における第1の電力及び第2の電力の売電単価を予測する。例えば、予測部52は、第1の電力並びに第2の電力の売電単価(市場価格)に関する情報、電力需要に関する情報、及び第1のガス並びに第2のガスの少なくとも一方の価格情報のうち、少なくとも1つの情報に基づき、第1の電力及び第2の電力の売電単価を予測してよい。そして、制御部53は、予測部52により予測された第1の期間における第1の電力及び第2の電力の売電単価に基づき、燃料ガスにおける第1のガス及び第2のガスの比率(混合比率)を制御する。例えば、制御部53は、第2の電力より第1の電力の売電価格が高い場合、第2のガスより第1のガスの比率を高くし、第1の電力より第2の電力の売電価格が高い場合、第1のガスより第2のガスの比率を高くしてよい。また、制御部53は、第1の電力及び第2の電力の売電価格の差分が大きいほど、第1のガス及び第2のガスのうちの売電価格が高い方に対応するガスの比率を高くしてよい。これにより、上述した実施形態と同様、発電事業者の収益を高めることができる。