(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6718864
(24)【登録日】2020年6月17日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】燃料集合体及び原子炉
(51)【国際特許分類】
G21C 3/30 20060101AFI20200706BHJP
G21C 3/328 20060101ALI20200706BHJP
G21C 1/20 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
G21C3/30 100
G21C3/328 200
G21C1/20
【請求項の数】27
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-512054(P2017-512054)
(86)(22)【出願日】2015年9月16日
(65)【公表番号】特表2017-531175(P2017-531175A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】US2015050454
(87)【国際公開番号】WO2016044439
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2018年8月3日
(31)【優先権主張番号】62/050,985
(32)【優先日】2014年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517066478
【氏名又は名称】ライトブリッジ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】トーテメイヤー、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】バシュキルツェフ、セルゲイ エム.
(72)【発明者】
【氏名】モロゾフ、アレクセイ ジー.
【審査官】
小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−526709(JP,A)
【文献】
特開昭61−181993(JP,A)
【文献】
米国特許第03361640(US,A)
【文献】
特開昭53−040187(JP,A)
【文献】
特表2011−508877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 3/00−3/64
9/00−9/06
15/00−15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉の炉心内で使用するための燃料集合体であって、
前記原子炉の内部炉心構造内に収まるように形成されたフレームと、
前記フレームによって燃料棒バンドルの状態で支持される、らせん状にねじれた複数の燃料要素であって、各々が核分裂性物質を含む、燃料要素と、
を有し、
前記燃料集合体の軸方向に垂直な断面で見たときに、前記燃料棒バンドルの複数の最外部燃料要素は、実質的に円形の外周を画定し、
前記複数の燃料要素は、第1の長方形グリッドパターンおよび第2の三角形グリッドパターンを含む混合グリッドパターンに配置され、
前記複数の燃料要素のいくつかは、複数の隣接する燃料要素から、共通の中心線間距離だけ離れており、前記複数の燃料要素のいくつかの外接円径は、前記中心線間距離に等しい、
燃料集合体。
【請求項2】
前記フレームは、CANDU炉の圧力管内に収まるように形成されている、請求項1に記載の燃料集合体。
【請求項3】
前記複数の燃料要素の各々は、実質的に同一の外接円径を有する、請求項1または2に記載の燃料集合体。
【請求項4】
前記複数の燃料要素は、同心円状に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料集合体。
【請求項5】
前記第1の長方形グリッドパターンおよび前記第2の三角形グリッドパターンは、少なくとも部分的に、交互に現れる、請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料集合体。
【請求項6】
前記複数の燃料要素の各々は、複数のリブを含むマルチローブ形状である、請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料集合体。
【請求項7】
前記複数のリブは、複数のらせん状リブを含む、請求項6に記載の燃料集合体。
【請求項8】
複数の隣接する燃料要素の前記複数のリブは、前記複数の燃料要素の軸方向の長さにわたって互いに周期的に接触し、少なくとも部分的に、前記複数の燃料要素の間隔を互いに対して維持する、請求項7に記載の燃料集合体。
【請求項9】
前記複数の燃料要素は、61の燃料要素を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料集合体。
【請求項10】
前記フレームは、前記燃料棒バンドルに外接する構造を含み、前記複数の燃料要素のすべては、前記構造内に配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料集合体。
【請求項11】
前記構造はシュラウドを含む、請求項10に記載の燃料集合体。
【請求項12】
前記燃料集合体の軸方向に垂直な断面で見たとき、前記シュラウドは、実質的に円形または十二角形を画定する断面を画定している、請求項11に記載の燃料集合体。
【請求項13】
前記燃料集合体の軸方向に垂直な断面で見たとき、前記燃料集合体は、前記燃料集合体に外接するチューブの内部断面積の約64%より大きい面積を占める、請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料集合体。
【請求項14】
前記燃料集合体は、前記燃料集合体に外接する前記チューブの内部断面積の約83%より大きい面積を占める、請求項13に記載の燃料集合体。
【請求項15】
前記燃料集合体は、前記燃料集合体に外接する前記チューブの内部断面積の約83%から約95%を占める、請求項13または14に記載の燃料集合体。
【請求項16】
前記燃料集合体は、2014年以前に実際に使用されていた原子炉設計を有する従来の原子力発電所の従来の陸上原子炉において運転するべく熱力学的に設計され、物理的に形成されており、前記フレームは、前記原子炉のための従来の燃料集合体の代わりに前記陸上原子炉に収められるように形成され、前記従来の陸上原子炉は、CANDU炉である、請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料集合体。
【請求項17】
原子炉であって、
炉心と、
前記炉心内に配置された1つの燃料集合体または複数の燃料集合体と
を備え、
前記燃料集合体は、
前記炉心内に収まるように形成されているフレームと、
前記フレームによって燃料棒バンドルの状態で支持され、各々が核分裂性物質を含む、らせん状にねじれた複数の燃料要素と、
を有し、
前記燃料集合体の軸方向に垂直な断面で見たときに、前記燃料棒バンドルの複数の最外部燃料要素は、実質的に円形の外周を画定している、
前記複数の燃料要素は、第1の長方形グリッドパターンおよび第2の三角形グリッドパターンを含む混合グリッドパターンに配置され、
前記複数の燃料要素のいくつかは、複数の隣接する燃料要素から、共通の中心線間距離だけ離れており、前記複数の燃料要素のいくつかの外接円径は、前記中心線間距離に等しい、原子炉。
【請求項18】
前記原子炉は、複数の圧力管を含むCANDU炉であり、前記フレームは、前記複数の圧力管内に収まるように形成されている、請求項17に記載の原子炉。
【請求項19】
前記複数の燃料要素の各々は、実質的に同一の外接円径を有する、請求項17または18に記載の原子炉。
【請求項20】
前記複数の燃料要素は、同心円状に配置されている、請求項17から19のいずれか一項に記載の原子炉。
【請求項21】
前記第1の長方形グリッドパターンおよび前記第2の三角形グリッドパターンは少なくとも部分的に交互に現れる、請求項17から20のいずれか一項に記載の原子炉。
【請求項22】
前記複数の燃料要素の各々は、複数のらせん状リブを含むマルチローブ形状を有する、請求項17から19のいずれか一項に記載の原子炉。
【請求項23】
複数の隣接する燃料要素の前記複数のらせん状リブは、前記複数の燃料要素の軸方向の長さにわたって互いに周期的に接触し、少なくとも部分的に、互いに対して前記複数の燃料要素の間隔を維持する、請求項22に記載の原子炉。
【請求項24】
前記フレームは、前記燃料棒バンドルに外接する構造を含み、前記複数の燃料要素のすべては、前記構造内に配置されている、請求項17から19のいずれか一項に記載の原子炉。
【請求項25】
前記構造はシュラウドを含む、請求項24に記載の原子炉。
【請求項26】
前記燃料集合体の軸方向に垂直な断面から見たときに、前記シュラウドは、円形または十二角形を実質的に画定する断面を画定している、請求項25に記載の原子炉。
【請求項27】
前記第1の長方形グリッドパターンの燃料要素は、前記第1の長方形グリッドパターンの隣接する燃料要素から共通の中心線間距離だけ離間し、前記第1の長方形グリッドパターン内の燃料要素の外接円径は前記中心線間距離に等しく、
前記第2の三角形グリッドパターンの燃料要素は、前記第2の三角形グリッドパターンの隣接する燃料要素から共通の中心線間距離だけ離間し、前記第2の三角形グリッドパターン内の燃料要素の外接円径は前記中心線間距離に等しい、請求項1に記載の燃料集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2014年9月16日に申請された、米国非仮特許出願第62/050,985号である。本出願はまた、2013年5月10日に申請された、米国仮特許出願第61/821,918号に対する優先権を主張する、2013年11月15日に申請された、出願人の同時係属中の米国特許出願第14/081,056号の一部継続出願である。本出願はまた、2011年2月21日に申請された米国特許出願第61/444,990号と、2010年10月15日に申請された米国特許出願第61/393,499号と、2010年5月11日に申請された米国特許出願第61/333,467とに対する優先権を同様に主張する、2011年5月11日に申請された、PCT/US2011/036034の米国国内段階である、2013年6月3日に申請された、出願人の同時係属中の米国特許出願第13/695,792号の一部継続出願である。上述の出願すべての全内容は、参照によって、本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
[背景]
【0003】
本発明は概して、原子炉と、原子炉の炉心内で使用される核燃料集合体とに関する。より具体的には、本発明は、Canadian Deuterium−Uranium(CANDU)重水炉と、その中で使用するための燃料集合体に関する。
【0004】
[関連技術]
【0005】
図1Aおよび1Bは、従来の燃料集合体10の例の単純化された断面図を描写したものである。
図1Aは、PWR型の燃料集合体10を描写したものであり、
図1Bは、水冷却水減速原子炉(VVER)型の燃料集合体10を描写したものである。
図1Aにおいて、燃料棒集合体10は、正方形グリッドへと組み立てられた複数の燃料棒を含んでいる。
図1Aにおいて、PWR燃料集合体10の燃料棒バンドルの自己離間(spacing)は、正方形の断面形状を有すると言える。
図1Bにおいて、燃料集合体10は、三角形グリッド状に配置された燃料棒を含んでいる。
図1Bにおいて、VVER燃料集合体10の燃料棒バンドルの自己離間は、正六角形の断面形状を有すると言える。
【0006】
これらの集合体がチューブ12内に収められるとき、
図1Aにおけるチューブ12と正方形14との間、および、
図1Bにおけるチューブ12と六角形16との間に位置する影付きの領域14によって示されているように、燃料棒集合体に使用されていない空白部分が形成される。複数の実施形態によると、正方形グリッド状の集合体は、外接円(例えばチューブ12)の面積の約63.7%を占め、一方、三角形グリッド状の集合体は、外接円(例えばチューブ12)の面積の約82.7%を占める。
【0007】
燃焼中の燃料棒および集合体の膨張に関する懸念に対処するべく、空白の空間を使用することが知られている。また、これらの領域を、可燃性吸収体などで充填することが知られている。
【発明の概要】
【0008】
一実施形態によると、原子炉の炉心内で使用するための燃料集合体は、原子炉の内部炉心構造に収まるように形成および構成されているフレームと、フレームによって燃料棒バンドル状に支持される、複数のらせん状にねじれた燃料要素とを有し得て、当該燃料要素の各々は、核分裂性物質を含み得る。燃料集合体の軸方向に垂直である断面で見たとき、燃料棒バンドルの最外部燃料要素は、実質的に円形である外周(例えば十二角形)を画定し得る。複数の実施形態によると、フレームは、CANDU炉の圧力管内に収まるように形成および構成され得る。
【0009】
複数の実施形態によると、複数の燃料要素の各々は、実質的に同一の外接円径を有し得る。複数の燃料要素は、同心円状に配置され得る。追加的または代替的に、複数の燃料要素は、第1の長方形グリッドパターン、および、第2の三角形グリッドパターンを含む混合グリッドパターンに配置され得る。
【0010】
複数の実施形態によると、第1の長方形グリッドパターン、および、第2の三角形グリッドパターンは、少なくとも部分的に、互いに交互に現れ得る。複数の燃料要素のいくつかは、隣接する燃料要素から共通の中心線間距離だけ離れ得て、複数の燃料要素のいくつかの外接円径は、中心線間距離と等しくなり得る。
【0011】
複数の実施形態によると、燃料要素の各々は、リブ、例えばらせん状リブを含むマルチローブ形状を有し得る。隣接する燃料要素のリブは、燃料要素の軸方向の長さにわたって互いに周期的に接触し得て、少なくとも部分的に、互いに対して燃料要素の間隔を維持し得る。複数の実施形態によると、燃料要素は押出燃料要素を含み得る。
【0012】
複数の実施形態によると、複数の燃料要素は、61の燃料要素から成り得る。
【0013】
複数の実施形態によると、フレームは、燃料棒バンドルに外接する構造を含み得て、その結果、燃料要素のすべては、構造内部に配置される。構造はシュラウドを含み得る。燃料集合体の軸方向に垂直な断面で見ると、シュラウドは、円形または十二角形を実質的に画定する断面を画定し得る。燃料集合体の軸方向に垂直な断面で見ると、燃料集合体は、燃料集合体に外接するチューブの内部断面積の約64%より大きい、より具体的には、約83%より大きい面積を占め得る。一実施形態によると、燃料集合体は、燃料集合体に外接するチューブの内部断面積の約83%から約95%を占め得る。
【0014】
複数の実施形態によると、燃料集合体は、2014年以前に実際に使用されていた原子炉設計を有する、従来の原子力発電所の従来の陸上原子炉における運用のために熱力学的に設計され、物理的に形成されている。そのフレームは、上述の原子炉の従来の燃料集合体の代わりに陸上原子炉に収まるように形成および構成されている。例えば、従来の陸上原子炉は、CANDU炉であり得る。
【0015】
本発明の他の態様によると、原子炉は、炉心、および、炉心内に配置された1つまたは複数の燃料集合体を含む。燃料集合体は、炉心内に収まるように形成および構成されたフレームと、フレームによって燃料棒バンドル状に支持されている複数のらせん状にねじれた燃料要素とを含み得て、燃料要素の各々は核分裂性物質を含む。燃料集合体の軸方向に垂直な断面を見ると、燃料棒バンドルの最外部燃料要素は、実質的に円形の外周を画定し得る。複数の実施形態によると、原子炉は、圧力管を含むCANDU炉であり、フレームは、圧力管内に収まるように形成および構成されている。
【0016】
複数の実施形態によると、複数の燃料要素の各々は、実質的に同一の外接円径を有し得る。複数の燃料要素は、同心円状に配置され得て、および/または、複数の燃料要素は、第1の長方形グリッドパターン、および、第2の三角形グリッドパターンを含む混合グリッドパターンに配置され得る。第1の長方形グリッドパターン、および、第2の三角形グリッドパターンは、少なくとも部分的に、互いに交互に現れ得る。
【0017】
複数の実施形態によると、原子炉は2014年以前に実際に使用されたものである。
【0018】
複数の実施形態によると、燃料要素の各々は、らせん状リブを含むマルチローブ形状である。隣接する燃料要素のリブは、燃料要素の軸方向の長さにわたって互いに周期的に接触し得て、少なくとも部分的に、互いに対して燃料要素の間隔を維持し得る。複数の実施形態によると、燃料要素は押出燃料要素を含み得る。
【0019】
複数の実施形態によると、燃料要素のフレームは、燃料棒バンドルに外接する構造を含み得て、その結果、燃料要素のすべては、構造内部に配置される。構造はシュラウドを含み得る。燃料集合体の軸方向に垂直な断面で見ると、シュラウドは、円形または十二角形を実質的に画定する断面を画定し得る。
【0020】
本発明の様々な実施形態のこれらおよび他の態様、ならびに、構造の関連要素および部品の組み合わせの動作および機能の方法、および、製造の経済性は、そのすべてが本明細書の一部を形成する添付の図面を参照しながら、以下の記載と、添付の特許請求の範囲とを考慮することで、より明らかになるであろう。同様の参照番号は、様々な図における対応する部品を示す。本発明の一実施形態において、本明細書に図示されている構造的要素は、原寸に比例して描かれている。しかしながら、図面は単に図示および説明を目的としたものであり、本発明の範囲を定義することを意図したものではないことを、明示的に理解するべきである。更に、本明細書の実施形態のいずれか1つで示されている、または記載されている構造的特徴は、他の実施形態でも使用され得ることを理解するべきである。明細書および特許請求の範囲において使用される単数形である、「a」、「an」、「the」は、別段の明確な記載が無い限り、複数形も含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の複数の実施形態、および、それらの他の特徴をより理解しやすくするべく、以下の記載を参照されたい。これらの記載は、以下の図面と併せて使用するものである。
【0022】
【
図1A】正方形グリッド状に組み立てられた燃料棒を含む、従来の燃料集合体の単純化された断面図である。
【0023】
【
図1B】三角形グリッド状に組み立てられた燃料棒を含む従来の燃料集合体の単純化された断面図である。
【0024】
【
図2】一実施形態による、正方形−三角形グリッド状の61の燃料棒からできている自己離間燃料集合体の配置の単純化された断面図である。
【0025】
【
図3】一実施形態による、正方形−三角形グリッド状の19の燃料棒からできている自己離間燃料集合体の配置の単純化された断面図である。
【0026】
【
図4】本明細書で初期0°配置と呼ばれる、燃料集合体に沿った初期基準配置にある燃料集合体の実施形態の断面図を描写する。
【0027】
【
図5】
図4の初期0°配置に対して、燃料棒が30°回転した、または、燃料棒スワールピッチが長手方向に1/12変位した、
図4の燃料集合体の断面図を描写する。
【0028】
【
図6】
図4の初期0°配置に対して、燃料棒が60°回転した、または、燃料棒スワールピッチが長手方向に1/6変位した、
図4の燃料集合体の断面図を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書に記載されている複数の実施形態は、CANDU燃料集合体および/または原子炉の燃料燃焼力および/または水準(取り出しまでの作業時間)を全体として高め、一方で、安全水準を維持または高める。複数の実施形態によると、これを達成するべく、ねじれた、自己離間した、モノリシックの燃料棒からできた燃料集合体が使用される。例えば、参照によってその全内容が本明細書に明示的に組み込まれる、出願人の同時係属中の、米国特許出願第14/081,056号および13/695,792号で開示されている、押出ウラン・ジルコニウム(U−Zr)燃料棒が使用される。
【0030】
CANDU燃料集合体は通常、非常に短い(例えば、約50cm)燃料棒を利用する。本発明の複数の実施形態は、CANDU燃料棒の部分的な、または完全な自己離間集合体を提供する。例えば、本明細書で開示されているいくつかの燃料集合体は、すべての燃料棒の、それらの間での(例えばリブごとの)自己離間を提供する。しかしながら、代替的な実施形態は、非自己離間配置を含み得る。複数の実施形態は、燃料棒バンドルのすべてまたは一部を囲む、シュラウド、または、他のチャネルもしくはデバイス(本明細書では一般に「シュラウド」と呼ばれる)を有するフレームを含み得て、先行技術の場合と比較して、シュラウド内部で利用可能な空間をより良く利用する。例えば、詳細は後述するが、複数の実施形態は、アレイ状の「正方形−三角形」燃料棒グリッドを使用する。
【0031】
図2は、自己離間燃料集合体100の実施形態の単純化された断面図である。燃料集合体は、正方形−三角形グリッド状の61の燃料棒102を含み得る。しかしながら、その他の構成も可能であり得る。
図2で示されている燃料集合体は、Advanced CANDU Reactor(ACR) CANDU Flexible(CANFLEX)の43要素の集合体と同一または同様のエンベロープを有し得る。典型的なCANFLEX集合体は、43の燃料要素を含み、各々の外径は、約13.5mmであり、
図2で示されている燃料集合体100が有し得る61の燃料要素102各々の外径は、約11.5mmであるが、他の量またはサイズの燃料要素も考えられる。
【0032】
図2の燃料集合体は、シュラウド104内に収められ得る。例えば、シュラウド104の断面形状は、十二角形状であり得るが、他の形状も想定される。複数の実施形態によると、燃料要素102に外接する円の径Rは、51mmより小さいか、それに等しいことがあり得る。複数の実施形態によると、シュラウド104の内径は、約51.7mmであり得るが、他の実施形態も可能である。シュラウド104は、十二角形の形状を有し得て、約100mm(≦99.99mm)である、対辺距離hを画定し得る。複数の実施形態によると、61の燃料要素の正方形−三角形グリッドは、外接円(例えばシュラウド104または圧力管)の面積の約95.5%を占める外周を画定する。
図3において、19の燃料棒102の中央領域は、チューブ内にほぼ完璧に収まり得る。複数の実施形態によると、中央の19の燃料棒に外接する円の径R19は、3.922mmの直径を有し得るが、他の寸法も可能である。
【0033】
図2および3において、燃料要素は、互いに混ざり合った第1および第2グリッドパターンに配置され得て、本明細書において「正方形−三角形グリッド」と呼ばれるものを形成する。第1グリッドパターンは、燃料要素の正方配置された行列を含み、行と列との間の中心線間距離は、燃料要素の共通の外接円径「d」に等しい(第1の「正方形」グリッドの例については、
図3の参照符号106を参照)。第2グリッドパターンは、正三角形を含み、各三角形の各辺の長さ(すなわち、各三角形の角を画定する、隣接する燃料要素の間の中心線間距離)は、燃料要素の共通の外接円径「d」である(第2の「三角形」グリッドの例については、
図3の参照符号108を参照)。したがって、第2/三角形グリッドパターン108は、第1/正方形グリッドパターン106と異なる。代替的な実施形態によると、追加的および/または代替的なグリッドパターン(例えば、長方形グリッドパターン、等尺グリッドパターン、平行四辺形パターン、他の規則的反復パターン)も、本発明の範囲を逸脱することなく使用され得る。複数の実施形態によると、特定の燃料要素102は、周囲の燃料要素の第1セットと共に、正方形グリッドパターン状に配置され得て、同時に、周囲の燃料要素の他のセットと共に、三角形グリッドパターン状に配置され得るが、その他の構成も可能である。
【0034】
再び
図2および3において、正方形106および三角形108のグリッドパターンは、1つまたは複数の視点から見たとき、互いに交互に現れ得る。例えば、任意の特定の径に沿って、燃料集合体の中央部110から外周(例えばシュラウド104)に移動するとき、正方形106および三角形108のグリッドパターンが交互に現れ得る(ただし、1対1である必要はない)。追加的または代替的に、燃料要素102は、同心円状に配置され得て、同心円のいずれか1つの周りを移動するとき、正方形および三角形グリッドパターンが互いに交互に現れ得る(たたし、1対1である必要はない)。
【0035】
上述のように、燃料要素は自己離間し得る。複数の実施形態によると、選択された燃料棒の形状に関係なく、自己離間は、燃料棒の外接円径の倍数であり得るが、その他の構成も可能である。特定の実施形態によると、燃料棒102は、ねじれたリブを有する任意の形状(例えば、リブを有するチューブ、正方形など)であり得る。しかしながら、円形断面、規則的な幾何学的断面など、他の形状も可能であり得る。
【0036】
図4−6は、参照によって全内容が本明細書に組み込まれる、出願人の同時係属中の米国特許出願第14/081,056号および第13/695,792号で記載されているような、4ローブ型燃料棒202を含む燃料集合体200の実施形態の断面図を描写する。更なる態様において、4ローブ型設計など、特定の燃料棒形状が、異なる原子炉に対して標準化され得る。例えば、4ローブ形状で、外接円径が12±1mmで、わずかな変更がある燃料棒が、PWRおよびCANDUなど、異なる原子炉の標準となり得る。
【0037】
図4は、本明細書において初期0°配置と呼ばれる、初期基準配置にある燃料集合体200を描写する。初期0°配置は、燃料棒202に沿った任意の点で現れ得て、規則的間隔で現れ得る。
図5は、
図4に対して燃料棒のローブ204が30°回転した(例えば、燃料棒スワールピッチの長手方向1/12変位)時点の、
図4の燃料集合体200を描写する。
図6は、
図4に対して燃料棒のローブ204が60°回転した(例えば、燃料棒スワールピッチの長手方向1/6変位)時点の、
図4の燃料集合体を描写する。
図4の配置からの、ローブ204の90°回転、または、燃料棒スワールピッチの長手方向の1/4変位は、
図4で示されている0°の仮初期配置と同じである。
図4−6において、8の燃料棒202'は、他の燃料棒202またはシュラウド206に接触しない、断面内のロッドのみを示す。
図4、5および6で示されているものの間の軸方向の場所において、燃料棒は互いに、または、シュラウド206に長手方向に接触していない。 したがって、燃料集合体は、自己離間しており、すべての燃料棒は集合体の長さ方向に沿って自己離間される。
【0038】
上述のように、燃料棒は、出願人の同時係属中の米国特許出願第14/081,056号および第13/695,792号に記載されている4ローブ型燃料棒を含み得る。しかしながら、代替的な実施形態によると、上述の燃料集合体内の4ローブ型燃料棒のいずれかは、標準のペレット円筒燃料棒(ウランまたはトリウム)、または、可燃性有毒燃料棒(例えば、ガドリニウム(Gd)、エルビウム(Er)、および/または、ジスプロシウム(Dy)を含む)によって置き換えられ得る。
【0039】
本出願の全体を通して使用される、「シュラウド」という用語は、部分的に、または、全体的に、燃料棒バンドルを囲み得る様々な異なる設計を含み得る。例えば、複数の実施形態によると、「シュラウド」とは、穿孔された、または、スリット付きの、中実の十二角形のシュラウドであり得る。代替的に、「シュラウド」は、個々の帯もしくは覆うような細片、または、円筒殻(例えば、中実、またはスリットによる「透かし細工」)上の鋲を含み得る。更に、「シュラウド」という用語は、この記載から当業者にとって明らかである、他の同様の構造および設計を含み得る。
【0040】
上述の実施形態は、本発明の構造および機能の原理を説明するべく提供されており、限定を意図するものでない。むしろ、本発明の原理は、以下の特許請求の範囲の思想にある、ありとあらゆる変更、修正、および/または、置き換えを含むことを意図している。