(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出されたクランプ電流の大きさを一定とするように前記探査信号の大きさをフィードバック制御し、前記探査信号の大きさから静電容量を算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の隙間センサ。
前記第1電極群および第2電極群の各電極に関連する前記クランプアンプおよび参照クランプアンプは1つのパッケージに収納されることを特徴とする請求項4記載の隙間センサ。
相互に対向する導電性を有する第1の部材の表面と導電性を有する第2の部材の表面の隙間を静電容量測定法により検出する隙間測定方法であって、プローブ両面の対応する位置に複数の電極対とガード層が形成され、
探査信号を発生することと、
前記ガード層に前記探査信号を印加することと、
前記複数の電極対の各電極をそれぞれ独立に前記探査信号に電圧クランプすることと、
前記各電極のクランプ電流を測定することにより各電極位置における静電容量を検出することと、
前記静電容量に基づいて前記各電極位置における隙間を測定することと
を特徴とする隙間測定方法。
前記クランプ電流の大きさを一定とするように前記探査信号の振幅をフィードバック制御し、フィードバック制御されているときの前記探査信号の振幅から静電容量を求めることを特徴とする請求項7記載の隙間測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アライメント後の主翼基板部の板部材と胴体固定部の板部材とで規定される結合位置における隙間を隙間センサ(feeler gauge,thickness gauge)で多点測定し、隙間空間の形状の3次元データを取得することによりスペーサーの形状が特定される。
【0005】
静電容量センサを用いた電子式隙間センサは通常プローブ部分が長形に構成されその先端側に平面状の検知電極が配置される。プローブの両面に電極が配置される場合には、各電極層の両側をガードパターンで挟む必要があるため全体として6層の導電層が必要となりプローブを薄くすることには限界があった。近年、船舶、航空機、自動車等の板材のプレス金型加工において、ダイとパンチの間隙(クリアランス)を調整する場合等でも隙間の3次元測定が必要となり、より小さい隙間の測定が求められている。
【0006】
また、主翼と胴体が結合された状態となって車輪の取付が可能となるため、車輪による移動を可能とするためには隙間測定を迅速かつ正確に実施する必要があった。また、船舶、航空機、自動車等の板材のプレス金型加工において、ダイとパンチの間隙(クリアランス)を調整する場合等でも隙間空間の3次元測定が必要となるため、同様の課題があった。
【0007】
静電容量センサを用いた電子式隙間センサにおいては、一般的に電極に矩形波等の所定の信号を印加し、電極電圧をバッファーを介してガードパターンをアクティブガードする。すなわち、プローブは
図1(a)に例示するように、プローブ信号が印加される検知電極De’と電極の周辺および背面を電極と同電位とするガードパターンG1,G2を備える。電極De’を含む電極パターンE1,E2にはプローブ信号が印加され測定対象の電気容量に応じた電流が検出される。また、検出された電極De’の電位はバッファーを介してガードパターンG1,G2を電極電位でアクティブガードし電極周辺を同一電位とする。アクティブガードは電極と測定対象との間に生じる電界以外の電界を抑制して電気容量測定の精度を上げることができる。
【0008】
しかしながら、測定中の電極De’の電位をガードパターンG1またはG2のガード電位とするため、同じガードパターンに囲まれた複数の電極について同時に測定することはできない。これは、各電極信号が異なるため対応するガード信号は電極ごとに異なるからである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、本発明によれば測定誤差が小さく再現性の高い隙間データを取得する電子式隙間センサおよび隙間測定方法を提供することができる。
【0010】
本発明の技術的側面によれば、相互に対向する導電性を有する第1の部材の表面と導電性を有する第2の部材の表面の隙間を静電容量測定法により検出する隙間センサは、主軸方向に沿って延在するプローブおよび本体を具備し、前記プローブは基端部が前記本体に接続され先端側に複数の電極が設けられ、前記プローブは第1導電層、第2導電層、第3導電層が積層された多層基板構造を有し、前記第1導電層は前記プローブの第1の面を規定し、第1電極群が配列して形成され、第1電極群と電気的に非接続な第1ガード層が形成され、前記第3導電層は前記プローブの第2の面を規定し、前記第1電極群に相応する位置に第2電極群が配列して形成され、第2電極群と電気的に非接続な第2ガード層が形成され、前記第2導電層は前記第1導電層と第3導電層の間に配置され、前記第1電極群および第2電極群に相応する位置にガード電極が形成され、ガード電極と電気的に非接続な信号ラインパターンが形成され、信号ラインパターンは前記第1電極群および第2電極群の各電極と電気的に接続される。さらに、前記本体の制御部は、前記第1ガード層、ガード電極、および第2ガード層に探査信号を印加し、前記第1電極群および第2電極群の各電極を前記信号ラインパターンを介して前記探査信号で電圧クランプし、電圧クランプによるクランプ電流を検出することにより各電極位置における隙間を測定することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の技術的側面によれば、相互に対向する導電性を有する第1の部材の表面と導電性を有する第2の部材の表面の隙間を静電容量測定法により検出する隙間測定方法は、プローブの両面の対応する位置に複数の電極対とガード層が形成され、探査信号を発生することと、前記ガード層に前記探査信号を印加することと、前記複数の電極対の各電極をそれぞれ独立に前記探査信号に電圧クランプすることと、前記各電極のクランプ電流を測定することにより各電極位置における静電容量を検出することと、前記静電容量に基づいて前記各電極位置における隙間を測定することとを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な実施形態を示す図面を参照して説明する。
【0014】
図2に本実施形態にかかる隙間センサの上面図を示す。隙間センサ1は隙間を検知する電極が配置されたプローブ2と、プローブ2とプローブ支持部としてのコネクタ20を介して接続される本体21を備える。本体21はプローブ2の検知電極に電圧を印加したり変位電流を測定する制御部10を含む。プローブ2はXY面内で主軸方向(Xc)に延在する長形を成し、対向するワーク等の電導性部材の表面S1,S2の間等に形成された隙間空間Gに挿入して隙間を測定する。また、プローブ2は電極対アレイ4を含む電極部3が設けられたフレキシブルプリント基板5を備える。フレキシブルプリント基板(FPB)5は
図1において主軸X方向に延在する長形で三層構造を有し、長円状の電極4と測定対象となる導電材料の表面S1,S2との間に所定の電位を印加して応答電流を測定し、取得された電気容量に基づいて電極位置における隙間が取得される。なお、電極部3を含むプローブ2の表面には磁石で吸引するためのフィラー膜が形成される。
【0015】
<プローブ電極>
プローブ2の電極部3における導電面の構成の概念図を
図1(b)および
図3に示す。フレキシブルプリント基板(FPC)5は表面(第1面)P1を規定するガードパターンG1(第1導電層C1)と裏面(第2面)P2を規定するガードパターンG2(第3導電層C3)と2つのガードパターンに挟まれた信号パターンEs(第2導電層C2)を有する。信号パターンEsは各電極Eiに電気的に独立に接続された各電極信号パターンEsiの集合体である。また、導電層間には図示しない絶縁層が配置される。
図1(b)においては便宜上電極Eiを円形としているが、楕円、長円等任意の形状でよい。
【0016】
図3を参照すると、電極部3においては第1導電層C1に電極パターンE1が形成され、周辺を取り囲むように形成されたガードパターンG1との間には絶縁体としてリング状のギャップgp1が形成されているため電気的に接続されていない。第3導電層C3には電極パターンE2が形成され、周辺を取り囲むように形成されたガードパターンG2との間にはリング状のギャップgp2が形成されており電気的に接続されていない。電極パターンE1と電極パターンE2とはXY面内の同じ位置に形成され1つの電極対を構成する。
【0017】
第2導電層C2には電極対に対応する位置にガードパターンGeが形成され、ビアホールGb1、Gb2を介してガードパターンG1,G2に電気的に接続される。一方、電極パターンE1はビアホールEb1を介して第2導電層C2の対応する信号パターンEs1に接続され、電極パターンE2はビアホールEb2を介して対応する信号パターンEs2に接続される。第2導電層C2においてビアホールEb1,Eb2とガードパターンGeとの間にはギャップが形成されている。電極対は電極部3に複数形成され各電極Eiは信号パターンEsiを介して対応する電圧クランプアンプVCAiに接続される。
【0018】
なお、ガードパターンG1,Ge,G2はすべての電極{Ei:i=1,2・・・n}(nは電極4の極数)に共通のパターンである。したがって、すべての電極Eiは後述するように同一の探査信号Vpに独立に電圧クランプされ、ガードパターンG1,Ge,G2も同時に探査信号Vpで駆動されるため、電極全体が常に同一の電位となっている。すべての電極Eiおよびガードパターンは電気的に独立であるため仮想的な短絡状態となっており現実に短絡しているわけではない。そのため3層構造でも高精度で静電容量の計測が可能となる。さらに、各電極Eiは独立に電圧クランプされるため、各クランプ電流を同時に計測して同時に電気容量を取得することも可能である。なお、
図2の実施形態では8対の電極対、すなわち電極数n=16として説明する。
【0019】
<等電位駆動制御>
図4に制御部10のコントロール回路の概念図を示す。本発明におけるガード電位および電極の制御は独自の等電位駆動法を採用する。探査信号発生器SGは基準探査信号Spとして正弦波を発生し、その振幅はマイクロコントローラMCにより制御される。探査信号SpはドライバAMPを介してガード信号VpとしてガードパターンG1,Ge,G2に印加される。
【0020】
電圧クランプアンプ(電圧クランプ回路)VCA1〜VCA16は信号パターンEs1〜Es16を介して16極の電極E1〜E16に独立に接続される。各電圧クランプアンプVCAiはドライバAMPの出力Vpを探査電圧として入力し、電極Eiを電圧Vpに電圧クランプする。探査電圧Vpは正弦波であるため電圧クランプアンプVCAiは可変電圧源である。
【0021】
電圧クランプアンプVCAiはメインクランプアンプOPiaとしての差動増幅器(オペアンプ)を有し非反転入力端子(+)に探査電圧Vpが入力されると反転入力端子(−)に接続されたクランプ出力電圧Vfiaが探査電圧Vpと常に等しくなるように負帰還制御する。また、メインクランプアンプOPiaの出力端子と反転入力端子の間にはクランプ電流Isiを検出する抵抗器(クランプ電流検出抵抗)Rsiaが接続され、抵抗器Rsiaの両端電圧から電極Eiが電圧クランプされているときのクランプ電流(変位電流)を検出することができる。
【0022】
抵抗器Rsiaの両端電圧ΔVは切り換えスイッチSW1およびSW2を介して差動増幅器INAで増幅され、クランプ電流Iei=ΔV/Rsiaを検出することができる。
【0023】
メインクランプアンプOPiaを構成する差動増幅器はわずかな入力容量、バイアス電流等をもち温度特性をもつ上に特性のばらつきもある。探査対象の静電容量は一般にpF程度以下であるため差動増幅器の特性のばらつきは大きな測定誤差となりうる。そのため特性のそろった差動増幅器を参照クランプアンプOPibとして採用し探査電流以外の誤差要素を補償する構成としている。
【0024】
より詳細には、電圧クランプアンプVCAiはメイククランプアンプOPiaとともに参照クランプアンプOPibを有する。参照クランプアンプOPibはメイククランプアンプOPiaと同じ外部回路を有し、非反転入力端子(+)に探査電圧Vpが入力され反転入力端子(−)に接続されたクランプ出力電圧Vf1bは常にVpと等しくなるように負帰還制御する。クランプ出力電圧Vfibが電極Eiに接続されずに無負荷であることだけがメインクランプアンプOPiaと異なる。
【0025】
参照クランプアンプOPibの出力端子と反転入力端子の間には無負荷時のクランプ電流Iriを検出する抵抗器(参照電流検出抵抗)Rsibが接続され、抵抗器Rsibの両端電圧から無負荷で電圧クランプされているときの参照クランプ電流Iriを検出することができる。参照クランプ電流Iriは負荷としての電極に流れる電流以外の電流成分を反映している。一方、2つの演算増幅器のクランプ出力電圧Vfia、Vfibは電圧クランプ時には実質的に探査電圧Vpに等しい。したがって、メインクランプアンプOPiaで検出された探査電圧Voiaには電極Eiに流れる正味のクランプ電流Isiに差動増幅器に由来するバイアス電流Iriが付加されたものと解釈することができる。そこでメインクランプアンプOPiaと参照クランプアンプOPibの出力電圧Voia、Voibの差動演算をすることにより正味のクランプ電流Ieiを取得することができる。
【0026】
なお、電圧クランプアンプVCAiを構成する2つの差動増幅器OPia、OPibは特性のそろったオペアンプが1パッケージに収められたデュアルタイプのオペアンプであることが好ましい。さらに、差動増幅器の入力を保護するために、各非反転入力端子とクランプ出力端子Vfia、Vfibの間に抵抗器を挿入してもよい。
【0027】
図4の実施形態では、マイクロコントローラMCの制御により切り換えスイッチ(アナログスイッチ)SW1およびSW2で測定対象の電極Eiを順次選択し、差動増幅器(計装アンプ)INAにより出力電圧Voia、Voibの差動演算を行うことで高精度にクランプ電流を検出する(電流検出回路)。
【0028】
本発明は各電気要素を独立に同電位で駆動する独自の等電位駆動法を採用するため原理的には複数の電極におけるクランプ電流を同時に測定することができるが、本実施形態では1つの差動増幅器INAと切り換えスイッチを組み合わせて時分割で各電極の静電容量を測定する。全ての電極に共通の1つの処理系を使用することにより安定した処理が期待されさらに本体21をコンパクトに構成することができる。また、本実施形態ではプローブ2の電極4は6対、12極としたがさらなる多極化も可能である。
<適応探査信号のフィードバック制御と電荷クランプ法>
電極Eiは平面電極であり対向する被測定面との間に仮想コンデンサ(容量C)を形成するため、後述するように静電容量を測定することで極板間の距離dを求めることができる。
【0029】
電極Eiと導電性表面S1,S2との間に電位差vが生じるとそれに応じて電荷q=±Cvがそれぞれの表面に生じる。電位差として交流を印加した場合には電極には変位電流i=Cδv/δtが流れる。電導性表面には電極と同じ領域に反対の極性の電荷が現れるので電極と導電性表面との距離をdとすればC=εS/dの関係がある(εは間隙空間の誘電率)。したがって、変位電流の測定から仮想コンデンサの静電容量が求まれば距離d=εS/Cを取得することができる。なお、本実施形態では電位差vは上述したように電圧クランプを用いて探査信号Vpに正確に一致するように制御され、探査信号はVp(t)=Asin(2πft)の形で表現される。
【0030】
探査信号の印加に対するクランプ電流は測定対象の電気容量Cが小さいほど振幅が小さくなり検出の精度が下がる。そこで、本実施形態ではクランプ電流の大きさが所定の値の近傍を維持するようにマイクロコントローラMCが探査信号の振幅Aを適応させて測定精度を高める。電流の大きさを一定にするのはコンデンサの静電容量が変化しても蓄積される電荷(変位電流の積分値)を一定にすることに対応する。具体的には、クランプ電流の振幅が小さくなれば等電位駆動の共通電位としての探査信号Vpの振幅を増加し、クランプ電流の振幅が大きくなれば探査信号Vpの振幅を減少させるようにマイクロコントローラMCが制御する。
【0031】
さらに好ましくは、電圧の振幅係数Aに比例するクランプ電流の振幅を一定とするように探査信号電圧Vpをフィードバック制御することにより、適応探査信号Vpの振幅Aから静電容量を求めることができる。これは測定対象と電極で較正される仮想コンデンサに所定の電荷を充電するために必要な探査信号Vpの大きさをフィードバック制御するもので、電極の電圧クランプ制御および等電位駆動制御を前提とする本発明独自の電荷クランプ法である。
【0032】
電荷クランプ法においては、既知の較正された基準静電容量C0に対する探査信号電圧Vpの振幅をA0としたときに、任意の静電容量Cに対する適応探査信号電圧Vpの振幅がAであるとき、C/C0=A/A0の関係が成立する。振幅Aの情報は探査信号Vpを整流、平滑(積分)して直接取得することができる。したがって、フィードバック制御による適応探査信号電圧Vpの振幅Aを測定するだけで静電容量Cを取得することができる。
【0033】
本実施形態では探査信号Vpを正弦波としたがこれに限定されるものではなく任意の波形を用いることができる。この場合にも静電容量Cに所定の電荷を充電するときの探査信号電圧Vpの大きさから静電容量を求めることができる。
【0034】
本発明によるプローブにおける電極部の構成、電圧クランプ制御、等電位駆動制御および電荷クランプ制御により、ガード電極およびすべての電極は常に探査信号Vpと同一電圧で駆動されている。電圧クランプ動作中において、クランプ電流を検出している電極の電位が探査信号にいわば固定されているため、高安定で高精度の隙間測定が可能である。また、差動増幅器INAを複数設置することで複数の電極のクランプ電流を同時に取得することも可能である。
【0035】
<隙間測定>
以下に本発明の隙間センサを用いた隙間測定方法について説明する。
【0036】
プローブ2における電極対アレイ4を構成する各電極対Eiは基板5の表面P1と裏面P2の同じ位置に配置され信号線Esを介してそれぞれ独立に本体21に内蔵された制御部10に接続される。
【0037】
図5(a)に示すようにすきまGにプローブ2を挿入して各電極対により各位置での静電容量の検出が行われ、上側の電極E1と表面S1との間の静電容量が取得される。引き続き上側の電極E1と同じ位置の下側の電極E2と表面S2との間の静電容量が取得される。これらの静電容量データから、上側の電極E1と表面S1との間の距離d1と下側の電極E2と表面S2との間の距離d2が取得できれば対向する面S1、S2の間の隙間dを求めることができる。全ての電極対について順次同様の測定を行なうことで電極部周辺における隙間dの2次元分布を取得することができる。隙間センサ1で取得された隙間データは通信手段31を介してタブレットPC等のコントローラ30に送信されデータ処理される。
【0038】
電極対4はプローブ2に離散的に配置されるが複数の電極対を備えるため、電極対の位置および隙間データに基づいて近隣の電極対間の任意の位置におけるデータを算出することができる。すわなち、隣接する3つの電極対4の隙間データを補完することにより当該電極群に囲まれた領域の任意の位置における隙間データを算出することができる。したがって、本実施形態により隙間センサが小型化され、広い隙間空間を連続的に測定して3D表示することもできる。なお、プローブ2には主軸Xc方向にスケール28が設けられているため測定電極Eiの位置(奥行)rを容易に確認することができる。
【0039】
隙間測定の測定対象となる部材はアルミ合金、カーボンファイバー等の導電性材料からなることを想定するが、非導電性材料であったとしても表面かその近傍に導電性材料が表面に沿ってコーティングまたは被覆されているものであれば隙間測定が可能である。
【0040】
隙間測定においては電極面が測定面S1,S2と平行であることが好ましく、
図6(a)に示すように磁石25を用いてプローブ2を測定面S1に付着させてもよい。プローブ2の表面には磁性フィラー膜が形成されているため、測定面S1側にプローブ2が吸着されるように磁石25を設置することでより安定した隙間測定を行うことができる。
【0041】
本発明により独自の電極構造を採用し静電容量測定に等電位駆動法および電荷クランプ制御を用いることで隙間を正確かつ再現性よく測定することができる。なお、本発明にかかる等電位駆動法は探査信号を共通の電位とする方法であるため、本実施例のような3層基板構造でなくても複数の電極と複数のガードパターンを駆動して同様の効果を得ることができる。
【0042】
隙間測定を行うにあたって隙間センサ1の較正を行う。較正にはアルミ平板で構成され所定の隙間d0を有する基準サンプルを用いる。隙間はたとえば0.5mm、1mm、2mm、3mmである。金属平板は隙間センサ1と共通の接地が施される。基準サンプルの隙間Gにプローブ2を挿入して隙間d0を測定して較正する。較正においては上記基準振幅A0の修正等を行う。
【0043】
<他の実施形態>
図7および
図8はプローブ2の別の実施形態を示すものである。電極部の構造は
図2の実施形態のプローブ2と同じであるが、電極対4a〜4eはプローブ2の主軸Xcに沿って2列の千鳥配置とされ、16極の円形の電極を備える。プローブ2はY軸方向のまわりに回動可能な回動軸を有するプローブ支持部(コネクタを含む)20を介して本体21に固定される。上側のワーク等の部材が板部材である場合には、本体21を板部材の上面に設置してプローブ2を底面21Bに折りたたむような状態で隙間Gに挿入する。プローブ支持部20は板部材の厚さに応じて上下動自在である。また、
図6(b)に示すように、本体21の底部には磁石25が内蔵されているため、プローブ2のフィラー膜の磁性を利用してプローブ2を表面S1に吸着させることができる。
【0044】
隙間測定はすでに説明したように、探査信号Vpに基づいてガード電位およびすべての電極の電位を同一とした上で電極対4の上下の電極における静電容量を測定する電荷クランプ制御を採用し、隙間dデータを取得する。隙間測定は全ての電極対4に対して順次実施される。
【0045】
本体底面21BにはY方向の移動距離(相対位置)を計測する位置検出センサとしてのロータリエンコーダ23と、Y方向の基準位置を確認するための基準位置検出センサ24が配置されている。板部材の上面には基準位置センサ24が検出するバーコード状のマーカーがY方向に等間隔に配置され、基準位置検出センサ24がマーカ−からの反射光を読み取って基準位置を検出する。なお、本実施形態ではプローブ2は本体21の底面21Bに平行になるほどに回動したが、たとえばYZ面方向に延在する隙間に対してプローブ2をZ軸方向に平行になるように回動すれば隙間計測が可能である。
【0046】
本発明にかかるプローブを三層構造として各電極のガードを共通化したことにより薄く構成することができ、より狭い隙間の測定を行うことができる。またガード電位を共通化したことで配線の数を減らすことができ多くの電極をプローブに配置することができる。さらに等電位駆動制御を適用したことですべての電極およびガード電位が等電位に駆動されるので、安定かつ再現性の高い測定が可能となる。さらに、電荷クランプ法を採用することで探査信号の大きさから静電容量を測定することができる。