(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入力操作端末は、会計事務所内のローカルの端末または遠隔地の端末または仮想端末であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の会計事務所向けの入力システム。
前記公開準備手段が前記公開用フォルダに必要なファイルを格納した段階で、前記入力操作端末毎に前記公開用フォルダへのアクセス先、および/または前記仕訳データまたは入力された仕訳データを元に作成された財務諸表や決算資料を含む会計資料から作成した申告データの作成に用いるアプリケーションの入手先情報を通知する手段を含むことを特徴とする請求項6に記載の会計事務所向けの入力システム。
前記公開用フォルダを公開する手段は、前記公開用フォルダの顧問先情報を秘匿にした状態で公開することを特徴とする請求項6または7に記載の会計事務所向けの入力システム。
前記入力操作端末の制御手段は、前記会計ファイル又は前記申告ファイルに対する作業履歴を記録し、前記会計ファイルまたは申告ファイルとともに前記作業履歴を前記サーバー装置に送る手段を含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の会計事務所向けの入力システム。
前記入力操作端末からの入力により、前記入力システムに前記仕訳データ又は入力された仕訳データを元に作成された財務諸表や決算資料を含む会計資料から作成した申告データが登録された時、
前記入力操作端末の制御手段は、前記入力操作端末の記憶手段へ一時的に保存されていた前記サーバー装置に登録されたデータを消去する手段を含むことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の会計事務所向けの入力システム。
前記サーバー装置内で前記レシート画像と電子帳表を関連付けて管理する手段は、前記レシート画像または前記電子帳表を参照表示させる場合に、関連付けの有無および/または関連付けされた書類の種類により表示画面上に異なるアイコンをともに表示することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の会計事務所向けの入力システム。
前記サーバー装置内で前記レシート画像と電子帳表を関連付けて管理する手段は、前記アイコンの実行操作があった場合に、参照表示しているレシート画像または電子帳表に関連付けられたレシート画像または電子帳表を特定のルールに基づいて表示することを特徴とする請求項11に記載の会計事務所向けの入力システム。
前記サーバー装置内で前記レシート画像と電子帳表を関連付けて管理する手段は、前記参照表示しているレシート画像または電子帳表に関連付けられたレシート画像または電子帳表を表示した場合に、いずれかのレシート画像または電子帳表との関連付けまたは関連付けの表示を解除する指示を受け付けることを特徴とする請求項12に記載の会計事務所向けの入力システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの文書管理や会計入力に関する技術は、既に存在しており、これらの技術を組み合わせてPCで一定レベルの業務はできる様になっている。
【0005】
しかし、会計処理の元となる原始証憑類と会計処理時の根拠となる契約書類等の関係資料の管理は、原始証憑を参照しながら会計入力を行うために会計ファイルと関連付けられ、関係書類は会計監査で使用するため、顧問先の会社情報と関連付けられ、別々に管理されている。
【0006】
会計事務所では、顧問先から受け取った原始証憑を基に会計処理を行うので、原始証憑から取引の情報を読取り、仕訳入力をすることが可能である。 特許文献1のような会計処理システムを利用する場合、画像化した原始証憑を見ながら仕訳を行い、仕訳データと原始証憑の画像データを紐付け管理することが出来るので、仕訳と原始証憑の関係を把握することができる。
【0007】
特許文献1の様な会計システムを利用する場合、仕訳データの作成、仕訳データと原始証憑の関係を管理把握することは出来るが、原始証憑の発生する根拠となった取引を特定することは会計事務所では困難である。
【0008】
例えば、自動車リースに関する支払の領収書から仕訳を起こして、仕訳データと画像化した領収書を関連付けして管理することは出来るが、その領収書の発生した根拠となるリース契約が、いつ契約したものに基づくのか、あるいはリース契約が複数ある場合に、どの契約に基づくものなのかなど、会計事務所では確認することはできない。
【0009】
そのため、会計事務所では顧問先から預かった 契約書類などの紙コピーや画像化した契約書を見て、支払が正しく行なわれているか等のチェック作業が行われる。
【0010】
顧問先から預かった 契約書類などの紙コピーや画像化した契約書などは、通常の会計処理を行うシステムとは別のファイリングシステムや紙の形態で管理されているため、契約書等と顧問先の関連性や、契約書等と顧問先の会計処理年度の関連性などの会計処理を切り口とした面では管理ができていない。
【0011】
また、会計事務所の業務に、顧問先企業の決算報告書を作成するというものがある。決算報告書では、役員報酬などの支払い額等を記載しなければならないため、会計事務所では顧問先から、約款等を預かり、規定に従った役員報酬となっているかなどの確認が行われる。そのため、特許文献1の様な会計システムを利用する場合は、仕訳データと支払った役員報酬の明細等を画像化し、関連付けして管理することは出来るが、約款の規程に従った支払になっているかまでは、約款の紙コピーや画像化した約款を見なければ確認ができない。
【0012】
このように、ある程度の数または規模の顧問先を抱える会計事務所では、顧問先ごと、あるいは顧問先の部署ごとに受け渡される原始証憑を元にした仕訳はできるもの、正しく支払が行なわれているかなどを確認する時には、その原始証憑の発生する根拠となった契約書類や約款などを都度、顧問先から提供を受けて、会計事務所でコピーを預かっている時は、該当書類を探し出すといった、工数が多く発生していた。
【0013】
また、特許文献2には、会計資料及び証憑書類に基づく会計監査、修正等を効率的に行うことで、会計処理サーバーはユーザが入力、作成した経理情報に基づいて会計処理及び、証憑書類に基づく会計監査等を効率的に行う技術が記載されている。
【0014】
しかし、特許文献2が示す技術では、確定申告(青色申告)では損失を3年間繰り越すことができることや(損失申告)、株式や投資信託の損失は3年間繰り越して、各年分の株式譲渡所得から控除することができるなど、各種の税制によって、過年度の仕訳に対して証憑書類の画像を再度修正入力で紐付けする必要があり、非常に手間がかかる問題点があった。
【0015】
また、特許文献2が示す技術では監査に用いられる資料として、仕訳日記帳、仕訳リスト、損益計算書、財務諸表、決算資料等の会計管理資料であり、契約書や預金通帳等のレシートや領収書以外の補完資料については、必要になった段階で書類や書類を電子化した画像データを用意して確認する必要があり、申告書や相続税等によって用意する補完資料も異なり、管理の手間がかかる問題点があった。
【0016】
また、特許文献3が示す技術では、会計事務所以外の場所、例えば顧問先や自宅で会計事務所からネットワーク経由で会計処理を行うことが記載されているが、顧問先で会計ファイルを作成して自分で勘定科目等の項目を入力してネットワーク経由でサーバーへ登録する必要があり、手間がかかる問題があった。
【0017】
また、特許文献2のように証憑書類を電子データ化して会計事務所で入力する場合には、特許文献3のように、顧問先で空(未入力)の会計ファイルを作成して、電子データ化した証憑書類と一緒にネットワーク経由でサーバーへ登録することも考えられるが、わざわざ空の会計ファイルを作成する必要があり、外出先での作業としては手間がかかる問題点があった。
【0018】
そこで本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、単に証憑書類を集めて参照入力するだけではなく、顧問先での帳簿付け、スキャナー等による証憑書類をイメージ化して取り込んだ画像データを、会計事務所の職員が参照しながら手入力したり、外部へ委託入力したりする会計事務所の業務態様に合わせて、証憑書類の画像データを単なる入力や委託用の基礎データとせず、会計ファイルとして帳簿化した時に該当する取引や業務に関する資料を関連付けして、その関連付けを積み重ねることで、会計処理後の検証や監査業務に資料を遡ることができる会計入力システムである。
【0019】
また、従来は管理文書や契約文書の管理を行う文書管理システムと原始証憑を画像データとして管理する画像管理システムは独立していたが、これらと会計入力を総合的に統一したシステムとすることで、会計入力する段階で文書管理と画像管理の利点を活用できる新たなシステムとなり、文書と画像のような異なる種類の資料を会計ファイルや申告データと関連付けすることで、会計入力時の参考となる資料の検索を行なうことで、資料の再利用ができる会計入力システムを提供することを目的とする。
【0020】
また、単なる証憑書類を画像化するのではなく、画像データに付加情報を設定することを可能にすることで、付加情報をキーワードとして検索処理することで、関連性のあるデータ同士を関連付けて、複数の観点での資料の再利用が可能となる会計入力システムを提供することを目的とする。
【0021】
また、原始証憑の発生する根拠となった書類(契約書、約款など)や会計処理や監査上必要となる不動産物件の写真や図面などを画像化し、顧問先単位や顧問先の会計処理年度単位といった分類にて関連付けすることで、会計処理後の検証や監査業務に資料を遡ることができる会計入力システムを提供することを目的とする。
【0022】
また、会計処理時における仕訳データの検証が必要になった場合に、原始証憑を画像化して仕訳データと関連付けした上で、さらに上述の画像化した書類や、写真、図面などを紐付けすることで、会計処理上の確認や検索が容易にできるようにした方法およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、会計事務所向けの入力システムであって、各顧問先の取引で発生したレシート等の証憑を読み取ってレシート画像としてサーバー装置に格納する手段と、
顧問先の業務で使用する書類を読み取って電子帳表として前記サーバー装置に格納する手段と、
前記サーバー装置内で前記レシート画像と前記電子帳表を関連づけて管理する手段と、
入力操作端末から、前記サーバー装置に格納されたレシート画像および当該レシート画像と関連付けられた電子帳表を参照しながら仕訳データを入力する参照入力手段とを備え、
仕訳入力を行なう場合には、前記サーバー装置が、
顧問先毎にレシート画像および当該レシート画像に関連付けられた電子帳表および会計ファイルに関連付けられた電子帳表を読み出して前記入力操作端末に提供して、
前記入力操作端末上で前記レシート画像および前記電子帳表を参照しながら入力、訂正できるようにし、
前記サーバー装置がさらに、入力された仕訳データと参照したレシート画像を関連付ける会計用の第一関連付け手段と、
入力された仕訳データと参照した電子帳表を関連付ける会計用の第二関連付け手段と、
入力時に参照したレシート画像と電子帳表を関連付ける会計用の第三関連付け手段と、
入力された仕訳データを元に、会計処理過程で作成された財務諸表や決算資料を含む会計資料を電子帳表として登録する際に、登録する電子帳表に対して、当該会計資料の元になる仕訳データおよび当該仕訳データに関連付けられたレシート画像及び当該レシート画像および前記仕訳データに関連付けられた電子帳表とを、さらに関連付ける会計用の第四関連付け手段とを具え、
その後の会計処理過程において、仕訳入力、決算処理などの会計業務の種類に応じて、当該会計業務に用いたアプリケーションまたはその作成データにそれぞれ関連付けられた仕訳データ、当該仕訳データに関連付けられたレシート画像、当該レシート画像に関連付けられた電子帳表を抽出できるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、会計入力時に参照した領収書やレシート等の証憑書類、契約書などの補完資料を会計データやファイルへ関連付けて登録することで、会計処理後の、検証や監査業務を効率よく出来るようになる。
【0025】
また、本発明は、決算書や申告書を作成して、電子帳表データとして登録するときに、決算書や申告書を作成する元となった会計ファイルを関連付け、さらに領収書やレシート等の証憑書類、契約書などの補完資料までも関連付けて登録することで、検証や監査業務を効率よく出来るようになる。
【0026】
また、本発明は会計入力時に参照した領収書やレシート等の証憑書類、契約書などの補完資料や会計ファイルを、会計業務の種類(仕訳入力、決算処理、申告処理等)の段階で行なわれる関連付けを積み重ねることにより、関連する資料を検索して資料を再利用して参照入力する業務が効率よく出来るようになる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[全体概要]
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる会計処理システムの全体概要を説明するための概略図である。顧問先の各種取引で発生する原始証憑類としては、レシート、領収書、通帳、クレジットカード明細などの原始証憑10(以下、「レシート等」と略す)と、契約書、保険証、不動産登記簿や商業登記簿などの謄本や抄本などの登記証明書、登記簿証明書に付随する土地や家屋の図面、不動産の写真、工事現場の写真、固定資産や製品および半製品等の各種資産の写真、あるいは、顧問先で作成した手書き等の帳簿(売上伝票、入金伝票、出金伝票)、その他、他のシステムで出力した帳簿、元帳、決算書、申告書、ワープロやメモ帳の文書、表計算ソフトで作成した表などのその他の証憑類20(以下、「契約書等」と略す)とがある。なお、他のシステムとは、他社ソフト(会計アプリ、ワープロソフト、表計算ソフト等)のほか、当該システムの提供者である自社ソフトでも何でも良く、他のシステム全般を含む趣旨である。
【0029】
本発明は、公認会計士事務所や税理士事務所(以下、単に「会計事務所」と称す。)の顧問先で、または顧問先からの提出を受けた会計事務所において、前記のレシート等をスキャナやスマートフォン等のモバイル機器など(以下、スキャナ等と略す)で撮像し(以下、撮像したレシート等を「レシート画像」と称す。)、かかる撮像機器から直接、あるいは撮像機器から顧問先のPC端末や当該顧問先に出向いた会計事務所職員のPC端末(顧問先端末100)を介して、サーバー200に送信し、これに基づいて会計事務所にある職員用のクライアント端末400または遠隔の在宅者PC端末300で仕訳入力を行う会計処理システムにおいて、さらに取引の基となる契約書や支払予定表などの参照書類を電子化して(以下、電子化した参照書類を「電子帳表データ」と称す。)をサーバー200に登録する。そして、レシート画像や電子帳表データのいずれか、あるいはレシート画像と電子帳表データの両方を、仕訳入力に際して参照した際に、レシート画像や電子帳表データのいずれかと仕訳データと間で、あるいはレシート画像と電子帳表データの両方と仕訳データとの間で、それぞれ関連付けすることにより、さらに、レシート画像と参照した電子帳表データとの間で、あるいは、電子帳表データと必要な会計用アプリケーション(以下、単に「アプリ」とも称す。)との間で関連付けすることにより、仕訳入力時や必要な会計処理時(決算書作成時、申告書作成時、監査の際)に自動的に関連する電子帳表データを呼び出して参照できるようにするとともに、セキュアな環境で会計事務所職員や遠隔の入力者が会計処理を行えるようにするシステムを提供するものである。
【0030】
図1に示すように、一実施例では顧問先端末100でレシート等の原始証憑10をデジタルカメラ等を介して取り込んでレシート画像とし(矢印3a)、WebDAVやVPN210を介してサーバー200の画像データ格納部211(実体ファイル格納部)に格納する(矢印3b)。また、契約書類等20もスキャナ等で撮像し、必要に応じて文字列を抽出して、PDF等の電子帳表データに変換して(矢印2a)、サーバー200に送り画像データ格納部211に格納される(矢印2b)。この他、紙媒体のレシート等や、紙媒体の契約書等を会計事務所に持ち込んだり、会計事務所の職員が顧問先に出向いて紙媒体を受取り(矢印1a)、所定のスキャナ等や端末を用いて紙媒体を読み取ることで、レシート画像や電子帳表データを生成して、サーバー200の画像データ格納部211(実体ファイル格納部)に格納するようにしてもよい(矢印1b)。
【0031】
電子帳表データは、GUI画面1(
図4−1)ないしGUI画面2(
図4−2)を利用した手動操作等により、サーバー200の画像データ管理部230(ファイル管理システムの管理DB)において、該当する顧問先毎に、年度やキーワードなどのタグ付け(関連付け)が行われ(矢印2c)、また当該電子帳表データに関わる会計用アプリにタグ付けされる(タグ付け(GUI画面2))。また、取得されたレシート画像に対しては、GUI画面3(
図4−3)を利用して、関連しそうな電子帳表データを検索等した上で、手動操作等により、必要な電子帳表データを関連付けることができる(関連付け(C))。
【0032】
特定の在宅者に対してフォルダを公開し、リモートからアクセスするためのアクセス先や入力アプリ入手先をメール等で通知することで在宅から入力が可能となる(矢印5c)。保存されたレシート画像(および必要に応じて関連付けられた電子帳表データ)は、一実施例では、サーバー内に仮想的に構築された仮想PCや、リモートアクセスを介して(矢印5a)、外注の在宅入力者のPC端末300からサーバー200にアクセスして参照され(矢印5d)、サーバー内に作成された空の会計ファイル(矢印5b)に仕訳入力が行われて会計ファイルが作成される(矢印5e)。ここで、
図9の会計ファイル構成図を用いて、会計ファイルと仕訳データとの関係を説明する。
図9(a)で、仕訳データ40は日付欄41、借方科目欄42、貸方科目欄43、金額欄44、摘要欄45、伝票番号欄46、区分コード欄47および訂正フラグ欄48からなっており、仕訳された取引が記憶されている。また、
図9(b)で、会計ファイル50は1個の書誌的データ51と仕訳データ40が1対1に対応付けられた複数の仕訳データの組からなっている。また、
図9(c)で、書誌的データは顧問先コード511、会計年度512、決算年月日513、会計期間514を格納するように構成されている。また、符号52は、個々の仕訳データを区別するヘッダであって、例えば、仕訳レコード番号が格納されている。なお、レシート画像ないし電子帳表データを参照しながら仕訳入力を行なう際に、仕訳データを入力するための(科目体系等がその顧問先用に調整された)空の会計ファイルをサーバー側にて自動生成して、在宅者のPC端末300から、レシート画像と共にアクセス可能とすることが望ましい。
【0033】
その際、仕訳データ(ないし仕訳データを纏めた会計ファイル)と、仕訳入力時に参照したレシート画像とが関連付けられる(矢印3c、矢印4c)(仕訳入力時に自動的になされる関連付け(A)(会計の第1関連付け))。詳細には、ファイル管理システム230内の管理DBに関連付け情報(インデックス)が付加されることで関連づけの管理がなされる。ここで、仕訳データとの関連づけは、参照したレシート画像のほか、参照できるレシート画像がない場合は、参照した電子帳表データとの間で関連づけしてもよいし(関連付け(B)(会計の第2関連付け))、レシート画像に加え、電子帳表データも参照したときは、レシート画像と電子帳表データとを関連付けてもよい(関連付け(C)(会計の第3関連付け))。これらの関連付けられたデータの相関の例を
図6に示す。なお、入力時にレシート画像や電子帳表を参照画像として設定する場合は、仕訳データと参照するレシート画像や電子帳表を自動で関連付け、さらにレシート画像や電子帳表の内容(どこの取引先の領収書や契約書、いつの決算書等)等に関する情報をタグ情報として自動で設定しても良い。
【0034】
このとき、在宅入力者のPC端末300にはレシート画像と、必要に応じて関連する電子帳表データと、仕訳入力画面とが同時に表示され(表示画面350)、入力者はレシート画像および関連する電子帳表データを見ながら仕訳入力を行うことができる。サーバー200と在宅入力者のPC端末300はクラウド上の仮想PCやリモートアクセス、あるいは変形例としてのWebDAVやVPN等、を介して接続されるが、このとき在宅入力者には当該在宅入力者に許可された顧問先のデータしか閲覧できないように設定され、セキュアな環境で会計処理を進めることができる。さらに、在宅入力者には仕訳入力を行う対象である具体的な顧問先名をも隠すようにして、どの顧問先の会計情報を入力しているのか分からないようにしてもよい。
【0035】
なお、仕訳データの入力に際しては、レシート画像や電子帳表データの他、「いつどこで何をいくらで買ったのか」、「いつどこで誰といくらの飲食をしたのか」という質問形式で入力した質問式入力データを参照してもよく、あるいは、必要に応じて、顧問先で入力した帳簿データを参照しても良い。かかるデータは、ネットワーク経由などで会計事務所サーバーに送信され(矢印4a)、サーバーの記憶部に格納され(矢印4b)、会計ファイル作成の元データとなる。そして、質問式入力データは、在宅者のPC端末300や会計事務所の端末400で、レシート画像や電子帳表データと共に、あるいは単独で参照することができる。
【0036】
なお、会計事務所内の端末400においても、同様に、レシート画像ないし電子帳表データを参照しながら仕訳データの入力を行なうことができる(矢印8)が、途中にクラウド上の仮想PCやリモートアクセスあるいはWebDAVやVPN等を介さないだけで、それ以外の処理は同様なので詳細は省略する。本発明では、以上のような、各処理過程における自動的ないし手動操作による重畳的な関連付け処理に加えて、さらに、会計ファイル(仕訳データの束)を元にして、損益計算書や貸借対照表などの決算書を作成する決算書アプリを用いて、決算書を生成して(矢印6a)、PDF等の電子帳表データとして登録する際に(矢印6b)、その際に用いた会計ファイルないし参照したレシート画像、顧問先から取得した契約書等の電子帳表データと関連付けすることができる(矢印6c)(出力した電子帳表データ登録時の自動関連付けである関連付け(D)(会計の第4関連付け))。
【0037】
また、税務申告のための、申告書アプリを利用して、申告書を生成して(矢印7a)、PDF等の電子帳表データとして登録する際も(矢印7b)、同様な関連付け処理を行なうことができる。これにより、レシート画像や仕訳データと関連付ける対象として、顧問先から取得した契約書等の電子帳表データと、決算書アプリや申告書アプリで出力した電子帳表データとを、同様に取り扱うことが可能となる。このため、監査の際には、決算書や申告書の電子帳表データから、以前に関連付けられた仕訳データ、レシート画像、電子帳表データ(顧問先から取得した契約書等の電子帳表データのほか過年度を含む決算書や申告書等の出力した電子帳表データ)を、漏れなくたどって参照することができ、監査業務を支援することが可能となる。
【0038】
また、電子帳表データに対して、会計処理で必要とされるキーワードを各電子帳表データにタグ付けしたり、アプリ毎にタグ付けることにより、アプリ毎に必要な電子帳表データを検索して提示できるので、さらにきめ細かい資料の参照を可能とする(矢印9)。タグ付けについては、複数のキーワードを設定できるので、キーワードをカテゴリ毎に階層化した上で、効果的に検索したり、キーワードを多段に組み合わせることができ、そのレシート画像やその仕訳に関連しそうな電子帳表データを、より良く絞り込んで検索し、そのレシート画像やその仕訳に参考になる資料を関連付けることができる。また、さらに前述のアプリとのタグ付けも併用することで、そのレシート画像やその仕訳に関連しそうであるかどうかの精度を一層上げて、電子帳表データを検索することができる。なお、後掲のように、関連付けが重畳していくところまで実装せずとも、このタグ付け手段を利用した効果的な電子帳表データの検索手段と、レシート画像への関連付け手段との組み合わせだけでも、顧問先の税務会計処理に必要なあらゆる資料(レシート画像や電子帳表データ)を顧問先毎、年度ごと、アプリ毎に、管理することができる。
【0039】
次に、本願発明の特徴である、仕訳入力処理に際して参照したレシート画像や電子帳表データを仕訳データに関連付けたり、決算書作成処理に際して参照したレシート画像や電子帳表データを当該決算書(出力した電子帳表データ)に関連付けたり、税務の申告書作成処理に際して参照したレシート画像や電子帳表データ(取得した契約書等の他、決算書アプリが出力した決算書、あるいは申告書作成アプリが出力した過年度の申告書)を申告書(出力した電子帳表データ)に関連付けることにより、関連づけが重畳的になされ、各ファイルの実体について、どのような関連付けが構築されているかについて、
図6を用いて説明する。
【0040】
まず、関連付け情報のインデックスを管理する管理DB(サーバー200の関連情報格納部211とデータ管理部に相当)は、顧問先ごと、会計年度ごと、各アプリが作成するファイルごとに、階層化した構造を有している。レシート画像を参照しながら仕訳入力を行なった場合、参照したレシート画像と仕訳データとの関連付け情報を自動的に生成して記録する(説明1)(関連付け(A))。電子帳表データを参照しながら仕訳入力を行なった場合には、同様に、電子帳表データと仕訳データとの関連付け情報を自動的に生成して記録する(説明2)(関連付け(B))。
【0041】
あるいは、レシート画像に加え、電子帳表データを参照しながら、仕訳入力を行なった場合には、(仕訳データとレシート画像との関連付けに加え)レシート画像と電子帳表データとの関連づけ情報を自動的に生成して記録する(説明3)(関連付け(C))。なお、レシート画像と電子帳表データとの関連づけは、仕訳入力の際に自動的に行なわれるほか、仕訳入力とは関係なく、レシート画像を表示して、タグを利用して、関係がありそうな電子帳表データを検索し、そのうち、特に関係がありそうな電子帳表データをドラッグ&ドロップするといった手動操作により関連づけを行なうようにしても良い。
【0042】
また、決算書を作成して、表計算やPDF等の電子帳表データとして出力し、登録する際には、決算書を作成する際に参照した仕訳データおよび仕訳データに関連付けられたレシート画像、および電子帳表データ(契約書等)と、出力した電子帳表データとの関連づけ情報を自動的に生成して記録する(説明4)(関連付け(D))。このほか、電子帳表データに対しては、会社名、年度、キーワードなどをタグ付けすることもでき、後にレシート画像を参照して入力する際に、どの電子帳表データが関係しそうであるかを検索する際に利用する(説明5)。さらに、過年度の電子帳表データ(契約書、決算書など)との関連付けも可能であり、当該年度の決算書作成、申告、監査の際に、関係する過年度の電子帳表データを参照する際に利用することもできる(説明6)(関連付け(E))。また、関連づけの結果、顧問先名だけに関連付けられている電子帳表データ(例えば、定款など)は、会計年度や、個々のアプリ、あるいは仕訳データと、個別の関連性はないものとして、上位の階層の資料として把握できる(説明7)。このように、関連付け手段を通じて、様々な顧問先の資料を階層ごとに管理できる。なお、上記の関連付け手段は、全てが必須ではなく、少なくとも一つ以上があればよく、さらに2つ以上を組み合わせることでより効果的に作用する。また、参照するレシート画像や電子帳表データ(すなわち関連付けの対象となるレシート画像や電子帳表データ)は、全てが必須ではなく、いずれか一方あるいは全くない場合であってもよい。例えば、通常、レシート画像等は存在するが、月毎にみれば無い月があるとか、日ごとに見れば無い日があるとか、仕訳毎にみれば無い場合がある等である。このため、電子帳表のみ読み取るケース、レシート画像のみ読み取るケース、レシート画像と電子帳表を両方読まないケースがあることになる。
【0043】
このようにして、会計入力や決算書作成ないし申告書作成に際して、レシート画像、電子帳表データが参照される度に重畳的に、会社ごと、年度ごと、アプリが生成するファイル毎に階層化した構造の中で、相互に関連付けられるので、後に、別の機会における会計入力、決算書作成ないし申告書作成ないし、監査の際に、各会社の税務会計業務に必要な資料の確認が容易となる。
【0044】
特に、監査業務においては、その会計処理としての取り扱いが会計原則ないし税法上、適切であったかどうかは、契約書の内容や、不動産の価値判断などに踏み込んだ判断が求められるので、その会計処理に係る会計入力や決算書作成に際して、どのような資料(レシート画像、電子帳表データ(契約書、不動産の写真、路線価など))を用いて(参照して)、入力(作成)したのかを確認することが必要となるため、本願発明のシステムは、非常に効率的な監査業務をサポートするツールとなる。
【0045】
なお、税務申告書作成の際の関連付けについては、全体概要図(
図1)に直接の記載はないが、会計業務における関連付けの処理と同様である。例えば、申告書を作成してPDF等の電子帳表データとして出力して登録する際には、申告書を作成するに際して、決算書(財務諸表等)を参照することになるが、決算書は会計ファイル(仕訳データ)を元に作成されるので、終局的には、会計ファイル(仕訳データ)を参照して集計することになり、さらに仕訳データに関連付けられたレシート画像まで遡って参照することになる。その際に、申告書の電子帳表データとレシート画像との関連付けも行なうが、これを便宜上、税務用の第一関連付け手段と呼ぶことにする。
【0046】
これは、全体概要図(
図1)を見れば分かるように、仕訳入力の際に仕訳データとレシート画像を参照する際に、仕訳データ(会計ファイルの一部)とレシート画像とを関連付ける関連付け(A)(会計の第1の関連付け)と同じ関係にあり、「会計ファイル」を、「申告書の電子帳表データ」と置き換えて、「申告書の電子帳表データ」を中心にした場合に相当することになる。同様に、申告書の電子帳表データと、申告書の作成時に参照した契約書や決算書等の電子帳表とを関連付ける税務用の第二関連付け手段は、全体概要図(
図1)の関連付け(B)に相当することになる。また、申告書の電子帳表データと、申告書の作成時に参照したレシート画像と電子帳表とを関連付ける税務用の第三関連付け手段は、全体概要図(
図1)の関連付け(C)に相当することになる。また、同様に、申告書の電子帳表データと、申告書の作成時にレシート画像に加え、電子帳表データ(契約書等)を参照した場合には、入力された前記申告データから作成する税務申告資料を別個の電子帳表として登録する際に、登録する電子帳表に対して、当該税務申告資料の元になる申告データ、当該申告データに関連付けられたレシート画像、および当該レシート画像に関連付けられた電子帳表を、さらに関連付ける税務用の第四関連付け手段は、全体概要図(
図1)の関連付け(D)に相当することになる。
【0047】
[システム構成]
図1に示す本発明の会計処理システムの構成例について説明する。
図1−1は、1つの会計事務所200と1〜nの顧問先100のコンピュータやサーバー端末がインターネット等のネットワークを通して接続された顧問先と会計事務所の構成を示す図である。
図1−2は、
図1−1の構成に会計事務所200から会計入力等に関して外注や在宅入力等を行う構成(1〜nの在宅入力300)を追加した図である。一実施例では、会計事務所はサーバー200とクライアント端末400で構成されるシステムからなる。
【0048】
図1−3は、会計事務所に設置されるサーバー装置200の構成を示すブロック図である。サーバー装置200は、マウス、キーボード等の入力部201と、スキャナー、スマホ、デジタルカメラ等の入力部202と、表示や印刷やUSBポートやDVDライター等の出力部203と、通信ネットワークに接続するための通信部204と、大容量記憶媒体である記憶部205と、後述する各種処理を実行する制御部206とを具える。記憶部205には、顧問先の取引内容を示す帳簿類や原始証憑のイメージデータ(必要に応じて書類の内容を文字認識して取得した文字列を含む)であるレシート画像を格納するレシート画像格納部209と、顧問先の取引に関する契約や書類や業務に関する書類といった原始証憑以外の関連書類のイメージデータである電子帳表データを格納する電子帳表格納部210と、各種データ(顧問先、レシート画像、電子帳表データ、各種アプリ、各種ファイル、および仕訳データ等)の関連情報を管理する関連情報格納部211と、会計事務所の各顧問先の情報(会社名、住所、規模、使用している会計ソフト等)を格納する顧問先情報格納部212と、本発明の処理によって入力される会計データが格納される会計データ格納部213と、会計事務所で使用する会計業務等の各種アプリが格納されるアプリ格納部214とを具える。
【0049】
電子帳表データには、取引に関する様々な書類が含まれ、例えば登記簿、各種証明書、図面、契約書、保険証、支払予定表、工事現場/不動産/資産の物品の写真が含まれる。
【0050】
制御部206の実行する機能を大別すると、スキャナー等の光学機器で読み取ったイメージデータを画像データとして取り込むデータ取り込み部と、画像データを管理するデータ管理部230と、会計事務所の各顧問先の情報(会社名、住所、規模、使用している会計ソフト等)を管理する顧問先情報管理部と、会計データを管理する会計データ管理部と、入力者の操作履歴を管理する履歴管理部と、在宅者の管理や、在宅入力の公開フォルダの作成やレシート画像や電子帳表データの提供、その他入力した会計ファイルなどを管理する在宅入力管理部と、会計事務所で使用する会計業務等の各種アプリを管理するアプリ管理部とを具える。なお、記憶部の中身と制御部の機能はこれらのものに限らず、以下に詳述する処理を実現するために必要な他のデータや機能を具えるものとする。また、本実施例はサーバーとクライアント構成であるものとして説明するが、サーバー装置をスタンドアロンとして使用してもよい。
【0051】
図1−4は、会計事務所の職員(オペレータ)が用いるクライアント端末400の構成を示すブロック図である。このクライアント端末400は例えばノート型やタブレット型の携帯型コンピューター端末であり、普段は会計事務所でサーバー200とネットワーク接続されて会計処理を進めることができ、職員が顧問先に出向く場合にはサーバー200との接続を切り離して持ち運ぶことができる。また。職員が在宅入力を行う場合にもクライアント端末400と同様の構成を利用することができ、この場合は
図1に示す在宅入力者用の端末300となる。
【0052】
クライアント端末400は、マウス、キーボード等の第1入力部401と、スキャナー、スマホ、デジタルカメラ等の第2入力部402と、表示や印刷やUSBポートやDVDライター等の出力部403と、通信ネットワークに接続するための通信部404と、記憶部405と、画像データ取り込み部、画像データ管理部、電子帳表データ管理部、アプリ管理部からなる制御部406とを具える。記憶部405は、画像データ格納部、電子帳表データ格納部、アプリ格納部を具え、画像データ格納部は、原始証憑類DBと契約書類DBを具える。
【0053】
例えばこのクライアント端末400の第2入力部402からレシート画像や電子帳表データを取り込んだ場合や、クライアント端末400からサーバー200にアクセスして必要なレシート画像や電子帳表データを読み出した場合はクライアント端末400の記憶部405に一時的に格納されるが、会計アプリの終了時やクライアント端末400のログオフ時などは画像データはサーバー200に上書きされ、クライアント端末400自体にはデータが残らないように構成する。これにより基となるデータ(サーバー200に格納されているデータ)の改ざんや不正利用を防止することができる。なお、
図1に示す在宅入力者用のコンピュータ端末300も同様の構成を有するものとし、個別の説明はここでは省略する。なお、記憶部の中身と制御部の機能はこれらのものに限らず、以下に詳述する処理を実現するために必要な他のデータや機能を具えるものとする。この他、クライアント端末400には会計処理を進めるための複数画面式会計ソフトがインストールされており、制御部406はこれを読み込んで各顧問先の会計処理(入力やチェック)を行うことができる。なお、在宅者用の端末300の場合、レシート画像や電子帳表データは、基本的に会計事務所から提供されたものを利用して入力するので(この方が、どの顧問先の会計情報であるかを外注先に秘匿できる点で有用である)、クライアント端末400に記載した入力部2(スキャナー等)は備えていなくても良い。
【0054】
図1−5は、顧問先のコンピュータ端末100の構成例を示すブロック図である。顧問先端末100は、マウス、キーボード等の第1入力部101と、スキャナー、スマホ、デジタルカメラ等の第2入力部102と、表示や印刷やUSBポートやDVDライター等の出力部103と、通信ネットワークに接続するための通信部104と、大容量記憶媒体である記憶部105と、各種処理を実行する制御部106とを具える。記憶部105は画像データ格納部と電子帳表データ格納部とを具え、画像データ格納部は、原始証憑類DBと契約書類DBを具える。大まかな構成は
図1−4のクライアント端末400と同様であり、個別の説明はここでは省略する。
【0055】
図1−6は、会計事務所システム(クライアント・サーバー)の一実施例の構成を示す概略図である。本図に示すように、会計事務所サーバーと1以上の入力端末(クライアント端末)が事務所内ネットワーク(LAN、無線LAN等)で接続されている。
【0056】
[テーブルおよびレコード]
次に、本発明で用いられる各種テーブルおよびレコードについて説明する。サーバー200の記憶部205は、以下のテーブルおよびレコードを格納する領域を具える(図示せず)。なお、実施例によってはこれらのすべてのテーブル/レコードがサーバー200上にある必要はなく、会計事務所とは別に設置されたデータサーバーやクラウド上、あるいは会計事務所のクライアント端末400に一部または全部が存在してもよい。
【0057】
図2−1は、本発明で用いられる各種の管理テーブルの例を示す図である。本図に示すように、サーバー200の記憶部205には、関連書類テーブル、顧問先テーブル、アプリが作成するファイルと画像レコードを管理するテーブル、担当管理テーブル、担当者テーブル、アプリ管理テーブルが格納されている。
【0058】
関連書類テーブルは、書類の性質を示す関連書類欄、分類タグを示す分類欄、タグとして設定したキーワードを示すタグ1〜タグnの項目欄からなるテーブルであり、電子帳表データの属性を設定するために用いられる。後述するように、取り込んだ電子帳表データの設定画面(
図4−1のGUI画面1)において、電子帳表データについて分類タグやキーワードをタグ情報として設定した場合に、例えば分類で「会計」が指定された場合は分類の項目「会計」と対応する関連書類の項目「領収書」、「レシート」、「伝票」を選択肢として提示し、さらにタグ1の項目で「領収書」が指定された場合に、関連書類の項目が「領収書」に決定され、
図2−2に示す画像レコードの関連書類の項目に「領収書」が設定される。
【0059】
顧問先テーブルには、会計事務所が契約している顧問先毎に、顧問先コード、顧問先名、サーバー200の記憶領域内で管理されるフォルダ名が登録される。アプリが作成するファイルと画像レコードを管理するテーブルは、電子帳表データの画像ファイル名と、この電子帳表データがどのアプリの作業に関係するかをタグ付けして管理するテーブルである。会計用アプリの種類はアプリ管理テーブルに登録されており、例えば法人税、事業概況書、相続税、内訳書、会計入力等の種類が設定されている。担当テーブルは、会計事務所の職員や外注の在宅入力者ごとに、担当する顧問先と、当該担当者ごとにセキュアに(すなわち、当該担当者しかアクセスできない状態で)公開される公開フォルダが設定される。担当者テーブルは担当者の情報を登録するテーブルであり、担当者コード、担当者名、メールアドレス、サーバー200ないし公開フォルダ等へアクセスするためのパスワード、および会計事務所に出所して作業するか在宅(ないし外注先)で作業する等を登録する入力形態欄が設定される。在宅者ないし外注先の担当者用の公開フォルダは、全体概要図(
図1)の矢印5a、5bの先のブロックに記載のように、クラウドなどの仮想PC、リモートアクセスなどのほか、WebDAVやVPNなどで実現される。
【0060】
図2−2は、本発明で作成・参照される各種レコードの例を示す図である。用いられるレコードは、顧問先で発生する取引の詳細が登録される仕訳レコードと、画像を取り込み顧問先名とキーワード(タグ)等を設定した際に作成される画像レコードと、入力担当者がクライアント端末または在宅者端末300で作業した内容が蓄積される入力履歴レコードと、電子帳表データと仕訳データを関連付けるための関連画像データと、関連文書を取り込み顧問先名とキーワード等を設定した際に作成される電子帳表レコードとを含む。
【0061】
[全体処理フロー]
上記のように構成された入力システムにおける会計処理方法について、その時々の画面例を参照しながら以下に説明する。
図3は、本発明にかかる入力システムの全体処理を説明するためのフローチャートである。本発明にかかるシステムは大別して、顧問先端末100で行う(1)レシート画像および電子帳表データの読み取り・格納段階に関する処理(S01−S04)、サーバー200で行う(2)格納済みの書類に対するタグ付け、アプリとの関連付け処理(S05−S07)、クライアント端末400や在宅PC300で行う(3)参照入力段階に関する処理(S08−S12)、サーバー200で行う(4)レシート画像データと電子帳表データの関連づけに関する処理(S13−S14)、書類画像データが過年度の場合(S15)に行われる(5)過年度の書類との関連付け処理(S16)が含まれる。
【0062】
上記(1)〜(5)の処理については以降に個別に説明するが、簡単に
図3の処理について説明する。まず、会計事務所の業務としての仕訳入力を行うための原始証憑をスキャナ等で読み込み、レシート画像をサーバー200に送る(S01)。また、必要な契約書類等もスキャナ等で読み込み、電子帳表データとしてサーバー200に送る(S02)。これらの処理は、上述したように顧問先で行われてもよいし、会計事務所に紙媒体で渡して会計事務所で電子化するようにしてもよい。これらはWebDAVやVPNあるいは電子メールなどを介してサーバー200に送られ、顧問先毎に用意された領域に格納される(S03)。会計事務所のオペレータが専用のツールを用いて、これらの画像データに年度情報や必要なキーワード等のタグ付けを行う(S04)。これは例えば
図4−1で示すようなGUI画面1を用いて行われ、その詳細は後述する。
【0063】
画像データを取込む段階だけでなく、必要に応じて、取り込んだ画像データ(レシート画像データおよび電子帳表データ)を以降に呼び出してさらなるキーワード等のタグ付けを行うこともできる(S05)。また、以降に入力された仕訳データの監査や、新たな会計処理を行うために登録されている電子帳表データをタグで検索することもできる(S06)。また、登録したレシート画像や電子帳表データを参照することが役立つ会計用アプリを当該画像データに関連付けする(S07)。
【0064】
登録したレシート画像について、会計事務所職員や在宅の入力者が参照入力(すなわち、レシート画像を見ながら仕訳入力すること)できるように設定する(S08−S10)。具体的には、レシート画像を参照するブランク(あるいは空)の会計ファイルを自動生成し、当該レシート画像と関連付けて(S08)、予め決められた担当者用の公開フォルダに登録する(S09)。ここで、ブランクの会計ファイルとレシート画像との関連づけは、一つの会計ファイルの全体に対して複数のレシート画像の関連付けであっても、会計ファイルを構成する個々の仕訳データに対して一つ(ないし、振替伝票などの場合には必要に応じて複数の)レシート画像の関連付けであってもよい。このとき、担当者が仕訳入力の際に参照できるように、顧問先や当該顧問先の会計入力作業に関連付けられた電子帳表データが自動的に抽出されて公開フォルダに共に格納される。なお、レシート画像が無い場合には、電子帳表データだけを参照して入力することもできるし、質問式入力の場合には、顧問先で、紙のレシートを見ながら入力することで、レシート画像も電子帳表データもなく質問式入力データだけを参照して、仕訳入力を行なうこともできる。当該担当者へ公開フォルダのアクセスパスを電子メール等の手段で通知する(S10)。担当者が端末300の会計入力アプリを用いて、複数画面式の(すなわち、仕訳入力の基となるレシート画像と、仕訳入力画面と、必要に応じて1以上の電子帳表データとが同時に表示される)入力画面上で、必要な情報を画像データで確認しながら仕訳入力を行う(S11)。この場合、レシート画像や電子帳表データの内容の少なくとも一部がOCR処理で抽出され、仕訳入力画面上の対応する入力欄に自動的に反映されるように構成されていてもよい。例えばレシート画像の日付や合計金額が仕訳入力画面の該当欄に自動反映されるように構成すると、入力の手間を省き正確性を向上することができる。担当者は仕訳入力作業において、参照したい契約書等の電子帳表データがあればサーバー200に要求して担当者端末300上に表示できるように構成してもよい。このようにして入力・確定された会計ファイルはサーバー200に送られる(S12)。在宅者端末300や会計事務所クライアント端末400で行われた作業履歴もサーバー200に送られて蓄積される。
【0065】
さらに、例えば担当者が仕訳入力の際に参照した電子帳表データの情報に基づいて自動的に、あるいは会計事務所のオペレータの処理により、レシート画像と電子帳表データの関連付けが行われる(S13、S14)。これにより以降に仕訳入力の修正や確認のためにレシート画像を呼び出す際に、自動的に関連付けられた電子帳表データを呼び出して参照することができる。
【0066】
さらに、例えば確定申告(青色申告)では損失を3年間繰り越すことができることや(損失申告)、株式や投資信託の損失は3年間繰り越して各年分の株式譲渡所得から控除することができるなど、各種の税制によって、過年度の証憑書類を複数年にわたり持ち越せることがある。したがって、例えば損失に関わる電子帳表データに関連付けられる会計年度の情報を予め必要な年数にわたり登録されるようにすれば、過年度の必要な電子帳表データを次の会計年度での法人税アプリ等の処理で呼び出すことが可能となる。このため、過年度管理テーブルに基づいて繰り越されるべき電子帳表データか否かを自動的に判断し(S15)、あるいは指定したタグや過年度管理テーブルの検索タグを用いて関連付けする画像データをオペレータが特定し、該当するものがあれば過年度のデータと電子帳表データの関連づけを行う(S16)。
【0067】
以下に、全体処理フローで説明した段階(1)〜(5)について、個別により詳細に説明する。
図5−1〜
図5−5は各段階の詳細フローを示し、ここで
図3のいずれかの工程に該当するものは同じステップ番号を付し、また各図のフローチャートの隣に参照/登録する各種テーブル/レコードの関係を示す。これらのテーブル/レコードは
図2−1、
図2−2で示したものである。
【0068】
[詳細フロー(1)読み取り・格納段階に関する処理]
まず、(1)読み取り・格納段階に関する処理について説明する。
図5−1は、読み取り・格納段階の詳細フローを説明するための図である。以下、主に、顧問先端末100で読み取る場合について説明するが、会計事務所の職員が紙のレシート等を持ち帰って、会計事務所のクライアント端末400で操作する場合も同様である。入力システムの画像管理プログラムを起動すると、
図4−1に示すようなGUI画面1が顧問先端末100に表示される。GUI画面1は「スキャナー読み取り」ボタン501、「ファイル取り込み」ボタン502、「設定」ボタン503、「書類登録」ボタン504と、取り込んだ画像データのファイル名や取得日付等のファイル情報を表示する画面(ファイル情報欄)505と、取り込んだ画像データのプレビュー画面506から構成される。
【0069】
入力システムの画像管理プログラムを起動すると、画像ファイルの格納先の情報として、顧問先端末100に予め設定された当該顧問先名(顧問先コード)が登録先として自動設定される。なお、会計事務所のクライアント端末400で読み取る場合には、会社(顧問先)選択ウィンドウが開き(図示せず)、顧問先テーブルに登録された顧問先からいずれかの顧問先を選択すると、以降の処理がこの顧問先のものとして関連付けられる。また、会社未選択でプログラムを起動すると、一時保存フォルダーを選択するか、新たなフォルダーが作成され、入力した会社名と関連付けられる。「スキャナー読み取り」ボタン501を押すと、顧問先の取引内容を示す帳簿類や原始証憑等の原始証憑類および顧問先の取引に関する契約書類や業務に関する書類等の原始証憑以外の関連書類である契約書類等をスキャナー等の入力部102で読み取り処理を行い、読み取ったイメージデータに対して画像化処理を行う(S01〜S02)。「ファイル取り込み」ボタン502を押すと、読み取り処理および画像化処理を行った原始証憑類(すなわちレシート画像)および契約書類等(すなわち電子帳表データ)の画像データを取り込み、ファイル情報欄505で選択した画像データがプレビュー画面506に表示される(S03)。
【0070】
「設定」ボタン503を押すと、
図4−1左下に示すような登録画面が表示され、ファイル名や顧問先情報の他に、必要に応じて会計年度、分類タグ等のタグ情報を設定することができる(S04−1)。これらの情報は画像データとともに顧問先端末100の画像データ格納部の原始証憑類DBないし契約書類DBへ一時的に登録される。「書類登録」ボタン504を押すと会社名、会計年度、書類の性質での分類等の階層構造になったサーバー200の登録先が表示され、登録先を設定後、「ファイルを登録」ボタン507を押すと、ファイル情報欄505で選択された画像データがここで入力・指定した情報とともに、設定したサーバー200の登録先に送信される(S04−2)。サーバー200は、受け取ったレシート画像データや電子帳表データを顧問先に関連づけし(S04−3)、関連書類テーブルの分類に基づいたカテゴリにレシート画像データと電子帳表データを登録する(S04−4)。具体的には、画像レコードまたは電子帳表レコードに新たなレコードが作成され、当該レコードに、顧問先テーブルを参照することにより画像データ読み込み時に指定された顧問先名に対応する顧問先コードが登録され、また設定ウィンドウ(
図4−1の設定ボタン503で呼び出すウィンドウ)で選択された分類やタグが登録され、また関連書類テーブルを参照することにより関連書類名も登録される。なお、電子帳表データは、契約書等の画像データと、必要に応じて画像データを文字認識して取得した文字列とがセットで構成されるようにしても良い。
【0071】
ここで登録されるサーバー200の管理DBとファイル格納部のイメージを
図6に示す。
図6に示すように、顧問先(会社A、会社B・・・)ごとに階層構造で会計年度、各種の会計用アプリケーション(例えば会計、法人税、内訳書等)のファイルといった領域が設けられ、レシート画像や電子帳表データは対応する顧問先に会計年度のファイルに関連付けられて格納される。
【0072】
図5−1の読み取り・格納段階の処理では、画像データに年度や分類タグ等が設定されない場合でも、少なくとも顧問先情報がタグ情報として画像レコードに関連付けして登録される。登録先は顧問先名称フォルダ名の顧問先フォルダにまとめて保存されてもよい。分類タグやキーワード等のタグ情報がある場合は関連書類テーブルにより、画像レコードに関連付けされる。以上の処理は画像データの取り込みとタグ付け等を顧問先で行う場合について説明したが、原始証憑や契約書類のコピーを預かって会計事務所に戻り、取り込みやタグ付けの処理を会計事務所で行ってもよい。会計事務所で行う場合は、取り込み段階で原始証憑類および契約書類の画像データを顧問先単位で分類してから表示される。
【0073】
[詳細フロー(2)格納済みの書類に対するタグ付け、アプリとの関連付け]
格納済みの書類に対する検索処理やタグ付け、アプリとの関連付けする処理(2)について、
図5−2を用いて説明する。より具体的には、ここでは、例えば、契約書等の電子帳表データを取込む際に、その電子帳表データが顧問先名だけとか、あるいは顧問先名と年度の情報だけなど最小限の情報がタグとしてタグ付けされているような場合、最小限のタグで検索してピックアップした上で、さらにキーワードや使用するアプリ名をタグ付けしたいような場合について説明する。例えば会計事務所のクライアント端末400でオペレータが入力システムの顧問先管理プログラム(図示せず)を起動すると、
図4−2に示すようなGUI画面2がクライアント端末400に表示される。このGUI画面2で顧問先、会計年度、タグ等を指定することによりサーバー200に登録された画像データを検索して、呼び出して、新たなタグ付けやアプリとの関連付け等を行うことができる。GUI画面2は、例えば顧問先や会計年度を選択する欄601と、検索条件としての読み取り日(例:最近1ケ月)を指定する欄602と、検索条件(例:「タグ:銀行」)を指定する欄603と、書類の性質で分類された検索範囲(例:「全分類」タブ、選択されている「書類」タブ等)のタブ604と、検索結果の画面605と、選択された画像データのファイル名、設定されたタグ情報、プレビュー画面606と、「アプリとの関連付け」ボタン607とから構成される。
【0074】
図示する例では、入力システムの顧問先管理プログラムの起動後、オペレータが顧問先(東京商事)および年度(平成27年度)を選択し(S05−1)、必要に応じてレシート画像データないし電子帳表データのタグ603を指定する(S05−2)。これらの条件でサーバー200の画像データが検索され(S06−1)、抽出した画像データが表示欄605に一覧表示される(S06−2)。その上で、追加のタグ設定ボタン(図示せず)を選択したうえで、所定の電子帳表データないしレシート画像を選択し、新たに割り付けたいタグ(年度やキーワード)を選択して、タグ登録ボタン(図示せず)をクリックすることで、追加的なタグを登録することができる。また、所定の電子帳表データないしレシート画像に対して、使用するアプリ名をタグ付けすることもでき、オペレータは特定のアプリと関連付けしたいレシート画像データおよび/または電子帳表データを選択する(S06−3)。「アプリとの関連付け」ボタン507を押すと、利用可能なアプリ一覧(例えば法人税申告所、事業概況書、相続税等)が表示され、いずれかのアプリを選択すると(S07−1)、これらの情報がサーバー200に送られて、選択された画像データと電子帳表データが指定されたアプリに関連付けられる(S07−2)。具体的には、GUI画面2で設定された、顧問先、会計年度、タグ情報等に基づいて、
図2−1に示す顧問先テーブル、アプリの管理テーブル等が参照され、
図2−2に示す画像レコード、電子帳表レコード、アプリが作成するファイルと画像レコードと電子帳表を管理するテーブル等に関連する年度ないしキーワードやアプリ名などのタグ付けの情報が登録される。ここで、
図5−2右側の相関図に示すように、設定対象となるレシート画像や電子帳表データに設定された「分類」が「会計」である場合、その画像データに仕訳レコードが関連付けられる。このイメージが全体概要図(
図1)のタグ付け(GUI画面2)(矢印2cないし、関連づけを示す破線の両方向矢印)、および
図6に、タグ付け (GUI画面2で手動)のように示されている。
【0075】
[詳細フロー(3)参照入力段階に関する処理]
次に、参照入力段階に関する処理(3)について、
図5−3の詳細フローを用いて説明する。本実施例では、在宅の入力担当者に必要なデータのみアクセス可能に構成して、レシート画像と必要な電子帳表データから個々の取引の仕訳入力等を行わせる処理を説明する。ただし、これは在宅者端末300での処理に限らず会計事務所のクライアント端末400に対しても同様の構成とすることができる。
【0076】
図5−3の処理(3)において、S08−1〜S10−1までが会計事務所側の処理に関し、S10−2以降が在宅入力者側における処理に関する。会計事務所のオペレータは、在宅者管理プログラム(図示せず)を起動して、顧問先と会計期間を選択すると(S08−1)、サーバー200に格納された処理待ちのレシート画像について、当該レシート画像およびもしあれば関連付けられた電子帳表データを参照する会計ファイルと仕訳レコードが自動生成される(S08−2)。これらは当初ブランクなものであってもよいし、レシート画像をOCR処理することにより日付や合計金額など必要な情報が一部反映されたものであってもよい。プログラムは指定された顧問先の会計期間のレシート画像データと電子帳表データを検索し(S08−3)、自動生成した仕訳レコードに参照するレシート画像データと電子帳表データを関連付けする(S08−4)。これは仕訳レコードに新たなレコードを追加し、アプリが作成するファイルと画像レコードを管理するテーブルに仕訳番号、アプリ、画像ファイル名等を関連付けて登録することにより行われる。もちろん、仕訳データ単位でレシート画像等に対する関連付けを行なうのではなく、会計ファイル全体に対して複数のレシート画像等を関連付けするようにしても良い。この場合、在宅者ないし外注先の端末において、仕訳データ単位でレシート画像等に対する関連付けを行なう。
【0077】
次に、会計事務所のオペレータは、プログラム上で入力担当者を指定し(S08−5)、公開ファイルを顧問先の公開フォルダへ登録する(S09−1)。すなわち、在宅入力管理部と履歴管理部の情報を基に、担当者テーブルに予め登録された担当者から適任の担当者を選択すると、(もしなければ)当該担当者への公開先フォルダが作成され、担当テーブルに仕訳データにかかる顧問先コードや公開先フォルダが登録される。そして、この公開フォルダに会計ファイル、仕訳データおよび関連付けられたレシート画像や電子帳表データが登録される。この場合、公開フォルダには実際のデータが格納される必要はなく、これらのデータのエイリアスを登録するようにしてもよい。この公開フォルダは、当該担当者のみからアクセス可能となるように、例えばパスワード認証や端末を特定した電子認証などの公開制限が設けられる(S09−2)。これらの処理が終了したら、電子メールや担当者端末の対応する参照入力プログラムへの通知設定などの手段によって、担当者に公開フォルダへのアクセスパス等と入力準備が整ったことの通知が行われる(S10−1)。なお、公開された時に後述する入力履歴の「公開日時」に公開フォルダの内容が公開された日時が記録される。
【0078】
この通知を受けた入力担当者は、在宅者端末300を用いてサーバー200から対象となる会計ファイルや画像データを取得し(S10−2)、例えば
図1に示すような複数画面式の参照入力画面350においてレシート画像と電子帳表データを参照しながら仕訳入力を行う(S11−1)。上述したように、参照入力画面350には仕訳入力の基となるレシート画像と、もしあれば関連する電子帳表データ(契約書や料金表などの関連書類)と、仕訳入力画面が同時に表示され、担当者はこれらの画像データを参照しながら仕訳入力を行うことができる。この仕訳入力画面は予め定められたアルゴリズムで表示される質問式で顧問先の担当者から仕訳処理に必要な情報を取得するような構成で作成された質問式入力データのみ(あるいは、レシート画像等および質問式入力データ)を参照する態様構成であってもよい。このような質問式伝票入力方式は本願出願人によるいくつかの特許出願に開示されている。担当者端末300で行われた作業の入力履歴も同時に作成または更新される(S11−2)。なお、上述の仕訳入力画面に参照されているレシート画像や電子帳表等は会計用の第一関連付けから会計用の第四関連付けの少なくとも1つ以上が関連付けがされており、全ての関連付けがされていてもよい。また申告入力画面の場合は申告入力画面に参照されているレシート画像や電子帳表等は税務用の第一関連付けから税務用の第四関連付けの少なくとも1つ以上が関連付けがされていてもよいし、全ての関連付けがされていてもよい。
【0079】
担当者による仕訳入力が終了したら(S11−3:Y)、サーバー200の公開ファイルの会計ファイルに登録される。このとき、進捗管理のため、一定時間毎に入力内容と入力履歴がサーバー200に送信されてもよい。また、何らかの理由で担当者が作業を中断するような場合も、入力済みの仕訳データまたは入力済みの会計ファイルデータと入力履歴がサーバー200に送られて、在宅者端末300に残らないように構成してもよい。これにより、中断中に第三者が在宅者端末300を使用することによる情報漏洩を防ぐことができる。作業終了時には在宅者端末300からメールやプログラム上で入力完了が会計事務所に通知され(S11−5)、公開フォルダに入力履歴が送信される(S11−6)。公開ファイル内で更新された仕訳データや会計ファイル、入力履歴はサーバー200のレコード(
図2−2)に反映される(S12−1、S12−2)。なお、在宅者ないし外注先の端末においては、レシート画像等が、どの顧問先のものであるかは不明な状態のままとして、単にレシート画像等を参照するだけで、仕訳入力を委託できる点においても、情報漏洩を防止する。なおサーバー登録後は、在宅者端末の入力済みの仕訳データ入力済みのまたは会計ファイルと入力履歴を削除しても良い。
【0080】
ここで、入力履歴について説明する。
図2−2に示す入力履歴は「実行日時」、「担当者」、「操作」、「会計年度」、「顧問先コード」、「ファイル名」、「仕訳番号」、「画像ファイル」、「文書ファイル」、「アプリ」、「公開日時」(図示せず)の項目からなるレコードである。実施例では在宅等の遠隔地等の入力担当者を示す「担当者」が「会計年度」2014年度の会計ファイルkaikei2014の(「ファイル名」)と関連付けられるレシート画像の「画像ファイル」14121001及び電子帳表(複数関連付けられる場合は「文書ファイル1」、「文書ファイル2」のように項目追加)の契約書141201002(「文書ファイル1」)と登記簿141201003(「文書ファイル2」)について、会計入力のアプリを使用して入力開始(「操作」)及び入力終了(「操作」)の実行日時と会計ファイルが公開された公開日時を記録している。入力履歴のレコードを蓄積することで、各担当者がいつどんな業務をしているか、会計ファイル、画像レシート及び電子帳表がいつ公開されたか等を履歴管理することができる。履歴管理する事で外部へ仕訳入力を委託した場合でも、入力者の進捗管理ができ、情報漏洩した場合でも、入力履歴から各担当者の業務状況を追跡でき、セキュアな管理ができる。
【0081】
[詳細フロー(4)レシート画像データと電子帳表データの関連づけ]
次に、レシート画像データと電子帳表データの関連づけ(4)に関する処理について、
図5−4を用いて説明する。本実施例は会計事務所のオペレータが顧問先ファイル管理プログラム(
図4−2)を用いてレシート画像と電子帳表データの関連づけを行う処理を説明する。会計事務所のオペレータは、会計アプリ(図示せず)を起動して、顧問先と会計期間を選択する(S13−1)。会計アプリは指定された顧問先と会計期間に該当する仕訳一覧を表示し、オペレータが関連づけの対象となる仕訳を選択する(S13−2)。会計アプリは指定された仕訳データと、当該仕訳データに関連づけされているレシート画像や電子帳表データ、または会計ファイルと関連付けられたレシート画像や電子帳表データを抽出して順次表示する(S13−3)。そして、対応する顧問先ファイル管理プログラム(
図4−2)を用いて顧問先、会計年度、必要であれば検索タグを指定して(S13−4)、関連付けたい電子帳表データを検索する(S13−5)。
図4−3のGUI画面3に示すように、画面上には、呼び出したレシート画像と、検索条件に該当する電子帳表データが一覧表示されるので(S13−6)、オペレータは関連づけする電子帳表データを例えばレシート画像上にドラッグ&ドロップ操作して(S14−1)、レシート画像および選択した電子帳表データを参照しながら仕訳入力を行う(S14−2)。この仕訳入力において、参照して資料がレシート画像だけの場合は、仕訳データとレシート画像が関連付けられる(会計の第1の関連付け)。参照した資料が電子帳表データだけの場合は、仕訳データと電子帳表データとが関連付けられる(会計の第2の関連付け)。参照した資料がレシート画像に加え1以上の電子帳表データの場合には、当該レシート画像と電子帳表データとが関連付けられる(会計の第3の関連付け)(S14−3)。このようにして、仕訳データと、レシート画像データと、電子帳表データの関連付けがサーバー200の関連画像データ(
図2−2)に登録される(S14−4)。なお、ドラッグ&ドロップ操作は必須ではなく、レシート画像を表示中に、検索して一覧表示した電子帳表データの中から、選択した電子帳表データを参照したことをもって、その仕訳データと電子帳表データないし、そのレシート画像と電子帳表データとを関連付けるようにしても良い。
【0082】
図4−3のGUI画面3に示すように、レシート画像に電子帳表データを関連付けた場合には、レシート画像の近傍に、電子帳表データが関連付けられたことを示すアイコンが表示される。そして、後に、決算書作成あるいは申告書作成ないし監査業務を行なう際に、レシート画像を参照する場面において、前記のアイコンをクリック等すると、関連付けられた電子帳表データが、時系列毎、書類種別毎に区分けして、時系列順、書類種別順、タグ情報の優先順位順等の特定ルールに基づいて一覧表示されるようにして、関連する書類を確認できるように構成することができる。この構成については後に詳述する。
【0083】
図4−3のGUI画面3を用いた関連付けにおいて、表示しているレシート画像に関連付けられた顧問先名と、電子帳表データに関連付けられた顧問先名が違う場合、両画像データの処理年度が異なる場合、および両画像が既に関連付けられている場合等は、エラーメッセージを出して関連付けできないようにする。これにより不適切な関連付けが防止される。
【0084】
図4−4(a)(関連づけアイコンの遷移図)は、レシート画像が仕訳データや電子帳表と関連しているかを示すアイコンの遷移を示した一覧である。このアイコンは、仕訳入力時にレシート画像が表示されるウィンドウ内に表示される。このアイコンをクリックすると(あるいはレシート画像等の上にカーソルがくると)、関連付けされた電子帳表の一覧が表示され、その一覧から特定の電子帳表をクリックすると対象の電子帳表が表示されるように構成される。電子帳表の一覧表示は、同時に、関連づけの表示対象になる電子帳表の表示/非表示を切替えるための設定手段も兼ねることができる。例えば、
図4−4(b)(関連づけがある場合に関連表示を解除する電子帳表の選択画面)のような態様である。
【0085】
例えば、
図4−4(b)に記載のように、一覧表示の各電子帳表の列に、関連付け表示の解除ボタンを設けて、この解除ボタンをクリックするかどうかで(ないしチェックマークを入れるかどうかで)、関連付け表示しない(解除ボタンON)、関連付け表示する(解除ボタンOFF)という機能を持たせることができる。このほか、解除の意味づけとしては、関連づけの表示対象にするかしないかだけでなく、関連づけそれ自体を解除するようにしてもよい。この場合、解除フラグは、関連づけ自体を解除する意味のフラグとして把握される。
【0086】
図4−4(a)に示すように、会計処理中の当該顧問先において当該処理中の年度の「電子帳表の有無」と「表示されたレシート画像への関連づけ」の観点から3種類の状態遷移を示している。3種類の状態を示すアイコン表示として、それぞれ異なる概観のアイコンを用意したり、2種類のアイコンと非表示で表示するほか、1種類のアイコンで色を変えたり、グレーアウトしたりしても良い。あるいは、単に文字列で「関連付けあり/関連付けなし」という表示をしても良い。そのほか、1文字や記号で、関連付けられた資料があることを意味する「関」とか、参考資料を意味する「参」とか、英文字でRelation(関係を意味する)の「R」ないし、Connection(結合を意味する)の「C」などの文字であっても良い。また、常時表示されるアイコンや文字列ではなく、レシート画像等の上にカーソルを合わせると、浮かび上がったり、ポップアップ表示されるアイコンや文字列であっても良い。なお、一実施例としての図では、このうち2種類のアイコンと非表示で関連づけされた電子帳表データの有無を表す様子を示している。ここで、「!」マークの輪郭が実線(その他の線種でもよい)のアイコンは、会計処理中の当該顧問先において当該処理中の年度の電子帳表がある場合で、かつ表示されたレシート画像への関連づけがある場合に表示される。「!」マークの輪郭が点線(その他の線種でもよい)のアイコンは、会計処理中の当該顧問先において当該処理中の年度の電子帳表はあるが、表示されたレシート画像への関連づけがない場合に表示される。アイコン表示されていない場合は、会計処理中の当該顧問先において当該処理中の年度の電子帳表がない場合で、かつ表示されたレシート画像への関連づけがない場合である。関連付け解除のチェックを表示画面上につけるかどうかは、関連画像データテーブル(
図2−2)の表示解除フラグ1〜nで設定を反映している。
【0087】
なお、関連づけの表示/非表示の設定(解除ボタンの設定)は、管理者権限のあるユーザだけが設定可能として、入力担当者には、関連付け表示がON(解除ボタンの設定がOFF)の電子帳表だけを表示可能としても良い。この場合、入力担当者がこの画面を表示した場合は、グレーアウトしており解除状態を変更することはできないようにする。
【0088】
[詳細フロー(5)過年度の書類との関連付け]
最後に、過年度の書類との関連付けに関する処理(5)について、
図5−5を用いて説明する。上述したように、例えば株式等の損失は3年間繰り越せることから、損失に関わる電子帳表データに関連付けられる会計年度の情報を予め必要な年数にわたり登録することにより、過年度の必要な電子帳表データを次の会計年度での法人税アプリ等の処理で呼び出せるようにする処理を行う。
【0089】
会計事務所のオペレータが顧問先ファイル管理プログラム(
図4−2)を用いて顧問先と会計期間を指定し、必要に応じて検索タグを指定する(S16−1)。ここで、検索する画像データの対象を過年度に設定すると(S16−2)、検索対象期間が会計年度から過年度管理テーブルの検索対象の過去に遡った期間に変更される(S16−3)。プログラムは、予め登録された過年度管理テーブル(
図5−5右下に示す)を参照して、指定されたタグおよび過年度管理テーブルに登録されているタグで画像データを検索する(S16−4)。この過年度管理テーブルには、所定のタグ(例えば、損失、確定申告、株式等)と対応する検索対象期間(例えば3年)が登録されており、画像レコードに関連付けられたタグにこれらのタグが含まれるものが抽出され、一覧表示される(S16−5)。オペレータは対象とするレシート画像と電子帳表データを選択し(S16−6)、レシート画像と電子帳表データおよびアプリが作成するファイルをサーバー200へ登録すると(S16−7)、画像レコードの会計年度の欄が、例えば
図5−5に示すように「2014年度」とあるのが「2012年度〜2014年度」と3年間に変更される。これにより必要な画像データを他年度にわたり顧問先ないしレシート画像や会計ファイルに関連づけすることができる。また、仕訳の繰越処理を行う場合は、繰越元の仕訳データに関連付けられているレシート画像、電子帳表等の関連付け情報及びタグ情報を繰越先の仕訳データに継承(関連付け)した上で、さらに繰越元の仕訳データと繰越先の仕訳データの関連付けを行うことで、次年度に繰越先の仕訳データの入力を行う際に、繰越元の仕訳データだけでなく、その元となるレシート画像、電子帳表等も遡って確認することができるようにしてもよい。
【0090】
図7、8は、レシート画像や電子帳表データなどを参照しながら入力した際に、入力データに対し、参照したレシート画像等を関連付ける様子を示した図である。図を概観すれば分かるように、データ入力(作成)の際に参照したレシート画像等を入力(作成)データとその都度、関連付けしていく様子と、さらに、このような参照と関連付け処理が、順次、重み畳っていくことで、入力(作成)に必要な資料が一目で分かると共に、監査の際にどのような資料を元に入力(作成)したのかが分かる様子を示した図である。これらの図に示すように、本発明では、まず参照する原始証憑データ(レシート画像)をロードして参照して仕訳入力するための準備が行なわれる(
図7のS03)。その後、会計入力担当者によりレシート画像を参照しながら仕訳入力をする際には、レシート画像および関連付けられた電子帳表データが自動的に呼び出され、担当者はこれらの画像を見ながら会計入力(仕訳入力)を行うことが出来る(
図7のS12)。この処理において、作成された仕訳データと、基となるレシート画像、そして必要な電子帳表データが関連付けられる。
【0091】
そして、会計事務所の作業として年に一度顧問先の決算書を作成することが挙げられる。これはその会計年度のすべての仕訳データを統合して行われ、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表(決算書)が作成される。決算書を作成し、出力した電子帳表データとして登録する際には、顧問先から取得した電子帳表データ(契約書等)と同様に、決算書作成の際に参照したレシート画像ないしレシート画像に関連付けられた電子帳表データ(契約書等)を、さらに関連付けする。これにより、自動的に決算書と多数の仕訳データ、およびこれに関連付けられた電子帳表データの関連付けも達成される。作成された財務諸表決算書も一つの電子帳表データであり、顧問先毎のフォルダに格納され、関連付け情報が管理される(S51)。
【0092】
さらに、会計事務所は決算書に基づいて税務署に提出する税務申告書を作成する(S52)。本発明ではこの申告データ(申告書)を作成し、出力した電子帳表データとして登録する際には、参照した決算書(電子帳表データ)と申告書(電子帳表データ)とを関連付け、その結果として申告書(電子帳表データ)には用いられたレシート画像および電子帳表データが関連付けられ、この電子帳表データには契約書等の他、財務諸表決算書が含まれることとなる。
【0093】
以上のような処理により、監査業務において過去の申告データを呼び出した場合に、自動的に当該申告データに拘わるすべてのレシート画像やすべての電子帳表データをすぐに参照することが可能となり、会計業務の効率化を図ることができる。
【0094】
以上、本発明の数々の実施形態および実施例について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態ないし実施例に限定されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲を逸脱することなく様々な変形例、変更例として実現することができ、このような変形例、変更例はすべて本発明の技術的範囲に属すると解されるべきである。