(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6717949
(24)【登録日】2020年6月15日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】バイオプリンター温度コントロールシステム及びバイオプリンター
(51)【国際特許分類】
C12M 1/38 20060101AFI20200629BHJP
C12M 1/26 20060101ALI20200629BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20200629BHJP
H01L 23/34 20060101ALI20200629BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
C12M1/38 Z
C12M1/26
C12M1/00 A
H01L23/34 A
H05K7/20 H
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-534104(P2018-534104)
(86)(22)【出願日】2015年12月30日
(65)【公表番号】特表2019-503680(P2019-503680A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】CN2015099870
(87)【国際公開番号】WO2017113190
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2018年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】517342925
【氏名又は名称】レボテック カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】ワン トーミン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン シュエミン
(72)【発明者】
【氏名】リー イーチュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ローチン
【審査官】
池上 京子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2003/0128267(US,A1)
【文献】
特開2006−041355(JP,A)
【文献】
特開2004−071969(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/040975(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
C12Q 1/00−3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオプリンター温度コントロールシステムであって、流路の温度を、生物学的プリンティング材料の所望する温度に一致するようにバイオプリンターのバイオプリンティング材料容器(4)の出口と前記バイオプリンターのノズル(5)の間の流路の温度を制御するための流路温度コントロールシステム(3);
前記バイオプリンティング材料容器(4)において前記生物学的プリンティング材料の前記所望する温度に一致するように前記バイオプリンティング材料容器(4)の前記温度をコントロールする、前記バイオプリンティング材料容器(4)と熱交換するための熱交換装置を含む容器温度コントロールシステム(1); 及び
前記バイオプリンティング材料容器(4)と前記熱交換装置の間に設けられた第1の均熱プレート(14)であって、前記第1の均熱プレート(14)が、前記熱交換装置と前記バイオプリンティング材料容器(4)の間で熱を均一に伝達するように構成される、第1の均熱プレート(14)、
を含む、バイオプリンター温度コントロールシステム。
【請求項2】
前記熱交換装置が、熱交換部材及び放熱装置(13)を含む、バイオプリンター温度コントロールシステムであって、ここで、前記熱交換部材が、前記バイオプリンティング材料容器(4)を加熱又は冷却するように構成され、前記第1の均熱プレート(14)が、前記バイオプリンティング材料容器(4)と前記熱交換部材の第1の側面の間に配置され、前記熱交換部材(12)の第2の側面が、前記熱交換部材と環境の間で熱を伝達するための放熱装置(13)と接続される、請求項1に記載のバイオプリンター温度コントロールシステム。
【請求項3】
前記容器温度コントロールシステム(1)が、前記熱交換部材と前記放熱装置(13)の間の熱を均一に交換するために、前記熱交換部材の前記第2の側面と前記放熱装置(13)の間に設けられている第2の均熱プレート(15)をさらに含む、請求項2に記載のバイオプリンター温度コントロールシステム。
【請求項4】
前記放熱装置(13)が、ヒートシンクアセンブリ(131)及び放熱ファン(132)を含む、バイオプリンター温度コントロールシステムであって、ここで、前記ヒートシンクアセンブリ(131)が、前記熱交換部材の前記第2の側面に接続され、前記放熱ファン(132)が、前記ヒートシンクアセンブリ(131)と前記環境の間で熱を伝達するように構成され、及び前記第2の均熱プレート(15)が、前記熱交換部材と前記ヒートシンクアセンブリ(131)の間の熱を均一に交換するために、前記熱交換部材の前記第2の側面と前記ヒートシンクアセンブリ(131)の間に配置される、請求項3に記載のバイオプリンター温度コントロールシステム。
【請求項5】
前記放熱ファン(132)の吹出口が、前記バイオプリンターのプリンティングプラットホームの反対側に配置される、請求項4に記載のバイオプリンター温度コントロールシステム。
【請求項6】
前記放熱ファン(132)が、ガバナーファンであり、前記容器温度コントロールシステム(1)が、前記ヒートシンクアセンブリ(131)の温度を検出するために、放熱温度検出コントロール装置を含み、前記ヒートシンクアセンブリ(131)の前記温度と前記環境の温度の間の差に応じて、前記放熱ファン(132)が、オンされるか否かを制御し且つ、前記放熱ファン(132)の回転速度を調節する、請求項4に記載のバイオプリンター温度コントロールシステム。
【請求項7】
前記容器温度コントロールシステム(1)が、前記バイオプリンティング材料容器(4)の温度を検出し、前記検出された温度を熱交換装置に戻し供給して、前記バイオプリンティング材料容器(4)の前記温度の閉ループ制御を形成する、容器温度検出コントロール装置を含む、請求項1に記載のバイオプリンター温度コントロールシステム。
【請求項8】
前記ノズル(5)の温度を、前記生物学的プリンティング材料の前記所望する温度に一致するように、前記バイオプリンターの前記ノズル(5)の温度を制御するためのノズル温度コントロールシステム(2)をさらに含む、請求項1に記載のバイオプリンター温度コントロールシステム。
【請求項9】
前記温度コントロールシステムが、前記ノズル(5)の外周に設けられたノズル熱伝導ブロック(21)を含む、請求項8に記載のバイオプリンター温度コントロールシステム。
【請求項10】
前記流路温度コントロールシステムが、前記バイオプリンティング材料容器(4)の前記出口と前記ノズル(5)の間の流路の外周に設けられた流路熱伝導ブロック(31)を含む、請求項1に記載のバイオプリンター温度コントロールシステム。
【請求項11】
一方が、前記バイオプリンティング材料容器(4)の第1の材料容器(41)上で温度コントロールを行うように構成され、他方が、前記バイオプリンティング材料容器(4)の第2の材料容器(42)上で温度コントロールを行うように構成される、二つの独立した容器温度コントロールシステム(1)を含む、請求項1に記載のバイオプリンター温度コントロールシステム。
【請求項12】
前記熱交換部材が、半導体冷却スライスを含む、請求項2に記載のバイオプリンター温度コントロールシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のバイオプリンター温度コントロールシステムを含む、バイオプリンター。
【請求項14】
バイオプリンティング材料容器(4)を含むバイオプリンターであって、前記バイオプリンティング材料容器(4)が、第1の材料容器(41)及び第2の材料容器(42)を含み、ここで、前記バイオプリンターのノズルは、前記流路を介して前記第1の材料容器(41)及び前記第2の材料容器(42)の一方の出口に連通し、及び流路熱伝導ブロック(31)が、前記流路の外周に設けられる、請求項13に記載のバイオプリンター。
【請求項15】
ノズル熱伝導ブロック(21)が、前記ノズルの外周に設けられ、及び前記流路が、前記出口から前記流路熱伝導ブロック及び前記ノズル熱伝導ブロックを順次通過してノズルと連通する、請求項14に記載のバイオプリンター。
【請求項16】
断熱層が、前記ノズル熱伝導ブロック(21)から熱を遮断するために、前記ノズル熱伝導ブロック(21)において、前記流路の外周に設けられる、請求項15に記載のバイオプリンター。
【請求項17】
前記断熱層が、前記流路と前記ノズル熱伝導ブロックの間に配置される、請求項16に記載のバイオプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオプリンターの技術分野に関連し、特にバイオプリンター温度コントロールシステム及びバイオプリンターに関連する。
【背景技術】
【0002】
3Dバイオプリンティングとは、3Dプリンティングの原理及び方法に基づいて、生物学的材料(天然の生物学的材料及び合成の生物学的材料又は細胞溶液を含む)を設計された3次元構造にプリントする技術を指す。3Dバイオプリンティングのプリンティング材料は、通常の3Dプリンティング技術と比較して、生物学的材料であるため、バイオプリンターの1つの特徴は、その生存、成長及び好ましい生物学的機能に適した条件をプリンティング材料に提供する必要があることであり、同時に温度がその重要なコントロール指標の1つである。
【0003】
現在、バイオプリンターは、一般に、バイオプリンティング材料容器の温度を制御するための温度コントロールシステムを備えており、これは、通常、熱交換部材及び放熱装置を含み、ここで、熱交換部材は、熱伝導ジャケットによって、バイオプリンティング材料容器と熱交換を行うように構成され、及び前記放熱装置は、熱交換部材と環境の間での熱交換を果たすように構成される。しかしながら、既存のバイオプリンター温度コントロールシステムは、以下のような問題を抱えている。
【0004】
(1) 既存のバイオプリンター温度コントロールシステムに関して、生物学的材料は、目詰まりしやすい。その理由の1つは、バイオプリンター温度コントロールシステムは、バイオプリンティング材料容器の温度のみをコントロールすることが出来るが、ノズル部分及び流路部分の温度を制御することが出来ないことにある。同時に、生物学的材料は、一定の粘度を有するので、プリンティング材料が、温度が効率的にコントロールされていないノズル及び流路部分において目詰まりを起こしやすい。この現象は、プリンティング材料の粘度が増加するにつれてより顕著になり、バイオプリンター全体のプリンティング効率に影響を及ぼす。特にプリンティング面が非平面である場合、当該問題は、長いノズルを使用してプリンティング要件により適合させる際により顕著になる。加えて、既存のバイオプリンター温度コントロールシステムは、温度の変化によって流動特性が変化するプリンティング材料に適用することが難しく、既存のバイオプリンターは、プリンティング材料の選択に大きな制約を受ける。
【0005】
(2) 既存のバイオプリンター温度コントロールシステムが、バイオプリンター容器の温度を均一にコントロールすることは困難である。先行技術において、空間上の制限等の理由により、熱交換部材が熱伝導ジャケットを包括的に覆うことができず、及び熱交換部材によって覆われていないブラインド領域が、熱伝導ジャケット上に容易に現れる。これは、バイオプリンティング材料容器及び生物学的材料上での均一な加熱を容易にもたらし、生物学的材料の生存率の減退、及び生物学的機能の低下等のリスクが増加する結果となる。しかしながら、熱交換部材が、熱伝導ジャケットで完全に覆われれば、熱交換部材上に放射手段を配置することは、困難であり、熱交換部材は通常、構造全体の外側にのみ取付けられることができ、その結果、構造全体が、外側に突出してしまい、構造全体の配置に好ましくない。
【発明の概要】
【0006】
本発明のよって解決される1つの技術的問題は以下の通りである。既存のバイオプリンター温度コントロールシステムは、バイオプリンティング容器からノズルまでの流路において生物学的材料の温度コントロールを行わず、流路内に流動性の悪い生物学的材料の目詰まりの問題が生じる。加えて、流路内の生物学的材料の温度が制御されないため、生存率の低下及び生物学的材料の生物学的機能の低下等のリスクが生じる。
【0007】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は、流路の温度が、生物学的プリンティング材料の所望する温度に一致するように、バイオプリンターのバイオプリンティング材料容器の出口とバイオプリンターのノズルの間の流路の温度を制御するための流路温度コントロールシステムを含むバイオプリンター温度コントロールシステムを提供する。
【0008】
さらに、バイオプリンター温度コントロールシステムは、容器温度コントロールシステムを含み、ここで、容器温度コントロールシステムは、バイオプリンティング材料容器と熱交換するための熱交換装置を含む容器温度コントロールシステムを含み、バイオプリンティング材料容器内の生物学的プリンティング材料の所望の温度に一致するようにバイオプリンティング材料容器の温度をコントロールし、及び第1の均熱プレートが、バイオプリンティング材料容器と熱交換装置の間に設けられ、ここで、前記第1の均熱プレートは、熱交換装置とバイオプリンティング材料容器の間で熱を均一に伝達するように構成される。
【0009】
さらに、熱交換装置は、熱交換部材と放熱装置を含み、ここで、熱交換部材は、バイオプリンティング材料容器を加熱又は冷却するように構成され、第1の均熱プレートは、バイオプリンティング材料容器と熱交換部材の第1の側面の間に配置され、及び熱交換部材の第2の側面は、熱交換部材と環境の間で熱を伝達する放熱装置に接続される。
【0010】
さらに、容器温度コントロールシステムは、熱交換部材の第2の側面と放熱装置の間に設けられ、熱交換部材と放熱装置の間で熱を均一に交換するための第2の均熱プレートをさらに含む。
【0011】
さらに、放熱装置は、ヒートシンクアセンブリと放熱ファンを含み、ここで、ヒートシンクアセンブリは、熱交換部材の第2の側面に接続され、放熱ファンは、ヒートシンクアセンブリと環境の間で熱を伝達するように構成され、及び熱交換部材とヒートシンクアセンブリの間の熱を均一に交換するために、第2の均熱プレートは、熱交換部材の第2の側面とヒートシンクアセンブリの間に配置される。
【0012】
さらに、放熱ファンの排気口は、バイオプリンターのプリンティングプラットホームの反対側に配置される。
【0013】
さらに、放熱ファンはガバナーファンであり、及び容器温度コントロールシステムは、ヒートシンクアセンブリの温度を検出し、放熱ファンをオンにするか否かを制御し、ヒートシンクアセンブリの温度と環境温度の間の差に応じて放熱ファンの回転速度を調節するための放熱検出及びコントロール装置を含む。
【0014】
さらに、バイオプリンティング材料容器の温度を検出し、検出された温度を熱交換装置に戻し供給し、バイオプリンティング材料容器の温度の閉ループコントロールを形成する、容器温度検出及びコントロール装置を含む。
【0015】
さらに、バイオプリンター温度コントロールシステムは、ノズルの温度が生物学的プリンティング材料の所望する温度に一致するように、バイオプリンターのノズルの温度を制御するためのノズル温度コントロールシステムをさらに含む。
【0016】
さらに、ノズル温度コントロールシステムは、ノズルの外周に設けられたノズル熱伝導ブロックを含む。
【0017】
さらに、流路温度コントロールシステムは、バイオプリンティング材料容器の出口とノズルの間の流路の外周に設けられた流路熱伝導ブロックをさらに含む。
【0018】
さらに、バイオプリンター温度コントロールシステムは、2つの独立した容器温度制御システムを含み、そのうちの1つは、バイオプリンティング材料容器の第1の材料容器に対して温度コントロールを行うように構成され、他方は、バイオプリンティング材料容器の第2の材料容器に対して温度コントロールを行うように構成される。
【0019】
さらに、熱交換部材は、半導体冷却スライスを含む。
【0020】
本発明はさらに、上記バイオプリンター温度コントロールシステムを含むバイオプリンターを提供する。
【0021】
さらに、バイオプリンターは、第1の材料容器及び第2の材料容器を含むバイオプリンティング材料容器を含み、ここで、バイオプリンターのノズルが、流路を介して第1の材料容器及び第2の材料容器の一方の出口に連通し、及び流路熱伝導ブロックが、流路の外周に設けられる。
【0022】
さらに、ノズル熱伝導ブロックは、ノズルの外周に設けられ、及び流路は、流路電熱ブロック及びノズル熱伝導ブロックを出口から順次通過し、ノズルと連通する。
【0023】
さらに、ノズル熱伝導ブロックから熱を遮断するため、断熱層が、ノズル熱伝導ブロックにおいて、流路の外周に設けられる。
【0024】
さらに、断熱層は、流路とノズル伝導ブロックの間に配置される。
【0025】
本発明のバイオプリンター温度コントロールシステムは、流路温度コントロールシステムを備えることにより、バイオプリンティング材料容器とノズルの間の流路の温度コントルールを実現することができ、その結果、プリンティング材料が、流路で目詰まりを起こしやすいという現在の問題を効果的に解決し、バイオプリンターのプリンティング効率を効果的に改善することが可能である。
【0026】
また、バイオプリンティング材料容器と熱交換装置の間に均熱プレートを設けることにより、バイオプリンティング材料容器の均一な温度コントロールが、達成され得、それによって、プリンティング材料の生存率を改善し、プリンティング材料の生物学的機能を確保する。さらに、バイオプリンティング材料容器上の熱交換部材全体を覆うことなく、バイオプリンティング材料容器全体の均一な温度コントロールが達成され得るため、放熱装置のレイアウトを容易にすることができ、構造全体をよりコンパクト且つ、美的に作製することが可能である。
【0027】
加えて、ノズル温度コントロールシステムを設けることによって、本発明は、ノズルの温度コントロールを実現することができ、その結果、プリンティング材料が、ノズルで目詰まりを起こしやすいという現在の問題を効果的に解決することが可能である。特に、プリンティング面が非平面であり且つ、より長いノズルが、プリンティング要件により適用するように構成されている場合、効果がより顕著になり、バイオプリンターのプリンティング効果が効果的に改善する。
【0028】
本発明は、バイオプリンターの温度を制御するための、バイオプリンターのための温度コントロールシステムを提供する。温度コントロールは、バイオプリンターの温度をより均一にし、細胞の生存率及び生物学的機能を向上させること、及びより望ましいプリンティングオブジェクトを実現することに有利である。
【0029】
本発明の例示的な実施形態を、以下の図面を参照して詳細に説明する。さらに、本発明の他の特徴並びに利点が、明らかとなり得る。
【0030】
先行技術における本発明の実施形態又は技術的解決策をより明確に示すために、実施形態又は先行技術の説明に使用する必要がある図面について簡単に紹介する。以下に示す図面は、本発明の実施形態の一部に過ぎないことは明らかである。当業者のため、本発明での試みが含まれていないことを前提として、そのような図面に従って他の図面を取得してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるバイオプリンターに取付けられたバイオプリンター温度コンロトールシステムの構造の概略図を示す。
【0032】
図において:
1. 容器温度コントロールシステム; 11. 熱伝導ジャケット; 12. 半導体冷却装置; 13. 放熱装置; 131. ヒートシンクアセンブリ; 132. 放熱ファン; 14. 第1の均熱プレート; 15. 第2の均熱プレート; 16. 第1の接続ブラケット; 17. 第2の接続ブラケット; 18. 第1の温度センサ; 19. 第2の温度センサ;
2. ノズル温度コントロールシステム; 21. ノズル熱伝導ブロック;
3. 流路温度コントロールシステム; 31. 流路熱伝導ブロック;
4. バイオプリンティング材料容器; 41. 第1の材料容器; 42. 第2の材料容器;
5. ノズル; 6. 取付けプレート; 7. 断熱プレート。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態における技術的解決策は、本発明の実施形態における図面と組み合わせて、明示的且つ、完全に記載される。明らかに、記載された実施形態は、全ての実施形態ではなく、本発明の実施形態の一部に過ぎない。実際に単に説明的である少なくとも1つの例示的な実施形態の以下の説明は、本発明及びその適用又は使用のいかなる限定としても決して機能しない。本発明の実施形態に基づいて、本発明での試みが含まれていないという前提で当業者によって得られた他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に入る。
【0034】
本発明の説明文において、方位又は位置関係は、「前部、後部、上、下、左、右」、「横、縦、垂直、水平」及び「上部、下部」等の方位用語によって示されることを理解する必要があり、これは、通常、図面によって示される方位又は位置関係に基づくものであり、単に本発明の説明を容易にし、説明を簡単にするためのものである。特に説明がない限り、そのような方位用語は、言及された装置又は要素が特定の方位角を提示しなければならないか、又は特定の方位で構成され及び操作され、その結果、本発明の保護範囲を限定するものとして理解することはできない。方位用語「内側」及び「外側」は、様々な部材自体の輪郭に対する内側及び外側を意味する。
【0035】
本発明の説明において、部品を定義するために使用される「第1」及び「第2」などの単語は、対応する部品の識別を容易にすることのみを意図していることを理解する必要がある。特に説明がない限り、上記の単語は、特別な意味を持たないため、本発明の保護範囲を限定するものとして理解することはできない。
【0036】
先行技術において、プリンティング材料が、ノズル及び流路内で目詰まりを起こしやすいという技術的問題を解決するために、
図1〜
図4は、本発明の一実施形態によるバイオプリンター温度コントロールシステムの構造の概略図を示す。本発明のバイオプリンター温度コントロールシステムは、流路の温度が、プリンティング材料の所望の温度に一致するように、バイオプリンティング材料容器4の出口とノズル5の間の流路の温度を制御するための流路温度コントロールシステム3を含む。ここでの流路は、ノズル5の内部の何れかの流路を含むものと解すべきではない。このように、本発明のバイオプリンター温度コントロールシステムは、流路の温度がまた、プリンティング材料の要件を満たすことを確保することができ、それによって、プリンティング材料のスムーズな流れを確保し、バイオプリンターのプリンティング効率を改善する。
【0037】
本発明のバイオプリンター温度コントロールシステムは、バイオプリンティング材料容器4と熱を交換するための熱交換装置を含む容器温度コントロールシステム1を含み、バイオプリンティング材料容器4の温度を、バイオプリンティング材料容器4に含まれるプリンティング材料の所望の温度に一致するようにコントロールする; 及び容器温度コントロールシステム1は、バイオプリンティング材料容器4と熱交換装置の間に設けられた第1の均熱プレート14をさらに含み、ここで、第1の均熱プレート14は、熱交換装置とバイオプリンティング材料容器4の間で熱を均一に伝達するように構成される。
【0038】
本発明のバイオプリンター温度コントロールシステムは、バイオプリンティング材料容器4と熱交換装置の間に第1の均熱プレート14を設けることによって、バイオプリンティング材料容器4の均一な温度コントロールを実現することができ、それによって、プリンティング材料の生存率を向上させ、プリンティング材料の生物学的機能を確保し、及びバイオプリンティング材料容器4におけるプリンティング材料の目詰まりを防ぐ。これは、バイオプリンターの操作信頼性を向上させる。
【0039】
熱交換装置の一実施形態として、熱交換装置は、熱交換部材及び放熱装置13を含み得、ここで、熱交換部材は、バイオプリンティング材料容器4を加熱又は冷却するように構成され、及び放熱装置13は、熱交換部材と環境の間で熱を交換するように構成される。このように、バイオプリンティング材料容器4の温度が、プリンティング材料の所望の温度よりも高い場合、熱交換部材は、バイオプリンティング材料容器4から熱を吸収することができ、それによって、バイオプリンティング材料容器4をプリンティング材料の所望の温度に冷却する。並びに、バイオプリンティング材料容器4の温度が、プリンティング材料が必要とする温度よりも低い場合、熱交換部材は、バイオプリンティング材料容器4に熱を伝達することができ、それによって、バイオプリンティング材料容器4をプリンティング材料の所望の温度に加熱する。以上のように、実際の状態に従ってバイオプリンティング材料容器4を加熱又は冷却するように構成されているので、本実施形態の熱交換装置は、より柔軟な態様並びに高いコントロール制度でバイオプリンティング材料容器4の温度をコントロールすることができ、種々のプリンティング材料の温度要件を満たすことが出来る。
【0040】
熱交換部材と放熱装置13の間で熱をより均一に伝達するために、第2の均熱プレート15が、熱交換部材の第2の側面と放熱装置13の間に配置され得る。第2の均熱プレート15に基づき、環境中の熱を、放熱装置13を介してより均一に熱交換部材の第2の側面に伝達することができ、従って、熱交換部材の両側の温度差を低減し、さらに熱交換部材の熱伝達効果を改善する。
【0041】
このような構造はまた、構造全体の配置に好都合である。通常の状況下では、放熱装置13が、熱交換部材上で完全に覆われている場合、放熱装置13の放熱ファン132が、構造全体の外側に取付けられ得、これは、構造全体が、外側に突出する結果となる。放熱装置13と熱交換部材の間に第2の均熱プレート15を設けることによって、本実施形態は、熱交換部材上の熱交換の死角を縮小することができ、及び放熱ファン132の組立空間を提供し、構造全体の外側への突出を回避する。
【0042】
加えて、プリンティング材料が、先行技術においてノズルで目詰まりを起こしやすいという技術的問題をさらに解決するために、本発明のバイオプリンター温度コントロールシステムは、ノズル温度コントロールシステム2をさらに含み得、これは、ノズル温度コントロールシステム2が、バイオプリンティング材料の所望の温度に一致させるために、バイオプリンターのノズル5の温度を制御するために用いられる。
【0043】
このように、本発明のバイオプリンター温度コントロールシステムは、流路の温度が、バイオプリンティング材料の要件を満たすことを確保するだけでなく、ノズル5及びバイオプリンティング材料容器4の温度が、プリンティング材料の要件を満たすことを確保し、それによって、プリンティング材料のスムーズな流れを確保し、バイオプリンターのプリンティング効率を向上させる。さらに、プリンティング材料が、全体のプリンティング工程において、適切な温度環境下にあることが出来るため、プリンティング材料が、常に好ましい生物学的特性を有することを確保することもでき、それによって、バイオプリンティング産物の特性を向上させる。
【0044】
本発明のバイオプリンター温度コントロールシステムは、
図1〜4に示された実施形態と組み合わせて、以下にさらに説明される。実施形態において、バイオプリンター温度コントロールシステムは、バイオプリンターに適用され、そしてそのバイオプリンティング材料容器4は、第1の材料容器41及び第2の材料容器42を含み、ここで、第1の材料容器41及び第2の材料容器は、断熱プレート7を介してバイオプリンターの取付けプレート6に接続され、及びバイオプリンターのノズル5は、第1の材料容器41の出口に配置され、一方、第2の材料容器42の出口は、補助材料流路421を介してノズル5に接続される。第1の材料容器41は、主材料(バイオインクとも呼ぶ)を含む主材料容器として機能し得、第2の材料容器42は、補助材料(例えば、ヒドロゲル)を含むための補助材料容器として機能し得る。例えば、補助材料は、プリンティング工程において供される機械的な力による破壊によって主材料が損傷することを防ぐために、主材料を包み得る。確かに、主材料及び補助材料は、混合などの他の方法で一緒に組み合わせられ得る。
【0045】
図1〜4に示すように、この実施形態において、バイオプリンター温度コントロールシステムは、ノズル温度コントロールシステム2のセット、及び流路温度コントロールシステム3のセットの2つの独立した容器温度コントロールシステムを含み、ここで、1つの容器温度コントロールシステム1は、第1の材料容器41の温度をコントロールするように構成され、他の容器温度コントロールシステム1は、第2の材料容器42の温度をコントロールするように構成され、ノズル温度コントロールシステム2は、ノズルの温度をコントロールするように構成され、及び流路温度コントロールシステム3は、補助材料流路421の温度をコントロールするように構成される。第1の材料容器41及び第2の材料容器42の温度をそれぞれコントロールするための2つの独立した温度容器を設けることによって、異なる特性を有する主材料及び補助材料の異なる温度要件を満たすことが可能である。
【0046】
実施形態において、容器温度コントロールシステム1の2つのセットは、構造において実質的に同じである。従って、第2の材料容器42に配置された容器温度コントロールシステム1のみを例にして、容器温度コントロールシステム1を、以下で説明する。
【0047】
図2及び
図4に示すように、本実施形態において、前記容器温度コントロールシステム1は、熱伝導ジャケット、熱交換装置として機能する半導体冷却システム14、第1の均熱プレート14、第2の均熱プレート15を含み、ここで、前記半導体冷却システムは、半導体冷却装置12及び放熱装置13を含み、前記熱伝導ジャケット11は、第2の材料容器42の外周でスリーブ状に形成され、前記半導体冷却装置12の第1の側面は、前記第1の均熱プレート14を介して前記熱伝導ジャケット11に接続され、及び前記半導体冷凍装置12の第2の側面は、前記第2の均熱プレート15を介して前記放熱装置13に接続される。
【0048】
半導体冷凍システムは、熱源と低温源の両方として使用され得る。半導体冷却理論に基づいて、半導体冷却システムの半導体冷却スライスの両側に直流電圧を印加すると、直流電流が発生し、これは、半導体冷却スライスの片方の側面を加熱し、半導体冷却スライスの他の側面を冷却する。典型的に、加熱面を、「高温表面」と呼び、一方、冷却面を、「低温表面」と呼ぶ。半導体冷却スライスには、コントロール端部が設けられる。命令がコントロール端部に送られた後、半導体冷却スライスの両側の電圧極性を交換することができ、その結果、電流は逆に流れ、それによって、半導体冷却ファンの低温表面と高温表面の間の相互変換を実現する。また、換言すれば、半導体冷却システムの冷却機能と加熱機能の間の相互変換が実現され得る。低温表面と高温表面の間の変換を除いて、要求に応じて正確な温度コントロール(0.01℃の精度)を実現することも可能である。このように、本発明の熱交換装置として、半導体冷却システムを適用することによって、第2の材料容器42の加熱又は冷却は、種々の生物学的プリンティング材料の異なる温度要件を満たすために都合よく且つ、効果的に実現され得る。
【0049】
実施形態において、容器温度コントロールシステム1は、容器温度検出コントロール装置を備え、これは、半導体冷却システムを加熱操作状態と冷却操作状態の間で移行することをコントロールするように構成される。
図4に示すように、実施形態において、容器温度検出コントロール装置は、コントロールシステム(図示せず)及び熱伝導ジャケット11に設けられた第1の温度センサ18を含む。第1の温度センサ18は、熱伝導ジャケット11の温度を検出し、コントロールシステムに伝導するために用いられる。熱伝導ジャケット11の温度が対応する第2の材料容器42の温度に一致するので、第1の温度センサ18は、第2の材料容器42の温度を検出し、それをコントロールシステムに伝達することが出来る。コントロールシステムは、第2の材料容器42の温度と補助材料の所望の温度(通常はコントロールシステムに予め設定される)の間の差を比較することによって、半導体冷却システムの操作状態をコントロールし、第2の材料容器42の温度の閉ループコントロールを実現し、温度コントロールの精度を向上させる。第1の温度センサ18によって検出された第1の材料容器及び第2の材料容器42の温度が、生物学的材料の所望の温度に達すると、対応する材料を、第1の材料容器41及び第2の材料容器42に、それぞれ加えることが出来る。
【0050】
半導体冷却装置12の第1の側面上に配置された第1の均熱プレート14は、気相と液相が相互に変換されて均一に熱を伝達することができ、その結果、半導体冷却装置12と第2の材料容器42の間の熱伝導は、より均一且つ、効果的であり、熱伝導ジャケット11を包括的に覆うことが出来ない半導体冷却装置12によって生じる不均一な熱伝導の現象を防ぐ。加えて、熱伝導ジャケット11全体の半導体冷却スライスを覆う必要がないので、構造設計及び空間レイアウトはまた、単純且つ、コンパクトである。半導体冷却装置12の第2の側面に配置された第2の均熱プレート15は、半導体冷却装置12と環境の間の熱伝達をより均一にすることができ、半導体冷却装置12の第1の側面と第2の側面の間の温度差を低減することが出来る。半導体冷却装置12の低温面と高温面の間に逆熱伝達工程が存在し、高温と低温面の間の温度差が大きいほど、逆の熱伝達効果がより顕著になり、一方、順方向熱伝達によって伝達される熱は、逆方向熱伝達によって伝達される熱と等しくなるので、低温面及び高温面の温度は、もはや変化せず、これは、半導体冷却装置12の冷却作用又は加熱作用に影響し、半導体冷却装置12の第1の側面と第2の側面の温度差を低減するために第2の均熱プレート15を設けることによって、逆熱伝達効果を弱めることが可能であり、及び半導体冷却装置12の冷却機能又は加熱機能を十分に発揮させることが可能である。
【0051】
既存の半導体冷却装置12は、一般に、1つの半導体冷却フィンのみを含む。半導体冷却装置12の熱伝達力を向上させるために、本発明の半導体冷却装置12は、少なくとも2つの半導体冷却フィンを含み得る。
図4に示すように、本実施形態において、半導体冷却フィンは、3つの半導体冷却フィンを含む。これは以下のような利点がある: 一方では、半導体冷却フィンの数が増加するにつれて、加熱力又は冷却力を効果的に増加することができ、それによって、熱伝達効果を向上させる。他方では、3つの半導体冷却フィンを平行に配置することができ、このようにして、半導体冷却装置12の操作信頼性を向上させることができ、及び一方の半導体冷却フィンが故障しても、残りのフィンは依然として正常に動作することができ、故に、加熱又は冷却が正常に経過することを確保する。加えて、
図4からわかるように、本実施形態の3つのフィンの間に一定の隙間が設けられており、ラインの接続及び取付けを容易にする。
【0052】
放熱装置13は、水冷式の放熱装置又は空冷式の放熱装置であり得る。
図2〜4に示すように、本実施形態において、放熱装置13は、空冷式の放熱装置であり、及びヒートシンクアセンブリ131及び放熱ファンを含み、ここで、ヒートシンクアセンブリ131は、第1の接続ブラケット16を介して取付けプレート6に接続され、及び第2の均熱プレート15を介して半導体冷却装置12の第2の側面に接続される。一方、放熱ファン132は、第2の接続ブラケット17を介してヒートシンクアセンブリ131の下部に配置される。このようにして、均一な熱伝達を、第2の均熱プレート15を介して、ヒートシンクアセンブリ131と半導体冷却装置12の第2の側面の間で行うことが出来る。さらに、放熱ファン132は、ヒートシンクアセンブリ131と環境の間の熱伝達を実現することができ、放熱装置13は、半導体冷却装置12と環境の間で熱伝導を実現することが出来る。加えて、放熱フィンを横切って貫通する孔(図示せず)が、ヒートシンクアセンブリ131の放熱フィンに設けられ得、放熱領域を増加させ、放熱効率を向上させる。
【0053】
実施形態において、放熱ファン132の吹出口は、
図1〜4に配置されたバイオプリンターのプリンティングプラットホームの反対側に配置される。これは、放熱ファン132がヒートシンクアセンブリ131の熱をプリンティングプラットホームにガイドすることを避けることができ、その結果、熱が、プリンティングプラットホーム上の生物学的材料の特徴に影響を及ぼすことを回避することが可能である。
【0054】
さらに、エネルギーを節約し且つ、正確な温度コントロールを実現するために、本発明の放熱ファン132は、ガバナーファンを採用することができ、ヒートシンクアセンブリ131の温度と周囲温度の間の温度差に応じて、放熱ファン132がオンされているか否かをコントロールし、及び放熱ファン132の回転速度を調製し、放熱ファン132の操作状態を実際の要求に一致させ、エネルギーの浪費を回避する。この目的を達成するために、本発明の容器温度コントロールシステム1は、ヒートシンクアセンブリ131の温度を検出するための放熱温度検出コントロール装置をさらに含み、ヒートシンクアセンブリ131の温度と周囲温度の間の温度差に応じて、放熱ファン132がオンされているか否かをコントロールし、放熱ファン132の回転速度を調節する。
図4に占める実施形態において、放熱温度検出コントロール装置は、ヒートシンクアセンブリ131上に両方配置された、第2の温度センサ19及びコントロールシステムを含む。第2の温度センサ19は、ヒートシンクアセンブリ131の温度を検出し、検出された温度をコントロールシステムにフィードバックすることが出来る。コントロールシステムは、ヒートシンクアセンブリ131の温度を周囲温度と比較し、2つの温度の差に応じて、放熱ファン132が動作するか否か、並びに操作中の回転速度をコントロールする。例えば、容器温度コントロールシステム1が動作し、ヒートシンクアセンブリ131の温度と周囲温度の温度差ΔTが、予め設定された値T0よりも大きい場合には、放射ファン132が、オンされ、R=(ΔT/30)×R0の回転速度で動作し、ここで、R0は、ファンの定格回転速度であり、一方、容器温度コントロールシステム1が、動作しない場合、又はヒートシンクアセンブリ131と周囲温度の温度差ΔTが、予め設定した値T0未満の場合には、放熱ファン132がスタートしないように制御される。ここでのコントロールシステムは、容器温度検出コントロール装置のシステムと同じ制御であり得る。例えば、対応する機能は、バイオプリンターの既存のコントロールシステムによって実現され得る。
【0055】
本実施形態の容器温度検出コントロールシステム1の操作工程は、以下の通りである。
(1) 第2の材料容器42の温度が、補助材料の消耗の温度よりも低い場合、半導体冷却システムは、加熱状態にあり、第2の材料容器42に近接する半導体冷却装置12の第1の側面は高温表面であり、及びヒートシンクアセンブリ131に近接する半導体冷却装置12の第2の側面は低温表面である。このとき、半導体冷却装置12の第1の側面は、第1の均熱プレート14及び熱伝導ジャケット11を介して第2の材料容器42に熱を伝達し、第2の材料容器42を加熱する目的を達成し、第2の材料容器42の温度を補助材料の所望の温度に上昇させる。同時に、ヒートシンクアセンブリ131及び第2の均熱プレート15によって、環境中の熱を、半導体冷却装置12の第2の側面に伝達することができ、半導体冷却装置12の第2の側面の温度を高め、その結果、半導体冷却装置12の第1の側面と第2の側面の間の温度差が、低減される。言い換えれば、半導体冷却装置12の冷却表面と高温表面の間の温度差が縮小され、半導体冷却装置12の加温上限が高くなる。
【0056】
(2) 対照的に、第2の材料容器42の温度が、補助材料の所望の温度よりも高い場合、半導体冷却システムは、冷却状態にあり、第2の材料容器42に近接する半導体冷却装置12の第1の側面が、低温表面になり、一方、放熱装置13に近接する半導体冷却装置12の第2の側面は、高温表面となる。このとき、第2の材料容器42の熱は、第1の熱伝導ジャケット11及び第1の均熱プレート14を介して半導体冷却装置12の第1の側面に伝達され、すなわち、半導体冷却装置12の第1の側面は、第2の材料容器42からの熱を吸収し、第2の材料容器42の温度を下げる目的を達成し、その結果、第2の材料容器42の温度は、補助材料の所望する温度に冷却される。同時に、半導体冷却装置12の第2の側面は、第2の均熱プレート15を介してヒートシンクアセンブリ131に熱を伝達し、放熱ファン132の効果の下で最終的に熱を環境に放出し、従って、半導体冷却装置12の低温表面及び高温表面の温度差を低減し、半導体冷却装置12の冷却効果を向上させる。
【0057】
本実施形態の容器温度コントロールシステム1は、小容量、迅速な応答、良好な制御特性等の特徴を有する。容器温度コントロールシステム1のセットが、第1の材料容器41及び第2の材料容器それぞれに設けられているため、本実施形態のバイオプリンター温度コントロールシステム1は、主材料の温度及び補助材料の温度をそれぞれコントロールすることができ、主材料及び補助材料の異なる温度要件を満たし、主材料及び補助材料がより優れた生物学的性能を維持する。加えて、半導体冷却システムと均熱プレートの複合構造を適用したことにより、熱伝達効率が高くなり、熱伝達家庭がより均一になり、コントロール精度が高くなり、ここで、コントロール精度は、0.01℃に達し得る。さらに、加熱と冷却は、両側面で選択することができ、その結果、複数の生物学的材料並びに異なる操作環境の要件を満たすことができ、同じバイオプリンターが、プリンティング材料のより広い選択範囲を持つことを可能にする。
【0058】
図1〜4に示すように、実施形態において、ノズル温度コントロールシステム2は、ノズル熱伝導ブロック21を含み、及び流路温度コントロールシステム3は、流路熱伝導ブロック31を含み、ここで、ノズル熱伝導ブロック21は、第1の材料容器41の下部に配置され、ノズル5の外周に位置し、一方、流路熱伝導ブロック31は、第2の材料容器42の下部に配置され、補助材料流路421の外周に位置する。ノズル熱伝導ブロック21の第1の側面は、第1の材料容器41に位置された容器温度コントロールシステム1の第1の均熱プレート14に接続され、ノズル熱伝導ブロック21の第2の側面は、流路熱伝導ブロック31の第1の側面に接続され、及び熱伝導ブロック31の第2の側面は、第2の材料容器42に位置された容器温度コントロールシステム1の均熱プレート14に接続される。このように、第1の材料容器41の1つの側面での半導体冷却装置12は、第1の均熱プレート14及びノズル熱伝導ブロック21を介してノズル5と熱を交換することができ、ノズル5の温度コントロールを実現する。一方、第2の材料容器42の1つの側面での半導体冷却装置12は、第1の均熱プレート14及び流路熱伝導ブロック31を介して補助材料流路421と熱を交換することができ、補助材料流路421の温度コントロールを実現する。この実施形態は、ノズル5及び補助材料流路421の温度を、プリンティング材料の要件に一致させることができるということがわかり、これは、ノズル5並びに補助材料流路421でプリンティング材料(特に、高粘度のプリンティング材料)の目詰まりを回避し、プリンティング材料の生物学的活性を維持するためにも好都合である。
【0059】
図4に示すように、実施形態において、補助材料流路421は、流路熱伝導ブロック31に直接配置され、及び第2の材料容器42の出口からの補助材料は、補助材料流路を介してノズル5に流入する。補助材料流路421を流路熱伝導ブロック31に直接配置することにより、必要に応じて、補助材料の流路を調節することができ、補助材料を所望の位置にガイドする。
【0060】
図4に示すように、実施形態において、補助材料流路421の一部分が、ノズル5に流入する前にノズル熱伝導ブロック21を通過する必要がある。主材料及び補助材料の独立した正確な温度コントロールを実現するために、断熱層(図示せず)が、ノズル熱伝導ブロック21の補助材料流路421の周囲に設けられる。断熱層は、補助材料流路421内の温度が、ノズル熱伝導ブロック21の温度の影響を受けないようにすることが出来る。
【0061】
本発明のバイオプリンター温度コントロールシステムは、本実施形態の構成に限定されるものではなく、バイオプリンティング材料容器4、ノズル5及びバイオプリンターの流路の具体的な構造の関連性に応じて最適に構成され得る。例えば、バイオプリンターが、1つのバイオプリンティング材料容器4のみを含む場合、バイオプリンター温度コントロールシステムは、1つの容器温度コントロールシステム1を含み得る。バイオプリンターが、第1の材料容器41の出口とノズル5の間に長い主材料流路をさらに備える場合、流路温度コントロールシステム3はまた、主材料流路の温度をコントロールするため等に用いられ得る。これら構成様式は、すべて本発明の保護範囲内にある。
【0062】
本発明によって提供されるバイオプリンターは、本発明のバイオプリンティング材料容器4及びバイオプリンター温度コントロールシステムを含む。バイオプリンター温度コントロールシステムの容器温度コントロールシステム1の熱伝導ジャケット11は、バイオプリンター材料容器4の外周に配置される。
【0063】
上記は、本発明の例示としてのみ意図されるが、本発明を限定するために使用されるものではない。本発明の本質及び原理内の修正、同等の置換、改善等は、すべて本発明の保護範囲内に含まれるべきである。