(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の前記伸縮ブームは、一対の前記ブームシリンダー内で油圧又は空圧により伸縮自在となることを特徴とした、請求項1に記載の開削工法における地中構造物搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、文献1に係る考案は、側溝ブロック施工装置の4個の脚の下端には、それぞれ平行面に沿って走行可能な車輪(キャスター)を設けており、この車輪を利用して該装置を走行させるものであるが、この考案はレール上を走行するものではないため、重量物を吊り上げた状態で走行する際、特に、カーブ(湾曲)した箇所を走行する際は、バランスを崩して側溝に落ちるおそれがある。
【0008】
また、文献2に係る発明は、湾曲して敷設されるものが左右の走行用レールであるため、細かい角度の調節が困難となる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明の目的は、開削工法において、トラッククレーン等の重機を使用することなく、重量物を吊り上げた状態で走行する際、特に、カーブ(湾曲)した箇所においても安定した状態で地中構造物の運搬、埋設を行うことができる開削工法における地中構造物搬送装置及び地中構造物搬送方法を提供するものである。
【0010】
請求項1の発明は、地表から地盤に溝を
長手方向に掘削し、掘削溝に地中構造物を埋設する開削工法における地中構造物搬送装置であって、
掘削溝の短手方向の両側の地表に
長手方向に敷設し、
後述する走行台車を案内する
左右一対の搬送レールと、
長手方向に敷設した搬送レールと搬送レールとの間に連結敷設する接続プレートと、一対のブームシリンダーと、一対のブームシリンダー内において伸縮自在となる一対の伸縮ブームと、一対の伸縮ブームの上端に架設したアームと、を備えた門型リフターと、アームに懸垂走行自在に取り付け、チェーンブロックを吊り下げたギヤードトロリと、一対のブームシリンダーが立設する一対の走行台車と、一対の走行台車を走行させる電動走行装置と、を備え、
搬送レールは、長手方向の端面の連結部に締結具固定用の固定穴を穿設し、接続プレートは、平面視長方形状の平坦プレート、又は、平面視扇形状の傾斜プレートに分けられ、搬送レールの連結部に接続固定する本体部に、締結具固定用の貫通固定孔を穿設し、長手方向に敷設した両搬送レールの両連結部に、接続プレートの本体部を構成する面である両サイド面を当設し、搬送レール同士を接続することを特徴とした、開削工法における地中構造物搬送装置である。
【0011】
請求項2の発明は、一対の伸縮ブームは、一対のブームシリンダー内で油圧又は空圧により伸縮自在となることを特徴とした、請求項1に記載の開削工法における地中構造物搬送装置である。
【0012】
請求項3の発明は、走行台車が転倒することを防止する転倒防止手段をさらに備え、転倒防止手段は、走行台車の正面側、及び/又は、背面側に固定する固定部と、固定部の側面下方から垂直方向に延びる腕部と、腕部の自由端から水平方向に延びるサポート部とからなり、正面視L字状、又は、反転L字状であることを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載の開削工法における地中構造物搬送装置である。
【0014】
請求項
4の発明は、接続プレート
の本体部は、正面視長方形、又は、正方形であることを特徴とした、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の開削工法における地中構造物搬送装置である。
【0015】
請求項
5の発明は、接続プレートは、
本体部と、
本体部から垂直方向に突出した接続サポート部とからなり、正面視L字状、又は、反転L字状であることを特徴とした、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の開削工法における地中構造物搬送装置である。
【0017】
請求項
6の発明は、請求項1から請求項
5に記載された開削工法における地中構造物搬送装置を利用する開削工法における地中構造物搬送方法であって、左右一対の搬送レールの一方側を、湾曲した掘削溝の外側長手方向に沿って複数敷設する第1の工程と、一方側の搬送レールと搬送レールの間に、接続プレートを連結敷設し、一方側の搬送レール同士を接続する第2の工程と、左右一対の搬送レールの他方側を、一方側の搬送レールと対峙側に掘削溝の外側長手方向に沿って複数敷設する第3の工程と、一方側の搬送レールの長手方向の端面に対し、他方の搬送レールの長手方向の端面を面一にする第4の工程と、他方側の搬送レールと搬送レールの間に接続プレートを連結敷設し、他方側の搬送レール同士を接続する第5の工程と、を備え、地中構造物搬送装置を、湾曲走行に対応させることを特徴とした開削工法における地中構造物搬送方法である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、狭い場所や上方に障害物がある場所での地中構造物の搬送作業が可能となる。具体的には、高架下や鉄橋下等の作業が制限されるような場所、道幅が狭い場所等、大型のクレーンが使用できない場合にも運搬作業が可能となり、また、トンネル内の運搬作業にも対応可能となる。したがって、限られた場所、掘削区間であっても、掘削箇所に地中構造物等搬入することができる。さらには、安全性の向上および省力化を図ることができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、前記ブームシリンダー内で伸縮ブームを油圧又は空圧により伸縮自在とすることができるため、装置自体がコンパクトになる。
【0020】
請求項3の発明によれば、転倒防止手段によって、走行台車が転倒することを防止するができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、簡易な構造の接続プレートにより走行台車に載設した門型クレーンを直線走行や湾曲走行に対応させるができる。
【0022】
請求項5、請求項6の発明によれば、種々の接続プレートによって直線走行や湾曲走行に対応させることができ、また、搬送レールと接続プレートを接続することができる。
【0023】
請求項7の発明によれば、搬送レールの敷設工程により、走行台車に載設した門型クレーンを直線走行に対応させるができる。
【0024】
請求項8の発明によれば、搬送レール及び接続プレートの敷設工程により、走行台車に載設した門型クレーンを、細かい角度に対応させて、湾曲走行させるができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、地中構造物搬送装置100及び地中構造物搬送方法、より具体的には、地表から地盤に溝を掘削し、この溝(掘削溝P)に地中構造物50(重量物)を埋設する開削工法(開削シールド工法も含む)における地中構造物搬送装置100及び地中構造物搬送方法である。
【0027】
まず、地中構造物搬送装置100について説明する。この地中構造物搬送装置100の主な構成物品としては、門型リフター1、ギヤードトロリ2、走行台車3、電動走行装置39、搬送レール41、接続プレート42等である。以下、各構成物品について説明する。
【0028】
門型リフター1は、一対のブームシリンダー11、11内において伸縮自在となる一対の伸縮ブーム12、12と、この一対の伸縮ブーム12、12の上端12aに架設したアーム15とを備えている。そして、このように一対のブームシリンダー11、11及び一対の伸縮ブーム12、12とアーム15によって門型に配置されている(
図1、
図3等参照)。
【0029】
一対の伸縮ブーム12、12は、ブームシリンダー11内で油圧又は空圧により伸縮自在、すなわち、それぞれ油圧又は空圧によって上下に伸縮させることができる。このように、一対の伸縮ブーム12、12は、ブームシリンダー11内で油圧又は空圧により伸縮自在となるが、油圧により伸縮自在とする構成が望ましい。以下、油圧により伸縮ブーム12が伸縮自在とする構成について説明する。
【0030】
一対のブームシリンダー11、11は、油圧の発生装置であるところの電動油圧ユニット19と各油圧ホース14、14で繋がっている。具体的には、一対のブームシリンダー11、11の下方側には油圧接続部11aを備えており、この油圧接続部11aに各油圧ホース14、14の一端が接続される(
図2参照)。そして、各油圧ホース14、14の他端が電動油圧ユニット19と接続される。
【0031】
このように、一対のブームシリンダー11、11と電動油圧ユニット19は、各油圧ホース14、14を介して接続され、操作者101が電動油圧ユニット19の操作スイッチ19a等を操作することによって伸縮ブーム12の伸縮等を行う。なお、電動油圧ユニット19には制御盤が備えられており、電動油圧ユニット19から一対のブームシリンダー11、11に送り込む作動油の油量や圧力等を制御している。また、制御盤と操作スイッチ19aは、有線(操作ケーブル)で繋がっている。
【0032】
ブームシリンダー11は、油圧を作動流体とする油圧ブームシリンダーを用いる。すなわち、油圧ブームシリンダー内の伸縮ブームを上下動させることによって直線送り駆動機構となる。したがって、油圧ブームシリンダーの伸縮ブーム12が直線送りされることによって、アーム15や、ギヤードトロリ2を介して吊り下げられている地中構造物50も上下動させることができる。
【0033】
図4で図示したように、アーム15には、主に鋼材が利用される。具体的にはH形鋼を使用し、上フランジ15a、下フランジ15c、上フランジ15aと下フランジ15cを繋ぐウェブ15bで構成されている。
【0034】
アーム15と伸縮ブーム12の接続に関しては、アーム15の長手方向Lの両側と伸縮ブーム12の上端12aがボルトやナット等の締結具17で接続固定される。具体的には、アーム15両側の下フランジ15cに伸縮ブーム12の上端12aが接続固定される。
【0035】
上述のように、伸縮ブーム12、12の上端部12a、12aにアーム15を架設しているが、さらにこのアーム15にはギヤードトロリ2を懸垂走行自在に取り付け、さらにこのギヤードトロリ2にチェーンブロック25を吊り下げている。
【0036】
すなわち、ギヤードトロリ2は、左右方向(アームの長手方向L)にアーム15上を走行するトロリであり、さらには、地中構造物50等を上下方向に移動させるチェーンブロック25を備えている。すなわち、地中構造物50等を荷揚げするチェーンブロック25とアーム15上を走行するトロリが組み合わさったチェーンブロック25付きトロリである。
【0037】
このように、ギヤードトロリ2が水平ガイドレールとなるアーム15(下フランジ15c)上を水平(横)移動可能となるが(
図3参照)、この移動は主に、操作チェーン2aによる操作者101のハンド操作によってギヤードトロリ2自体を移動させるものである。
【0038】
このギヤードトロリ2は、周知のギヤードトロリ2を利用することができる。ギヤードトロリ2の主な構成物品としては、例えば、一対のトロリフレーム21、21と、操作チェーン2aを巻掛け、この操作チェーン2aによって回転する操作ホイール2bと、操作ホイール2bに配設されるピニオン軸2cと歯合し、車軸を介して回転する車輪22a(操作ホイール側)と、ピニオン軸2cと歯合せず、車軸を介して回転する車輪22b(操作ホイールと反対側)と、連結支持部材23等が挙げられる(
図4参照)。
【0039】
図4で図示したように、門型リフター1の進行方向G前後に一対のトロリフレーム21、21が、アーム15の短手方向Sに間隔をおいて配置されている。すなわち、一対のトロリフレーム21、21がアーム15を挟み込むような形で配置される。
【0040】
各トロリフレーム21、21には、2個の車輪(22a、22a、又は、22b、22b)が並設されている。具体的には、各トロリフレーム21、21に対して2個の車輪が車軸を介して回転可能に支持されている。したがって、両トロリフレーム21,21で合計4個の車輪が設置されていることとなる。
【0041】
操作ホイール2b側の車輪22a、22aにはギア部を備えており、ピニオン軸2cの一端がこのギア部と歯合し、ピニオン軸2cの他端に操作ホイール2bが配設されている。
【0042】
そして、各トロリフレーム21、21の下部において架設された連結支持部材23により、各トロリフレーム21、21が連結されることによってトロリが構成されている。
【0043】
このように構成されるギヤードトロリ2においては、H形鋼からなるアーム15の下フランジ15cの上面に車輪が乗せられ、ギヤードトロリ2がアームの長手方向Lに横行することができる。
【0044】
そして、上記一対のトロリフレーム21、21の下端を接続する連結支持部材23にチェーンブロック25の上部フック(不図示)、連結部材等が掛けられ、そして、吊り荷用のフック27がロードチェーン26bを介して下方に垂下される(
図1参照)。このようにして、横走行用のレールとなるアーム15上において、チェーンブロック25を吊り下げたギヤードトロリ2が懸垂走行自在となる。したがって、長手方向Lに掘削した掘削溝Pの上を横(掘削溝Pの短手方向S)移動(水平移動)可能となるため、吊り下げられた地中構造物50等も同様に掘削溝Pの上を横(掘削溝Pの短手方向S)移動(水平移動)可能となる。
【0045】
また、ギヤードトロリ2の横移動する範囲を制限するために、アーム15に横行ストッパ18を備えてもよい。具体的には、アーム15のウェブ15b等に横行ストッパ18を備えると、この横行ストッパ18を越えてギヤードトロリ2が横行することがないため、掘削場所等の関係でギヤードトロリ2の横移動(短手方向S移動)する範囲を制限するのに有効である。なお、
図1等では複数個設置しているが、アーム15のウェブ15bの横行ストッパ18を備える箇所や数に関しては、任意に決定することができる。
【0046】
このチェーンブロック25は、周知のチェーンブロック25を利用することができ、主に手動で操作を行うものである。すなわち、操作者101の手によってハンドチェーン25aを上から下へ送り出しを繰り返すことによって、ロードチェーン26bの巻き上げ、巻き下げがなされる。
【0047】
チェーンブロック25のロードチェーン26bの一端部にはフック27が取付けられており、このフック27で地中構造物等を引っ掛ける。これによりハンドチェーン25aを操作することによって、フック27で引っ掛けた地中構造物59等を上下方向に移動させることができる。すなわち、ハンドチェーン25aを操作してロードチェーン26bを巻き上げることによって地中構造物50等を持ち上げ、ロードチェーン26bを巻き下げることによって地中構造物50等を下ろすことができる。
【0048】
なお、その他、アーム15にハンガー16を取り付けることもでき、このハンガー16で地中構造物50等を吊り下げ、持ち上げることもできる。このハンガー16では、主に、トラック等に積んで運搬してきた地中構造物50等を、そのトラックの荷台から下ろす際に使用することができる。
【0049】
地中構造物50は、掘削溝Pに埋設するものであり、代表的な物としては、例えば、ボックスカルバートが挙げられる。
【0050】
ここで、ボックスカルバートの持ち上げ等について説明する。まず、ボックスカルバートには吊り金具を取り付け、そして、この吊り金具にワイヤーの一方側を引っ掛け、ワイヤーの他方側をロードチェーン26bのフック27に引っ掛けることによって、ボックスカルバートを持ち上げたり、下ろしたりすることができる。
【0051】
なお、地中構造物50は、ボックスカルバートの他、コンクリートブロック、水路、側溝、その他の重量物が該当する。また、重量物の持ち上げ等に関しては、吊り金具やワイヤー等の他、どのような物を介して行ってもよいし、どのような方法で行ってもよい。
【0052】
走行台車3は、後述する搬送レール41上や接続プレート42上を走行する走行体であって、主な構成物品として、走行フレーム31、車輪部、ガイドローラ38、電動走行装置39等で構成される。なお、この走行台車3には門型リフター1の構成物品である一対のブームシリンダー11、11が立設されるため、本発明における走行台車3も一対で構成される。
【0053】
走行フレーム31は、走行台車3の本体となるもので、車輪部、電動走行装置39等が備えられ、既述したようにブームシリンダー11が立設している。
【0054】
車輪部は、前側に備えた前側車輪部33a、後側に備えた後側車輪部33bに分類することができる。前側車輪部33a、後側車輪部33bは、それぞれ、回転軸34と、円柱状の鉄輪である一対の回転体35、35と、両回転軸受け36、36(ベアリング)とで構成されている。
【0055】
回転軸34、回転軸受け36、回転体35の配置関係の一例としては、次のとおりである。走行フレーム31の両側面に回転軸受け36を備え、両回転軸受け36、36が回転軸34を支持することによって回転軸34が走行フレーム31の両側面に架設されている。そして、回転軸34の両両端に回転体35、35が装着される。すなわち、走行フレーム31の両側面と回転軸34の間に回転軸受け36を備え、回転する回転軸34には回転体35、35が配設されている。
【0056】
回転体35は、走行フレーム31の外側に配置される。換言すると、一対の回転体35、35で走行フレーム31を挟持するように配置される。このような構成の前側車輪部33a、後側車輪部33bが走行フレーム31に備えられている。
【0057】
安定性等の観点から、ブームシリンダー11は走行フレーム31の略中央、具体的には、前側車輪部33aと後側車輪部33bとの間から立設している。
【0058】
また、走行台車3の安定的な走行のため、走行フレーム31には、搬送レール41や接続プレート42に沿って案内するガイドローラ38を備える。このガイドローラ38は、搬送レール41や接続プレート42に沿って転動するもので、周知の構造を利用するものである。また、ガイドローラ38の数は問わないが、各回転体35、35の前後、すなわち、各回転体35、35を挟むようにして、前側車輪部33aの一対の回転体35、35の前後に4個、後側車輪部33bの一対の回転体35、35の前後に4個の計8個備えることが望ましい。
【0059】
さらには、走行台車3に転倒防止手段37を備えることもできる。この転倒防止手段37は、具体的には、正面視L字状、又は、反転L字状のプレート状(
図1参照)で、走行フレーム31に固定され、転倒防止手段37のサポート部37cが走行台車3と搬送レール41等との間に配置される。
【0060】
転倒防止手段37は、走行台車3の走行フレーム31の正面側(前進側)、及び/又は、背面側(後進側)に固定する固定部37aと、この固定部37aの一方側の側面下方から垂直方向に延びる腕部37bと、この腕部37bの自由端から水平垂直方向に延びるサポート部37cとからなり、
図14で図示したように、平面視すると、略T字状となる。換言すると、転倒防止手段37は、その固定部37aを、走行台車3の走行フレーム31の正面側、及び/又は、背面側に固定する正面視長方形状とし、また、腕部37bは、固定部37aの側面下方にその基端で固定され垂直方向に延びると共に、反対側の自由端から両側に掛けて水平垂直方向に延びるサポート部37cを備えている。なお、固定部37aには貫通固定穴37a1が穿設されている。
【0061】
転倒防止手段37の固定に関しては、走行フレーム31の正面側、及び/又は、背面側にはネジ溝が螺設された固定穴を設けており、転倒防止手段37の固定部37aが走行フレーム31の正面側、及び/又は、にボルト等の固定具で固定される。
【0062】
走行台車3の転倒を防止することができればどのような形状、構成であってもよいし、どのような位置に備えてもよい。また、走行台車3のどの部分に設けられていてもよい。
図1のように、2つの転倒防止手段37が隣設するのが望ましい。具体的には、前側車輪部33aの前に2つの転倒防止手段37が隣設し、また、後側車輪部33bの後にも2つの転倒防止手段37が隣設するのが望ましい。このような配置の転倒防止手段37によれば、進行方向Gに対して左右方向への転倒はもちろんのこと、進行方向Gへの転倒をも防止することができる。
【0063】
走行台車3には、この走行台車3自体を走行させる電動走行装置39を備えている。電動走行装置39は、電力により走行台車3の回転体と連動する走行モータを駆動して走行台車3を走行させる装置である。
【0064】
電動走行装置39は、走行台車3の走行フレーム31の平面であって、後側車輪部33bの近傍に備えられており、後側車輪部33bの回転体35、35と連動し、後側車輪部33bの回転体35、35が回動することによって走行台車3を走行させる。具体的には、モータ回転軸の他端に第一スプロケットが配設され、第二スプロケットの軸穴に回転軸34が挿入され、第一スプロケットと第二スプロケットにローラーチェーンが巻掛けられている。そして、モータ回転軸が回転するとローラーチェーンを介して回転軸34も回転し、これにより回転軸34に装着された後側車輪部33bの回転体35が回転することによって走行台車3が走行する。
【0065】
また、走行台車3を走行させる走行モータには減速機付電動モータを採用しており、減速機付電動モータの作動を制御する運転制御部が配設されている。
【0066】
走行台車3を案内する手段としては、主に搬送レール41や接続プレート42が挙げられ、掘削区間の地表に敷設された搬送レール41上や接続プレート42上を走行台車3が走行可能となるものである。すなわち、門型リフター1を載せた走行台車3を搬送レール41や接続プレート42に沿って走行させ、この走行台車3が搬送レール41や接続プレート42を敷設した走行区間を前後進させることができる。なお、この搬送レール41や接続プレート42は、一対の走行台車3を走行させるものであるため、一対で構成される。
【0067】
一対の搬送レール41、41は、長手方向Lに掘削した掘削溝Pを跨ぐように、掘削溝Pの短手方向S両側に敷設する。換言すると、一対の搬送レール41、41の間に掘削溝Pが存在することとなる(
図13参照)。
【0068】
門型リフター1が載設される走行台車3を案内する搬送レール41、41は、正面(端面)から図示した
図5で図示したように、主に走行面41a、突出部41b、切欠部41c、地面設置面41d、連結部41fに分けることができる。
【0069】
走行面41aは、走行台車3の回転体35が載置され、走行する面である。すなわち、この走行面41aに沿って走行台車3の回転体35が回転することによって走行台車3が搬送レール41の長手方向Lに走行することができる。走行面41aは、一対の回転体35、35が載置するため、搬送レール41の短手方向Sの両端側に長手方向Lに沿って備えられている。なお、
図5では、走行面41aの内側にかけてスロープ部を設けているが、段差を設けた段差部としてもよい。
【0070】
突出部41bは、搬送レール41の短手方向Sの両端面から突出した部分で、長手方向Lに沿って備えられている。そして、この突出部41bの突出内側面41b1に沿ってガイドローラ38が転動する。
【0071】
切欠部41cは、搬送レール41の短手方向S略中央で、走行面41aと走行面41aとの間に長手方向Lに沿って備えられている切り欠きスペースで、走行台車3に備えられた転倒防止手段37のサポート部37cが介在することとなる。
【0072】
また、搬送レール41は、
図5で図示したように、長手方向Lの端面の連結部41fに締結具固定用の固定穴41eを穿設しており、ボルトやナット等の締結具を用いて搬送レール41同士を連結して繋げることができる(
図8参照)。この固定穴41eは、丸穴の他、長穴とするのが望ましい。
【0073】
搬送レール41の長さの一例として、搬送レール41の長手方向Lの長さを3メートルから6メートルのものが挙げられるが(
図10〜
図12参照)、これらに限定されるものではない。また、搬送レール41には、一対の回転体35、35が載置されるため、両側に走行面41a、41aと、地面設置面41d、41dを備えているが(
図5参照)、この地面設置面41dと地面設置面41dを連結する連結板41xを適所に備えている。
【0074】
なお、例えば、H形鋼を利用し、下フランジを地面設置面41dとし、上フランジを走行面41aとして、上フランジの外側端部から突出部41bを備え、長手方向Lの端面に連結部41fを備える構成であってもよい。
【0075】
接続プレート42は、カーブ(湾曲)に沿って搬送レール41を敷設するために、搬送レール41と搬送レール41の間に配置敷設されるプレートである。すなわち、搬送レール41と搬送レール41との間に接続プレート42を連結敷設し、搬送レール41同士を接続することができ、カーブ内側I及びカーブ外側Oに配置されるものである(
図9参照)。
【0076】
この接続プレート42は、平面視扇形状、すなわち、傾斜がある傾斜プレート47(
図7(a))、又は、平面視長方形状、すなわち、傾斜がない平坦プレート48(
図7(b))に分けられ、これらのプレートを一種類一個、又は、複数種類複数個組み合わせて配置敷設することができ、カーブ走行させる角度によって適宜配置敷設することができる。なお、傾斜プレート47の傾斜角度は問わない。
【0077】
接続プレート42の構成部分としては、
図6(a)で図示したように、カーブ内側Iに配置される接続プレート42の場合は、搬送レール41の連結部41fに接続固定する本体部44からなり、
図6(b)で図示したように、カーブ外側Oに配置される接続プレート42の場合は本体部と、この本体部44から垂直方向に突出した接続サポート部45とからなる。また、接続プレート42の本体部44には、
図6(a)、
図6(b)で図示したように、締結具固定用の貫通固定穴42eを短手方向Sに穿設している。この貫通固定穴42eの位置や角度は問わない。この貫通固定穴42eは、丸穴の他、長穴であることが望ましい。また、貫通固定穴42eを長穴とした場合、座金などを介在させることとなる。
【0078】
また、接続プレート42の構成面としては、地面に設置する地面設置面42b、走行台車3が走行する走行面42a、搬送レール41の連結部41fや接続プレート42が当設する両サイド面42c、42cがある。また、カーブ外側Oに配置される接続プレート42の場合は、さらに上端面45a、内側側面45bが備わる。さらには、搬送レール41の内側や外側に位置する側面(42i、42o)も備わる。
【0079】
この接続プレート42は、
図6、
図9のように、カーブ外側Oに敷設する接続プレート42とカーブ内側Iに敷設する接続プレート42で地面設置面42bの長さ、また、形状自体を変えることもできる。一般的には、カーブ外側Oに敷設する接続プレート42の方が、カーブ内側Iに敷設する接続プレート42よりも地面設置面41dが長くなる。また、形状に関しては、
図6(a)で図示しているように、主に、カーブ内側Iに配置される接続プレート42の場合は、正面視長方形、又は、正面視正方形、
図6(b)で図示しているように、主に、カーブ外側Oに配置される接続プレート42の場合は、正面視L字状、又は、反転L字状である。
【0080】
図9で図示したカーブ内側Iのように、搬送レール41の内側面41iよりも接続プレート42の内側面42iを埋没した構成の他、図示しないが、搬送レール41の内側面41iと接続プレート42の内側面42iを面一としてもよい。また、
図9で図示したカーブ外側Oのように、搬送レール41の外側面41oよりも接続プレート42の外側面42oを突出した構成の他、図示しないが、搬送レール41の外側面41oと接続プレート42の外側面42oを面一としてもよいし、搬送レール41の外側面41oと接続プレート42の外側面42oを埋没した構成であってもよい。
【0081】
カーブ外側Oに配置される接続プレート42の場合は、上述のように、本体部44と、本体部44から垂直方向に突出した接続サポート部45とからなるため、カーブ走行によって遠心力がかかった場合であっても、この接続サポート部45によって走行台車3が搬送レール41上から逸脱しにくくなる。
【0082】
ガイドローラ38が搬送レール41の突出内側面41b1や接続プレート42の内側側面45bに沿って転動することを考慮すると、接続プレート42の内側側面45bは、搬送レール41の突出内側面41b1と面一で傾斜した状態とするのが望ましい。
【0083】
以上のように、掘削区間に敷設した搬送レール41や接続プレート42に沿って走行台車3を走行させることができる。こうして走行台車3を掘削区間の地中構造物50等の埋設スペース上に至るまで前進させ、地中構造物50等を掘削溝Pに埋設することができる。
【0084】
次に、開削工法における地中構造物搬送装置100を利用する開削工法における地中構造物搬送方法について説明する。
【0085】
前提の工程として、掘削箇所の地表から地盤に溝を掘削し、この溝(掘削溝P)の左右面にメッセル(不図示)等を貫入し、その上で、以下の各工程を経ることによって、掘削溝Pに地中構造物50を搬送し、埋設することができる。
【0086】
まず、地中構造物搬送装置100を直線走行させるための地中構造物搬送方法について説明する。
【0087】
第1の工程として、左右一対の搬送レール41の一方側を、略直線状となる掘削溝Pの外側長手方向Lに沿って複数敷設する(
図15参照)。すなわち、左右一対の搬送レール41のうち、片側である一方側の搬送レール41を掘削溝Pに沿って長手方向Lに複数敷設する。
【0088】
第2の工程として、一方側の搬送レール41同士を接続する。接続固定する場合は、ボルトやナット等の固定具43を介して行う(
図8参照)。
【0089】
第3の工程として、左右一対の搬送レール41の他方側を、一方側の搬送レール41と対峙側に掘削溝Pの外側長手方向Lに沿って複数敷設する(
図16参照)。すなわち、左右一対の搬送レール41のうち、もう片側である他方側の搬送レール41を掘削溝Pに沿って長手方向Lに複数敷設する。
【0090】
第4の工程として、一方側の搬送レール41の長手方向Lの端面に対し、他方の搬送レール41の長手方向Lの端面を面一にする(
図17参照)。ここで、搬送レール41の長手方向Lの端面とは、連結部41fが相当する。
【0091】
第5の工程として、他方側の搬送レール41同士を接続する。接続固定する場合は、第2の工程と同様に、ボルトやナット等の固定具43を介して行う(
図8参照)。
【0092】
以上の工程を経ることとして、地中構造物搬送装置100を掘削溝Pに沿って直線走行させることができる。なお、説明した各工程に関しては、その順番を変えて実施することもできる。
【0093】
次に、地中構造物搬送装置100を湾曲走行させるための地中構造物搬送方法について説明する。
【0094】
第1の工程として、左右一対の搬送レール41の一方側を、湾曲した掘削溝Pの外側長手方向Lに沿って複数敷設する。この工程は、地中構造物搬送装置100を直線走行させるための地中構造物搬送方法で説明した工程とほぼ同じ工程である。
【0095】
第2の工程として、一方側の搬送レール41と搬送レール41の間に接続プレート42を連結敷設し、一方側の搬送レール41同士を接続する。
【0096】
第3の工程として、左右一対の搬送レール41の他方側を、一方側の搬送レール41と対峙側に掘削溝Pの外側長手方向Lに沿って複数敷設する。この工程も、地中構造物搬送装置100を直線走行させるための地中構造物搬送方法で説明した工程とほぼ同じ工程である。
【0097】
第4の工程として、一方側の搬送レール41の長手方向Lの端面に対し、他方の搬送レール41の長手方向Lの端面を面一にする。この工程も地中構造物搬送装置100を直線走行させるための地中構造物搬送方法で説明した工程とほぼ同じ工程である。
【0098】
第5の工程として、他方側の搬送レール41と搬送レール41の間に接続プレート42を連結敷設し、他方側の搬送レール41同士を接続する。
【0099】
以上の工程を経ることとして、湾曲した掘削溝Pに沿って地中構造物搬送装置100を湾曲走行させることができる。なお、説明した各工程に関しては、その順番を変えて実施することもできる。
【0100】
掘削溝Pを掘削する開削工法においては、トラッククレーンが入れないような狭い場所や、上空での作業が制限されるような場所においてはボックスカルバート等の重量物(地中構造物50)を運搬、埋設することが困難な場合がある。特に、トンネル内や、上方に電線等の障害物があるような場所においては、トラッククレーンではブームの伸縮や起伏が必要となるため、運搬、埋設等の作業が困難となる。すなわち、狭い場所や上方に障害物がある場所での作業となると、重量物を取り扱う作業となるため危険であり、また、高度な技術を有する熟練した作業者を必要とすることとなる。
【0101】
仮に、門型クレーンが入れるような場所において行う場合、門型クレーンを設置するには、設置事業者が設置届けを行政に提出する必要がある場合があるため、手続きが煩雑となり、本発明であればそのような設置届けは不要であるので、手軽に設置することができる。
【0102】
本発明は、このような問題点を解決するもので、さらには、重量物を吊り上げた門型リフターを湾曲走行に対応させることができるものである。また、大がかりな湾曲したレールを敷設するのではなく、簡素で手軽な接続プレート42によって湾曲走行に対応させることができ、また、微妙な角度調節も容易に行うことができる。
【0103】
以上、各実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施例に記載の技術、又は、その他の公知や周知の技術を組み合わせるようにしてもよい。
【0104】
地中構造物搬送方法の説明については、左右一対の搬送レール41のうち、まず一方側の搬送レール41を敷設し、その後、他方側の搬送レール41を敷設する例を説明したが、他に左右一対の搬送レール41を対で長手方向Lに敷設し、長手方向Lに敷設した各搬送レール41同士を接続してもよい。
【課題】上下水道管等の管を地下に埋設する開削工法において、トラッククレーン等の重機を使用することなく、重量物を吊り上げた状態で走行する際、カーブした箇所でも安定した状態で地中構造物の運搬、埋設を行うことができる地中構造物搬送装置及び地中構造物搬送方法を提供する。
【解決手段】地中構造物搬送装置100は、一対のブームシリンダー11と、ブームシリンダー11内において伸縮自在となる一対の伸縮ブームと、この一対の伸縮ブームの上端に架設したアーム15を備えた門型リフターと、アーム15に懸垂走行自在に取り付け、チェーンブロック25を吊り下げたギヤードトロリ2と、ブームシリンダー11が立設する一対の走行台車と、走行台車を走行させる電動走行装置と、地表に敷設し、走行台車を案内する一対の搬送レール41を備える。