(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ハンドルを有する鋏には、ハンドルが外方に延びていることで、嵩張ってしまうため持ち運びにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、ハンドルを有する鋏であって、コンパクトな鋏を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる鋏は、刃と該刃を開閉操作可能な操作本体とを有する鋏本体と、前記刃を収納可能な収納部を有するキャップと、を備え、前記操作本体は、前記収納部に少なくとも一部が挿入可能な軸体と、前記軸体から外方への進出と前記軸体側への退避とが可能なハンドルと、前記ハンドルの退避に伴って前記軸体に対して相対的に移動可能であり且つ前記キャップに当接可能な当接部位と、を含み、前記キャップは、前記当接部位と当接可能な被当接部位を有し、前記被当接部位は、前記収納部に前記軸体が挿入されるとき、前記当接部位と当接することにより、前記当接部位を前記軸体に対して相対的に移動させて、前記ハンドルを前記軸体側に退避させる、ことを特徴とする。
【0007】
上記構成の鋏によれば、軸体がキャップに差し込まれることに伴いハンドルが退避するため、鋏のコンパクト化を実現することができる。
【0008】
前記鋏では、前記ハンドルは、前記当接部位と接続され且つ前記刃側に位置する第一部位であって、可撓性を有する第一部位と、該第一部位以外の第二部位を有し、前記当接部位の前記軸体に対する相対的な移動に伴って、前記第一部位が前記軸体内に引き込まれると共に、前記第二部位が前記軸体に沿う位置に退避させられる。
【0009】
上記構成の鋏によれば、可撓性を持たせたハンドルの一部(第一部位)を軸体内へ引き込むと共に、ハンドルの残りの部位(第二部位)を軸体に沿わせて、ハンドルの残りの部位を軸体の幅(軸体の延びる方向と直交する方向における幅)までコンパクトにすることで、鋏をよりコンパクト化することができる。
【0010】
前記鋏では、前記第一部位の断面積は、前記第二部位の断面積よりも小さいことが好ましい。
【0011】
上記構成の鋏によれば、第一部位の断面積を小さくすることで第一部位を軸体内に引き込みやすくすると共に、ハンドルにおける引き込まれる部位(第一部位)以外の部位(第二部位)の断面積を大きくして、ハンドルの強度を確保している。
【0012】
この場合、前記第一部位の長さは、前記第二部位の長さよりも短いことが好ましい。
【0013】
上記構成の鋏によれば、断面積の小さい第一部位の長さを小さくすることで、ハンドルの強度を十分に確保できる。
【0014】
前記鋏では、前記当接部位は、前記ハンドルの進出に伴って前記軸体に対して相対的に移動可能であり、前記当接部位と前記被当接部位とは、前記軸体の少なくとも一部が前記収納部に挿入された状態では、互いに係合しており、前記被当接部位は、前記収納部から前記軸体が引き抜かれるとき、前記当接部位との係合によって前記当接部位の前記キャップに対する相対位置を固定することにより、前記当接部位を前記軸体に対して相対的に移動させて、前記ハンドルを前記軸体から外方に進出させてもよい。
【0015】
上記構成の鋏によれば、軸体がキャップから引き抜かれることに伴いハンドルが進出するため、収納部から軸体を引き抜く以外の操作(別途、ハンドルを進出させる操作)が行われなくても、ハンドルを進出させることができる。
【0016】
本発明にかかる別の鋏は、刃と該刃を開閉操作可能な操作本体とを有する鋏本体と、前記刃を収納可能な収納部を有するキャップと、を備え、前記操作本体は、前記収納部に少なくとも一部が挿入可能な軸体と、前記軸体から外方への進出と前記軸体側への退避とが可能なハンドルと、前記ハンドルの進出に伴って前記軸体に対して相対的に移動可能であり且つ前記キャップに係合可能な係合部位と、を含み、前記キャップは、前記係合部位と係合可能な被係合部位を有し、前記被係合部位は、前記収納部から前記軸体が引き抜かれるとき、
前記係合部位と係合し、前記係合部位との係合によって前記係合部位の前記キャップに対する相対位置を固定することにより、前記係合部位を前記軸体に対して相対的に移動させて、前記ハンドルを前記軸体から外方に進出させる、ことを特徴とする。
【0017】
上記構成の鋏によれば、軸体がキャップから引き抜かれることに伴いハンドルが進出する、即ち、収納部から軸体が引き抜かれるまでハンドルが退避した状態であるため、鋏のコンパクト化を実現することができる。しかも、軸体がキャップから引き抜かれることに伴いハンドルが進出するため、収納部から軸体を引き抜く以外の操作(別途、ハンドルを進出させる操作)が行われなくても、ハンドルを進出させることができる。
【0020】
前記鋏では、前記キャップは、前記軸体が前記収納部に挿入された状態において、前記ハンドルと対向する位置に空間を区画する空間区画領域を有していてもよい。
【0021】
上記構成の鋏によれば、軸体がキャップから引き抜かれるときに、ハンドルが突出しても、ハンドルがキャップに当たらない、又は、ハンドルがキャップにすぐに当たらないため、ハンドルと対向する位置に空間が設けられていない構成に比べて、軽い力でも軸体をキャップから引き抜くことができる。
【0022】
前記鋏では、前記空間区画領域は、前記キャップの内周面に設けられた溝部を含み、前記溝部は、内側から外側に凹むと共に、前記収納部からの前記軸体の引き抜き方向に延びていてもよい。
【0023】
上記構成の鋏によれば、キャップの内周面に設けられた溝部が、軸体の引き抜き方向(キャップが引き抜かれる方向)に延びているため、軸体がキャップから引き抜かれるときに、ハンドルが突出しても、ハンドルがキャップに当たりにくい状態が続く、或いは、ハンドルがキャップに途中から当たる。
【発明の効果】
【0024】
本実施形態の鋏によれば、ハンドルを有する鋏であって、コンパクトな鋏を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る鋏の一実施形態について、
図1〜
図4を参照しつつ説明する。本発明に係る鋏は、ハンドル(持ち手)を有する鋏である。本実施形態の鋏は、刃やハンドルを含む鋏本体と、鋏本体の一部を挿入可能なキャップを含む。この鋏では、鋏本体がキャップから引き抜かれたときにハンドルが進出する(
図4参照)と共に、鋏本体がキャップに収納されたときにハンドルが退避して(
図3参照)コンパクトになる。また、この鋏では、鋏本体がキャップに挿入されるときに、この動きと連動してハンドルが退避する。さらに、この鋏では、鋏本体がキャップから引き抜かれるときに、この動きと連動してハンドルが進出する。
【0027】
例えば、
図1〜
図4に示すように、鋏1は、鋏本体10と、キャップ20とを有する。本実施形態の鋏1は、鋏本体10がキャップ20に収納された収納状態において、長尺形状をしており、例えば、円柱状である(
図1参照)。
【0028】
鋏本体10は、刃11と、刃11を開閉操作可能な操作本体12とを有する(
図2〜
図4参照)。本実施形態の鋏本体10は、一つの刃11と、この刃11に接続された操作本体12との組を有する。この鋏本体10は、この組を二つ(一対)有する。具体的に、鋏本体10は、刃11Aと操作本体12Aとの組、及び、刃11Bと操作本体12Bとの組、及び、刃11A、11Bを連結する連結部材110を有する。
【0029】
本実施形態の刃11A、11Bは、同じ構成を有する。また、本実施形態の刃11Aは、裏返した刃11B(その一方の面が反対側を向くような刃11B)の少なくとも一部に対して重ねられた状態で配置されている。また、刃11A、11Bは、連結部材110により刃先側が開閉可能に連結されている。
【0030】
操作本体12Aは、刃11Aの刃先側と反対側に接続されている。操作本体12Bは、裏返した刃11Bの刃先側と反対側に、裏返した状態で接続されている。本実施形態の操作本体12A、12Bは、同じ構成を有する。操作本体12A、12Bは、開閉する(操作本体12A、12Bがそれぞれ円弧を描くように離間及び接近する)ことにより、刃11A、11Bを開閉操作可能である。これにより、操作本体12は、閉じた姿勢である閉姿勢(操作本体12A、12Bが接触すると共に、刃11A、11Bが閉じた状態の閉姿勢)と、開いた状態である開姿勢(操作本体12A、12Bが離間すると共に、刃11A、11Bが開いた状態の開姿勢)とを取り得る。本実施形態の操作本体12は、閉姿勢において、長尺状(例えば、円柱状)である(
図2参照)。
【0031】
また、操作本体12は、キャップ20に少なくとも一部が挿入可能な軸体13と、軸体13から外方への進出と軸体13側への退避とが可能なハンドル14と、ハンドル14の退避に伴って軸体13に対して相対的に移動すると共に、キャップ20に当接可能な当接部位15と、を含む。また、操作本体12は、ハンドル14が進出した状態において、軸体13及びハンドル14で構成される環状の部位を有する(
図4参照)。操作本体12は、この環状の部位に指を入れて開閉操作されることで、刃11を開閉操作可能である。
【0032】
軸体13は、例えば、長尺状をしている。また、軸体13は、ハンドル14が進出している状態において、操作本体12における指を入れることが可能な環状の部位の一部である。本実施形態の軸体13の材料は、例えば、樹脂である。本実施形態の軸体13は、刃11と反対側に位置するベース部130と、刃11における刃先と反対側の端部に接続され且つキャップ20に挿入可能な軸体収納部131とを有する。尚、ベース部130と軸体収納部131とは、軸体13の長尺方向において連続している。
【0033】
ベース部130は、収納状態(鋏本体10がキャップ20に収納された収納状態)において、キャップ20から露出する(
図1参照)。ベース部130の断面積(軸体13の長尺方向に直交する平面における断面積)は、例えば、軸体収納部131の断面積(軸体13の長尺方向に直交する平面における断面積)よりも大きい(
図4参照)。本実施形態のベース部130は、ハンドル14が延びる始点となる箇所(ハンドル14と軸体13との境界位置)を有する。また、本実施形態のベース部130は、凹んだ形状を有する押さえ部位132を有する。
【0034】
押さえ部位132は、例えば、半円形状をしている。具体的に、押さえ部位132は、軸体13の長尺方向に交差する方向の一方側及び他方側(表側及び裏側)にそれぞれ一つずつ設けられている(
図3参照)。尚、押さえ部位132は、操作本体12の閉姿勢(操作本体12A、12Bが操作本体12の長尺方向と直交する方向において並ぶ姿勢)において、円形状の凹部となる。
【0035】
軸体収納部131の全体は、収納状態(鋏本体10がキャップ20に収納された収納状態)において、キャップ20に収納される(
図1参照)。また、軸体収納部131は、軸体13の長尺方向に延びる凸条133と、この長尺方向にそれぞれ延びる溝1330及び凹部1331と、ハンドル14の延びる方向を転換させる方向転換部134と、キャップ20と係合可能な凸部135と、刃11側に位置する端部136と、退避したハンドル14を配置可能な凹部137とを有する(
図2〜
図4参照)。
【0036】
溝1330は、凸条133に対してこの長尺方向と直交する方向に並ぶ。凹部1331は、凸条133の設けられる側と反対側(凸条133の裏側)に設けられている。溝1330及び凹部1331は、操作本体12の閉姿勢において(
図2、
図3参照)、凸条133を挟む。また、操作本体12の閉姿勢において(
図2、
図3参照)、溝1330を凸条133と共に区画する側面と凹部1331を凸条133と共に区画する側面との間の距離(軸体13の長尺方向と直交する方向における距離)は、当接部位15の幅(軸体13の長尺方向と直交する方向における幅)と対応している。
【0037】
凸条133は、当接部位15の移動を案内する。本実施形態の凸条133は、軸体13の内側から外側へ向かう方向に突出している。また、凸条133は、例えば、軸体収納部131の刃11側と反対側の端部から軸体収納部131の刃11側の端部136にまで延びている。さらに、凸条133における刃11側の端部の高さは、刃11側の端縁に近づくほど低くなっている。この端部の最上面は、刃11側の端縁に近づくほど低くなるように、緩やかに傾斜している。
【0038】
方向転換部134は、ハンドル14の延びる方向を、軸体13の長尺方向からこの長尺方向と交差する方向(例えば、直交する方向)に転換させる。本実施形態の方向転換部134は、例えば、軸体13の長尺方向と直交する方向(凸条133の突出する方向)を軸として回転可能なローラーである。
【0039】
凸部135は、軸体13の内側から外側へ向かう方向に突出している。
【0040】
軸体収納部131の刃11側の端部136は、ハンドル14が延びる始点となる箇所(ハンドル14と軸体13との境界位置)を有する。換言すると、この端部136は、ハンドル14の引き込み可能な引き込み口を有する。
【0041】
凹部137は、例えば、軸体13の長尺方向に延びる長尺状である。また、凹部137は、軸体13の外側から内側に向かう方向に凹んでいる。凹部137は、その内側に、退避したハンドル14をはめ込むことができる。
【0042】
本実施形態の当接部位15は、ハンドル14の退避に伴って軸体13に対して相対移動可能であることに加えて、ハンドル14の進出に伴って軸体13に対して相対移動可能である。換言すると、この当接部位15は、軸体13に対して刃11側と反対側に相対移動することにより、ハンドル14を軸体13側に退避させると共に、軸体13に対して刃11側に相対移動することにより、ハンドル14を軸体13から外方に進出させる。例えば、当接部位15は、凸条133と係合した状態で、軸体13の長尺方向において軸体13に対して相対移動(相対的にスライド移動)可能である。尚、当接部位15が凸条133における刃11側の端部に案内された状態で、キャップ20に当接可能なように、凸条133における刃11側の端部の最上面の高さ(凸条133における突出量)は設定されている。
【0043】
この当接部位15は、キャップ20との当接面を含む当接本体部150と、当接本体部150から延びる延在部151とを含む。尚、この当接部位15の材料は、例えば、樹脂である。また、当接部位15は、ハンドル14と一体的に形成されている。
【0044】
当接本体部150は、延在部151と同じ材料で一体的に形成されている。当接本体部150の幅(軸体13の長尺方向と直交する方向における幅)と、延在部151の幅(軸体13の長尺方向と直交する方向における幅)は略同じである。当接本体部150の厚みは、延在部151の厚みよりも厚い。より具体的に、当接本体部150の厚みは、延在部151の厚みと比べて、概ね、キャップ20の厚みだけ厚い。
【0045】
当接本体部150の外周面の全ては、キャップ20に当接可能な当接面である。本実施形態の当接本体部150の当接面は、刃11側に位置する第一当接面1501と、刃11と反対側に位置する第二当接面1502とを含む(
図4参照)。第一当接面1501は、曲面である。第二当接面1502は、平面である。第一当接面1501と第二当接面1502とは連続している。
【0046】
ハンドル14は、例えば、長尺の帯状である。本実施形態のハンドル14は、鋏本体10A、10Bにそれぞれ一つずつ設けられている。ハンドル14は、軸体13の外方に進出した状態において、ローラー134に沿って方向転換し、軸体13の外方に延びる。また、このハンドル14は、帯状であるために撓んでいる。具体的に、ハンドル14は、軸体13の外方に進出した状態において、ベース部130から外側に延びると共に、軸体13の外側を通って、軸体収納部131まで延びている。この場合、このハンドル14は、軸体13の外方に進出した状態において、指を入れることが可能な環状の部位の一部である。尚、本実施形態のハンドル14は、当接部位15の幅方向における中央に接続されている。
【0047】
本実施形態のハンドル14は、当接部位15と接続され且つ刃11側に位置すると共に、可撓性を有する第一部位141と、第一部位141以外の第二部位142とを有する。また、本実施形態のハンドル14では、当接部位15の軸体13に対する相対的な移動に伴って、第一部位141が軸体13内に引き込まれると共に、第二部位142が軸体13に沿う位置に退避する。具体的に、このハンドル14では、当接部位15が凸条133に係合した状態で、凸条133に沿って、軸体13に対して軸体13の長尺方向において刃11と反対側にスライドすることで、第一部位141が軸体13内に引き込まれて軸体13内と共に、第二部位142が軸体13に沿う位置に退避して凹部137に配置される。尚、ハンドル14の第二部位142の厚みは、凹部137の深さと略同じである。
【0048】
ハンドル14は、第一部位141が引き込まれた状態において、軸体13内で軸体13の長尺方向において延びると共にローラー134に沿って軸体13の外方に延び、さらに軸体13の外表面に沿ってこの長尺方向において延びる(
図2参照)。このハンドル14の第二部位142は、例えば、凹部137内にはめ込まれた状態で配置される。
【0049】
尚、第一部位141が刃11側に位置するとは、ハンドル14が軸体13から進出した状態において、第一部位141が第二部位142と比べて刃11に近い側に位置することである。また、本実施形態のハンドル14では、第二部位142も第一部位141と同様に可撓性を有する。第一部位141や第二部位142の可撓性を有する材料は、例えば、樹脂である。
【0050】
本実施形態のハンドル14では、第一部位141の厚みが第二部位142の厚みよりも薄く、且つ、第一部位141の幅(第一部位141の長尺方向と直交する方向における幅)と第二部位142の幅(第二部位142の長尺方向と直交する方向における幅)とが略同じである。そのため、第一部位141の断面積は、第二部位142の断面積よりも小さい。また、第一部位141の長さは、第二部位142の長さよりも短い。具体的に、第二部位142の長さは、軸体13におけるハンドル14が延びる始点となる箇所同士の間の(ハンドル14とベース部130との境界位置からハンドル14と軸体収納部131との境界位置までの間の)軸体13の長尺方向における距離と略同一である。
【0051】
以上のように構成される操作本体12A及び刃11Aの組と、操作本体12B及び刃11Bの組とが、鋏本体10である。
【0052】
キャップ20は、当接部位15(操作本体12における当接部位15)と当接可能な被当接部位21と、軸体収納部131の凸部135の形状と対応した凹部24とを有する。本実施形態のキャップ20は、長尺の筒状であり、例えば、円筒状である。このキャップ20の内径は、閉姿勢における一対の刃11、軸体収納部131、及び、軸体13に沿ったハンドル14を収納可能な大きさである。これにより、本実施形態のキャップ20の全体は、閉姿勢における一対の軸体13の少なくとも一部(閉姿勢における一対の軸体収納部131)が挿入可能な収納部である。尚、キャップ20の内径は、閉姿勢における一対のベース部130の直径よりも小さい。
【0053】
凹部24は、キャップ20の内周面に形成されている。また、凹部24は、キャップ20の内側から外側に向けて、軸体収納部131の凸部135の突出量だけ凹んでいる。さらに、凹部24は、収納状態(鋏本体10がキャップ20に収納された状態)において、軸体収納部131の凸部135と係合する。
【0054】
本実施形態の被当接部位21は、例えば、キャップ20に設けられた開口部である。例えば、被当接部位21は、当接部位15の当接面と当接する被当接面を含む。具体的に、被当接部位21は、当接本体部150の当接面と当接可能な被当接面を有する主開口部22と、主開口部22と連続するスリット23とを有する。
【0055】
スリット23は、軸体13の長尺方向に延びる。また、スリット23は、この長尺方向と直交する方向における幅を均一とした状態で延びている。さらに、軸体13の長尺方向と直交する方向におけるスリット23の幅は、軸体13の長尺方向と直交する方向における主開口部22の幅よりも狭い。
【0056】
主開口部22の形状は、当接部位15の当接本体部150の形状と対応している。このため、主開口部22は、収納状態(鋏本体10(例えば、軸体収納部131)がキャップ20に収納された状態)において、当接本体部150に係合する。また、主開口部22は、第一当接面1501と当接可能な第一被当接面221、及び、第二当接面1502と当接可能な第二被当接面222を有する。具体的に、第一被当接面221は、第二被当接面222と連続している。以下、キャップ20への軸体収納部131の挿入に伴うハンドル14の退避、及び、キャップ20からの軸体収納部131の引き抜きに伴うハンドル14の進出について具体的に説明する。
【0057】
主開口部22は、キャップ20に軸体収納部131が挿入されるとき、当接部位15と当接することにより、当接部位15を軸体13に対して相対的に移動させて、ハンドル14を軸体13側に退避させる。具体的に、当接部位15が刃11側に位置する状態で、キャップ20に軸体収納部131が差し込まれると、当接本体部150の第一当接面1501がキャップ20の開口側の端縁に当たることで、軸体収納部131のキャップ20に対する相対移動は止まる。キャップ20に軸体収納部131がさらに差し込まれると、当接本体部150がスリット23を広げると共に、キャップ20に対して軸体13の長尺方向に相対移動し、当接本体部150の第一当接面1501が主開口部22の第一被当接面221に当接する。そのままキャップ20に軸体収納部131がさらに差し込まれると、当接部位15が、第一当接面1501と第一被当接面221とが当接したまま(当接部位15と主開口部22との相対位置を固定したまま)、軸体13に対して相対的に移動する。当接部位15は、この移動に伴い、ハンドル14の第一部位141をこの移動分(当接部位15の軸体13に対する相対移動距離)だけ軸体13内に引き込む。このように、当接部位15は、軸体13に対して相対的に移動することで、ハンドル14を徐々に軸体13側へと退避させる。
【0058】
また、主開口部22は、キャップ20から軸体収納部131が引き抜かれるとき、当接部位15との係合によって当接部位15のキャップ20に対する相対位置を固定することにより、当接部位15を軸体13に対して相対的に移動させて、ハンドル14を軸体13から外方に進出させる。具体的に、収納状態(鋏本体10がキャップ20に収納された収納状態)において軸体収納部131がキャップ20の反対側に引っ張られると、当接本体部150の第二当接面1502が主開口部22の第二被当接面222に係合しているため(本実施形態の鋏1では、当接しているため)、軸体収納部131のキャップ20に対する相対移動は起こらない。キャップ20から軸体収納部131がさらに引っ張られると、当接部位15の第二当接面1502と主開口部22の第二被当接面222とが係合したまま(当接部位15と主開口部22との相対位置を固定したまま)、当接部位15が軸体13に対して相対的に移動することで、ハンドル14の第一部位141をこの移動分(当接部位15の軸体13に対する相対移動距離)だけ軸体13から外方に進出させる。このように、当接部位15は、軸体13に対して相対的に移動することで、ハンドル14を徐々に軸体13から外方に進出させる。
【0059】
以上の鋏1によれば、軸体収納部131がキャップ20に差し込まれることに伴いハンドル14が退避するため、鋏1のコンパクト化を実現することができる。また、ハンドル14を退避させた状態で軸体収納部131をキャップに収納できることによっても、鋏1のコンパクト化を実現することができる。
【0060】
上記実施形態の鋏1によれば、可撓性を持たせたハンドル14の一部(第一部位141)を軸体13内へ引き込み可能とすると共に、ハンドル14の残部(第二部位142)を軸体13に沿う位置に退避させて軸体13の幅までコンパクト化することで、鋏1をよりコンパクト化することができる。また、上記実施形態のハンドル14では、ハンドルの14の残部(第二部位142)も可撓性を有するため、ハンドル14に指を掛けて使う場合に、指が痛むことを防ぐことができる。
【0061】
また、上記実施形態の鋏1によれば、ハンドル14の引き込まれる部位(第一部位141)の断面積を小さくすることで第一部位141を軸体13内に引き込みやすくすると共に、ハンドル14の引き込まれる部位(第一部位141)以外の部位(第二部位142)の断面積を大きくすることで第二部位142の強度を確保している。
【0062】
さらに、上記実施形態の鋏1によれば、断面積の小さい第一部位141の長さを短くすることで、断面積の大きい第二部位142の長さを長くできるため、ハンドル14における断面積の大きい領域が長くなり、ハンドル14の強度を十分に確保できる。
【0063】
上記実施形態の鋏1によれば、当接部位15は、軸体収納部131がキャップ20から引き抜かれることに伴いハンドル14を進出させるため、キャップ20から軸体13を引き抜く以外の操作(別途、ハンドル14を進出させる操作)が行われなくても、ハンドル14を進出させることができる。
【0064】
また、上記実施形態の鋏1によれば、当接部位15における第一当接面1501や第二当接面1502を有する当接本体部150の厚みが厚いため、キャップ20の被当接部位21による当接を繰り返したとしても、当接部位15は摩耗しにくく破損しにくい。
【0065】
さらに、上記実施形態の鋏1によれば、ベース部130に凹となった押さえ部位132が設けられているため、キャップ20から軸体収納部131が引き抜かれるとき、押さえ部位132を押さえることで、鋏1が安定的に操作される(安定的に引き抜きを行うことができる)。また、この鋏1は、収納状態(鋏本体10がキャップ20に収納された収納状態)において全体として円柱状であるが、押さえ部位132が設けられているため、机等に載置された場合であっても転がりにくい。
【0066】
上記実施形態の鋏1によれば、キャップ20に軸体収納部131が収納されている状態において、当接部位15とキャップ20の主開口部22とが係合されていると共に、軸体収納部131の凸部135とキャップ20の凹部24とが係合されているため、キャップ20から軸体収納部131が抜け落ちにくくなっている。しかも、キャップ20に軸体収納部131が収納されている状態において、軸体収納部131とキャップ20とが二箇所(当接部位15と主開口部22との箇所、及び、凸部135と凹部242との箇所)で係合しているため、当接部位15や主開口部22における係合による負荷を軽減させることができる。そのため、軸体収納部131のキャップ20からの引き抜きやキャップ20への差し込みを繰り返しても、当接部位15や主開口部22の摩耗を軽減できるため、当接部位15や主開口部22が損傷しにくい。
【0067】
また、本実施形態の鋏1によれば、キャップ20に刃11が収納され、且つ、キャップ20から軸体収納部131が露出しているとき、当接部位15の位置と被当接部位2の位置とを合わせた場合にのみ、当接部位15により被当接部位21のスリット23が広がることで、キャップ20に軸体収納部131が挿入される。そのため、当接部位15の位置と被当接部位21の位置とを合わせていない場合、換言すると、当接部位15と被当接部位21とが軸体13の長尺方向やキャップ20の長尺方向において並ばない場合には、キャップ20に軸体収納部131が挿入されないため、誤操作によるキャップ20等の破損(例えば、キャップ20の開口側の部位にひびが入ったり割れたりすること)を防ぐことができる。
【0068】
さらに、本実施形態の鋏1によれば、当接部位15の第一当接面1501が曲面であるため、キャップ20に軸体収納部131が差し込まれる際に、当接部位15がキャップ20の被当接部位21の内側に滑らかに収まる。
【0069】
本実施形態の鋏1によれば、スリット23の幅(キャップ20の長尺方向に直交する方向における幅)が主開口部22の幅よりも狭いため、キャップ20から軸体収納部131を引き抜いている途中に、当接本体部150と主開口部22との係合が外れることを防止できる。また、スリット23は、主開口部22と連続しているため、キャップ20に軸体収納部131が挿入されたり、キャップ20から軸体収納部131が引き抜かれたりする際に、キャップ20の長尺方向にかかる力の一部を逃すことができる。
【0070】
本実施形態の鋏1によれば、操作本体12の閉姿勢において、凸条133の両側に溝1330及び凹部1331が位置すると共に、溝1330を凸条133と共に区画する側面と凹部1331を凸条と共に区画する側面との距離(軸体13の長尺方向と直交する方向における距離)は、当接部位15の幅(軸体13の長尺方向と直交する方向における幅)と対応しているため、当接部位15の側面が軸体13に引っ掛かることなく、当接部位15が軸体13に対して相対移動することができる。
【0071】
また、本実施形態の鋏1によれば、各鋏本体10A、10Bにおいて、当接部位15が軸体13から幅方向にはみ出るように配置されると共に、ハンドル14が当接部位15の幅方向における中央に接続されているため、当接部位15を軸体13に対して相対移動する際に、力が当接部位15の幅方向の一部分に集中することを防ぐことができる。
【0072】
さらに、本実施形態の鋏1によれば、軸体13がハンドル14の第二部位142の厚みと略同じな深さだけ凹んだ凹部137を有するため、第二部位142を軸体13に沿わせて配置する際に、凹部137に配置することで、軸体13の表面に凹凸が生じない。そのため、キャップ20に軸体13が収納される際に、軸体13が引っ掛かりにくい。
【0073】
本実施形態の鋏1によれば、凸条133における刃11側の端部の高さは、刃11側の端縁に近づくほど低くなっていため、キャップ20から軸体収納部131が引き抜かれる際に、当接部位15がこの端部にまで案内されると、当接部位15の位置が低くなるため、当接部位15はキャップ20から外れやすくなる。これにより、キャップ20から軸体収納部131を滑らかに引き抜くことができる。また、凸条133における刃11側の端部の最上面の高さ(凸条133における突出量)は、当接部位15が凸条133における刃11側の端部に案内された状態で、キャップ20に当接可能なように設定されているため、キャップ20に軸体収納部131が差し込まれる際に、当接部位15が、この端部に案内されている間、当接部位15と被当接部位21とを当接させたまま軸体13に対して相対移動することができる。
【0074】
尚、本発明の鋏は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0075】
上記実施形態の鋏1では、当接部位15は、ハンドル14の進出及び退避に伴って軸体13に対して相対的に移動可能であったが、ハンドル14の進出又は退避のいずれか一方に伴って軸体13に対して相対的に移動可能であってもよい。当接部位(係合部位)15が、ハンドル14の進出のみに伴って軸体13に対して相対的に移動可能である場合(例えば、キャップ20の主開口部22が、第一当接面1501とは当接せず、第二当接面1502のみと係合可能である場合)、被当接部位(被係合部位)21は、キャップ20から軸体13が引き抜かれるとき、当接部位15との係合によって当接部位15のキャップ20に対する相対位置を固定することにより、当接部位15を軸体13に対して相対的に移動させて、ハンドル14を軸体13から外方に進出させる。
【0076】
また、当接部位15が、ハンドル14の退避に伴って軸体13に対して相対的に移動可能である場合(例えば、キャップ20の主開口部22が、第一当接面1501のみと当接し、第二当接面1502とは係合しない場合)、被当接部位21は、キャップ20に軸体13が挿入されるとき、当接部位15と当接することにより、当接部位15を軸体13に対して相対的に移動させて、ハンドル14を軸体13に退避させる。尚、この場合、キャップ20の被当接部位21は、例えば、スリット23を有さず、主開口部22がキャップ20の開口側の端縁まで同じ幅(キャップ20の長尺方向における幅)で伸びていればよい。
【0077】
また、上記実施形態の鋏1では、ハンドル14は、キャップ20の被当接部位21により当接部位15が軸体13に対して相対移動することにより進退していたが、指等により当接部位15を軸体13に対して相対移動させることにより進退してもよい。この場合においても、当接部位(移動部位)15は、ハンドル14の進出及び退避の少なくとも一方に伴って軸体13に対して相対的に移動可能である。また、この場合、例えば、当接部位15は、軸体13に対して刃11側と反対側に相対移動することにより、ハンドル14の第一部位141を軸体13内に引き込むと共に、第二部位142を軸体13に沿う位置に退避させる。これにより、当接部位15(移動部位)の軸体13に対する相対移動に伴いハンドル14が退避するため、鋏1のコンパクト化を実現することができる。しかも、当接部位15(移動部位)を軸体13に対して刃11側と反対側に相対移動することによりハンドル14の一部(第一部位141)が軸体13内に引き込まれるため、移動部位を刃11側に移動させてハンドル14の一部を引き込むことによりハンドル14を退避させる構成と比べて軸体13を短くできることにより、鋏1を長尺方向においてコンパクト化する(鋏1の長さを短くする)ことができる。
【0078】
さらに、上記実施形態の鋏1では、ハンドル14は、長尺の帯状をしていたが、これ以外の可撓性や柔軟性を有する長尺の部材(例えば、ワイヤー状や紐等)であってもよい。ハンドル14が可撓性や柔軟性を有することにより、方向転換部134はハンドル14の延びる方向を転換させることができる。また、ハンドル14は、可撓性や柔軟性を有する長尺の部材であるため、ハンドル14がワイヤー状や紐のように円形状の断面を有する場合、第一部位141の直径が第二部位142の直径よりも小さいことで、第一部位141の断面積は第二部位142の断面積よりも小さくなる。また、ハンドル14の材料は、金属や繊維等であってもよい。
【0079】
尚、ハンドル14の第一部位141を軸体13内に引き込み可能な構成では、少なくとも第一部位141が可撓性や柔軟性を有していればよい。この構成では、第二部位142は、可撓性等を有さなくてもよい。また、ハンドル14は、鋏本体10に対して二つ設けられていたが、鋏本体10に対して一つ或いは三つ以上の複数設けられていてもよい。
【0080】
上記実施形態の鋏1では、当接部位15の材料は、金属や木材のような樹脂以外の材料であってもよい。当接部位15が金属製である場合、当接部位15の耐久性を向上することができる。また、当接部位15とハンドル14との材料が異なる場合(例えば、当接部位15の材料が金属や木材であり、ハンドル14の材料が樹脂である場合)、当接部位15は、ハンドル14と別体として形成され、ハンドル14と接続される。尚、当接部位15とハンドル14との材料が同じである場合に、当接部位15は、ハンドル14と別体として形成され、ハンドル14と接続されてもよい。
【0081】
また、上記実施形態の鋏1では、鋏本体10に対して当接部位15が二つ設けられていたが、鋏本体10に対して当接部位15が一つ或いは三つ以上の複数設けられていてもよい。さらに、当接部位15は、当接面を有する当接本体部150と、厚みが当接本体部150よりも薄い延在部151を有していたが、例えば、
図5に示すように、厚みが均一な当接本体部150のみを有していてもよい。この当接部位15の外周面の一部が、キャップ20との当接面である。具体的に、第一当接面1501は、キャップ20に軸体13が挿入される際に、キャップ20の主開口部22の第一被当接面221と当接可能である。また、第二当接面1502は、キャップ20から軸体13が引き抜かれる際に、主開口部22の第二被当接面222と係合可能である。尚、この当接部位15を有する鋏本体10を用いる場合、
図6に示すように、当接部位15の形状と対応した形状の被当接部位21を有するキャップ20が用いられる。
【0082】
さらに、当接部位15に形成される当接面の形状は限定されない。例えば、上記実施形態の鋏1では、第一当接面1501と第二当接面1502とが連続すると共に、第一被当接面221と第二被当接面222とが連続していたが、第一当接面1501と第二当接面1502とが非連続であってもよく、第一被当接面221と第二被当接面222とが非連続であってもよい。
【0083】
上記実施形態の鋏1では、キャップ20に鋏本体10が刃11側から挿入されたが、キャップ20に鋏本体10が軸体13側から挿入されてもよい。この場合、当接部位15は、軸体13に対して上記実施形態の当接部位15と逆方向に相対移動することにより、ハンドル14を進退させる。具体的に、当接部位15は、軸体13に対して刃11側に相対移動することにより、ハンドル14の第一部位141を軸体13内に引き込むと共に、第二部位142を軸体13に沿って配置させてハンドルを軸体13側に退避させる。また、当接部位15は、軸体13に対して刃11側と反対側に相対移動することにより、ハンドル14を軸体13から外方に進出させる。尚、この場合、キャップ20の長尺方向における長さは、例えば、鋏本体10全体の長尺方向における長さと略同一とすればよい。また、この場合、キャップ20の被当接部位21は、キャップ20の長尺方向における中央付近に形成すればよい。
【0084】
具体的には、当接部位15を刃11側と反対側に位置させた状態で、キャップ20に軸体収納部131が差し込まれると、当接本体部150の第二当接面1502がキャップ20の開口側の端縁に当たるため、軸体収納部131のキャップ20に対する相対移動が止まる。キャップ20に軸体収納部131がさらに差し込まれると、当接本体部150がスリット23を広げてキャップ20に対して軸体13の長尺方向において刃11側に相対移動し、当接本体部150の第一当接面1501と主開口部22の第一被当接面221とが当接する。そのままキャップ20に軸体収納部131がさらに差し込まれると、第二当接面1502と第二被当接面222とが当接したまま(当接部位15と被当接部位21との相対位置が固定したまま)、当接部位15が軸体13に対して刃11側に相対的に移動する。当接部位15は、この移動に伴い、ハンドル14の第一部位141をこの移動分(当接部位15の軸体13に対する相対移動距離)だけ軸体13内に引き込む。この際に、刃11はキャップ20に収納される。このように、当接部位15は、軸体13に対して相対的に移動することで、ハンドル14を徐々に軸体13側へと退避させる。
【0085】
また、軸体収納部131及び刃11がキャップ20に収納された状態で軸体収納部131をキャップ20の反対側に引っ張っても、主開口部22が当接本体部150の第一当接面1501に係合しているため、軸体収納部131のキャップ20に対する相対移動は生じない。この状態でキャップ20から軸体収納部131がさらに引っ張られると、当接部位15の第二当接面1502と主開口部22の第二被当接面222とが係合したまま(当接部位15と被当接部位21との相対位置が固定したまま)、当接部位15が軸体13に対して相対的に移動する。当接部位15は、この移動に伴い、ハンドル14の第一部位141をこの移動分(当接部位15の軸体13に対する相対移動距離)だけ軸体13から外方に進出させる。このように当接部位15は、軸体13に対して相対的に移動することで、ハンドル14を徐々に軸体13から外方に進出させる。
【0086】
さらに、上記実施形態の鋏1では、キャップ20の全体が刃11を収納可能な収納部であったが、キャップ20の一部にこのような収納部が設けられていてもよい。
【0087】
キャップ20の構成は、上記実施形態の構成に限られない。キャップ20は、
図7や
図8に示すように、軸体13がキャップ20(収納部)に挿入された状態において(例えば、鋏本体10がキャップ20に収納された収納状態において)、ハンドル14と対向する位置に(ハンドル14の突出方向(
図8における矢印αで示す方向)においてハンドル14が突出する位置に)空間A1を区画する空間区画領域26を有してもよい。この場合、軸体13がキャップ20から引き抜かれるときに、ハンドル14が進出しても、キャップ20の内周面25に当たらない、又は、キャップ20の内周面25にすぐには当たらない。そのため、ハンドル14と対向する位置に空間が設けられていない(キャップ20とハンドル14の全部とが接触している)構成に比べて、空間区画領域26を有するキャップ20では、軸体13がキャップ20から引き抜かれるときに、ハンドル14とキャップ20の内周面25との摩擦力が小さくなるため、軽い力でも軸体13をキャップ20から引き抜くことができる。
【0088】
具体的に、ハンドル14と対向する位置に空間が設けられていない(キャップ20とハンドル14の全部とが接触している)構成では、軸体13がキャップ20から引き抜かれるときに、ハンドル14とキャップ20の内周面とがすぐに接触するため、軸体13の引き抜きの開始から軸体の引き抜きが完了するまでの間、ハンドル14とキャップ20の内周面25との摩擦力が生じ続けるため、軸体13を引き抜く力に対する抵抗力は大きくなる。従って、この構成では、大きな力をかけないと軸体13をキャップ20から引き抜くことができない。これに対して、空間区画領域26を有するキャップ20では、軸体13がキャップ20から引き抜かれるときに、キャップ20の内周面25に当たらない、又は、キャップ20の内周面25にすぐには当たらないため、軸体13の引き抜きの開始から少なくとも所定時間、ハンドル14とキャップ20の内周面25との摩擦力が生じないため、軸体13を引き抜く力に対する抵抗力は小さくなる。従って、空間区画領域26を有するキャップ20では、軽い力(小さい力)でも軸体13をキャップ20から引き抜くことができる。
【0089】
空間区画領域26は、
図9にも示すように、キャップ20の内周面25に設けられ且つ内側から外側に凹んだ溝部260を含んでもよい。溝部260は、前記収納部からの前記軸体の引き抜き方向に(
図7における上下方向)において延びていてもよい。この場合、キャップ20の内周面25に設けた溝部260により、軸体13がキャップ20から引き抜かれるときに、ハンドル14が進出してもキャップ20の内周面25に当たらない状態が続く、若しくは、すぐには内周面25に当たらない(ハンドル14の進出の途中(所定時間経過後)に内周面25に当たる)。このため、軸体の引き抜き方向に延びた溝部260を有するキャップ20では、軸体13がキャップ20から引き抜かれるときに、ハンドル14とキャップ20の内周面25との摩擦力が小さくなるため、軽い力でも軸体13をキャップ20から引き抜くことができる。
【0090】
さらに、溝部260が、底面261と一対の側壁面262とで区画される場合(
図8参照)、溝部260の底面261は、キャップ20の長尺方向に対して平坦な面であってもよい(
図9参照)。溝部260の幅(キャップ20の長尺方向と交差する方向における幅、例えば、一対の側壁面262の間の距離)は、この長尺方向におけるいずれの部位においても均一であってもよい(
図7参照)。尚、溝部260の幅は、ハンドル14の幅と略同じ、或いは、ハンドル14の幅よりも広くてもよい。
【0091】
キャップ20の外周面27は、滑らかな曲面であってもよい。この場合、キャップ20の厚み(キャップ20の長尺方向と直交する方向における厚み寸法)は不均一となっていてもよい。具体的に、キャップ20の溝部260を含む部分の厚みT1は、キャップ20の他の部分(例えば、キャップ20における溝部260以外の領域を含む部分)の厚みT2よりも薄くてもよい(
図8、
図9参照)。
【0092】
具体的に、キャップ20の空間区画領域26の内径R1(キャップ20の中心軸Cから内周面25までの最短距離)は、キャップ20の他の部分(例えば、キャップ20における内周面25のうち空間区画領域26以外の領域を含む部分)の内径R2よりも大きい(
図9参照)。
【0093】
尚、空間区画領域26は、キャップ20の内周面25に設けられた溝部260以外にも、キャップ20に設けられた貫通孔(キャップ20の径方向における内側から外側に貫通した貫通孔)を区画する部位(キャップ20における貫通孔を規定する壁面(貫通孔を囲む内周面、キャップ20の厚み方向に延びる面、側壁部252がキャップ20の外周面27まで延びた面))であってもよい。また、空間区画領域26は、切り欠かれた空間(
図8における底面261を除いた切り欠かれた空間)を区画する部位(切り欠かれた空間を規定する壁面、側壁部252がキャップ20の外周面27まで延びた面)であってもよい。また、空間区画領域26は、軸体13がキャップ20(収納部)に挿入された状態におけるキャップ20のハンドル14(軸体13がキャップ20(収納部)に挿入された状態におけるハンドル14)に対向する部位のうちの少なくとも一部に配置されていればよく、例えば、キャップ20のこのハンドル14に対向する部位の全部であってもよい。
【0094】
また、キャップ20は、被当接部位21(例えば、第一被当接面221や第二被当接面222)を有していればよく、スリット23を有していなくてもよい(
図7参照)。
【0095】
キャップ20の開口側に位置する端面28は、キャップ20の長尺方向において主開口部22と並ぶように配置され、且つ、この長尺方向において凹んだ(切り欠かれた)凹み部位280を有していてもよい。凹み部位280は、キャップ20(収納部)に軸体13が挿入されるときの位置合わせの目印として使用可能である。尚、キャップ20の端面28には、凹み部位280が設けられていなくてもよい。
【0096】
キャップ20の外周面27は、キャップ20の空間区画領域26において他の部分と比べて突出していてもよい。この場合、キャップ20の厚みはいずれの部分においても略均一としてもよい。また、キャップ20の溝部260の底面261は、キャップ20の長尺方向に対して傾斜した面であったり、湾曲した面であったりしてもよい。例えば、底面261は、キャップ20の開口側の部位(
図9における上側)ほど外側(径方向における外側)に位置すると共にキャップ20の開口側と反対側の部位(
図9における下側)ほど内側(径方向における内側)に位置する傾斜面であってもよい。
【0097】
上記実施形態の鋏1は、円柱形状であったが、直方体形状や他の長尺状など別の形状であってもよい。また、上記実施形態の方向転換部134はローラーであったが、例えば、円柱状の部材等のハンドル14の延びる方向を転換可能な部材であってもよい。