【実施例】
【0070】
以下、本実施形態を実施例及び比較例によって更に具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに制限されるものではない。
【0071】
まず以下に、実施例及び比較例で使用した樹脂組成物の原料について説明する。
【0072】
<(A−1)ポリフェニレンエーテル(PPE)>
(A−1−1)PPE−1
未変性のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び反応器の底部まで届いた酸素導入管を備えた容量10リットルのジャケット付き反応器に、臭化第二銅2gを投入し、ジブチルアミン35g、トルエン800gに溶解させた。この触媒溶液に、2,6−ジメチルフェノール200gをトルエン500gに溶かした溶液を加えた。これらの混合液を反応機内にて、酸素を供給しながら40℃で重合を3時間行った反応停止後、水と接触させて反応液から触媒を除去し、ポリフェニレンエーテル重合反応液を得た。このポリフェニレンエーテル反応液を連続的にメタノールと接触させ攪拌しながら固形化しポリフェニレンエーテルスラリー溶液を得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用い湿式粉砕を行い、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。湿式粉砕後のスラリー溶液中のポリフェニレンエーテル粒子は1700μmより大きな粒子は0重量%及び重量平均粒径は220μmであった。
上記の製造方法で得られたポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(PPE−1)は、還元粘度=0.38dl/g、数平均分子量15300、100ユニットあたりの末端OH基:0.72個、100ユニットあたりのジブチルアミン末端:0.43個であった。
なお、還元粘度は、0.5g/dlクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度管で測定した。
【0073】
(A−1−2)PPE−2
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.57gの酸化第二銅、24.18gの47質量%臭化水素水溶液、11.00gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、62.72gのジ−n−ブチルアミン、149.92gのブチルジメチルアミン、20.65kgのトルエン、及び3.12kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。次に、重合槽へ32.8NL/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入し始め、重合を開始した。乾燥空気を140分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようコントロールした。乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。
得られた有機相を連続的にメタノールと接触させ攪拌しながら固形化しポリフェニレンエーテルスラリー溶液を得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用いて湿式粉砕をおこない、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。湿式粉砕後のスラリー溶液中のポリフェニレンエーテル粒子は1700μmより大きな粒子は0重量%であり、ポリフェニレンエーテル粒子の重量平均粒径は220μmであった。
上記の製造方法で得られた前駆体ポリフェニレンエーテルとしてのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(PPE−1)は、還元粘度=0.38dL/g、数平均分子量15300、前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OH基の数:0.72個、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりのN,N−ジブチルアミノメチル基の数:0.43個であった。
なお、還元粘度は、0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度管で測定した。
【0074】
(A−1−2)PPE−3
後述の製造例1の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
(A−1−3)PPE−4
後述の製造例2の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
(A−1−4)PPE−5
後述の製造例3の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
(A−1−5)PPE−6
後述の製造例4の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
(A−1−6)PPE−7
後述の製造例5の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
(A−1−7)PPE−8
後述の製造例6の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
(A−1−8)PPE−9
後述の製造例7の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
(A−1−9)PPE−10
後述の製造例8の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
(A−1−10)PPE−11
後述の製造例9の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
(A−1−11)PPE−12
後述の製造例10の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
(A−1−12)PPE−13
後述の製造例11の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
(A−1−13)PPE−14
後述の製造例12の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
(A−1−14)PPE−15
後述の製造例13の方法で製造した変性ポリフェニレンエーテル
【0075】
<(A−2)その他の熱可塑性樹脂>
(A−2−1)ポリスチレン(GPPS)
ポリスチレン685、PSジャパン社製
(A−2−2)ポリアミド6,6(PA66)
バイダイン48BX、ソルーシアインク社(米国)製
(A−2−3)ポリプロピレン(PP)
ノバテックPP SA08ポリプロピレン、日本ポリプロピレン社製
【0076】
<(A−c)相溶化剤>
(A−c−1)無水マレイン酸(MAH)
無水マレイン酸、三菱化学社製
(A−c−2)水素添加ブロック共重合体(SEBS)
下記の方法に従って合成される重合体。
公知の方法により、重合体ブロックAをポリスチレンからなるものとし、重合体ブロックBをポリブタジエンからなるものとして、B−A−B−A型のブロック構造を有するブロック共重合体を合成した。公知の方法により、合成したブロック共重合体に水素添加を行った。重合体の変性は行わなかった。得られた未変性水素添加ブロック共重合体の物性を下記に示す。
水素添加前のブロック共重合体におけるポリスチレンの含有量:44%、水素添加前のブロック共重合体の数平均分子量(Mn):95,000、ポリスチレンブロックの数平均分子量(Mn):41,800、ポリブタジエンブロックの数平均分子量(Mn):53,200、水素添加前のブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn):1.06、水素添加前のポリブタジエンブロックにおける全ビニル結合量(1,2−ビニル結合量):75%、ポリブタジエンブロックを構成するポリブタジエン部分に対する水素添加率:99.9%
【0077】
<(B)難燃剤>
(B−1)縮合リン酸エステル
ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェート)(BDP)(商品名:E890(登録商標)、大八化学工業製)
(B−2)ホスフィン酸塩類
ホスフィン酸アルミニウム塩(PA)(商品名:エクソリットOP1230(登録商標)、クラリアント社製)
【0078】
<(C)酸化防止剤>
(C−1)リン系酸化防止剤−1
化学名:3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン(商品名:アデカスタブPEP−36(登録商標)、アデカ社製)
(C−2)リン系酸化防止剤−2
化学名:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:Irgafos168(登録商標)、BASF社製)
【0079】
次に、押出混練方法について説明する。
押出混練には、第一原料供給口、第二原料供給口(押出機のほぼ中央に位置する)、及び液体添加ポンプを有する二軸押出機(コペリオン社製 ZSK−25)を用いた。上記(A)〜(C)の各成分を、表1に示した組成で、押出機の第一原料供給口、第二原料供給口、及び液体添加位置に供給して、これらを溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
なお、上記二軸押出機は、バレル温度270〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した。
【0080】
得られた樹脂組成物の物性を下記の通り測定した。測定結果を表1に示す。
【0081】
[PPEの変性度]
31P−NMR、13C−NMR、1H−NMRを用いて、変性PPEに含まれる、式(1)〜式(4)に示す構造ユニットの含有量を算出した。
NMRの測定条件は、下記の通りとした。
・31P−NMR 測定条件
装置 :JEOL RESONANCE ECS400
観測核 :31P
観測周波数 :161.8MHz
パルス幅 :45°
待ち時間 :5秒
積算回数 :10,000回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:85%リン酸水溶液(外部基準)0ppm
・13C−NMR 測定条件
装置 :Bruker Biospin Avance 600
観測核 :13C
観測周波数 :150.9MHz
測定法 :逆ゲートデカップリング法
パルス幅 :30°
待ち時間 :10秒
積算回数 :2,000回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:TMS 0ppm
・
1H−NMR 測定条件
装置 :JEOL―ECA500
観測核 :
1H
観測周波数 :500.16MHz
測定法 :Single−Plus
パルス幅 :7μsec
待ち時間 :5秒
積算回数 :512回
溶媒 :CDCl
3
試料濃度 :5w%
化学シフト基準:TMS 0.00ppm
【0082】
[灰分量]
得られた樹脂組成物の灰分は、樹脂2〜3gを650℃で2時間加熱し、下記式で計算することにより算出した。
灰分量(%)=△W÷W×100(△W:灰分重量、W:試料重量)
ここでの実施例及び比較例では、0.1〜5.0質量%の範囲であった。
【0083】
[クロロホルム不溶化率]
得られた樹脂組成物から縦12.6cm、横1.3cm、厚み1.6mmの成形品を作成した。その後、1)エージング前の該成形品の下端から1cm×1cm×1.6mmを切り出し、凍結粉砕後、篩にかけることにより目の開き500μmは通過するが目の開き355μmは通過しない粒子を採取した。これを200mg測り取り、クロロホルム40mL中で6時間超音波振動を与え、可溶分と不溶分とを吸引濾過で分離させた。得られた残渣(不溶分)を100℃で2時間真空乾燥した後、乾燥残渣の質量を測定した。この値を「初期の残渣量」とした。また、2)150℃で1000時間静置するエージング処理を行った成形品についても、1)の方法と同様の方法に従って、切り出しから乾燥までを行った後の残渣の質量を測定した。この値を「エージング後の残渣量」とした。そして、1)、2)で得られた値から、下記式(X)により不溶化分変化率(%)を計算した。
[エージング後の残渣量(mg)−初期の残渣量(mg)]/[200−初期の残差量(mg)]×100[%]
・・・(X)
【0084】
[PPEの末端OH基濃度]
各押出サンプルをクロロホルムに溶解させた。そして、分液漏斗にこの溶液と該溶液と同量の精製水とをそれぞれ入れ、分液操作を3回行うことで、水相に親水性物質を除去した。得られた有機相に対してメタノールで再沈殿を行った後、沈殿物をメタノールで洗浄することで、酸化防止剤を除去した。次に、沈殿物をアセトンでよく洗浄し、未反応の低分子化合物を除去した。濾過後、濾物を乾燥させ、50℃のジクロロメタンを少しずつ加えながら、完全に溶解させた。この溶液を3℃の雰囲気下で一晩静置させることで、PPE成分のみを再結晶化させた。この結晶を3℃のジクロロメタンで洗浄しながら濾過し、PPE成分を単離した。
以上のように単離したPPE成分を、13C−NMRのプロトン逆ゲートデカップリング法(定量測定)で測定し、側鎖中1位の炭素(145.4ppm、151.4ppm)に対する、末端OH基の結合した1位の炭素(146.1ppm)のスペクトル割合を計算することで、モノマー100ユニットあたりのOH基末端数(個)を算出した。
【0085】
得られた樹脂組成物の評価を下記(1)及び(2)の通りに行った。評価結果を表1に示す。
【0086】
(1)難燃性
実施例及び比較例で得た樹脂組成物のペレットを用いて、290℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度90℃の条件で、UL−94垂直燃焼試験測定用テストピース(2.0mm厚み)を射出成形した。このようにして成形した5本の試験片を用いて、UL−94垂直燃焼試験に基づいて難燃性を評価した。10秒間の接炎後、炎を離してから炎が消えるまでの燃焼時間をt1(秒)とし、再び10秒間の接炎後、炎を離してから炎が消えるまでの燃焼時間をt2(秒)とし、各5本について、t1とt2とを合わせて10回の平均燃焼時間を求めた。
【0087】
(2)長期難燃性
上記難燃性試験と同様の方法で得られたUL−94垂直燃焼試験測定用テストピース(2.0mm厚み)を150℃のギアオーブンにクリップで吊るし、これを均一に加熱されるように回転させながら、1000時間熱エージングさせた。この時のギアオーブンのダンパー開度は50%に設定した。熱エージング後の試験片を取り出し、UL−94垂直燃焼試験に基づいて難燃性を評価し、t1及びt2を測定した。そして、t1とt2とを合わせて10回の平均燃焼時間を求めた。
【0088】
以下、実施例及び比較例で使用した変性ポリフェニレンエーテルの製造例について記載する。
【0089】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例1〕
PPE−1を100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第一原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A)ポリフェニレンエーテル成分(PPE−3)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(PPE−3)のパウダーを得た。
得られた(A−1)ポリフェニレンエーテル(PPE−3)は、
31P−NMR(singleplus法)及び
1H−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、
13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、下記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(12)の構造を0.03個含むことを確認した。また、
1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの反応性化合物の付加数(個)=(前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OHの数)×{[A]/([A]+[B])}・・・(2)
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、
31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値を割り出すことより求められ、27モル%であることが分かった。
【化24】
【化25】
【化26】
【0090】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例2〕
PPE−2を100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第一原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A)ポリフェニレンエーテル成分(PPE−4)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(PPE−4)のパウダーを得た。
得られた(A−1)ポリフェニレンエーテル(PPE−4)は、
31P−NMR(singleplus法)及び
1H−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、
13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、下記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(12)の構造を0.03個含むことを確認した。また、
1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの反応性化合物の付加数(個)=(前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OHの数)×{[A]/([A]+[B])}・・・(2)
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、
31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値を割り出すことより求められ、27モル%であることが分かった。
【0091】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例3〕
まず、前駆体ポリフェニレンエーテルを次の製造方法で製造した。
攪拌機、温度計、コンデンサー及び反応器の底部まで届いた酸素導入管を備えた容量10リットルのジャケット付き反応器にキシレン2.9kg、メタノール905g、2,6−ジメチルフェノール1.0kg(8.2モル)を仕込み均一な液とした後、水酸化ナトリウム26.2g(655ミリモル)をメタノール175gに溶かした溶液を加え、次いで塩化マンガン四水和物810mg(4.1ミリモル)とモノエタノールアミン20g(328ミリモル)を窒素雰囲気下、50℃、1時間混合した予備混合物20.8gを加えた。更にエチレングリコール20.4g(329ミリモル)及びジ−n−ブチルアミン10.6g(82ミリモル)を加えた。内容物を激しくかきまぜながらこれに酸素を200Nml/分の速さで吹き込み、反応温度を40℃に保ち3時間反応させた後、酸素を80Nml/分、反応温度30℃に降温し、反応開始から5時間経過した時点で酸素供給を停止した。反応混合物600gを抜き出し、メタノール280gを加え、析出した重合体を吸引濾過した後、メタノール1lで2回洗浄し吸引濾過した。得られた重合体を、ピロリン酸ナトリウム2.9g及びハイドロサルファイトナトリウム1.9gをイオン交換水500mlに溶かした溶液中に分散させ、攪拌下80℃で10分間処理した。吸引濾過して得られた重合体をイオン交換水1lで2回洗浄、吸引濾過した。湿った重合体を150℃で5時間減圧乾燥し、110gの粉末状のポリフェニレンエーテルを得た。
上記の製造方法で得られた、還元粘度=0.47dl/gであり、ジブチルアミン末端を100ユニットあたり3.6個有する前駆体ポリフェニレンエーテル100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第一原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A−1)ポリフェニレンエーテル成分(PPE−5)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル成分(PPE−5)のパウダーを得た。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(PPE−5)は、
31P−NMR(singleplus法)及び
1H−NMRで同定することができ、反応性化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、上記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて3.4個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、
13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、化学式(12)の構造を0.03個含むことを確認した。また、
1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、
31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値を割り出すことより求められ、5.0モル%であることが分かった。
【0092】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例4〕
まず、前駆体ポリフェニレンエーテルを次の製造方法で製造した。
攪拌機、温度計、コンデンサーおよび反応器の底部まで届いた酸素導入管を備えた容量10Lのジャケット付き反応器に、臭化第二銅2gを投入し、ジ−n−ブチルアミン35g、トルエン800gに溶解させた。この触媒溶液に、2,6−ジメチルフェノール200gをトルエン500gに溶かした溶液を加えた。これらの混合液を反応器内にて、酸素を供給しながら40℃で重合を1時間行った。反応停止後、水と接触させて反応液から触媒を除去し、ポリフェニレンエーテル反応液を得た。このポリフェニレンエーテル反応液を連続的にメタノールと接触させ攪拌しながら固形化しポリフェニレンエーテルスラリー溶液を得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用いて湿式粉砕をおこない、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。湿式粉砕後のスラリー溶液中のポリフェニレンエーテル粒子は1700μmより大きな粒子は0重量%であり、ポリフェニレンエーテル粒子の重量平均粒径は220μmであった。
上記の製造方法で得られた前駆体ポリフェニレンエーテルとしてのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルは、還元粘度=0.13dL/g、数平均分子量3000、前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OH基の数:5.2個であった。
【0093】
上記前駆体ポリフェニレンエーテルを100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第一原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A)ポリフェニレンエーテル成分(PPE−6)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(PPE−6)のパウダーを得た。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(PPE−6)は、
31P−NMR(single plus法)及び
1H−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、
1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、
13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、化学式(12)の構造を4.9個含むことを確認した。また、
1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、
31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値を割り出すことより求められ、27モル%であることが分かった。
【0094】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例5〕
まず、ブロモ化ポリフェニレンエーテルを次の製造方法で製造した。
(PPE−1)100質量部を10Lのジャケット付き反応器に入れ、クロロホルム2.0Lを加えて、室温、窒素雰囲気下5分間撹拌した。その後、N−ブロモスクシンイミドを15.0質量部、アゾビスイソブチロニトリルを2.0質量部を投入し、還流させながら8時間反応させた。この反応液を室温に冷却後、n−ヘキサンを3L投入し、ブロモ化ポリフェニレンエーテルを固化させ、スラリーを得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用いて湿式粉砕を行い、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。
上記の製造方法で得られたブロモ化ポリフェニレンエーテルは、数平均分子量15400、側鎖メチル基及び末端メチル基のみブロモ化されたものであり、ブロモ化率は、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり4.3個であった。
上記ブロモ化ポリフェニレンエーテル100質量部、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)500質量部を10Lのジャケット付き反応器に入れ、160℃で24時間撹拌し、反応させた。この反応液を室温に冷却し、2Lのメタノールを加えて反応物を固化させスラリー状にした。このスラリーをろ過し、得られたパウダーを4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(PPE−7)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(PPE−7)は、
31P−NMR(single plus法)及び
1H−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて4.0個含むことを確認した。 更に、末端水酸基への付加量を前述の通り
13C−NMRにて測定したが、化学式(12)の構造は確認できなかった。
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、
31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値を割り出すことより求められ、570モル%であることが分かった。
【0095】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例6〕
(PPE−1)を100質量部と、ホスホン酸ジオクチル(城北化学製)1.5質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A−1)ポリフェニレンエーテル成分(PPE−8)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(PPE−8)のパウダーを得た。
得られた(A−1)ポリフェニレンエーテル(PPE−8)は、
31P−NMR(singleplus法)及び
1H−NMRで同定することができ、反応性化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(13)、(14)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、
13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、化学式(15)の構造を0.03個含むことを確認した。また、
1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(15)に対する化学式(13)の割合は、
31P−NMRにて、化学式(14)由来の38〜45ppmのピークの積分値に対する、化学式(13)由来の32〜38ppmのピークの積分値を割り出すことより求められ、25モル%であることが分かった。
【化27】
【化28】
【化29】
【0096】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例7〕
前駆体ポリフェニレンエーテル(PPE−1)を100質量部と、ジフェニルホスフィンオキシド(東京化成製)1.5質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第一原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(PPE−9)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(PPE−9)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(PPE−9)は、
31P−NMR(single plus法)及び
1H−NMRで同定することができ、反応性化合物の付加量は、
1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(16)、(17)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
また、末端水酸基への付加量は、
13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(18)の構造を0.04個含むことを確認した。また、
1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(17)に対する化学式(16)の割合は、
31P−NMRにて、化学式(17)由来の38〜45ppmのピークの積分値に対する、化学式(16)由来の32〜38ppmのピークの積分値を割り出すことより求められ、25モル%であることが分かった。
【化30】
【化31】
【化32】
【0097】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例8〕
PPE−1を100質量部と、N−ヒドロキシフタルイミド(東京化成製)0.1質量部、トリエチルアミン(東京化成製)0.5質量部、メタンスルホン酸クロライド(東京化成製)1.0質量部をクロロホルム1L中に溶解し、60℃で5時間撹拌した。得られた反応溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、分液操作を行うことで有機層を得た。得られた有機層に、メタノールを徐々に添加し、PPE成分を析出させ、ろ過、乾燥を行うことで、(A−1)ポリフェニレンエーテル成分(PPE−10)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A−1)ポリフェニレンエーテル(PPE−10)のパウダーを得た。
得られた(A−1)ポリフェニレンエーテル(PPE−10)は、
1H−NMRおよび
13C−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、
1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(19)、(20)の構造を合わせて0.3個含むことを確認した。
また、末端水酸基への付加量は、
13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、下記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(21)の構造を0.1個含むことを確認した。また、
1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(20)に対する化学式(19)の割合は、
31P−NMRにて、化学式(20)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(19)由来の34〜36ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、20モル%であることが分かった。
【化33】
【化34】
【化35】
【0098】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例9〕
(PPE−1)を、二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ペレット化した。得られたPPEペレットは、ジブチルアミンが脱離した構造であることを解析によって確認した。このPPEペレット100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(PPE−11)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテル(PPE−11)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(PPE−11)を、
1H−NMRで同定した結果、ポリフェニレンエーテル(PPE−11)はモノマーユニット中のメチル基に低分子の付加していない化学式(26)、(27)の構造からなることを確認した。
【化36】
【化37】
【0099】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例10〕
(PPE−1)を100質量部と、アクリル酸ステアリル(東京化成製)1.6質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、精製水を添加し分液操作で有機層と水層に分離し、有機層を回収した。この有機層からPPE成分をメタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(PPE−12)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(PPE−12)のパウダーを得た。
得られた(PPE−12)は、
1H−NMRで同定することができ、
1H−NMRの2.5〜4.0ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(28)の構造を0.4個有することを確認した。
【化38】
【0100】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例11〕
(PPE−1)を100質量部と、スチレン10質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(PPE−13)のパウダーを得た。
得られた(PPE−13)は、
1H−NMRで同定することができ、
1H−NMRの2.5〜4.0ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(29)の構造を0.4個有することを確認した。
【化39】
【0101】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例12〕
(PPE−1)を100質量部と、無水マレイン酸5.0質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、変性ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(PPE−14)のパウダーを得た。
得られた(PPE−14)は、
1H−NMRで同定することができ、
1H−NMRの2.5〜4.0ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(30)の構造を0.3個有することを確認した。
【化40】
【0102】
〔変性ポリフェニレンエーテルの製造例13〕
前駆体ポリフェニレンエーテル(PPE−1)を100質量部と、ジオレイルハイドロゲンホスファイト(城北化学製)1.5質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第一原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(PPE−15)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(PPE−15)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(PPE−15)は、
31P−NMR(single plus法)及び
13C−NMR、及びMALDI−TOF/MSにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、
13C−NMRにて、146.3ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(31)の構造を0.03個含むことを確認した。また、
1H−NMRにて、4.2ppmにオレイル基由来のオレフィンのダブレットピークを確認した。
なお、
31P−NMR、
13C−NMR、MALDI−TOF/MS、
1H−NMRは上述と同様の条件で測定した。
【化41】
【0103】
第一態様に相当し得る実施例A1〜A4、第二態様に相当し得る実施例B1〜B15、比較例1〜9の詳細な条件、測定結果、評価結果を、表1に示す。
【0104】
【表1-1】
【表1-2】
【表】