特許第6717912号(P6717912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6717912自動車のためのアウタードアハンドル機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6717912
(24)【登録日】2020年6月15日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】自動車のためのアウタードアハンドル機構
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/90 20140101AFI20200629BHJP
   E05B 85/16 20140101ALI20200629BHJP
   E05B 79/06 20140101ALI20200629BHJP
   E05B 81/78 20140101ALI20200629BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
   E05B81/90
   E05B85/16 Z
   E05B79/06 C
   E05B81/78
   B60J5/04 H
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-196489(P2018-196489)
(22)【出願日】2018年10月18日
(65)【公開番号】特開2019-78160(P2019-78160A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2018年10月19日
(31)【優先権主張番号】10 2017 124 568.5
(32)【優先日】2017年10月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド ガーバー
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−151799(JP,A)
【文献】 特開2016−199937(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0138303(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のためのアウタードアハンドル機構(1)であって、
車両ドアに収容され、かつロックバレル(6)を有する電動ドア閉鎖装置(2)と、
固定グリップハンドル(4)およびカバーを有するドアハンドル(10)であって、前記カバーは、前記固定グリップハンドル(4)および前記ロックバレル(6)を少なくとも部分的に覆い、かつ前記車両ドアの緊急解錠の場合に少なくとも前記ロックバレル(6)を解放するように構成されている、ドアハンドル(10)と、
引張手段(13)を有する緊急解錠デバイスであって、前記引張手段(13)は、緊急開放メカニズムを作動させ、かつ前記車両ドアを緊急解錠するように設けられている、緊急解錠デバイスとを含むアウタードアハンドル機構(1)において、
前記カバーは、ハンドルベゼル(5)として構成され、前記ハンドルベゼル(5)は、前記固定グリップハンドル(4)に対して枢動可能に取り付けられ、および閉鎖位置において前記固定グリップハンドル(4)に係止され、かつ緊急解錠位置において前記固定グリップハンドル(4)から解放されて、前記固定グリップハンドル(4)に対して枢動され得、前記ハンドルベゼル(5)は、前記ハンドルベゼル(5)を引っ張ることにより、前記車両ドアの前記緊急開放メカニズムの機械的な作動のために前記引張手段(13)が作動され得るように構成されていることを特徴とする、アウタードアハンドル機構(1)。
【請求項2】
前記緊急解錠デバイスは、枢動可能に取り付けられた偏向レバー(12)であって、前記引張手段(13)に接続され、かつ前記ハンドルベゼル(5)の引張中に前記引張手段(13)を作動させるように前記ハンドルベゼル(5)と相互作用するように構成および配置されている枢動可能に取り付けられた偏向レバー(12)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のアウタードアハンドル機構(1)。
【請求項3】
前記ハンドルベゼル(5)は、第1の端部に作動手段を含み、前記第1の端部において、前記ハンドルベゼル(5)は、枢動可能に取り付けられ、前記作動手段は、前記偏向レバー(12)を作動させるように設けられることを特徴とする、請求項2に記載のアウタードアハンドル機構(1)。
【請求項4】
前記ハンドルベゼル(5)は、前記作動手段が配置されているハンドルブラケット(52)を有することを特徴とする、請求項3に記載のアウタードアハンドル機構(1)。
【請求項5】
前記作動手段は、前記ハンドルブラケット(52)と一体に構成される作動カム(53)として構成されていることを特徴とする、請求項4に記載のアウタードアハンドル機構(1)。
【請求項6】
ベアリングブラケット(21)を有し、前記ベアリングブラケット(21)は、前記電動ドア閉鎖装置(2)に配置され、前記固定グリップハンドル(4)は、前記ベアリングブラケット(21)に固定されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアウタードアハンドル機構(1)。
【請求項7】
ベアリングブラケット(21)を有し、前記ベアリングブラケット(21)は、前記電動ドア閉鎖装置(2)に配置され、前記固定グリップハンドル(4)は、前記ベアリングブラケット(21)に固定され、
前記偏向レバー(12)は、前記ベアリングブラケット(21)に枢動可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一項に記載のアウタードアハンドル機構(1)。
【請求項8】
前記固定グリップハンドル(4)は、前記ロックバレル(6)のためのアクセス開口(421)を有し、前記アクセス開口(421)は、前記ハンドルベゼル(5)が前記閉鎖位置にあるときに前記ハンドルベゼル(5)によって完全に覆われることを特徴とする、請求
項1〜7のいずれか一項に記載のアウタードアハンドル機構(1)。
【請求項9】
ボタン領域またはセンサ表面は、ユーザの手が接近および/または接触する場合に前記電動ドア閉鎖装置(2)を解錠するための電動スイッチ操作を発動するように、前記固定グリップハンドル(4)の内側(43)に構成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアウタードアハンドル機構(1)。
【請求項10】
閉鎖位置において前記ハンドルベゼル(5)を前記固定グリップハンドル(4)に掛止するように構成されている掛止システムを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のアウタードアハンドル機構(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のためのアウタードアハンドル機構であって、車両ドアに収容され、かつロックバレルを有する電動ドア閉鎖装置と、固定グリップハンドルおよびカバーを有するドアハンドルであって、カバーは、グリップハンドルおよびロックバレルを少なくとも部分的に覆い、かつ車両ドアの緊急解錠の場合に少なくともロックバレルを解放するように構成されている、ドアハンドルと、引張手段を有する緊急解錠デバイスであって、引張手段は、緊急開放メカニズムを作動させ、かつ車両ドアを緊急解錠するように設けられている、緊急解錠デバイスとを含むアウタードアハンドル機構に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のためのアウタードアハンドル機構であって、それにより、車両ドアがユーザによって開閉され得る、アウタードアハンドル機構は、従来技術から様々な実施形態で知られている。現代の自動車には、車両キーを直接使用せずに車両ドアを解錠および再施錠することを可能にするためにキーレスエントリシステムが装備されていることが多い。例えば、ユーザの作動意図を検出するセンサ機構の欠陥、車載電子機器の故障または事故の場合に車両ドアの緊急解錠を行うことができるようにするため、従来技術から知られているアウタードアハンドル機構は、車両ドアの緊急開放メカニズムの機械的な緊急解錠を可能にする緊急解錠デバイスを有する。
【0003】
(特許文献1)には、緊急解錠デバイスを有する自動車のアウタードアハンドル機構であって、緊急解錠デバイスは、カバーによって覆われており、かつ作動時に突出し、その結果としてユーザによって作動され得る、アウタードアハンドル機構が開示されている。
【0004】
(特許文献2)には、固定ドアハンドルを有するアウタードアハンドル機構が開示されている。ドアハンドル内には、通常操作中にカバーによって覆われるロックバレルが配置されている。このカバーは、開放位置へ移行され得る。開放位置では、ロックバレルが外部からアクセス可能である。さらに、アウタードアハンドル機構は、引張手段を備えた緊急解錠デバイスを有する。引張手段は、車両ドアの閉鎖メカニズムに接続されている。引張手段により、車両ドアの機械的な緊急解錠が可能になる。引張手段のアクセス性を向上させるために、引張手段は、カバーと機械的に動作接続されている。カバーの開放中、引張手段は、ドアハンドルからわずかに引き出され、したがってより簡単にユーザの手が届くようになる。さらに、この引張手段により、カバー要素のための紛失防止手段が形成される。
【0005】
従来技術から知られているアウタードアハンドル機構の欠点は、ユーザが直接手動で緊急解錠デバイスを作動させなければならないため、緊急解錠デバイスの取扱が比較的難しいという事実に見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2015/062586 A1号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第3 020 895 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、緊急解錠デバイスをより簡単に取り扱うことができる、冒頭で述べられたタイプのアウタードアハンドル機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、請求項1の特徴部に記載の特徴を有する、冒頭で述べられたタイプのアウタードアハンドル機構によって達成される。従属請求項は、本発明の有利な発展形態に関する。
【0009】
本発明によるアウタードアハンドル機構は、カバーがハンドルベゼルとして構成され、ハンドルベゼルが、グリップハンドルに対して枢動可能に取り付けられ、および閉鎖位置においてグリップハンドルに係止され、かつ緊急解錠位置においてグリップハンドルから解放されて、グリップハンドルに対して枢動され得、ハンドルベゼルが、ハンドルベゼルを引っ張ることにより、車両ドアの緊急開放メカニズムの機械的な作動のために引張手段が作動され得るように構成されていることを特徴とする。本発明によるアウタードアハンドル機構は、緊急解錠の場合、ユーザ自身が緊急解錠デバイスの引張手段を直接作動させる必要がないため、非常に簡単かつ直観的に操作され得るという利点を有する。本発明によるアウタードアハンドル機構の場合、特にボーデンケーブルとして構成され得る引張手段の作動は、ハンドルベゼルの緊急解錠位置でハンドルベゼルに対して引張力が及ぼされることによって行われる。前記引張運動は、車両ドアの緊急解錠をもたらすために緊急解錠デバイスの引張手段に伝達される。このようにして、従来技術と比べて緊急解錠デバイスの取扱が実質的に単純化され得る。
【0010】
この引張手段のための機械的に頑強でありかつ信頼性の高い作動メカニズムを提供するために、1つの好ましい実施形態では、緊急解錠デバイスが、偏向手段、特に枢動可能に取り付けられた偏向レバーであって、引張手段に接続され、かつハンドルベゼルの引張中に引張手段を作動させるようにハンドルベゼルと相互作用するように構成および配置されている偏向手段、特に枢動可能に取り付けられた偏向レバーを含むことが提案される。したがって、枢動可能なハンドルベゼルが、引張手段と直接的に相互作用せず、むしろ偏向手段、特に偏向レバーを介して間接的に相互作用することにより、車両ドアの機械的な緊急解錠のために前記引張手段が作動される。
【0011】
1つの特に有利な実施形態では、ハンドルベゼルが第1の端部に作動手段を含み、第1の端部において、ハンドルベゼルが枢動可能に取り付けられ、作動手段が、偏向手段、特に偏向レバーを作動させるように設けられることが企図され得る。ハンドルベゼルの第1の端部における作動手段のこの配置は、運動力学的側面から有利であることが示されている。なぜなら、この作動手段は、ハンドルベゼルを引っ張ることによって始動される枢動の開始時に引張手段に既に作用しているためである。
【0012】
運動力学的特性をさらに向上させるために、ハンドルベゼルは、好ましくは、作動手段が配置されているハンドルブラケットを有することができる。
【0013】
作動手段の機械的に特に頑強な構成を実現するために、1つの有利な実施形態では、作動手段が、ハンドルブラケットと一体に構成される作動カムとして構成されていることが提案される。
【0014】
車両ドアのドアハンドルを確実に保持できるように、1つの特に好ましい実施形態では、アウタードアハンドル機構がベアリングブラケットを有し、ベアリングブラケットがドア閉鎖装置に配置され、グリップハンドルがベアリングブラケットに固定されていることが企図され得る。偏向手段、特に偏向レバーは、好ましくは、ベアリングブラケットに枢動可能に取り付けられ得る。
【0015】
さらに有利な実施形態では、グリップハンドルが、ロックバレルのためのアクセス開口を有し、アクセス開口が、ハンドルベゼルが閉鎖位置にあるときにハンドルベゼルによって完全に覆われることが企図され得る。このようにして、ロックバレルは、環境の影響から効果的に保護され得、かつハンドルベゼルがその緊急解錠位置に位置するときにのみアクセス可能である。ハンドルベゼルが緊急解錠位置にあるとき、車両ドアの施錠または解錠を行うためにロックバレルに緊急キーが挿入され得る。
【0016】
車両ドアを簡単かつ直観的に解錠できるように、1つの特に有利な実施形態では、ボタン領域またはセンサ表面が、ユーザの手が接近および/または接触する場合にドア閉鎖装置を解錠するための電動スイッチ操作を発動するように、グリップハンドルの内側に構成されていることが企図され得る。
【0017】
1つの好ましい実施形態では、アウタードアハンドル機構が、閉鎖位置においてハンドルベゼルをグリップハンドルに係止し、特にハンドルベゼルをグリップハンドルに掛止するように構成されている係止手段を含むことが提案される。グリップハンドルにハンドルベゼルを係止するための係止手段は、特に枢軸と反対側のハンドルベゼルの後部領域に提供され得る。この後部領域において、特に掛止により、グリップハンドルに対するハンドルベゼルの係止が可能になる。ハンドルベゼルの係止解除は、特に機械的なボタンによって行われ得る。機械的なボタンは、係止手段と相互作用し、かつ手動での作動によってハンドルベゼルを係止解除する。その結果、前記ハンドルベゼルは、グリップハンドルから持ち上げられ、かつ緊急解錠位置に位置する。前記緊急解錠位置から始めて、上述の方法によるハンドルベゼルに対する手動の引張により、車両ドアの機械的な緊急解錠が行われる。その結果、車両ドアが開放され得る。
【0018】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面を参照して、1つの好ましい例示的実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の1つの好ましい例示的実施形態による自動車のためのアウタードアハンドル機構の分解図を示す。
図2図1によるアウタードアハンドル機構を通る水平断面図を示す。
図3】ハンドルベゼルの閉鎖位置におけるアウタードアハンドル機構の平面図を示す。
図4】ハンドルベゼルの緊急解錠位置におけるアウタードアハンドル機構の平面図を示す。
図5】ハンドルベゼルの閉鎖位置におけるアウタードアハンドル機構の斜視図を示す。
図6】ハンドルベゼルの緊急解錠位置におけるアウタードアハンドル機構の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1および図2を参照すると、自動車のためのアウタードアハンドル機構1は、ロックバレル6を有する電動ドア閉鎖装置2を含む。電動ドア閉鎖装置2は、それに対応する形状である、車両ドア(ここでは明示せず)の受取領域に固定して取り付けられる。外から見える側では、電動ドア閉鎖装置2は、車両ドアのアウタードアパネル3(一部のみを図示)によって覆われている。さらに、アウタードアハンドル機構1は、固定グリップハンドル4と、前記グリップハンドル4に対して外方向に枢動され得るハンドルベゼル5とを有する。固定グリップハンドル4とハンドルベゼル5とが一体となって、2部片ドアハンドル10が形成される。アウタードアハンドル機構1は、車両ドアの緊急解錠を可能にするように構成されている。
【0021】
アウタードアパネル3には、車両ドアの開閉中に固定グリップハンドル4を握りやすくするために凹形グリップ30が構成されている。凹形グリップ30の前端部には、アウタードアパネル3の第1の切欠部31が隣接している。凹形グリップ30の後端部には、アウタードアパネル3の第2の切欠部32が隣接している。第2の切欠部32の断面形状により、ロックバレル6は、組立中に第2の切欠部32を通して案内され得る。その工程において、ロックバレル6は、電動ドア閉鎖装置2内に構成されているロックバレルレセプタクル20に挿入され、かつロックバレルレセプタクル20に固定され得る。
【0022】
前部領域において、グリップハンドル4は、突起41の付いた第1の保持区域40を有する。突起41は、グリップハンドル4の組立中、アウタードアパネル3の第1の切欠部31を通して案内される。後部領域において、グリップハンドル4は、3個の掛止突起420を含む第2の保持区域42を有する。図1では、これらの掛止突起420の2つのみを見ることができる。第2の切欠部32は、3個の掛止凹部320を有する。組立中、掛止凹部320内にグリップハンドル4の第2の保持区域42の掛止突起420が掛止係合し得る。その結果、アウタードアパネル3にグリップハンドル4が予め固定される。図2に見ることができるように、閉鎖装置2は、アウタードアパネル3と反対の後ろ側にベアリングブラケット21を有する。このベアリングブラケット21には、グリップハンドル4が2個の締付ねじ7、8によって固定されている。
【0023】
車両ドアを解錠するために、電動ドア閉鎖装置2に接続されているボタン領域(ここでは明示的に見ることができない)がグリップハンドル4の内側43に提供されている。代替形態として、この目的のために、電動ドア閉鎖装置2に接続されているセンサ表面は、グリップハンドル4の内側43に構成されることもできる。ユーザの手とボタン領域またはセンサ表面との相互作用により、特に接近および/または接触により電動スイッチ操作が開始される。この電動スイッチ操作により、電動ドア閉鎖装置2によって車両ドアが解錠される。その後、ドアハンドル10を引くことにより、車両ドアが開放され得る。上述した方法による車両ドアの開放は、対応するアクセス許可デバイス、例えば識別デバイス(特に無線リモートコントローラまたは無線キーであり得る)をユーザが携帯している場合にのみ可能である。権限のない者による車両ドアの開放を防止するために、電動ドア閉鎖装置2と共に、アクセス許可デバイスによって自動車のセキュリティシステムの少なくとも一部が形成される。
【0024】
ここで図示される例示的実施形態では、ハンドルベゼル5の外側に静電容量センサ手段50が提供されている。この静電容量センサ手段50も同様に電動ドア閉鎖装置2に接続されている。車両ドアが閉鎖されている場合、ユーザの手が接近および/または接触することによって電動スイッチ操作が開始される。その結果、電動ドア閉鎖装置2によって車両ドアが施錠される。前記施錠操作についても、ユーザのアクセス許可を確認するためにアクセス許可デバイスが携帯される必要がある。アクセス許可デバイスが例えば無線リモートコントローラまたは無線キーである場合、車両ドアの遠隔施錠も行われ得る。
【0025】
例えば、アクセス許可デバイス、電動ドア閉鎖装置2または他に自動車の車載電子機器が正常に機能しない場合、緊急解錠デバイスによって車両ドアの緊急解錠を実施できるようにしなければならない。車両ドアの施錠または解錠を可能にするために、閉鎖装置2内に配置されているロックバレル6に緊急キーが挿入され得る。グリップハンドル4の第2の保持区域42内に構成されているアクセス開口421により、ロックバレル6へのアクセスが可能になる。
【0026】
ハンドルベゼル5は、ベアリング軸11によってグリップハンドル4に対して枢動され得るように取り付けられる。また、ハンドルベゼル5は、(図3および図5に見ることができるように)閉鎖位置において、グリップハンドル4の外側と、特にまたロックバレル6のためのアクセス開口421を有する第2の保持区域42とを完全に覆うような形状にされている。その結果、前記ロックバレル6は、外部からアクセス可能ではない。代替形態として、ハンドルベゼル5は、グリップハンドル4の外側を部分的にのみ覆うような形状にされ得る。
【0027】
固定グリップハンドル4に対して枢動され得るハンドルベゼル5を有するドアハンドル10の2部片実施形態は、電動ドア閉鎖装置2を緊急解錠するために使用される。グリップハンドル4と、アクセス開口421であって、それを介してロックバレル6に緊急キーが差し込まれ得るアクセス開口421とをハンドルベゼル5が完全にまたは少なくとも部分的に覆う閉鎖位置において、ハンドルベゼル5は、グリップハンドル4に接続され、特にグリップハンドル4に掛止される。グリップハンドル4の後部におけるハンドルベゼル5の解錠デバイス(例えば、機械的なボタンによって形成され得る)により、または前記領域内に提供されかつ選択的に係合解除され得る掛止システムにより、グリップハンドル4からハンドルベゼル5を解放し、その結果としてグリップハンドル4からハンドルベゼル5を持ち上げ、図2図4および図6に見ることができる緊急解錠位置にハンドルベゼル5を移行させることが可能になる。
【0028】
ハンドルベゼル5がベアリング軸11によって枢動可能に取り付けられる(前部)領域において、ハンドルベゼル5は、ハンドルブラケット52を有する。ハンドルブラケット52は、ハンドルベゼル5と一体に構成される。ハンドルブラケット52には、この例では作動カム53として構成される作動手段が構成されている。さらに、緊急解錠デバイスは、ベアリングブラケット21に枢動可能に取り付けられている偏向レバー12と、この例ではボーデンケーブルとして構成されている引張手段13とを含む。引張手段13は、偏向レバー12に接続されている第1の端部130を有する。さらに、引張手段13は、車両ドアの機械的な緊急開放メカニズム(ここでは明示せず)に接続され得る第2の端部131を有する。前記引張手段13は、車両ドアの緊急開放メカニズムの機械的な作動のために提供される。ハンドルベゼル5が固定グリップハンドル4に対して外方向に枢動されるハンドルベゼル5の緊急解錠位置において、ユーザは、ハンドルベゼル5に引張力を加えて、ハンドルベゼル5をグリップハンドル4に対してさらに外側に向けて枢動させることができる。ハンドルベゼル5が引っ張られる一方、作動カム53が偏向レバー12と相互作用して偏向レバー12が作動される。偏向レバー12に接続されている引張手段13により、車両ドアの緊急開放メカニズムが作動される。その結果、車両ドアの機械的な緊急解錠が行われ、車両ドアが開放され得る。
【0029】
グリップハンドル4に対するハンドルベゼル5の枢動により、ロックバレル6のためのアクセス開口421を有する第2の保持区域42も同様に解放される。その結果、第2の保持区域42が外部からアクセス可能になる。アクセス開口421を介してロックバレル6に緊急キーが挿入され得る。その結果、緊急キーの作動により、車両ドアが選択的に施錠または解錠され得る。
【符号の説明】
【0030】
1 アウタードアハンドル機構
2 ドア閉鎖装置
4 グリップハンドル
5 ハンドルベゼル
6 ロックバレル
10 ドアハンドル
12 偏向レバー
13 引張手段
21 ベアリングブラケット
43 内側
52 ハンドルブラケット
53 作動カム
421 アクセス開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6