【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題は、ばね部材が上記ベース部分から上記コンタクトばね部分と並んで延びる戻りばね部分をさらに含む点において、本発明により解決される。
【0006】
この単純な設計改良を使用することにより、戻りばね部分により発生する力が接触箇所に非常に近接して作用し、したがって先行技術のように、たとえばクレードルによって力を接触箇所に伝達する必要がない。そのような伝達は、本発明とは対照的に、クレードルと接触箇所との接合部における伝達損失のため非効率的である。戻りばね部分をばね部材に組み込むことにより、必要な部品が少なくなり、電気スイッチングデバイスのサイズを小さくすることができる。
【0007】
本発明による解決策を、互いに独立して追加することができ、各々異なる利点をもたらすことのできる以下の特徴によってさらに改良することができる。
【0008】
たとえば、コンタクトばね部分は、ベース部分と遠位端との間の大きい距離にまたがるために細長くてよい。クレードルリレーでは、この距離を、たとえばコイルの直径によって決めることができる。
【0009】
戻りばね部分は、好ましくは、接触箇所を有していない。
【0010】
これにより、戻りばね部分の撓みとコンタクトばね部分の撓みとの相互の切離しを支持する。
【0011】
戻りばね部分は、特に一定の幅と特に一定の材料厚さとを有するまっすぐな脚部であってよい。
【0012】
別の実施形態によれば、戻りばね部分は戻りばね剛性を有することができ、コンタクトばね部分はコンタクトばね剛性を有することができ、戻りばね剛性はコンタクトばね剛性よりも低い。この戻りばね剛性の上限により、電気スイッチング要素の駆動システムが、戻りばね部分を撓ませる過大な力に確実に打ち勝たなくなる。
【0013】
一実施形態によれば、コンタクトばね部分は本体部分を含むことができ、本体部分から延びる複数の、少なくとも2つのばねアームを備えることができる。複数のばねアームを使用することにより、コンタクトばね部分の特性を必要に応じて手元で調節することが可能になる。たとえば、複数のばねアームをスイッチング動作中に適時の順序で撓ませることができる。その結果、より多くのばねアームが次々に撓むので、ばねアームが撓めば撓むむほど、ばねコンタクト部分の剛性が高まる。いくつかのばねアームを使用すると、ばねアームにわたって広がる、高電流を伝導するための大きい断面を、可撓性のコンタクトばね部分を有することが可能であることと組み合わせることができる。
【0014】
一実施形態において、コンタクトばね部材は、少なくとも1つの下部ばねアーム、好ましくは対の下部ばねアームと、少なくとも1つの上部ばねアームとを含むことができる。下部ばねアームを上部ばねアームよりもベース部分に近接して位置させることができる。接触箇所を、下部ばねアームと上部ばねアームとの間でコンタクトばね部分の本体に位置させてもよい。戻りばね部分に良好なてこ作用を与えるために、戻りばね部分が上記少なくとも1つの下部ばねアームを越えて、特に下部ばねアームの自由端を越えて上記遠位端側へ延びることが好ましい。
【0015】
複数のばねアームの各々は、個々のばねアーム剛性を有することができる。戻りばね部分の剛性は、2つの上記個々のばねアーム剛性の組合せよりも低くてよい。これによっても、電気スイッチングデバイスがスイッチング動作を行う場合に、戻りばね部分が確実に過大な電力を必要としなくなる。特に、戻りばね剛性は、個々のばねアーム剛性に少なくとも略対応することができる。戻りばね剛性は、ばねアーム剛性の少なくとも1つより低くてもよい。いくつかのばねアームを使用する場合、全体のコンタクトばね剛性は、すべてのばねアーム剛性の組合せから得られる。
【0016】
ばね部材は、好ましくは金属、特に金属板から作られた押抜き(punched)および/または曲げ部品であり得るため、製造に費用が掛からない。戻りばね部分とコンタクトばね部分とは同じ材料厚さを有することができる。
【0017】
別の実施形態によれば、コンタクトばね部分は戻りばね部分より幅広であってよい。これは、コンタクトばね部分が、大きい断面積を提供することにより抵抗を小さくして大きい電流を伝えなければならない場合に特に有用である。
【0018】
コンタクトばね部分および戻りばね部分の幅は、長さ方向および材料厚さ方向に垂直な幅方向に測定される。長さ方向は、遠位端と近位端との間で、またはこの方向に平行に延びている。
【0019】
戻りばね部分の幅は、本発明の別の例において、本体部分の幅よりも小さくてよく、この本体部分からコンタクトばね部分のばねアームが分岐している。
【0020】
戻りばね部分の幅は、個々のばねアームの幅に少なくとも略対応することができる。戻りばね部分の幅は、特に、個々のばねアームの幅の2倍よりも小さくてよい。別の実施形態において、戻りばね部分は、少なくとも上記接触箇所まで延びることができる。これにより、戻りばね部分は、確実に接触箇所の高さで作用することができるため、接触箇所と対向コンタクトとの間の任意の溶接部分により直接作用することができる。特に、戻りばね部分は遠位端まで延びることができる。
【0021】
近位端から測定して、戻りばね部分はコンタクトばね部分と同じ長さを有してよく、個々のばねアームを設ける場合、戻りばね部分は個々のばねアームよりも長くてよい。
【0022】
戻りばね部分の幾何形状は単純であってよい。戻りばね部分は、特に一定の幅および厚さであり得るまっすぐな脚部によって形成することができる。戻りばね部分は、長手方向においてコンタクトばね部分に平行に延びることができる。
【0023】
ばね部材および電気スイッチングデバイスの挿入を容易にするために、戻りばね部分は、ベース部分と反対側の自由端に傾斜部分を備えることができる。傾斜部分の長さは、その幅よりも小さくてよい。傾斜部分は、戻りばね部分の自由端の一部を厚さ方向に曲げることによって容易に製造することができる。特に、傾斜部分は、接触箇所が位置するばね部材の側から延びることができる。この構成は、接触箇所がクレードルから離れた側を向くクレードルリレーに特に有利である。
【0024】
別の実施形態において、ばね部材は、戻りばね部分がベース部分に連結するところに位置するフット部分を含むことができる。フット部分を、戻りばね部分に対して強化することができる。この強化により、戻りばね部分と比べてフット部分の剛性が高くなるため、ベース部分と戻りばね部分との間の移行領域における過剰な曲げを回避することによって耐用年数が長くなる。そのような強化は、フット部分の幅を戻りばね部分の幅よりも大きくすることによって実現することができる。滑らかな移行を生じさせることにより、ある領域に接線が集中することを回避するために、フット部分の幅を戻りばね部分に向けて小さくしてもよい。
【0025】
一方での戻り部分と他方での戻りばね部分との独立した動作について、ベース部分は、コンタクトばね部分および戻りばね部分の両方よりもかなり高い剛性を有するべきである。これにより、コンタクトばね部分が撓むと戻りばね部分は確実に撓まなくなり、逆もまた同様である。したがって、戻りばね部分の撓みによって発生する戻り力は、コンタクトばね部分の撓みから独立している。もちろん、この独立性は、電気スイッチングデバイスの通常動作中に生じる撓みについてのみ確実に存在すれば十分である。ベース部分が本体と少なくとも1つのフラップとを含む場合、ベース部分の剛性を高めてもよい。フラップを曲げ部分により上記本体に連結してもよい。
【0026】
特に、フラップを近位端に位置させることができる。フラップは、本体に対して約90°の角度などのある角度で立っていてよい。また、フラップは本体に当接し、特に本体に平行に延びて第2の材料層を形成してもよい。そのような構成において、曲げ部分は180°曲げられている。本体は、コンタクトばね部分および/または戻りばね部分と面一であってよく、すなわちコンタクトばね部分および戻りばね部分と同一平面上にあってよい。もちろん、少なくとも1つのビードなどのベース部分を剛化させる他の手段を使用してもよい。
【0027】
ベース部分を、たとえばポジティブロッキング機構および/または摩擦ロックによって電気スイッチング要素内に固定されるように構成してもよい。
【0028】
好ましくは、ベース部分は、電気スイッチングデバイスに含まれる場合、たとえば電気スイッチングデバイスの表面に当接することによって堅く保持される。これにより、コンタクトばね部分または戻りばね部分が撓んだ場合にベース部分の曲げを防ぐことができる。
【0029】
ベース部分は、近位端と遠位端との間に延びる長手方向に垂直な方向に細長くてよい。
【0030】
前述した実施形態のいずれか1つに記載のばね部材を、クレードルリレーなどの電気スイッチングデバイス用のアセンブリへの駆動伝達部材と組み合わせてもよい。駆動伝達部材は、特にクレードルリレーのクレードルであってよい。駆動伝達部材は、コンタクトばね部分と係合する第1のばね支持部分を提供することができる。駆動伝達部材は第2のばね支持部分をさらに含み、この第2のばね支持部分に戻りばね部分が接して止まる。
【0031】
駆動伝達部材は、樹脂などの電気絶縁材料から作ることができ、射出成形部品であってよい。
【0032】
戻りばね部分およびコンタクトばね部分の十分な弾性を使用するために、第1の支持部分および第2のばね支持部分を、いずれも遠位端に、または少なくとも遠位端に近接して位置させることができる。特に、第1の端部および/または第2の支持部分は、接触箇所と遠位端との間の位置で、戻りばね部分および/またはコンタクトばね部分に接触することができる。
【0033】
別の実施形態において、アセンブリの駆動伝達部材は、ばね部材に向かって延びる突起を含むことができる。有利には、第1の支持部分および第2の支持部分は突起上に位置して、戻りばね部分により及ぼされる力がコンタクトばね部分の支持部分に隣接して導入されることによって、接触箇所により直接作用するようになっている。これは、第1の支持部分が第2の支持部分に隣接して位置する場合に最良に行うことができる。
【0034】
突起は、コンタクトばね部分に係合するフックを形成することができる。コンタクトばね部分が複数のばねアームを提供する場合、突起、特にフックは個々のばねアームの少なくとも1つに係合することができる。フックは、第2の支持部分を形成する肩部を備えることができる。
【0035】
第1の端部と反対側の第2の端部で、駆動伝達部材は、電気スイッチングデバイスのアーマチュアと係合するように構成された支持部分を有することができる。
【0036】
アセンブリの微調整を可能にするために、コンタクトばね部分と駆動伝達部材との間で一方向での遊びが可能になるように、コンタクトばね部分を駆動伝達部材に連結することができる。遊びは、好ましくは、コンタクトばね部分の厚さ方向に存在する。他の方向を、コンタクトばね部分と駆動伝達部材との間のポジティブブロックおよび/または摩擦ロックによってブロックすることができる。遊びは、特に第1の支持部分で実現することができる。
【0037】
遊びに沿ったコンタクトばね部分と駆動伝達部材との相対可動性を、2つの止め具によって限定することができる。止め具のうちの少なくとも1つは突起、特にフックにより形成される。
【0038】
コンタクトばね部分が複数の個々のばねアームを備える場合、遊びを個々のばねアームのサブセット、たとえば、1つまたは2つのばねアームのみに限定してもよい。
【0039】
戻りばね部分は、好ましくは、単に第2の支持部分の支持領域に弾性的に接して止まる。そうでなければ、戻りばね部分は、好ましくは自由に支持領域から離れて駆動伝達部材から離間し、支持領域に沿って摺動する。
【0040】
前述した構成のうちの1つにおけるばね部材および/またはアセンブリを、クレードルリレーなどの電気スイッチングデバイスに組み込むことができる。そのような電気スイッチングデバイスは、たとえば、上記構成のうちの1つのばね部材と、可動の駆動伝達部材と、駆動部とを含むことができる。駆動部は、特に、コイル、ヨーク、およびアーマチュアを含む磁気駆動システムであってよい。しかしながら、駆動部はそのような構成に限定されない。
【0041】
駆動部とばね部材とを、駆動伝達部材に直接または間接的に連結することができる。駆動部を、ばね部材が連結される端部に対して反対側の端部で駆動伝達部材に連結することができる。
【0042】
駆動部は、駆動伝達部材に作用する駆動力を発生させるように構成される。たとえば、この駆動力はアーマチュアを磁気的に引き付けることによって発生する。
【0043】
戻りばね部分は、駆動伝達部材に作用し、駆動力に対抗(反対に作用)する戻り力を発生させるように構成される。
【0044】
戻りばね部分を、駆動伝達部材によって、コンタクトばね部分へ共にかつ同時に撓ませることができる。駆動伝達部材を電気スイッチングデバイス内で可動に保持し、その動きを第1の支持部分および第2の支持部分を介してコンタクトばね部分および戻りばね部分に伝えることができるが、ベース部分は電気スイッチングデバイス内で固定して保持される。
【0045】
次に、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について例示的に説明する。実施形態に示す様々な特徴を、異なる方法で組み合わせてもよいことを理解されたい。たとえば、実施形態のうちの1つに示す特定の特徴は、その技術的効果が実施形態のある適用に不要であれば、省略してもよい。また、前述したもしくは一実施形態に示す特徴は、この特徴の効果が他の実施形態の特定の適用に必須であれば、他の実施形態に加えてもよい。
【0046】
図中、同一または同様の設計を有する要素、および/または同様の機能について同一である要素には、同じ参照符号を付す。