特許第6718878号(P6718878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6718878クレードルリレーなどの電気スイッチングデバイス用のばね部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6718878
(24)【登録日】2020年6月17日
(45)【発行日】2020年7月8日
(54)【発明の名称】クレードルリレーなどの電気スイッチングデバイス用のばね部材
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/56 20060101AFI20200629BHJP
【FI】
   H01H50/56 G
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-538975(P2017-538975)
(86)(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公表番号】特表2018-503953(P2018-503953A)
(43)【公表日】2018年2月8日
(86)【国際出願番号】EP2016052005
(87)【国際公開番号】WO2016120485
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2017年8月17日
(31)【優先権主張番号】15153202.5
(32)【優先日】2015年1月30日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501218751
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハウツンク
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100121533
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 まどか
(72)【発明者】
【氏名】グートマン,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ミクル,ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】インドゥラジット,パオル
【審査官】 北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−325760(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/207018(WO,A1)
【文献】 特開2000−285783(JP,A)
【文献】 特開昭63−175312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/56−50/58
H01H 50/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気スイッチングデバイス(84)用のアセンブリ(63)であって、
ばね部材(1)と、
第1の支持部分(66)を提供する可動の駆動伝達部材(64)とを含み、
前記ばね部材(1)は、
遠位端(10)と、
前記遠位端(10)と反対側の近位端(8)と、
前記近位端(8)を含むベース部分(6)と、
前記ベース部分(6)から前記遠位端(10)へ延び、接触箇所(40)を備えるコンタクトばね部分(2)と、
前記ベース部分(6)から、前記ばね部材(1)の前記遠位端(10)と前記近位端(8)との間に延びる長さ方向(12)に垂直な幅方向(18)に前記コンタクトばね部分(2)と並んで延びる戻りばね部分(4)とをさらに含み、
前記コンタクトばね部分(2)は、前記接触箇所(40)が備えられ前記ベース部分(6)から前記遠位端(10)に向かって延びる本体部分と、前記本体部分から分岐する複数のばねアームとを備え、
前記ばね部材(1)の前記長さ方向(12)に垂直な前記幅方向(18)において、
前記コンタクトばね部分(2)の前記本体部分は前記戻りばね部分(4)よりも幅広であり、
前記第1の支持部分(66)は前記コンタクトばね部分(2)の前記複数のばねアームの少なくとも一部に係合し、
前記駆動伝達部材(64)は第2の支持部分(72)をさらに含み、前記戻りばね部分(4)は前記第2の支持部分(72)に接して止まり、
前記駆動伝達部材(64)は、前記ばね部材(1)の前記長さ方向(12)及び前記幅方向(18)に垂直の厚さ方向(26)に可動であり、その厚さ方向(26)に位置する前記ばね部材(1)側へ延びる突起(78)を含み、
前記複数のばねアームは、前記幅方向(18)に前記本体部分の両側から延びる一対のばねアーム(36、36)を、前記少なくとも一部として含み、
前記突起(78)は、前記一対のばねアームのそれぞれ(36)に対して、対応するばねアーム(36)と係合するように延びることにより、前記ばね部材(1)側へ延び、
前記第1の支持部分(66)および前記第2の支持部分(72)は、一方の前記突起(78)上に、前記幅方向(18)に隣接して位置し、
前記一方の突起(78)には、前記第1の支持部分(66)から前記幅方向(18)に突出する肩部(82)が前記第2の支持部分(72)として設けられ、前記肩部(82)には、前記戻りばね部分(4)が弾性的に接して止まる支持面(74)が設けられ、
前記コンタクトばね部分(2)は、
前記複数のばねアームの少なくとも一部としての前記対応するばねアームと前記駆動伝達部材(64)との間で一方向(26)としての前記厚さ方向(26)での限定された遊び(68)が可能になり、前記駆動伝達部材(64)が前記ばね部材(1)側へ押されると、前記遊び(68)がなくなった後に前記対応するばねアーム(36)を前記戻りばね部分(4)と共に撓ませるように、
前記第1の支持部分(66)は、前記対応するばねアーム(36)を前記厚さ方向(26)に可動に保持して前記遊び(68)を可能にするとともに、前記遊び(68)を限定する2つの止め具を含み、
前記2つの止め具のうち、一方の止め具は前記支持面(74)と同じ平面に位置し、
前記2つの止め具のうち他方の止め具は、前記遊び(68)がなくなった後に前記対応するばねアームを押すように、前記平面より前記駆動伝達部材(64)側に前記遊び(68)を空けて設けられている、前記駆動伝達部材(64)に連結される、
アセンブリ(63)。
【請求項2】
電気スイッチングデバイス(84)であって、
請求項1に記載のアセンブリ(63)と、
動部(90)とを含み、
前記駆動部(90)および前記ばね部材(1)は、前記駆動伝達部材(64)に連結され、
前記駆動部(90)は、前記駆動伝達部材(64)に作用する駆動力(98)を発生させるように構成され、
前記戻りばね部分(4)は、戻り力(100)を発生させるように構成され、
前記戻り力(100)は前記駆動伝達部材(64)に作用し、前記駆動力(98)に対抗する、
電気スイッチングデバイス(84)。
【請求項3】
前記戻り力(100)は、前記コンタクトばね部分(2)の撓みから独立しており、
前記撓みは、前記電気スイッチングデバイス(84)の動作中に生じる、
請求項に記載の電気スイッチングデバイス(84)。
【請求項4】
前記電気スイッチングデバイスはクレードルリレーである、請求項に記載のアセンブリ(63)。
【請求項5】
前記電気スイッチングデバイスはクレードルリレーである、請求項またはに記載の電気スイッチングデバイス(84)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレードルリレーなどの電気スイッチング要素用のばね部材に関する。このばね部材は、遠位端と、遠位端と反対側の近位端と、近位端を含むベース部分と、ベース部分から遠位端へ延び、接触箇所を備えるコンタクトばね部分と、を含む。
【背景技術】
【0002】
このような特徴を有するばね部材は、コンタクトを遮断し閉じるために電気スイッチングデバイス、特にクレードルリレーで使用される。このために、接触箇所が設けられる。接触箇所では、ばね部材は第2のコンタクトに接触して電気回路を閉じることができる。接触箇所が対向コンタクトから離れると、回路が遮断される。リレーでは、そのようなばね部材の動きを生じさせるために、駆動システム、たとえばコイル、ヨーク、およびアーマチュアを含む装置によって駆動力を発生させる。制御電流がコイルに印加されるとアーマチュアは駆動され、アーマチュアの動きがばね部材に伝わる。アーマチュアの動きをばね部材に伝えるために、駆動伝達部材をアーマチュアとばね部材との間に位置させてもよい。クレードルリレーでは、駆動伝達部材はクレードルによって形成される。
【0003】
公知のスイッチングリレーには、アーマチュアに直接作用するばねが設けられて、駆動システムが遮断され駆動力が発生しなくなると、アーマチュアを元の位置に戻す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この設計はかさばり、製造に費用が掛かる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題は、ばね部材が上記ベース部分から上記コンタクトばね部分と並んで延びる戻りばね部分をさらに含む点において、本発明により解決される。
【0006】
この単純な設計改良を使用することにより、戻りばね部分により発生する力が接触箇所に非常に近接して作用し、したがって先行技術のように、たとえばクレードルによって力を接触箇所に伝達する必要がない。そのような伝達は、本発明とは対照的に、クレードルと接触箇所との接合部における伝達損失のため非効率的である。戻りばね部分をばね部材に組み込むことにより、必要な部品が少なくなり、電気スイッチングデバイスのサイズを小さくすることができる。
【0007】
本発明による解決策を、互いに独立して追加することができ、各々異なる利点をもたらすことのできる以下の特徴によってさらに改良することができる。
【0008】
たとえば、コンタクトばね部分は、ベース部分と遠位端との間の大きい距離にまたがるために細長くてよい。クレードルリレーでは、この距離を、たとえばコイルの直径によって決めることができる。
【0009】
戻りばね部分は、好ましくは、接触箇所を有していない。
【0010】
これにより、戻りばね部分の撓みとコンタクトばね部分の撓みとの相互の切離しを支持する。
【0011】
戻りばね部分は、特に一定の幅と特に一定の材料厚さとを有するまっすぐな脚部であってよい。
【0012】
別の実施形態によれば、戻りばね部分は戻りばね剛性を有することができ、コンタクトばね部分はコンタクトばね剛性を有することができ、戻りばね剛性はコンタクトばね剛性よりも低い。この戻りばね剛性の上限により、電気スイッチング要素の駆動システムが、戻りばね部分を撓ませる過大な力に確実に打ち勝たなくなる。
【0013】
一実施形態によれば、コンタクトばね部分は本体部分を含むことができ、本体部分から延びる複数の、少なくとも2つのばねアームを備えることができる。複数のばねアームを使用することにより、コンタクトばね部分の特性を必要に応じて手元で調節することが可能になる。たとえば、複数のばねアームをスイッチング動作中に適時の順序で撓ませることができる。その結果、より多くのばねアームが次々に撓むので、ばねアームが撓めば撓むむほど、ばねコンタクト部分の剛性が高まる。いくつかのばねアームを使用すると、ばねアームにわたって広がる、高電流を伝導するための大きい断面を、可撓性のコンタクトばね部分を有することが可能であることと組み合わせることができる。
【0014】
一実施形態において、コンタクトばね部材は、少なくとも1つの下部ばねアーム、好ましくは対の下部ばねアームと、少なくとも1つの上部ばねアームとを含むことができる。下部ばねアームを上部ばねアームよりもベース部分に近接して位置させることができる。接触箇所を、下部ばねアームと上部ばねアームとの間でコンタクトばね部分の本体に位置させてもよい。戻りばね部分に良好なてこ作用を与えるために、戻りばね部分が上記少なくとも1つの下部ばねアームを越えて、特に下部ばねアームの自由端を越えて上記遠位端側へ延びることが好ましい。
【0015】
複数のばねアームの各々は、個々のばねアーム剛性を有することができる。戻りばね部分の剛性は、2つの上記個々のばねアーム剛性の組合せよりも低くてよい。これによっても、電気スイッチングデバイスがスイッチング動作を行う場合に、戻りばね部分が確実に過大な電力を必要としなくなる。特に、戻りばね剛性は、個々のばねアーム剛性に少なくとも略対応することができる。戻りばね剛性は、ばねアーム剛性の少なくとも1つより低くてもよい。いくつかのばねアームを使用する場合、全体のコンタクトばね剛性は、すべてのばねアーム剛性の組合せから得られる。
【0016】
ばね部材は、好ましくは金属、特に金属板から作られた押抜き(punched)および/または曲げ部品であり得るため、製造に費用が掛からない。戻りばね部分とコンタクトばね部分とは同じ材料厚さを有することができる。
【0017】
別の実施形態によれば、コンタクトばね部分は戻りばね部分より幅広であってよい。これは、コンタクトばね部分が、大きい断面積を提供することにより抵抗を小さくして大きい電流を伝えなければならない場合に特に有用である。
【0018】
コンタクトばね部分および戻りばね部分の幅は、長さ方向および材料厚さ方向に垂直な幅方向に測定される。長さ方向は、遠位端と近位端との間で、またはこの方向に平行に延びている。
【0019】
戻りばね部分の幅は、本発明の別の例において、本体部分の幅よりも小さくてよく、この本体部分からコンタクトばね部分のばねアームが分岐している。
【0020】
戻りばね部分の幅は、個々のばねアームの幅に少なくとも略対応することができる。戻りばね部分の幅は、特に、個々のばねアームの幅の2倍よりも小さくてよい。別の実施形態において、戻りばね部分は、少なくとも上記接触箇所まで延びることができる。これにより、戻りばね部分は、確実に接触箇所の高さで作用することができるため、接触箇所と対向コンタクトとの間の任意の溶接部分により直接作用することができる。特に、戻りばね部分は遠位端まで延びることができる。
【0021】
近位端から測定して、戻りばね部分はコンタクトばね部分と同じ長さを有してよく、個々のばねアームを設ける場合、戻りばね部分は個々のばねアームよりも長くてよい。
【0022】
戻りばね部分の幾何形状は単純であってよい。戻りばね部分は、特に一定の幅および厚さであり得るまっすぐな脚部によって形成することができる。戻りばね部分は、長手方向においてコンタクトばね部分に平行に延びることができる。
【0023】
ばね部材および電気スイッチングデバイスの挿入を容易にするために、戻りばね部分は、ベース部分と反対側の自由端に傾斜部分を備えることができる。傾斜部分の長さは、その幅よりも小さくてよい。傾斜部分は、戻りばね部分の自由端の一部を厚さ方向に曲げることによって容易に製造することができる。特に、傾斜部分は、接触箇所が位置するばね部材の側から延びることができる。この構成は、接触箇所がクレードルから離れた側を向くクレードルリレーに特に有利である。
【0024】
別の実施形態において、ばね部材は、戻りばね部分がベース部分に連結するところに位置するフット部分を含むことができる。フット部分を、戻りばね部分に対して強化することができる。この強化により、戻りばね部分と比べてフット部分の剛性が高くなるため、ベース部分と戻りばね部分との間の移行領域における過剰な曲げを回避することによって耐用年数が長くなる。そのような強化は、フット部分の幅を戻りばね部分の幅よりも大きくすることによって実現することができる。滑らかな移行を生じさせることにより、ある領域に接線が集中することを回避するために、フット部分の幅を戻りばね部分に向けて小さくしてもよい。
【0025】
一方での戻り部分と他方での戻りばね部分との独立した動作について、ベース部分は、コンタクトばね部分および戻りばね部分の両方よりもかなり高い剛性を有するべきである。これにより、コンタクトばね部分が撓むと戻りばね部分は確実に撓まなくなり、逆もまた同様である。したがって、戻りばね部分の撓みによって発生する戻り力は、コンタクトばね部分の撓みから独立している。もちろん、この独立性は、電気スイッチングデバイスの通常動作中に生じる撓みについてのみ確実に存在すれば十分である。ベース部分が本体と少なくとも1つのフラップとを含む場合、ベース部分の剛性を高めてもよい。フラップを曲げ部分により上記本体に連結してもよい。
【0026】
特に、フラップを近位端に位置させることができる。フラップは、本体に対して約90°の角度などのある角度で立っていてよい。また、フラップは本体に当接し、特に本体に平行に延びて第2の材料層を形成してもよい。そのような構成において、曲げ部分は180°曲げられている。本体は、コンタクトばね部分および/または戻りばね部分と面一であってよく、すなわちコンタクトばね部分および戻りばね部分と同一平面上にあってよい。もちろん、少なくとも1つのビードなどのベース部分を剛化させる他の手段を使用してもよい。
【0027】
ベース部分を、たとえばポジティブロッキング機構および/または摩擦ロックによって電気スイッチング要素内に固定されるように構成してもよい。
【0028】
好ましくは、ベース部分は、電気スイッチングデバイスに含まれる場合、たとえば電気スイッチングデバイスの表面に当接することによって堅く保持される。これにより、コンタクトばね部分または戻りばね部分が撓んだ場合にベース部分の曲げを防ぐことができる。
【0029】
ベース部分は、近位端と遠位端との間に延びる長手方向に垂直な方向に細長くてよい。
【0030】
前述した実施形態のいずれか1つに記載のばね部材を、クレードルリレーなどの電気スイッチングデバイス用のアセンブリへの駆動伝達部材と組み合わせてもよい。駆動伝達部材は、特にクレードルリレーのクレードルであってよい。駆動伝達部材は、コンタクトばね部分と係合する第1のばね支持部分を提供することができる。駆動伝達部材は第2のばね支持部分をさらに含み、この第2のばね支持部分に戻りばね部分が接して止まる。
【0031】
駆動伝達部材は、樹脂などの電気絶縁材料から作ることができ、射出成形部品であってよい。
【0032】
戻りばね部分およびコンタクトばね部分の十分な弾性を使用するために、第1の支持部分および第2のばね支持部分を、いずれも遠位端に、または少なくとも遠位端に近接して位置させることができる。特に、第1の端部および/または第2の支持部分は、接触箇所と遠位端との間の位置で、戻りばね部分および/またはコンタクトばね部分に接触することができる。
【0033】
別の実施形態において、アセンブリの駆動伝達部材は、ばね部材に向かって延びる突起を含むことができる。有利には、第1の支持部分および第2の支持部分は突起上に位置して、戻りばね部分により及ぼされる力がコンタクトばね部分の支持部分に隣接して導入されることによって、接触箇所により直接作用するようになっている。これは、第1の支持部分が第2の支持部分に隣接して位置する場合に最良に行うことができる。
【0034】
突起は、コンタクトばね部分に係合するフックを形成することができる。コンタクトばね部分が複数のばねアームを提供する場合、突起、特にフックは個々のばねアームの少なくとも1つに係合することができる。フックは、第2の支持部分を形成する肩部を備えることができる。
【0035】
第1の端部と反対側の第2の端部で、駆動伝達部材は、電気スイッチングデバイスのアーマチュアと係合するように構成された支持部分を有することができる。
【0036】
アセンブリの微調整を可能にするために、コンタクトばね部分と駆動伝達部材との間で一方向での遊びが可能になるように、コンタクトばね部分を駆動伝達部材に連結することができる。遊びは、好ましくは、コンタクトばね部分の厚さ方向に存在する。他の方向を、コンタクトばね部分と駆動伝達部材との間のポジティブブロックおよび/または摩擦ロックによってブロックすることができる。遊びは、特に第1の支持部分で実現することができる。
【0037】
遊びに沿ったコンタクトばね部分と駆動伝達部材との相対可動性を、2つの止め具によって限定することができる。止め具のうちの少なくとも1つは突起、特にフックにより形成される。
【0038】
コンタクトばね部分が複数の個々のばねアームを備える場合、遊びを個々のばねアームのサブセット、たとえば、1つまたは2つのばねアームのみに限定してもよい。
【0039】
戻りばね部分は、好ましくは、単に第2の支持部分の支持領域に弾性的に接して止まる。そうでなければ、戻りばね部分は、好ましくは自由に支持領域から離れて駆動伝達部材から離間し、支持領域に沿って摺動する。
【0040】
前述した構成のうちの1つにおけるばね部材および/またはアセンブリを、クレードルリレーなどの電気スイッチングデバイスに組み込むことができる。そのような電気スイッチングデバイスは、たとえば、上記構成のうちの1つのばね部材と、可動の駆動伝達部材と、駆動部とを含むことができる。駆動部は、特に、コイル、ヨーク、およびアーマチュアを含む磁気駆動システムであってよい。しかしながら、駆動部はそのような構成に限定されない。
【0041】
駆動部とばね部材とを、駆動伝達部材に直接または間接的に連結することができる。駆動部を、ばね部材が連結される端部に対して反対側の端部で駆動伝達部材に連結することができる。
【0042】
駆動部は、駆動伝達部材に作用する駆動力を発生させるように構成される。たとえば、この駆動力はアーマチュアを磁気的に引き付けることによって発生する。
【0043】
戻りばね部分は、駆動伝達部材に作用し、駆動力に対抗(反対に作用)する戻り力を発生させるように構成される。
【0044】
戻りばね部分を、駆動伝達部材によって、コンタクトばね部分へ共にかつ同時に撓ませることができる。駆動伝達部材を電気スイッチングデバイス内で可動に保持し、その動きを第1の支持部分および第2の支持部分を介してコンタクトばね部分および戻りばね部分に伝えることができるが、ベース部分は電気スイッチングデバイス内で固定して保持される。
【0045】
次に、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について例示的に説明する。実施形態に示す様々な特徴を、異なる方法で組み合わせてもよいことを理解されたい。たとえば、実施形態のうちの1つに示す特定の特徴は、その技術的効果が実施形態のある適用に不要であれば、省略してもよい。また、前述したもしくは一実施形態に示す特徴は、この特徴の効果が他の実施形態の特定の適用に必須であれば、他の実施形態に加えてもよい。
【0046】
図中、同一または同様の設計を有する要素、および/または同様の機能について同一である要素には、同じ参照符号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明によるばね部材の実施形態の概略正面図である。
図2図1の実施形態の概略側面図である。
図3】本発明によるアセンブリの実施形態の概略斜視図である。
図4】本発明による電気スイッチングデバイスの実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
まず、図1および図2を参照しながら本発明によるばね部材1の設計について説明する。
【0049】
ばね部材1は、コンタクトばね部分2と戻りばね部分4とを含む。コンタクトばね部分2および戻りばね部分4はいずれも、共通のベース部分6から延びている。ベース部分6は近位端8を含み、コンタクトばね部分2はベース部分6から遠位端10へ延びている。戻りばね部分4は、コンタクトばね部分2と並んで延びている。特に、コンタクトばね部分2および戻りばね部分4はいずれも、長さ方向12に平行に延びることができ、この長さ方向12は、近位端8近くからそれに平行な遠位端10へ延びている。コンタクトばね部分2および戻りばね部分4は、いずれも長さ方向12に細長い。幅方向18におけるこれらのそれぞれの幅14、16は、それぞれの長さ20、22よりも小さい。幅方向は、図1からわかるように、長さ方向12に垂直に延びている。
【0050】
ばね部材1は、好ましくは、銅または銅合金などの板金から押抜きおよび/または曲げにより作られた一体部品である。板金の厚さ方向26の材料厚さ24(図2参照)は好ましくは一定である。厚さ方向26は、長さ方向12および幅方向18に垂直に延びている。
【0051】
ばね部材1は、ベース部分6から延びる端子部分28を含むことができる。端子部分28は、長さ方向12に垂直な方向に延びていても、長さ方向12に平行に延びていてもよい。長さ方向12に平行に延びている場合、端子部分28は、ベース部分6から遠位端10と反対の方向へ延びることができる。
【0052】
コンタクトばねは本体30を含むことができ、本体30から1つまたは複数のばねアーム32が分岐することができる。ばねアーム32を設けない場合には、本体自体がばねアームを形成することができる。図1に示す実施形態において、単に例として、合計で3つのばねアームが設けられている。
【0053】
少なくとも1つの下部ばねアーム34と少なくとも1つの上部ばねアーム36とを設けてもよい。単に例として、図1の実施形態は対の下部ばねアーム34と単一の上部ばねアーム36とを有する。あるいは、ばね部材1は、対の下部ばねアーム34と対の上部ばねアーム36との両方、または単一の下部ばねアーム34と対の上部ばねアーム36、または単一の下部ばねアーム34と単一の上部ばねアーム36とを備えることができる。
【0054】
特に、高電流を印加する場合、複数のばねアームを使用すると、確実にコンタクトばね部分2の断面積37が電気抵抗を小さくするのに十分に大きくなり、コンタクトばね部分2の剛性が、弾性的な撓みを可能にし、かつばねアームの撓みにより発生する弾性力の適切な調節を可能にするのに十分に低くなる。1つまたは複数のばねアーム32が本体30から分岐する位置にある開口部38により、長さ方向12またはコンタクトばね部分2を通って方向付けられた電流経路に沿った断面積37の幅を確保することができる。
【0055】
コンタクトばね部分2は、接触箇所40をさらに含む。接触箇所40で、コンタクトばね部分2が電気スイッチングデバイス内の対向コンタクト(図示せず)との接触を確立する。ばね部材を対向コンタクト側へ動かすことにより、ばね部材は回路を閉じることができる。対向コンタクトから離すことにより、回路を遮断することができる。
【0056】
接触箇所40は遠位端10に、または遠位端10に近接して位置して撓みを容易にする。特に、接触箇所40はベース部分6よりも遠位端10に近接している。さらに、接触箇所40を、下部ばねアーム34と上部ばねアーム36との間に位置させてもよい。
【0057】
戻りばね部分4は、少なくとも略一定の幅および略一定の厚さの単一の脚部42から構成することができる。コンタクトばね部分2の自由端44には、部分48を厚さ方向に、特に接触箇所40がコンタクトばね部分2上に位置する側へ曲げることによって、傾斜部分46を設けることができる。
【0058】
戻りばね部分4は、接触箇所40の位置を越えて、かつ/または少なくとも下部ばねアーム34を越えて、好ましくはすべてのばねアーム32を越えて長さ方向12に延びることが好ましい。
【0059】
戻りばね部分4の剛性は、コンタクトばね部分2の剛性よりも低い。コンタクトばね部分2がばねアーム32を含む場合、戻りばね部分4の剛性は、すべてのばねアーム32の剛性の組合せよりも低い。特に、戻りばね部分4の剛性は、2つのばねアーム32の剛性の組合せよりも低く、特に単一のばねアーム32の剛性と略等しくてよい。
【0060】
戻りばね部分4の幅16は、コンタクトばね部分2またはその本体30の幅14よりも小さい。戻りばね部分4の幅16は、ばねアーム32の幅50と略等しくてよい。図1からわかるように、接触箇所40を戻りばね部分4に設ける必要はない。
【0061】
戻りばね部分4とベース部分6との間に、剛性が戻りばね部分4に対して増加するフット部分52を設けてもよい。たとえば、フット部分52に、戻りばね部分4の幅16に対して増加した幅54を設けることによって、剛性を増加させることができる。フット部分の幅54は、フット部分52の少なくとも一部56で、戻りばね部分4に向かって減少する。
【0062】
戻りばね部分4は、ベース部分6によりコンタクトばね部分2に一体に連結されているが、撓みに関してコンタクトばね部分2から連結解除されることが好ましい。これは、コンタクトばね部分2および戻りばね部分4の両方よりも、ベース部分6にはるかに剛性をもたせることによって達成することができる。
【0063】
図1および図2に示す実施形態によれば、ベース部分6は主要部分58と少なくとも1つのフラップ60とを有する。主要部分58は、コンタクトばね部分2および戻りばね部分4の両方と略面一であり、同一平面上にある。
【0064】
フラップ60は、好ましくは、主要部分58の平面から塑性的に偏向して、ベース部分6の剛性を増加させる。フラップ60を曲げ部分62により主要部分58に連結する。
【0065】
フラップ60は、主要部分58に平行な平面に位置することができる。特に、曲げ部分62が180°曲げられるため、フラップ60は主要部分58に当接することができる。これは図2に実線で示され、これにより曲げを大きくする。フラップ60は、たとえば曲げ部分62を約90°の角度で曲げることにより、主要部分58に対してある角度で延びることもできる。これは点線で示される。近位端8と反対側のベース部分6の端部で、またはその近くで、たとえば溶接、ポジティブロック、またはリベット締めにより、フラップ60を主要部分58に取り付けることができる。
【0066】
フラップ60は剛性を増加させるだけでなく、ベース部分6の断面積37も増加させるため、高電流に対するベース部分6の電気抵抗を小さくする。さらに、フラップ60を主要部分58から離して曲げることにより、近位端8と遠位端10との間、すなわち電気スイッチングデバイスに含まれる部分の長さ方向12におけるばね部材1の全高を小さくする。
【0067】
次に、図3を参照しながら、本発明によるばね部材と、クレードルリレーのクレードルなどの駆動伝達部材と、を含むアセンブリ63について説明する。前の実施形態との差についてのみ述べる。
【0068】
図3の実施形態において、コンタクトばね部分2は対の上部ばねアーム36を備える。さらに、コンタクトばね部分2は、接触箇所40とベース部分6との間、特に1組の下部ばねアーム34と上部ばねアーム36との間にビード59を含む。さらに、図3によるばね部材1の実施形態のフット部分52は、図1および図2の実施形態のフット部分52よりもはるかに小さい。
【0069】
駆動伝達部材64は、コンタクトばね部分2、特に上部ばねアーム36などのばねアーム32のサブセットに係合された第1の支持部分66を備える。第1の支持部分66は、遠位端10近くの、少なくとも略接触箇所40の高さで長さ方向12に位置する。より一般的には、第1の支持部分66は、下部ばねアーム34と上部ばねアーム36との間に位置することができる。しかしながら、コンタクトばね部分2の撓み可能性を最大限活用するために、第1の支持部分66を遠位端10にできるだけ近接して位置させるべきである。
【0070】
第1の支持部分66で、コンタクトばね2は、長さ方向12に垂直に可動、特に厚さ方向26に可動に保持されて、この方向への遊び68を可能にする。遊び68は、駆動伝達部材64により形成された2つの止め具によって限定される。
【0071】
駆動伝達部材64は、第2の支持部分72をさらに提供し、この第2の支持部分72に戻りばね部分4が接して止まる。第2の支持部分72は、好ましくは支持面74のみから構成され、この支持面74は、傾斜部分46にできるだけ近接して、長さ方向において略接触箇所40の高さで戻りばね部分4に面している。支持面74で、戻りばね部分4を摩擦のみによって保持することができ、かつ戻りばね部分4は他の方法で支持面74に沿って自由に摺動し、支持面74を持ち上げることができる。
【0072】
図3からわかるように、駆動伝達部材64は、ばね部材1に面した端部76に、ばね部材1側へ突出している突起78を備えることができる。第1の支持部分66および第2の支持部分72は、好ましくは、いずれも同じ突起78に位置する。
【0073】
第1の支持部分66は、止め具のうちの1つまたは2つを形成するフック80を含むことができる。さらに、肩部82をフック80または突起78のそれぞれにより設けてもよい。支持面74はこの肩部82に位置する。好ましくは、支持面74と止め具のうちの1つ、特に突起78の端部に近接した止め具とは互いに位置合わせされ、同じ平面に位置する。
【0074】
図4に示すように、ばね部材1および/またはアセンブリを、クレードルリレーなど電気スイッチングデバイス84に組み込むことができる。
【0075】
そのような構成では、駆動伝達部材64を一端部86でばね部材1に連結し、他端部88で駆動部90に連結することができる。
【0076】
駆動部90は、図4に概略的にのみ示されるコイル92、ヨーク94、およびアーマチュア96を含む磁気駆動システムであってよい。
【0077】
駆動伝達部材64は、電気スイッチングデバイス84の一端部86から他端部88へ延びる方向97へ可動に、特に摺動可能に保持される。ばね部材1のベース部分6は、電気スイッチングデバイス84にしっかりと取り付けられる。
【0078】
初期状態では、アーマチュア96がコイル92側へ引かれる。駆動伝達部材64はアーマチュア96によりばね部材1側へ押され、戻りばね部分4を、また遊び68がなくなった後にコンタクトばね部分2を共に撓ませる。これにより、コンタクトばね部分2は好ましくは固定された対向コンタクト(図示せず)に押し付けられる。オーバーストローク(over stroke)を使用することにより、駆動伝達部材64は、接触箇所40が対向コンタクトに接触する点を越えて動かされ、その結果、ばねアーム32は撓み、接触箇所40を対向コンタクトに対して弾性的に押し付ける。駆動部90により及ぼされる駆動力98は、少なくとも撓んだ戻りばね部分4により、および好ましくはばねアーム32の撓みにより及ぼされる戻り力100によって反対の作用を受ける。
【0079】
アーマチュアが解放されると、戻りばね部分4とコンタクトばね部分2が共に、最初にアーマチュア96をコイル92から離す。戻りばね部分4は、遊び68のゾーンに達しているので、コンタクトばね部分2またはそのばねアーム32が弛緩できた後もそれを続ける。コンタクトばね部分2と戻りばね部分4とは、剛性のベース部分6によって、さらに、電気スイッチングデバイス84の長さに沿ったベース部分6の堅い固定102によって互いに連結解除され、戻り力100がコンタクトばね部分2の撓みから独立する。
【0080】
したがって、アーマチュア96に直接作用する追加の戻りばね部分4を省くことができる。
【符号の説明】
【0081】
1 ばね部材
2 コンタクトばね部分
4 戻りばね部分
6 ベース部分
8 近位端
10 遠位端
12 長さ方向
14 コンタクトばね部分の幅
16 戻りばね部分の幅
18 幅方向
20 コンタクトばね部分の長さ
22 戻りばね部分の長さ
24 厚さ
26 厚さ方向
28 端子部分
30 本体
32 ばねアーム
34 下部ばねアーム
36 上部ばねアーム
37 コンタクトばねの断面積
38 開口部
40 接触箇所
42 コンタクトばね部分の脚部
44 コンタクトばね部分の自由端
46 曲げ部分の傾斜部分
48 曲げ部分
50 ばねアームの幅
52 フット部分
54 フット部分の幅
56 フット部分の一部
58 ベース部分の主要部分
59 ビード
60 ベース部分のフラップ
62 主要部分とフラップとの間の曲げ部分
63 アセンブリ
64 駆動伝達部材
66 第1の支持部分
68 遊
2 第2の支持部分
74 支持面
76 ばね部材に面した駆動伝達部材の端部
78 駆動伝達部材の突起
80 フック
82 突起の肩部
84 電気スイッチングデバイス
86 駆動伝達部材の一端部
88 駆動伝達部材の他端部
90 駆動部
92 コイル
94 ヨーク
96 アーマチュア
97 駆動伝達部材の動きの方向
98 駆動力
100 戻り力
102 電気スイッチングデバイス内でのベース部分の固定
図1
図2
図3
図4