特許第6717799号(P6717799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6717799
(24)【登録日】2020年6月15日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】吐出ノズル付きキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/04 20060101AFI20200629BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20200629BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
   B65D41/04 200
   B65D47/12 200
   B65D47/06
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-237243(P2017-237243)
(22)【出願日】2017年12月11日
(65)【公開番号】特開2019-104511(P2019-104511A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2019年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 徳司
(72)【発明者】
【氏名】小林 徹也
(72)【発明者】
【氏名】川上 タケル
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 行雄
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭37−019456(JP,Y1)
【文献】 実開平01−130967(JP,U)
【文献】 特開平11−255257(JP,A)
【文献】 特開2017−145039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吐出孔が形成された吐出ノズル部を備えるキャップ本体と、該キャップ本体に螺着されて前記複数の吐出孔を封止するオーバーキャップとを有し、容器本体の口首部に取り付けて用いる吐出ノズル付きキャップであって、
前記吐出ノズル部が、前記口首部の先端開口を覆う前記キャップ本体の開口閉塞部に設けられていることで、前記複数の吐出孔は、前記開口閉塞部に配置されており、
前記オーバーキャップは、内周面に、前記複数の吐出孔の先端吐出口の開口周縁部と密着可能な封止面部を備えており、該封止面部は、前記オーバーキャップが前記キャップ本体に螺着された際に、前記複数の吐出孔の各々の前記開口周縁部と密着して、複数の前記先端吐出口を封止し、
前記複数の吐出孔は、先端吐出口の中心の前記キャップ本体の中心軸からの離間長さが異なるように配置され、且つ先端吐出口の開口周縁部の前記キャップ本体の中心軸方向の高さが異なるように配置された吐出孔を含んでおり、
前記封止面部は、前記離間長さ及び高さが異なる吐出孔の各々と対応する位置を含んで設けられると共に、前記オーバーキャップの中心軸を中心とする同心円状に設けられ、且つ前記オーバーキャップの中心軸方向の高さが異なるように設けられる複数の円形状又は円環帯状の仮想の封止面上に配置される、複数の密着面を有しており、
前記離間長さ及び高さが異なる吐出孔の高低差と、前記仮想の封止面の高低差が合致していると共に、前記オーバーキャップを前記キャップ本体に螺着して締め付けた際に、前記複数の密着面は、前記離間長さ及び高さが異なる吐出孔の先端吐出口を覆って当該先端吐出口の開口周縁部と各々密着するようになっている吐出ノズル付きキャップ。
【請求項2】
前記離間長さ及び高さが異なる吐出孔の先端吐出口の開口周縁部は、前記キャップ本体の中心軸と垂直で互いに平行な仮想の面上に配置されるように形成されており、前記仮想の封止面は、前記オーバーキャップの中心軸と垂直で互いに平行な仮想の面となっている請求項記載の吐出ノズル付きキャップ。
【請求項3】
前記離間長さ及び高さが異なる吐出孔は、前記開口閉塞部の中央部に配置される中央部吐出孔を含んでおり、該中央部吐出孔の先端吐出口の開口周縁部の高さは、他の吐出孔の先端吐出口の開口周縁部の高さよりも、前記キャップ本体の中心軸方向の高さが高くなっている請求項又は記載の吐出ノズル付きキャップ。
【請求項4】
前記離間長さ及び高さが異なる吐出孔は、前記先端吐出口の中心の前記キャップ本体の中心軸からの離間長さが同じになっている複数の吐出孔を含んでおり、これらの離間長さが同じになっている吐出孔は、先端吐出口の開口周縁部の前記キャップ本体の中心軸方向の高さが、同じになっている請求項1〜3のいずれか1項記載の吐出ノズル付きキャップ。
【請求項5】
前記離間長さが同じになっている吐出孔は、前記キャップ本体の中心軸を挟んだ両側に、対称に配置されて少なくとも一対設けられている請求項記載の吐出ノズル付きキャップ。
【請求項6】
前記複数の吐出孔の先端吐出口の開口周縁部に、環状に連続するコンタクトリングが突出して設けられている請求項1〜のいずれか1項記載の吐出ノズル付きキャップ。
【請求項7】
前記キャップ本体を形成する樹脂と前記オーバーキャップを形成する樹脂とは、異なる弾性率の樹脂である請求項1〜のいずれか1項記載の吐出ノズル付きキャップ。
【請求項8】
前記オーバーキャップを前記キャップ本体に螺着して締め付けた際に、互いに当接するように形成された肩当て段部が、前記オーバーキャップの内周面と前記キャップ本体の外周面に各々設けられており、前記オーバーキャップの内周面に設けられた肩当て段部と前記仮想の封止面との前記オーバーキャップの中心軸方向の高低差が、前記キャップ本体の外周面に設けられた肩当て段部と前記離間長さ及び高さが異なる吐出孔の先端吐出口の開口周縁部との前記キャップ本体の中心軸方向の高低差と、同じか若しくは僅かに小さくなっている請求項1〜のいずれか1項記載の吐出ノズル付きキャップ。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項記載の吐出ノズル付きキャップが、容器本体の前記口首部に装着されている吐出ノズル付き容器。
【請求項10】
前記容器本体が、胴部を押圧することで内容液を吐出させるスクイズ容器の容器本体である請求項記載の吐出ノズル付き容器。
【請求項11】
請求項又は10記載の吐出ノズル付き容器に、内容液が収容されている容器製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出ノズル付きキャップに関し、具体的には、吐出ノズル部を備えるキャップ本体と、キャップ本体に螺着されるオーバーキャップとを有する吐出ノズル付きキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体に収容した内容液を吐出ノズル部から吐出させる吐出容器として、例えばスクイズ容器が知られている。スクイズ容器は、内容液が収容された、例えば可撓性を有する合成樹脂製のボトル形状の容器本体を傾倒させると共に、容器本体の口首部に取り付けられたキャップの先端の吐出孔を吐出箇所に向けた状態で、容器本体の胴部を押圧することにより、内部の圧力を高めて、内容液を吐出孔の先端吐出口から線状に連続吐出させることが可能である。
【0003】
また、スクイズ容器等の吐出容器に取り付けられるキャップとして、容器本体の口首部の先端開口を覆う閉塞部に設けられた吐出ノズル部に、複数の吐出孔を形成することで吐出箇所への吐出領域を広げて、より広い面積の吐出箇所に対しても内容液を効率良く吐出できるようにした吐出ノズル付きキャップも開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−178889号公報
【特許文献2】意匠登録第1296707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吐出ノズル部に複数の吐出孔を形成することで、吐出箇所への吐出領域が広がるようにした従来の吐出ノズル付きキャップによれば、内容液を吐出させない吐出容器の非使用時に、複数の吐出孔をまとめて封止しておくことが必要である。複数の吐出孔をまとめて封止しておくことを可能にするキャップとして、例えば、複数の吐出孔が形成された吐出ノズル部を備えるキャップ本体の周縁部分に、ヒンジ部を介してオーバーキャップを接続させると共に、オーバーキャップの内側面における吐出ノズル部の複数の吐出孔と対応する位置に、これらの先端吐出口に各々嵌め込まれる複数の封止用突起を、内側に突出させて設けたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2のキャップでは、吐出ノズル部を閉塞する位置にオーバーキャップを配置した際に、封止用突起が、複数の吐出孔に各々嵌め込まれることでこれらの吐出孔を封止して、吐出容器の非使用時に、液漏れが生じないようにすることが可能である。
【0006】
しかしながら、従来の、封止用突起を複数の吐出孔に各々嵌め込むことで吐出孔を封止して、吐出容器の非使用時に液漏れが生じないようにした吐出ノズル付きキャップによれば、複数の吐出孔の各々に同時に嵌め込まれる複数の封止用突起を、オーバーキャップの内側面に精度良く形成することが難しく、特に、吐出ノズル部に形成された複数の吐出孔の先端吐出口に、段差や高低差がある場合には、先端吐出口の異なる高さ位置に合致させて、各々の封止用突起を精度良く形成することが難しくなり、またオーバーキャップの構成も複雑になる。
【0007】
本発明は、簡易な構成によって、吐出ノズル部に形成された複数の吐出孔をオーバーキャップを用いて封止して、吐出容器の非使用時に液漏れが生じるのを効果的に回避することのできる吐出ノズル付きキャップに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の吐出孔が形成された吐出ノズル部を備えるキャップ本体と、該キャップ本体に螺着されて前記複数の吐出孔を封止するオーバーキャップとを有し、容器本体の口首部に取り付けて用いる吐出ノズル付きキャップであって、前記吐出ノズル部が、前記口首部の先端開口を覆う前記キャップ本体の開口閉塞部に設けられていることで、前記複数の吐出孔は、前記開口閉塞部に配置されており、前記オーバーキャップは、内周面に、前記複数の吐出孔の先端吐出口の開口周縁部と密着可能な封止面部を備えており、該封止面部は、前記オーバーキャップが前記キャップ本体に螺着された際に、前記複数の吐出孔の各々の前記開口周縁部と密着して、複数の前記先端吐出口を封止する吐出ノズル付きキャップを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、上記の吐出ノズル付きキャップが、容器本体の口首部に装着されている吐出ノズル付き容器を提供するものである。
【0010】
さらに、本発明は、上記の吐出ノズル付き容器に、内容液が収容されている容器製品を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の吐出ノズル付きキャップ、吐出ノズル付き容器又は容器製品によれば、簡易な構成によって、吐出ノズル部に形成された複数の吐出孔をオーバーキャップを用いて封止して、吐出容器の非使用時に液漏れが生じるのを効果的に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の好ましい一実施形態に係る吐出ノズル付きキャップが取り付けられた吐出ノズル付き容器を、オーバーキャップを外した状態で示す斜視図である。
図2】本発明の好ましい一実施形態に係る吐出ノズル付きキャップを、オーバーキャップをキャップ本体に螺着した状態で示す図1のA−Aに沿った断面図である。
図3】本発明の好ましい一実施形態に係る吐出ノズル付きキャップを、オーバーキャップをキャップ本体に螺着した状態で示す図1のB−Bに沿った断面図である。
図4】オーバーキャップの断面図である。
図5】本発明の好ましい一実施形態に係る吐出ノズル付きキャップのキャップ本体の斜視図である。
図6】本発明の好ましい一実施形態に係る吐出ノズル付きキャップのキャップ本体の、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図7】(a)は、図6(b)のC−Cに沿った断面図、(b)は、図6(a)のD−Dに沿った断面図である。
図8】本発明の好ましい一実施形態に係る吐出ノズル付きキャップのキャップ本体が取り付けられた吐出ノズル付き容器から内容液を吐出させている状態を説明する平面図である。
図9】他の形態のオーバーキャップを例示する、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は(b)のE−Eに沿った断面図、(d)は(b)のF−Fに沿った断面図である。
図10図9のオーバーキャップをキャップ本体に締着した状態の断面図である。
図11】(a)は、キャップ本体の他の形態を例示する斜視図、(b)は、(a)のキャップ本体に他の形態のオーバーキャップを取り付けた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい一実施形態に係る吐出ノズル付きキャップ10は、図1図3に示すように、吐出ノズル付き容器として、好ましくはスクイズ容器20の容器本体22の口首部21(図2図3参照)に着脱可能に一体として装着して用いられる。吐出ノズル付き容器であるスクイズ容器20は、合成樹脂製のボトル形状の容器となっており、容器本体22に内容液として例えば浴室清掃用の液体洗剤が収容されていることで、容器製品として販売されるようになっている。
【0014】
スクイズ容器20は、例えば容器本体22の胴部22aを把持して傾倒させた状態で、胴部22aを挟み込むようにして押圧することによりスクイズ変形させながら、内部に圧力を加えることによって、吐出ノズル付きキャップ10のキャップ本体40の開口閉塞部11に設けられた吐出ノズル部19に形成された、複数の吐出孔12から、被吐出箇所に向けて内容液を吐出できるようになっている。本実施形態の吐出ノズル付きキャップ10は、吐出ノズル部19に複数の吐出孔12を備えており、これらの吐出孔12の先端吐出口12aから各々線状に連続吐出される内容液を重なり合い難くすると共に、広い面積の吐出箇所に対して、内容液を広い吐出幅B(図8参照)で効率良く吐出できるようにする機能を備えている。また本実施形態の吐出ノズル付きキャップ10は、開口閉塞部11の吐出ノズル部19に形成された複数の吐出孔12を、オーバーキャップ50を用いて一度にまとめて封止して、スクイズ容器20の非使用時に液漏れが生じるのを効果的に回避できるようになっている。
【0015】
そして、本実施形態の吐出ノズル付きキャップ10は、複数の吐出孔12が形成された吐出ノズル部19を備えるキャップ本体40と、キャップ本体40に螺着されて複数の吐出孔12を封止するオーバーキャップ50とを有し、吐出ノズル付き容器として、好ましくはスクイズ容器20の容器本体22の口首部21に取り付けて用いるキャップである。吐出ノズル部19が、口首部21の先端開口21aを覆うキャップ本体40の開口閉塞部11に設けられていることで、複数の吐出孔12は、開口閉塞部11に配置されている。オーバーキャップ50は、内周面に、複数の吐出孔12の先端吐出口12aの開口周縁部12bと密着可能な封止面部51(図2図3参照)を備えており、この封止面部51は、オーバーキャップ50がキャップ本体40に螺着された際に、複数の吐出孔12の各々の開口周縁部12bと密着して、複数の先端吐出口12aを封止するようになっている。
【0016】
また、本実施形態では、複数の吐出孔12は、先端吐出口12aの中心のキャップ本体40の中心軸Z1(図2参照)からの離間長さが異なるように配置され、且つ先端吐出口12aの開口周縁部12bのキャップ本体40の中心軸Z1方向の高さが異なるように配置された吐出孔12を含んでいる。先端吐出口12aの開口周縁部12bの高さは、例えば、キャップ本体40の下端開口面40aからの中心軸Z1方向の高さである。封止面部51は、離間長さ及び高さが異なる吐出孔12の各々と対応する位置を含んで設けられると共に、オーバーキャップ50の中心軸Z2(図4参照)を中心とする同心円状に設けられ、且つオーバーキャップ50の中心軸Z2方向の高さが異なるように設けられる複数の円形状又は円環帯状の仮想の封止面52上に配置される、複数の密着面51a,51bを有している。複数の円形状又は円環帯状の仮想の封止面52の中心軸Z2方向の高さは、例えば、オーバーキャップ50の下端開口面50iからの中心軸Z2方向の高さである。離間長さ及び高さが異なる吐出孔12の高低差h1(図7(a)参照)と、仮想の封止面52の高低差h2(図4参照)が合致していると共に、オーバーキャップ50をキャップ本体40に螺着して締め付けた際に、複数の密着面51a,51bは、離間長さ及び高さが異なる吐出孔12の先端吐出口12aを覆って当該先端吐出口12aの開口周縁部と各々密着するようになっている。
【0017】
さらに、本実施形態では、キャップ本体40の中心軸Z1からの離間長さ及び中心軸Z1方向の高さが異なる吐出孔12の先端吐出口12aの開口周縁部12bは、好ましくはキャップ本体40の中心軸Z1と垂直で互いに平行な仮想の面30(図7(a)参照)上に配置されるように形成されており、上述の仮想の封止面52は、図4に示すように、オーバーキャップ50の中心軸Z2と垂直で互いに平行な仮想の面となっている。
【0018】
さらにまた、本実施形態では、キャップ本体40の中心軸Z1からの離間長さ及び中心軸Z1方向の高さが異なる吐出孔12は、開口閉塞部の中央部に配置される中央部吐出孔12’を含んでいる。この中央部吐出孔12’の先端吐出口12aの開口周縁部12bの高さは、他の吐出孔12の先端吐出口12aの開口周縁部12bの高さよりも、キャップ本体40の中心軸Z1方向の例えば下端開口面40aからの高さが高くなっている。なお、本実施形態では、中央部吐出孔12’は、先端吐出口12aの中心がキャップ本体40の中心軸Z1に重ねられて、キャップ本体40の中心軸Z1から離間していない状態(離間長さ=0)で設けられている。
【0019】
また、本実施形態では、キャップ本体40の中心軸Z1からの離間長さ及び中心軸Z1方向の高さが異なる吐出孔12は、先端吐出口12aの中心のキャップ本体40の中心軸Z1からの離間長さが同じになっている複数の吐出孔12(本実施形態では、両側の端部の吐出孔12)を含んでおり、これらの離間長さが同じになっている吐出孔12は、先端吐出口12aの開口周縁部12bの、キャップ本体40の中心軸Z1方向の例えば下端開口面40aからの高さが、同じになっている。これらのキャップ本体40の中心軸Z1からの離間長さが同じになっている吐出孔12は、好ましくは、キャップ本体40の中心軸Z1を挟んだ両側に、対称に配置されて少なくとも一対(本実施形態では一対)設けられている。
【0020】
なお、本明細書において、キャップ本体40やオーバーキャップ50における下方や下端は、容器本体22側の部分示し、上方や上部は、下方や下端の逆方向の部分を示す。これらの上/下は、吐出ノズル付きキャップ10、スクイズ容器20を使用する際の姿勢とは無関係である。
【0021】
本実施形態では、スクイズ容器20を構成する容器本体22は、図1に示すように、例えば高分子化合物等の合成樹脂として、好ましくはポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(L−LDPE)、またはこれらとエラストマーとをブレンドした樹脂等からなるボトル形状を有するブロー成形品であって、胴部22aが弾性変形可能な可撓性を備えていることで、押圧変形(スクイズ変形)可能なスクイズ容器20を形成している。また、スクイズ容器20の容器本体22は、押圧後にその弾性変形性により、元の形状に復元することが好ましい。スクイズ容器20の容器本体22は、胴部22aと、口首部21と、底部23とからなり、底部23を載置面に載置することで、スクイズ容器20や容器製品を、立設させた状態で店頭に陳列したり、家庭内で保管したりできるようになっている。容器本体22の胴部22aは、上部が滑らかに縮径した、直径が例えば30〜100mm程度の大きさの中空の略円筒形状を有しており、片手で把持して、押圧操作を容易に行うことができるようになっている。
【0022】
胴部22aの縮径した上部から、肩部22b(図2図3参照)を介して上方に突出して、口首部21が容器本体22に設けられている。この口首部21の先端開口21aを開口閉塞部11によって覆うようにして、吐出ノズル付きキャップ10のキャップ本体40が、口首部21に着脱可能に取り付けられている。スクイズ容器20の容器本体22の口首部21の先端開口21aは、直径が例えば10mm〜100mm程度の大きさとなっていることが好ましく、20mm〜70mm程度の大きさとなっていることが更に好ましい。なお、容器本体22の胴部22aや口首部21の形状については特に制限はなく、円形の断面形状を備えているものの他、長円、楕円、長方形等の断面形状を備えていても良い。
【0023】
吐出ノズル付きキャップ10は、上述のように、容器本体22に取り付けられるキャップ本体40と、キャップ本体40に螺着されるオーバーキャップ50とを備えている。キャップ本体40は、図5図7に示すように、例えば高分子化合物等の合成樹脂からなる射出成形品であって、容器本体22の口首部21(図2図3参照)に取り付けるための装着筒状部17を備えている。装着筒状部17の肩部17aから立設して、容器本体22の口首部21の先端開口21aを閉塞する開口閉塞部11が設けられている。キャップ本体40は、開口閉塞部11と装着筒状部17とを含んで構成されている。
【0024】
キャップ本体40の装着筒状部17は、スクイズ容器20の容器本体22の口首部21の外径と同様の内径を備えており、上端部から径方向内側に環状に連続して張り出して、開口閉塞部11との接続部となる肩部17aが形成されている。装着筒状部17の内周面には、雌ネジ凸条17bが設けられている(図7(a)、(b)参照)。この雌ネジ凸条17bを、スクイズ容器20の容器本体22の口首部21の外周面に設けられた雄ネジ突条21b(図2図3参照)に螺着することによって、吐出ノズル付きキャップ10のキャップ本体40を、スクイズ容器20の容器本体22の口首部21に締着固定できるようになっている。
【0025】
キャップ本体40を容器本体22の口首部21に締着した状態では、装着筒状部17の内側面と、肩部17aの内側縁部から下方に延設して環状に設けられたプラグシール17cとの間に、口首部21の上端部が挟み込まれるようになっており、また口首部21の先端が肩部17aの下面に当接するようになっている。装着筒状部17の外周面には、好ましくは線状の凹凸を周方向に連続させたローレット加工17dが施されている(図5図6参照)。ローレット加工17dによる滑り止め機能によって、キャップ本体40を容器本体22の口首部21に着脱する操作を、さらに容易に行うことが可能になると共に、容器の外観にローレット加工17dによるアクセントを加えることによって、スクイズ容器20の全体の意匠性を一層向上させることが可能になる。
【0026】
キャップ本体40の開口閉塞部11は、容器本体22の口首部21の先端開口21aを覆って配置される部分であって、本実施形態では、円筒状基部18と、円筒状基部18の上端部から上方に突出して設けられた、吐出ノズル部19とを含んで構成されている。開口閉塞部11の吐出ノズル部19に、吐出孔12が、開口閉塞部11の直径方向Xに列状に並べて配置されて、3箇所に形成されている。
【0027】
円筒状基部18は、装着筒状部17の肩部17aの内側縁部から立設して一体として設けられた、装着筒状部17の外径よりも小さな外径を有する円筒状の部分となっている。円筒状基部18の内周面は、装着筒状部17に設けられたインナーリング17cの内周面と、面一になるように形成されており(図7(a)、(b)参照)、また外周面には、オーバーキャップ50(図2参照)を螺着させる雄ネジ凸条18aが設けられている。
【0028】
吐出ノズル部19は、円筒状基部18の上端部から立設する外周壁部19aと、外周壁部19aよって周囲を囲まれて、外周壁部19aに一体として設けられた天面部19bとを含んで形成されている(図5参照)。吐出ノズル部19の外周壁部19aは、円筒状基部18の外径よりも僅かに小さな外径を備える、高さが低い円筒状の部分であって、円筒状基部18と同心円状に配置されることで、円筒状基部18との間に、これらの境界部分である段差部19cが形成されている。この段差部19cは、後述するようにオーバーキャップ50をキャップ本体40に螺着して締め付けた際に、オーバーキャップ50の円筒部50bの内側壁面に設けられた肩当て段部50jと当接可能な、キャップ本体40の外周面に設けられた肩当て段部として機能するようになっている。外周壁部19aは、天面部19bの外周縁部よりも高い位置まで立設しており、これによって液溜め壁として機能するようになっている。また外周壁部19aの外周面には、外周壁部19aの先端面から離間して、周方向に環状に連続する環状段差フランジ26が、外側に突出して設けられている(図6(a),(b)参照)。
【0029】
吐出ノズル部19の天面部19bは、外周壁部19aの上端部の開口を閉塞するようにして、外周壁部19aに一体として設けられた、円形の平面視形状を有すると共に、中央部分が盛り上がった立体形状を備える板状の部分である(図5参照)。天面部19bは、外周縁部を外周壁部19aの上端よりも一段低い位置に配置して形成されている。天面部19bには、これの平面視形状の中央部分を横断して、帯状先端面19dが上方に突出して設けられている。帯状先端面19dは、天面部19bの直径方向Xに沿った縦断形状が、上方に向けて凸に湾曲していることで、湾曲凸面となっている。帯状先端面19dは、両側の外周壁部19aに近接する部分を除いた殆どの部分が、外周壁部19aよりも上方に突出した状態で設けられている。帯状先端面19dの両側の側方領域には、なだらかに凹状に湾曲する湾曲凹面が形成されており、これによって天面部19bの外周縁部は、外周壁部19aに、当該外周壁部19aの上端よりも一段低い位置において接続している。
【0030】
また、帯状先端面19dには、これの中央部分及び中央部分を挟んだ両側の合計3箇所に、外方突出スリーブ部15が、上方(外側)に突出して設けられている。これらの3箇所の外方突出スリーブ部15の下方に連続させるようにして、内方突出スリーブ部16が、下方(内側)に突出して3箇所に設けられている。外方突出スリーブ部15及び内方突出スリーブ部16を貫通させると共に、吐出ノズル部19の天面部19bの一部を構成する、帯状先端面19dを貫通させることで、これらの貫通孔が連続する吐出孔12が、好ましくは相当の流路長さを備える吐出流路として形成されている。これによって吐出孔12は、開口閉塞部11の帯状先端面19dの中央部分及び両側の端部の3箇所に、中央部吐出孔12’及びこれの両側の吐出孔12として、開口閉塞部11の直径方向Xに列状に並べて設けられることになる。
【0031】
本実施形態では、開口閉塞部11の帯状先端面19dに設けられた3箇所の吐出孔12は、先端吐出口12aが外方突出スリーブ部15の先端部に設けられており、先端吐出口12aの開口周縁部12bは、好ましくは、キャップ本体40の下端開口面40a(図2参照)と平行なフラットな面上に配置されている。また、3箇所の吐出孔12の先端吐出口12aは、例えば0.5〜10mm程度の高低差h1(図7(a)参照)で、開口閉塞部11の直径方向Xの中心側に配置される中央部吐出孔12’の先端吐出口12aの方が、これの両側に配置される両端部の吐出孔12の先端吐出口12aよりも、キャップ本体40の下端開口面40aからの高さが高くなるように形成されている。さらに、本実施形態では、好ましくは、3箇所の吐出孔12の先端吐出口12aの開口周縁部12bに、各々、環状に連続するコンタクトリング12cが突出して設けられている。吐出孔12の先端吐出口12aの開口周縁部12bに、環状に連続するコンタクトリング12cが突出して設けられていることにより、コンタクトリング12cの弾性変形によって段差のバラつきを吸収して、オーバーキャップ50の封止面部51による複数の吐出孔12の先端吐出口12aの封止を、確実に行うことが可能になる。
【0032】
また、本実施形態では、開口閉塞部11の直径方向Xの両端部に配置される、中央部吐出孔12’の両側の吐出孔12は、これらの吐出先端部の先端部中心軸12d(図7(a)参照)が、吐出方向Z(図8参照)に向けて開口閉塞部11の直径方向Xの外側に、傾斜した状態で形成されている。これによって、複数の吐出孔12の先端吐出口12aから各々線状に連続吐出される内容液を重なり合わせることなく、全体の吐出幅B(図8参照)が広がるようにして、広い面積の吐出箇所に対して内容液を効率良く吐出させることのできるようになっている。
【0033】
キャップ本体40と共に吐出ノズル付きキャップ10を構成するオーバーキャップ50(図1参照)は、好ましくはキャップ本体40を形成する合成樹脂とは異なる弾性率の合成樹脂を用いて形成される射出成形品である。オーバーキャップ50は、キャップ本体40を形成する合成樹脂よりも弾性率が大きく、ひずみが小さい合成樹脂を用いて形成することが、より好ましい。これによって、図2及び図3に示すように、オーバーキャップ50をキャップ本体40に締着した際に、オーバーキャップ50の内周面に形成された封止面部51の、キャップ本体40に形成された複数の吐出孔12の各々の開口周縁部12bとの密着性を向上させることが可能になる。また、オーバーキャップ50が変形し難くなるので、オーバーキャップ50に跡がついてシール不良を生じ易くなるのを、効果的に回避することが可能になる。オーバーキャップ15を形成する合成樹脂として、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(HDPE、LDPE、L−LDPE)、ポリエチレンテレフタレート等を好ましく用いることができる。キャップ本体11を形成する合成樹脂として、例えばポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、L−LDPE)等を好ましく用いることができる。さらに、オーバーキャップ50を形成する合成樹脂よりも、キャップ本体40を形成する合成樹脂を柔らかくすることが好ましい。オーバーキャップ50を形成する合成樹脂をポリプロピレンとし、キャップ本体40を形成する合成樹脂をポリエチレン(HDPE、LDPE、L−LDPE)とすることがより好ましい。例えば、本実施形態では、オーバーキャップ50にPPを、キャップ本体40にL−LDPEを用いている。オーバーキャップ50を形成する合成樹脂の弾性率は、1000〜3000Mpaとすることが好ましく、キャップ本体40を形成する合成樹脂の弾性率は、100〜500Mpaとすることが好ましい。
【0034】
オーバーキャップ50は、天面部50aと円筒部50bとの接続角部分50eが湾曲形状に面取りされた、有天の円筒形状を備えるキャップ部材となっている。オーバーキャップ50の円筒部50bの内側壁面には、雌ネジ凸条50cが形成されており、この雌ネジ凸条50cを、キャップ本体40の円筒状基部18の外周面に形成された雄ネジ凸条18aに螺着することによって、オーバーキャップ50を、吐出ノズル部19を覆ってキャップ本体40に締着固定できるようになっている。また、オーバーキャップ50の円筒部50bの外周面には、好ましくは線状の凹凸を周方向に連続させたローレット加工50dが施されている(図1参照)。ローレット加工50dによる滑り止め機能によって、オーバーキャップ50をキャップ本体40の開口閉塞部11の円筒状基部18に着脱する操作を、さらに容易に行うことが可能になると共に、容器の外観にローレット加工50dによるアクセントを加えることによって、キャップ本体40の装着筒状部17の外周面に施されたローレット加工17dと共に、スクイズ容器20の全体の意匠性を一層向上させることが可能になる。
【0035】
オーバーキャップ50の天面部50aは、円筒部50bとの接続角部分50eの内側に連接して配置された円環状平坦部50fと、円環状平坦部50fによって囲まれる天面部50aの中央部分において、湾曲接続傾斜部50hを介して円環状平坦部50fよりも一段高い位置に配置された、円形マウンド部50gとを含んで形成されている。円形マウンド部50gは、周縁部によって囲まれるこれの内側部分が、やや窪んだ形状に形成されている。円環状平坦部50fと円形マウンド部50gとは、図4に示すように、同様の肉厚を有するように形成されている。円環状平坦部50f及び円形マウンド部50gの下面には、キャップ本体40の複数(3箇所)の吐出孔12の先端吐出口12aの開口周縁部12bと密着可能な封止面部51を構成する、オーバーキャップ50の中心軸Z2と垂直で互いに平行な仮想の封止面52上に配置され、且つ同心円状に配置された、径方向内側の円形密着面51aと径方向外側の円環状密着面51bとが形成されている。
【0036】
封止面部51を構成するこれらの円形密着面51aと円環状密着面51bとは、開口閉塞部11の吐出ノズル部19の帯状先端面19dに設けられた3箇所の吐出孔12と、対応させた領域に配置されて設けられている。円形密着面51aは、オーバーキャップ50が装着される際に、開口閉塞部11の直径方向Xの中央部分の吐出孔(中央部吐出孔)12’の直上部分に配置されるように、天面部50aの中央部分に設けられる。円形密着面51aは、吐出孔12の先端吐出口12aの直径よりも大きな直径を備え、先端吐出口12aの開口面積よりも大きな面積を有する円形状の平面形状を有する密着面として形成される。円環状密着面51bは、開口閉塞部11の直径方向Xの両側の端部の吐出孔12の直上部分を含んで配置されるように、両側の吐出孔12の中心間の線分を直径とする円に沿った、先端吐出口12aの直径よりも幅の広い、円環帯状の平面形状を有する密着面として形成される。
【0037】
また、封止面部51を構成するこれらの円形密着面51aと円環状密着面51bとは、オーバーキャップ50の例えば下端開口面50iからの中心軸Z2方向の高さが異なるように設けられる、円形状又は円環帯状の仮想の封止面52上に配置される。これによって、円形密着面51aと円環状密着面51bとは、キャップ本体40の吐出ノズル部19における中央部吐出孔12’の先端吐出口12aと、両側の吐出孔12の先端吐出口12aとの高低差h1と同様の、例えば0.5〜10mm程度の高低差h2(図4参照)で、オーバーキャップ50の例えば下端開口面50iからの中心軸Z2方向の高さが、中央部分の円形密着面51aの方が、これの外周部分の円環状密着面51bよりも、高くなるように形成されている。本実施形態では、円形密着面51aと円環状密着面51bとは、円形状又は円環帯状の仮想の封止面52と同様の形状の、円形状又は円環帯状の平面形状を有する密着面として形成されている。
【0038】
さらに、本実施形態では、オーバーキャップ50の円筒部50bの内側壁面に、肩当て段部50jが設けられている。肩当て段部50jは、オーバーキャップ50の円筒部50bの内側壁面に形成された雌ネジ凸条50cに近接する、これの直上部分に形成されている。肩当て段部50jは、オーバーキャップ50をキャップ本体40に螺着して締め付けた際に、上述のキャップ本体40の吐出ノズル部19の外周壁部19aと円筒状基部18との段差部19cによる肩当て段部に当接可能となっている(図2図3参照)。すなわち、本実施形態では、オーバーキャップ50をキャップ本体40に螺着して締め付けた際に、互いに当接するように形成された肩当て段部50j,19cが、オーバーキャップ50の内側壁面とキャップ本体40の外周面に各々設けられている。またオーバーキャップ50の内側壁面に設けられた肩当て段部50jと、各々の仮想の封止面52とのオーバーキャップ50の中心軸Z2方向の高低差が、キャップ本体40の外周面に設けられた肩当て段部19cと、離間長さ及び高さが異なる各々の吐出孔12の先端吐出口12aの開口周縁部12bとの本体キャップ40の中心軸Z1方向の高低差と、同じか若しくは僅かに小さくなっている。
【0039】
これによって、オーバーキャップ50をキャップ本体40に螺着して、吐出孔12の先端吐出口12aが、封止面部51の円形密着面51aや円環状密着面51によって封止された後、さらにオーバーキャップ50が締め着けられた際に、肩当て段部50j,19cが互いに当接して、過度に締め着けられないようにすることで、例えば吐出ノズル部19の外方突出スリーブ部15が過剰に変形することになるのを、効果的に回避することが可能になる。
【0040】
上述の構成を備える本実施形態の吐出ノズル付きキャップ10は、容器本体22の口首部21に着脱可能に取り付けられて、容器本体22と共にスクイズ容器20を形成する(図1参照)。スクイズ容器20は、例えば容器本体22の胴部22aを把持して傾倒させた状態で、胴部22aを挟み込むようにして押圧することによりスクイズ変形させながら、内部に圧力を加える。これによって、図8に示すように、吐出ノズル付きキャップ10のキャップ本体40の開口閉塞部11に設けられた吐出ノズル部19に形成された、複数の吐出孔12から、被吐出箇所に向けて内容液を吐出できるようになっている。キャップ本体40の開口閉塞部11の直径方向Xの両端部に配置される両側の吐出孔12は、これらの吐出先端部の先端部中心軸12dが、吐出方向Zに向けて開口閉塞部11の直径方向X外側に、傾斜した状態で形成されているので(図7(a)参照)、複数の吐出孔12の先端吐出口12aから各々線状に連続吐出される内容液を重なり合わせることなく、全体の吐出幅Bが広がるようにして、広い面積の吐出箇所に対しても内容液を効率良く吐出させることが可能なる。
【0041】
そして、上述の構成を備える本実施形態の吐出ノズル付きキャップ10によれば、スクイズ容器20の容器本体22の口首部21に取り付けて用いられ、スクイズ容器20の非使用時に、簡易な構成によって、吐出ノズル部13に形成された複数(3箇所)の吐出孔12をオーバーキャップ50を用いて封止して、複数(3箇所)の吐出孔12から液漏れが生じるのを効果的に回避することが可能になる。
【0042】
すなわち、本実施形態によれば、吐出ノズル付きキャップ10は、複数の吐出孔12が形成された吐出ノズル部19を備えるキャップ本体40と、キャップ本体40に螺着されて複数の吐出孔12を封止するオーバーキャップ50とを備えており、キャップ本体40には、複数の吐出孔12を有する吐出ノズル部19が、口首部21の先端開口21aを覆う開口閉塞部11に設けられている。またオーバーキャップ50は、内周面に、複数の吐出孔12の先端吐出口12aの開口周縁部12bと密着可能な封止面部51を備えており、この封止面部51は、オーバーキャップ50がキャップ本体40に螺着された際に、複数の吐出孔12の各々の開口周縁部12bと密着して、先端吐出口12aを封止できるようになっている。
【0043】
したがって、本実施形態の吐出ノズル付きキャップ10によれば、オーバーキャップ50の内周面に所定の密着面51a,51bを形成するだけの、精度良く成形することが容易な簡易な構成によって、内周面に複数の封止用突起を精度良く形成するといった複雑な構成を要することなく、且つオーバーキャップ50を螺着するだけの簡易な操作によって、吐出ノズル部13に形成された複数(3箇所)の吐出孔12の各々を一度に容易に封止できるようにして、スクイズ容器20の非使用時にこれらの吐出孔12から液漏れが生じるのを、効果的に回避することが可能になる。
【0044】
また、本実施形態によれば、キャップ本体40に設けられた複数の吐出孔12は、キャップ本体40の中心軸Z1からの離間長さが異なるように配置され、且つ先端吐出口12aの開口周縁部12bのキャップ本体40の中心軸Z1方向の高さが異なるように配置された吐出孔12を含んでいるが、封止面部51は、離間長さ及び高さが異なるこれらの吐出孔12の各々と対応する位置を含んで配設されると共に、オーバーキャップ50の中心軸Z2を中心とする同心円状に設けられ、且つオーバーキャップ50の中心軸Z2方向の高さが異なるように設けられる複数の円形状又は円環帯状の仮想の封止面52上に配置される、複数の密着面51a,51bを有しており、且つ離間長さ及び高さが異なる吐出孔12の高低差h1と、仮想の封止面52の高低差h2が合致しているので、複数の吐出孔12の先端吐出口12aの高さ位置に段差や高低差がある場合であっても、これらの先端吐出口12aの異なる高さ位置に合致させて、封止面部51の円形密着面51aや円環状密着面51bを、所望の高さ位置に精度良く形成することが可能になり、段差や高低差がある複数の先端吐出口12aを、一度にまとめて容易に封止できるようにして、スクイズ容器20の非使用時に複数の吐出孔12から液漏れが生じるのを、効果的に回避することが可能になる。
【0045】
図9(a)〜(d)は、上記実施形態のキャップ本体40と組み合わせて用いられる、他の形態のオーバーキャップ60を例示するものである。図9(a)〜(d)に示すオーバーキャップ60は、上記実施形態のオーバーキャップ50と同様の合成樹脂を用いて形成される射出成形品となっており、ドーム状の外周面形状を備える天面部60aと、天面部60aの外周縁部から筒状に延設して設けられた円筒部60bとを有する、有天の円筒形状を備えるキャップ部材となっている。オーバーキャップ60の円筒部60bの内側壁面には、雌ネジ凸条60cが形成されており、この雌ネジ凸条60cを、キャップ本体40の円筒状基部18の外周面に形成された雄ネジ凸条18aに螺着することによって、オーバーキャップ60を、吐出ノズル部19を覆ってキャップ本体40に締着固定できるようになっている(図10参照)。オーバーキャップ60の円筒部60bの外周面には、好ましくは線状の凹凸を周方向に連続させたローレット加工60dが施されている。
【0046】
オーバーキャップ60のドーム状の外周面の天面部60aには、円形状の平面形状を有する円形凹部63が、中央部分に形成されている。円形凹部63のオーバーキャップ60の中空内部に面した内周面には、キャップ本体40の吐出ノズル部19に設けられた中央部吐出孔12’の先端吐出口12aを封止する(図10参照)、円形密着面61aが形成されている(図9(c)、(d)参照)。また、オーバーキャップ60のドーム状の外周面の天面部60aには、円形凹部63の径方向外側に、一対の円弧状凹部64が、円弧状に延設して形成されている。一対の円弧状凹部64は、天面部60aに、円形凹部63の中心を回転中心とする回転対称形状に配置されている。一対の円弧状凹部64のオーバーキャップ60の中空内部に面した内周面には、キャップ本体40の吐出ノズル部19に設けられた両端部の吐出孔12の先端吐出口12aを封止する(図10参照)、一対の円弧状密着面61bが形成されている(図9(c)、(d)参照)。
【0047】
円形凹部63の下面側の円形密着面61aと、円弧状凹部64の下面側の円弧状密着面61bとは、キャップ本体40の複数(3箇所)の吐出孔12の先端吐出口12aの開口周縁部12bと密着可能な封止面部61を構成しており、オーバーキャップ60の中心軸Z3と垂直で互いに平行な円形状又は円環帯状の仮想の封止面62上に配置されている。すなわち、円形凹部63の下面側の円形密着面61aは、オーバーキャップ60の中心軸Z3と垂直な中央部分の円形状の仮想の封止面62上に設けられている。円形凹部63の下面側の円形密着面61aは、オーバーキャップ60が装着された際に、キャップ本体40に設けられた中央部吐出孔12’の直上部分に配置されるように、天面部60aの中央部分に、先端吐出口12aの開口面積よりも大きな面積を有する円形状の平面形状を有する密着面として形成されている。円弧状凹部64の下面側の一対の円弧状密着面61bは、オーバーキャップ60の中心軸Z3と垂直な、中央部分の外側の円環帯状の仮想の封止面62上に、環状に連続することなく、円周方向に分断された状態で設けられている。円弧状密着面61bは、オーバーキャップ60が装着された際に、キャップ本体40に設けられた両側の端部の吐出孔12の直上部分を含んで配置されるように、両側の吐出孔12の中心間の線分を直径とする円に沿った、先端吐出口12aの直径よりも幅の広い、円弧状の平面形状を有する密着面として形成されている。
【0048】
また、封止面部61を構成するこれらの円形密着面61aと円弧状密着面61bとは、オーバーキャップ60の例えば下端開口面60eからの中心軸Z3方向の高さが異なるように設定された、中央部分の円形状の仮想の封止面62、又は中央部分の外側の円環帯状の仮想の封止面62上に配置されている。これによって、円形密着面61aと円弧状密着面61bとは、キャップ本体40の吐出ノズル部19における中央部吐出孔12’の先端吐出口12aと、両側の吐出孔12の先端吐出口12aとの高低差h1と同様の、例えば0.5〜10mm程度の高低差h3(図9(c)参照)で、オーバーキャップ60の例えば下端開口面60eからの中心軸Z3方向の高さが、中央部分の円形密着面61aの方が、これの外側の円弧状密着面61bよりも、高くなるように形成されている。
【0049】
図9(a)〜(d)に示すオーバーキャップ60を用いた場合でも、封止面部61は、離間長さ及び高さが異なるキャップ本体40の吐出孔12の各々と対応する位置を含んで配設されると共に、同心円状に設けられ、且つオーバーキャップ60の例えば下端開口面60eからの中心軸Z3方向の高さが異なるように設定された複数の円形状又は円環帯状の仮想の封止面62上に配設された、複数の密着面61a,61bを有しており、且つ離間長さ及び高さが異なる吐出孔12の高低差h1と、仮想の封止面62の高低差h3が合致しているので、図10に示すように、複数の吐出孔12の先端吐出口12aの高さ位置に段差や高低差がある場合でも、段差や高低差がある複数の吐出孔12の先端吐出口12aを、一度にまとめて容易に封止できるようにして、上記の実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0050】
また、図9(a)〜(d)に示すオーバーキャップ60では、円弧状凹部64の中空内部に面した内周面の一対の円弧状密着面61bは、オーバーキャップ60の中心軸Z3と垂直な外側の円環帯状の仮想の封止面62上に、周方向に相当の長さを有する円弧形状を備えるように形成されている。これによって、キャップ本体40に設けられたキャップ本体40の中心軸Z3からの離間長さ及び中心軸Z3方向の高さが異なる複数の吐出孔12の先端吐出口12aの高低差h1に、多少の誤差があっても、オーバーキャップ60の締付け力を調整することによって、このような誤差を吸収することを可能にして、複数の吐出孔12の先端吐出口12aを一度にまとめて封止することができる。離間長さ及び高さが異なる複数の吐出孔12は、例えばこれらの先端吐出口12aが、高低差h1が正確な値となるように高い精度で形成されている場合には、密着面は、オーバーキャップ60の中心軸Z3と垂直な円環帯状の仮想の封止面62上に、周方向に相当の長さで形成する必要は必ずしもなく、所定の締付け力でオーバーキャップ60を締付けた際に、密着面が、各々の吐出孔12の先端吐出口12aの開口周縁部12bにぴったりと配置されて密着するように、密着面をピンポイント的に設けることもできる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、キャップ本体に設けられた複数の吐出孔の開口周縁部は、キャップ本体の例えば下端開口面と平行なフラットな面上に配置されるように形成されている必要は必ずしも無く、例えば図11(a)に示すように、上方に凸に湾曲する湾曲凸面72に沿って配置されて形成されていても良い。この場合には、例えば図11(b)に示すように、オーバーキャップ70の天面部70aを例えばドーム状に湾曲させると共に、天面部70aの内周面を、複数の吐出孔73の開口周縁部73bが配置されている湾曲凸面72の曲率半径と、同様の曲率半径で湾曲させる。これによって、オーバーキャップ70がキャップ本体71に装着された際に、オーバーキャップ70の上端部分70aの内側面が、キャップ本体71の湾曲凸面72に沿って配置された複数の吐出孔73の各々の開口周縁部73bに、まとめて密着することを可能にして、これらの吐出孔73の先端吐出口73aを一度に封止することが可能になる。
【0052】
また、キャップ本体に設けられた複数の吐出孔は、開口閉塞部の直径方向に列状に配置されている必要は必ずしも無く、複数の吐出孔は、周方向の位置が互いにずれて配置されていても良い。キャップ本体の中心軸からの離間長さ及び高さが異なる吐出孔は、開口閉塞部の中央部に配置される中央部吐出孔を含んでいる必要は必ずしも無く、また離間長さが同じになっている吐出孔は、キャップ本体の中心軸を挟んだ両側に、対称に配置されていなくても良い。
【0053】
さらに、キャップ本体の開口閉塞部の中央部に配置される中央部吐出孔を封止する、オーバーキャップの中央部の密着面には、封止用突起を内側に突出させて設けておくこともできる。封止用突起は、オーバーキャップがキャップ本体に締着された際に、中央部吐出孔の先端吐出口に挿入される。封止用突起が中央部吐出孔の先端吐出口に挿入されることで、より確実に、吐出容器の非使用時に中央部吐出孔から液漏れが生じないようにすることが可能になる。
【符号の説明】
【0054】
10 吐出ノズル付きキャップ
11 開口閉塞部
12 吐出孔
12’ 中央部吐出孔
12a 先端吐出口
12b 開口周縁部
12c コンタクトリング
12d 先端部中心軸
15 外方突出スリーブ部
16 内方突出スリーブ部
17 装着筒状部
18 円筒状基部
19 吐出ノズル部
19a 外周壁部
19b 天面部
19c 段差部(肩当て段部)
19d 帯状先端面
20 スクイズ容器
21 口首部
21a 先端開口
22 容器本体
22a 胴部
30 キャップ本体の中心軸と垂直な仮想の面
40 キャップ本体
40a 下端開口面
50 オーバーキャップ
50a 天面部
50b 円筒部
50c 雌ネジ凸条
50f 円環状平坦部
50g 円形マウンド部
50i 下端開口面
50j 肩当て段部
51 封止面部
51a 円形密着面
51b 円環状密着面
52 仮想の封止面
60 オーバーキャップ
60a 天面部
60b 円筒部
60e 下端開口面
61 封止面部
61a 円形密着面
61b 円弧状密着面
62 仮想の封止面
63 円形凹部
64 円弧状凹部
B 吐出幅
h1 吐出孔の先端吐出口の高低差
h2,h3 封止面部の密着面(仮想の封止面)の高低差
Z 吐出方向
Z1 キャップ本体の中心軸
Z2,Z3 オーバーキャップの中心軸
X 開口閉塞部の直径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11