(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重合体のカテーテルシャフトの前記外部表面と前記くびれ部の前記内部表面の間の熱による結合は、前記バルーンの熱可塑性エラストマと前記重合体のカテーテルシャフトの重合体材料を含む境界面を形成する、請求項11に記載のカテーテル。
【背景技術】
【0002】
医療用バルーンは、様々な治療を施すことに使用されることが可能である。例えば、血管形成術治療では、バルーンは狭窄した身体の血管(冠状動脈等)を拡張するために使用されることが可能である。バルーンは又、閉塞した血管を補強又は再開通するために体内に配置されるステント等の管状部材を、送達することに使用されることが可能である。
【0003】
血管形成術において、バルーンを収縮させて、血流が制限される程度までに狭窄した血管領域に送達することによって、バルーンは身体の血管の狭窄すなわち狭まりを治療することに使用され得る。配置されたガイドワイヤ上にカテーテルを通し、カテーテルを標的サイトまで前進させることで、バルーンは標的サイトまで送達される。いくつかの場合では、サイトまでの経路は、むしろ湾曲及び狭窄した状態の少なくとも一方であることがある。サイトに到達すると、例えばバルーンの内部に流体を注入することによってバルーンは拡張される。バルーンを拡張させることは、狭窄を放射方向に拡張させることで、血管が血流量の増加を許容することを可能にする。使用後、バルーンは収縮され、撤去される。
【0004】
ステント送達中に、ステントはバルーン上に折り畳まれ、標的サイトまで輸送される。サイトに到達するとバルーンは拡張して変形し、所定の位置に、例えば血管壁に接触して、ステントを固定することが可能である。次にバルーンは収縮され撤去されてよい。
【0005】
医療装置バルーンは、ポリマのシリンダ状の管を押し出して、加熱しながら加圧し、バルーンの形状に管を拡張させることで製造することが可能である。バルーンは、バルーンカテーテルを形成するために中空のカテーテルシャフトの外部の周りに固定することが可能である。バルーンの中空の内部は、シャフトの中空の内部と流体連通される。シャフトは、バルーンを膨張させるために流体供給を、又はバルーンを収縮させるために真空を提供することに使用されてよい。
【発明の概要】
【0006】
本開示は医療装置のための設計、材料、製造方法、及び使用形態を提供する。カテーテルが開示される。カテーテルは、カテーテルシャフトと、バルーンであって、円錐部、くびれ部、及び本体部を備えるバルーンと、バルーンの少なくとも一部に沿って配置される繊維編組と、を備え、くびれ部の内部表面はカテーテルシャフトの外部表面に熱により結合され、繊維編組の内部表面はくびれ部の外部表面に接着により結合される。
【0007】
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、繊維編組及びバルーンの外部表面の間に配置された第一熱可塑性ポリウレタン被覆を更に含む。
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、繊維編組の外部表面に沿って配置された第二熱可塑性ポリウレタン被覆を更に含む。
【0008】
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、繊維編組は超高分子量ポリエチレンを含む。
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、バルーンはポリ(エーテルブロックアミド)で形成される。
【0009】
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、バルーンはポリ(エーテルブロックアミド)で形成された内部層及びポリアミドで形成された外部層を含む。
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、カテーテルシャフトはポリアミドを含む。
【0010】
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、繊維編組は、熱硬化性接着剤によってバルーンのくびれ部の外部表面に接着により結合される。
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、熱硬化接着剤は湿気硬化材料、UV硬化材料、又はそれらの組合せを含む。
【0011】
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、カテーテルシャフトはデュアル内腔カテーテルシャフトである。
カテーテルが開示されている。前記カテーテルは、重合体のカテーテルシャフトと、バルーンであって、円錐部、くびれ部、及び本体部を備え、熱可塑性エラストマを含むバルーンと、前記バルーンに沿って配置され、分子配向された高分子量ポリマを含む繊維編組と、を含み、前記くびれ部の内部表面は、第一方法を使用して前記重合体のカテーテルシャフトの外部表面に結合され、前記繊維編組の内部表面は、第一方法とは異なる第二方法によって前記くびれ部の外部表面に結合され、前記繊維編組の分子配向された高分子量ポリマの分子配向を保護する。
【0012】
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、繊維編組の内部表面はくびれ部の外部表面に接着により結合している。
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、重合体のカテーテルシャフトの外部表面はくびれ部の内部表面に熱結合されている。
【0013】
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、重合体のカテーテルシャフトの外部表面とくびれ部の内部表面の間の熱結合は、バルーンの熱可塑性エラストマと重合体のカテーテルシャフトの重合体材料を含む境界面を形成する。
【0014】
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、バルーンの熱可塑性エラストマ及び重合体のカテーテルシャフトのポリマは共通のモノマを有する。
カテーテルアセンブリを製造する方法は開示されている。前記方法は、
バルーンであって、円錐部、くびれ部、及び本体部を備えるバルーンの周りに繊維編組を配置することであって、前記繊維編組がくびれ部に関して所定の点で遠位方向に終結するよう配置することと、
カテーテルシャフト上にバルーンを配置することと、
くびれ部の内部表面を
カテーテルシャフトの外部表面に熱結合させるために、くびれ部の少なくとも一つの部分に熱を加えることと、
繊維編組の遠位部の内部表面をくびれ部の外部表面に接着により結合させることと、を含む方法。
【0015】
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、くびれ部を所定の長さにトリミングすることを更に含む。
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、粘着はくびれ部のトリミングの後に適用される。
【0016】
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、繊維編組の第一部分はくびれ部によって支持されており、繊維編組の第二部分はくびれ部を超えて遠位方向に延び、第二部分がくびれ部に支持されないようにし、少なくとも繊維編組の第二部分及び繊維編組の第一部分の領域を近位方向に格納することを更に含み、粘着を適用する前に少なくともいくつかのくびれ部を露出させ、粘着を適用した後に繊維編組の第二部分を遠位方向に移動させ、粘着を硬化させる。
【0017】
上記のあらゆる実施形態に代替的に又は追加的に、バルーンをカテーテルシャフト上に配置することは、カテーテルシャフトのくびれ部を溶接することと、繊維編組をバルーン及びカテーテルシャフトを超えて編組することと、所定の位置で繊維編組をトリミングすることと、くびれ部に、又は所定の位置でくびれ部において繊維編組の内部表面に、又は両方に、粘着を適用することと、を含む。
【0018】
いくつかの実施形態の上記の要約は、本開示の各開示された実施形態又は全ての実施形態を記載する意図ではない。以下の図面、詳細な説明はこれらの実施形態をより詳細に例示する。
【0019】
本開示は、添付の図面と関連する以下の詳細な説明を考慮して、より完全に理解される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、様々な変更形態と代替形態とが可能であるが、それらのうちの特別なものが、図面に例示することを目的として示され、かつ、詳細に説明されている。しかしながら、これは、本開示を説明した特定の実施形態に限定することを意図していると理解してはならない。逆に、本開示の主旨および範囲内に入るすべての変更形態と均等形態と代替形態とを包含させることを意図している。
【0022】
以下の用語については、請求項または本明細書において異なる定義が与えられない限り以下の定義が適用されるものとする。
すべての数値は、明示の記載の有無にかかわらず、「約」という用語で修飾されると想定されている。「約」という用語は、一般的に当業者が、記載された数値に等しい、つまり、同じ機能または結果を奏する、と考える数値範囲を示す。多くの場合、「約」には、最も近い有効数字に四捨五入される複数の数値が含まれる。
【0023】
数値範囲を終点で記載されている場合には、その範囲に入る全ての数値が含まれる。例えば、1から5には、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5が含まれる。
本明細書および添付の請求の範囲で使用する単数形の「a」、「an」、「the」には、反対のことが明記されていない限り複数の指示対象が含まれる。本明細書および添付の請求の範囲で使用する「or(又は)」は、反対のことが明記されていない限り「and/or(及び・又は)」を含む意味で使用する。
【0024】
本明細書において、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「その他の実施形態」等にかかる記載は、記載されている実施形態が、一つ以上の特定の要素、構造、および特性のうちの少なくともいずれか一つを備えることを意味する。しかしながら、このような記載は、すべての実施形態が、特定の要素、構造、および特性のうちの少なくともいずれか一つを備えることを必ずしも意味しない。加えて、特定の要素、構造、および特性のうちの少なくともいずれか一つがある実施形態と関連付けて記載されている場合でも、それらの要素、構造、および特性のうちの少なくともいずれか一つは、明記されているか否かにかかわらず、反対のことが明示されていない場合には、他の実施形態と組み合わせて使用することが可能である。
【0025】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれたい。異なる図面の類似する構造には同一の番号が付されている。図面は、必ずしも縮尺通りではないが、例示的実施形態を示すものであり、本願発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0026】
ここで使用される用語「近位」及び「遠位」は、外科医等の使用者に最も近い及び使用者から最も遠いことをそれぞれ指す。
図1に模範的なバルーンカテーテル11の側面図を示す。バルーンカテーテル11は、膨張可能な医療用バルーン10を備え、前記バルーンは、その上に配置されて、かつ、カテーテルシャフト30の遠位端に搭載される繊維編組20を有する。カテーテルシャフト30は、カテーテルシャフト30の近位端のマニフォールドアセンブリ40から延びる。バルーン10は、本体部12、近位円錐部14a、遠位円錐部14b、近位くびれ部16a、遠位くびれ部16bを有することが示されている。バルーン10は、近位及び遠位くびれ部16a及び16bでそれぞれカテーテルシャフト30に固定されてよい。
【0027】
図1に示されるバルーンカテーテル11において、カテーテルシャフト30は、
図3の断面図に示されるように、ガイドワイヤ(図示されていない)のためのガイドワイヤ内腔32及びバルーン10の膨張のための膨張内腔34を有するデュアル内腔カテーテルシャフト30として示される。代替的に、カテーテルシャフト30は、ガイドワイヤ内腔32を画定する内部管状部材及び内部管状部材の周りに延びる外部管状部材を有してよい。これらの場合、膨張内腔34は内部管状部材と外部管状部材との間に画定される。このような場合、近位くびれ部16aは外部管状部材の遠位端領域に固定され、遠位くびれ部16bは内部管状部材の遠位端領域に固定されてよい。他のカテーテルシャフトも考えられる。
【0028】
バルーン10は、例えば、任意に長手方向に伸長した管状パリソンの放射方向への拡張によって予め形成される。押し出されたパリソンは、モールド内で又はフリーブローイングによって放射状に延伸されてよい。代替的に、パリソンは拡張前に長手方向に予め延伸されてよく、又は放射方向の拡張に先立って、バルーンの円錐及びくびれ領域の厚さを減少させるために様々な方法で再形成されてよい。ブローイング過程では張力がかかった状態において、加圧を利用してよく、それに続いて、加熱した流体内への素早い浸漬、圧力を変えての連続的な浸漬、材料が加熱された後に、圧縮可能な又は圧縮不可能な流体でのパルス状加圧が行われる。加熱はまた、パリソン内に注入された加圧流体を加熱することによって成し遂げられてよい。バルーン10は、約4mmから約26mmまでの大きさであってよい。
【0029】
バルーン10は、柔軟な、半柔軟な、及び非柔軟なバルーン材料を含む典型的なバルーン材料から形成されてよい。これらの材料は熱可塑性ポリマ、エラストマ、及び非エラストマを含んでよい。そのような材料は、低密度、線状低密度、中密度、及び高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、及びそれらのコポリマ及びターポリマ、ポリウレタン、ポリエステル及び共ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びPES(ポリエーテルスルフォン)、及びそれらのコポリマ及びターポリマを含んでよい。物理的なブレンド及びそれらの材料のコポリマもまた使用されてよい。ポリエステルの例には、これらに限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、及びそれらのコポリマを含む。使用できるポリアミドの例には、ナイロン6、ナイロン64、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン9、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12及びこれらの混合物が含まれる。適切なポリウレタンの例には、これらに限定されないが、ThermedicsのTecothane(登録商標)の商品名で入手可能な芳香族ポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタン(TPUs)、Dow Chemical Co.からのPellethane(登録商標)2363−75D等のPellethane(登録商標)の商品名で入手可能な熱可塑性ポリウレタンエラストマ、Dow Chemical Co.から入手可能なIsoplast(登録商標)301及び302等のIsoplast(登録商標)の商品名で入手可能な高強度エンジニアリング熱可塑性ポリウレタンを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、バルーン10はポリ(エーテルブロックアミド)コポリマから形成されてよい。ポリアミド/ポリエーテルブロックコポリマは頭文字PEBA(ポリエーテルブロックアミド)により通常、特定される。これらのブロックコポリマのポリアミド及びポリエーテルセグメントはアミド結合を介して結合され、又はエステル結合セグメントポリマ(例えば、ポリアミド/ポリエーテルポリエステル)であってよい。そのようなポリアミド/ポリエーテル/ポリエステルブロックコポリマは、ジカルボン酸ポリアミドとポリエーテルジオールとの溶融状態の重縮合反応によって構成される。その結果、ポリアミドとポリエーテルのブロックから構成される短鎖のポリエステルが得られる。このタイプのポリマは、ArkemaからPebax(登録商標)の商品名で商業的に入手可能である。特定の例は、硬度60以上であり、Shore Dスケールである、例えば、Pebax(登録商標)6333、7033および7233である「33」シリーズポリマである。これらのポリマは、ナイロン12セグメント及びエステル基によって連結されたポリ(テトラメチレンエーテル)セグメントから構成される。
【0031】
ポリエステル/ポリエーテルセグメント化ブロックコポリマもまたここで使用されてよい。そのようなポリマは、少なくとも2つのポリエステルおよび少なくとも2つのポリエーテルセグメントから構成される。ポリエーテルセグメントは、本発明において有用なポリアミド/ポリエーテルブロックコポリマについて先に記載したものと同様である。ポリエステルセグメントは、芳香族ジカルボン酸と2〜4個の炭素ジオールとのポリエステルである。
【0032】
いくつかの実施形態では、ポリエステル/ポリエーテルセグメント化ブロックコポリマのポリエーテルセグメントは、エーテル結合間に2個以上かつ10個以下の直鎖飽和脂肪族炭素原子を有する脂肪族ポリエーテルである。エーテルセグメントは、エーテル結合の間に4〜6個の炭素を有することができ、ポリ(テトラメチレンエーテル)セグメントであり得る。テトラメチレンエーテルセグメントの代わりに代替的に又は追加的に使用できる他のポリエーテルの例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(ペンタメチレンエーテル)およびポリ(ヘキサメチレンエーテル)が含まれる。ポリエーテルの炭化水素部分は、任意に分岐していてよい。一例は、2−エチルヘキサンジオールのポリエーテルである。一般に、そのような分枝は2個以下の炭素原子を含む。ポリエーテルセグメントの分子量は、適切には約400〜2,500、例えば650〜1000である。
【0033】
いくつかの実施形態では、ポリエステル/ポリエーテルセグメント化ブロックコポリマのポリエステルセグメントは、芳香族ジカルボン酸と2〜4個の炭素のジオールのポリエステルである。ポリエステル/ポリエーテルブロックコポリマのポリエステルセグメントを準備するために使用される適切なジカルボン酸は、オルト−、メタ−、又はパラ−フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、又はメタ−ターフェニル−4,4’−ジカルボン酸である。ポリエステル/ポリエーテルブロックコポリマの特定の例は、DSM Engineering Plasticsによって販売されているArnitel(登録商標)EM740等のポリ(ブチレンテレフタレート)−ブロックポリ(テトラメチレンオキシド)ポリマ及びHytrel(登録商標)8230等のDuPontによって販売されているHytrel(登録商標)ポリマが挙げられる。
【0034】
上記のリストは例示的な目的のみを意図しており、本開示の限定としてではない。本開示の範囲から逸脱することなく、他のポリマを選択することは、当業者の理解の範囲内である。
【0035】
バルーン10は、相対的に高い圧力まで膨張されることが可能である。例えば、バルーン10は、約20気圧まで又はそれ以上、又は約25気圧まで又はそれ以上、又は約30気圧まで又はそれ以上、又は約40気圧まで又はそれ以上、又は約45気圧まで又はそれ以上、又は約50気圧まで又はそれ以上、または約20−50気圧、又は約25−40気圧、又は約30−50気圧である。このような高い圧力では、近位くびれ部16aとカテーテルシャフト30の間の結合(並びに遠位くびれ部16bとカテーテルシャフト30との間の結合)が維持される。更に、繊維編組20とバルーン10との間の結合もまた、これらの高い圧力で維持される。
【0036】
いくつかの実施形態では、バルーン10は、柔軟な材料から形成される。いくつかの実施形態では、バルーン10は、ブロックコポリマーエラストマ等のエラストマから形成される。ブロックコポリマーエラストマは、ポリ(エーテルブロックアミド)コポリマであってよい。バルーンはまた、例えば第1のポリマ材料で形成された内側層と、第1のポリマ材料とは異なる第2のポリマ材料から形成された外側層とからなる層で形成されることも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、内側層は、エラストマーポリマ材料、例えばブロックコポリマーエラストマから形成されてもよく、外側層は、非エラストマーポリマ材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、内層はポリ(エーテルブロックアミド)コポリマで形成され、外層はポリアミドで形成される。
【0037】
繊維編組20は、適切なポリマ材料から形成することができる。適切な繊維編組材料の一般的なクラスには、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、液晶ポリマ、ポリイミド、及びそれらの混合物が含まれる。より具体的な例としては、これらに限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等のポリエステルが挙げられる。ポリアミドには、ナイロンおよびケブラ(Kevlar)(登録商標)等のアラミドが含まれる。液晶ポリマには、Vectran(登録商標)が含まれる。ポリオレフィンには、オランダのDSM Dyneema BVm Heerlenによって販売されているDyneema(登録商標)、Honeywellによって販売されているSpectra(登録商標)繊維等の超高分子量ポリエチレン、及び超高密度ポリエチレン、及びポリプロピレン繊維が含まれる。いくつかの場合ではエラストマ繊維が使用されることが可能である。
【0038】
いくつかの実施形態では、繊維編組20は、超高分子量ポリエチレン(UHMPE)を含む。商業的に入手可能なUHMPEとしては、これらに限定されないが、オランダのDSM Dyneema BVm Heerlenから入手可能なDyneema(登録商標)繊維、Morristown oneywellから入手可能なSpectra(登録商標)繊維、及び中国上海のPegasus Materialsから入手可能なPegasus UHMWPE繊維が挙げられる。UHMWPE繊維は、小さなフィラメントサイズで優れた強度及び弾性率を提供し、優れたバルーンカバレッジと最小プロファイルを維持する。しかし、溶解されると、繊維はそれらの高分子配向及び連続性を失い、熱結合接触面でバルーン10の近位くびれ部16a及び遠位くびれ部16bの少なくとも一方で結合張力強度もまた失う可能性がある。追加的に、バルーンの外部表面と編組の間、編組の外部表面上、又は両方に、バルーンに被覆が任意に適用されてよい。いくつかの実施形態では、被覆は熱可塑性エラストマを含む。他の場合では、被覆は熱可塑性ポリウレタンを含む。いくつかの場合では、熱可塑性ポリウレタンの被覆は編組に先立って、適切な技術(例えば、浸漬被覆、噴霧被覆、ローリング、又は同様の)を使用してバルーン10に適用されてよく、編組の後にバルーン/編組にもまた適用されてよい。
【0039】
カテーテルシャフト30は、あらゆる適切なシャフト材料から形成されてよい。例えば、しかしこれらに限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、DuPont社から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル−エステル(例えば、DSM Engineering Plastics社から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステルをベースとする共重合体(例えば、Dupont社から入手可能なHYTREL(登録商標)等のブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及びその他のポリエステルエラストーマの少なくとも一つ)、ポリアミド(例えば、Bayer社から入手可能なDURETHAN(登録商標)またはElf Atochem社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商標名PEBAX(登録商標)で入手可能)、エチレンビニルアセテート共重合体(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE),マーレックス高密度ポリエチレン、マーレックス低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン−12(例えば、EMS American Grilon社から入手可能なGRILAMID(登録商標)等)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリビニリデンクロライド(PVdC)、ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)(例えば、SIBSやSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマ、生体適合性ポリマ、その他の好適な材料、または混合物、組み合わせ、それらのコポリマ、ポリマ/金属混合物、等が含まれる。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマ(LCP)と混合されることが可能である。例えば、シャフト材料混合物は、最大約6パーセントのLCPを含有することが可能である。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト30は、EMS−Grivoryから商業的に入手可能なGrilamid(登録商標)等のポリアミドから形成される。
【0040】
一例では、近位および遠位のくびれ部16a、16bの少なくとも一方の内面は、繊維編組20の近位及び遠位くびれ部16a、16bへの結合に先立って、カテーテルシャフト30の遠位部分の外面に熱により結合される。本明細書で使用される熱による結合とは、熱、レーザ、溶接またはそれらの何らかの組み合わせを適用して、材料またはその一部を溶融させ、材料界面における材料の混合または結合を得ることをいう。繊維編組20の内面は、次に、近位及び遠位くびれ部16a、16bの外面に接着により結合される。
【0041】
近位及び遠位くびれ部16a、16bに繊維編組20を結合するため、好適な接着剤を使用することができ、これに限定されないが、例えば、化学反応又は照射のいずれかによって適切に硬化する熱硬化接着剤を含む。適切な熱硬化性接着剤の特定の例には、湿気硬化および紫外線(UV)照射硬化、電子線硬化等の放射線硬化が含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤は熱硬化性シアノアクリレート接着剤である。特定の例は、Henkel Adhesivesから入手可能なLoctite 4011である。
【0042】
図2は、カテーテルシャフト30の遠位部に配置されたバルーン10の部分断面図であり、ここでは、繊維編組20の内面は、近位くびれ部16aの外面に接着により結合され、近位くびれ部16aは、カテーテルシャフト30の遠位部分の外面に熱により結合される。これは、
図2の3−3部分で破断した
図3の断面図にも示される。近位くびれ部16aの外面と繊維編組20の内面との間に接着剤50を配置してよい。近位くびれ部16aは、例えば
図2及び
図3に熱結合領域51として概略的に示されている熱結合等の別のタイプの結合によってカテーテルシャフト30に固定されてよい。上述のように、被覆(図示されていない)を繊維編組20の外側に沿って配置してよい。
【0043】
図4〜
図10は、バルーンカテーテル11及び他のバルーンカテーテルの少なくとも一方の製造方法の一例を示す。
図4は、繊維編組20の適用前であってカテーテルシャフト30上に配置される前の近位円錐部14a及び近位くびれ部16aを有するバルーン10の一部の側面図である。
図5は、近位円錐部14a及び近位くびれ部16aを有するバルーン10の、バルーン10上への繊維編組20の適用後の側面図である。この実施形態では、繊維編組20は、バルーン10の近位くびれ部16aを越えて延び、バルーン10によって支持されていない繊維編組20の部分22をもたらす。この場合、バルーン10の近位くびれ部16aが示され、繊維編組20の非支持部分22が、近位くびれ部16aの近位端を越えて近位方向に延びることが示される。マンドレル62(
図5には示されていないが、
図6に示されている)は、繊維編組20の非支持部分22に隣接して、又はそうでなければ下方に配置されてよい。繊維編組20の支持されていない部分22は、
図6に示されるように所望の長さにトリミングされてよい。
【0044】
繊維編組20の一時的な非支持部分22(及び近位くびれ部16aによって支持されている繊維編組20の部分)は、引き戻され、押し戻され、そうでなければ巻き戻されて近位くびれ部16aの一部を露出させ、近位くびれ部16aのバルーンの、
図7に示されるカテーテルシャフト30への熱による結合を可能にする。この例では、マンドレル62を取り外し、カテーテルシャフト30は近位くびれ部16a内に配置される。近位くびれ部16aをカテーテルシャフト30に熱的に結合するために熱を加えることができる。熱結合の後、
図8に示されるように、次に露出した近位くびれ部16aに接着剤50が適用される。次に、
図9に示されるように、繊維編組20(部分22を含む)が近位くびれ部16aを覆うように近位方向に移動され、繊維編組20が近位くびれ部16aに接着剤を介して結合される(そして近位くびれ部16aはカテーテルシャフト30に熱的に結合される)。いくつかの例では、繊維編組20(例えば、繊維編組20の非支持部分22)が所望の長さにトリミングされ、
図10に示されるように近位結合部位に接着剤35のフィレット適用を適用することができる。
【0045】
本方法は、引張および破裂圧力データ等のバルーン10のいくつかの特性に悪影響を及ぼし得る熱の適用を回避することによって、繊維編組20の分子配向を維持する。
少なくともいくつかの例では、バルーンカテーテル11は、適切なプロセスを用いて形成され得る。例えば、カテーテルシャフト30は、Grilamid(登録商標)から形成されたデュアル内腔シャフトを有する内側および外側カテーテルシャフトアセンブリを結合することによって形成され得る。直径8mmのPebax(登録商標)7033で形成されたバルーンパリソン(管状部材)を延伸し、バルーン型に入れ、半径方向拡張によって形成され得る。管は、代替的に4mm又は12mmの直径を有してよい。パリソンは3.0のチューブ延伸倍率で延伸されてよい。未加工チューブの内径(ID)は0.0551であり、外径(OD)は0.0708であった。延伸されたチューブは、0.056”のIDおよび0.059”のODを有し得る。バルーン10を形成するためにマンドレルが設置され、バルーンパリソンは約9.0×10
4Pa(13psi)まで膨らませられてよい。バルーン10を酸素でプラズマ処理し、50%トルエン/50%テトラヒドロフランの共溶媒混合物中において2.5%固形分のLubrizol SG 60D熱可塑性ポリウレタンで浸漬被覆してもよい。プラズマ処理は、流速0.169Pa・m
3/sec(100sccm)、ベース圧力約13.3Pa(100mtorr)、250ワット、90秒間×4サイクルで、ノードソン−マーチプラズマチャンバで行うことができる。被覆の厚さは、約4μmであってよい。浸漬プロセスは、100mLのメスシリンダー中で、2秒の保持時間を伴う約1.3メートル(50インチ)/分のディップダウン速度およびアップ速度を有する各サイクルの間において、10分間で所望の厚さを達成するために、4回の反復サイクルを要することがある。次いで、バルーン10を超高分子量高配向ポリエチレン(UHMWPE)繊維編組20で編組し、さらにプラズマ処理し、2.5%固形分のLubrizol SG 60D TPUを含む50:50のトルエン:THF溶媒中で編組バルーンを浸漬被覆し、厚さ4μmにする。近位及び遠位くびれ部16a、16bは、トリミングされてよく、バルーン10は、カテーテルシャフト30の内側および外側シャフトアセンブリ上に設置されてよい。近位及び遠位くびれ部16a、16bに位置する繊維編組20の部分は、近位及び遠位くびれ部16a、16bをカテーテルシャフト30の内側/外側シャフトに熱結合させるのに十分なだけ、各くびれから遠位に移動されてよい。この時点で、遠位先端を任意に設置することができ、繊維編組20は近位及び遠位くびれ部16a、16bを超えて戻されてよく(例えば、近位くびれ部16aおよび遠位くびれ部16b、及びカテーテルシャフト30の間に熱結合が存在する場合)、バルーン10の近位及び遠位くびれ部16a、16bに接着により結合される。
【0046】
図11から
図21は、本明細書に開示された他のバルーンカテーテル111と形態及び機能が類似しているバルーンカテーテル111の別の例を製造する、代替の例示的な方法を示す。このプロセスは、バルーン110の近位くびれ部116aに隣接して配置され得る、取外し可能なマンドレル62を利用し得る。マンドレル62およびバルーンカテーテル111は、くびれトリミングのために
図11に概略的に示されるバルーンホルダ60内に配置され得る。少なくともいくつかの例では、マンドレル62は、くびれ部切断アセンブリがカテーテルシャフト130(
図11には示されていない、
図13に示される)を傷つけることを防ぐために、近位くびれ部116aに隣接して配置され得るフレア状の端部を有する。
図12は、近位くびれ部116aに隣接するマンドレル62のフレア端部の図である。フレア状の端部は、マンドレル62と一体的に形成されてもよく、又はワッシャ又は類似の構造がその上に配置されてもよい。
【0047】
次に、
図13に示されるように、切断部材を使用して、マンドレル62で近位くびれ部116aを繊維編組120からトリミングしてよい。その後、バルーンカテーテル111はバルーンホルダ60から取り外される。バルーンプロテクタ80は、
図14および
図15に示されるように、カテーテルシャフト130の近位端の上および近位くびれ部116aの上を通って、遠位方向にスライドされてよい。
【0048】
接着剤150は、近位くびれ部116aの近位部に適用されてよい。マンドレル62のフレア部分は、繊維編組120が近位くびれ部116aの近位部で終結する箇所であって、僅かにフレア状である端部を有する繊維編組120をもたらし、また
図16に示されるように、接着剤が未露出の近位くびれ部116aの上において繊維編組120の下に浸透することを可能にする。次いで、バルーンプロテクタ80は、
図17および
図18に示されるように、近位くびれ部116a及びカテーテルシャフト130を超えて近位方向にスライドされ、過剰な接着剤150を搾り出す。接着剤150は、上述の熱硬化性接着剤であってよい。いくつかの場合では、接着剤は紫外線(UV)硬化接着剤である。この実施形態では、バルーンプロテクタ80は、透明なテフロン材料(登録商標)のように、UV放射に対して通過可能であるように選択され、適所においてバルーンプロテクタ80で接着剤150を硬化させることができる。バルーンプロテクタ80は、
図19に示すように取り外され得る。硬化した接着剤は、近位くびれ部116a上の繊維編組120の近位端に段差152を残してよい。
図20に示されるように、接着剤のフィレット154を適用して、段差152を平滑化し、繊維編組120の近位端にわたって平滑化し得る。粘着フィレット154もまたUV硬化されることができる。
【0049】
図21は、バルーンカテーテル111の遠位端の側面図であり、バルーン110のカテーテルシャフト130、粘着フィレット154、近位くびれ部116b、及び近位円錐部114bを示している。アセンブリはガイドワイヤ90上に配置されて示されている。これは取り外し可能なマンドレル又は他の管状部材であってよい。
【0050】
本開示は、多くの点で例示的なものに過ぎないことを理解されたい。特に、開示の範囲を逸脱することなく、形状、サイズ、および手順の配置の態様について、変更が詳細になされ得る。これは、それが適切である限り、他の実施形態で使用される一つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含んでよい。本発明の範囲は、言うまでもなく、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。