(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6717966
(24)【登録日】2020年6月15日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】減衰調整システム及び減衰調整システムとして設計された減衰バルブユニットを有する振動ダンパ
(51)【国際特許分類】
F16F 9/46 20060101AFI20200629BHJP
F16F 9/40 20060101ALI20200629BHJP
F16F 9/32 20060101ALI20200629BHJP
【FI】
F16F9/46
F16F9/40 Z
F16F9/32 L
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-547283(P2018-547283)
(86)(22)【出願日】2017年3月8日
(65)【公表番号】特表2019-507855(P2019-507855A)
(43)【公表日】2019年3月22日
(86)【国際出願番号】EP2017055498
(87)【国際公開番号】WO2017153503
(87)【国際公開日】20170914
【審査請求日】2018年12月11日
(31)【優先権主張番号】102016104338.9
(32)【優先日】2016年3月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513099832
【氏名又は名称】ケンドリオン (ビリンゲン) ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】KENDRION (Villingen) GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ベルクフェルト、ビョルン
【審査官】
熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−267487(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102014215563(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00− 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減衰調整システム(2)であって、
− 外部ハウジング(10)内に配置されたガイドチューブ(12)であって、側方外壁(44)を有し、前記ガイドチューブ(12)の内部チャンバ(16)は、端面において底部部分(18)によって境界が定められている、ガイドチューブ(12)と、
− 前記外部ハウジング(10)と前記ガイドチューブ(12)との間に配置された少なくとも1つの磁気コイル(22)と、
− 動作軸線(4)に沿って前記ガイドチューブ(12)内で案内される電磁駆動式アーマチュア(14)と、
− 前記外部ハウジング(10)を囲む外部チャンバ(24)と、
− 前記内部チャンバ(16)を前記外部チャンバ(24)に接続し、且つ前記底部部分(18)及び前記外部ハウジング(10)を通して導かれるベント用ボアホール(30)であって、互いに接続された2つの区分(36、38)を有するベント用ボアホール(30)と、を備えており、
− 第1区分(36)は、前記底部部分(18)を通して導かれると共に、前記底部部分(18)の内部チャンバ側に配置された第1開口部(40)と、前記側方外壁(44)に配置された第2開口部(42)とを有し、
− 第2区分(38)は、前記外部ハウジング(10)を通して導かれる、減衰調整システム(2)において、
前記ベント用ボアホール(30)が、前記ガイドチューブ(12)と前記外部ハウジング(10)との間の前記ベント用ボアホール(30)の周囲にあるシール(32)を使用して密閉され、
前記第1開口部(40)が、前記動作軸線(4)の方向を向いて配置され、前記第2開口部(42)が、前記動作軸線(4)に対して垂直方向を向いて配置されることを特徴とする、減衰調整システム(2)。
【請求項2】
前記第2開口部(42)が、前記外部ハウジング(10)の内壁の方に向けられた前記第2区分(38)の開口部(56)に正対して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項3】
前記第1区分(36)が、直線で導かれ且つ前記ガイドチューブ(12)の内部チャンバ(16)に向かって開放している第1サブ区分(50)と、直線で導かれ且つ前記ガイドチューブ(12)の側方外壁(44)に向かって開放すると共に、前記ガイドチューブ(12)の底部部分(18)を通して、前記第1サブ区分(50)に対して角度を成して延びる第2サブ区分(52)とを有することを特徴とする、請求項1に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項4】
前記第1サブ区分(50)と前記第2サブ区分(52)との間の角度が、実質的に直角であることを特徴とする、請求項3に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項5】
前記第1サブ区分(50)又は前記第2サブ区分(52)或いはこれらの両方が、縮小した直径を有するサブ領域(54)を有し、前記サブ領域(54)の直径が、0.2mm〜0.3mmであることを特徴とする、請求項3又は4に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項6】
前記外部ハウジング(10)が、前記ガイドチューブ(12)の側方外壁(44)の少なくとも一部分を形状が一致する状態で囲むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項7】
前記第2サブ区分(52)が、前記アーマチュア(14)の動作軸線(4)に実質的に垂直に前記底部部分(18)を通して導かれることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項8】
前記ベント用ボアホール(30)が、前記動作軸線(4)に実質的に垂直に前記外部ハウジング(10)を通して導かれることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項9】
前記シール(32)が、Oリングシール又はXリングシールであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項10】
前記外部ハウジング(10)が、前記動作軸線(4)に向かう方向において、前記ガイドチューブ(12)を収容するための管状レセプタクル開口部(28)を有し、前記外部ハウジング(10)の内部表面が、平坦部分表面(48)を有し、前記平坦部分表面(48)上において、前記ガイドチューブ(12)の方に向けられた前記第2区分(38)の開口部(56)が形成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項11】
前記シール(32)が、前記外部ハウジング(10)の又は前記ベント用ボアホール(30)の周りの前記ガイドチューブ(12)の、或いはこれら両方の環状溝(46)内に収容されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項12】
前記ガイドチューブ(12)が、ポールチューブであり、前記少なくとも1つの磁気コイル(22)が、前記ガイドチューブ(12)に巻回されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項13】
前記アーマチュア(14)が、リターンスプリング(62)を有し、前記リターンスプリング(62)が、前記ガイドチューブ(12)内において、前記内部チャンバ(16)の境界を定め、且つ前記底部部分(18)に対向して配置される表面(20)上に支持されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項14】
前記外部チャンバ(24)が、液体減衰媒体(8)で充填されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の減衰調整システム(2)。
【請求項15】
ダンパチューブ(6)と、請求項1〜14のいずれか一項に記載の減衰調整システム(2)として設計された減衰バルブユニットとを有する振動ダンパ(2)であって、
前記外部チャンバ(24)が、外筒として形成される前記ダンパチューブ(6)によって境界が定められ、前記外部ハウジング(10)が、前記ダンパチューブ(6)内において前記動作軸線(4)に沿って軸方向に往復して移動可能であるように案内されることを特徴とする、振動ダンパ(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の減衰調整システム、及び減衰調整システムとして設計された減衰バルブユニットを有する振動ダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
調整可能な減衰システム又は減衰調整システムは、現在、多くの車両で利用可能になっており、自動車の運転者に高度の運転快適性及び高い運転安全性を提供している。この目的のため、サスペンションコントローラの制御ユニットは、とりわけ各車輪の加速度センサ及び距離センサからのデータを使用して減衰力を数ミリ秒で個々に適応させる。このようにして、道路の不快な振動が搭乗者から可能な限り切り離され、ダンパは、車体の移動が可能な最良の状態で安定するように作動される。
【0003】
この場合、ダンパは、一般に、ダンパチューブ又は外筒を有し、組込式調整システムは、このダンパチューブ又は外筒内の減衰オイル中で往復して移動可能である。外筒内において往復して移動可能なピストンとして設計された組込式調整システムは、磁気コイルとアーマチュア(Anker)とを有するパイロットステージ(Pilotstufe)を有する。パイロットステージは、磁気コイルを介して伝導される電流に基づいてメインステージに加えられる圧力をアーマチュアの移動によって制御する。この場合、パイロットステージ内のアーマチュアの補助により、メインステージ内のバルブが必要に応じて開閉されることでダンパチューブ内の油圧が制御され、このようにしてよりソフト又はハードな減衰が達成される。システムの消費電力を最小にするために、磁気コイルは、通電されていない状態ではパイロットステージに力を作用させないように設計される。移動中、例えば、比較的平らな路面上を穏やかに移動している間、ダンパは、低い減衰力の範囲内で主に動作されるため、あまり通電されない。例えば、ダイナミックな運転操縦時又はくぼみを移動する際に車体を安定させるための高減衰力は、短い間にのみ設定される。
【0004】
しかしながら、減衰オイル中に気泡が含まれるか又は形成される場合がある。気泡は、特にメインステージのアーマチュアチャンバに入り込んだ場合、その中に蓄積して擾乱を引き起こす可能性がある。これは、ダンパは、垂直に動作し、上部で閉じられているため、入り込んだ気泡は、アーマチュアが動作する内部チャンバからもはや出ることができないためである。減衰オイル及び気泡は、したがって、パイロットステージのアーマチュアが磁気コイルによって電磁的に作動されたときに往復して移動する内部チャンバ内にある。減衰オイル及び気泡の粘度が異なり、且つ圧力、温度、体積の性質が異なることにより、気泡が内部チャンバ内にある場合、磁気コイルを等しい時間にわたって等しく通電しても、アーマチュアが異なる偏向を生じる場合がある。したがって、磁気コイルの通電が等しくても、ダンパの異なる減衰を引き起こすメインステージの異なる作動が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、これらの欠点を有しない減衰調整システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の減衰調整システムにより、及び請求項16に記載の振動ダンパにより達成される。有利な実施形態は、各従属請求項に開示される。
本発明による減衰調整システムは、外部ハウジング内に配置されたガイドチューブであって、側方外壁を有し、ガイドチューブの内部チャンバは、端面において底部部分によって境界が定められる、ガイドチューブを有する。更に、減衰調整システムは、外部ハウジングとガイドチューブとの間に配置された少なくとも1つの磁気コイルと、動作軸線に沿ってガイドチューブ内で案内される電磁駆動式アーマチュアと、外部ハウジングを囲む外部チャンバと、内部チャンバを外部チャンバに接続し、且つ底部部分及び外部ハウジングを通して導かれるベント用ボアホールとを有する。ベント用ボアホールは、本発明によれば、互いに接続された2つの区分を有し、第1区分は、底部部分を通して導かれ、第1区分は、底部部分の内部チャンバ側に配置された第1開口部と、側方外壁に配置された第2開口部とを有する。ベント用ボアホールは、外部ハウジングを通して導かれる第2区分を更に有する。ベント用ボアホールは、ガイドチューブと外部ハウジングとの間のベント用ボアホールの周囲にあるシールによって密閉される。このようにして、電磁駆動式アーマチュアが往復して移動する内部チャンバに流れ込んだ気泡は、ベント用ボアホールを通じて外部ハウジングの外側の外部チャンバに運ばれ、減衰オイルは、磁気コイルが配置される中間チャンバに入ることができない。
【0007】
この場合、第1開口部は、有利には、動作軸線の方向を向いて配置され、第2開口部は、動作軸線に対して垂直方向を向いて配置される。このようにして、外部ハウジングとガイドチューブとの間のベント用ボアホールを密閉する非常に小さいシールリングのみを使用して、磁石が配置され且つ電気接点も配置される中間チャンバにオイルが漏れないことを可能にする。
【0008】
第2開口部は、有利には、ガイドチューブと外部ハウジングとの間のベント用ボアホールの第1区分と第2区分との間の可能な限り最短の接続を確立するために、外部ハウジングの内壁の方に向けられた第2区分の開口部に正対して配置される。
【0009】
ベント用ボアホールの第1区分は、直線で導かれ且つガイドチューブの内部チャンバへ開放している第1サブ区分と、また、直線で導かれ且つガイドチューブの側方外壁へ開放している第2サブ区分とを有し、第2サブ区分は、ガイドチューブの底部部分を通して、第1サブ区分に対して角度を成して延びる。第1サブ区分と第2サブ区分との間の角度は、この場合、有利には実質的に直角であり、「実質的に直角」という用語は、2つのサブ区分間の角度が直角から最大10°ずれることを意味する。
【0010】
第1サブ区分は、縮小した直径を有するサブ領域を有する。そのため、集められた空気は、このサブ領域に迅速に運ばれるか又は押し込まれるが、減衰オイルは、そのより高い粘性により、このベント用ボアホールを通じて単位時間あたりわずかな量のみ漏れる。したがって、ベント用ボアホールが減衰にわずかな影響のみを及ぼすことが確実となる。このようなサブ領域は、当然のことながら、付加的に又は代替的に第2サブ区分に配置される。縮小した直径を有するサブ領域の直径は、好ましくは、0.2mm〜0.3mmであり、特に好ましくは約0.25mmである。
【0011】
外部ハウジングは、有利には、ガイドチューブの側方外壁の少なくとも一部分を形状が一致する状態で囲む。したがって、外部ハウジングにおけるガイドチューブの安定且つ固定的な取り付けが達成される。ベント用ボアホールの第2サブ区分は、好ましくは、アーマチュアの動作軸線に対して実質的に垂直に底部部分を通して導かれる。ベント用ボアホールはまた、好ましくは、動作軸線に対して実質的に垂直に外部ハウジングを通して導かれる。
【0012】
ガイドチューブと外部ハウジングとの間のベント用ボアホールを密閉するシールは、好ましくはOリングシールであるが、特に好ましくはXリングシールである。クワッドリングシールとも呼ばれるXリングシールは、正方形に配置されたその幾何学的形状が8つの接触領域を形成するシールプロファイルを示す。このようにして、正方形内に4つの接触領域のみを形成し得るOリングシールに対し、クワッドリングシールは、特にシールのシームが突起間にあることからもより確実なシールである。更に、クワッドリングシールは、Oリングシールに比べ、傾き又はねじれに対してより高い安定性を有する。
【0013】
特に好適な一実施形態では、外部ハウジングは、動作軸線の方向において、ガイドチューブを収容するための管状レセプタクル開口部を有し、外部ハウジングの内部表面は、平坦部分表面を有し、平坦部分表面上において、第2区分の内方に向けられた開口部が形成される。シールは、この場合、外部ハウジング及び/又はベント用ボアホールの周りのガイドチューブ上の環状溝内に収容される。シールは、ベント用ボアホールの周りの平面上に環状に配置されるため、中間チャンバに対して傾きのない特に確実なシールが達成される。
【0014】
ガイドチューブは、好ましくは、ポールチューブであり、及び少なくとも1つの磁気コイルは、好ましくは、ガイドチューブに巻回される。
アーマチュアは、リターンスプリングを有し、リターンスプリングは、ガイドチューブ内において、好ましくは、内部チャンバの境界を定め、且つ底部部分に対向して配置された表面上に支持され、それにより、通電されていない状態において、アーマチュアは、同じ始動位置に常に戻る。
【0015】
アーマチュアは、好ましくは、中空管として形成される。アーマチュアは、好ましくは、貫通ボアホールを有し、貫通ボアホールを通じ、ダンパオイルは、アーマチュアの移動方向に応じてガイドチューブの内部チャンバに流れ込むことができるか、又はガイドチューブの内部チャンバから流れ出ることができるかのいずれかである。外部チャンバはまた、液体減衰媒体、好ましくは減衰オイルが充填される。
【0016】
本発明による振動ダンパは、したがって、ダンパチューブと、減衰調整システムとして設計された減衰バルブユニットとを有し、外部チャンバは、好ましくは外筒として形成されるダンパチューブによって境界が定められ、及び外部ハウジングは、ダンパチューブ内において動作軸線に沿って軸方向に往復して移動可能であるように案内される。
【0017】
電磁石が配置される中間チャンバを密閉するために、シールリングがガイドチューブと外部ハウジングとの間に側方配置される記載の構造を使用することで、一方では、ベント用ボアホールが電磁駆動式アーマチュアの動作軸線に平行にのみ案内される構造に比べて付加的な構成要素が省略され得る。したがって、減衰調整システムの構造と、したがってまた振動ダンパの構造とが簡略化される。
【0018】
本発明による減衰調整システムは、以下において、特定の例示的実施形態に基づくがこの例示的実施形態に限定されることなく、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】振動ダンパの減衰調整システムをアーマチュアの動作軸線に沿った断面図で示す。
【
図2】本発明による、ベント用ボアホールを有する
図1による減衰調整システムの詳細を示す。
【
図4】
図1の減衰調整システムを、
図1の断面図に垂直である、動作軸線に沿った断面図で示す。
【
図5】
図1の減衰調整システムを、アーマチュアの動作軸線に垂直な断面A−Aで示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、外筒として形成されたダンパチューブ6内で動作軸線4に沿って往復して移動可能であるように案内される減衰調整システム2を有する振動ダンパ1を示す。減衰オイルの形態の減衰媒体8は、外筒6内に配置される。減衰調整システム2は、外部ハウジング10と、外部ハウジング10内に配置され且つポールチューブとして形成されるガイドチューブ12と、動作軸線4に沿って移動可能であるようにポールチューブ12内で案内されるアーマチュア14とを有する。アーマチュア14は、ポールチューブ12の内部チャンバ16内において、ポールチューブ12の底部部分18と支持面20との間で往復して移動可能であるように案内される。
【0021】
通電されるとアーマチュア14を電磁的に作動させることができる磁気コイル22は、外部ハウジング10とポールチューブ12との間の中間チャンバ内に配置される。内部チャンバ16と同様に減衰オイル8が充填される外部チャンバ24は、外部ハウジング10とダンパチューブ6との間に配置される。磁石チャンバシール26は、減衰オイル8が充填される外部チャンバ24及び内部チャンバ16に対して、磁気コイル22が配置される中間チャンバを密閉する。
【0022】
ガイドチューブ12の底部部分18は、外部ハウジング10のレセプタクル開口部28内に収容される。ベント用ボアホール30は、外部チャンバ24を内部チャンバ16に接続する。ベント用ボアホール30を囲み、且つ磁気コイル22が配置される中間チャンバに対してベント用ボアホール30を密閉する周囲シール32は、ガイドチューブ12と外部ハウジング10との間に配置されるため、ベント用ボアホール30を通って内部チャンバ16から外部チャンバ24に又は外部チャンバ24から内部チャンバ16に流れる媒体は、中間チャンバに達することができない。外部ハウジング10内に配置された電気取付部品34は、磁気コイル22に電流を供給する。
【0023】
図2は、ベント用ボアホール30を有する減衰調整システム2の一部を拡大図で示す。ベント用ボアホール30は、第1区分36と第2区分38とを有する。ベント用ボアホール30の第1区分36は、ガイドチューブ12の底部部分18に配置された第1開口部40と、ガイドチューブ12の側方外壁44に配置された第2開口部42との間に延びる。底部部分18においてベント用ボアホール30の周りに配置された環状溝46は、周囲シール32を収容する。周囲シール32は、この場合、Xリングとして形成され、その断面は
図3に示されている。磁気コイル22が配置される中間チャンバは、このシール32によってベント用ボアホール30に対して密閉される。周囲シール32は、外部ハウジング10と、ガイドチューブ12の底部部分18の側方外壁44との両方に載置される。この場合、周囲シール32は、外部ハウジング10の平坦部分表面48上に載置される。
【0024】
ベント用ボアホール30の第1区分36は、第1サブ区分50と第2サブ区分52とを有する。第1サブ区分50と第2サブ区分52とは、互いに垂直に配置され、且つこの場合、例えば0.25mmの、第1サブ区分50に対して縮小した内径を有する第1サブ区分50のサブ領域を介して接続される。ベント用ボアホール30の第2区分38は、外部チャンバ24から離れる方に向けられた外部ハウジング10の開口部56を介して、ベント用ボアホール30の第1区分36の第2サブ区分52に直接接続される。
【0025】
このため、例えば、内部チャンバ16内に気泡が形成された場合、気泡は、底部部分18の開口部40を通り、第1サブ区分50及び第1区分36の収縮したサブ領域54を介して第1区分36の第2サブ区分52に移動し、周囲シール32及び底部部分18の側方外壁44の第2開口部42を通り、外部ハウジング10の開口部56を介してベント用ボアホール30の第2区分38に移動し、且つ第2区分38から外部チャンバ24に運ばれる。
【0026】
図4は、
図1の断面図に対して動作軸線4の周りで90°回転させた減衰調整システム2を動作軸線4に沿った断面図で示す。
図4に示す通り、電気取付部品34は、磁気コイル22に電気的に接続される。内部チャンバ16内で往復して移動可能なアーマチュア14は、中空タペットとして形成された一定力位置決め要素58と、一定力位置決め要素58に接続されたラム60とからなる。中空タペット58は、ラム60を通して延び、且つ内部チャンバ16に向かって開放しているため、減衰オイルは、タペット58を通って内部チャンバ16と外部チャンバ24との間で問題なく流れる。
【0027】
磁気コイル22が通電されなくなると、磁気コイル22によって電磁的に偏向されたアーマチュア14をその始動位置に戻すリターンスプリング62は、ラム60と支持面20との間に支持される。更なるスプリング64上に締結されたフェイルセイフディスク66は、磁気スイッチとして使用され、アーマチュア14の偏向が、最初に、磁気コイル22に印加される特定の電流の強さから生じることを確実にする。
【0028】
減衰オイル8は、中空の一定力位置決め要素58を通って外部チャンバ24と内部チャンバ16との間で流れる。これに対し、本発明によるこの配置構成では、磁気コイル22が配置される中間チャンバは、減衰オイルを有していない。これは、電気取付部品34にも当てはまり、電気取付部品34も同じく減衰オイルを有していない。
【0029】
図5は、断面線A−Aに沿って取った減衰調整システム2の断面図を示す。ガイドチューブ12の底部部分18は、外部ハウジング10のレセプタクル開口部28に収容される。外部ハウジング10は、平坦部分表面48を有し、平坦部分表面48上に周囲シールリング32が載置される。ガイドチューブ12の底部部分18の側方外壁44は、したがって、レセプタクル開口部28内に実質的に形状が一致する状態で収容される。Xリングシールとして形成される周囲シール32は、ガイドチューブ12の底部部分18の環状溝46内に収容され、且つ磁気コイル22が配置される中間チャンバ68からベント用ボアホール30を密閉する。Xリング32は、平坦部分表面48上に載置されるため、中間チャンバ68に対して特に漏れのない、特に信頼性の高いシールが達成される。Xリングシールの更なる利点は、例えば、ガイドチューブ12が外部ハウジング10のレセプタクル開口部28に挿入されたときに回転しないことである。
【0030】
本発明について、好適な例示的実施形態に基づき、この例示的実施形態に限定されることなく説明した。この場合、本発明の概念が維持されていれば、例示的実施形態の特徴は、機能的に均等な特徴と自由に交換可能である。したがって、例えば、Xリングの代わりにOリングを使用すること、又は例えば第1サブ区分50と、ベント用ボアホール30の第1区分36の第2サブ区分52との間を非直角にすることも可能である。
【0031】
図面に示される減衰調整システムは、本発明に必須の減衰調整システムの一部のみを示す。この場合、これらは、磁気コイルと、アーマチュアと、ベント用ボアホールとを有するパイロットステージである。アーマチュアを使用して作動可能なバルブ(このバルブを使用して最終的に振動ダンパの減衰効果が設定される)は、本発明では示されない。
【符号の説明】
【0032】
1…振動ダンパ、2…減衰調整システム、4…動作軸線、6…ダンパチューブ、外筒、8…減衰媒体、10…外部ハウジング、12…ガイドチューブ、ポールチューブ、14…アーマチュア、16…内部チャンバ、18…底部部分、20…支持面、22…磁気コイル、24…外部チャンバ、26…磁石チャンバシール、28…レセプタクル開口部、30…ベント用ボアホール、32…周囲シール、34…電気取付部品、36…第1区分、38…第2区分、40…第1開口部、42…第2開口部、44…側方外壁、46…環状溝、48…平坦部分表面、50…第1サブ区分、52…第2サブ区分、54…サブ領域、56…開口部、58…一定力位置決め要素、タペット、60…ラム、62…リターンスプリング、64…更なるスプリング、66…フェイルセイフディスク、68…中間チャンバ。